説明

車載器および情報提供システム

【課題】走行距離に関連する情報を車載器のユーザが提示可能とする車載器および情報提供システムを提供する。
【解決手段】
車両200に搭載されると共に車両200との通信エリア内に配置された無線機20からの送信データを受信する車載器10であって、車両200の走行距離情報を取得し、その走行距離情報を無線で無線機20へ送信すると共に走行距離情報に関連する情報を無線機から受信する制御を行う制御部6を有する車載器10としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器および情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な情報技術を用いて交通事故あるいは交通渋滞等の道路交通問題を解決する新しい交通システムである、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)の研究開発が進んでいる。
【0003】
ITSの1つの形態として、道路近傍や駐車場等に設置された無線機から車載器へ狭域通信(Dedicated Short Range Communication:DSRC)を活用して、交通情報等を提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなDSRCを用い、路側無線装置を経由しサーバ装置がネットワークにより接続可能となり、ユーザは、車載器で情報を受信でき、多様なサービスを受けることが可能となる。
【特許文献1】特開2007−304836号公報(請求項1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したDSRCを用いて、私有地で企業等が広告等のコンテンツを配布するということが考えられる。しかし、車載器は、この無線機からの電波をすべて得ることになるため、ユーザに対して、不必要な情報を提供してしまうという問題点がある。そのため、サーバ装置が配信する広告を車載器により使用者にその情報を提供するというアイディアを実施するためには、サーバ装置より提供される多くの広告情報を個々に識別できる仕組みが必要となる。
【0005】
また、車両は、例えば自動車等の車両のタイヤおよびエンジンオイル等、走行距離を目安に交換を必要とする部品等を有している。しかし、ユーザは、その交換時期を見逃すことが多く、車両事故や車両故障につながっている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決すること、すなわち、走行距離に関連する情報を車載器のユーザが提示可能とする車載器および情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、車両に搭載されると共に車両との通信エリア内に配置された無線機からの送信データを受信する車載器であって、車両の走行距離情報を取得し、その走行距離情報を無線で無線機へ送信すると共に走行距離情報に関連する情報を無線機から受信する制御を行う制御部を有する車載器としている。
【0008】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、制御部は、受信した走行距離情報に関連する情報を表示するか否かまたは保存するか否かの制御を行うものとしている。
【0009】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、制御部は、車載器のユーザの嗜好を示す嗜好データを保存すると共に、無線機へ送信する制御部を行うものとしている。
【0010】
また、別の発明では、無線で情報の送受信が可能な無線機と、車両の走行距離情報を取得し、その走行距離情報を無線機へ無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、無線機を介して走行距離情報を受信すると共に走行距離情報に関連する情報を提供するサーバと、を有する情報提供システムとしている。
【0011】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、走行距離情報に関連する情報は、走行距離情報に基づき車両にとって交換が必要とされる部品に関する情報であるものとしている。
【0012】
また、別の発明では、車載器の制御部は、部品に関する情報の提供者毎に設定された嗜好データを無線機へ送信し、かつ、嗜好データに含まれる交換が必要とされる部品に関する情報の選択が嗜好データによって解除されると、車両の走行距離が所定の数値に達するまで、交換が必要とされる部品に関するコンテンツを出力しないものとしている。
【0013】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、嗜好データにおいて、嗜好データにより選択されたコンテンツの選択が解除されるときには、制御部は、他のコンテンツ提供者の嗜好データに同一または類似のコンテンツがあるか否かを判断し、他の事業者と同一または類似のコンテンツの選択を解除するか否かの表示を車載器によって行うものとしている。
【0014】
また、車載器は、さらに、交換を必要とする部品を交換したことが記載された交換情報を送信し、サーバは、交換情報に基づき、交換を必要とする部品に関するコンテンツを送信しないと判定するものとしている。
【0015】
また、別の発明では、サーバが有する制御部は、走行距離情報と共に、嗜好データあるいは交換情報の少なくとも一方を取得し、嗜好データあるいは交換情報の少なくとも一方により、走行距離情報に関連する情報を車載器へ送信するか否かを判定することを特徴とする情報提供システムとしている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、走行距離に関連する情報を車載器のユーザが提示可能とする車載器および情報提供システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る情報提供システム1の概略を示す概略図である。また、図2は、図1の情報提供システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1において、情報提供システム1は、車載器10、無線機としての路側無線装置20およびサーバ装置30から主に構成される。車載器10は、本発明に係る車載器の一実施の形態であって、車両200に搭載される装置である。車載器10は、通常、車両200の運転席の近傍であって、運転者が車載器を操作できる位置に設置される。車載器10はナビゲーション装置としても機能し、位置情報や車速情報、方向情報等を得て、ナビゲーション機能を有するものであっても良い。あるいは、車載器10単体が受信した情報の出力処理のみを行うものであってもよい。本実施の形態においては、車載器10の形態として、ナビゲーション装置としても機能する車載器10について説明する。
