説明

車載システム及びコンテンツ配信システム

【課題】コンテンツの購入の利便性と信頼性を向上することのできる「車載システム及びコンテンツ配信システム」を提供する。
【解決手段】車載システム1は、車両の走行中ユーザの楽曲配信サーバ32へのアクセスの指示操作を拒否する。車両の停車中は、ユーザが楽曲配信サーバ32へのアクセスの指示操作を受け入れて、楽曲配信サーバ32に接続しユーザの楽曲の購入操作を受け付ける。次に、購入操作の受付が完了したならば、その後は、車両の停車中、走行中にかかわらず、購入楽曲の楽曲データを暗号化した暗号化楽曲データのダウンロードを実行する。そして、全ての購入楽曲の暗号化楽曲データのダウンロードの完了後に、車両が停車状態となったときに、ユーザの支払操作を受け付けて、楽曲配信サーバ32に対する支払手続きを行うと共に、楽曲配信サーバ32から、ダウンロードした暗号化楽曲ファイルを復号するためのキーを入手して、その復号化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された車載システムに、インターネットなどのWAN上に配置されたコンテンツ配信サーバから有料コンテンツを配信する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどのWAN上に配置されたコンテンツ配信サーバから有料コンテンツを配信する技術としては、次の手順によって、ユーザが使用するインターネット端末にインターネット上に配置されたコンテンツ配信サーバから有料コンテンツを購入する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
すなわち、まず、ユーザは、インターネット端末を用いてコンテンツ配信サーバにアクセスして、コンテンツ配信サーバから提供されるメニューを利用して購入するコンテンツを選択する。次に、ユーザは、コンテンツ配信サーバとは別に設けられた課金処理サーバにインターネット端末を介してアクセスし、クレジット番号などの課金情報を入力して課金処理サーバに送信し、選択した有料コンテンツの支払いを行う。そして、コンテンツ配信サーバから配信される、ユーザによって先に選択された有料コンテンツをインターネット端末にダウンロードする。
【0004】
一方、自動車に搭載されるナビゲーション装置その他の情報機器では、運転から注意が逸脱しないように、車両の走行中には、完了までにある程度以上の時間を要する操作を禁止することが一般的である(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003-152770号公報
【特許文献2】特開2004-077180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、車載のインターネット端末では、インターネットの接続に移動電話網が利用されるが、移動電話網を用いたデータ転送は比較的低速であり、インターネット上のコンテンツ配信サーバからのコンテンツのダウンロードには比較的長時間を要する。
また、コンテンツ配信サーバから有料コンテンツの購入には、コンテンツの選択操作や有料コンテンツに対する支払いのための操作など比較的長時間を要する操作が必要となるが、これらの操作は、運転から注意が逸脱しないように走行中禁止する必要がある。
しかし、これらの操作を禁止するために、走行中、コンテンツ配信サーバから有料コンテンツを購入する動作の全てを禁止するようにすると、前述のようにコンテンツのダウンロードには長時間を要するので、コンテンツ配信サーバから有料コンテンツの購入のために、長期間に渡って継続して停車する必要が生じることになり、ユーザの利便性を著しく損ねる。
【0006】
そこで、コンテンツの選択操作や有料コンテンツに対する支払いのための操作は停車中にのみ認め、その後のコンテンツ配信サーバからのコンテンツのダウンロード動作は走行中においても行うようにすることも考えられる。
しかしながら、このようにすると、車両が通信可能圏外に移動してしまったためにダウンロードが途中で失敗して終了してしまう場合には、支払いを行ったにもかかわらず、購入したコンテンツが入手できないことになってしまうため、コンテンツ配信サーバからのコンテンツの購入の信頼性を充分に確保することができない。
【0007】
