説明

車体側部構造および車体側部の荷重分散方法

【課題】 衝突初期の段階で上下方向骨格部材に圧縮と引張りの相反する2つの内力を同時に発生させることにより、より理想的なモードコントロールおよび強度特性を実現できる車体側部構造の提供を図る。
【解決手段】 荷重入力部Iと荷重支持基部Bとを連結する内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21を設け、センターピラー3に側面衝突荷重Fが車幅方向に作用した際に、このセンターピラー3の長手方向に対して、衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力fcを発生させるとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力ftを発生させる荷重入力変換手段K1を設けることにより、センターピラー3に圧縮と引張りの相反する2つの内力を同時に発生させて、衝突初期の荷重の早期立ち上がりと衝突後半の強度確保を両立し、より理想的なモードコントロールおよび強度特性を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部構造および車体側部の荷重分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の側面衝突に対応させた車体構造としては、センターピラー等の上下方向骨格部材の全周を閉断面構造化するとともに、そのピラー部材の下方に積極的に強度不連続部を設け、側面衝突時において同部位で的確に内側に折れ曲がるように変形させることにより、ピラー部材の中央部分と上方部分での局部的な折れ曲がりを防止し、ピラー部材を略均一に内側に変位させるとともに、その内側への変形量を比較的少なくするようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−72740号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来の車体構造では、ピラー部材に設けた強度不連続部で折れ曲がりが起きてからそのピラー部材に引張り力が作用するためには、ピラー部材がある程度車室内に進入する必要があり、その間、車体の側面強度が低下する傾向にあるために衝突初期において大幅な強度向上を期待することが困難となる。
【0004】
近年にあっては、車両のサイズや形状の多様化により一層の安全性の向上が望まれており、また、環境への影響に対する懸念から車両軽量化についても要求度合いが高まり、この点からも側面衝突時のピラー部材の車室内方への進入モードコントロールと車体強度の向上を、より合理的にして高いレベルで達成することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、衝突初期の段階で上下方向骨格部材に圧縮と引張りの相反する2つの内力を同時に発生させることにより、より理想的なモードコントロールおよび強度特性を実現できる車体側部構造および車体側部の荷重分散方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車体側部構造は、車体上部の車幅方向両側に車両前後方向に延在する上部前後方向骨格部材と、車体下部の車幅方向両側に車両前後方向に延在する下部前後方向骨格部材と、これら上部前後方向骨格部材と下部前後方向骨格部材とを上下方向に連結する上下方向骨格部材と、を備えており、上記上下方向骨格部材に側面衝突荷重が車幅方向に作用した際に、この上下方向骨格部材の長手方向に対して、衝突荷重の入力点から上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重の入力点から下方に引張り力を発生させる荷重入力変換手段を設けたことを最も主要な特徴とする。
【0007】
また、本発明の車体側部の荷重分散方法は、上部前後方向骨格部材と下部前後方向骨格部材とを上下方向に連結する上下方向骨格部材に側面衝突荷重が車幅方向に作用した際に、この上下方向骨格部材の長手方向に対して、衝突荷重の入力点から上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重の入力点から下方に引張り力を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車体側部構造および車体側部の荷重分散方法によれば、側面衝突荷重が上下方向骨格部材に入力されると、この上下方向骨格部材にはその上・下端部は上部前後方向骨格部材と下部前後方向骨格部材とに支持された状態で、長手方向の中間部に衝突荷重を受けて、その衝突荷重の入力点から上方に圧縮力が発生されるとともに、その衝突荷重の入力点から下方に引張り力が発生される。
【0009】
このため、1つの上下方向骨格部材に圧縮と引張りの相反する2つの内力を同時に発生させることが可能となり、衝突初期の荷重の早期立ち上がりと衝突後半の強度確保の両立が可能なって、より理想的なモードコントロールおよび強度特性を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図6は本発明にかかる車体側部構造の第1実施形態を示し、図1は車体の骨格構造を示す斜視図、図2は車体左側を横断した背面断面図、図3は要部構造を示す分解斜視図、図4は側面衝突時の作用を示す車体左側の背面断面図、図5は本実施形態における上下方向骨格部材に作用する内力を示すグラフ、図6は従来における側面衝突時の上下方向骨格部材の変形状態を(a),(b)の場合で示す説明図である。
【0012】