【0019】
第1の実施の形態において、図1の車両200は、路側無線装置20からの電波を受信できる位置において、低速で走行あるいは停車している。
【0020】
路側無線装置20は、車両200が低速走行している道路あるいは停車している敷地の側方、上方あるいは地中等に設置され、その道路あるいは敷地を走行あるいは停車する車両に対して狭域通信(Dedicated Short Range Communication:DSRC)方式等にて各種情報を提供する装置である。また、この路側無線装置20は、車両200に搭載された車載器10から送信される情報を受信できる。車載器10から送信される情報としては、車両固有の情報、車載器10を識別させる情報、嗜好データ情報および走行距離情報等がある。以下では、これら車載器10から路側無線装置20へ送信する情報を、アップリンク情報という。アップリンク情報については、後に詳載する。また、路側無線装置20は、アップリンク情報を受信したり、サーバ装置30から情報を受信すると、車載器10の出力部9(図2参照)から出力したり記憶部7(図2参照)に保存するための情報(以後、ダウンリンク情報という。)を送信する。本実施の形態では、この路側無線装置20は、あるサービス事業者により駐車場の敷地内に設置されて、そのサービス事業者に関する広告コンテンツをダウンリンク情報として送信する。また、路側無線装置20は、他の路側無線装置20の通信エリアに重複しない場所に設置されている。
【0021】
サーバ装置30は、有線あるいは無線のネットワーク40を介して路側無線装置20に接続されている。また、サーバ装置30は、路側無線装置20に送信するための各種情報を有し、その各種情報の中から任意の情報をダウンリンク情報として送信する装置である。また、本実施の形態においてサーバ装置30は、車載器10から送信されたアップリンク情報を路側無線装置20を介して取得し、その受信したアップリンク情報に基づき車載器10に提供するためのダウンリンク情報を所定のプログラムに従って生成する。また、本実施の形態において、1つのサーバ装置30に、複数の路側無線装置20が接続されているものとしているが、1つのサーバ装置30には、1つの路側無線装置20が接続される構成としても良い。
【0022】
第1の実施の形態において、車載器10は、図2に示すように、アンテナ2、通信部3、センサ部4、入力部5、制御部6、記憶部7、AD(Analog to Digital)変換部8および出力部9等から構成されている。アンテナ2は、通信部3に接続され、出力部9は、AD変換部8に接続されている。通信部3、センサ部4、入力部5、記憶部7およびAD変換部8は、制御部6に接続されている。
【0023】
車載器10が備えるアンテナ2は、路側無線装置20より無線で送信された電波を受信するため、および、車載器20から情報を送信するためのアンテナである。アンテナ2は、電波を増幅するためのブースタ(不図示)等と一緒に用いられる。
【0024】
車載器10において、通信部3は、狭域通信方式の路側無線装置20の無線通信部23(詳細は後述)と通信を実行する無線通信回路を有する。車載器10が備える通信部3と、路側無線装置20が備える後述の無線通信部23との間の無線通信方式としては、DSRC方式を採用している。しかし、他の方式を採用してもよい。また、通信部3は、周波数5.8GHz帯のRF信号を受信する。受信したRF信号を復調処理し、目的別の各信号を制御部6へ出力する。また、逆に制御部6入力された信号をRF信号へ変調処理しアンテナ2を介し送出する。送出したデータは無線通信部23へ転送されることとなる。
【0025】
センサ部4は、図示しないGPS(Global Positioning System)受信機、加速度センサ、サイドブレーキセンサ、あるいは、ジャイロ装置等を含む。GPS受信機は、複数のGPS衛星(不図示)からの電波を受信する。また、GPS受信機は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、車載器10を搭載した車両の現在の位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)を検出する位置検出手段である。加速度センサとしては、半導体からなるMEMS(micro eletro mechanical systems)センサ等を好適に用いることができる。例えば、検出した加速度を静電容量に変換するセンサーチップと、静電容量を電圧に変換する変換部から構成された加速度センサを用いることができる。加速度センサは、上り坂あるいは下り坂において、車両の高さ方向への変位を検出できる。サイドブレーキセンサは、サイドブレーキが操作されたことを検出するセンサである。ジャイロセンサは、車両が方向転換等した場合において各制御軸に対する車両の角速度を検出するセンサである。センサ部4は、各センサからの情報を入力し、その情報を制御部6に出力する。
【0026】
入力部5は、ユーザインタフェースの一部とされ、押釦、タッチパネル、音声入力システムおよびリモートコントローラ等の1つまたは複数を含む部分である。入力部5は、ユーザが音量の調節等の指示を車載器10に与えるための入力手段としての機能を担う部分である。
【0027】
記憶部7は、後述のアップリンク情報、ダウンリンク情報、その他データまたはプログラム等のいずれか1つあるいは複数を記憶する部分である。例えば、通信エリアに車載器10がエリアインした場合に、サービス事業者の路側無線装置20と車載器10とを初期接続するためのプログラムおよび各車載器10に個別に割り当てられた移動局識別番号(ASL−ID)等を記憶部7は、記憶している。さらに、受信契約を結んでいるサービス事業者から受信したダウンリンク情報を記憶し、後から制御部6の指令により出力する。また、記憶部7は、各サービス事業者に割り当てられているサービス事業者コード毎に、アップリンク情報を記憶している。
【0028】
