説明

車載用情報入出力システム

【課題】複数席での操作入力が可能で、重要な情報で運転者による入力操作に基づく表示の変更を防止すること。
【解決手段】ナビゲーション機能を含む電子機器1と、表示画面20,30と、操作入力手段21,31とを備え、操作入力手段は運転者よる操作を優先させる運転者優先モード受付手段12を設け、運転者優先モードでは表示画面20,30に所定の重要情報が表示されている期間中は、運転者用操作入力手段21以外の表示切り換え操作を禁止すると共に、ナビゲーション機能を操作する入力操作があった場合、最先の入力操作の情報を所定期間だけ表示させ、所定期間中、他の操作入力手段21,31からの割り込み操作あるいは表示を禁止する。ナビゲーション機能以外の他の機能が操作された場合には、ナビゲーション機能と独立して、当該他の機能の操作に基づく情報を表示画面20,30に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用情報入出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路地図や走行予定経路等の情報を画面に表示させたり、音声でガイドを行ったりする機能(ナビゲーション機能)を備えると共に、その他の機能、例えば、携帯電話を接続して電子メールを受信したり、インターネットに接続する等の機能や、CDまたはMD等のオーディオを再生する機能等、複数の機能を備えた車載用情報入出力システムが知られている(特開平10−287188号公報:以後、「従来公報」という)。複数の機能を備えた電子機器は、リモートコントローラあるいは画面を直接触れて操作するタッチパネル等の操作入力手段により操作される。
【0003】
近年、運転者だけでなく同乗者も車載用情報入出力システムを利用できるように、運転席と同乗者席に、それぞれ表示画面および操作入力手段が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各座席に表示画面と操作入力手段が配置されると、運転者が運転に必要な情報の閲覧中に、同乗者の入力操作によって、閲覧中の情報が消去されてしまう虞がある。このように、閲覧中に情報を消去されたり変更されてしまうと、運転者が運転に必要な情報を得られなくなり、本来のナビゲーション機能が損なわれることとなる。
【0005】
また、従来公報に記載された車載用情報表示装置のように、運転者による情報入力を最優先とし、運転者が操作している状態、およびその操作により情報が表示されている状態において、同乗者がいかなる操作も出来ないように制限をすると、運転者と同乗者が共に操作できるようにしたメリットが薄れる。
【0006】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑みて、複数席での操作入力が可能で、運転に必要となる重要な情報の変更を防止しつつ、所定の条件においては同じ機能の操作をした場合、最先の操作者の入力操作に基づく表示の変更を防止する車載用情報入出力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明は、ナビゲーション機能を少なくとも含む複数の機能を有する電子機器と、この電子機器から出力される情報を表示する1つ以上の表示画面と、電子機器の各機能をそれぞれ個別に操作することが可能な複数の操作入力手段とを備えた車載用情報入出力システムであって、複数の操作入力手段からナビゲーション機能を操作する入力操作があった場合には、入力操作のうちで最先の入力操作に基づく情報を所定期間だけ優先して表示させ、当該所定期間中、他の操作入力手段からの割り込み操作を禁止し、あるいは、割り込み操作に基づく表示を禁止する最先優先表示処理手段と、操作入力手段のうちの1つを運転者用操作入力手段とし、運転者用操作入力手段による操作を優先させる運転者優先モード受付手段と、運転者優先モードが選ばれ、表示画面に所定の重要情報が表示されている期間中においては、運転者用操作入力手段以外の他の操作入力手段からの表示切り換え操作を禁止する表示切り換え禁止手段と、ナビゲーション機能以外の他の機能が操作されたことを検知する他機能操作検知手段と、他機能操作検知手段の検知に基づいて、ナビゲーション機能と独立して、当該他の機能の操作に基づく情報を表示画面に表示させる他機能表示処理手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、他の発明は、上述の車載用情報入出力システムにおいて、複数の操作入力手段により、同じ機能が同時期に操作されたことを検知する同時期操作検知手段を備え、同時期操作検知手段が、運転者用操作入力手段とそれ以外の操作入力手段によって同時期に前記ナビゲーション機能が操作されたことを検知した場合、運転者優先モード受付手段が、運転者用操作入力手段の操作を優先させることを特徴としている。
