説明

車載用レーダ装置、及び車載用レーダ制御方法

【課題】人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供する。
【解決手段】車載用レーダ装置であって、自車周辺に電磁波を照射する電磁波照射部と、電磁波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する反射波受信部と、反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する電磁波物体検知部と、自車周辺の物体を補助的に検知する物体補助検知部と、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定する走行状態判定部と、所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向の物体補助検知部の検知状態に応じて、電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める電磁波照射制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用レーダ装置、及び車載用レーダ制御方法に関し、より特定的には、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、及び車載用レーダ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光波、ミリ波などの電磁波を車両前方に照射し、その反射波に基づいて、車両前方の物体を検知する車載用レーダ装置が存在する。この種の車載用レーダ装置は、例えば、先行車両等との間隔が短くなったことを検出して警報を発生する装置や、先行車両と所定の車間距離を維持するように車速を制御したりする装置として適用される。
【0003】
その中でも、電磁波照射による人体への悪影響を考慮し、人体への電磁波照射を低減するために、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所、例えば繁華街、住宅街、サービスエリア内、駐車場内を車両が走行しているか否かをナビゲーション情報から判断し、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行していると判断した場合に、電磁波照射を停止する車載用レーダ装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−325865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の車載用レーダ装置では、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合は、無条件に電磁波照射を停止してしまうため、その場所では、もはや車両周辺の物体を検知することができなくなってしまう。
【0005】
そのため、人体に電磁波を照射することを低減できたとしても、車両が当該車両周辺の物体に衝突することを回避できなくなってしまい、車載用レーダ装置の本来の機能を果たせなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされた。すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、及び車載用レーダ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面は、車載用レーダ装置に向けられている。本発明は、自車周辺に電磁波を照射する電磁波照射部と、電磁波照射部が電磁波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する反射波受信部と、反射波受信部が受信した反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する電磁波物体検知部と、自車周辺の物体を補助的に検知する物体補助検知部と、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定する走行状態判定部と、走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向の物体補助検知部の検知状態に応じて、電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める電磁波照射制御部とを備える。
【0008】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0009】
また、物体補助検知部は、自車周辺を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知部とを含み、電磁波照射制御部は、走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、画像物体検知部が人体を検知した場合、電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0010】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で人体を検知した場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0011】
また、物体補助検知部は、自車周辺を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知部とを含み、電磁波照射制御部は、走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、画像物体検知部が物体を検知しなかった場合、電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0012】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で物体を検知しなかった場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0013】
また、物体補助検知部は、自車周辺に超音波を照射する超音波照射部と、超音波照射部が超音波を照射することによって自車周辺の物体を検知する超音波物体検知部とを含み、電磁波照射制御部は、走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、超音波物体検知部が物体を検知した場合、電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0014】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、超音波センサによってレーダの検知範囲よりも近傍で物体を検知した場合、超音波センサの検知範囲よりも遠方への人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0015】
また、走行状態判定部は、自車が所定速度よりも遅い速度で走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0016】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0017】
また、走行状態判定部は、自車が減速して走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0018】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0019】
また、走行状態判定部は、自車が加速せずに走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0020】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0021】
また、走行状態判定部は、ナビゲーション情報に基づき、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定することが好ましい。
【0022】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かをナビゲーション情報に基づいて判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0023】
また、所定の場所は、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内であることが好ましい。
【0024】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所、すなわち、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0025】
また、電磁波照射部が照射する電磁波は、ミリ波であることが好ましい。
【0026】
これにより、人体にミリ波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体へのミリ波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置を提供することができる。
【0027】
