説明

車載用音声発生装置

【課題】報知用の音声を鳴らす設備がない交差点において、目の不自由な歩行者に対して横断歩道の歩行を補助することが可能な車載用音声発生装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えている。また、車両の走行状態を示す車両情報を受信する車両情報受信部を備えている。また、車両の周辺に存在する人体の感知結果を示す感知情報を受信する感知情報受信部を備えている。また、車両の周辺を撮像した撮像画像を受信して画像解析を行う撮像画像受信部を備えている。また、車両情報において車両が停車していることが示されており、且つ感知情報において人体が感知されていることが示されており、且つ画像解析の結果において前記車両の進路上に横断歩道が存在することが示されている場合に、所定の報知音声を出力するよう音声制御部を制御する制御部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて音声の出力を行う車載用音声発生装置に関するものであり、特に横断歩道の歩行を補助するための音声を歩行者に対して出力する車載用音声発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者に対して道路の歩行を補助するための様々なシステムが開発されている。例えば交差点の中には、信号機の色が変わり横断可能な状態となった場合に、目の不自由な歩行者に対して横断可能であることを知らせる音声を出力する音声出力装置が設けられているものがある。
【0003】
しかしながら上記のような音声出力装置は、比較的大きな交差点では設置されている可能性が高いものの、郊外の小さな交差点には設置されていない場合が多い。従ってこのような交差点では、目の不自由な歩行者にとって危険な状況が発生する可能性がある。
【0004】
また近年、電気により駆動する電気自動車の実用化に伴い、走行音が静かな車両が増加する傾向にある。このような背景から、目の不自由な歩行者が静かな車両に恐怖を感じることなく、安心して横断歩道を渡れることが望まれている。
【0005】
上記の問題に対して例えば、車両が備えるスピーカ等から疑似走行音を出力し、歩行者に対して車両の存在を通知する技術が考案されている。例えば特許文献1においては、走行音の静かな電気自動車等にエンジン音に代わる疑似エンジン音を発生させる疑似エンジン音発生装置が開示されている。
【0006】
この疑似エンジン音発生装置は、電流検出器、可動量検出器、または、回転数検出器を備え、夫々の検出信号により音声を変化させる疑似音声制御器を備える。また、疑似エンジン音を発生するスピーカを備える。これにより、周囲の人間に車両の接近を知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−316201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1の疑似エンジン音発生装置は、走行中の音声出力に関する技術であり、車両停止時の音声出力に関しては提案されていない。車両停止時に疑似走行音を出力する方法も考えられるが、これでは目の不自由な歩行者は、車両が停止しているのか走行しているのかが分からず、安心して道路の歩行を行うことができない
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、車両に搭載されて用いられる車載用音声発生装置に関するものであり、報知用の音声を鳴らす設備がない交差点において、目の不自由な歩行者に対して横断歩道の歩行を補助することが可能な車載用音声発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えた車載用音声発生装置において、車両の走行状態を示す車両情報を受信する車両情報受信部と、前記車両の周辺に存在する人体の感知結果を示す感知情報を受信する感知情報受信部と、前記車両の周辺を撮像した撮像画像を受信して画像解析を行う撮像画像受信部と、前記車両情報において前記車両が停車していることが示されており、且つ前記感知情報において人体が感知されていることが示されており、且つ前記画像解析の結果において前記車両の進路上に横断歩道が存在することが示されている場合に、予め定められた報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
【0010】
この構成によると、本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えている。また、車両の走行状態を示す車両情報を受信する車両情報受信部を備えている。また、車両の周辺に存在する人体の感知結果を示す感知情報を受信する感知情報受信部を備えている。また、車両の周辺を撮像した撮像画像を受信して画像解析を行う撮像画像受信部を備えている。また、車両情報において車両が停車していることが示されており、且つ感知情報において人体が感知されていることが示されており、且つ画像解析の結果において前記車両の進路上に横断歩道が存在することが示されている場合に、所定の報知音声を出力するよう音声制御部を制御する制御部を備えている。これにより、車両が停止し、且つ横断歩道及び歩行者が存在する場合に、歩行者の歩行を補助するための報知音声を出力することができる。