本実施形態の車体側部構造は、図1に示すように車体上部に配置したルーフ部Rの車幅方向両側に車体前後方向に延在する上部前後方向骨格部材としての左,右一対のルーフサイドレール1と、車体下部に配置したフロア部FLの車幅方向両側に車体前後方向に延在する下部前後方向骨格部材としての左,右一対のサイドシル2と、これら上下に対向する前記ルーフサイドレール1と前記サイドシル2とを上下方向に連結する上下方向骨格部材としてのセンタピラー3と、を備えている。
【0013】
また、前記ルーフサイドレール1と前記サイドシル2との間には、センタピラー3の車体前方に所定間隔をおいてフロントピラー4が配置されるとともに、センタピラー3の車体後方に所定間隔をおいてリアピラー5が配置され、これらセンターピラー3、フロントピラー4、リアピラー5および上記ルーフサイドレール1、サイドシル2はそれぞれ断面矩形状の閉断面に形成される。
【0014】
更に、前記左右一対のサイドシル2間にはフロアパネル6が敷設され、このフロアパネル6の車幅方向中央部に前後方向に形成したトンネル部7とサイドシル2との間には車幅方向骨格部材としてのクロスメンバ8が設けられる。
【0015】
前記センタピラー3は、図2に示すように全体的に車体外方に湾曲しており、その長手方向(上下方向)の略下半部の上下2箇所に所定間隔をおいて一対の上・下ヒンジ10a,10bが設けられ、これら上・下ヒンジ10a,10bにリアドア10が開閉自在に取り付けられ、このリアドア10によってルーフサイドレール1とサイドシル2とセンターピラー3とリアピラー5とで形成されるリア開口部11を開閉するようになっている。
【0016】
また、ルーフサイドレール1とサイドシル2とセンターピラー3とフロントピラー4とで形成されるフロント開口部12は、フロントピラー4に取り付けられる図外のフロントドアによって開閉される。
【0017】
ここで、本実施形態では図2に示すように、車両等の衝突対象物mから前記センターピラー3に側面衝突荷重Fが車幅方向に作用した際に、このセンターピラー3の長手方向に対して、衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力fcを発生させるとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力ftを発生させる荷重入力変換手段K1を設けてある。
【0018】
また、本実施形態の車体側部の荷重分散方法では、ルーフサイドレール1とサイドシル2とを上下方向に連結するセンターピラー3に側面衝突荷重Fが車幅方向に作用した際に、このセンターピラー3の長手方向に対して、衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力を発生させるようになっている。
【0019】
前記荷重入力変換手段K1は、荷重入力部Iをセンターピラー3の閉断面の車幅方向外方に配置するとともに、荷重支持基部Bをセンターピラー3の閉断面の車幅方向内方面に配置し、かつ、その荷重支持基部Bを前記荷重入力部Iに対して上方にオフセット配置(オフセット量L1)して、これら荷重入力部Iと荷重支持基部Bとを連結する第1荷重伝達部材としての内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21を設けてある。
【0020】
内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21は、図3に示すようにアルミニウム等の軽合金により押出し成形され、内方バルクヘッド20は、センターピラー3のアウタパネル3aとインナパネル3b間に形成される閉断面内に配置されるとともに、外方バルクヘッド21は、閉断面のセンターピラー3の車幅方向外方面となるアウタピラー3aの外側に結合されるとともに、この外方バルクヘッド21を前記内方バルクヘッド20に結合してある。
【0021】
即ち、上記内方バルクヘッド20は、図3に示すように車幅方向両端に内・外端面20a,20bを備え、これら両端面20a,20bの上下方向両端部間に側壁20c,20dを設けてあるとともに、これら側壁20c,20dの内方に補強壁20e,20fを設けてある。
【0022】
また、前記外方バルクヘッド21は、内方バルクヘッド20と同様に内・外端面21a,21bを車幅方向両端に備え、これら両端面21a,21bの上下方向両端部間に側壁21c,21dと補強壁21e,21fとを設けてある。
【0023】
従って、前記内方バルクヘッド20の内端面20aが前記荷重支持基部Bに相当し、かつ、外方バルクヘッド21の外端面21bが前記荷重入力部Iに相当する。
【0024】
前記内方バルクヘッド20および前記外方バルクヘッド21は、センターピラー3に設けた前記一対の上・下ヒンジ10a,10bの間に配置し、また、外方バルクヘッド21は、その車幅方向外側を後方に向かって断面を漸減させてある。
【0025】
そして、これら内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とを、図3に示すように閉断面のセンターピラー3のアウタパネル3aを挟んで対向対置し、それら内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とをそれぞれ連続させてある。
【0026】
また、前記内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21に、前記リアドア10(図2参照)や図外のフロントドアなどのドアまわりのハーネスを配索するための空間部22,23を形成するとともに、センターピラー3に形成されるハーネス貫通穴3cをそれら内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21の近傍に形成してある。
【0027】
このようにしてセンターピラー3のアウタパネル3aを挟んで対向配置した内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とは、ボルト24により結合するとともに、内方バルクヘッド20の内端面20aをセンターピラー3のインナパネル3bにリベット25により結合してある。