本発明の第2の局面は、車載用レーダ制御方法に向けられている。本発明は、自車周辺に電磁波を照射する電磁波照射ステップと、電磁波照射ステップで電磁波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する反射波受信ステップと、反射波受信ステップで受信した反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する電磁波物体検知ステップと、自車周辺の物体を補助的に検知する物体補助検知ステップと、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定する走行状態判定ステップと、走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向の物体補助検知ステップでの検知状態に応じて、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める電磁波照射制御部とを備える。
【0028】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0029】
また、物体補助検知ステップは、自車周辺を撮像する撮像ステップと、撮像ステップで撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知ステップとを含み、電磁波照射制御ステップでは、走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、画像物体検知ステップで人体を検知した場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0030】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で人体を検知した場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0031】
また、物体補助検知ステップは、自車周辺を撮像する撮像ステップと、撮像ステップで撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知ステップとを含み、電磁波照射制御ステップでは、走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、画像物体検知ステップで物体を検知しなかった場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0032】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で物体を検知しなかった場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0033】
また、物体補助検知ステップは、自車周辺に超音波を照射する超音波照射ステップと、超音波照射ステップで超音波を照射することによって自車周辺の物体を検知する超音波物体検知ステップとを含み、電磁波照射制御ステップでは、走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、超音波物体検知ステップで物体を検知した場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることが好ましい。
【0034】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、超音波センサによってレーダの検知範囲よりも近傍で物体を検知した場合、超音波センサの検知範囲よりも遠方への人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0035】
また、走行状態判定ステップでは、自車が所定速度よりも遅い速度で走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0036】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0037】
また、走行状態判定ステップでは、自車が減速して走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0038】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0039】
また、走行状態判定ステップでは、自車が加速せずに走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することが好ましい。
【0040】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0041】
また、走行状態判定ステップでは、ナビゲーション情報に基づき、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定することが好ましい。
【0042】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かをナビゲーション情報に基づいて判断できるため、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0043】
また、所定の場所は、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内であることが好ましい。
【0044】
これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所、すなわち、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0045】
また、電磁波照射ステップで照射する電磁波は、ミリ波であることが好ましい。
【0046】
これにより、人体にミリ波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体へのミリ波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0047】
以上説明したように、本発明によれば、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、及び車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る車載用レーダ装置について、図面に従って詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施の形態に係る車載用レーダ装置100の全体構成を示すブロック図である。図1において、車載用レーダ装置100は、電磁波照射部110、反射波受信部120、電磁波物体検知部130、走行状態判定部140、撮像部150、画像物体検知部160、及び電磁波照射制御部170を備える。
【0050】
電磁波照射部110は、例えば、複数の素子アンテナを所定の間隔で配列したアレーアンテナであって、アレー配列の一端に位置し空間に電波を送出する送信素子アンテナからなり、電磁波であるミリ波を自車周辺に照射する。
【0051】
反射波受信部120は、電波を受信する受信素子アンテナからなり、電磁波照射部110がミリ波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する。
【0052】
電磁波物体検知部130は、反射波受信部120が受信した反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する。
【0053】
走行状態判定部140は、自車が所定の速度以下で走行している場合、自車が減速して走行している場合、加速せずに走行している場合、又はナビゲーション情報に基づく自車の現在位置が所定の位置である場合、所定の場所、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所である、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内を自車が走行していると判定する。これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行しているか否かを判断できる。
【0054】
撮像部150は、自車周辺を撮像する、例えばカメラである。画像物体検知部160は、撮像部150が撮像した画像に基づき、画像パターンマッチング等を行い、画像認識によって自車周辺の物体を検知する、例えば画像センサである。
【0055】
電磁波照射制御部170は、走行状態判定部140が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部130の検知方向と同じ方向に、画像物体検知部160が人体を検知した場合、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める。これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で人体を検知した場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる。
【0056】
このように構成される車載用レーダ装置100は、図2に示すように、自車前方の物体を検知するFRレーダ、自車側方の物体を検知する側方レーダ、自車後方の物体を検知するRRレーダからなる。
【0057】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る車載用レーダ装置100の動作について、図3のフロー図に従って説明する。