【0011】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記制御部が、前記車両の進行方向に存在する信号機の状態が停止信号状態であることが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該信号機の状態が停止信号状態ではないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する。
【0012】
この構成によると、制御部は、車両の進行方向に存在する信号機の状態が停止信号状態であることが画像解析結果において示されている場合に、報知音声の出力を許可する。逆に信号機の状態が停止信号状態ではないことが画像解析結果において示されている場合に、報知音声の出力を禁止する。これにより、不要な報知音声の出力を回避できる。
【0013】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記制御部が、前記車両の進路上に他車両が存在することが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止し、該他車両が存在しないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可する。
【0014】
この構成によると、制御部は、車両の進路上に他車両が存在することが画像解析結果において示されている場合に、報知音声の出力を禁止する。逆に他車両が存在しないことが画像解析結果において示されている場合に、報知音声の出力を許可する。これにより、最前列の車両のみから、報知音声の出力を行うことができる。
【0015】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記制御部が、前記車両の側面に中央分離体が存在することが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該中央分離体が存在しないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する。
【0016】
この構成によると、制御部は、車両の側面に中央分離体が存在することが画像解析結果において示されている場合に、報知音声の出力を許可する。逆に中央分離体が存在しないことが画像解析結果において示されている場合に、音声制御部に対して報知音声の出力を禁止する。これにより、横断歩道の中央に近い車両のみから、報知音声の出力を行うことができる。
【0017】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記車載用音声発生装置に対して電子機器を接続する接続部を前記車載用音声発生装置が備え、前記音声制御部が、前記接続部により接続される音声発生器に対して音声の発生制御を行い、前記車両情報受信部が、前記接続部により接続される車載用装置から前記車両情報を受信し、前記感知情報受信部が、前記接続部により接続される人体感知装置から前記感知情報を受信し、前記撮像画像受信部が、前記接続部により接続される撮像装置から前記撮像画像を受信する。
【0018】
この構成によると、車載用音声発生装置は、電子機器を接続する接続部を備えている。音声制御部は、接続部により接続される音声発生器に対して音声の発生制御を行う。また車両情報受信部は、接続部により接続される車載用装置から車両情報を受信する。また感知情報受信部は、接続部により接続される人体感知装置から感知情報を受信する。また撮像画像受信部は、接続部により接続される撮像装置から撮像画像を受信する。
【0019】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記接続部により接続される無線通信装置から交通情報を受信する交通情報受信部を前記車載用音声発生装置が備え、前記制御部が、前記車両の進路上に存在する信号機が停止信号状態であることが前記交通情報において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該信号機が停止信号状態ではないことが前記交通情報において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する。
【0020】
この構成によると、車載用音声発生装置は、接続部により接続される無線通信装置から交通情報を受信する交通情報受信部を備えている。制御部は、車両の進路上に存在する信号機が停止信号状態であることが交通情報に示されている場合に、報知音声の出力を許可する。逆に信号機が停止信号状態ではないことが交通情報に示されている場合に、報知音声の出力を禁止する。これにより、撮像画像を用いる場合と比較して、より高い精度で信号機の状態を判定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、横断歩道が歩行可能であることを示す音声を、車両から出力する。このため、報知用の音声を出力する路側機が設けられていない交差点、信号機及び横断歩道が設けられていない交差点等において、目の不自由な歩行者等が道路を横断するのを補助することができる。
