説明

車体フレーム構造

【課題】軽量化やレイアウトの自由度を妨げることなく、より衝突エネルギー吸収効率の高いフレーム構造を提供する。
【解決手段】車体フレーム構造1は、フロントピラーロア12から車体後方に延びる左右のサイドシル21と、フロアサイドメンバ22とを有して構成されるフロアフレーム部20と、フロントピラーロア12より車両前方に延びるアッパメンバ部31と、前記前輪の中心軸Cより下方に位置し、前記フロアフレーム部20の前方で車両前方に延びるロアメンバ部34と、前記アッパメンバ部31と前記ロアメンバ部34とがこれらの前方で結合される結合部35より車両前方に延びるフロントメンバ部36とを有して構成されるフロントフレーム部30と、前記フロントメンバ部36の後方において前記アッパメンバ部31に固定され、前記アッパメンバ部31と前記フロアフレーム部20とを接続するフロントメンバリヤ50と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室前方及び車室下部に配される車体フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体前部の車体フレーム構造として、左右の前輪の頭頂部とほぼ同じ高さに位置する左右のアッパフレームと、フロア部分とほぼ同じ高さに位置する左右のシャシメンバに加え、前輪の中心軸とほぼ同じ高さにおいて車体前後方向へ延びる左右のフロントサイドメンバが配置されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この左右のフロントサイドメンバの車幅方向内側にエンジン及びトランスミッションが配置される。このようなフレーム構造では最大操舵時に前輪がフロントサイドメンバと干渉する場合があるため、衝突エネルギー吸収性能の向上と操舵角を考慮して、前輪がフロントメンバ部よりも車幅方向内側へ進入できる空間を形成し、フロントメンバ部が中心領域とエンジン及びトランスミッションとの間を通らないようなレイアウトにする技術が提供されている(例えば特許文献2参照)。この車体フレーム構造は、前輪の中心軸より上方に位置し、フロントピラーロアより車両前方に延びるアッパメンバ部と、前記前輪の中心軸より下方に位置し、フロアの前端部より車両前方に延びるロアメンバ部と、前記前輪より前方で結合する結合部と、前記結合部より車両前方に延びるフロントメンバ部とを備えている。このような車体フレーム構造において、衝突等の際に車体前方から入力される力は、左右のフロントメンバ部からアッパメンバ部及びロアメンバ部に分散して入力される。
【特許文献1】特許第2890938号公報
【特許文献2】特開2006−143178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した車体フレーム構造では、次のような問題があった。すなわち、より高い衝突エネルギー吸収効率を求めるには、フロントメンバ部から上下に分散されてアッパメンバ部及びロアメンバ部に伝達されたエネルギーを、さらに吸収する構造が必要となる。しかしながら、エネルギー吸収のための部材を別途追加すると軽量化やレイアウトの自由度を妨げる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、フロントフレーム部のエネルギーをフロアフレーム部に伝達させる構成とすることで、軽量化やレイアウトの自由度を妨げることなく、より衝突エネルギー吸収効率の高いフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態にかかる車体フレーム構造は、車室下部に配され、車幅方向両端部に配されたフロントピラーロアから車体後方に延びる左右のサイドシルと、前記サイドシルよりも車幅方向内側において車体前後方向に延びる左右のフロアサイドメンバとを有して構成されるフロアフレーム部と、車室前方に配され、前輪の中心軸より上方に位置し、前記フロントピラーロアより車両前方に延びるアッパメンバ部と、前記前輪の中心軸より下方に位置し、前記フロアフレーム部の前方で車両前方に延びるロアメンバ部と、前記アッパメンバ部と前記ロアメンバ部とがこれらの前方で結合される結合部より車両前方に延びるフロントメンバ部とを有して構成されるフロントフレーム部と、前記フロントメンバ部の後方において前記アッパメンバ部に固定され、前記アッパメンバ部と前記フロアフレーム部とを接続する接続部材と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の一形態にかかる車体フレーム構造は、前記接続部材は、前記フロントメンバ部の延長線上の後方において前記アッパメンバ部に固定され、前記アッパメンバ部と前記フロアサイドメンバの前端部とを連結するフロントメンバリヤであることを特徴とする。