【0009】
また、他の発明は、上述の各車載用情報入出力システムにおいて、車両が走行中であるかそれとも停止中であるかを判断する車両状態判断手段と、車両の走行中において、運転者用操作入力手段による入力操作の種類が、運転に支障のない容易なものであるか否かを判断する入力操作内容判断手段と、入力操作内容判断手段によって、走行中における運転者用操作入力手段の入力操作の種類が容易なものであると判断された場合、この容易な操作に基づく情報を優先して表示画面に割り込み表示させる容易操作優先表示処理手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、他の発明は、上述の各車載用情報入出力システムにおいて、所定の重要情報は、交差点拡大図、高速道路分岐点図、VICS(道路交通情報システム)に関する情報、ETC(有料道路自動料金収受システム)に関する情報、電話の着信情報、DSRC(狭域無線通信)に関する情報および他機能が作動したことに関する情報のうちの少なくともいずれか1つであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、複数席での操作入力が可能で、運転に必要となる重要な情報の変更を防止しつつ、所定の条件においては同じ機能の操作をした場合、最先の操作者の入力操作に基づく表示の変更を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る車載用情報入出力システムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の車載用情報入出力システムの全体構成を示すブロック図である。車載用情報入出力システムは、ナビゲーション機能を備えた電子機器1と、車両内の座席から操作できる位置に設置される入力機器2,3と、車両状態を検知して判断する車両状態判断手段としての車両状態検知機器4とを備えている。入力機器2,3は、電子機器1から出力される情報を表示する表示画面20,30と、電子機器1が有する各機能をそれぞれ個別に操作することが可能な操作入力手段となる操作入力部21,31と、表示画面20,30および操作入力部21,31との間でデータの送受信を行う送受信部22,32とを有している。
【0014】
本実施の形態では、表示画面20,30はタッチパネル方式の画面である。また、各入力機器2,3は、それぞれ表示画面20,30と、操作入力部21,31とを備えているが、表示画面20,30を、操作入力部21,31とは別の機器に設けても良い。
【0015】
本実施の形態では、入力機器2は、車内の運転者席の近傍に配置される運転者用の入力機器2である。運転者用の入力機器2にある操作入力部21を、以後、運転者用操作入力部21とする。また、入力機器3は、車内の同乗者席の近傍に配置された同乗者用の入力機器3である。同乗者用の入力機器3にある操作入力部31を、以後、同乗者用操作入力部31とする。また、同乗者用の入力機器3を、2つ以上備えるようにしても良い。
【0016】
電子機器1は、人工衛星からの送信電波を受けて車両の現在位置や走行速度等を検出するGPS(Global Positioning System)受信機5と、複数のDVD−ROMから道路地図情報や施設情報を選択的に読み出す情報読み取り機6と、制御部7とを有している。GPS受信機5および情報読み取り機6は、専用のインターフェース8,9を介して制御部7に接続されている。
【0017】
制御部7は、情報送受信部10と、他機能操作検知手段および入力操作内容判断手段となる入力操作内容判断部11と、運転者優先モード受付手段となる運転者優先モード受付部12と、同時期操作検知手段となる同時期操作検知部13と、表示切り換え禁止手段、他機能表示処理手段および容易操作優先表示処理手段となる表示処理部14と、指令送信部15とを備えている。
【0018】