【0028】
以上の構成により本実施形態の車体側部構造および車体側部の荷重分散方法によれば、図2に示すように側面衝突荷重Fがセンターピラー3に入力されると、このセンターピラー3にはその上・下端部がルーフサイドレール1とサイドシル2とに支持された状態で、長手方向の中間部に配置される入力点Pに衝突荷重Fを受ける。
【0029】
このとき、内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21は、荷重支持基部Bが荷重入力部Iに対して車幅方向に所定距離をもって上方にオフセットするようにして傾斜しているため、図4に示すように荷重入力部Iと荷重支持基部Bとの間に偶力Mが誘起され、その偶力Mにより荷重支持基部Bは荷重入力部Iに対して相対的に上方に移動しつつ車幅方向内方、つまり車室内方に進入する。
【0030】
従って、センターピラー3には衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力fcが発生するとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力ftが発生する。
【0031】
つまり、従来では図6(a)に示すように、センターピラーaの最大曲率部bが衝突荷重Fの作用点よりも上方にある場合は、センターピラーaの上部と下部には同時に引張り力が作用してしまうとともに、同図(b)に示すように最大曲率部bが衝突荷重Fの作用点位置にある場合は、衝突初期ではセンターピラーaの上部および下部に同時に圧縮力が作用し、その後センターピラーaの車室内方への進入に伴って、上部および下部に同時に引張り力が作用するようになり、いずれも圧縮力と引張り力を共存させることはできない。
【0032】
これに対して、本実施形態ではセンターピラー3に圧縮力fcと引張り力ftの相反する2つの内力を同時に発生させつつ衝突荷重Fを分散することが可能となり、図5に示すように衝突初期の荷重の早期立ち上がりと衝突後半の強度確保の両立が可能となって、より理想的なモードコントロールおよび強度特性を実現できる。
【0033】
従って、車両のサイズや形状の多様化にかかわらず、より一層の安全性の向上が可能となるとともに、車両の軽量化を達成することができ、また、側面衝突時のピラー部材の車室内方への進入モードコントロールと車体強度の向上を、より合理的にして高いレベルで達成することができる。
【0034】
更に、本実施形態では前記作用効果に加えて、荷重入力部Iをセンターピラー3の閉断面の車幅方向外方に配置するとともに、荷重支持基部Bをセンターピラー3の閉断面の車幅方向内方面に配置し、かつ、その荷重支持基部Bを前記荷重入力部Iに対して上方にオフセット(オフセット量L1)配置して、これら荷重入力部Iと荷重支持基部Bとを連結する第1荷重伝達部材としての内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21を設けたので、荷重入力部Iと荷重支持基部Bとの間に確実に偶力を誘起させることができ、この偶力により荷重支持基部Bは荷重入力部Iに対して相対的に上方に移動しつつ車室内側に進入し、これにより入力点Pよりも上方には圧縮力fc、入力点Pよりも下方には引張り力ftをそれぞれ確実に発生させることができる。
【0035】
また、内方バルクヘッド20を、センターピラー3のアウタパネル3aとインナパネル3b間に形成される閉断面内に配置し、外方バルクヘッド21を、閉断面のセンターピラー3のアウタパネル3aの外側に結合するとともに、この外方バルクヘッド21を前記内方バルクヘッド20に結合したので、その結合部分によって内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21との変形を抑制して、より確実に偶力を誘起させることができ、また、外方バルクヘッド21とアウタパネル3aとが結合されることにより、センターピラー3とバルクヘッド20,21との相対移動を防止して、より確実に圧縮力fcと引張り力ftを発生させることができる。
【0036】
更に、内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21は、センターピラー3に設けた一対の上・下ヒンジ10a,10bの間に配置したので、センターピラー3のアウタパネル3aの外側に外方バルクヘッド21を結合した場合にも、リアドア10の開閉基端部で外方バルクヘッド21を覆うことができる。
【0037】
更にまた、前記外方バルクヘッド21を、その車幅方向外側を後方に向かって断面を漸減させたので、リアドア10の開閉時に、その開閉基端部の軌跡に外方バルクヘッド21が干渉するのを防止することができる。
【0038】
また、内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とを、閉断面のセンターピラー3のアウタパネル3aを挟んで対向対置し、それら内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とをそれぞれ連続させたので、荷重入力部Iから荷重支持基部Bへの衝突荷重Fの入力伝達を効率良く行うことができ、ひいては、センターピラー3の入力点Pから上方に圧縮力fcと、入力点Pから下方に引張り力ftをより確実に発生させることができる。
【0039】
更に、内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21に、ドアまわりのハーネスを配索するための空間部22,23を形成するとともに、センターピラー3に形成されるハーネス貫通穴3cをそれら内方バルクヘッド20および外方バルクヘッド21の近傍に形成したので、各バルクヘッド20,21が支障となることなく前記ハーネスを機能的に配索できる。