【0007】
本発明の一形態にかかる車体フレーム構造は、前記フロントメンバリヤは、長手方向に断面形状が連続する押出成形部材であり、前記フロントメンバ部の延長線上後方において車体前後方向に延びる前部と、前記フロアサイドメンバの前端に連続する後部と、前記前部から車幅方向内側下方に向かって斜めに延び前記後部に連続する中間部とを一体に有したことを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態にかかる車体フレーム構造は、前記フロアフレーム部は、前記左右のフロントピラーロアの下部から車幅方向内側に向かって延びるとともにその車幅方向内側の端面が後方に向かうにつれて車幅内側に向かう斜面を形成するダッシュクロスメンバロアを有し、前記フロントメンバリヤの前記前部の前端面は前記アッパメンバ部の内側に突出した突出部分の後側壁面に接合され、前記前部の外側壁面は前記アッパメンバ部の後部における内側壁面に接合され、前記後部の外側壁面は、後方に向かうにつれて車幅内側に向かう斜面を形成し、前記ダッシュクロスメンバロアの前記内側端面に接合され、前記後部の後端面は前記フロアサイドメンバの前端面の車幅方向内側部分に接合され、前記ダッシュクロスメンバロアの後側壁面は前記フロアサイドメンバの前端面の車幅方向外側部分に接合されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態にかかる車体フレーム構造は、前記接続部材は、ダイカスト材により前記フロントピラーロアと一体に構成され、前記アッパメンバ部と前記サイドシルの前端部とを連結する延出部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記構成により、軽量化やレイアウトの自由度を妨げることなく、より衝突エネルギー吸収効率の高いフレーム構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1の実施形態の車体フレーム構造について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、自動車の進行方向を基準に前方(前側)、後方(後側)、左右幅方向を定義し、自動車の幅方向の中心に向かう方向を内方向(内側)、自動車の中心から幅方向に広がる方向を外方向(外側)とする。重力の作用する方向を下方向(下側)、重力に逆らう方向を上方向(上側)とする。図中矢印X、Y及びZは直交する3方向を示し、矢印Xは車体前方、矢印Yは車幅方向左側、矢印Zは車体上方向を指している。また、左右で同様な構成については適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる自動車(車両)の車体フレーム構造の一部を示している。図1、図2及び図3に示すように、左右のフロントピラアッパ11の下部にそれぞれ形成された左右のフロントピラーロア12の間に車幅方向に向かって延びるカウルトップ13、ダッシュクロスメンバアッパ14、ダッシュクロスメンバロア15が設けられている。カウルトップ13はフロントピラーロア12の上部に配され、車幅方向中央部分が前方に向かうように湾曲している。ダッシュクロスメンバアッパ14はカウルトップ13よりも下方に配置され、車幅方向中央部分が下方となるように湾曲形成されている。ダッシュクロスメンバロア15はダッシュクロスメンバアッパ14よりも下方に配され、フロントピラーロア12の下部から内側に向かって延出している。ダッシュクロスメンバロア15の内側端面15aは前方から後方に向かって内側に向かう斜面を形成している。なお、中空部材の端面とは、中空部の周りの外周部分の端面を指す。