【0022】
また本発明によれば、車両の前方に歩行者が存在する場合にのみ、報知用の音声を出力する。このため例えば、深夜の住宅街等のように、横断歩道を横断する歩行者がいない状況において、不要な音声が出力されることがない。これにより、音声が騒音として周辺住民の迷惑となることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の車載用音声発生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車両、横断歩道、及び歩行者の関係を示す模式図である。
【図3】車両、横断歩道、及び歩行者の関係を示す模式図である。
【図4】本発明の報知音声出力処理の処理フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.車載用装置の構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用装置10の内部構成、及び車載用装置10に接続される各種装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
車載用装置10は車両1に搭載されている。車両1は道路を走行するための移動体であり、路側に設けられた路側機2と通信を行うことが可能である。路側機2はその内部に、情報処理装置(不図示)を備えている。情報処理装置は、車間通信情報の生成、記録、送信を行うための各種情報処理を行う。車間通信情報には例えば、交通情報、時刻情報、気象情報等が含まれている。
【0026】
図2及び図3は、車両1と路側機2との関係を示した模式図である。路側機2は、車両1に対して所定の情報を送信するための送信機であり、主に交差点付近等に設置されている。また交差点には、横断歩道3及び信号機4が設置されている。
【0027】
図中の信号機4は、車両1に対して交差点の通過の許可/禁止を指示するためのものである。従って歩行者5は、信号機4の状態が赤(=停止信号状態)である場合に、横断歩道3を歩行することが可能である。
【0028】
本実施形態の車両1は少なくとも、車載用装置10に接続される装置として、図1に示す測位航法装置20、カメラ30、人体感知センサ40、通信制御部50、及びアンテナ60を搭載している。
【0029】
測位航法装置20は、ジャイロセンサ及び加速度センサを含んでいる。ジャイロセンサは、車両1の水平角度を示す姿勢角情報を生成する。加速度センサは、車両1の走行速度及び走行方向を示す速度情報を生成する。そして生成した各情報を含む車両情報を、車載用装置10へ送る。
【0030】
カメラ30は、CCD(Charge Coupled Device)等の画像撮像素子と、撮像レンズユニットとを備える。CCDは撮像レンズユニットにより結像された被写体の光像をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の撮像画像に光電変換する。そしてこの撮像画像を、車載用装置10へ送る。
【0031】
人体感知センサ40は、車両1の周囲に存在する人体を感知するためのものであり、例えば人体から発生する赤外線を感知する赤外線センサ含むように構成されている。或いは、レーザ光やLED光等を発射してその反射光により人体の近接を感知する光センサ、超音波を発振してその反射波により人体の近接を感知する超音波センサ、大気の温度変化を測定することにより人体を感知する大気センサ等を含む構成でもよい。人体感知センサ40は、これらのセンサで得られた感知結果を示す感知情報を、車載用装置10へ送る。
【0032】
通信制御部50は、アンテナ60を制御することにより、路側機2から送信されてくる電波の受信制御を行う。また、アンテナ60により受信した電波の復調を行う。アンテナ60は、例えば複数のダイバーシティアンテナ等が用いられる。なお通信制御部50は、アンテナ60を用いて電波を送信するための送信制御機能を備える形態でもよい。
【0033】
スピーカ70(=音声発生器)は、車両1の周辺に存在する歩行者5に対して、歩行を補助するための報知音声を出力する音声出力装置である。本実施形態では特に、目の不自由な歩行者5に対して横断報道の歩行を補助するための報知音声を出力するのに用いられる。
【0034】
次に車載用装置10の内部構成について説明する。本実施形態の車載用装置10は少なくとも、制御部11、車両情報受信部12、撮像画像受信部13、感知情報受信部14、交通情報受信部15、音声制御部16、及び接続部17を備えている。なお上記の各部は、マイクロコンピュータまたは複数の電子回路等により実現される。
【0035】