そこで、本発明は、走行中における煩雑な操作を禁止しつつ、コンテンツ配信サーバからのコンテンツの購入の利便性と信頼性を向上することを課題する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバから、無線通信を介して有料コンテンツをダウンロードする、自動車に搭載された車載システムを、車両の停車中の有無を検出する停車検出手段と、前記停車検出手段の車両の停車中の検出の如何にかかわらず、前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの配信要求を、無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバに発行し、当該配信要求の応答として前記コンテンツ配信サーバから配信された、配信要求したコンテンツのデータに対してユーザがコンテンツを利用できないようにする利用制限処置を施すことにより生成された利用制限付コンテンツデータをダウンロードするダウンロード手段と、前記停車検出手段が車両の停車中を検出している期間にのみ、前記ダウンロード手段が、利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了したコンテンツの料金の支払情報の入力を前記ユーザから受け付け、入力を受け付けた支払情報を含む課金要求を前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバに対して送信することにより、前記コンテンツ配信サーバから、当該車載システムのユーザに対する前記利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツについての課金を受ける支払手段と、前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバより、前記課金を受けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータの利用制限処置を解除するキーを受け取り、当該キーを用いて、ダウンロードした利用制限付コンテンツデータのコンテンツをユーザが利用可能な状態とする利用制限解除手段とを含めて構成したものである。
【0009】
このような車載システムによれば、購入するコンテンツの選択操作や購入したコンテンツの支払操作は車両の停車中のみ、これを許可して受け付けるようにすると共に、購入するコンテンツのデータのダウンロードは車両の走行中も行うようにする。したがって、利用制限付コンテンツデータのダウンロードのために、長期間に渡って継続して停車する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。一方で、コンテンツ配信サーバからのコンテンツの提供は、コンテンツのデータの配信をコンテンツのデータに利用制限処置を施した利用制限付コンテンツデータを配信することにより行うと共に、支払手続完了後に配信した利用制限付コンテンツデータの利用制限を解除するためのキーを提供する形態により行う。したがって、コンテンツの配信者からみれば、未払いのコンテンツを車載システムのユーザが不正に使用してしまうことを排除することができるようになる。一方で、車載システムのユーザ側からみれば、利用制限付コンテンツデータのダウンロードが完了した後に支払いを行うので、支払いを行ったにもかかわらず購入したコンテンツが入手できないといったことの発生が抑制される。したがって、安心してコンテンツの購入を行うことができる。
【0010】
ここで、このような車載システムには、さらに、前記ダウンロード手段が前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了した後に、前記停車検出手段が車両の停車中を検出したときに、ユーザに対して、前記支払手段によって前記利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツに対する課金を受けるための操作の実行を促すメッセージを出力するメッセージ出力手段を備えるようにしてもよい。このようにすることにより、車載システムのユーザは、利用制限付コンテンツデータのダウンロード完了後の最初の停車時に、利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツの支払い及び利用制限解除のための操作を忘れずに行うことができるようになる。
【0011】
または、このような車載システムには、前記ダウンロード手段が前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了した後に、車両が停車可能な地点までの経路案内を行う経路案内手段を備えるようにしてもよい。このようにすることにより、車載システムのユーザは、利用制限付コンテンツデータのダウンロード完了後に、容易に、利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツの支払い及び利用制限解除のための操作を行うために停車可能な地点に赴くことができるようになる。
