説明

車載装置

【課題】車両の搭乗者にとって必要な車両の情報を適切なタイミングで報知する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、自車両の位置を検出し(ステップS10)、検索範囲を設定する(ステップS20)。この検索範囲内にガイド対象施設があるか否かを判定し(ステップS30)、ガイド対象施設がある場合は、当該ガイド対象施設に応じた報知を自車両の搭乗者に対して行う(ステップS70)。たとえば、ガソリンスタンドをガイド対象施設として、自車両の給油口の位置や自車両に適した油種を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて使用される車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者にとって車両に乗車するのが初回であるか否かを判定し、初回乗車であると判定した場合に、車両に掛けられている保険の内容、車両に搭載されている特有機能とその設定状態、スイッチ類の位置、計器類の位置、車載機器の操作方法、車両特性などの車両情報を運転者に報知する装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−40366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の装置では、車両への乗車時に様々な車両情報の報知がまとめて行われるため、運転者にとって必要な情報を適切なタイミングで報知することができない場合がある。たとえば、車両の給油口がどの位置にあるかを運転者が給油時に知りたいと思っても、従来の装置ではこれを報知することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車載装置は、車両の特徴を表す車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、各種施設の位置情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、車両の位置を検出する位置検出手段と、地図データと車両の位置とに基づいて、車両情報に関する報知を実行すべきか否かを判定する判定手段と、判定手段により報知を実行すべきと判定されたときに、報知を車両の搭乗者に対して実行する報知手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転者などの車両の搭乗者にとって必要な車両の情報を、適切なタイミングで報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による車載装置としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による報知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態による車載装置としてのナビゲーション装置の構成を図1のブロック図に示す。このブロック図に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、フラッシュメモリ14、GPS(Global Positioning System)受信部15、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)情報受信部16、表示モニタ17、スピーカ18および入力装置19を備えている。なお、本実施形態によるナビゲーション装置1が搭載される車両としては、たとえばレンタカーなどが好適である。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、自車両を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、目的地の設定処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。さらに、運転者を含む車両の搭乗者にとって必要な車両の情報を適切なタイミングで報知するために、後述するような報知処理が制御部10において実行される。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において自車両の移動方向(進行方向)および移動量が求められる。
【0011】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0013】
上記の地図データの中には、様々な種類の施設に関するPOI(Point Of Interest)データも含まれる。たとえば、旅館やホテル等の宿泊施設、レストラン、ガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどの様々な施設について、その種類と位置の情報がPOIデータに記録されている。このPOIデータに基づいて、施設の種類に応じたアイコンが地図上に表示される。
【0014】
地図データにおいて各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間にそれぞれ対応する複数のリンクによって構成されており、リンク単位で経路計算データおよび道路データが表現されている。経路計算データには、各道路区間に対応するリンクごとに、車両が当該道路区間を走行する際の通過所要時間に応じたリンクコストが設定されている。このリンクコストに基づいて、出発地から目的地までの通過所要時間が最小となるリンクの組合せを求めることにより、ナビゲーション装置1において推奨経路の探索が行われる。