制御部11は、車載用装置10の各部材の駆動を有機的に制御して、各種情報の取得処理や、音声出力処理等を統括制御するものである。制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。なお制御部11が実施する処理の詳細については後述する。
【0036】
車両情報受信部12は、車両1の走行状態を示す車両情報を、測位航法装置20より受信する。車両情報には、車両1の走行速度、走行方向、傾斜角度等が含まれている。これにより車両情報受信部12は、車両1が停車しているか否かを判定する。なお車両情報受信部12は、これ以外の装置、例えば車両1に設けられた速度メータ等から走行速度を受信し、停車しているか否かを判定する形態でもよい。
【0037】
撮像画像受信部13は、カメラ30で撮像された撮像画像の受信を行う。そして必要に応じて、画像解析可能な画像フォーマット、例えばBMP(Bitmap)方式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式の画像フォーマットに変換する。さらに撮像画像受信部13は、撮像画像の画像解析を行うことにより、車両10の周辺に所定の対象物、例えば横断歩道3、信号機4、歩行者5、他車両等が存在するか否かを示す解析結果を生成し、制御部11へ送る。
【0038】
感知情報受信部14は、人体感知センサ40で生成された感知情報の受信を行う。そして感知結果に基づいて歩行者5に関する各種情報、例えば歩行者5の有無、歩行者5の歩行状態、歩行者5の歩行速度等を算出する。そしてこの算出結果を、制御部11へ送る。
【0039】
交通情報受信部15は、ITS等の道路交通システムを用いて、車両1周辺の交通情報を取得する。交通情報には例えば、車両1の進路上における信号機4の有無や、信号機4の状態、つまり赤/青/黄のいずれの状態であるか等を示す情報が含まれている。
【0040】
音声制御部16は、スピーカ70より音声を出力するための出力制御を行う。具体的には例えば、デジタル音声信号の復号化を行い、アナログ音声信号を生成する。そしてこのアナログ音声信号をスピーカ70に与えることにより、スピーカ70を駆動して音声を出力する。なおこの際、音声制御部16は制御部11から受けた指示に基づいて出力音量の調整を行う。
【0041】
接続部17は、車載用装置10と外部の電子装置とを接続するための接続インタフェースである。接続部17は例えば、複数の接続端子や通信バス等を含む電子回路から構成されている。本実施形態では、測位航法装置20〜通信制御部50を車載用装置10へ接続するのに用いられる。
〈2.報知音声出力処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用装置10が実施する、歩行者5に対する報知音声出力処理の概要を、図4のフロー図を用いながら説明する。図4に示す処理フローは、車載用装置10が稼働状態であり、且つ車両10の速度が0、または所定値未満となった時点で開始される。なお、車両10の速度が0、または所定値未満となったか否かの判定は、車両情報受信部12が受信する車両情報に基づいて、制御部11が行う。
【0042】
本処理の開始後、制御部11はステップS110において、通信制御部50による交通情報の受信を行うよう、交通情報受信部15へ指示する。これを受けた交通情報受信部15は、通信制御部50を用いた交通情報の受信処理を行う。そして受信した所定の交通情報を、制御部11へ送る。
【0043】
次に制御部11はステップS120において、与えられた交通情報より、車両1の進行方向に信号機4が存在し、且つ信号機4の状態が赤であるか否かを判定する。信号機4が存在し、且つ信号機4の状態が赤ではない場合、後述するステップS190へ移行する。
【0044】
信号機4が存在しない場合、または信号機4が存在し且つ信号機4の状態が赤である場合、制御部11はステップS130において、車両1の進行方向の撮像画像を受信するよう、撮像画像受信部13へ指示する。これを受けた撮像画像受信部13は、車両1の進行方向を撮像するための撮像制御をカメラ30に対して行う。さらに撮像画像受信部13は、撮像により得られた撮像画像の画像解析を行う。そして解析結果を、制御部11へ送る。
【0045】
次に制御部11はステップS140において、上記の解析結果を参照することにより、車両1が最前列であるか否かを判定する。これは例えば、撮像画像の所定領域(例えば下方領域)に車両が写っていないことが解析結果に示されている場合に、他車両が存在しない、つまり最前列であるとみなす。
【0046】
最前列ではない場合、つまり他車両が写っていることが解析結果に示されている場合(図3の車両1b)、後述するステップS190へ移行する。最前列である場合(図3の車両1a)、制御部11はステップS150において、撮像画像の解析結果を参照することにより、車両1の進行方向に横断歩道3が存在するか否かを判定する。
【0047】
これは例えば、撮像画像の所定領域(例えば下方領域)に所定の形状の白線が写っていることが解析結果に示されている場合に、横断歩道3が存在するとみなす。横断歩道が存在しない場合、後述するステップS190へ移行する。