情報送受信部10は、入力機器2,3との間で情報をやりとりするための構成部である。入力機器2,3から送られてきた情報は、情報送受信部10から入力操作内容判断部11に送られる。
【0019】
入力操作内容判断部11は、入力機器2,3で入力操作された内容を判断するための構成部である。より具体的には、入力操作内容判断部11は、どの入力機器2,3からの操作であるか、操作されたのはどの機能か、操作された内容は禁止されている入力操作の種類であるか否か(運転に支障のない容易な操作か否か)、について判断する。
【0020】
運転者優先モード受付部12は、車両状態検知機器4からの情報、すなわち車両が走行中であるかそれとも停止中であるかに関する情報を受け付け、走行中である場合に運転者優先モードに切り換える。また、運転者優先モード受付部12は、同時期操作検知部13からの検知結果を受け付け、同時期に複数の入力操作があった場合に、運転者用の入力機器2からの入力操作を優先させる運転者優先モードに切り換える。ただし、運転者優先モードへの切り換えは、運転者または同乗者の操作によって行われるようにしても良い。
【0021】
運転者優先モード受付部12は、運転者優先モードに切り換えた際に、表示処理部14にその情報を送り、運転者用の入力機器2による操作を優先させる処理を表示処理部14に行わせる。
【0022】
同時期操作検知部13は、情報送受信部10の情報受信状況をモニターすることにより、複数の入力機器2,3から同時期に入力操作があるか否かを検知する構成部である。同時期操作検知部13は、その検知結果を運転者優先モード受付部12に送る。
【0023】
表示処理部14は、入力操作内容判断部11から情報を受けて、その入力操作内容に応じた画像表示処理を行うものである。より具体的には、複数の入力機器2,3から同じ機能を操作する入力操作があった場合には、表示処理部14は、最先の入力操作に基づく情報を所定期間だけ優先して表示させる処理を行う。表示処理部14は、この所定期間中、他の操作入力部21(または31)からの割り込み操作を禁止する。なお、操作自体を禁止するのではなく、入力操作を可能とし、その割り込み操作に基づく画像表示だけを禁止するようにしても良い。また、表示処理部14は、複数の入力操作があったとしても、それらが別々の機能に対する操作である場合、各機能の操作に基づく情報を表示させる処理を行う。
【0024】
指令送信部15は、表示処理部14からの情報を受けて、入力機器2,3からの操作入力の内容に基づき、動作指令をインターフェース8,9を介してGPS受信機5または情報読み取り機6へ送信する。GPS受信機5および情報読み取り機6からの情報(画像信号及び音声信号)は、情報送受信部10を経由して送受信部22,32に送られる。次に、画像は表示画面20,30に表示され、音声は各入力機器2,3に設けられた、あるいは車内に取り付けられたスピーカ(図示省略)から出力される。
【0025】
車両状態検出機器4は、電子機器1の制御部7に接続されている。車両状態検出機器4は、パーキングブレーキの作動/不作動状態を検知するセンサー、ジャイロセンサー、車速パルスを検知するセンサー等で構成されており、車が走行中であるかそれとも停止中であるかを判断する。
【0026】
電子機器1は、GPS受信機5から得た位置情報等と、情報読み取り機6から読みとった道路地図情報等に基づいて、走行予定経路を画面表示および音声出力するナビゲーション機能を有している。ナビゲーション情報は、電子機器1の情報送受信部10から各入力機器2,3に送られ、各表示画面20,30に表示される。
【0027】
また、電子機器1は、情報読み取り機6に道路地図情報等、ナビゲーション機能に必要なメディア(DVD等)以外の機能を有するメディアを読み込ませることにより、他の機能を有効とすることもできる。例えば、映画や音楽等のDVDを読み込ませることにより、表示画面20,30に映画等の映像を表示させ、スピーカーからその映像と対応した音が出力されるようにすることもできる。また、電子機器1は、ゲーム用DVDを読み込ませて、ゲームの動画を表示画面20,30に表示させ、その操作を表示画面20,30上で行うこともできる。送受信部22および送受信部32は、電子機器1に種々の指令を送信すると共に、電子機器1から送られてくる信号を受信するものである。
【0028】