【0013】
左右のフロントピラーロア12の下部から、車体後方に向けてサイドシル21が夫々延びている。サイドシル21の後端部は後輪(不図示)より手前に位置する。サイドシル21よりも内側においてフロアサイドメンバ22がダッシュクロスメンバロア15の内側の端部に接続され車体後方に向かって延びている。車幅方向中央部分にはバックボーン23が車体前後方向に延びている。
【0014】
左右のサイドシル21の間には、車幅方向に延びる各種クロスメンバ24,25,26が設けられている。ダッシュクロスメンバロア15及び各種クロスメンバ24,25,26の外側の端面は左右のサイドシル21の内側壁面21aに溶接などにより接合されている。
【0015】
後輪の手前に配されたクロスメンバ26にフロアサイドメンバ22及びバックボーン23の後端部が接合されている。各種クロスメンバ24,25,26の下面と、フロアサイドメンバ22の上面とは交差する部分においてそれぞれ溶接などにより接合されている。またクロスメンバ24、25の内側の端面はバックボーンサイドパネル27を介してバックボーン23に接続されている。
【0016】
これら前後方向に延びるサイドシル21、フロアサイドメンバ22及びバックボーン23と、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバロア15及び各種クロスメンバ24〜26とが互いに交差してラダー状に組み合わされ、フロアフレーム部20を構成している。このフロアフレーム部20の上部に、車室の床を形成するフロアパネル(不図示)が溶接等で固定される。
【0017】
フロアフレーム部20や後述するフロントフレーム部30を構成する各種フレーム材13〜15、21〜26、36、42等は、例えばアルミニウム合金などの軽合金鋳物から細長形状に形成された押出成形部材からなり、その断面形状は例えば中空部を有する四角形状に構成され、一定の閉断面で長手方向に連続している。湾曲形状のカウルトップ13やダッシュクロスメンバアッパ14、はその断面形状が連続する範囲で曲げ変形されて構成される。
【0018】
フロントピラアッパ11の下端とフロアフレーム部20の車幅方向端部とを繋ぐ左右のフロントピラーロア12はアルミダイカスト材などの軽合金鋳物で構成されている。フロントピラーロア12の前端部から連続するように、図3に破線で示す前輪Wの中心軸Cより上方において車体前方かつ下方に向かって湾曲して延びるフロントサイドメンバアッパ31(アッパメンバ部)が設けられている。フロントサイドメンバアッパ31の後端面とフロントピラーロア12の前端面とは溶接により接合されている。フロントサイドメンバアッパ31はアルミダイカスト材などの軽合金鋳物で構成されている。フロントサイドメンバアッパ31の後部内側面に、スプリングハウス32が車体内部方向側に突出するように一体形成されて突出部分を構成している。このスプリングハウス32よりも前方かつ下方におけるフロントサイドメンバアッパ31の内側面にフェンダーシールドパネル33が内側方向に突出して一体形成され、突出部分を構成する。
【0019】
前輪Wの中心軸Cより下方でフロアフレーム部20とほぼ同じ高さにおいて、ダッシュクロスメンバロア15の外側両端部近傍から車体前方に向かって連続して延びるフロントサイドメンバロア34(ロアメンバ部)が設けられている。フロントサイドメンバロア34は、左右のサイド部34aが車幅方向内側に向かって湾曲し、互いに近接する部分において連結され、平面視においてH字状となるようにアルミダイカスト材などの軽合金鋳物で一体形成されている。フロントサイドメンバアッパ31の下方であって、フロントサイドメンバロア34の湾曲部分の外側に形成された左右の空間Sに前輪Wが配置される。
【0020】
フロントサイドメンバアッパ31の前端部とフロントサイドメンバロア34の前端部とは、前輪Wよりも前方に配される結合部35において例えばボルト締めにより結合されている。図2に示すように、平面視において、結合部35付近の形状はY字状になっている。左右の結合部35の前方には、車体前方に向けて延びるフロントサイドメンバ(フロントメンバ部)36がそれぞれ設けられている。結合部35の前端部とフロントサイドメンバ36の後端部とは、溶接又はボルト締めにより固定されている。
