説明

車載カメラシステム

【課題】 コントラストの大きい状況下でも監視対象をモニタに明確に表示することが可能となる車載カメラシステムを提供する。
【解決手段】 走行車両5には任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラからなる前方監視カメラ1、側方側面監視カメラ2、3、および後方監視カメラ4がマイクロホンと共に搭載される。トンネルの出入り口、夕日(朝日)、夜間のヘッドライトとその周辺、陰日向などのコントラストの非常に差のある被写体(撮像対象)を上記した前方、側方監視カメラ1〜3で認識することにより、車外の情報を映像信号又は音声信号に変換し、さらにデジタル化して信号処理し車内の運転者に画像および又は音声(音)で表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車載カメラシステムに関し、特に車両に搭載される監視カメラ等のカメラを任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも監視対象をモニタに明確に表示して運転者に分からせるよう構成したものである。
【0002】
【従来の技術】従来車両に搭載される監視カメラ等は、トンネルの出入り口、夕日(朝日)、夜間のヘッドライトとその周辺、陰日向などのコントラストの非常に差のある被写体を撮像する場合、「明」「暗」の両方を同時に撮像する場合明るさに対するダイナミックレンジが不足しているためどちらか一方を適切に映るようにすると他方が適切に映らなくなるという課題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を解決するために、車両に搭載される監視カメラ等のカメラのダイナミックレンジを広げて、コントラストの大きい状況下でも監視対象をモニタに明確に表示できるようにする車載用カメラシステムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の車載カメラシステムは、車両に搭載される監視カメラ等のカメラを任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも監視対象をモニタに明確に表示することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、車両に搭載する後方カメラ、前側方カメラ、後側方カメラ等の監視カメラ(目視確認用カメラ)を、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも目視監視対象をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステムとしたものであり、コントラストの大きい状況下でも目視監視対象をモニタに明確に表示しうるという作用を有する。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、車両に搭載する前方白線検知カメラ、後方白線検知カメラ等の白線検知カメラを、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも検知対象をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステムとしたものであり、コントラストの大きい状況下でも検知対象をモニタに明確に表示しうるという作用を有する。
【0007】また、請求項3に記載の発明は、車両に搭載する前方障害物検知カメラ、後側方障害物検知カメラ等の障害物検知カメラを、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも障害物をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステムとしたものであり、コントラストの大きい状況下でも障害物をモニタに明確に表示しうるという作用を有する。
【0008】また、請求項4に記載の発明は、前記任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラにおいて、ホワイトバランス補正並びに階調補正の外にシャッタースピード制御をも行ないうるようにした請求項1ないし請求項3に記載の車載カメラシステムとしたものであり、請求項1ないし請求項3に記載の車載カメラシステムにおいてホワイトバランス補正並びに階調補正の外にシャッタースピード制御をも行ないうるという作用を有する。
【0009】以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における車載カメラシステムを説明するためのブロック図である。車両5には前方監視カメラ1、側面監視カメラ2、側面監視カメラ3、及び後方監視カメラ4がそれぞれマイクロホンとともに装着されている。この装着に際しては必ずしも全部を用意しなくても良く、目的により限定したものにするか、又は目的によっては車両下部や天面等に装着しても構わないし、また上記した監視カメラに代えて白線検知カメラや、障害物検知カメラを適宜装着してもよい。
【0010】また車外状況として確認するものとしては、例えば車線7を走行する車両がその前方に横断歩道があることを標示する道路標示10や、車線8を進行する他の車両が同時進行車両9として記載されているが、車線走行中には、トンネルを入出することも、また、晴れた日の朝、夕には太陽(逆光)に向かって走行することもあり、また日差しが強いときの木陰と日向を走行することもあり、さらには、夜間にはヘッドライトの照射を浴びることもある。