【0040】
図7〜図9は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図7は車体左側を横断した背面断面図、図8は補強部材の拡大斜視図、図9は図8中A−A線に沿った拡大断面図である。
【0041】
本実施形態の車体側部構造は、図7に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、側面衝突荷重Fが車幅方向に作用した際に、センターピラー3の長手方向に対して、衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力を発生させる荷重入力変換手段K1を設けてあり、荷重入力変換手段K1は、荷重入力部Iをセンターピラー3の閉断面の車幅方向外方に配置するとともに、荷重支持基部Bをセンターピラー3の閉断面の車幅方向内方面に配置し、かつ、その荷重支持基部Bを前記荷重入力部Iに対して上方にオフセット配置して、これら荷重入力部Iと荷重支持基部Bとを内方バルクヘッド20と外方バルクヘッド21とによって連結してある。
【0042】
そして、本実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、荷重入力変換手段K1には、前記内方バルクヘッド20および上記外方バルクヘッド21に加えて、内方バルクヘッド20の内端面20aと、前記サイドシル2の車幅方向外側部分と、を略直線状に連結する補強部材30を設けてある。
【0043】
即ち、前記補強部材30は、図8に示すように全体的に下方がやや広がる扇形に形成され、その下端部30aは、サイドシル2の車幅方向外方面となるアウタパネル2aの内面と、この内面に沿って配設される補強板31との間に挟み込んで結合されるとともに、上端部30bには前記内方バルクヘッド20の内端面20aに沿った取付部30cが形成され、この取付部30cが内方バルクヘッド20の内端面20aとセンターピラー3のインナパネル3bとの間に挟み込んだ状態で、第1実施形態で示したリベット25(図3参照)で共締めしてある。
【0044】
また、前記補強部材30は、図9に示すように衝突荷重の伝達経路に沿って高張力部材としての張力伝達に優れたナノコンポジットワイヤ32を結合してある。
【0045】
勿論、高張力部材はナノコンポジットワイヤ32に限ることなく、張力伝達に優れた素材で長尺状に形成した部材でもよく、本実施形態では補強部材30の車両前後方向両側に沿って上記ナノコンポジットワイヤ31をレーザー溶接により取り付けてある。
【0046】
従って、本実施形態の車体側部構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、内方バルクヘッド20の内端面20aと、サイドシル2の車幅方向外側部分と、を補強部材30によって略直線状に連結したので、その補強部材30を介してセンターピラー3の下部における引張り力ftのサイドシル2への分散効果を促進することができる。
【0047】
また、その引張り力ftが初期状態にあって車幅方向成分を有しているため、同引張り力ftによる車幅方向の車体反力の立ち上がりを早めることができる。
【0048】
更に、本実施形態では補強部材30は、衝突荷重の伝達経路に沿ってナノコンポジットワイヤ32を結合したので、本発明の目的である荷重分散効果や反力の立ち上がりの早期化をより高め、かつ、確実に行うことができる。
【0049】
図10,図11は本発明の第3実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10は内方バルクヘッドと外方バルクヘッドの取付け部分を示す拡大斜視図、図11は内方バルクヘッドの背面斜視図である。
【0050】
本実施形態の車体側部構造は、図10に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、センターピラー3のアウタパネル3aとインナパネル3b間に形成される閉断面内に配置される内方バルクヘッド20と、閉断面のセンターピラー3のアウタパネル3a外側に結合される外方バルクヘッド21と、を備えており、内方バルクヘッド20をアルミニウムなどの軽合金で鋳造するとともに、外方バルクヘッド21を同軽合金で押出し成形してある。
【0051】
ここで、本実施形態では上記内方バルクヘッド20を、図11に示すように車幅方向内側を開口するとともに、車幅方向外側を閉塞してその閉塞端を荷重受け面20gとする一方、外方バルクヘッド20の押し出し方向が車両上下方向となるように押出し成形してある。
【0052】
即ち、前記内方バルクヘッド20は、荷重受け面20gの内側に補強壁20e,20fを配置してあり、また、前記外方バルクヘッド21は、第1実施形態と同様に両端面21a,21bの上下方向両端部間に側壁21c,21dと補強壁21e,21fとが押出し成形されるが、この外方バルクヘッド21の押し出し方向は車両上下方向としてある。
【0053】
従って、本実施形態の車体側部構造によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、外方バルクヘッド21の押し出し方向が車両上下方向となっているため、両端面21a,21bと、側壁21c,21dと、補強壁21e,21fとがそれぞれ車両上下方向に沿って配置されることになり、側面衝突荷重Fによって発生する偶力により外方バルクヘッド21自身が平行四辺形状に断面崩れを生ずることによる機能低下を抑制できるようになり、本発明の目的である荷重分散効果や反力の立ち上がりを安定して行うことができる。
【0054】
また、内方バルクヘッド20を鋳造成形したことにより、各部の肉厚配分の自由度を高めることが可能となり、これにより肉厚分布を最適化して強度確保のための質量投資を抑えることができる。