図2に示す制御部6は、例えば、制御手段としてCPU等の信号処理部を備える。また、通信部3、センサ部4、入力部5、記憶部7からの指示、情報およびデータ等が、制御部6に入力される。すると、制御部6は、制御部6が備えるROM(Read Only Memory)(不図示)あるいはRAM(Random Access Memory)(不図示)からそれぞれ記憶されている所定の制御プログラムおよびデータを読み出して、各種の演算および処理を実行する。さらに、制御部6は、その処理されたデータを各部に出力することにより、各デバイスの制御を行う。なお、ROMは、制御部6が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶する読み出し専用のメモリである。RAMは、制御部6からの制御指令に基づいて、各種デバイスとの通信情報あるいは取得した信号の情報を一時的に記憶するための揮発性の記憶領域である。また、RAMは、制御部6のワークメモリとして使用される。
【0029】
AD変換部8は、音声データ、画像データおよび映像データ等のデータを再生可能な信号に変換する。変換された信号は、出力部9に送出され、出力部9は、その信号を音声および映像等として出力する。
【0030】
路側無線装置20は、図2に示すように、アンテナ22、無線通信部23、通信処理部24およびデータ通信部25を備える。無線通信部23は通信処理部24と接続され、通信処理部24は、データ通信部25と接続されている。
【0031】
路側無線装置20における無線通信部23は、DSRC方式の無線通信方式で車載器10の無線通信部3と通信する無線通信回路等を有する。無線通信部23にて変調された各種データは、アンテナ22を介して、車載器10へ送信される。また、アンテナ22は、車載器10から送出されるアップリンク情報を受信する。データ通信部25は、無線あるいは有線を介してサーバ装置30と通信する通信装置である。また、通信処理部24は、データ通信部25により受信された各種情報を、無線通信部23に供給する一方、無線通信部23により受信されたアップリンク情報をデータ通信部25に供給する処理部である。
【0032】
サーバ装置30は、図2に示すように、データ格納部33、データ格納部33に接続される制御部36、制御部36に接続される通信処理部34および通信処理部34に接続されるデータ通信部35を有する。また、通信処理部34は、データ格納部33と接続されている。なお、サーバ装置30がインターネット等の通信網を介して他の大型のサーバ装置と接続されるように構成してもよい。
【0033】
サーバ装置30において、データ通信部35は、路側無線装置20のデータ通信部25と通信するための通信装置である。データ格納部33は、ユーザに提供するための広告等の各情報を、デジタルの情報データとして格納する記憶媒体から成る。データ格納部33を構成する記憶媒体としては、ハードディスクドライブ等が挙げられる。制御部36は、選択されたコンテンツをデータ格納部33から読み出し、通信処理部35を介してダウンリンク情報として通信処理部34へ出力する制御を行う。そして、制御部36は、データ格納部33から読み出した各種情報データを所望の路側無線装置20に対して送信させる制御を行う処理部でもある。なお、制御部36は、専用の集積回路で構成されるようにしてもよいし、プログラムをプロセッサで実行して実現するようにしてもよい。
【0034】
データ格納部33に格納される各種情報データは、例えば、その情報を提供するサービス事業者の販売品に関する広告等であり、追加あるいは削除が可能な情報である。また、データ格納部33に格納されるすべての情報データを路側無線装置20へ送信する必要はなく、制御部36は、必要と認められる情報データのみをデータ格納部33より読み出して、所望の路側無線装置20に各種情報として送信する。
【0035】
図3に示す路側無線装置20は、本体装置とアンテナとを主要な構成要素としている。路側無線装置20は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して近傍に路側エリアZを形成する。この路側エリアZ内にある車両200の車載器10とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置20と車載器10間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、路側無線装置20と同様の路側無線装置として、無線アクセスポイント等を使用してもよい。以下の説明では、路側無線装置20について説明する。
【0036】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。各路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20がそれぞれ形成する路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0037】
路側無線装置20の一部を構成する本体装置は、車載器10とサーバ装置30との間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、路側無線装置20のアンテナを介して車載器10から受信された情報をネットワーク40を介してサーバ装置30に転送し、サーバ装置30から送信されたコンテンツ情報を車載器10へ転送する。路側無線装置20の本体装置は、情報処理や通信制御を行なう通信処理部24、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【0038】
なお、図3に示す路側無線装置20に使用される本体装置の通信処理部24は、DSRC専用のプロトコルにより車載器10との通信制御を行なう。また、図3に示す路側無線装置20の本体装置の通信処理部24は、インターネットプロトコルにより車載器10との通信制御を行なう。
【0039】
図4は、本実施の形態におけるダウンリンク情報の構成例を示す図である。ダウンリンク情報は、種々のものがあるが、以下では、本実施の形態に特に関係するダウンリンク情報について説明する。
【0040】
ダウンリンク情報は、路側無線装置20から送信される情報であり、例えば、音声情報、映像情報および文字情報等がある。例えば、音声等は変調されて電波に重畳されてもよいし、符号化されたデジタルのデータとして搬送波に重畳されて送信されても良い。
【0041】
図4は、本実施の形態におけるダウンリンク情報の構成例を示す図である。ダウンリンク情報は、ひとつのデータ形式で様々なDSRC応用サービスに対応できるようにID別に構成された複合フォーマット(マルチコンテンツフォーマット)を構成している。また、目的に応じて必要な項目(ID)のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。したがって、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。
