説明

車体下部構造

【課題】側突時のBピラーの倒れに起因するサイドシルのねじれを抑制することが出来る車体下部構造を提供する。
【解決手段】本発明による車体下部構造によれば、Bピラー(10)の下端部が結合されるサイドシル(4)と、サイドシルに結合されるフロアパネル(6)と、フロアパネルの車幅方向中央部で車体前後方向に延びるフロア膨出部(2)と、シート装置(14)の左右脚部(44、46)をフロアパネルより高い位置でそれぞれ固定支持するようにフロア膨出部とサイドシルの車幅方向内方部分とにそれぞれ設けられたフロア膨出部側台座部(41、42)及びサイドシル側台座部(20、40)と、車幅方向に延びてシート装置の左右脚部を互いに連結するシート脚連結部材(48)と、を有し、サイドシル側台座部は、その下方部分がフロアパネルに結合され、その車幅方向外方部分がサイドシルの車幅方向内方部分に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体下部構造に係り、特に、Bピラーの下端部が結合されるサイドシルと、サイドシルに側縁部が結合されるフロアパネルと、フロアパネルの車幅方向中央部で車体前後方向に延びるフロア膨出部と、を有する車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の側面に他車などが衝突する側突時に、Bピラーが内折れしてサイドシルをねじり、フロアパネルをめくり上げ、さらに、Bピラーがくの字に折れ曲がって車室側に突出してしまう、という問題があった。このような問題に対して、従来は、他車などがサイドシルより上方でBピラーに衝突することが多い事実に基づいて、Bピラーを補強するようにしていた。或いは、側突荷重を受け止めるように、Bピラーの基部近傍のサイドシル内方のフロアパネルに、シート支持部を兼用する車幅方向に延びるクロスメンバを設けていた。
また、特許文献1に記載の車両によれば、前席シートレール脚部を載置するようにサイドシルに結合された箱状部材(11B)を設けることが開示されており、この構造によれば、サイドシルを補強して、側突荷重を支えることが出来ると考えられる。
【0003】
【特許文献1】EP1382514B1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、Bピラーの基部近傍のサイドシル内方のフロアパネルにクロスメンバを設ける手法では、側突荷重を大きく受け止めることが出来ないことが、本発明者らのCAE解析によって明らかになった。さらに、サイドシルに結合された箱状部材(11B)を設けることによっても、側突荷重を十分に支えきれるものではなく、サイドシルがねじれてしまうことが明らかになった。従って、従来は、Bピラーが車室側に突出してしまい、乗員を損傷させてしまう恐れがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、側突時のBピラーの倒れに起因するサイドシルのねじれを抑制することが出来る車体下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明によれば、Bピラーの下端部が結合され車体の側部を車体前後方向に延びるサイドシルと、このサイドシルの車幅方向内方側部にその側縁部が結合されるフロアパネルと、このフロアパネルの車幅方向中央部で上方に膨出して車体前後方向に延びるフロア膨出部と、を有する車体下部構造であって、シート装置の左右脚部をフロアパネルより高い位置でそれぞれ固定支持するように、フロア膨出部とサイドシルの車幅方向内方部分とにそれぞれ設けられたフロア膨出部側台座部及びサイドシル側台座部と、車幅方向に延びてシート装置の左右脚部を互いに連結するシート脚連結部材と、を有し、サイドシル側台座部は、その下方部分がフロアパネルに結合され、その車幅方向外方部分がサイドシルの車幅方向内方部分に結合されていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、側突時、Bピラーに加わる側突荷重をサイドシルに取り付けられたサイドシル側台座部及びフロアパネルより高い位置に配置されるシート脚連結部材で受け止め、さらにフロア膨出部で受け止めることが出来る。従来の構造では、側突時に、Bピラーが内方に向けて倒れ、それに起因して、サイドシルがBピラーによりねじられる。そして、Bピラー近傍のフロアパネルがめくりあげられるように変形し、続いて、サイドシルが内方に向けて折れるように変形して車室内に食い込むように車体が変形していた。