このように、電子機器1が、運転者用の入力機器2または同乗者用の入力機器3から種々の指令を受けることにより、電子機器1が所望の処理を行う。入力機器2,3からの指令を受け、必要な情報の送信を行う制御は、上述の制御部7により行われる。運転者用の入力機器2および同乗者用の入力機器3は、それぞれ個別に電子機器1の各機能を操作することができるものである。
【0029】
本実施の形態の車載用情報入出力システムは、運転者用の入力機器2または同乗者用の入力機器3の表示画面20,30に表示される所定のメニュー画面内の所定部位に触れることにより、目的地までのルート検索機能および渋滞回避ルート検索機能等のナビゲーション機能を作動させることができる。また、運転者用の入力機器2及び同乗者用の入力機器3には、情報端末として各種施設情報検索機能、携帯電話を接続してインターネット接続およびメールの送受信機能を作動させる機能も設けられている。
【0030】
制御部7は、事前に設定されているプログラムにより、以下のような制御を行う。なお、以下の説明では、特に記載していない場合においても、運転者は運転者用の入力機器2を用いて入力操作を行い、運転者用の入力機器2に設けられた表示画面20を閲覧するものとする。また、同乗者は、同乗者用の入力機器3を用いて入力操作を行い、この入力機器3に設けられた表示画面30を閲覧するものとする。
【0031】
まず、運転者優先モード受付部12が車両状態検知機器4からの情報を受けることにより、制御部7は、車両が走行中であるか停止中であるかを認識する。そして、制御部7は、走行中でかつナビゲーション機能を作動している場合に、運転者優先モードに基づいた制御を行う。一方、制御部7は、停止中でかつナビゲーション機能を作動していない場合に、通常モードに基づいた制御を行う。なお、単に走行中を運転者優先モードとし、停止中を通常モードとするプログラムに基づいて制御しても良い。
【0032】
第1に、通常モードにおいて、制御部7は、同一の機能を操作する複数の入力操作があった場合には、そのうちの最先の入力操作に基づく情報を一定期間もしくはその操作終了時点まで優先して表示させる。入力操作内容判断部11は、同時期操作検知部13および運転者優先モード受付部12から随時送られてくる操作またはモード状況に関する情報に基づいて通常モードであることを把握し、通常モードである場合には最先の入力操作に基づく情報を優先して表示させる。なお、かかる優先表示させる制御は、表示処理部14により行われる。この優先表示の制御中、他の入力機器2,3からの割り込み操作入力は、禁止される。
【0033】
このとき、表示画面20,30上のパネル操作そのものを操作不可とする制御を行っても良いし、パネル操作自体は出来ても画面表示を不変とする制御を行っても良い。これにより、ナビゲーション情報の閲覧中に、割り込み操作が行われて、表示中の情報が変更されてしまうという不具合が生じない。
【0034】
最先の操作者が、メニュー画面を表示画面20,30に表示させた状態で所定の期間が経過してしまうと、制御部7が、これを入力操作の終了と見なして、後からの割り込み操作があった場合にこれを許可する制御をする。ここで、所定の期間とは、ナビゲーション機能を操作する場合、メニュー画面を表示させた状態のまま次の操作をせずに置かれた期間(この実施の形態では、2分間)である。加えて、その操作が、DVDまたはCD等のオーディオの再生させるものである場合、その再生が終わるまでの時間が所定期間である。DVD等の再生の場合も、メニュー画面を表示させて2分間、次の操作を行わないとタイムアウトとなる。ただし、メニュー画面を表示させて操作しない状態とした所定期間は、2分以外の任意の期間とすることができる。
【0035】
上述の説明では、最先の入力操作に基づく情報を優先して表示させることとしたが、同じ機能に対する複数の入力操作が全く同時に行われた場合は、制御部7が、運転者用の入力機器2の入力操作を優先させる制御を行う。また、同乗者用の入力機器3が複数設けられている場合であって、これらの複数の同乗者用の入力機器3同士の入力操作が同時に行われた場合は、予め優先度に高低を付けておき、そのプログラムにしたがって優先者を設定するように制御する。この制御は、表示処理部14が行う。
【0036】