【0042】
図4において示すように、マルチコンテンツフォーマットでデータ群(以下、このデータ群を「情報グループ」という)が編成されている。情報グループ1〜情報グループnまでの複数の情報グループを含む受信データが、路側無線装置20から車載器10へ送信されてくる。これらの複数の情報グループそれぞれには、基本的な情報が含まれているID00,ID01等の基本的な情報と、他の区分項目であるID等の情報から構成されている。これらの情報グループは、必ずしも全ての区分IDの情報を含んでいる訳ではなく、必要なものだけ含んで送信されてくる。
【0043】
このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能となっている。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けた車載器10内にデータを蓄積することが可能である情報コンテンツは、路側無線装置20の通信エリア外でも配信データを活用することができる。
【0044】
また、車載機10が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、車載器10からサーバ装置30へのアップリンク機能も可能となっている。また、マルチコンテンツフォーマットは、車載器10に設定されている目的地情報や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を取得することも可能となっている。
【0045】
図5は、路側無線機20から送信される情報(コンテンツ)のデータフォーマットの一例を示す。1つのコンテンツは、図5に示すように、ID00〜ID80に分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報が格納されている。以下に、ID00〜ID80に分類される情報のうち、本実施の形態に必要な情報について説明する。
【0046】
ID00に分類される「ID構成情報」は、図5に示すように、配信するコンテンツに含まれているID情報を記載する領域である。ID=00のデータ形式には、「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ID=00の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器10側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するIDを小さい順に2バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるIDすべてが記載されている。
【0047】
ID01に分類される「事業者情報」は、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報であり、例えば、コンテンツを提供するサービス事業者の「事業者コード」、「事業者名表示用テキスト」等が含まれる。
【0048】
ID02に分類される「コンテンツ属性情報」は、当該コンテンツの属性を示す情報であり、例えば、コンテンツを提供する情報提供企業の「情報提供企業コード」、「情報提供企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ情報」等が含まれる。なお、コンテンツ情報は階層構造をなしており、本実施の形態においては、情報コードにより、各コンテンツ情報の階層を識別可能であることとする。
【0049】
ID10に分類される「対象地点情報」は、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点(対象地点という)に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」等が含まれる。
【0050】
また、ID=80は、嗜好データを書き込める領域である。「嗜好データ」とは、車載器10を利用しているユーザの趣味および嗜好に基づき選択されたコンテンツの分類等が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。嗜好データにより、サービス事業者が有する数多くの広告および情報の中から、ユーザが所望する情報(コンテンツ)のみをユーザに提供できる。そのため、ユーザは、不要な情報(コンテンツ)を受信しなくてよい。なお、この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。また、ユーザは、サービス事業者が有する広告コンテンツの種類を示す嗜好テーブルから所望のコンテンツの分類を選択できるようになっている。また、サービス事業者は、その嗜好テーブルを変えた場合には、その嗜好テーブルのバージョンを更新する。
【0051】
図6は、ID80の嗜好テーブルの一例を示す。嗜好テーブルは、各ジャンルに分類されており、ユーザが所望する分類のコンテンツを、その嗜好テーブルから選択できる。例えば、図6において最も上の階層にある「車」のジャンルには、「交換部品」、「ロードサービス」のジャンルが存在する。また、「交換部品」のジャンルの下の階層には、「タイヤ」、「ランプ」および「オイル」があり、「ロードサービス」のジャンルの下の階層には、「小売店A」の情報および「ガソリンスタンドC」の情報がある。なお、これらの項目に代えてまたは追加するものがあってもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、各コンテンツに関して「0」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望しないことを意味している。一方、各コンテンツに関して「1」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望するものとしている。
【0053】
その嗜好テーブルに記載された各コンテンツの分類のうち、ユーザは、配信を希望するコンテンツの分類を選択できる。例えば、「車」には、フラグとして「1」が関連づけられているため、車に関する情報を所望することになる。また、「交換部品」のうち、「タイヤ」、と「オイル」とに「1」が関連づけられているため、「タイヤ」および「オイル」に「1」が関連づけられる。すると、ユーザは、「タイヤ」および「オイル」に関する情報をユーザが所望することになる。一方、「交換部品」のうち、「ランプ」については、「0」が関連付けられているため、ランプに関する情報を所望しないことになる。ユーザが各コンテンツを選択あるいは解除すると、コンテンツに関連づけられた「1」あるいは「0」がとの選択あるいは解除に応じて変更される。
