説明

車体の二点の矯正座標点を計測するシステム

【課題】この種の計測システムに、本出願人が提案する発明がある。水準器を備えたゲージ棒と、ゲージ棒の両端に設けたジョイント部材で構成し、ジョイント部材に垂設した位置決めゲージと、一本〜数本の計測ゲージで構成し、計測ゲージで、車輌の歪みを計測する。一本のゲージ棒を基点として、一箇所〜二箇所の歪みを計測できるが、一本のケージ棒を介して、計測するので問題である。
【構成】車体の複数矯正座標点に支持した対の座標位置決め兼支持具と、各座標位置決め兼支持具に、垂下した各座標位置決めスケールと、各座標位置決めスケールに一端を、座標計測支持具に他端を、支持した対の本体スケールと、各本体スケールに、座標計測支持具の他端を支持する際に、スペーサを介在し、本体スケールの他端を、水平面に対して位相を変え、座標計測支持具に支持する構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の故障箇所の矯正(修正)時に、使用し、この故障箇所の歪みを計測する車体の二点の矯正座標点を計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の計測システムとしては、本出願人が提案する特開2002−107105号の「車輌フレームの歪み計測機具」が挙げられる。この発明は、水準器を備えたゲージ棒と、このゲージ棒の両端に設けたジョイント部材とで構成し、このジョイント部材に垂設した位置決め(基準座標)ゲージ(スケール)と、一本又は数本の計測ゲージ等とで構成し、この計測ゲージを介して、車輌の歪みを計測する発明である。この発明は、一本のゲージ棒を基点として、一箇所又は二箇所の歪みを計測できるが、あくまでも、一本のケージ棒を介して、計測することから、その計測箇所(矯正箇所の計測)に制限があること、また計測に経験則を要すること等の改良点が挙げられる。
【0003】
前述の如く、一本のゲージ棒(本体スケール)を介して、計測する構造では、制限があることに鑑み、その計測箇所(矯正箇所の計測)を、多元的に測定可能とする計測するシステムか、これに類する装置等が望まれる処である。そこで、以下、関連する先行文献を、列挙する。
【0004】
文献(1)は、特表平3−504167号の「自動車フレームを測定する方法」である。この発明は、車体に複数の標的(矯正箇所を特定する)を配備し、この標的の頂点を座標点(矯正座標点)とし、この座標点を、参照点(基準点)に設置したレーザーを介して計測し、この所定箇所間における距離及び角度を計測した計測値を、三角法の計算の基礎とするとともに、コンピュータを駆使し、演算処理する構造であり、短時間に、かつ人手を要さず、計測できること、又は正確な計測ができること等の特徴を有する。
【0005】
また文献(2)は、特表2003−533685号の「物体の3次元形状測定方法及び装置」である。この発明は、物体表面を、3次元形状を測定する方法であって、物体表面の複数の領域を計測し、その少なくとも1回の計測の間に少なくとも1つの基準対象を計測し、この物体表面の計測された領域を、互いに連結する物体表面の3次元形状測定方法であり、物体表面を、空間的手法及び/又は3次元座標を求めて計測する構造とし、各種の大きさとか、複雑な物体形状に対し、非接触で、この物体の表面に亘り、短時間で、効率よく測定できる特徴がある。
【0006】
さらに、文献(3)は、特開平11−241901号の「測定装置」である。この発明は、本体スケールの一方の、一端に測定孔、或いは測定点との接触のための先端の尖ったマンドレルを、また他端に磁石取付手段及び取付手段を車両の底面にある孔に対して中心を合わせるための心合せ手段を備えた心合せ手段を、また他方に測定ロッドを、それぞれ設け、この測定ロッドの目盛を、車両にセットしたレーザーを介して、読取り、計測する構造であり、車両の底板を測定するための低費用で簡単に扱える測定システムを提供する。
【0007】
【特許文献1】特表平3−504167号
【特許文献2】特表2003−533685号
【特許文献3】特開平11−241901号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献(1)は、所定箇所間における距離及び角度を計測した計測値を、三角法の計算の基礎とし、かつコンピュータを駆使し、演算処理する構造であり、確実かつ瞬時に歪等の矯正値(矯正程度)を把握できる。しかし、この発明は、レーザーと各座標点との組合せ構造であり、目視観察及び/又は簡易な操作による確認とは云えないこと、また計測値の過ちを、速やかに、修正できないこと、及び操作が複雑であること、等の改良点が挙げられる。
【0009】
また文献(2)は、物体の表面を3次元的に計測する構造である。従って、矯正箇所の計測値を、比較検討する構造でなく、また矯正箇所の数値を、正確かつ瞬時に把握することは不可能であり、その改良が望まれる処である。
【0010】