第2に、走行中であり運転者優先モードとなっている状態において、制御部7は、通常モードの状態と同様に、最先の入力操作に基づく情報を優先して表示させる。ただし、運転者用の入力機器2を用いた入力操作があった場合であって、その入力操作が走行中における禁止事項に該当しない場合は、この運転者用の入力機器2を用いた入力操作を優先し、その入力操作に基づく情報の割り込み表示を行わせる。つまり、運転者優先モード受付部12が、表示処理部14に対し、運転者用の入力機器2を用いた入力操作を優先させるように指示を送る。
【0037】
ただし、運転者優先モードでは、運転者の入力操作によってナビゲーション機能が作動されている場合だけでなく、運転者以外の者の入力により作動しているナビゲーション機能に対しても、割り込み指示を与えることができる。このときに有効となる運転者による指示も、運転者が走行中において禁止された事項を除いたものである。
【0038】
また、運転者優先モードでは、上述の割り込みがされる場合は、同じ機能が操作された場合に限るので、同乗者が運転者の操作した機能以外の機能を利用している場合には、割り込みされることはない。つまり、制御部7は、異なる機能に関する操作入力に基づいた表示がなされている表示画面20,30に対しては、上述の割り込み入力操作による表示画面20,30の変更を行わないように制御する。入力操作内容判断部11は、入力機器2,3から送られてくる操作の内容を判断し、異なる機能を操作する指示である場合には、その双方の操作内容が有効となるように表示処理部14へ指示する。
【0039】
運転者または同乗者が、操作部となる表示画面20,30を用いて、ナビゲーション機能を利用する入力操作を行った場合、制御部7は、この時点でナビゲーション情報が表示されている表示画面20,30に、同一のナビゲーション情報を出力して表示させる。
【0040】
しかし、運転者用の入力機器2または同乗者用の入力機器3が他の機能、例えば、ゲーム機能やオーディオ再生機能を利用し、その機能を動作させている場合には、制御部7は、当該他の機能を利用している入力機器2,3の表示画面20,30に表示されている情報を切り換えてまで、入力操作されたナビゲーション情報を表示させない。ナビゲーション機能以外の機能は、ナビゲーション機能とは独立して操作し、表示させることができる。
【0041】
そのため、ナビゲーション情報以外の情報を表示させたい場合であって、その時点で同じ機能が他の操作機器2,3によって操作されていない場合には、自分用の入力機器2,3を用いて所望の機能を作動させてその内容を表示画面20,30に表示させることができる。この関係は、ナビゲーション機能とその他の機能との関係だけでなく、オーディオ機能とゲーム機能等、ナビゲーション機能以外の機能同士の関係でも同様である。
【0042】
上述の各制御により、従来、走行中においては、同乗者によるナビゲーション機能の操作が出来ないが、本願発明では、走行中であっても、同乗者によるナビゲーション機能あるいはその他の機能の操作が可能である。ナビゲーション機能以外の機能の操作か否かの判断は入力操作内容判断部11によって行われる。しかし、走行中には、運転者優先モードとなるため、運転者用の入力機器2からの入力操作のうちの許可されている一部の操作があった場合には、その運転者による割り込み操作が有効となる。
【0043】
また、運転者優先モードの時には、その操作自体が運転者にとって重要な情報を変更してしまう、あるいは消去してしまう操作となってしまう場合には、その操作自体は無効となる。例えば、ナビゲーション案内中に再検索を行って、現在案内中のルートが消去されるような入力操作、または交差点の拡大図等を消去してしまうような入力操作、地図の向き、サイズあるいは表示状態(例えば2Dから3D)の変更等を行う操作、電子メールの読み上げを中断させてしまう操作などが無効となる。
【0044】
これにより、走行中の同乗者による入力操作をある程度有効としつつ、運転者が運転に必要な情報に関しては、運転者の意志でいつでも表示画面20,30に表示させることができる。また、運転者にとって必要な情報が変更されてしまうことを防止することができる。
【0045】
ここで、制御部7が、走行中の割り込みを許可する運転者による入力操作について説明する。運転者優先モードの時に優先される運転者用の入力機器2からの入力操作とは、画面を凝視しなくても行え、運転に支障のない容易なものである。
【0046】