【0015】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、これらをHDD以外の記録媒体に記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0016】
フラッシュメモリ14は、ナビゲーション装置1の電源が切断されても書き込まれた情報を保持可能な不揮発性のメモリ装置である。このフラッシュメモリ14により、自車両の様々な特徴を表す車両情報が記憶されている。たとえば、自車両の給油口の位置、自車両にとって適したガソリンの種類(油種)、自車両の車高や幅、長さなどの寸法、自車両に搭載されたETC(Electronic Toll Collection System)装置におけるETCカードの挿入口の位置、自車両のタイヤの種類などが、車両情報としてフラッシュメモリ14に記録されている。なお、こうした車両情報は、当該車両を管理しているレンタカー業者や、当該車両を販売する自動車販売業者などが予め入力しておくことができる。
【0017】
GPS受信部15は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、自車位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく自車位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに自車位置が検出される。
【0018】
VICS情報受信部16は、図示しないVICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報をVICS情報受信部16が受信することにより、渋滞情報を始めとする様々な道路交通情報がナビゲーション装置1において取得される。VICS情報受信部16により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、渋滞情報の表示や推奨経路の探索などに利用される。
【0019】
VICS情報受信部16により受信されるVICS情報は、降雪地域に関する降雪情報を含む。すなわち制御部10は、VICS情報の中に含まれる降雪情報を参照することにより、どの地域でどの程度の降雪が現在発生しているか、または将来発生するかを知ることができる。
【0020】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0021】
表示モニタ17は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ17により、地図画面の表示や推奨経路の案内表示などが行われる。表示モニタ17に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ17は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0022】
スピーカ18は、制御部10の制御により、車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。さらに、後述するような報知処理が制御部10において実行されることにより、車両の情報に関する報知を行うための報知用の音声がスピーカ18から必要に応じて出力される。
【0023】
入力装置19は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置19を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置19は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置19を表示モニタ17と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0024】
ユーザが入力装置19を用いて目的地を設定するための操作を行うと、制御部10により、その操作内容に応じた目的地の設定処理が実行され、目的地が設定される。こうして目的地が設定されると、前述のようにして検出された自車位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0025】
次に、ナビゲーション装置1において実行される報知処理について説明する。前述のようにナビゲーション装置1は、制御部10により、運転者を含む車両の搭乗者にとって必要な車両の情報を適切なタイミングで報知するための報知処理を実行する。この報知処理では、先に例示したような様々な種類の車両情報にそれぞれ関連する施設の位置と自車位置とを比較し、これらの間の距離が所定の距離範囲内となったときに、当該施設に対応する車両情報に基づく報知を自車両の搭乗者に対して行う。これにより、たとえばレンタカーのように不慣れな車両を運転する場合であっても、その運転者が戸惑うことなく車両を運転できるようにする。
【0026】
本実施形態による報知処理のフローチャートを図2に示す。このフローチャートは、ナビゲーション装置1において制御部10により実行されるものである。