【0011】以上のような走行状況にあるとき、特にトンネルの出入り口、夕日(朝日)、夜間のヘッドライトとその周辺、陰日向などのコントラストの非常に差のある被写体を撮像するとき、本発明は、上記した各車載カメラ1〜4で車外の映像及び音をピックアップして状態を把握し安全運転に寄与させるようにするものである。まずは、図示されている例について説明し、その後に、本発明に係るコントラストの大きい状況下の被写体についての動作を説明する。
【0012】図2は、本発明の実施の形態に係る車載カメラおよび又はマイクによって検知した情報を処理しそれをモニタ等に表示するための本発明の車載カメラシステムの概要を示すものであり、図2において前方監視カメラ33、側面監視カメラ32、側面監視カメラ31、後方監視カメラ30及び同時に装着されたマイク37、36、35、34はそれぞれの増幅装置である映像増幅装置84〜81とマイク用の音声増幅装置88〜85に接続され、それぞれ運転席にあるモニタ67で表示するためにミキシング装置66に入力され運転者に同時に表示するか、個別に表示するか等の選択をするための表示装置操作器69の選択を経て運転者に表示される。
【0013】それらの信号は、表示するためのミキシング装置66に入力する以前に分岐され映像系は映像フィルタ53、52、51、50に入力されデジタル化するための処理がなされると共に、同時に音声などは音声フィルタ49、48、47、46にてデジタル化するために最適の処理がなされる。それら処理された信号の映像信号はA/D変換器61、59、57、55にてCPU処理に適切なるデジタル化処理がなされてCPU64に入力される。音声はA/D変換器60、58、56、54にてCPU処理に最適なデジタル化処理がなされて、CPU64に入力される。
【0014】CPU64に入力された信号はCPU操作部75により条件を設定し、メモリ65にある情報と各入力が比較される等の処理がなされ、CPU64からの情報をモニタ67に表示する。同様に音声デジタル信号も音声変換器63にてアナログ音声に変換される。CPU64には各種の入力を車両の走行状態と比較するために車両が持っている車両制御装置73等の情報から車両の情報を検知する速度検知情報77のためにI/F(インターフェース)72によりCPU64に情報を入力して情報を作る等を行なう。
【0015】またCPU64の情報を一定時間記録し、あるいは車両の情報として継続的に情報を蓄積するための記録装置71を具備することもある。デジタル信号をアナログ信号に変換された信号はミキシング装置66に入力されモニタ67にて表示し例えば前方に横断歩道等が表示される。あるいは音声にてスピーカ68から”前方に横断歩道あり”等の音声表示79にて運転者に表示するようにしている。またそれら信号は車両ダッシュボード78上にある車両表示装置70に液晶モニタ89とか点滅表示等で運転者に知らせる方式もある。
【0016】次に、コントラストの大きい状況下の被写体においても基本的には上記したと同様の動作を行なうが、上記した各車載カメラ1〜4としては任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラを用いるようにする。任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラを使用すれば、太陽の反射やストロボの反射等による高輝度で、通常のカメラなら画がつぶれる部分についても画がつぶれることなく情報を得られるようになる。
【0017】すなわち、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラは、動作速度が通常CCDの2倍で、時分割で2枚の画像、最低限の時間差で取り出すことができる。しかも、2枚の画像は、レンズ絞りを変える代わりに、CCDの駆動制御により露光時間を変えることができる。例えば、露光時間を約1/60秒(通常のカメラと同じ。実際には約1/63.8秒)の画像を室内用画像として取り出し(これを長時間露光という意味でlong画像信号と呼ぶ)、次に、露光時間を1/1000秒にすると、レンズ絞りを絞った場合と同等の画像が得られ、これを室外用画像として取り出す(これを露光時間が短いといういう意味でshort画像信号と呼ぶ)。
【0018】このように、異なる露光時間の2枚の画像を、通常の2倍速度で同一フィールド内に読み出す。2枚の画像は、2倍速度で1水平ラインごとに出力されるので、水平2ライン分の蓄積手段を用いて、2倍速書き込み後、通常速度読み出しを行なうと、通常速度への変換と時間軸合わせ(同時化)が可能となる。同時化された2枚の映像信号は、画像処理LSI内にて、ある輝度レベル以下にはlong画像信号、ある輝度レベル以上にはshort画像信号を用いるように合成され1枚の映像が作られる。
【0019】これを実用的な画像とするために、合成後に、画面の輝度分布に応じた階調補正を施す必要があるが、これについては、本願出願人が先に出願した、特願平9-83422号「撮像装置の階調補正方法」に記載されているように、ヒストグラムデータの最大階調値を検出し、最大階調値に応じた階調特性を算出することにより、様々な被写体に適応して最適な階調補正を行なうことができ、後段の信号処理のダイナミックレンジを有効活用しながら、低輝度の被写体に対しても自然な画像の再現を可能としている。