より具体的には、3回以下のメニュー操作で行える入力操作であり、例えば、ワンタッチで行える地点の登録、登録済みの目的地に対するワンタッチで行える検索、オーディオ機能の操作のうちワンタッチで行えるCD/MD等の再生あるいは停止および音量調節、「自宅へ帰る」等の音声入力によるダイレクトな操作等が、ここでいう容易な操作に該当する。なお、上記の容易な操作の回数は3回以下とせず、1回、2回以下あるいは4回以下等の任意の回数とすることができる。
【0047】
運転者用の入力機器2からの入力操作のうち、上述したような容易な操作がなされた場合には、同乗者用の入力機器5による入力操作の途中、あるいはその入力操作によって表示された画面表示が、運転者用の入力機器2からの入力操作に割り込まれて変更となる。
【0048】
なお、走行中において、上述したような容易な操作以外の操作、すなわち複雑な入力を必要とする操作に関しては、運転者優先モードとなっていても、制御部7が運転者用の入力機器2の操作を無効とする。これにより、運転者は運転に支障のない範囲でのみ、操作を行えることとなる。この結果、運転者は運転に集中できる。
【0049】
第3に、制御部7は、運転者優先モードの時において、重要情報の割り込み表示を許可する制御を行う。重要情報の割り込み表示は、運転者が入力操作状況に関わらず発生する。例えば、運転者がナビゲーション機能を操作することにより重要情報である交差点の拡大図を表示させたい場合、制御部7は、その運転者による操作入力を有効とする制御を行い、重要情報を割り込み表示させる制御を行う。また、運転者の入力操作に関係なくナビゲーション機能が作動中に、高速道路の分岐点に関する情報あるいはVICSに関する情報等の重要情報をGPS受信機5が受信した場合、制御部7は、その情報を表示画面20,30へ表示させる制御を行う。
【0050】
制御部7は、操作入力状況に関係なく、重要情報が表示画面20,30に表示された際、運転者用の入力機器2以外の入力機器3からの操作を無効とする制御を行う。これは、割り込み表示された重要情報が、運転者自身にとって重要な情報であるかどうかを、運転者自身が自分で判断し、表示の必要がなければその表示を自ら終了させることができる一方、同乗者の判断をそこに割り込ませないためである。
【0051】
この制御は、表示処理部14が行う。表示処理部14は、GPS受信機5および情報読み取り機6から情報送受信部10に送られてくる情報をモニターし、送られてきた情報が重要情報であると認識した場合に、この重要情報が表示されている間は運転者以外の入力操作を禁止する制御を行う。
【0052】
ここで、重要情報とは、交差点拡大図、高速分岐図、VICS(道路交通情報システム)に関する情報、ETC(有料道路自動料金収受システム)に関する情報、電話の着信情報、電子メールの着信情報、DSRC(狭域無線通信)に関する情報、他の機能が作動したことに関する情報等をいう。ただし、上記の複数の情報のうちの任意の1つ以上を重要情報としても良い。
【0053】
以下に、図2を用いて本実施の形態の動作フローを説明する。図2は、本発明の車載用情報入出力システムにおける一連の動作を示すフローチャート図である。
【0054】
まず、表示画面20,30の所定部位が触れられて入力操作がなされると、情報送受信部10は、その入力操作を受け付ける(ステップS1)。次に、入力操作内容判断部11は、運転者優先モード受付部12からの情報に基づいて、その時点における車の状況を判断する(ステップS2)。車両が走行中の場合には、運転者優先モードとなり、ステップS3に進む。一方、車両が走行中でない場合には、通常モードとなりステップS11に進む。
【0055】
操作者が運転者の場合(ステップS3においてYES)、入力操作内容判断部11は、その入力操作が3回以内の接触で行われる容易な操作か否かを判断する(ステップS4)。容易な操作でない場合(ステップS4においてNO)、表示画面20,30の表示を変更せず(元の表示がない場合は表示をさせず)、処理を終了する。
【0056】
ステップS4において、運転者による入力操作が容易な操作である場合(YES)、表示処理部14が当該入力操作の割り込みを許可して(ステップS5)、当該入力操作に基づく情報の表示を行わせる(ステップS6)。これによって、表示画面20,30には、運転者による入力操作に基づく情報が表示され、処理が終了する。
【0057】