【0027】
ステップS10において、制御部10は、自車位置の検出を行う。ここでは前述のように、振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果や、GPS受信部14により受信されたGPS信号に基づいて、自車位置を検出することができる。
【0028】
ステップS20において、制御部10は、ステップS10で検出した自車位置に対して、報知の対象とする施設(以下、ガイド対象施設と称する)を地図データから検索するための検索範囲の設定を行う。ここではたとえば、自車位置を中心とする半径30mの範囲を検索範囲として設定する。
【0029】
なお、ステップS20で検索範囲を設定する際に、いずれかのガイド対象施設が自車両の目的地として設定されている場合は、他の施設とは異なる検索範囲を当該ガイド対象施設に対して設定することが好ましい。たとえば、目的地ではないガイド対象施設に対する検索範囲を30mとする一方で、目的地に設定されたガイド対象施設に対する検索範囲を100mとする。これにより、ガイド対象施設が目的地に設定された場合とされない場合とで、検索範囲として設定する距離範囲を変化させることができる。このようにすれば、目的地に設定されたガイド対象施設について報知が行われやすいようにして、自車両の搭乗者にとって必要な車両情報を確実に報知することができる。
【0030】
ステップS30において、制御部10は、HDD13に記録されている地図データに基づいて、ステップS20で自車位置に対して設定した検索範囲内にガイド対象施設があるか否かを判定する。ここでは、フラッシュメモリ14に記録されている車両情報に関連する施設をガイド対象施設として、地図データにおいて記録されているそのガイド対象施設の位置が、ステップS20で設定した検索範囲内であるか否かを判定する。なお、ガイド対象施設の具体例については後で説明する。検索範囲内にガイド対象施設があるとステップS30で判定した場合は、次のステップS40へ進む。一方、検索範囲内にガイド対象施設がないと判定した場合は、ステップS10へ戻って自車位置の検出を続行する。
【0031】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30で検索範囲内にあると判定したガイド対象施設が自車両の目的地に設定されているか否かを判定する。当該ガイド対象施設が自車両の目的地に設定されている場合はステップS70へ進み、設定されていない場合はステップS50へ進む。
【0032】
ステップS50において、制御部10は、当該ガイド対象施設に向かって自車両の進行方向が変化したか否かを判定する。この判定に用いる自車両の進行方向は、前述したように、振動ジャイロ11や車速センサ12の検出結果に基づいて、制御部10により所定の時間間隔ごとに求められるものである。あるいは、自車両に備えられた不図示の舵角センサによって検出された自車両の舵角に基づいて、自車両の進行方向を求めてもよい。
【0033】
当該ガイド対象施設に向かって自車両の進行方向が変化したとステップS50で判定した場合は、次のステップS60へ進む。一方、当該ガイド対象施設に向かって自車両の進行方向が変化していないと判定した場合は、ステップS10へ戻って自車位置の検出を続ける。
【0034】
ステップS60において、制御部10は、車速センサ12によって検出された自車両の走行速度が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。この判定に用いる走行速度のしきい値は、自車両が当該ガイド対象施設に立ち寄るために徐行した場合の走行速度に対応して設定されるものであり、たとえば時速20kmが設定される。自車両の走行速度がこのしきい値以下である場合はステップS70へ進む。一方、自車両の走行速度がしきい値を超える場合は、ステップS10へ戻って自車位置の検出を続ける。
【0035】
制御部10は、以上説明したステップS30〜S60の処理を行うことにより、HDD13に記録された地図データと自車位置とに基づいて、車両情報に関する報知を実行すべきか否かを判定している。すなわち、ステップS30では、車両情報に関連するガイド対象施設の位置を地図データから取得し、その位置と自車位置との間の距離が検索範囲として設定された距離範囲内である場合に、当該車両情報について報知を実行すべきと判定する。またステップS40では、検索範囲内に位置しているとステップS30で判定された当該ガイド対象施設が目的地に設定されているか否かにより、直ちに報知を実行すべきか否かを判定する。さらにステップS50およびS60では、目的地に設定されていないガイド対象施設について、当該施設に向かって自車両の進行方向が変化したときの自車両の速度が所定値以下である場合に、報知を実行すべきと判定する。制御部10はこのようにして、報知を実行すべきか否かを判定している。
【0036】
なお、フラッシュメモリ14には、前述のように様々な種類の車両情報を記録しておくことができる。このように、複数種類の車両情報がフラッシュメモリ14により記憶されているときは、そのうちいずれか少なくとも一種類の車両情報に関連するガイド対象施設の位置と自車位置との間の距離が検索範囲として設定された距離範囲内である場合に、制御部10はステップS30において、当該車両情報について報知を実行すべきと判定するようにする。