【0055】
図12〜図15は本発明の第4実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図12は車体左側を横断した背面断面図、図13は側面衝突時の作用を示す車体左側の背面断面図、図14は車体側部の要部を示す分解斜視図、図15は入力側リンク支持部材の取付け状態を示す分解斜視図である。
【0056】
本実施形態の車体側部構造は、図12に示すように基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、衝突対象物mからセンターピラー3に側面衝突荷重Fが車幅方向に作用した際に、このセンターピラー3の長手方向に対して、衝突荷重Fの入力点Pから上方に圧縮力fcを発生させるとともに、その衝突荷重Fの入力点Pから下方に引張り力ftを発生させる荷重入力変換手段K2を設けてある。
【0057】
前記荷重入力変換手段K2は、荷重入力部としての入力側リンク支持部材41をセンターピラー3の閉断面内に配置するとともに、荷重支持基部としての基部側リンク支持部材42を、サイドシル2に車幅方向に連結したクロスメンバ8に配置し、かつ、前記基部側リンク支持部材42を前記入力側リンク支持部材41に対して下方にオフセット配置(オフセット量L2)して、これら基部側リンク支持部材42と入力側リンク支持部材41との間に配設される第2荷重伝達部材としてのリンク部材40を設けてある。
【0058】
前記リンク部材40は、図14に示すように軸方向の圧縮力対して高い剛性を有する所定長さの部材で形成され、その両端部に設けた円筒状取付環40a,40bを上記入力側リンク支持部材41と基部側リンク支持部材42にピンとしてのボルト43,ナット43aにより取り付けることにより、前記リンク部材40によって入力側リンク支持部材41と基部側リンク支持部材42との間をピン連結してある。
【0059】
前記入力側リンク支持部材41は、図15に示すように閉断面のセンターピラー3の内部にアウタパネル3aに沿って補強部材44を設け、この補強部材44に結合するようになっている。
【0060】
入力側リンク支持部材41は、図15に示すように車幅方向内方が開放する箱状に形成され、その車両前後方向両側41a,41bに前記ボルト43の挿通穴41cを形成してあり、前記補強部材44は車幅方向内方が開放する断面U字状に形成され、その底面がリベット25によりセンターピラー3のアウタパネル3aに結合してある。
【0061】
そして、前記リンク部材40の上部に設けた前記円筒状取付環40aを、前記入力側リンク支持部材41の挿通穴41cに一致させて、それらに前記ボルト43を挿通してナット43aで締め付け固定するようになっている。
【0062】
前記基部側リンク支持部材42は、前記クロスメンバ8のシート脚部9aを取付ける位置の車幅方向外方近傍に結合するようになっている。
【0063】
即ち、前記クロスメンバ8には、フロントシート9の後側の左・右側のシート脚部9a,9bが設置され、前記基部側リンク支持部材42は、車幅方向外方に配置される左側のシート脚部9aの車幅方向外方近傍に、前記基部側リンク支持部材42を結合してある。
【0064】
前記基部側リンク支持部材42は、図14に示すように車両前後方向側面42a,42bを、前記クロスメンバ8の幅をもってU字状に折曲して形成され、それら側面42a,42bをそのクロスメンバ8の端部に挟んで溶接などにより結合してある。
【0065】
そして、前記側面42a,42bに形成したボルト挿通穴42cと、前記リンク部材40の下部に設けた前記円筒状取付環40bとを一致させて、それらにボルト43を挿通してナット43aで締め付け固定するようになっている。
【0066】
従って、本実施形態の車体側部構造によれば、側面衝突荷重Fが入力点Pに入力すると、入力側リンク支持部材41と基部側リンク支持部材42との間に偶力が誘起され、これに伴って図13に示すようにリンク部材40は、下部の円筒状取付環40bを中心として上部の円筒状取付環40aが円軌道C上を移動しつつ車幅方向内方に進入するため、センターピラー3の入力点Pから上方に圧縮力fcを発生させるとともに、その入力点Pから下方に引張り力ftを発生させる。
【0067】
また、本実施形態では荷重入力変換手段K2を前記リンク部材40で構成したので、連結部に生ずるモーメントを低減しつつ連結部中腹部での折れ曲がり変形を抑制し、かつ、前記円軌道C上を入力側リンク支持部材41が移動するようにより確実にコントロールすることができる。
【0068】
更に、このようにリンク部材40を用いて入力側リンク支持部材41と基部側リンク支持部材42との間をピン連結したので、車体組み立て工程後に組み付けることが可能となり、本構造の適用自由度が拡大し、更には基部側リンク支持部材42をシート9の後側脚部9aの近傍としてるため、リンク部材40を傾斜させた際の車幅方向スパンを極力大きく確保でき、円軌道C上を移動する際の入力側リンク支持部材41の上下方向変位を増大することができる。
【0069】
更にまた、前記入力側リンク支持部材41は、閉断面のセンターピラー3の内部のアウタパネル3aに沿って補強部材44を設け、この補強部材44に結合するようにしたので、入力側リンク支持部材41のセンターピラー3への結合強度をより高めて、センターピラー3に圧縮力fcおよび引張り力ftを確実に発生させることができる。
【0070】
また、前記基部側リンク支持部材42は、前記クロスメンバ8のシート脚部9aを取付ける位置の車幅方向外方近傍に結合するようにしたので、リンク部材40を支持するためにより合理的に強度を確保して、投資重量を抑えることができる。
【0071】
図16,図17は本発明の第5実施形態を示し、前記第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図16は車体側部の要部を示す分解斜視図、図17は図16中B−B線に沿った拡大断面図である。