【0020】また、ホワイトバランス調整をする必要性から、同じく本願出願人が先に出願した、特願平9-79168号「撮像装置」に記載されているように、室内と室外のような異なる色温度下の被写体を合成したときに、露光量の異なる2種類の映像信号を独立にホワイトバランス調整できるようにして、室内、室外ともに同時に正しいホワイトバランス補正を行なうようにしている。
【0021】これに加えて本発明においては、図3に示されているように、long画像信号を取り出すシャッター時間aおよびshort画像信号を取り出すシャッター時間bをコントラストの非常に差のある被写体(撮像対象)に応じて制御し、交互にlong画像信号とshort画像信号を取り出すようにする。なお、シャッター時間aとシャッター時間bの合計は1/60秒(1水平ライン期間)となるようにする。こうすることにより、上記した両出願よりもさらにダイナミックレンジを拡大させることができるようになるので、たとえば、トンネルの出入り口、夕日(朝日)、夜間のヘッドライトとその周辺、陰日向などのコントラストの非常に差のある被写体(撮像対象)であっても正確にモニタに表示することができる。
【0022】序でながら、コントラストの大きい状況下でシャッター時間aとシャッター時間bを実際どのように設定するかは経験を多く積むことによって数値データを得ることにより、状況ごとに設定することが可能となる。なお、それぞれの状況は各状況を把握するセンサを取り付けることによって可能である。
【0023】以上のように車両に搭載した任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラで撮像した画像を処理することで多くの安全情報および車両情報を運転者に知らせることができる。
【0024】
【発明の効果】以上に示したことから明かなように、本発明は、車両に搭載される監視カメラ等のカメラを任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも監視対象をモニタに明確に表示することが可能となるので、安全運転に貢献することができるという効果を有する。
【0025】また、カメラのレンズ絞りを固定にしても暗部から明部まで監視対象をモニタに表示でき、カメラの自動光量調整を不要とすることができるので、より小型なカメラを装着することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における車載カメラシステムを説明するためのブロック図、
【図2】本発明の実施の形態に係る車載カメラシステムによって検知した情報を処理しそれをモニタ等に表示するための構成を示す図、
【図3】本発明の実施の形態に係る車載カメラシステムでのシャッター制御の概要を説明するための図である。
【符号の説明】
1 前方監視カメラ
2、3 側面監視カメラ
4 後方監視カメラ
5 車両
6、8 車線(連続)
7 車線(断続)
9 同時進行車両
10、11 道路標示
30〜33 カメラ
34〜37 マイク
46〜49 音声フィルタ
50〜53 映像フィルタ
54〜61 A/D変換器
62 映像変換器
63 音声変換器
64 CPU
65 メモリ
66 ミキシング装置
67 モニタ
68 スピーカ
69 表示装置操作部
71 記録装置
72 I/F(インターフェース)
73 車両制御装置
75 CPU操作部
76 共通インターフェース
77 速度検知情報
78 車両ダッシュボード
79 音声表示
80 文字表示
81〜84 映像増幅器
85〜88 音声増幅器
89 ダッシュボードモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に搭載する後方カメラ、前側方カメラ、後側方カメラ等の監視カメラ(目視確認用カメラ)を、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも目視監視対象をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステム。
【請求項2】 車両に搭載する前方白線検知カメラ、後方白線検知カメラ等の白線検知カメラを、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも検知対象をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステム。
【請求項3】 車両に搭載する前方障害物検知カメラ、後側方障害物検知カメラ等の障害物検知カメラを、任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラとすることにより、コントラストの大きい状況下でも障害物をモニタに明確に表示しうるようにした車載カメラシステム。
【請求項4】 前記任意に異なる露光時間の2枚の画像を合成し、一枚の画像として出力するカメラにおいて、ホワイトバランス補正並びに階調補正の外にシャッタースピード制御をも行ないうるようにした請求項1ないし請求項3に記載の車載カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−217100(P2000−217100A)
【公開日】平成12年8月4日(2000.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−15627
【出願日】平成11年1月25日(1999.1.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】