【0054】
また、アップリンク情報に含まれる累積走行距離情報に関連するダウンリンク情報としては、タイヤ、エンジンオイルおよびブレーキパット等のような車両の消耗品に関する情報等が挙げられる。例えば、一般的なタイヤは、30000km程度の走行距離毎に交換することが求められている。そのため、この実施の形態では、29000km〜31000kmの累積走行距離値に、タイヤに関連する広告コンテンツ等が関連づけられている。同様に、例えば、9000km〜11000kmの累積走行距離値には、エンジンオイルの広告コンテンツ等が関連づけられ、35000km〜50000kmの累積走行距離値には、ブレーキパッドの広告コンテンツ等が関連づけられている。交換する部品によって範囲は異なり、幅を持たせて判断する部品もあれば、ある所定値以上になったら交換するというように閾値を設けて判断する部品もある。
【0055】
図7は、本実施の形態におけるアップリンク情報の構成例を示す図である。上述したように、アップリンク情報は、種々のものがあるが、以下では、本実施の形態に特に関係するアップリンク情報について説明する。アップリンク情報は、サービス事業者コード、目的地、立ち寄り地、もしくは累計走行距離等の情報に加え、嗜好データを作成するための嗜好テーブルバージョン、嗜好データまたは会員情報等を有するものとなっている。サービス事業者コードは、サービス事業者毎に割り当てられたコードである。累計走行距離情報は、車両の累計走行距離を示す情報であって、例えば、累計走行距離メータから走行距離を取得できる。
【0056】
図7に示すアップリンク情報に含まれる会員情報は、サービス事業者毎に自由に設定できる交換情報とすることで、例えば、次回来店時の特典等を保存するために用いることができる。
【0057】
次に、上述の情報提供システム1における車載器10の動作について説明する。図8は、第1の実施の形態における車載器10が、あるサービス事業者が運営する路側無線装置20からの電波を受信した場合の処理動作を示すフローチャートである。
【0058】
車載器10の通信部3は、路側無線装置20から送出される電波の受信状況を監視している。車載器10を備える車両200が、路側無線装置20から送出される電波の通信エリアにエリアインすると、サービス事業者のサーバ装置30は、路側無線装置20を介して車載器10と初期接続される。その初期接続の後、車載器10は、サーバ装置30の制御部36から路側無線装置20を介して送信されるサービス事業者コードを受信する。車載器10の制御部6は、そのサービス事業者コードが受信契約をしているサービス事業者であるか否かを判定する(ステップS101:会員判定ステップ)。
【0059】
制御部6がそのサービス事業者と受信契約をしていないと判定した場合には、制御部6は、ステップS101において否定的(NO)な判定を行い、車載器10は、そのサービス事業者の路側無線装置20から定期的なポーリングにより、公共の情報や勧誘の情報を受信する(ステップS105:ポーリングステップ)。一方、制御部6がそのサービス事業者とサービス提供契約を締結していると判定した場合には、ステップS101において肯定的(YES)な判定を行い、車両200の累計走行距離情報を含むアップリンク情報を電波に載せて通信部3より送信する(ステップS102:アップリンク情報送信ステップ)。
【0060】
次に、車載器10が送信したアップリンク情報に応じたダウンリンク情報が路側無線装置20から送信される。具体的には、アップリンク情報に含まれる累計走行距離情報に応じた広告コンテンツが送信される。例えば、累計走行距離情報が示す累計走行距離が30000kmである場合に、サーバ装置30は、その距離値に関連づけられているタイヤの広告コンテンツを路側無線装置20を介してダウンリンク情報として車載器10へ送信する。車載器10の制御部6は、そのダウンリンク情報を受信する(ステップS103:ダウンリンク情報受信ステップ)。一方、車載器10がダウンリンク情報を一定時間以上受信しない場合には、制御部6は、車載器10と路側無線装置20との接続を一旦終了する。
【0061】
車載器10の通信部3が受信したダウンリンク情報は、制御部6により記憶部7に記憶される。記憶部7に記憶されたダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告は、ID10の対象地点に緯度経度情報が入っている場合は対象地点への到達やID03に含まれている情報が即時の場合やユーザの指示等によって出力部9より出力される(ステップS104:出力ステップ)。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る車載器10は、走行距離情報を含むアップリンク情報を送信する。そのため、累計走行距離情報を他の装置で活用できる。本実施の形態では、累計走行距離情報により、サーバ装置30が提供するための情報を選別できる。
【0063】
次に、本発明の実施の形態に係る情報提供システム1のサーバ装置30の動作を説明する。図9は、第1の実施の形態に係る情報提供システム1の各装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0064】
まず、路側無線装置20の通信エリアに、車載器10が搭載された車両200がエリアインする。すると、車載器10と路側無線装置20との間に、プッシュ型の通信が確立し、その時点で車載器10より発信されるASL−ID等をサーバ装置30が受信する(ステップS201:クライアント情報取得ステップ)。サーバ装置30の制御部36は、そのASL−ID等により、そのユーザが会員であるか否かを判定する(ステップS202:会員判定ステップ)。
【0065】
路側無線装置20を介して情報を発信しているサービス事業者と、車載器10のユーザがサービス受信契約を締結しており、そのユーザが会員であると制御部36が判定した場合には(ステップS202においてYES)、制御部36は、サービス事業コードを送信する。そして、制御部36は、車載器10から発信された走行距離情報を含むアップリンク情報を、路側無線装置20を介して受信する(ステップS203:アップリンク情報受信ステップ)。
【0066】
サーバ装置30の制御部36は、受信した累計走行距離情報より、その走行距離が交換時期であるか否かを判定する(ステップS204:走行距離情報判定ステップ)。例えば、累積走行距離が30000kmである旨の累計走行距離情報を制御部36が受信した場合には、タイヤの交換時期が29000km〜31000kmとして関連付けられているため、交換時期である(すなわち、ステップS204においてYES)と判定される。