【0037】
ステップS70において、制御部10は、ステップS30で検索範囲内にあると判定したガイド対象施設に応じた報知を行う。ここでは、当該ガイド対象施設と関連する車両情報に基づいて、各種の画像や映像を表示モニタ17に表示したり、各種の音声をスピーカ18から出力したりすることで、当該ガイド対象施設に応じた報知を自車両の搭乗者に対して行う。なお、ステップS70で行う報知内容の具体例は、ガイド対象施設の具体例と合わせて後述する。
【0038】
ここで、前述のように複数種類の車両情報がフラッシュメモリ14により記憶されている場合、その中で検索範囲内にあるとステップS30で判定したガイド対象施設と関連する車両情報のみについて、ステップS70の報知が行われる。すなわち、複数種類の車両情報のうち、ステップS30において報知を実行すべきと判定された車両情報のみに基づいて、ステップS70における報知が実行される。
【0039】
ステップS70を実行することにより、自車両の搭乗者に対して必要な報知を行ったら、制御部10は図2のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、ナビゲーション装置1において報知処理が実行される。
【0040】
続いて、図2のステップS30およびステップS70の処理に関連して、ガイド対象施設と報知内容の具体例について説明する。制御部10は、以下のように様々な種類の施設をガイド対象施設として、それぞれに応じた内容の報知を行うことができる。
【0041】
(a)ガソリンスタンド
フラッシュメモリ14により、自車両の給油口の位置や自車両に適した油種が車両情報として記憶されている場合、制御部10は、これらの車両情報に関連する施設としてガソリンスタンドをガイド対象施設とすることができる。この場合、地図データにはガソリンスタンドの位置情報が少なくとも含まれている必要がある。
【0042】
制御部10は、検索範囲内にガソリンスタンドがあるとステップS30で判定したとき、続くステップS70において、車両情報としてフラッシュメモリ14に記憶された給油口の位置および油種を報知する。たとえば、給油口の位置が自車両の左側後方であることや、自車両に適した油種がハイオクガソリンであることを、画像や音声により報知する。ここで、給油口の位置と油種のいずれか一方のみを車両情報としてフラッシュメモリ14に記憶しておき、その車両情報のみを報知するようにしてもよい。
【0043】
なお、検索範囲内にあるガソリンスタンドのサービス提供形態がセルフ方式である場合、すなわち、ガソリンスタンドの給油装置をガソリンスタンドの店員ではなく車両の搭乗者が操作して給油する場合に限って、上記のような報知を行うようにしてもよい。このようにすれば、セルフ方式のガソリンスタンドにおいて、自車両の搭乗者に迷うことなく給油を行わせることができる。
【0044】
(b)高さ制限施設
フラッシュメモリ14により、自車両の車高が車両情報として記憶されている場合、制御部10は、この車両情報に関連する施設として、進入可能な車両の高さに制限のある施設(高さ制限施設)をガイド対象施設とすることができる。高さ制限施設には、たとえば立体駐車場、地下駐車場、鉄道や道路との立体交差などがある。この場合、地図データには高さ制限施設の位置情報が少なくとも含まれている必要がある。
【0045】
制御部10は、検索範囲内に高さ制限施設があるとステップS30で判定したとき、続くステップS70において、車両情報としてフラッシュメモリ14に記憶された自車両の車高を報知する。このとき、高さ制限施設が自車両に対してどの位置や方向にあるかを合わせて報知してもよい。
【0046】
あるいは、自車両の車高を報知する代わりに、自車両の車高と当該高さ制限施設において許容される車両の高さ(許容高さ)とを比較し、その許容高さが自車両の車高未満であればその旨を報知するようにしてもよい。この場合、地図データには高さ制限施設の位置情報に加えて、高さ制限施設の許容高さに関する情報も含まれている必要がある。すなわち、制御部10はステップS30において、いずれかの高さ制限施設が検索範囲内に位置しており、かつ、地図データが表す当該高さ制限施設の許容高さが自車両の車高未満である場合に、報知を実行すべきと判定して以降の処理へ進むようにする。このようにすれば、自車両が進入可能でない施設について、自車両の搭乗者に対して注意を喚起することができる。
【0047】
なお、上記のように高さ制限施設をガイド対象施設として報知を行うときに、たとえば自車両の上にスキーキャリアやルーフボックスなどの運搬用具等が設置されているために、当該運搬用具等を含めた自車両の車高が元の車高から変化している場合がある。このような場合に対応するため、自車両に設置可能な運搬用具等の高さ情報を車両情報と共にフラッシュメモリ14に記録しておき、当該運搬用具等を自車両に設置したときにはナビゲーション装置1において所定の操作を行うことで、自車両の車高を容易に補正できるようにすることが好ましい。なお、ここではスキーキャリアやルーフボックスなどの運搬用具を例として説明したが、自車両に設置可能であって自車両の車高に影響を及ぼすものであれば、どのようなものであっても対象とすることができる。
【0048】
(c)フェリー乗り場