さらに文献(3)は、本体スケールの前記計測手段を介して、計測する構造である。従って、その矯正箇所の計測に制限があること、及びこの計測箇所を、多元的に測定可能とする計測するシステムではなく、その改良が、望まれる処である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、矯正箇所の矯正(修正)寸法(矯正寸法)を、少なくとも、二本の本体スケールと、これを支持する対の座標位置決め兼支持具、及び座標計測支持具と、複数のスケールとを利用した、三角手法を介して、目視観察及び/又は簡易な操作により、確認かつ簡易に計測すること、又はこの計測値の過ちを、速やかに、修正できるようにすること等を意図する。また請求項1の発明は、矯正寸法を、前述の機具と、三角手法を介して、計測する構造であり、操作の簡略性と、習得の容易性等を図ることを意図する。そして、請求項1の発明では、二本の本体スケールを、座標計測支持具に対して、段差(スペーサ)を介して、支持する構成とし、この二本の本体スケールの(固定地と、可動時)において、交差をなくして、スムーズな動きと、それぞれの本体スケールの自由な動きを確保すること等を意図する。
【0012】
請求項1は、車体の二点の矯正座標点に支持したマグネット式の対の座標位置決め兼支持具と、この対の座標位置決め兼支持具に、それぞれ垂下した各座標位置決めスケールと、この各座標位置決めスケールに一端を、また座標計測支持具に他端を、それぞれ支持した対の本体スケールと、この対の本体スケールの他端間にスペーサを介在し、この本体スケールの他端を、水平面に対して位相を変えて、前記座標計測支持具に支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な本体スケールと、この本体スペースと座標計測支持具との関係を確立することを意図する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
その本体スケールを、角パイプと、この角パイプに遊嵌されるドラムスケールとで構成し、この角パイプ、及びドラムスケールの各自由端側に、ホルダーを設け、このホルダーに螺着した止め螺子を介して、前記座標位置決めスケール、及び座標計測支持具に可動可能に設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な座標位置決め兼支持具と、この座標位置決め兼支持具と座標位置決めスケールとの関係を確立することを意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
そのマグネット式の対の座標位置決め兼支持具は、中心に陥没孔と、この陥没孔に対峙した空洞部を設けた本体部と、この本体部の上面に設けたマグネットと、前記陥没孔に出没自在に設けた位置決めピボットと、この位置決めピボットの出没を司るスプリングを、この位置決めピボットと、前記本体部下端の鍔片との間に設け、また、前記陥没孔の底面に貫設した皿部に、ボールを可動可能に載置し、このボールに、前記座標位置決めスケールを支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な本体スケールを提供することを意図する。
【0018】
請求項4は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
その本体スケールの他端側に、水準器を設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、車体の二点の矯正座標点に支持したマグネット式の対の座標位置決め兼支持具と、対の座標位置決め兼支持具に、それぞれ垂下した各座標位置決めスケールと、各座標位置決めスケールに一端を、また座標計測支持具に他端を、それぞれ支持した対の本体スケールと、この対の本体スケールの他端間にスペーサを介在し、本体スケールの他端を、水平面に対して位相を変えて、座標計測支持具に支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0020】
従って、請求項1は、矯正箇所の矯正(修正)寸法(矯正寸法)を、少なくとも、二本の本体スケールと、これを支持する対の座標位置決め兼支持具、及び座標計測支持具と、複数のスケールとを利用した、三角手法を介して、目視観察及び/又は簡易な操作により、確認かつ簡易に計測できること、又はこの計測値の過ちを、速やかに、修正できること等の特徴がある。また請求項1は、矯正寸法を、前述の機具と、三角手法を介して、計測する構造であり、操作の簡略性と、習得の容易性等が図れる特徴がある。そして、請求項1は、二本の本体スケールを、座標計測支持具に対して、段差(スペーサ)を介して、支持する構成とし、この二本の本体スケールの(固定地と、可動時)において、交差をなくして、スムーズな動きと、それぞれの本体スケールの自由な動きを確保できる実益がある。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