【0067】
制御部36がステップS204においてYESである旨の判定をした場合には、制御部36は、その交換時期である部品等の情報であるコンテンツを、走行距離に関連する情報としてデータ蓄積部33から取得する。そして、制御部36は、そのタイヤの広告コンテンツをダウンリンク情報として路側無線装置20を介して車載器10へ送信する。
【0068】
車載器10がダウンリンク情報を受信すると、図8に示すフローチャートのステップS104によって、車載器10の制御部6は、ダウンリンク情報を出力する。すなわち、ダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告データを制御部6は、AD変換部8あるいは記憶部7に送出する。AD変換部8にて変換された信号は、出力部9より適宜出力される(ステップS104:出力ステップ)。
【0069】
以上のように、第1の実施の形態の情報提供システム1では、サーバ装置30が車載器10から受信した累積走行距離情報に基づき、交換の必要がある部品等に関する情報を選択してユーザに提供できる。したがって、ユーザは、その車両の消耗部品の交換時期を気がつくことができる。また、ユーザは、その消耗部品の交換が必要な時期に、その部品についての広告や情報を得ることができる。さらに、サービス事業者にとっても、交換が必要な部品の情報、すなわち、購買に直結する可能性が高い情報を選択的に送信できるため広告効果が高くなる。
【0070】
次に、第2の実施の形態に係る情報システム1Aについて説明する。図10は、第2の実施の形態に係る情報システム1Aの各装置の動作について説明するフローチャートである。このフローチャートのステップS301〜ステップS302までは、第1の実施の形態におけるステップS201〜ステップS202と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
ステップS302において、車載器10のユーザは、路側無線装置20を介して情報を発信しているサービス事業者の会員であると制御部36が判定した場合には、サーバ装置30の制御部36は、路側無線装置20を介してデータ蓄積部33が有する累計走行距離に関連するすべての情報を車載器10へ配信する(ステップS303:部品情報全配信ステップ)。
【0072】
累計走行距離に関する情報をすべて受け取った車載器10の制御部6は、その車両200の累積走行距離と各部品の交換時期とを比較する(ステップS304:比較ステップ)。累積走行距離が各部品の交換時期ではなかった場合には、制御部6は、サーバ装置30から受信した累計走行距離に関する情報を記憶部6に記憶するが出力はしない。
【0073】
車載器10は、累計走行距離を常に監視し、アップリンク情報の累計走行距離を常に最新のものに書き換えている。また、この実施の形態では、車載器10は、最新累計走行距離情報を得ると、制御部6に送信する。この結果、累積走行距離が交換時期に達した場合には、車載器10の制御部6は、ステップS303において配信された情報の中から、交換時期の部品に関する情報を出力部9から出力する(ステップS305:出力ステップ)。具体例を挙げると、エンジンオイルの交換時期は、9000km〜11000kmの値と関連づけられているが、累積走行距離が8000kmのときに、エンジンオイルに関する情報をステップS304において受信した場合には、エンジンオイルに関する情報は、記憶部7に記憶されて出力されない。しかし、累積走行距離が9000kmに達すると、制御部6は、その情報を得ると、その部品に関する情報を出力するよう制御する。その結果、エンジンオイルに関する情報が出力部9より出力される。
【0074】
以上に説明したように、サーバ装置30は、車載器10に対して累積走行距離に関する全ての情報、すなわち、消耗部品に関する全ての情報を送信し、車載器10の制御部6は、受信した情報の出力可否を判定するものとしている。そのため、その情報を受け取った時点では出力されないが、消耗部品の交換時期に交換対象となる消耗部品の購買情報を得られるものとなる。
【0075】
次に、第3の実施の形態に係る情報システム1Bについて説明する。図11は、第3の実施の形態に係る情報システム1Bのサーバ装置30および車載器10の動作について説明するフローチャートである。このフローチャートのステップS401〜ステップS402までは、第1の実施の形態においてのステップS201〜ステップS202と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
車載器10の制御部6が、路側無線装置20を介してサービス事業コードを受信すると、車載器10は、走行距離情報および嗜好データを含むアップリンク情報を、路側無線装置20を介して送信する(ステップS403:アップリンク情報受信ステップ)。
【0077】
ここで、車載器10の送信するアップリンク情報中の嗜好データは、交換が必要な部品に関する情報を受信する設定、すなわち、交換が必要な部品に関する情報に「1」が関連づけられている。あるいは、既に交換が終了した部品に関する情報には、ユーザが嗜好データを手動で変更することにより「0」が関連づけられている。
【0078】
制御部36は、アップリンク情報を受信すると、アップリンク情報中の走行距離情報および嗜好データにより、交換時期にある部品の情報をダウンリンク情報として送信するか否かを判定する(ステップS404:交換時期および嗜好による判定ステップ)。ステップS404において車載器10が送信した累積走行距離情報が、所定の部品の交換時期でありかつその部品に関する嗜好データに「1」が関連付けられていると、制御部36に判定された場合には(ステップS404においてYES)、サーバ装置30が累計走行距離に関連したその所定の部品の情報をダウンリンク情報として配信する(ステップS405:情報配信ステップ)。例えば、アップリンク中の嗜好データにおいて、エンジンオイルの情報に「1」が、およびタイヤの情報に「0」が関連付けられており、かつ、累積走行距離が30000kmの走行距離情報をサーバ装置30が受信したとする。その場合、サーバ装置30の制御部36は、1回目のタイヤの交換時期であることに加えて、3回目のエンジンオイルの交換時期であるが、エンジンオイルの情報のみ「1」であるため、エンジンオイルの情報のみを出力し、タイヤの情報を出力しないと判定する(ステップS404においてYES)。したがって、ステップS405において、サーバ装置30は、車載器10に対してエンジンオイルに関する広告コンテンツのみをダウンリンク情報に含めて送信する。