【0012】
なお、このような車載システムにコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバは、たとえば、前記コンテンツ配信サーバは、前記車載システムからのコンテンツ配信要求で要求されたコンテンツのデータに対して、固有のキーで利用制限を解除可能なように利用制限処置を施して生成した利用制限付コンテンツデータを当該車載システムに配信するコンテンツ配信手段と、前記車載システムから受け取った前記課金要求に含まれる支払情報に基づいて当該課金要求の発行元の車載システムのユーザに対して、当該車載システムに利用制限付コンテンツデータを配信したコンテンツについての課金を行い、当該車載システムに配信した利用制限付コンテンツデータに対して施した前記利用制限処置を解除するための前記キーを当該課金要求の発行元の車載システムに送信する課金手段とを備えたシステムとして構成することができる。
【0013】
なお、前記利用制限処置は、前記キーを復号のキーとする暗号化処理であってよく、前記コンテンツは楽曲やビデオや地図データやアプリケーションやその他のデータなどであってよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、走行中における煩雑な操作を禁止しつつ、コンテンツ配信サーバからのコンテンツの購入の利便性と信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態につい説明する。
図1に、本実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成を示す。
図示するように、コンテンツ配信システムは、各々自動車に搭載される車載システム1と、車載システム1を無線通信を介して収容するインターネット2と、インターネット2に接続した1または複数のオンライン楽曲配信システム3とを含んで構成される。
そして、オンライン音楽配信システム3は、各々楽曲音声データを格納した楽曲ファイルを蓄積した楽曲ファイルデータベース31、楽曲配信サーバ32、暗号化処理部33、課金処理部34、取引情報記憶部35とを含んでいる。
一方、車載システム1は、操作部11と、表示装置12と、スピーカ13と、インターネット2に接続するための無線通信装置14と、ナビゲーション部15と、車両の停車状態(非走行状態)をパーキングブレーキの操作状態などより検出する停車状態検出部16と、制御部17と、無線通信装置14を介した通信を制御する通信制御部18と、楽曲のオンライン楽曲配信システム3からの購入処理を行う楽曲購入クライアント19と、操作部11や表示装置12を用いたユーザと車載システム各部間の入出力を処理するGUI制御部20と、楽曲ファイルに格納された楽曲のスピーカ13への再生出力を行う楽曲プレイヤ21と、楽曲ファイル等を記憶する記憶装置22とを備えている。
【0016】
但し、以上の車載システム1の一部は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路として構成してよく、この場合の、CPU回路としてした各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現される。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介してCPU回路に提供されるものであって良い。
【0017】
ここで、無線通信装置14は、たとえば、携帯電話などと呼称される移動電話機であり、この場合には無線通信装置14は、移動電話網を介してインターネット2に接続することになる。
また、ナビゲーション部15は、車速センサなどの車両の走行状態検出用の各種センサや、GPS受信機や、地図データを記憶した記憶部を備えている。そして、GPS受信機や各種センサの出力と地図データとのマップマッチング処理による現在位置を算出や、地図データに基づく、設定された目的地までの推奨ルートの探索などを行い、地図データが表す地図を示す地図画像上に、現在位置や推奨ルートや目的地を表す図形を描画した案内画像を生成し、GUI制御部20を介して表示装置12に表示する処理などを行う。
【0018】
ここで、図2aは、このようにして表示装置12に表示される案内画像200を示すものであり、図示するように案内画像200は、現在位置周辺の地図画像201上に、現在位置を表す現在位置マーク202や、地図表示範囲内の推奨ルートを表すルート図形203や、目的地を表す目的地マーク204が表されたものとなっている。
【0019】
以下、このような車載システム1における楽曲のオンライン楽曲配信システム3からの購入動作について説明する。