フラッシュメモリ14により、自車両の長さが車両情報として記憶されている場合、制御部10は、この車両情報に関連する施設として、フェリー乗り場をガイド対象施設とすることができる。この場合、地図データにはフェリー乗り場の位置情報が少なくとも含まれている必要がある。
【0049】
制御部10は、検索範囲内にフェリー乗り場があるとステップS30で判定したとき、続くステップS70において、車両情報としてフラッシュメモリ14に記憶された自車両の長さを報知する。フェリーの運賃は一般的に車両長に応じて決められているため、こうすることで自車両の搭乗者は、報知された自車両の長さからフェリーの運賃を求めることができる。
【0050】
あるいは、自車両の長さを報知する代わりに、自車両の長さに対応するフェリー運賃を報知するようにしてもよい。この場合、地図データにはフェリー乗り場の位置情報に加えて、当該フェリー乗り場から出航するフェリーにおける車両長ごとのフェリー運賃に関する情報も含まれている必要がある。
【0051】
(d)有料道路の料金所
フラッシュメモリ14により、ETCカードの挿入口の位置が車両情報として記憶されている場合、制御部10は、この車両情報に関連する施設として、有料道路の料金所をガイド対象施設とすることができる。この場合、地図データには有料道路の料金所の位置情報が少なくとも含まれている必要がある。
【0052】
制御部10は、検索範囲内に有料道路の料金所があるとステップS30で判定したとき、続くステップS70において、車両情報としてフラッシュメモリ14に記憶されたETCカードの挿入口の位置を報知する。たとえば、自車両のインストルメントパネルを運転席から見た様子を示す画像を表示モニタ17に表示し、その画像においてETCカードの挿入口の位置を強調して表示したり、運転席から見てETCカードの挿入口がどの位置にあるかを説明する音声をスピーカ18から出力したりすることで、ETCカードの挿入口の位置を報知する。
【0053】
なお、上記のような報知は、ETCカードの挿入口にETCカードが装填されていない場合にのみ行い、ETCカードが装填されている場合は行わないようにしてもよい。また、料金所ごとにETCを利用可能であるか否かを地図データにおいて記録しておき、ETCを利用可能な料金所のみについて上記のような報知を行ってもよい。
【0054】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
【0055】
(1)ナビゲーション装置1は、自車両の特徴を表す車両情報をフラッシュメモリ14により記憶すると共に、各種施設の位置情報を含む地図データをHDD13により記憶している。また、制御部10の処理により、自車両の位置を検出し(ステップS10)、検出した自車両の位置と地図データとに基づいて、車両情報に関する報知を実行すべきか否かを判定する(ステップS30〜S60)。そして、報知を実行すべきと判定したときに、車両情報に関する報知を自車両の搭乗者に対して実行する(ステップS70)。このようにしたので、運転者などの車両の搭乗者にとって必要な車両の情報を、適切なタイミングで報知することができる。
【0056】
(2)制御部10は、ステップS30〜S60の各処理により、車両情報に関する報知を実行すべきか否かを判定するようにした。すなわち、ステップS30およびS40では、目的地に設定されているガイド対象施設について、地図データに基づく車両情報に関連するガイド対象施設の位置と自車位置との間の距離が、ステップS20で検索範囲として設定された所定の距離範囲内である場合に、当該車両情報に関する報知を実行すべきと判定する。また、これに加えてステップS50およびS60では、目的地に設定されていないガイド対象施設について、上記のような条件を満たし、かつ、当該ガイド対象施設に向かって自車両の進行方向が変化したときの自車両の速度が所定値以下である場合に、報知を実行すべきと判定する。これにより、様々なガイド対象施設について報知を実行すべき最適なタイミングを、容易かつ確実に判定することができる。
【0057】
(3)制御部10は、ステップS20で自車位置から所定の距離範囲を検索範囲として設定する際に、ガイド対象施設が目的地に設定された場合とされない場合とでその距離範囲を変化させることができる。このようにすれば、目的地に設定されたガイド対象施設について報知が行われやすいようにして、車両の搭乗者にとって必要な車両情報を確実に報知することができる。
【0058】
(4)複数種類の車両情報がフラッシュメモリ14に記憶されているとき、制御部10はステップS30において、そのうちいずれか少なくとも一種類の車両情報に関連するガイド対象施設の位置と自車位置との間の距離が検索範囲として設定された距離範囲内である場合に、当該車両情報について報知を実行すべきと判定する。またステップS70では、フラッシュメモリ14に記憶されている複数種類の車両情報のうち、ステップS30において報知を実行すべきと判定された車両情報のみに基づいて、その車両情報に関する報知を実行する。これにより、運転者などの車両の搭乗者にとって必要な車両の情報のみを適切なタイミングで報知することができる。
【0059】
(5)制御部10は、上記(a)〜(d)で説明したような様々な種類の施設をガイド対象施設として、それぞれに応じた報知を実行することができる。したがって、状況に応じて適切な報知を行うことができる。なお、これらのガイド対象施設に対する報知は、いずれかを単独で行ってもよいし、任意のものを組み合わせて行ってもよい。