【0079】
次に、車載器10は、ダウンリンク情報を受信して、出力する(ステップS406:コンテンツ出力ステップ)。
【0080】
以上のように、第3の実施の形態では、サーバ装置30において配信された情報のうち、嗜好データに合致する情報のみを車載器10が出力するものとしている。そのため、ユーザが嗜好データを操作することにより、車両の消耗部品の交換後に、交換部品についての情報が出力され続けることを防止できる。
【0081】
以上、本発明の第1の実施の形態、第2の実施の形態および第3の実施の形態について述べたが、本発明は、これらの各実施の形態に限定されることなく、種々の変形および組合せが可能である。
【0082】
例えば、各実施の形態において、累積走行距離と累積走行距離に関連付けられた部品の交換時期とを比較するものとしたが、このような形態に限らない。例えば、累積走行距離ではなく、車載器10を取り付けた時点からの走行距離としてもよい。あるいは、部品を交換するとリセットするようなカウンターを別に設けることで、部品を交換した後の走行距離としてもよい。また、所定の累計走行距離値の範囲内を消耗部品の交換時期として設定するのではなく、ある累積走行距離値を超えたか否かで消耗部品の交換時期としてもよい。すなわち、タイヤの交換時期を、29000km〜31000kmとするのではなく、29000kmを超えてから、タイヤの交換を確認するまで交換時期として判定されるようにしてもよい。
【0083】
また、各実施の形態において、サービス事業者が、部品を交換した履歴をそのサービス事業者のサーバ装置30のデータ蓄積部33に記録することで、次回の交換時期までその履歴に基づき、その車載器10に交換した部品に関する情報を出力しないと判定するようにしてもよい。あるいは、各サービス事業者用のアップリンク情報の会員情報に「タイヤ交換」等のように記載することで、各サービス事業者が、タイヤに関する情報を出力しないと判定できるようにしてもよい。すなわち、会員情報欄を受信不要情報と記載する欄として用いてもよい。
【0084】
また、車載器10において、タイヤ等に関する部品交換完了という情報をアップリンク情報の会員情報に書き込むことで、制御部36がアップリンク情報中の「部品交換完了」という情報を検出できるようにしてもよい。このように「部品交換完了」という情報を検出できることで、タイヤなどに関する情報をダウンリンク情報として送信しないようにできる。また、ID80の嗜好データにおいて、部品交換が終了した部品に関する情報のチェックを外すことにより、その部品および部品の交換作業に関する情報をダウンリンクしないようにしてもよい。
【0085】
また、第3の実施の形態において、ユーザが設定したID80の嗜好データに合致する情報のみを車載器10が出力するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、部品の交換時期が到来すると、ID80の嗜好データにおいて、交換が必要な部品に関する情報を自動で受信する設定になる、すなわち、交換が必要な部品に関する情報に自動で「1」が関連づけられるようなものとしてもよい。
【0086】
また、第3の実施の形態において、ユーザがID80の嗜好データを操作することにより、消耗部品の交換後に、交換部品についての情報が提供され続けないように設定できるようにしてもよい。しかし、ID80の嗜好データはサービス事業者毎に設定されているため、ある嗜好データのコンテンツの種類、例えば「タイヤ」に関して嗜好データを操作する際には、他のサービス事業者用のID80の嗜好データ内の表示テキスト等を検索し、近いキーワードを有する表示テキストの情報のチェックを一括で変更できるようにしてもよい。そのような形態においては、同業他社から既に交換済みの交換部品についての広告コンテンツが配信されないように容易に設定できる。
【0087】
また、第3実施の形態において、ID80の嗜好データに基づき所望の情報のみを出力するステップS406は、車載器10の制御部6により制御されているが、アップリンク情報に含まれる嗜好データに基づき、サーバ装置30の制御部36が判定してもよい。その場合には、ステップS403とステップS404との間に、ステップS406を行っても良い。
【0088】
また、第3実施の形態のS404において、車載器10が送信した累積走行距離情報が、所定の部品の交換時期でありかつその部品に関する嗜好データに「1」が関連付けられている場合に、サーバ装置30が累計走行距離に関連したその所定の部品の情報をダウンリンク情報として配信するものとしている。しかしこのような形態に限らない。例えば、車載器10が送信した累積走行距離情報が、所定の部品の交換時期であるか、あるいは、その部品に関する嗜好データに「1」が関連付けられている場合に、サーバ装置30が累計走行距離に関連したその所定の部品の情報をダウンリンク情報として配信してもよい。
【0089】
また、第1の実施の形態においては、サーバ装置30の制御部36が情報をフィルタリングし、第2の実施の形態においては、車載器10の制御部6が情報をフィルタリングするものとしている。しかしこのようなものに限らず、例えば、制御部36および制御部6の両方において、情報をフィルタリングするような情報提供システム1、情報提供システム1Aおよび情報提供システム1Bとしてもよい。
【0090】
また、上述の各実施の形態においては、制御部36がダウンリンク情報として広告コンテンツを送信する形態としているが、広告コンテンツに限らずどのようなコンテンツでも良い。例えば、「タイヤの交換時期です」という単なる注意情報としてもよい。
【0091】
また、上述の各実施の形態においては、無線機としての路側無線装置20から車載器10が情報を受信するものとしているが、このような形態に限らず、情報を発信できる無線機であればよい。
【0092】
また、上述の実施の形態では、路側無線装置20の管理者が、コンテンツ情報を提供する業者である場合もある。この他にもたとえば、路側無線装置20の管理者は、コンテンツを提供する事業者ではなく、コンテンツを与える事業者と契約を結んで、その路側無線装置20を運営する者、すなわちサービスを提供する者以外の者が路側無線装置20を設置し、管理する形式としてもよい。
【0093】
また、路側無線装置20は、車載器20とサーバ装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行うとしたが、路側無線装置20にサーバ装置30があり、路側無線装置20の内部ですべての処理を行う形態としてもよい。
【0094】