図3に楽曲の購入のために車載システム1の楽曲購入クライアント19が行う楽曲購入処理(図3a)と楽曲代金支払処理(図3b)の手順を示す。また、図4に車載システム1とオンライン楽曲配信システム3との間で行われる楽曲購入動作のシーケンス例を示す。
【0020】
まず、車載システム1の楽曲購入クライアント19が行う楽曲購入処理について、図4のシーケンスを参照しつつ説明する。
図3aに示すように、楽曲購入処理では、ユーザの操作部11を用いた楽曲配信サーバ32へのアクセス指示の発生を監視し(ステップ302)、アクセス指示が発生したならば、停車状態検出部16が現在車両の停車中を検出しているかどうかを調べ(ステップ304)、停車中を検出していなければ、現在楽曲配信サーバへのアクセス操作は認められない旨のメッセージをGUI制御部20を介して表示装置12に表示し(ステップ322)、ステップ302の監視に戻る。
【0021】
一方、アクセス指示が発生したときに(シーケンス401)、停車状態検出部16が現在車両の停車中を検出している場合には(ステップ304)、通信制御部18、無線通信装置14を介して楽曲配信サーバ32にアクセスする(ステップ306、シーケンス421)。
一方、オンライン楽曲配信システム3の楽曲配信サーバ32は、楽曲購入クライアント19からのアクセスがあると、購入楽曲の選択を受け付けるための楽曲メニューを返信する(シーケンス422)。
そして、楽曲メニューを受け取った楽曲購入クライアント19は、たとえば、図2bに示すように、案内画像200上にウインドウ211を設定し、受信した楽曲メニューを表示する(ステップ308)。そして、停車状態検出部16の車両の非停車中の検出と(ステップ310)、ユーザのキャンセル操作の発生と(ステップ312)、ユーザの楽曲購入操作の発生を監視する(ステップ314)。
【0022】
ここで、図2bに示すように楽曲メニューには、ユーザが購入可能な楽曲のリスト212と、キャンセルボタン213と、購入ボタン214が設けられている。そして、ユーザのキャンセル操作は、キャンセルボタン213によって受付け、ユーザの楽曲購入操作は、楽曲のリスト212中に設けた選択ボタンによる1または複数の購入楽曲の選択と、購入楽曲選択後の購入ボタン214の操作によって受け付ける。
【0023】
そして、もし、停車状態検出部16が車両の非停車中を検出したか(ステップ310)、ユーザのキャンセル操作が発生したならば(ステップ312)、楽曲メニューのウインドウ211を閉じステップ302の監視に戻る。
一方、ユーザの楽曲購入操作が発生した場合には(ステップ314、シーケンス402)、選択された購入楽曲の識別を含む楽曲購入要求を楽曲配信サーバ32に送信する(ステップ316、シーケンス423)
楽曲購入要求を受け取った楽曲配信サーバ32は、一意な取引識別子を生成し、生成した取引識別子や、購入楽曲の一覧や、購入楽曲の購入金額や、購入楽曲の暗号化楽曲ファイル(暗号化楽曲ファイルについては後述する)をダウンロードするために必要な各種情報であるダウンロード用情報などを含めた取引データを生成する。また、併せてランダムに楽曲キーを生成する(シーケンス441)。そして、取引データを楽曲キーと共に取引情報記憶部35に記憶すると共に、生成した取引データを含めた取引データファイルを楽曲購入要求の送信元の楽曲購入クライアント19に返信する(シーケンス424)。
【0024】
そして、この取引データファイルを受け取った楽曲購入クライアント19は、受信した取引データファイルを記憶装置22に保存する(ステップ318)。そして、保存した取引データファイルを処理対象とする暗号化楽曲のダウンロード処理を起動し(ステップ320)、ステップ302の監視に戻る。
【0025】
さて、ステップ320で起動された暗号化楽曲のダウンロード処理では、処理対象となる取引データファイルのダウンロード用情報を用いて、楽曲配信サーバ32に対して各購入楽曲を暗号化した暗号化楽曲ファイルのダウンロード要求を発行し(シーケンス425)、その応答として楽曲配信サーバ32から転送された暗号化楽曲ファイル(シーケンス426)を記憶装置22に保存する。そして、全ての購入楽曲の記憶装置22へのダウンロードが完了したならば、処理対象の取引データファイルに対してダウンロード済みを登録し処理を終了する。
【0026】
一方、楽曲配信サーバ32は、この楽曲購入クライアント19からのダウンロード要求を受け取ると、取引情報記憶部35に記憶されている、ダウンロード要求に対応する取引データが示す各購入楽曲の楽曲ファイルを楽曲ファイルデータベース31から読み出す(シーケンス451)。そして、読み指した楽曲ファイルを暗号化処理部33に暗号化させることにより、暗号化楽曲ファイルを生成し(シーケンス442)、これを楽曲購入クライアント19に送信する(シーケンス426)。ここで、この楽曲ファイルの暗号化は、取引情報記憶部35に記憶されている、ダウンロード要求に対応する楽曲キーを暗号化のキーとして用いて楽曲ファイルを暗号化することにより行う。