このような場合、従来は、サイドシルとフロア膨出部とを連結するクロスメンバでしか、側突時の荷重を受け止められなかった。これに対し、本発明では、サイドシルにサイドシル側台座部が結合されているので、側突時におけるBピラーの内倒れ及びサイドシルのねじれを抑制することが出来る。そして、シート脚連結部材が荷重伝達部材となり、荷重をフロア膨出部でも受け止めることが出来るのである。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、サイドシル側台座部は、Bピラーの下端部近傍でサイドシルの車幅方向内方側部及びフロアパネルの両方に結合されて閉断面を構成し所定の長さで車体前後方向に延びると共にその前端部及び後端部が閉塞されたボックス部として形成されている。
このように構成された本発明においては、側突時にサイドシルのねじれ変形をボックス部により前後に広い範囲で抑制することが出来、そのボックス部の変形もシート脚連結部材で抑制することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、さらに、ボックス部の前部とフロア膨出部とを車幅方向に延びて連結するクロスメンバを有し、シート脚連結部材は、ボックス部の後部とフロア膨出部とを車幅方向に延びて連結する。
このように構成された本発明においては、ボックス部がその前部及び後部の両方で支持されるので、より効果的にボックス部及びサイドシルの変形を抑制することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、シート装置の脚部は、シート本体を摺動可能に支持するレール部を左右それぞれに有し、シート脚連結部材は、左右のレール部を互いに連結し、また、このシート脚連結部材は屈曲してその中央部のフロアパネルとの距離が左右両端部のフロアパネルとの距離より大きくなっている。
このように構成された本発明においては、ボックス部及びサイドシルの変形をシート脚連結部材で効果的に抑制しつつ、後席の乗員の前席下部への足入れ性を確保することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、側突時のBピラーの倒れに起因するサイドシルのねじれを抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の実施形態による車体下部構造の構造を説明する。
図1は、本発明の実施形態による車体下部構造を上方から見た平面図であり、図2は、本発明の実施形態による車体下部構造を前方且つ斜め上方から見た斜視図であり、図3は、本発明の実施形態による車体下部構造を後方且つ斜め上方から見た斜視図である。
先ず、図1に示すように、車体1は、車幅方向の中央部で上方に膨出し、車体前後方向に延びるフロアトンネル2と、車体側部で閉断面を構成して車体前後方向に延びるサイドシル4と、このサイドシル4とフロアトンネル2との間で平面状に延びるフロアパネル6と、このフロアパネル6の前方に結合されると共に斜め上方に延びるフロアキックアップ部8とを有する。
【0013】
フロアパネル6は、フロアトンネル2と一体成型された鋼板からなり、その外方の側縁部がサイドシル4に結合されている。
また、車体1は、車体の側部で車体上下方向に延び、その下端部がサイドシル4に結合されるBピラー10を有する。また、Bピラー10の前方側には、フロアパネル6とフロアキックアップ部8との境界部付近且つサイドシル4の前端部から斜め上方に延びるAピラー11を有する。
【0014】
ここで、図2及び図3に示すように、サイドシル4は、サイドシルアウタパネル4aと、サイドシルインナパネル4bと、サイドシルレインフォースメント4cとで構成され、サイドシルアウタパネル4a及びサイドシルインナパネル4bにより閉断面が形成されている。
Bピラー10は、Bピラーアウタパネル10a及びBピラーインナパネル10bを有し、Bピラーアウタパネル10aとBピラーインナパネル10bとで閉断面が形成されている。
【0015】
また、図2に示すように、フロアパネル6の下部には、車体下方から上方に向けて開放した断面ハット状の補強部材であるフロアフレーム(Bフレーム)12が結合されており、このフロアフレーム12は車体前後方向に延びている。
また、図3に示すように、フロアトンネル2は、車体上方に向けて膨出しており、トンネルレインフォースメント2a(図3及び図4参照)により補強されている。