【0021】
フロントサイドメンバ36の前方には車体前方に向けて延びるクラッシュボックス39が設けられている。フロントサイドメンバ36の前端部とクラッシュボックス39の後端部とは、それぞれに設けられたフランジ部40、41を介して溶接又はボルト締めにより固定されている。クラッシュボックス39は車両が低速度で衝突した際に積極的に軸圧潰することで、衝突のエネルギーを吸収し、クラッシュボックス39より後方の部分が損傷を防ぐ機能を有する。
【0022】
左右のクラッシュボックス39の前端部の間に車幅方向に延びるフロントバンパービーム42が設けられている。フロントバンパービーム42は左右のクラッシュボックス39や更にその後方にあるフロントサイドメンバアッパ31やフロントサイドメンバロア34等の左右の各種フレーム部材31に衝突のエネルギーを振り分ける機能を有する。
【0023】
カウルトップ13、ダッシュクロスメンバアッパ14、フロントサイドメンバアッパ31、フロントサイドメンバロア34、フロントサイドメンバ36、フロントバンパービーム42等によって車体のフロントフレーム部30が構成される。
【0024】
フロントサイドメンバアッパ31の後部とフロアサイドメンバ22の前端部との間に、両者を連結する接続部としてのフロントメンバリヤ50が設けられている。フロントメンバリヤ50はフロントサイドメンバアッパ31から後方に略水平に延びる水平前部(前部)51と、この水平前部51から下方に緩やかなカーブを介して斜め後下方向、かつ車幅方向内側に向かって延びる斜中間部(中間部)52と、斜中間部52の後端から緩やかなカーブを介して後方、かつ、車幅方向内側に水平に延びる水平後部(後部)53とが連続して一体に成形されている。フロントメンバリヤ50はアルミニウム合金など軽合金塊の押出し成形によって得られ、例えば四角形の中空部を有する中空断面(閉断面形状)が長手方向に連続する細長の押出し部材からなり、一定の閉断面形状が連続する範囲で曲げ加工が施されて構成される。
【0025】
水平前部51はフロントサイドメンバ36と車幅方向及び高さ方向において同位置に配され、フロントサイドメンバアッパ31を介してフロントサイドメンバ36の延長線上に連続するように前後方向に延びている。水平前部51の前端面51aはフロントサイドメンバアッパから内側に突出した突出部としてのフェンダーシールドパネル33の後側壁面33aに接合されている。水平前部51の外側壁面51bはフロントサイドメンバアッパ31の後端部の内側壁面31aの形状に沿うように形成され、スプリングハウス32の下方であってフェンダーシールドパネル33の後方において溶接によりフロントサイドメンバアッパ31の内側壁面31aに接合されている。
【0026】
図2、図4及び図5に示すように、水平後部53の外側壁面53aはダッシュクロスメンバロア15の内側端面15aの斜面形状に沿うように形成され、ダッシュクロスメンバロア15の内側端面15aに溶接により接合されている。また、水平後部53の後端面53bはフロアサイドメンバ22の前端面の内側部分に溶接により接合されている。ダッシュクロスメンバロア15の後側壁面15bはフロアサイドメンバ22の前端面の外側部分に溶接により接合されている。すなわち、ダッシュクロスメンバロア15、フロアサイドメンバ22及びフロントメンバリヤ50の3つの部材はその端面及び側壁面同士が図に示す溶接部分において溶接され、互いに接合されている。
【0027】
上記のように構成されたフレーム構造1では、前部から入力される衝撃力は、フロントバンパービーム42により左右に振り分けられ、クラッシュボックス39の変形で吸収されるとともにフロントサイドメンバ36に伝達される。フロントサイドメンバ36に入力された衝撃力はフロントサイドメンバアッパ31及びフロントサイドメンバロア34に振り分けられて分散して伝達されるとともにフロントメンバリヤ50を介してフロアサイドメンバ22に伝達される。このとき一体成形の押し出し材で構成されるフロントメンバリヤ50の座屈変形によって衝撃エネルギーが吸収される。
【0028】