操作者が同乗者の場合(ステップS3においてNO)、入力操作内容判断部11は、既に作動している機能がその入力操作と同じ機能があるか否かを判断する(ステップS7)。入力操作した機能が、既に作動している機能と同じでない場合(作動している機能がない場合を含む=ステップS7においてNO)、表示処理部14は、当該入力操作に基づく情報の表示を行わせて(ステップS6に進む)、処理を終了する。
【0058】
入力操作が既に作動している機能と同じ場合(ステップS7においてYES)、入力操作内容判断部11が、その時点における表示画面20,30の状況に関する情報に基づいて、表示画面20,30に重要情報が表示されているか否かを判断する(ステップS8)。
【0059】
ステップS8の状況で重要情報の表示がある場合(YES)、表示処理部14は、入力操作に基づく情報の割り込み表示を禁止する制御を行い(ステップS10に進む)、処理を終了する。また、ステップS8の状況で重要情報の表示がない場合には、同時期操作検知部13が、入力された操作が同時期に行われた他の入力操作との間の関係で最先のものか否かを判断する(ステップS9)。
【0060】
この結果、入力操作が最先である場合(ステップS9においてYES)、表示処理部14は、当該入力操作に基づく情報の表示を行わせて(ステップS6に進む)、処理を終了する。入力操作が最先でない場合(ステッS9においてNO)、表示処理部14は、入力操作に基づく情報の割り込み表示を禁止する制御を行い(ステップS10)、処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS2において、車両が走行中でないと判断された場合には、入力操作内容判断部11は、既に作動している機能が、その入力操作と同じ機能があるか否かを判断する(ステップS11)。入力操作した機能が、既に作動している機能と同じでない場合(作動している機能がない場合を含む=ステップS11においてNO)、表示処理部14は、当該入力操作に基づく情報の表示を行わせて(ステップS13に進む)、処理を終了する。
【0062】
一方、入力操作が既に作動している機能と同じ場合(ステップS11においてYES)、同時期操作検知部13は、入力された操作が同時期に行われた他の入力操作との間の関係で最先のものか否かを判断する(ステップS12)。入力操作が最先である場合(ステップS12においてYES)、表示処理部14は、当該入力操作に基づく情報の表示を行わせ(ステップS13に進む)、処理を終了する。入力操作が最先でない場合(ステッS12においてNO)、表示処理部14は、入力操作に基づく情報の割り込み表示を禁止する制御を行い(ステップS10)、処理を終了する。
【0063】
上述の実施の形態の車載用情報入出力システムは、運転者が運転者用の入力機器2を用いてナビゲーション機能を作動し、一方で同乗者がゲームや映画鑑賞をDVDの操作によって楽しむことができる。
【0064】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、車両状態検知機器4を設けて走行中か停止中かを判断し、走行中の場合に運転者の可能な操作入力の種類を限定した構成となっている。
【0065】
しかし、走行中における運転者の操作入力の種類を限定せず、全て可能となるようにしても良い。この場合も、運転者の割り込み操作がなされない間においては、同乗者が自由に電子機器1を操作することができる。なお、割り込み操作となるのは、運転者が同乗者の利用している機能と同じ機能の操作をした場合であり、異なる機能に関する操作をした場合には、互いの操作がそれぞれ独立して有効なものとなる。
【0066】
また、上述の実施の形態では、複数の入力機器2,3にそれぞれ表示画面20,30が設けられた構成となっている。しかし、入力機器をリモコンとして複数設け、表示画面は車両内に1つのみ配置し、各人がリモコンで1つの表示画面を共用して、個別に操作可能となるようにしても良い。その場合、複数の機能を表示させる場合には、画面内を複数に分割して表示させてもよい。
【0067】
また、運転に支障のない容易な操作、重要情報は、本実施の形態で説明した内容に限定されることなく、自由に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の車載用情報入出力システムの実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の車載用情報入出力システムの実施の形態における動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0069】