本体スケールを、角パイプと、角パイプに遊嵌されるドラムスケールとで構成し、角パイプ、及びドラムスケールの各自由端側に、ホルダーを設け、ホルダーに螺着した止め螺子を介して、座標位置決めスケール、及び座標計測支持具に可動可能に設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0022】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な本体スケールと、この本体スペースと座標計測支持具との関係を確立できること等の特徴を有する。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
マグネット式の対の座標位置決め兼支持具は、中心に陥没孔と、陥没孔に対峙した空洞部を設けた本体部と、本体部の上面に設けたマグネットと、陥没孔に出没自在に設けた位置決めピボットと、位置決めピボットの出没を司るスプリングを、位置決めピボットと、本体部下端の鍔片との間に設け、また、陥没孔の底面に貫設した皿部に、ボールを可動可能に載置し、ボールに、座標位置決めスケールを支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0024】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な座標位置決め兼支持具と、この座標位置決め兼支持具と座標位置決めスケールとの関係を確立できること等の特徴がある。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
本体スケールの他端側に、水準器を設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステムである。
【0026】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な本体スケールを提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一例を説明する。
【0028】
図面の説明をすると、図1は矯正座標点を計測するシステムの全体を示した一部省略の側面図、図2−1は座標位置決め兼支持具の拡大断面図、図2−2は座標計測支持具の他の使用例を示した拡大断面図、図3は、図1の全体の俯瞰図、図4は座標計測支持具と本体スケール、並びにスペーサとの関係を示した要部の拡大俯瞰図、図5は本発明の矯正座標点を計測するシステムの使用状態を示した縮尺俯瞰図、図6は図5の側面図、図7は図5に示した矯正箇所の程度(損傷数値を模式的)に示した俯瞰図(損傷マーカ)である。
【0029】
1は車体Aの複数の矯正座標点H1〜H2等に支持したマグネット式の対の座標位置決め兼支持具で、この座標位置決め兼支持具1は、中心に陥没孔100と、この陥没孔100に対峙した空洞部101を設けた本体部1aと、本体部1aの上面1a1に設けたマグネット2と、この陥没孔100に出没自在に設けた位置決めピボット3と、位置決めピボット3の出没を司るスプリング4と、陥没孔100の底部100a(陥没孔100と、空洞部101を仕切る中間壁)に貫設した皿部102、この皿部102に載置されたボール5とで構成されており、このボール5に螺着された垂下杆6には、座標位置決めスケール7が螺着または嵌入されている。そして、この座標位置決め兼支持具1の使用と、各部の動作を説明すると、この座標位置決め兼支持具1は、前記マグネット2を、車体Aの複数の矯正座標点H1〜H2等の磁性体部に磁着するか、及び/又は、位置決めピボット3を、車体Aの複数の矯正座標点H1〜H2等の穴に挿入するかの方法で、支持、かつ垂下される。この座標位置決め兼支持具1の支持、かつ垂下と、前記座標位置決めスケール7を介して、矯正箇所の特定と、矯正寸法を測定する。そして、この座標位置決めスケール7は、皿部102に可動自在に載置されたボール5及び/又は垂下杆6を介して、この本体部1aの空洞部101に垂下、かつ可動自在に設けられる。尚、スプリング4は、位置決めピボット3を常時、上方(矢印「イ」)に付勢する機能を達成するために、この位置決めピボット3の底面と、本体部1a下端の鍔片103との間に設けられている。
【0030】