フロアトンネル2とサイドシルとの間には、前席シート14が配置される。
【0016】
次に、図1乃至図3に示すように、Bピラー10の下端部近傍には、閉断面を構成し所定の長さで車体前後方向に延びるボックス部20が設けられている。図2乃至図4に示すように、このボックス部20は、断面L字状の部材であり、そのL字の一方の側縁部の折り返し片20aが、サイドシル4のサイドシルインナパネル4bの車幅方向内方部分に結合され、L字の他方の側縁部の折り返し片20bが、フロアパネル6に結合されている。これらのように結合された、ボックス部20のL字状の部分と、サイドシル4と、フロアパネル6とにより閉断面が形成されている(図4参照)。
そして、図1乃至図3に示すように、ボックス部20は、断面L字状の1辺に相当して平面状に延びる上面部21と、断面L字状の他の1辺に相当して平面状に延びる側面部22とを有する。
【0017】
さらに、図2に示すように、ボックス部20は、その前端部が同じボックス部20の連続した板状部材で閉塞されており、前面部23を構成している。この前面部23は、折り返し片20c、20dによりサイドシル4及びフロアパネル6に結合されている。また、図3に示すように、その後端部が同じボックス部20の連続した板状部材で閉塞されており、後面部24を構成している。この後面部24は、折り返し片20e、20fによりサイドシル4及びフロアパネル6に結合されている。
【0018】
次に、図1乃至図3に示すように、ボックス部20の前端部と、フロアトンネル2との間には、車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ30が設けられている。このNo.2クロスメンバ30は、フロアパネル6の上方から断面コ字状の部材が結合されて閉断面を形成されたものである。その車幅方向外方端部は、フランジ片30aにより主にボックス部20の側面部22に結合されている。また、その車幅方向内方端部も、同様にフランジ片30bによりフロアトンネル2に結合されている。このようなNo.2クロスメンバ30及びボックス部20により、サイドシル4の捩れを抑制する効果を得ることが出来る。
【0019】
ここで、No.2クロスメンバ30の車幅方向外方端部をサイドシル4に直接結合し、ボックス部20の前端部をNo.2クロスメンバ30の後面部に結合する構造にしても良いが、本実施形態のように、No.2クロスメンバ30の車幅方向外方端部をボックス部20の側面部22に結合した方が、ボックス部20が少なくともNo.2クロスメンバ30の前後幅分は前方に長く形成することが出来るので、その分、サイドシル4の捩れを抑制する効果を大きくすることが出来る。
No.2クロスメンバ30の後方には、同じくフロアパネル6の上方から断面コ字状の部材が結合されて閉断面を形成したNo.3クロスメンバ32が設けられている。
【0020】
次に、図1及び図3に示すように、ボックス部20の後端部には、サイドシル側シートレールブラケット40が設けられている。また、サイドシル側シートレールブラケット40に対応して、その車幅方向の内方において車体前後方向の同じ位置に、フロアトンネル側シートレール台座部41及びフロアトンネル側シートレールブラケット42が設けられている。
【0021】
図1乃至図3に示すように、No.2クロスメンバ30には、シート14の車外側の脚部となる車外側シートレール44の前端部が、そのNo.2クロスメンバ30の車幅方向外方端部に固定されている。また、シート14の車内側の脚部となる車内側シートレール46の前端部が、そのNo.2クロスメンバ30の車幅方向内方端部に固定されている。
【0022】
車外側シートレール44の後端部は、サイドシル側シートレールブラケット40に固定されている。車内側シートレール46の後端部は、フロアトンネル側シートレールブラケット42に固定されている。各シートレール44、46の後端部は、連結パイプ48により、車幅方向に連結されている。各シートレール44、46の前端部は、No.2クロスメンバ30により車幅方向に連結されることになる。このような連結パイプ48及びボックス部20により、サイドシル4の捩れを抑制する効果を得ることが出来る。
【0023】
ここで、図4乃至図6により、各シートレールブラケット40、42の構成を説明する。図4は、本発明の実施形態による車体下部構造を車体後方から見た一部断面背面図であり、図5は、本発明の実施形態によるサイドシル側シートレールブラケット、車外側シートレール及び連結パイプの構成を示す斜視図であり、図6は、サイドシル側シートレールブラケットを拡大して示す斜視図である。