【0060】
−変形例−
なお、以上説明した実施の形態は、次のように変形してもよい。
【0061】
(1)VICS情報受信部16により、降雪地域に関する降雪情報をVICS情報の一部として取得する。フラッシュメモリ14により自車両のタイヤの種類が車両情報として記憶されている場合、この降雪情報に基づいて自車位置が降雪地域内であるか否かを判定し、降雪地域内である場合に、自車両のタイヤの種類に関する報知を実行するようにしてもよい。たとえば、自車両のタイヤの種類がスタッドレスタイヤやスノータイヤ等の雪道に適したものであれば、その旨を画像や音声により報知する。一方、自車両のタイヤの種類がこうした雪道に適したものでなければ、その旨を画像や音声により報知すると共に、タイヤの交換やスノーチェーンの装着を促すための報知を行う。このようにすれば、より一層有益な情報を車両の搭乗者に対して報知することができる。
【0062】
(2)図2のステップS70において報知を実行した回数が所定値に達した場合、それ以降はステップS30〜S60の各判定結果に関わらず報知を停止してもよい。このようにすれば、同じ内容の報知が繰り返し行われることによって車両の搭乗者に煩わしさを感じさせるのを回避することができる。
【0063】
(3)上記のようにして報知を停止した場合、さらにその報知の停止を制御部10の処理によって解除できるようにすることが好ましい。このようにすれば、たとえばレンタカー業者が他の利用者に車両を貸し出す際に、停止された報知が再び実行されるようにすることができる。したがって、レンタカーのように不特定多数の利用者が搭乗する車両において好適な報知方法を実現することができる。
【0064】
(4)上記実施の形態では、フラッシュメモリ14に車両情報を記録することとしたが、これをHDD13に記録してもよい。この場合、ナビゲーション装置1はフラッシュメモリ14を備えていなくてもよい。
【0065】
(5)ガイド対象施設が目的地に設定されている場合と設定されていない場合とで同じ判定条件を用いて、当該ガイド対象施設について報知を実行すべきか否かを判定してもよい。この場合、図2のステップS40を省略することができる。さらに、ステップS50およびS60を省略して、ステップS30のみを用いて報知を実行すべきか否かを判定することもできる。
【0066】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:フラッシュメモリ、15:GPS受信部、
16:VICS情報受信部、17:表示モニタ、18:スピーカ、19:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の特徴を表す車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、
各種施設の位置情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記地図データと前記車両の位置とに基づいて、前記車両情報に関する報知を実行すべきか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記報知を実行すべきと判定されたときに、前記報知を前記車両の搭乗者に対して実行する報知手段とを備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置において、
前記判定手段は、前記地図データに基づく前記車両情報に関連する施設の位置と前記車両の位置との間の距離が所定の距離範囲内である場合に、前記報知を実行すべきと判定することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置において、
前記車両の目的地を設定する目的地設定手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記車両情報に関連する施設が前記目的地に設定された場合とされない場合とで、前記距離範囲を変化させることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車載装置において、
前記車両の速度を検出する速度検出手段と、
前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段とをさらに備え、
前記判定手段は、前記車両情報に関連する施設の位置と前記車両の位置との間の距離が前記距離範囲内であり、かつ、当該施設に向かって前記車両の進行方向が変化したときの前記車両の速度が所定値以下である場合に、前記報知を実行すべきと判定することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記車両情報記憶手段は、複数種類の車両情報を記憶し、
前記判定手段は、前記複数種類の車両情報のうちいずれか少なくとも一種類の車両情報に関連する施設の位置と前記車両の位置との間の距離が前記距離範囲内である場合に、当該車両情報について前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記複数種類の車両情報のうち前記判定手段により前記報知を実行すべきと判定された車両情報のみに基づいて、前記報知を実行することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記地図データは、ガソリンスタンドの位置情報を含み、