【0058】
まず、電磁波照射部110は、自車周辺へのミリ波の照射を開始する(ステップS301)。
【0059】
次に、走行状態判定部140は、所定の場所、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行しているか否かを判定する(ステップS302)。
【0060】
ステップS302において、所定の場所を走行していないと判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していないと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0061】
一方、ステップS302において、所定の場所を走行していると判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していると判定された場合、電磁波照射制御部170は、画像物体検知部160が画像認識によって自車周辺の人体を検知したか否かを判定する(ステップS303)。
【0062】
ステップS303において、画像認識によって自車周辺の人体を検知しなかったと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0063】
一方、ステップS303において、画像認識によって自車周辺の人体を検知したと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める(ステップS304)。
【0064】
このように、本発明によれば、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る車載用レーダ装置100について、図面に従って詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については、その説明を省略する。
【0066】
電磁波照射制御部170は、走行状態判定部140が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部130の検知方向と同じ方向に、画像物体検知部160が物体を検知しなかった場合、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める。これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、画像センサによってレーダの検知範囲よりも遠方で物体を検知しなかった場合、画像センサの検知範囲よりも近傍での人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる。
【0067】
本発明の第2の実施の形態に係る車載用レーダ装置100の動作について、図4のフロー図に従って説明する。
【0068】
まず、電磁波照射部110は、自車周辺へのミリ波の照射を開始する(ステップS401)。
【0069】
次に、走行状態判定部140は、所定の場所、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行しているか否かを判定する(ステップS402)。
【0070】
ステップS402において、所定の場所を走行していないと判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していないと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0071】
一方、ステップS402において、所定の場所を走行していると判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していると判定された場合、電磁波照射制御部170は、画像物体検知部160が画像認識によって自車周辺の物体を検知したか否かを判定する(ステップS403)。
【0072】
ステップS403において、画像認識によって自車周辺の物体を検知したと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0073】
一方、ステップS403において、画像認識によって自車周辺の物体を検知しなかったと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める(ステップS404)。
【0074】
このように、本発明によれば、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0075】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施の形態に係る車載用レーダ装置100について、図面に従って詳細に説明する。なお、第1、及び第2の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。
【0076】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る車載用レーダ装置100の全体構成を示すブロック図である。図5において、車載用レーダ装置100は、電磁波照射部110、反射波受信部120、電磁波物体検知部130、走行状態判定部140、超音波照射部180、超音波物体検知部190、及び電磁波照射制御部170を備える。
【0077】
超音波照射部180は、自車周辺に超音波を照射する。超音波物体検知部190は、超音波照射部180が超音波を照射することによって物体から反射される反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する、例えば超音波センサである。
【0078】
電磁波照射制御部170は、走行状態判定部140が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、電磁波物体検知部130の検知方向と同じ方向に、超音波物体検知部190が物体を検知した場合、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める。これにより、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、超音波センサによってレーダの検知範囲よりも近傍で物体を検知した場合、超音波センサの検知範囲よりも遠方への人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる。
【0079】
以下、本発明の第3の実施の形態に係る車載用レーダ装置100の動作について、図7のフロー図に従って説明する。
【0080】
まず、電磁波照射部110は、自車周辺へのミリ波の照射を開始する(ステップS601)。
【0081】
次に、走行状態判定部140は、所定の場所、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行しているか否かを判定する(ステップS602)。
【0082】
ステップS602において、所定の場所を走行していないと判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していないと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0083】
一方、ステップS602において、所定の場所を走行していると判定された場合、すなわち、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を自車が走行していると判定された場合、電磁波照射制御部170は、超音波物体検知部190が超音波によって自車周辺の物体を検知したか否かを判定する(ステップS603)。
【0084】
ステップS603において、超音波によって自車周辺の物体を検知しなかったと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110によるミリ波の照射を継続する。
【0085】
一方、ステップS603において、超音波によって自車周辺の物体を検知したと判定された場合、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める(ステップS604)。
【0086】
このように、本発明によれば、人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、車載用レーダ制御方法を提供することができる。
【0087】
なお、車載用レーダ装置100は、画像物体検知部160、及び超音波物体検知部190双方を含む構成であってもよい。この場合、画像物体検知部160、及び超音波物体検知部190双方の検知結果に基づき、電磁波照射制御部170は、電磁波照射部110による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めるようにしてもよい。
【0088】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
人体に電磁波を照射する可能性が高い場所を車両が走行している場合に、人体への電磁波照射を低減すると共に、車両が当該車両周辺の物体と衝突することを回避することができる車載用レーダ装置、車載用レーダ制御方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車載用レーダ装置の全体構成を示すブロック図
【図2】車載用レーダ装置の検知エリアを示す模式図