8は本体スケールで、この本体スケール8は、前記座標位置決め兼支持具1に一端8aを、後述する座標計測支持具に他端8bを支持されている。この支持は、それぞれの止め螺子10、11を介して、支持されている。この支持される位置は、この止め螺子10、11の取扱で変更可能とする。そして、この本体スケール8は、角パイプ800と、この角パイプ800に遊嵌されるドラムスケール801とで構成し、この角パイプ800、及びドラムスケール801の各自由端側(一端8aと他端8b)に、ホルダー12、13を設ける。このホルダー12、13に設けた止め螺子10、11を介して、この角パイプ800の他端8bを、後述する座標計測支持具に可動可能に設け、かつこのドラムスケール801の一端8aを、前記座標位置決めスケール7に可動可能に設ける構成とし、この本体スケール8(角パイプ800、及びドラムスケール801)を、少なくとも、座標計測支持具に対して、自由に移動可能とすること、又は床面に対して、水平、又は傾斜設置(水平面設置)を可能とする構造である。また、この本体スケール8は、図1、図3で示すように、対で設け、後述するスペーサを介して、少なくとも、この座標計測支持具側において、変位位置に設ける構造とすることと、この座標計測支持具に、他端8bを支持する構造とし、本発明が意図する三角領域での計測と、この計測の状態を、他の矯正座標点H1〜H2等に転用可能とする(図5を参照)。そして、この本体スケール8は、伸縮可能であり、角パイプ800とドラムスケール801を緊締する冶具15の開放又は開放解除(調整)を介して、ドラムスケール801を角パイプ800から、出没することで、その伸縮を図る構造であり、矯正座標点H1〜H2等と座標計測点H10(X部位、又は、Y部位)の距離に対応可能とする。図中801aは目盛、16は図示しないスケール、矯正座標点棒等の取付け用の冶具である。さらに18は本体スケール8に設けた水準器である。
【0031】
そして、20は座標計測支持具で、この座標計測支持具20は、車体Aの矯正用として規定されている座標計測点H10に設けられるものであり、前述の如く、対(一方、他方)の本体スケール8、8−1の各他端8b、8bが、スペーサ30(後述する支持杆に遊嵌する構造のスペーサ30)を介して、この座標計測点H10において、水平座標面(水平面)で、変位(上下方向)位置に設けられる構造である。即ち、対の本体スケール8、8−1の他端8b、8bが、水平位置関係で交差しない構造とする。そして、この座標計測支持具20は、この一例では、スタンド21と、このスタンド21に設けた支持杆22と、この支持杆22に設けたキャップ23とで構成されており、座標計測点H10に設けられるとともに、前述の如く、対の本体スケール8、8−1の各他端8b、8bを、支持する。そして、この座標計測支持具20は、座標計測点H10に座標基準支持杆等のパーツを吊下等して設ける場合は、不要である。尚、スタンド21と、このスタンド21に設けた支持杆22は、止め具31の調整を介して、この支持杆22の立上り長さを変更できる構造である。
【0032】
図中32は、支持杆22の上端の螺子部2200に螺着される連結具であり、この連結具32を介してソケットアダプター33を設ける。このソケットアダプター33と、図示しない冶具を利用し、この支持杆22の立上り長さを変更するか、又はこの支持杆22の位置及び/又は本体スケール8等の位置、方向を変更できる実益がある。
【0033】
そこで、本発明の二点の矯正座標点を計測するシステムの使用の一例を説明すると、図5に示した本発明の矯正座標点を計測するシステムの使用状態を示した縮尺俯瞰図において、座標位置決め兼支持具1を、車体Aの矯正座標点H1(基準点H1)と矯正座標点H2(基準点H2)に、それぞれセットし、座標計測支持具20を座標計測点H10にセットした状態において、その矯正寸法を計測する。
【0034】
この際に、傾斜状態にセットした一方の本体スケール8の他端8bを、スペーサ30を分岐点として、支持杆22の下側に固定する。また車体Aの車長方向に直線状態にセットした他方の本体スケール8−1の他端8bを、スペーサ30を分岐点として、支持杆22の上側に固定する。
【0035】
そして、この一方の本体スケール8の一端8aを、座標位置決め兼支持具1のマグネット2を介して、矯正座標点H1にセットする。またこの他方の本体スケール8−1の一端8aを、座標位置決め兼支持具1のマグネット2を介して、矯正座標点H2にセットする。このようにしてセットされた、ある車体Aの正規寸法は(一例である)、一方の本体スケール8で計測される正規寸法の一例は、1273cmで、他方の本体スケール8−1で計測される正規寸法の一例は、1554cmとなる。尚、一部箇所の車高の正規寸法は、309cmである。
【0036】
そこで、矯正が必要となる車体A(図示せず、仮想である)を、それぞれセットした一方の本体スケール8と、他方の本体スケール8−1を介して、矯正箇所における矯正座標点H1と、矯正座標点H2の寸法を計測する。この計測は、この一例では、座標計測点H10であるY部位を基点とする。この際に、図5の如く、Y部位において、一方の本体スケール8に設けたスケールを介して、計測し、その数値が、1270cmとすると、前記正規寸法1273cmに対して、その誤差は−3cmとなり、この3cm矯正する必要があり、図示しないコンピュータに入力する。また他方の本体スケール8−1に設けたスケールを介して、計測し、その数値が、1550cmとすると、前記正規寸法1554cmに対して、その誤差は−4cmとなり、この4cm矯正する必要があり、図示しないコンピュータに入力する。また同様に、X部位において、一方の本体スケール8に設けたスケールを介して、計測し、その数値が、1273cmとすると、前記正規寸法1273cmに合致することから、その誤差は0cm矯正する必要がないことを、図示しないコンピュータに入力する。