先ず、図4に示すように、フロアトンネル側シートレールブラケット42は、フロアトンネル2の側方に設けられ、このシートブラケット42は、フロアパネル6より上方で、L字状の部材がフロアトンネル2に結合されて閉断面を形成するフロアトンネル側シートレール台座部41の上面に固定されている。この台座部41の上に、車内側シートレール46の後端部が、ブラケット42を介して固定されている。
【0024】
次に、図4及び図5に示すように、サイドシル側シートレールブラケット40は、サイドシル側のシートレール44の台座部となるボックス部20の後端部の上面に固定されており、この固定された部分が車幅方向内方に向けてフランジ部40aが延びている。このフランジ部40aはフロアパネル6より上方に位置している。このフランジ部40aの上方に、車外側シートレール44の後端部が、リベット又はボルト・ナット(図示せず)により固定されている。図6に示すように、サイドシル側シートレールブラケット40は、上方に向けて開口した断面コ字状部40bとフランジ部40aで構成される部分と、このコ字状部分に上方から補強部材である断面コ字状部材40cが結合されて補強されている。
【0025】
次に、図4及び図5に示すように、各シートレール44、46は、それぞれ、アッパレール(アッパスライダ)44a、46b、ロアレール44b、46bとで構成されている。そして、車外側シートレール44のロアレール44bの後端部における内方側の側面と、車内側シートレール46のロアレール46bの後端部における外方側の側面とには、それぞれ、上述した連結パイプ48がアーク溶接により結合されている。このように、ボックス部20の後端部と、フロアトンネル2とは、各ブラケット40、42、各シートレール44、46を介して、車幅方向に連結されることになる。
【0026】
また、連結パイプ48は、図1で分かるように、その車幅方向中央部が前方に向けて曲げられ、且つ、図4で分かるように、その車幅方向中央部が上方に向けて曲げられている。このようにして、後席(図示せず)の乗員の足先を前席14の下方に入れ易くしている。なお、連結パイプ48の車幅方向中央部は、前方に向けて曲げられるか、或いは、上方に向けて曲げられるかのいずれかであっても良い。
【0027】
次に、本発明の実施形態の作用効果を説明する。
本発明の実施形態によれば、Bピラー10の下端部近傍でサイドシル4の車幅方向内方部分及びフロアパネル6の両方に結合されて閉断面を構成し所定の長さで車体前後方向に延びると共にその前端部及び後端部が閉塞されたボックス部20が設けられている。そして、フロアパネル6の上面部に結合され、ボックス部20の前端部とフロアトンネル(フロア膨出部)2とを連結するように車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ30と、ボックス部20の後端部とフロアトンネル2とを連結するように車幅方向に延びる連結パイプ48とを有する。
【0028】
このような構成によれば、側突時、Bピラー10に加わる側突荷重をサイドシル4に取り付けられたボックス部20で受け止め、このボックス部20に加わった荷重をNo.2クロスメンバ30及び連結パイプ48を介してフロアトンネル2で受け止めることが出来る。
【0029】
ここで、従来の構造による側突時の車体の変形について説明する。先ず、側突時には、Bピラー10が内方に向けて倒れ、それに起因して、サイドシル4がBピラー10によりねじられる。そして、Bピラー10近傍のフロアパネル6がめくりあげられるように変形し、続いて、サイドシル4が内方に向けて折れるように変形して車室内に食い込むように車体が変形することがCAE解析により明らかとなっている。このような場合、従来は、サイドシル4とフロアトンネル2とを連結するクロスメンバでしか、側突時の荷重を受け止められなかった。
【0030】
これに対し、本発明においては、サイドシル4にボックス部20が結合されているので、側突時におけるBピラー10の内倒れ及びサイドシル4のねじれを抑制することが出来る。さらに、側突時の衝突荷重をNo.2クロスメンバ30及び連結パイプ48に分散させることが出来る。即ち、No.2クロスメンバ30及び連結パイプ48がそれぞれ荷重伝達部材となり、荷重をフロアトンネル2でも受け止めることが出来るのである。
【0031】