【0027】
以上、楽曲購入クライアント19が行う楽曲購入処理について説明した。
次に、楽曲購入クライアント19が行う楽曲代金支払処理について説明する。
図3bに示すように、この楽曲代金支払処理では、まず、停車状態検出部16の車両の停車中の検出を待ち(ステップ352)、停車状態検出部16の車両の停車中を検出するようになったならば、ダウンロード済みが登録された取引データファイルが記憶装置22に存在するかどうかを調べ(ステップ354)、存在していなければステップ352に戻る。
【0028】
一方、ダウンロード済みが登録された取引データファイルが記憶装置22に存在する場合には、GUI制御部20を介して、たとえば図2cに示すように、表示装置12に表示している案内画像200上にウインドウ221を設定し、当該ウインドウ221中に支払手続きが完了していない購入楽曲があることを通知するメッセージを表示する(ステップ356)。そして、停車状態検出部16の車両の非停車中の検出と(ステップ358)、ユーザのキャンセル操作の発生と(ステップ360)、ユーザの支払い処理指示操作の発生を監視する(ステップ362)。
【0029】
ここで、図2cに示すようにウインドウ221には、キャンセルボタン222と、はいボタン223が設けられている。そして、ユーザのキャンセル操作は、キャンセルボタン222によって受付け、ユーザの支払い処理指示操作は、はいボタン223の操作によって受け付ける。
【0030】
そして、もし、停車状態検出部16が車両の非停車中を検出したならば(ステップ358)、ウインドウ221を閉じステップ352の監視に戻る。また、ユーザのキャンセル操作が発生したならば(ステップ360)、ウインドウ221を閉じ、停車状態検出部16が車両の非停車中を検出するのを待って(ステップ382)、ステップ352の監視に戻る。
【0031】
一方、ユーザの支払い処理指示操作を受け付けた場合には(ステップ362、シーケンス403)、ウインドウを221閉じ、通信制御部18、無線通信装置14を介して楽曲配信サーバ32にアクセスし(ステップステップ364、シーケンス427)、記憶装置22に記憶されているダウンロード済みが登録された取引データファイルに含まれる取引識別子を含めた支払処理要求を送信する(ステップ366、シーケンス428)。
【0032】
楽曲配信サーバ32は、この支払処理要求を受け取ると、取引情報記憶部35に記憶されている受け取った取引識別子に対応する取引データを参照して、支払受付メニューを生成し、楽曲購入クライアント19に返送する(シーケンス429)。
そして、楽曲購入クライアント19は、図2dに示すように、案内画像200上にウインドウ231を設定し、受信した支払受付メニューを表示する(ステップ368)。そして、停車状態検出部16の車両の非停車中の検出と(ステップ370)、ユーザのキャンセル操作の発生と(ステップ372)、ユーザの支払指示操作の発生を監視する(ステップ374)。
【0033】
ここで、図2dに示すように支払受付メニューには、ユーザのクレジット情報などの支払情報の入力を受け付ける入力ボックス232と、支払を行う購入楽曲の一覧235と、キャンセルボタン233と、支払ボタン234が設けられている。そして、ユーザのキャンセル操作は、キャンセルボタン233によって受付け、ユーザの支払指示操作は、入力ボックス232へのクレジット情報等の支払情報の入力と、支払情報入力後の支払ボタン234の操作によって受け付ける。
【0034】
そして、もし、停車状態検出部16が車両の非停車中を検出したならば(ステップ370)、ウインドウ231を閉じステップ352の監視に戻る。また、ユーザのキャンセル操作が発生したならば(ステップ372)、ウインドウ231を閉じ、停車状態検出部16が車両の非停車中を検出するのを待って(ステップ384)、ステップ352の監視に戻る。
【0035】
一方、ユーザの支払指示操作を受け付けた場合には(ステップ374、シーケンス404)、ウインドウ231を閉じ、入力されたクレジット情報などの支払情報を含む支払要求を、通信制御部18、無線通信装置14を介して楽曲配信サーバ32に送信する(ステップ376、シーケンス430)。
【0036】