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車載用レーダ装置の動作を示すフロー図
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る車載用レーダ装置の動作を示すフロー図
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る車載用レーダ装置の全体構成を示すブロック図
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る車載用レーダ装置の動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0091】
100 車載用レーダ装置
110 電磁波照射部
120 反射波受信部
130 電磁波物体検知部
140 走行状態判定部
150 撮像部
160 画像物体検知部
170 電磁波照射制御部
180 超音波照射部
190 超音波物体検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用レーダ装置であって、
自車周辺に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記電磁波照射部が電磁波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する反射波受信部と、
前記反射波受信部が受信した反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する電磁波物体検知部と、
自車周辺の物体を補助的に検知する物体補助検知部と、
所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定する走行状態判定部と、
前記走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向の前記物体補助検知部の検知状態に応じて、前記電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める電磁波照射制御部とを備える、車載用レーダ装置。
【請求項2】
前記物体補助検知部は、
自車周辺を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知部とを含み、
前記電磁波照射制御部は、前記走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、前記画像物体検知部が人体を検知した場合、前記電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項1に記載の車載用レーダ装置。
【請求項3】
前記物体補助検知部は、
自車周辺を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知部とを含み、
前記電磁波照射制御部は、前記走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、前記画像物体検知部が物体を検知しなかった場合、前記電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項1に記載の車載用レーダ装置。
【請求項4】
前記物体補助検知部は、
自車周辺に超音波を照射する超音波照射部と、
前記超音波照射部が超音波を照射することによって自車周辺の物体を検知する超音波物体検知部とを含み、
前記電磁波照射制御部は、前記走行状態判定部が所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知部の検知方向と同じ方向に、前記超音波物体検知部が物体を検知した場合、前記電磁波照射部による電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項1に記載の車載用レーダ装置。
【請求項5】
前記走行状態判定部は、自車が所定速度よりも遅い速度で走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項6】
前記走行状態判定部は、自車が減速して走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項7】
前記走行状態判定部は、自車が加速せずに走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項8】
前記走行状態判定部は、ナビゲーション情報に基づき、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項9】
前記所定の場所は、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項10】
前記電磁波照射部が照射する電磁波は、ミリ波であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項11】
車載用レーダ制御方法であって、
自車周辺に電磁波を照射する電磁波照射ステップと、
前記電磁波照射ステップで電磁波を照射することによって自車周辺の物体から反射される反射波を受信する反射波受信ステップと、
前記反射波受信ステップで受信した反射波に基づいて、自車周辺の物体を検知する電磁波物体検知ステップと、
自車周辺の物体を補助的に検知する物体補助検知ステップと、
所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定する走行状態判定ステップと、
前記走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向の前記物体補助検知ステップでの検知状態に応じて、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱める電磁波照射制御部とを備える、車載用レーダ装置。
【請求項12】
前記物体補助検知ステップは、
自車周辺を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知ステップとを含み、
前記電磁波照射制御ステップでは、前記走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、前記画像物体検知ステップで人体を検知した場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項11に記載の車載用レーダ装置。
【請求項13】
前記物体補助検知ステップは、
自車周辺を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮像した自車周辺の画像を認識することによって自車周辺の物体を検知する画像物体検知ステップとを含み、
前記電磁波照射制御ステップでは、前記走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、前記画像物体検知ステップで物体を検知しなかった場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項11に記載の車載用レーダ装置。
【請求項14】
前記物体補助検知ステップは、
自車周辺に超音波を照射する超音波照射ステップと、
前記超音波照射ステップで超音波を照射することによって自車周辺の物体を検知する超音波物体検知ステップとを含み、
前記電磁波照射制御ステップでは、前記走行状態判定ステップで所定の場所を自車が走行している状態であると判定したときに、前記電磁波物体検知ステップでの検知方向と同じ方向に、前記超音波物体検知ステップで物体を検知した場合、電磁波の照射を停止、又は照射強度を弱めることを特徴とする、請求項11に記載の車載用レーダ装置。
【請求項15】
前記走行状態判定ステップでは、自車が所定速度よりも遅い速度で走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項16】
前記走行状態判定ステップでは、自車が減速して走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項17】
前記走行状態判定ステップでは、自車が加速せずに走行している状態である場合に、所定の場所を自車が走行している状態であると判定することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項18】
前記走行状態判定ステップでは、ナビゲーション情報に基づき、所定の場所を自車が走行している状態か否かを判定することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項19】
前記所定の場所は、繁華街、住宅街、サービスエリア内、又は駐車場内であることを特徴とする、請求項11〜18のいずれかに記載の車載用レーダ装置。
【請求項20】
前記電磁波照射ステップで照射する電磁波は、ミリ波であることを特徴とする、請求項11〜19のいずれかに記載の車載用レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236730(P2009−236730A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84086(P2008−84086)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】