次に、ボックス部20は、その車幅方向外方縁部がサイドシル4のサイドシルインナパネル4bに結合される上面部21と、この上面部21の車幅方向内方縁部から下方に延びてその下縁部がフロアパネル6に結合される側面部22とを有し、No.2クロスメンバ30(第1の荷重伝達部材)は、断面ハット状部材がフロアパネル6の上面部に結合されて車幅方向に延びる閉断面を形成し、その車幅方向外方端部がボックス部20の側面部22に結合されている。
これに対し従来は、No.2クロスメンバはサイドシルに直接結合されていた。一方、本発明の実施形態によれば、No.2クロスメンバ30の車幅方向外方端部がボックス部20に結合されている。これにより、側突時にボックス部20及びNo.2クロスメンバ30が協働してサイドシル4のねじれを抑制することが出来る。
【0032】
次に、ボックス部20の上面部21には、前席シート14の左右一方のシートレール(脚部)44が取り付けられ、フロアトンネル2には、前席シート14の左右他方のシートレール(脚部)46が取り付けられ、管状部材である連結パイプ48(第2の荷重伝達部材)が、前席シート14の左右のシートレール(脚部)44、46を互いに連結している。
このような構成によれば、シートレール44、46を利用して、フロアパネル6より上方の高い位置で荷重伝達部材或いはクロスメンバの役割を果たす連結パイプ48を設けることが出来る。このような連結パイプ48によれば、側突時のボックス部20のねじり変形を抑制することが出来る。また、断面コ字状の部材をフロアパネル6の上方に結合してクロスメンバを設けるのではなく、シートレール44、46及び連結パイプ48により、ボックス部20に加わる荷重を受け止めてその変形を抑制することが出来る。そして、連結パイプ48は、その車幅方向中央部が上方及び前方に向くように屈曲しているので、後席の乗員の前席下部への足入れ性を確保することが出来る。
【0033】
次に、本発明の実施形態によれば、前席シート14の左右シートレール(脚部)44、46をフロアパン6より高い位置でそれぞれ固定支持するように、フロアトンネル2に設けられたフロアトンネル側シートレール台座部41及びフロアトンネル側シートレールブラケット42と、サイドシル4の車幅方向内方部分に設けられたボックス部20(サイドシル側台座部)及びサイドシル側シートレールブラケット40と、車幅方向に延びて前席シート14の左右脚部44、46を互いに連結する連結パイプ(シート脚連結部材)48と、を有し、ボックス部(サイドシル側台座部)20は、その下方部分がフロアパネル6に結合され、その車幅方向外方部分がサイドシル4の車幅方向内方部分に結合されている。
【0034】
このような構成によれば、側突時、Bピラー10に加わる側突荷重をサイドシル4に取り付けられたボックス部(サイドシル側台座部)20及びフロアパネル6より高い位置に配置される連結パイプ(シート脚連結部材)48で受け止め、このボックス部20に加わった荷重をNo.2クロスメンバ30及び連結パイプ48を介してフロアトンネル2で受け止めることが出来る。
また、シートレールブラケット40の断面コ字状部40bが、サイドシルインナパネル40bと、シートレール44の車外側との間を埋めるため、側突荷重を断面コ字状部40bを介して効果的に連結パイプ48に伝達できる。
【0035】
そして、サイドシル4に、シートレール44を支持するボックス部(サイドシル側台座部)20が結合されているので、側突時におけるBピラー10の内倒れ及びサイドシル4のねじれを抑制することが出来る。さらに、側突時の衝突荷重を連結パイプ48に分散させることが出来る。即ち、連結パイプ48がそれぞれ荷重伝達部材となり、荷重をフロアトンネル2でも受け止めることが出来るのである。
【0036】
次に、サイドシル側台座部となるボックス部20は、Bピラー10の下端部近傍でサイドシル4の車幅方向内方側部及びフロアパネル6の両方に結合されて閉断面を構成し所定の長さで車体前後方向に延びると共にその前端部及び後端部が閉塞されている。
従って、側突時にサイドシル4のねじれ変形をボックス部20により前後に広い範囲で抑制することが出来、そのボックス部20の変形も連結パイプ48で抑制することが出来る。
【0037】
次に、ボックス部20の前部とフロアトンネル2とを車幅方向に延びて連結するNo.2クロスメンバ30が設けられ、連結パイプ(シート脚連結部材)48は、ボックス部20の後部とフロアトンネル2とを車幅方向に延びて連結するので、ボックス部20はその前端部及び後端部の両方で支持されるので、より効果的にボックス部20及びサイドシル4の変形を抑制することが出来る。
【0038】