一方、この支払要求を受け取った楽曲配信サーバ32は、対応する取引識別子と受け取ったクレジット情報を課金処理部34に送って課金処理を要求する。課金処理を要求された課金処理部34は、課金のために必要な各種処理を行って、支払要求を発行した車載システム1のユーザに対する購入楽曲の課金を行い(シーケンス443)、課金成功を楽曲配信サーバ32に応答する。そして、課金成功を応答された楽曲配信サーバ32は、要求した課金処理に対応する取引識別子の取引データと共に取引情報記憶部35に記憶されている楽曲キーを読み出し、支払要求元の楽曲購入クライアント19に送信する(シーケンス431)。
【0037】
一方、楽曲キーを受信した楽曲購入クライアント19は、受信した楽曲キーで、ダウンロード済みが登録されている取引データファイルで示される各購入楽曲に対応する暗号化楽曲ファイルを復号して(シーケンス411)、楽曲ファイルを生成し記憶装置22に保存する(ステップ378)。そして、復号した暗号化楽曲ファイルと、以上の手順による支払手続きが完了した各購入楽曲に係る取引データファイルを、記憶装置22から消去し(ステップ380)、ステップ352の監視に戻る。
【0038】
以上、楽曲購入クライアント19が行う楽曲代金支払処理について説明した。
以上のような車載システム1とオンライン楽曲配信システム3の動作によれば、図5に示すように、車両の走行中501は、ユーザが楽曲配信サーバ32へのアクセスの指示操作521を行っても、この操作は車載システム1によって拒否される。一方、車両の停車中502は、ユーザが楽曲配信サーバ32へのアクセスの指示操作522を行うと、車載システム1は、楽曲配信サーバ32に接続して、図2bに示したような楽曲メニューをユーザに対して表示し、ユーザの購入楽曲の選択/購入操作523を受け付ける511。
【0039】
次に、車載システム1は、ユーザの購入楽曲の購入楽曲の選択/購入操作の受付が完了したならば、その後は、車両の停車中502、走行中503にかかわらず、画購入楽曲の楽曲データを暗号化した暗号化楽曲データのダウンロード512を実行する。
そして、車載システム1は、ユーザの全ての購入楽曲の暗号化楽曲データのダウンロードの完了後に、車両が停車状態504となったときに、ユーザに対して、図2cに示すような購入楽曲の支払を促すメッセージを表示すると共に、ユーザの支払操作524を受け付けて513、楽曲配信サーバ32に対する支払手続きを行うと共に、楽曲配信サーバ32から、ダウンロードした暗号化楽曲ファイルを復号するためのキーを入手して、その復号化514を行う。
【0040】
すなわち、本実施形態では、購入楽曲の選択/購入操作や購入楽曲の支払操作は車両の停車中のみ、これを許可して受け付けるようにすると共に、購入するコンテンツである楽曲のデータのダウンロードは車両の走行中も行うようにする。したがって、楽曲のデータのダウンロードのために、長期間に渡って継続して停車する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。一方で、楽曲配信サーバ32からの楽曲のデータの提供は、楽曲のデータを暗号化した形態で行い、支払手続完了後に暗号を解除するためのキーを提供する形態としている。したがって、楽曲の配信者からみれば、未払いの楽曲を車載システム1のユーザが不正に使用してしまうことを排除することができるようになる。一方で、車載システム1のユーザ側からみれば、楽曲のダウンロードが完了した後に支払いを行うので支払いを行ったにもかかわらず、購入した楽曲が入手できないといったことの発生が抑制されるので、安心して楽曲の購入を行うことができる。
【0041】
ところで、以上の実施形態では、楽曲データをオンライン楽曲配信システム3から車載システム1に暗号化して配信したが、これは暗号化に代えて、ユーザの楽曲データの利用を制限する任意の利用制限処置を施して、楽曲データをオンライン楽曲配信システム3から車載システム1に暗号化して配信するようにしてもよい。なお、この場合の楽曲データの利用制限の解除は、以上の実施形態における復号と同様に、購入楽曲の支払手続完了後に利用制限処置を解除するためのキーをオンライン楽曲配信システム3から車載システム1に送信し、車載システム1において、このキーを持ついて楽曲データの利用制限を解除することにより行うようにする。
また、以上の実施形態では、楽曲を購入する場合について説明したが、本コンテンツ配信システムで配信するコンテンツは、楽曲以外のコンテンツ、たとえば、ビデオデータや地図データやアプリケーションやデータベースなど、任意の種類のコンテンツであって良い。
【0042】
また、以上の実施形態は種々に応用して実施するようにしてかまわない。
たとえば、前述した楽曲購入処理のステップ320で起動された暗号化楽曲のダウンロード処理において、購入楽曲の記憶装置22へのダウンロードが完了したならば、ナビゲーション部15に、近傍の無料駐車場や駐停車可能区域への案内を要求し、ナビゲーション部15において当該要求に応じて、予め記憶しておいた駐車場情報や交通規制情報などに基づいて、近傍の無料駐車場や駐停車可能区域に対応する地点を探索し、探索した地点までの現在位置からの推奨ルートを求めて、これを前述した案内画像200によって案内するようにしてもよい。