本実施形態にかかる車体フレーム構造1は以下に掲げる効果を奏する。すなわち、フロントサイドメンバアッパ31からフロアサイドメンバ22及びダッシュクロスメンバロア15に接続されるフロントメンバリヤ50によりフロントフレーム部30とフロアフレーム部20とを繋ぎ、前方からの衝撃力をフロアフレーム部20に伝達することができるため、衝撃力の吸収効率が向上する。フロントメンバリヤ50、フロアサイドメンバ22、及びダッシュクロスメンバロア15を互いに側壁面及び端面で溶接したことにより衝突エネルギーを効率よく分散することができる。
【0029】
また、フロントメンバリヤ50はフロントサイドメンバ36の延長線上に延びる水平前部51を備え、一定の閉断面が連続して続き、フロアサイドメンバ22に接続されるように構成されているため、効率よく力を伝達することができる。フロアフレーム部20、フロントフレーム部30及びフロントメンバリヤ50を一定の閉断面形状が連続するアルミ製の押出成形品で構成したため、高い強度を確保しつつ軽量化することができるとともに、衝突時には前方から後方に順に軸圧潰して変形するため、車室を大きく変形させることなく高い衝撃吸収量を確保することができる。
【0030】
アッパフレームとフロントサイドメンバの機能を持つフロントサイドメンバアッパ31を前輪Wの中心軸Cよりも上方に設け、シャシメンバとフロントサイドメンバの機能を持つフロントサイドメンバロア34を内側に設けたことにより、フロントサイドメンバ36が前輪Wの中心領域とエンジン及びトランスミッションとの間を通らないようなレイアウトにすることができる。したがって、アッパフレームやシャシメンバに加えて前輪Wの中心軸Cの高さに横断面積の大きいフロントサイドメンバを車輌前後方向に延びるように配して強度を確保するフレーム構造と比較して、前輪Wの最大操舵時の切れ角を大きく設定することができる。また、結合部35をY字状とし、車幅方向に断面中心線がずれているフロントサイドメンバアッパ31の前端部とフロントサイドメンバロア34の前端部とを結合したため、自動車に要求される衝突時の衝突エネルギー吸収性能を確保することができる。前記フロントメンバリヤ50も前輪Wの最大操舵時の切れ角を確保している。
【0031】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るフレーム構造について図6及び図7を参照して説明する。なお、接続部材以外の構成等については上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
本実施形態にかかるフレーム構造2では、接続部材として、フロントピラーロア12にフロントサイドメンバ36の延長線上においてフロントサイドメンバアッパ31の後部からサイドシル21の前端部に連続するように延出形成された延出部60を備えている。延出部60はフロントピラーロア12に一体に形成され、フロントサイドメンバアッパ31の後部で内側に突出形成されたスプリングハウス32の後端に連続するように配されている。延出部60はフロントサイドメンバアッパ31の下方において、車体内側に入り込むように延出しており、この延出部60の外側には前輪W用の空間Sが確保される。延出部60を有するフロントサイドメンバアッパ31とフロントピラーロア12が接合されることで、フロントサイドメンバアッパ31の下部外側に前輪用の空間を確保した状態で、フロントサイドメンバ36の後端からフェンダーシールドパネル33、スプリングハウス32、及び延出部60を介してサイドシル21までが連続する。
【0033】
このような構成の車体フレーム構造2において、車体前方に入力された衝突力は、矢印で示すように、フロントサイドメンバアッパ31、フロントサイドメンバロア34及び延出部60に分散して伝達される。延出部60に入力された力は矢印で示すようにサイドシル21に伝達される。
【0034】
本実施形態においても上述した第1実施形態にかかるフレーム構造1と同様の効果が得られる。
【0035】
なお本発明を実施するにあたり、格構成部材の具体的な形状や各種フレーム部材の断面形状など本発明の構成要素を発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車体フレーム構造を示す斜視図。
【図2】同車体フレーム構造を示す平面図。
【図3】同車体フレーム構造を示す側面図。