1 電子機器
2 (運転者用の)入力機器
3 (同乗者用の)入力機器
4 車両状態検知機器(車両状態判断手段)
7 制御部
11 入力操作内容判断部(他機能操作検知手段、入力操作内容判断手段)
12 運転者優先モード受付部(運転者優先モード受付手段)
13 同時期操作検知部(同時期操作検知手段)
14 表示処理部(表示切り換え禁止手段、他機能表示処理手段、容易操作優先表示手段)
20 表示画面
21 操作入力部(操作入力手段)
30 表示画面
31 操作入力部(操作入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を少なくとも含む複数の機能を有する電子機器と、この電子機器から出力される情報を表示する1つ以上の表示画面と、上記電子機器の各機能をそれぞれ個別に操作することが可能な複数の操作入力手段とを備えた車載用情報入出力システムであって、
複数の操作入力手段から上記ナビゲーション機能を操作する入力操作があった場合には、上記入力操作のうちで最先の入力操作に基づく情報を所定期間だけ優先して表示させ、当該所定期間中、他の操作入力手段からの割り込み操作を禁止し、あるいは、割り込み操作に基づく表示を禁止する最先優先表示処理手段と、
上記操作入力手段のうちの1つを運転者用操作入力手段とし、上記運転者用操作入力手段による操作を優先させる運転者優先モード受付手段と、
上記運転者優先モードが選ばれ、上記表示画面に所定の重要情報が表示されている期間中においては、上記運転者用操作入力手段以外の他の操作入力手段からの表示切り換え操作を禁止する表示切り換え禁止手段と、
上記ナビゲーション機能以外の他の機能が操作されたことを検知する他機能操作検知手段と、
上記他機能操作検知手段の検知に基づいて、上記ナビゲーション機能と独立して、当該他の機能の操作に基づく情報を上記表示画面に表示させる他機能表示処理手段と、
を備えることを特徴とする車載用情報入出力システム。
【請求項2】
前記複数の操作入力手段により、同じ機能が同時期に操作されたことを検知する同時期操作検知手段を備え、
上記同時期操作検知手段が、前記運転者用操作入力手段とそれ以外の操作入力手段によって同時期に前記ナビゲーション機能が操作されたことを検知した場合、前記運転者優先モード受付手段が、前記運転者用操作入力手段の操作を優先させることを特徴とする請求項1記載の車載用情報入出力システム。
【請求項3】
車両が走行中であるかそれとも停止中であるかを判断する車両状態判断手段と、
車両の走行中において、前記運転者用操作入力手段による入力操作の種類が、運転に支障のない容易なものであるか否かを判断する入力操作内容判断手段と、
上記入力操作内容判断手段によって、走行中における前記運転者用操作入力手段の入力操作の種類が上記容易なものであると判断された場合、この容易な操作に基づく情報を優先して前記表示画面に割り込み表示させる容易操作優先表示処理手段とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の車載用情報入出力システム。
【請求項4】
前記所定の重要情報は、交差点拡大図、高速道路分岐点図、VICS(道路交通情報システム)に関する情報、ETC(有料道路自動料金収受システム)に関する情報、電話の着信情報、DSRC(狭域無線通信)に関する情報および他機能が作動したことに関する情報のうちの少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車載用情報入出力システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−232729(P2007−232729A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93573(P2007−93573)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【分割の表示】特願2002−195756(P2002−195756)の分割
【原出願日】平成14年7月4日(2002.7.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】