【0043】
なお、この場合において、ダウンロード処理からの要求受付時にナビゲーション部15において推奨ルートの案内を行っていない場合には、図6aに示すように探索した近傍の無料駐車場や駐停車可能区域に対応する地点を目的地204として設定して、当該目的地までの現在位置02からの推奨ルート203を探索して経路案内を行うようにする。また、この際に、先に購入手続きを行った購入楽曲の支払を探索地点において行うよう促すメッセージ601を表示するようにする。一方、ダウンロード処理からの要求受付時に、図6bに示すようにナビゲーション部15において既に推奨ルート203の案内を行っている場合には、図6cに示すように、探索した近傍の無料駐車場や駐停車可能区域に対応する地点を経由地602として設定し、設定した経由地602を経由して既に設定されている目的地204に至る現在位置202からの新たな推奨ルート203を探索して経路案内を行うようにする。また、この場合にも、同様に、先に購入手続きを行った購入楽曲の支払を探索地点において行うよう促すメッセージ601を表示するようにする。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載システムの表示例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載システムが行う処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る楽曲購入シーケンスの例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車載システムの楽曲購入の動作例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車載システムの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…車載システム、2…インターネット、3…オンライン楽曲配信システム、11…操作部、12…表示装置、13…スピーカ、14…無線通信装置、15…ナビゲーション部、16…停車状態検出部、17…制御部、18…通信制御部、19…楽曲購入クライアント、20…GUI制御部、21…楽曲プレイヤ、22…記憶装置、31…楽曲ファイルデータベース、32…楽曲配信サーバ、33…暗号化処理部、34…課金処理部、35…取引情報記憶部、200…案内画像、201…地図画像、202…現在位置マーク、203…ルート図形、204…目的地マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバから、無線通信を介して有料コンテンツをダウンロードする、自動車に搭載された車載システムであって、
車両の停車中の有無を検出する停車検出手段と、
前記停車検出手段が車両の停車中を検出している期間にのみ、ユーザから購入するコンテンツの選択を受け付ける購入コンテンツ受付手段と、
前記停車検出手段の車両の停車中の検出の如何にかかわらず、前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの配信要求を、無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバに発行し、当該配信要求の応答として前記コンテンツ配信サーバから配信された、配信要求したコンテンツのデータに対してユーザがコンテンツを利用できないようにする利用制限処置を施すことにより生成された利用制限付コンテンツデータをダウンロードするダウンロード手段と、
前記停車検出手段が車両の停車中を検出している期間にのみ、前記ダウンロード手段が利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了したコンテンツの料金の支払情報の入力を前記ユーザから受け付け、入力を受け付けた支払情報を含む課金要求を前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバに対して送信することにより、前記コンテンツ配信サーバから、当該車載システムのユーザに対する前記利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツについての課金を受ける支払手段と、