また、上述の実施の形態の情報提供システム1、情報提供システム1Aおよび情報提供システム1Bが有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部6における処理の全部またはその一部は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても良く、その少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。
【0095】
また、例えば、車載器10を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、CD(compact disc)、DVD(digital versatile disk)、MO(magneto−optical)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器10として動作させ、あるいは、車載器10が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器10となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0096】
なお、各実施の形態では、音声および映像を出力するものとしたが、視覚、聴覚、嗅覚あるいは触覚等によりユーザが認識できるような他の手段により出力されても良い。具体的は、例えば、振動あるいは光等により情報を出力する車載器10としてもよい。また、2以上の認識方法を組み合わせて情報を出力する車載器10としてもよい。また、映像等により情報が出力される場合には、テキスト情報、静止画情報、映像情報、あるいはそれらを組み合わせて出力されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報提供システムを示す概略図である。
【図2】図1の情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1の情報提供システムの外観の例を示す説明図である。
【図4】各実施の形態におけるダウンリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図5】図4のデータ構成例をより詳細に説明する説明図である。
【図6】各実施の形態における嗜好データのデータ構成例を説明する説明図である。
【図7】各実施の形態におけるアップリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図8】第1の実施の形態に係る車載器の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B…情報提供システム、3…通信部、6・・・制御部、7…記憶部、10…車載器、20…無線機(路側無線装置)、30…サーバ装置、200…車両


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に車両との通信エリア内に配置された無線機からの送信データを受信する車載器であって、
上記車両の走行距離情報を取得し、その走行距離情報を無線で上記無線機へ送信すると共に上記走行距離情報に関連する情報を上記無線機から受信する制御を行う制御部を有することを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記制御部は、受信した前記走行距離情報に関連する情報を表示するか否かまたは保存するか否かの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記制御部は、車載器のユーザの嗜好を示す嗜好データを保存すると共に、前記無線機へ送信する制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
無線で情報の送受信が可能な無線機と、
車両の走行距離情報を取得し、その走行距離情報を上記無線機へ無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、
上記無線機を介して上記走行距離情報を受信すると共に当該走行距離情報に関連する情報を提供するサーバと、
を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
前記走行距離情報に関連する情報は、前記走行距離情報に基づき前記車両にとって交換が必要とされる部品に関する情報であることを特徴とする請求項4記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記車載器の前記制御部は、前記部品に関する情報の提供者毎に設定された嗜好データを前記無線機へ送信し、かつ、当該嗜好データに含まれる前記交換が必要とされる部品に関する情報の選択が前記嗜好データによって解除されると、車両の走行距離が所定値に達するまで、当該交換が必要とされる部品に関するコンテンツを出力しないことを特徴とする、請求項5に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記嗜好データにおいて、嗜好データにより選択されたコンテンツの選択が解除されるときには、前記制御部は、他のコンテンツ提供者の嗜好データに同一または類似のコンテンツがあるか否かを判断し、上記他の事業者と同一または類似のコンテンツの選択を解除するか否かの表示を前記車載器によって行うことを特徴とする、請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記車載器は、さらに、前記交換を必要とする部品を交換したことが記載された交換情報を送信し、
前記サーバは、上記交換情報に基づき、上記交換を必要とする部品に関するコンテンツを送信しないと判定することを特徴とする、請求項6から請求項7のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記サーバが有する制御部は、前記走行距離情報と共に、嗜好データあるいは交換情報の少なくとも一方を取得し、
上記嗜好データあるいは上記交換情報の少なくとも一方により、前記走行距離情報に関連する情報を車載器へ送信するか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−198335(P2009−198335A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40698(P2008−40698)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】