前記車両情報記憶手段は、前記車両の給油口の位置および前記車両に適した油種のいずれか少なくとも一方を前記車両情報として記憶し、
前記判定手段は、前記地図データが表すガソリンスタンドの位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内である場合に、前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記給油口の位置および前記油種のいずれか少なくとも一方を報知することを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載装置において、
前記地図データは、ガソリンスタンドのサービス提供形態に関する情報をさらに含み、
前記判定手段は、前記地図データが表すガソリンスタンドの位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内であり、かつ、前記地図データが表す当該ガソリンスタンドのサービス提供形態がセルフ方式である場合に、前記報知を実行すべきと判定することを特徴とする車載装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記地図データは、高さ制限施設の位置情報を含み、
前記車両情報記憶手段は、前記車両の車高を前記車両情報として記憶し、
前記判定手段は、前記地図データが表す高さ制限施設の位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内である場合に、前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記車両の車高に関する報知を実行することを特徴とする車載装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車載装置において、
前記地図データは、高さ制限施設の許容高さに関する情報をさらに含み、
前記判定手段は、前記地図データが表す高さ制限施設の位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内であり、かつ、前記地図データが表す当該高さ制限施設の許容高さが前記車両の車高未満である場合に、前記報知を実行すべきと判定することを特徴とする車載装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記地図データは、フェリー乗り場の位置情報を含み、
前記車両情報記憶手段は、前記車両の長さを前記車両情報として記憶し、
前記判定手段は、前記地図データが表すフェリー乗り場の位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内である場合に、前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記車両の長さに関する報知を実行することを特徴とする車載装置。
【請求項11】
請求項10に記載の車載装置において、
前記地図データは、車両長ごとのフェリー運賃に関する情報をさらに含み、
前記報知手段は、前記地図データに基づいて、前記車両の長さに対応するフェリー運賃を報知することを特徴とする車載装置。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記地図データは、有料道路の料金所の位置情報を含み、
前記車両情報記憶手段は、前記車両におけるETCカードの挿入口の位置を前記車両情報として記憶し、
前記判定手段は、前記地図データが表す有料道路の料金所の位置と前記車両の位置との間が前記距離範囲内である場合に、前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記挿入口の位置を報知することを特徴とする車載装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の車載装置において、
降雪地域に関する降雪情報を取得する降雪情報取得手段をさらに備え、
前記車両情報記憶手段は、前記車両のタイヤの種類を前記車両情報として記憶し、
前記判定手段は、前記車両の位置が前記降雪情報が表す降雪地域内である場合に、前記報知を実行すべきと判定し、
前記報知手段は、前記タイヤの種類に関する報知を実行することを特徴とする車載装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の車載装置において、
前記報知手段は、前記報知の実行回数が所定値に達した場合、それ以降は前記判定手段による判定の結果に関わらず前記報知を停止することを特徴とする車載装置。
【請求項15】
請求子14に記載の車載装置において、
前記報知手段による前記報知の停止を解除する解除手段をさらに備えることを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−163907(P2011−163907A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26670(P2010−26670)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】