【0072】
本実施形態の車体側部構造は、図16に示すように基本的に第4実施形態と略同様の構成となり、前記荷重入力変換手段K2は、入力側リンク支持部材41をセンターピラー3の閉断面内に配置するとともに、基部側リンク支持部材42をサイドシル2に車幅方向に連結したクロスメンバ8に配置し、かつ、前記基部側リンク支持部材42を前記入力側リンク支持部材41に対して下方にオフセット配置して、これら基部側リンク支持部材42と入力側リンク支持部材41との間にリンク部材40を配設してある。
【0073】
そして、本実施形態では前記基部側リンク支持部材42を、これの近傍に配置されるシート脚部9aと一体に形成して前記クロスメンバ8に結合してある。
【0074】
このとき、車幅方向に一対設けた車幅方向外方の前記シート脚部9aと車幅方向内方のシート脚部9bとは、それぞれを共通の連続部分46を介して一体に成形し、その連続部分46を上記クロスメンバ8に結合してある。
【0075】
従って、このように連続部分46を設けることにより、左右のシート脚部9a,9bと共に前記基部側リンク支持部材42がその連続部分46に一体に成形されるようになっている。
【0076】
また、前記リンク部材40は、入力側リンク支持部材41および基部側リンク支持部材42に円筒状取付環40a,40bを介して回動自在に連結してあるが、図17に示すようにその円筒状取付環40a,40bの内周に、樹脂等の摩擦低減素材を用いた滑動カラー47を設けてある。
【0077】
従って、前記滑動カラー47の内周には取付用のボルト43が相対回転自在に挿通されることになる。
【0078】
ところで、一般にはセンターピラー3の下部断面内にシートベルトリトラクタ48が取付けられるが、前記リンク部材40は丁度そのシートベルトリトラクタ48の配置部分の車室内方に配置されており、本実施形態ではそのリンク部材40を、車幅方向内方に凸となる湾曲形状に形成してある。
【0079】
従って、本実施形態の車体側部構造によれば、基部側リンク支持部材42を、これの近傍に配置されるシート脚部9aと一体に形成したので、部品点数の削減が可能となり、より合理的な構造とすることができる。
【0080】
また、車幅方向に一対設けたシート脚部9aとシート脚部9bとを、それぞれを共通の連続部分46を介して一体に成形し、その連続部分46を上記クロスメンバ8に結合したので、連続部分46によってクロスメンバ8を補強することができ、ひいては基部側リンク支持部材42の支持剛性をより高めることができる。
【0081】
更に、前記リンク部材40の円筒状取付環40a,40bの内周に滑動カラー47を設けたので、通常走行時にこの滑動カラー47によって軋み音等の異音発生を抑制することができる。
【0082】
更にまた、リンク部材40を、車幅方向内方に凸となる湾曲形状に形成したので、センターピラー3の下部に配置したシートベルトリトラクタ48にリンク部材40が干渉するのを防止でき、そのセンターピラー3下部近傍の空間を有効に利用して前記リンク部材40を配置できる。
【0083】
図18,図19は本発明の第6実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図18は車体左側を横断した背面断面図、図19は補強部材の拡大斜視図である。
【0084】
本実施形態の車体側部構造は、図18に示すように基本的に第4実施形態と略同様の構成となり、荷重入力変換手段K2は、入力側リンク支持部材41をセンターピラー3の閉断面内に配置するとともに、基部側リンク支持部材42をサイドシル2に車幅方向に連結したクロスメンバ8に配置し、かつ、前記基部側リンク支持部材42を前記入力側リンク支持部材41に対して下方にオフセット配置して、これら基部側リンク支持部材42と入力側リンク支持部材41との間に前記リンク部材40を配設してある。
【0085】
そして、本実施形態では前記荷重入力変換手段K2は、入力側リンク支持部材41の車幅方向内方端と、前記サイドシル2の車幅方向外側部分と、を略直線状に連結する補強部材49を設けてある。
【0086】
補強部材49は、第2実施形態に示す補強部材30(図8参照)と同様に、全体的に下方がやや広がる扇形に形成され、その下端部49aは、サイドシル2の車幅方向外方面となるアウタパネル2aの内面と、この内面に沿って配設される補強板31との間に挟み込んで結合されるとともに、上端部49bには前記入力側リンク支持部材41の内端面に沿った取付部49cが形成され、この取付部49cが入力側リンク支持部材41の内端面とセンターピラー3のインナパネル3bとの間に挟み込んだ状態でリベットで共締めしてある。
【0087】
尚、本実施形態にあっても前記補強部材49の前後両側には、衝突荷重の伝達経路に沿ってナノコンポジットワイヤ等の高張力部材を結合することが望ましい。
【0088】
また、閉断面のセンターピラー3の内部に配置した入力側リンク支持部材41に対応させて、センターピラー3のアウタパネル3aの外側に外方バルクヘッド50を設け、その外方バルクヘッド50の車幅方向外方端部50aを、前記入力側リンク支持部材41に対して下方にオフセット配置してある。
【0089】
従って、本実施形態の車体側部構造によれば、入力側リンク支持部材41の車幅方向内方端と、前記サイドシル2の車幅方向外側部分と、を略直線状に連結する補強部材49を設けたので、第2実施形態と同様にその補強部材49を介してセンターピラー3の下部における引張り力ftのサイドシル2への分散効果を促進することができ、かつ、その引張り力ftが初期状態にあって車幅方向成分を有しているため、同引張り力ftによる車幅方向の車体反力の立ち上がりを早めることができる。
【0090】