前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバより、前記課金を受けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータの利用制限処置を解除するキーを受け取り、当該キーを用いて、ダウンロードした利用制限付コンテンツデータのコンテンツをユーザが利用可能な状態とする利用制限解除手段とを有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載システムであって、
前記ダウンロード手段が前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了した後に、前記停車検出手段が車両の停車中を検出したときに、ユーザに対して、前記支払手段によって前記利用制限付コンテンツデータをダウンロードしたコンテンツに対する課金を受けるための操作の実行を促すメッセージを出力するメッセージ出力手段を有することを特徴とする車載システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載システムであって、
前記ダウンロード手段が前記コンテンツ選択受付手段が選択を受け付けたコンテンツの利用制限付コンテンツデータのダウンロードを完了した後に、車両が停車可能な地点までの経路案内を行う経路案内手段を有することを特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載システムと、前記車載システムにコンテンツを配信する前記コンテンツ配信サーバとを備えたコンテンツ配信システムであって、
前記コンテンツ配信サーバは、
前記車載システムからのコンテンツ配信要求で要求されたコンテンツのデータに対して、固有のキーで利用制限を解除可能なように利用制限処置を施して生成した利用制限付コンテンツデータを当該車載システムに配信するコンテンツ配信手段と、
前記車載システムから受け取った前記課金要求に含まれる支払情報に基づいて当該課金要求の発行元の車載システムのユーザに対して、当該車載システムに利用制限付コンテンツデータを配信したコンテンツについての課金を行い、当該車載システムに配信した利用制限付コンテンツデータに対して施した前記利用制限処置を解除するための前記キーを当該課金要求の発行元の車載システムに送信する課金手段とを有することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項5】
請求項4記載のコンテンツ配信システムであって、
前記利用制限処置は、前記キーを復号のキーとする暗号化処理であり、
前記コンテンツは楽曲であることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項6】
自動車に搭載される車載システムにおいて、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバから、無線通信を介して有料コンテンツを購入するコンテンツ購入方法であって、
前記車載システムにおいて、車両の停車中にユーザから購入するコンテンツの選択を受け付けるステップと、
前記車載システムにおいて、車両の停車中の如何にかかわらず、選択を受け付けたコンテンツであってユーザがコンテンツを利用できないようにする利用制限処置が施されたコンテンツを、前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバからダウンロードするステップと、
前記車載システムにおいて、前記コンテンツ配信サーバからのコンテンツのダウンロード完了後の、車両の停車中に、ダウンロードしたコンテンツの料金の支払情報の入力を前記ユーザから受け付けるステップと、
前記車載システムにおいて、入力を受け付けた支払情報を前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバに対して送信し、前記コンテンツ配信サーバの、ダウンロードしたコンテンツに対する課金を受けるステップと、
前記車載システムにおいて、前記無線通信を介して前記コンテンツ配信サーバより、前記課金を受けたコンテンツの利用制限処置を解除するキーを受け取り、当該キーを用いて、ダウンロードしたコンテンツをユーザが利用可能な状態とするステップとを有することを特徴とするコンテンツ購入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−172150(P2006−172150A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363944(P2004−363944)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】