【0048】
横断歩道が存在する場合(図3の車両1a)、制御部11はステップS160において、感知情報受信部14に対して感知情報の受信を行うよう指示する。これを受けた、感知情報受信部14は、車両1周辺の人体感知を行うよう、人体感知センサ40を制御する。そして感知結果を示す感知情報を、制御部11へ送る。
【0049】
次に制御部11はステップS170において、与えられた感知情報を参照することにより、車両1の進行方向に歩行者5が存在するか否かを判定する。例えば、車両1の前方180度の角度内、且つ所定距離内に人体を検知した場合に、歩行者5が存在すると判定する。或いは、上記の撮像画像の解析結果を参照することにより、車両1の進行方向に歩行者5が存在するか否かを判定する形態でもよい。
【0050】
歩行者5が存在しない場合、後述するステップS190へ移行する。歩行者5が存在する場合、制御部11はステップS180において、音声制御部16に対して、報知音声の出力を行うよう指示する。これを受けた、音声制御部16は、所定の報知音声をスピーカ70より出力する出力制御を行う。これにより例えば、「車は停車中です。横断歩道を渡ることができます。」等の音声が出力される。
【0051】
次に制御部11はステップS190において、車両情報の取得を行うよう、車両情報受信部12へ指示する。これを受けた車両情報受信部12は、車両1の走行速度の測定を行うよう、測位航法装置20を制御する。そして走行速度を示す車両情報を、制御部11へ送る。
【0052】
これを受けた制御部11はステップS200において、車両1が停車状態であるか否かを判定する。具体的には例えば、走行速度が0である場合、または所定値を下回る場合に、停車状態であるとみなす。停車状態である場合、再びステップS110へ移行する。停車状態ではない場合、車両1が走行を再開したとみなし、本処理を終了する。
【0053】
以上に説明した実施形態によれば、車両1が停車し、且つ横断歩道3または停止信号状態の信号機4が進行方向に存在し、且つ人体が検知された場合に、歩行者5の歩行を優先するために車両1が停車したと判定する。そして進行方向に他車両が存在しない場合に、報知音声の出力を行う。
【0054】
これにより、報知音声を出力する路側機2が設けられていない交差点や、信号機4が設けられていない道路等において、目の不自由な歩行者5が横断歩道を歩行するのを補助することができる。
【0055】
またこれにより、深夜の住宅街等のように、横断歩道3を歩行する歩行者5がいない状況において、報知音声が出力されるのを回避できる。これにより、報知音声が騒音として周辺住民の迷惑となることを避けることができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0056】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0057】
(A)上記実施形態では、交通情報に基づいて信号機4の信号状態を判定しているが、カメラ30により撮像された撮像画像を解析結果から、信号機4の信号状態を判定する形態でもよい。
【0058】
(B)上記実施形態では、撮像画像の解析結果に基づいて車両1が最前列であるか否かを判定しているが、通信制御部50を用いた路車間通信または車車間通信により、車両1が最前列であるか否かを判定する形態でもよい。
【0059】
(C)上記実施形態では、測位航法装置20、カメラ30、感知センサ40、及び通信制御部50が車載用装置10に外部接続される構成を例に説明を行っているが、上記の装置の一部または全部が車載用装置10に含まれ、一体構造となっている装置構成でもよい。
【0060】
(D)上記実施形態では、最前列の車両1のみが報知音声の出力を行っているが、車線の多い道路において、出力を行う車両1をさらに限定する形態でもよい。例えば、撮像画像の解析結果に基づいて、車両1の側面に中央分離帯が存在するか否かを判定し、存在する場合にのみ報知音声を出力するよう、制御部11が制御を行う形態でもよい。これにより、車線が多く横断歩道3が長い道路において、横断歩道3の中央に近い車両1のみから報知音声を発生させ、横断歩道3の両端の車両1からは報知音声を発生させないようにする。これにより、効率のよい報知を実施することができる。
【0061】
(E)上記実施形態では、歩行者5に対して出力する報知音声として、道路の横断を補助するためのメッセージ音声を例に説明を行っているが、これ以外の音声を出力する形態でもよい。例えば所定の音楽等を出力する形態でもよい。或いは、信号機4が赤から青に変わるまでの時間を交通情報受信部15を用いて路側機2から受信し、この時間を示すカウントダウン音声を出力する形態でもよい。
【0062】
(F)上記実施形態では、車両1の進行方向に存在する信号機4が赤である場合に報知音声の出力を行っているが、赤から青に変わるまでの時間が所定時間を下回る場合に、報知音声の出力を禁止するよう制御部11が音声制御部16を制御する形態でもよい。例えば、信号機4が赤から青に変わるまでの時間を交通情報受信部15を用いて路側機2から受信し、この時間が五秒以下である場合は、報知音声の出力を行わないようにする。これにより、赤から青に変わる直前まで報知音声を出力する場合と比較して、歩行者5の安全を向上させることができる。