次い、前席シート14のシートレール(脚部)44、46は、シート本体を摺動可能に支持し、連結パイプ(シート脚連結部材)48は、左右のシートレール44、46を互いに連結し、また、この連結パイプ48は屈曲してその中央部のフロアパネル6との距離が左右両端部のフロアパネル6との距離より大きくなっている。従って、ボックス部20及びサイドシル4の変形を連結パイプ(シート脚連結部材)48で効果的に抑制しつつ、後席の乗員の前席下部への足入れ性を確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態による車体下部構造を上方から見た平面図である。
【図2】本発明の実施形態による車体下部構造を前方且つ斜め上方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による車体下部構造を後方且つ斜め上方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による車体下部構造を車体後方から見た一部断面背面図である。
【図5】本発明の実施形態によるサイドシル側シートレールブラケット、車外側シートレール及び連結パイプの構成を示す斜視図である。
【図6】サイドシル側シートレールブラケットを拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
2 フロアトンネル
4 サイドシル
6 フロアパネル
10 Bピラー
14 前席シート
20 ボックス部
21 ボックス部の上面部
22 ボックス部の側面部
30 No.2クロスメンバ
40 サイドシル側シートレールブラケット
41 フロアトンネル側シートレール台座部
42 フロアトンネル側シートレールブラケット
44 車外側シートレール
46 車内側シートレール
48 連結パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bピラーと、このBピラーの下端部が結合され車体の側部を車体前後方向に延びるサイドシルと、このサイドシルの車幅方向内方側部にその側縁部が結合されるフロアパネルと、このフロアパネルの車幅方向中央部で上方に膨出して車体前後方向に延びるフロア膨出部と、を有する車体下部構造であって、
シート装置の左右脚部を上記フロアパネルより高い位置でそれぞれ固定支持するように、上記フロア膨出部と上記サイドシルの車幅方向内方部分とにそれぞれ設けられたフロア膨出部側台座部及びサイドシル側台座部と、
車幅方向に延びて上記シート装置の左右脚部を互いに連結するシート脚連結部材と、を有し、
上記サイドシル側台座部は、その下方部分が上記フロアパネルに結合され、その車幅方向外方部分が上記サイドシルの車幅方向内方部分に結合されていることを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
上記サイドシル側台座部は、上記Bピラーの下端部近傍で上記サイドシルの車幅方向内方側部及び上記フロアパネルの両方に結合されて閉断面を構成し所定の長さで車体前後方向に延びると共にその前端部及び後端部が閉塞されたボックス部として形成されている請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
さらに、上記ボックス部の前部と上記フロア膨出部とを車幅方向に延びて連結するクロスメンバを有し、
上記シート脚連結部材は、上記ボックス部の後部と上記フロア膨出部とを車幅方向に延びて連結する請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
上記シート装置の脚部は、シート本体を摺動可能に支持するレール部を左右それぞれに有し、
上記シート脚連結部材は、上記左右のレール部を互いに連結し、また、このシート脚連結部材は屈曲してその中央部の上記フロアパネルとの距離が左右両端部の上記フロアパネルとの距離より大きくなっている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車体下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−78685(P2009−78685A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249186(P2007−249186)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】