【図4】同実施形態にかかるフロントメンバリヤの接続構造を示す斜視図。
【図5】同実施形態にかかるフロントメンバリヤの接続構造を示す側面図。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる車体フレーム構造を示す斜視図。
【図7】同車体フレーム構造を示す側面図。
【符号の説明】
【0037】
11…フロントピラー、12…フロントピラーロア、13…カウルトップ、
14…ダッシュクロスメンバアッパ、15…ダッシュクロスメンバロア、
15a…内側端面、15b…後側壁面、20…フロアフレーム部、21…サイドシル、
21a…内側壁面、22…フロアサイドメンバ、30…フロントフレーム部、
31…フロントサイドメンバアッパ、31a…内側壁面、32…スプリングハウス、
33…フェンダーシールドパネル、33a…後側壁面、
34…フロントサイドメンバロア、34a…サイド部、35…結合部、
36…フロントメンバ部、50…フロントメンバリヤ、51…水平前部、
51a…前端面、51b…外側壁面、52…斜中間部、53…水平後部、
53a…外側壁面、53b…後端面、60…延出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室下部に配され、車幅方向両端部に配されたフロントピラーロアから車体後方に延びる左右のサイドシルと、前記サイドシルよりも車幅方向内側において車体前後方向に延びる左右のフロアサイドメンバとを有して構成されるフロアフレーム部と、
車室前方に配され、前輪の中心軸より上方に位置し、前記フロントピラーロアより車両前方に延びるアッパメンバ部と、前記前輪の中心軸より下方に位置し、前記フロアフレーム部の前方で車両前方に延びるロアメンバ部と、前記アッパメンバ部と前記ロアメンバ部とがこれらの前方で結合される結合部より車両前方に延びるフロントメンバ部とを有して構成されるフロントフレーム部と、
前記フロントメンバ部の後方において前記アッパメンバ部に固定され、前記アッパメンバ部と前記フロアフレーム部とを接続する接続部材と、を備えたことを特徴とする車体フレーム構造。
【請求項2】
前記接続部材は、前記フロントメンバ部の延長線上の後方において前記アッパメンバ部に固定され、前記アッパメンバ部と前記フロアサイドメンバの前端部とを連結するフロントメンバリヤであることを特徴とする請求項1記載の車体フレーム構造。
【請求項3】
前記フロントメンバリヤは、長手方向に断面形状が連続する押出成形部材であり、前記フロントメンバ部の延長線上後方において車体前後方向に延びる前部と、前記フロアサイドメンバの前端に連続する後部と、前記前部から車幅方向内側下方に向かって斜めに延び前記後部に連続する中間部とを一体に有したことを特徴とする請求項2記載の車体フレーム構造。
【請求項4】
前記フロアフレーム部は、前記左右のフロントピラーロアの下部から車幅方向内側に向かって延びるとともにその車幅方向内側の端面が後方に向かうにつれて車幅内側に向かう斜面を形成するダッシュクロスメンバロアを有し、
前記フロントメンバリヤの前記前部の前端面は前記アッパメンバ部の突出部分の後側壁面に接合され、前記前部の外側壁面は前記アッパメンバ部の後部に接合され、
前記後部の外側壁面は、後方に向かうにつれて車幅内側に向かう斜面を形成し、前記ダッシュクロスメンバロアの前記内側端面に接合され、
前記後部の後端面は前記フロアサイドメンバの前端面の車幅方向内側部分に接合され、
前記ダッシュクロスメンバロアの後側壁面は前記フロアサイドメンバの前端面の車幅方向外側部分に接合されていることを特徴とする請求項3記載の車体フレーム構造。
【請求項5】
前記接続部材は、前記フロントピラーロアと一体に構成され、前記アッパメンバ部と前記サイドシルの前端部とを連結する延出部であることを特徴とする請求項1記載の車体フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−247344(P2008−247344A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94598(P2007−94598)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】