【0063】
(G)上記実施形態では、本発明の報知音声出力処理に関わる各機能部がマイクロコンピュータまたは電子回路により構成されているが、これらの各機能部が、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される形態でもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
2 路側機
3 横断歩道
4 信号機
5 歩行者
10 車載用装置
11 制御部
12 車両情報受信部
13 撮像画像受信部
14 感知情報受信部
15 交通情報受信部
16 音声制御部
17 接続部
20 測位航法装置
30 カメラ
40 人体感知センサ
50 通信制御部
60 アンテナ
70 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えた車載用音声発生装置において、
車両の走行状態を示す車両情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両の周辺に存在する人体の感知結果を示す感知情報を受信する感知情報受信部と、
前記車両の周辺を撮像した撮像画像を受信して画像解析を行う撮像画像受信部と、
前記車両情報において前記車両が停車していることが示されており、且つ前記感知情報において人体が感知されていることが示されており、且つ前記画像解析の結果において前記車両の進路上に横断歩道が存在することが示されている場合に、予め定められた報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御する制御部とを備えること
を特徴とする車載用音声発生装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記車両の進行方向に存在する信号機の状態が停止信号状態であることが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該信号機の状態が停止信号状態ではないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する、
請求項1に記載の車載用音声発生装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記車両の進路上に他車両が存在することが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止し、該他車両が存在しないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可する、
請求項1に記載の車載用音声発生装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記車両の側面に中央分離体が存在することが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該中央分離体が存在しないことが前記画像解析の結果において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する、
請求項1に記載の車載用音声発生装置。
【請求項5】
前記車載用音声発生装置に対して電子機器を接続する接続部を前記車載用音声発生装置が備え、
前記音声制御部が、前記接続部により接続される音声発生器に対して音声の発生制御を行い、
前記車両情報受信部が、前記接続部により接続される車載用装置から前記車両情報を受信し、
前記感知情報受信部が、前記接続部により接続される人体感知装置から前記感知情報を受信し、
前記撮像画像受信部が、前記接続部により接続される撮像装置から前記撮像画像を受信する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車載用音声発生装置。
【請求項6】
前記接続部により接続される無線通信装置から交通情報を受信する交通情報受信部を前記車載用音声発生装置が備え、
前記制御部が、前記車両の進路上に存在する信号機が停止信号状態であることが前記交通情報において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を許可し、該信号機が停止信号状態ではないことが前記交通情報において示されている場合に前記音声制御部に対して前記報知音声の出力を禁止する、
請求項5に記載の車載用音声発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−138302(P2011−138302A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297616(P2009−297616)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】