また他方の本体スケール8−1に設けたスケールを介して、計測し、その数値が、1551cmとすると、前記正規寸法1554cmに対して、その誤差は−3cmとなり、この3cm矯正する必要があり、図示しないコンピュータに入力する。尚、一部箇所の車高を計測することも可能であり、図6に示すように、支持杆22に設けたスケールを介して、計測する。例えば、X部位において、その数値が、320cmとすると、前記正規寸法309cmに対して、その誤差は+11cmとなり、この11cm矯正する必要があり、図示しないコンピュータに入力する。また同様に、Y部位において、その数値が、309cmとすると、前記正規寸法309cmに対して、その誤差は0cm矯正する必要がないことを、図示しないコンピュータに入力する。
【0037】
以上のX・Y部位の各損傷データを表示したのが、図表1であり、下記に示す。
【0038】
図表1

【0039】
また前記図6の損傷箇所を損傷マーカとしたものが、図7に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は矯正座標点を計測するシステムの全体を示した一部省略の側面図
【図2−1】図2−1は座標位置決め兼支持具の拡大断面図
【図2−2】図2−2は座標計測支持具の他の使用例を示した拡大断面図
【図3】図3は、図1の全体の俯瞰図
【図4】図4は座標計測支持具と本体スケール、並びにスペーサとの関係を示した要部の拡大俯瞰図
【図5】図5は本発明の矯正座標点を計測するシステムの使用状態を示した縮尺俯瞰図
【図6】図6は図5の側面図
【図7】図7は図5に示した矯正箇所の程度(損傷数値を模式的)に示した俯瞰図(損傷マーカ)
【符号の説明】
【0041】
1 座標位置決め兼支持具
1a 本体部
1a1 上面
100 陥没孔
100a 底部
101 空洞部
102 皿部
103 鍔片
2 マグネット
3 位置決めピボット
4 スプリング
5 ボール
6 垂下杆
7 座標位置決めスケール
8 本体スケール
8−1 他方の本体スケール
8a 一端
8b 他端
800 角パイプ
801 ドラムスケール
801a 目盛
10 止め螺子
11 止め螺子
12 ホルダー
13 ホルダー
15 冶具
16 冶具
18 水準器
20 座標計測支持具
21 スタンド
22 支持杆
2200 螺子部
23 キャップ
30 スペーサ
31 止め具
32 連結具
33 ソケットアダプター
A 車体
C 計測点
H1〜H2等 矯正座標点
H10 座標計測点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の二点の矯正座標点に支持したマグネット式の対の座標位置決め兼支持具と、この対の座標位置決め兼支持具に、それぞれ垂下した各座標位置決めスケールと、この各座標位置決めスケールに一端を、また座標計測支持具に他端を、それぞれ支持した対の本体スケールと、この対の本体スケールの他端間にスペーサを介在し、この本体スケールの他端を、水平面に対して位相を変えて、前記座標計測支持具に支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
その本体スケールを、角パイプと、この角パイプに遊嵌されるドラムスケールとで構成し、この角パイプ、及びドラムスケールの各自由端側に、ホルダーを設け、このホルダーに螺着した止め螺子を介して、前記座標位置決めスケール、及び座標計測支持具に可動可能に設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
そのマグネット式の対の座標位置決め兼支持具は、中心に陥没孔と、この陥没孔に対峙した空洞部を設けた本体部と、この本体部の上面に設けたマグネットと、前記陥没孔に出没自在に設けた位置決めピボットと、この位置決めピボットの出没を司るスプリングを、この位置決めピボットと、前記本体部下端の鍔片との間に設け、また、前記陥没孔の底面に貫設した皿部に、ボールを可動可能に載置し、このボールに、前記座標位置決めスケールを支持する構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の車体の二点の矯正座標点を計測するシステムであって、
その本体スケールの他端側に、水準器を設ける構成とした車体の二点の矯正座標点を計測するシステム。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−128281(P2009−128281A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305676(P2007−305676)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(500456958)ネキスト株式会社 (2)
【Fターム(参考)】