また、前記補強部材49の前後両側に、衝突荷重の伝達経路に沿ってナノコンポジットワイヤ等の高張力部材を結合することにより、荷重分散効果や反力の立ち上がりの早期化をより高め、かつ、確実に行うことができる。
【0091】
更に、センターピラー3の内部に配置した入力側リンク支持部材41に対応させて、センターピラー3のアウタパネル3aの外側に外方バルクヘッド50を設け、その外方バルクヘッド50の車幅方向外方端部50aを、前記入力側リンク支持部材41に対して下方にオフセット配置したので、衝突荷重Fの入力により入力側リンク支持部材41に確実に偶力を誘起させることができ、この偶力により入力側リンク支持部材41を上方に移動しつつ車室内側に進入し、これにより入力点Pよりも上方には圧縮力fc、入力点Pよりも下方には引張り力ftをそれぞれ確実に発生させることができる。
【0092】
ところで、本発明は前記第1〜第6実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施形態における車体の骨格構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における車体左側を横断した背面断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における要部構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における側面衝突時の作用を示す車体左側の背面断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における上下方向骨格部材に作用する内力を示すグラフである。
【図6】従来における側面衝突時の上下方向骨格部材の変形状態を(a),(b)の場合で示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態における車体左側を横断した背面断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における補強部材の拡大斜視図である。
【図9】図8中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態における内方バルクヘッドと外方バルクヘッドの取付け部分を示す拡大斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態における内方バルクヘッドの背面斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態における車体左側を横断した背面断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態における側面衝突時の作用を示す車体左側の背面断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態における車体側部の要部を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の第4実施形態における入力側リンク支持部材の取付け状態を示す分解斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態における車体側部の要部を示す分解斜視図である。
【図17】図16中B−B線に沿った拡大断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態における車体左側を横断した背面断面図である。
【図19】本発明の第6における補強部材の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ルーフサイドレール(上部前後方向骨格部材)
2 サイドシル(下部前後方向骨格部材)
3 センターピラー(上下方向骨格部材)
3a アウタパネル
3b インナパネル
3c ハーネス貫通穴
8 クロスメンバ(車幅方向骨格部材)
9 フロントシート
9a,9b シート脚部
10 リアドア
10a,10b ドアヒンジ
20 内方バルクヘッド(第1荷重伝達部材)
21 外方バルクヘッド(第1荷重伝達部材)
22,23 空間部
30 補強部材
31 ナノコンポジットワイヤ(高張力部材)
40 リンク部材(第2荷重伝達部材)
40a,40b 円筒状取付環
41 入力側リンク支持部材
42 基部側リンク支持部材
44 補強部材
46 連続部分
47 滑動カラー
49 補強部材
50 外方バルクヘッド
K1,K2 荷重入力変換手段
F 衝突荷重
P 衝突荷重の入力点
B 荷重支持基部
I 荷重入力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部の車幅方向両側に車両前後方向に延在する上部前後方向骨格部材と、車体下部の車幅方向両側に車両前後方向に延在する下部前後方向骨格部材と、これら上部前後方向骨格部材と下部前後方向骨格部材とを上下方向に連結する上下方向骨格部材と、を備えた車体側部構造において、
前記上下方向骨格部材に側面衝突荷重が車幅方向に作用した際に、この上下方向骨格部材の長手方向に対して、衝突荷重の入力点から上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重の入力点から下方に引張り力を発生させる荷重入力変換手段を設けたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
荷重入力変換手段は、上下方向骨格部材を閉断面に形成し、荷重入力部をその閉断面の車幅方向外方に配置するとともに、荷重支持基部を上記閉断面の車幅方向内方面に配置し、かつ、その荷重支持基部を前記荷重入力部に対して上方にオフセット配置して、これら荷重入力部と荷重支持基部とを連結する第1荷重伝達部材であることを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項3】
第1荷重伝達部材は、上記閉断面内に配置される内方バルクヘッドと、閉断面となった上下方向骨格部材の車幅方向外方面の外側に結合されるとともに、上記内方バルクヘッドに結合される外方バルクヘッドと、で構成したことを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項4】
第1荷重伝達部材は、これを上下方向骨格部材に設けられるドア取付用の上・下ヒンジの間に配置したことを特徴とする請求項2または3に記載の車体側部構造。
【請求項5】
外方バルクヘッドは、その車幅方向外側を後方に向かって断面を漸減させたことを特徴とする請求項3または4に記載の車体側部構造。
【請求項6】
内方バルクヘッドと外方バルクヘッドは、閉断面とした上下方向骨格部材の車幅方向外方面を挟んで対向対置し、それら内方バルクヘッドと外方バルクヘッドとをそれぞれ連続させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項7】
内方バルクヘッドおよび外方バルクヘッドに、ドアまわりのハーネスを配索するための空間部を形成するとともに、上下方向骨格部材に形成されるハーネス貫通穴をそれら内方バルクヘッドおよび外方バルクヘッドの近傍に形成したことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項8】
荷重入力変換手段は、内方バルクヘッドの車幅方向内方端と、前記下部前後方向骨格部材の車幅方向外側部分と、を略直線状に連結する補強部材を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項9】
内方バルクヘッドを鋳造して車幅方向内側を開口するとともに、車幅方向外側を閉塞して荷重受け面とし、かつ、外方バルクヘッドの押し出し方向が車両上下方向となるように押出し成形したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項10】
荷重入力変換手段は、上下方向骨格部材を閉断面に形成し、荷重入力部をその閉断面内に配置するとともに、荷重支持基部を上記下部前後方向骨格部材に車幅方向に連結した車幅方向骨格部材に配置し、かつ、前記荷重支持基部を前記荷重入力部に対して下方にオフセット配置して、これら荷重支持基部と荷重入力部との間に配設される第2荷重伝達部材であることを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項11】
第2荷重伝達部材は、荷重入力部と荷重支持基部との間をピン連結するリンク部材であることを特徴とする請求項10に記載の車体側部構造。
【請求項12】
荷重入力部は、閉断面とした上下方向骨格部材の内部に車幅方向外方面に沿って補強部材を設け、この補強部材に結合した入力側リンク支持部材であることを特徴とする請求項10または11に記載の車体側部構造。
【請求項13】
荷重支持基部は、上記車幅方向骨格部材のシート脚部取付け位置の車幅方向外方近傍に結合した基部側リンク支持部材であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項14】
基部側リンク支持部材は、その近傍に配置されるシート脚部と一体に形成して前記車幅方向骨格部材に結合したことを特徴とする請求項13に記載の車体側部構造。
【請求項15】
車幅方向に複数設けられるシート脚部は、それぞれを共通の連続部分を介して一体に成形し、その連続部分を上記車幅方向骨格部材に結合したことを特徴とする請求項13または14に記載の車体側部構造。
【請求項16】
リンク部材は、荷重入力部および荷重支持基部に回動自在に連結する円筒状取付環を備え、その円筒状取付環の内周には滑動カラーを設けたことを特徴とする請求項11〜15のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項17】
リンク部材は、車幅方向内方に凸となる湾曲形状としたことを特徴とする請求項11〜16のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項18】
荷重入力変換手段は、荷重入力部の車幅方向内方端と、前記下部前後方向骨格部材の車幅方向外側部分と、を略直線状に連結する補強部材を備えたことを特徴とする請求項10〜17のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項19】
補強部材は、衝突荷重の伝達経路に沿って高張力部材を結合したことを特徴とする請求項8または18に記載の車体側部構造。
【請求項20】
閉断面とした上下方向骨格部材の内部に配置した入力側リンク支持部材に対応させて、上下方向骨格部材の車幅方向外方面の外側に外方バルクヘッドを設け、その外方バルクヘッドの車幅方向外方端部を、前記入力側リンク支持部材に対して下方にオフセット配置したことを特徴とする請求項10〜19のいずれか1つに記載の車体側部構造。
【請求項21】
上部前後方向骨格部材と下部前後方向骨格部材とを上下方向に連結する上下方向骨格部材に側面衝突荷重が車幅方向に作用した際に、この上下方向骨格部材の長手方向に対して、衝突荷重の入力点から上方に圧縮力を発生させるとともに、その衝突荷重の入力点から下方に引張り力を発生させることを特徴とする車体側部の荷重分散方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−175889(P2006−175889A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368094(P2004−368094)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】