車載電子装置及び車載電子システム
【課題】小型化及び低コスト化が可能であり、搭乗者が不快感を覚えることを抑制可能な車載電子装置及び車載電子システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、携帯ナビゲーション装置10を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置100であって、携帯ナビゲーション装置10が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、携帯ナビゲーション装置10を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部PND−LINEと、音声情報が第1音声情報の場合は、第1音声情報を複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、音声情報が第2音声情報の場合は、第2音声情報を複数の音声出力部に出力する音声選択部136と、を具備する車載電子装置である。
【解決手段】本発明は、携帯ナビゲーション装置10を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置100であって、携帯ナビゲーション装置10が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、携帯ナビゲーション装置10を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部PND−LINEと、音声情報が第1音声情報の場合は、第1音声情報を複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、音声情報が第2音声情報の場合は、第2音声情報を複数の音声出力部に出力する音声選択部136と、を具備する車載電子装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電子装置及び車載電子システムに関し、特に携帯ナビゲーション装置を装着する車載電子装置及び車載電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1から特許文献4には、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5には、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着脱可能な携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に、ナビゲーション音声情報と音楽データ等の音声情報が出力される場合がある。この場合、ナビゲーション音声情報と音楽データ等の音声情報とは別の接続線(ケーブル等)で携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に送信される。このように、2つの音声情報を携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に伝送するため、接続線や接続コネクタが2つ必要となり、小型化や低コスト化の妨げとなってしまう。さらに、ナビゲーション音声は一部の搭乗者に聞こえれば十分であり、他の搭乗者には不快なこともありうる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型化及び低コスト化が可能であり、搭乗者が不快感を覚えることを抑制可能な車載電子装置及び車載電子システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置であって、前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部と、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部と、前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御する制御部と、を具備する車載電子装置が提供される。これにより、第1音声情報と第2音声情報とを1つの接続線で受信するため接続線や接続コネクタが1つで済み小型化及び低コスト化が可能となる。さらに、ナビゲーション音声は一部の音声出力部から出力し、第2音声情報は全ての音声出力部から出力することができる。これにより、ナビゲーション音声により搭乗者が不快感を覚えることを抑制することができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、携帯ナビゲーション装置と前記携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対して音声情報を出力可能な車載電子装置とを含む車載電子システムであって、前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信し、前記車載電子装置に設けられた受信部と、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力し、前記車載電子装置に設けられた音声選択部と、前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御し、前記車載電子装置に設けられた制御部と、を具備する車載電子システム。これにより、小型化及び低コスト化が可能であり、搭乗者が不快感を覚えることを抑制が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照に、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(A)及び図1(B)に車載システムの一例である車載システム1の外観を示す。図1(A)及び図1(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(車載電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯ナビゲーション装置)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)示すように車載機器100の前面部120に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。このように、ポータブル機器10は車載機器100から着脱自在であり、車載機器100はポータブル機器10を装着可能である。
【0011】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体110と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。
ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0012】
図2は、ポータブル機器10を取り外した車載機器100の前面部120を示している。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150(収納部側コネクタ)と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0013】
図3には、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。
不図示の駆動機構によって図3に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体110に対してチルトさせることができる。チルト動作によって、車載機器本体110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器100の前面部120には、操作ボタン(図6に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0014】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。
車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。
なお、図示していないが、後述するGPS(Global Positioning System)情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、又はフロントガラスの車室側に貼り付けられる。
【0015】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。
車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30(携帯機器側コネクタ)が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信され、車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0016】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はIGの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0017】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。
操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図6に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(図中にはFUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0018】
ここで、ボタン群の操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。
まず、車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。
【0019】
次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切り替えることができる。
【0020】
図7(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。
図7(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを短押しして、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図7(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。
【0021】
次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図7(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画像が表示される(図7(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0022】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図7(B)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。
また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0023】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。
なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部20を介さずに、制御部140を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらにGPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。これら以外にも適宜変更が可能である。
【0024】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。
【0025】
CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。
なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0026】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。
メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報を一時的に記憶しておく。
【0027】
マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。
外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0028】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。
また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。
なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。
【0029】
また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。
さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0030】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。
また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車載機器100に車速パルスが入力されない構成であってもよい。
【0031】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0032】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。
なお、表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0033】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図8(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0034】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載機器100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0035】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0036】
蓄電池15は、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態では、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット57(図8(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0037】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
メモリ18は、例えば、読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0038】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSD(Secure Digital)カードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーションのための地図画像を作成する。作成した地図画像は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持していてもよい。
【0039】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、取得した音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0040】
図8(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図8(B)に、ポータブル機器10の背面図を示す。
【0041】
ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SDメモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20は、SDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0042】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0043】
図9はポータブル機器10のナビゲーション部19及び車載機器100の音声調整部136の接続を図5より詳細に示した図である。図9を参照に、ポータブル機器10には、外部よりUSBスロット57を介し、例えば音楽等のUSB音声情報が入力される。USB音声情報はUSBインターフェース42により、音声出力可能なフォーマットに変換される。一方、ナビゲーション部19はナビゲーション音声情報を出力する。選択部40は制御部20の制御により、ナビゲーション音声情報かUSB音声情報を選択し、コネクタ30から車載機器100に送信する。
【0044】
制御部20は、車載機器100に送信した音声情報がナビゲーション音声情報(第1音声情報)かUSB音声情報(第2音声情報)か、を識別するための音声識別情報をコネクタ30から車載機器100に出力する。
【0045】
車載機器100において、音声情報はコネクタ150から1つの接続線PND−LINE(受信部)により受信される。接続線PND−LINEは音声調整部136(音声選択部)に入力される。音声調整部136は制御部140の指示により音声情報をスピーカ145(音声出力部)に出力する。
【0046】
図10は音声調整部136のブロック図である。ポータブル機器10から入力される音声情報が伝送する接続線PND−LINEは、音声調整部136内または外に設けられたノードN1で第1接続線L1(第1線)及び第2接続線L2(第2線)に分岐し、第1接続線L1は第1選択部200のスイッチ204に入力される。第2接続線L2は第2選択部220に入力される。
【0047】
音声調整部136は、第1選択部200、第2選択部220及び増幅器212から216を有する。第1選択部200は、CD再生部135(図5参照)から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ201、ラジオ受信部134(図5参照)から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ202、携帯音楽再生機等の外部から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ203、ポータブル機器10から第1接続線L1を介し入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ204、及びボリューム部206を有している。音声調整部136に入力される音声情報に1つがスイッチ201から204により選択されボリューム部206に入力される。ボリューム部206は音声情報の音声レベルを可変制御し、音声情報をサブウーハ(左右を含む)、リア席(左右を含む)及びフロント席(左右を含む)用に分岐し出力する。
【0048】
サブウーハ用の音声情報は増幅器212により増幅されスピーカ222に出力される。リア席用の音声情報は増幅器214により増幅されスピーカ224に出力される。フロント用の音声情報は第3接続線L3を介し第2選択部220に入力される。さらに、第2接続線L2は第1選択部200を介さず第2選択部220に入力される。第2選択部220は、制御部140からの音声識別信号に基づき第2接続線L2または第3接続線L3を増幅器216に接続する。これにより、フロント用の音声情報は増幅器216により増幅されスピーカ226に出力される。
【0049】
図11は制御部140の第1選択部200に対する制御動作を示すフローチャートである。制御部140はスピーカ145に接続線PND−LINEの音声情報を出力させるか判断する(ステップS10)。例えば、ポータブル機器10を介したUSB音声の出力が選択されている。または、音声認識情報がナビゲーション音声の出力を示している場合、制御部140は接続線PND−LINEの音声情報を出力させると判断する。ステップS10においてNoの場合、第1選択部200はスイッチ204をオフする(ステップS14)。ステップS10においてYesの場合、制御部140は音声認識情報に基づき、接続線PND−LINEの音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを判断する(ステップS12)。ナビゲーション音声の場合、第1選択部200はスイッチ204をオフする(ステップS14)。よって、音声情報はボリューム部206に入力されない。ステップS12においてUSB音声情報の場合、制御部140は第1選択部200のスイッチ204をオンする(ステップS16)。よって、音声情報はボリューム部206に入力される。
【0050】
図12は制御部140の第2選択部220に対する制御動作を示すフローチャートである。制御部140はスピーカ145に接続線PND−LINEの音声情報を出力させるか判断する(ステップS20)。例えば、ポータブル機器10を介したUSB音声の出力が選択されている。または、音声認識情報がナビゲーション音声の出力を示している場合、制御部140は接続線PND−LINEの音声情報を出力させると判断する。ステップS20においてNoの場合、制御部140からの指示により、第2選択部220は第1選択部200のフロント用の音声情報を出力させる第3接続線L3を増幅器216に接続する(ステップS26)。ステップS20においてYesの場合、制御部140は、音声認識情報に基づき、接続線PND−LINEの音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを判断する(ステップS22)。ナビゲーション音声の場合、制御部140からの指示により第2選択部220は第2接続線L2を増幅器216に接続する(ステップS24)。ステップS22においてUSB音声情報の場合、第2選択部220は第3接続線L3を増幅器216に接続する(ステップS26)。
【0051】
実施例1によれば、図9のように、車載機器100(車載電子装置)には、ポータブル機器10(携帯ナビゲーション装置)が出力するナビゲーション音声情報(第1音声情報)と、ポータブル機器10を介したUSB音声情報(第2音声情報)とを音声情報として受信する接続線PND−LINEが設けられている。図11及び図12を参照に、音声調整部136(音声選択部)は、音声情報がナビゲーション音声情報の場合は、第1選択部200のスイッチ204をオフし(ステップS14)、第2選択部220が第2接続線L2をフロント用増幅器216に接続する(ステップS24)。これにより、音声調整部136は、音声情報を複数のスピーカ222から226のうち一部のスピーカ226(音声出力部)に出力する。一方、音声情報がUSB音声情報の場合は、第1選択部200のスイッチ204をオンし(ステップS16)、第2選択部220が第3接続線L3をフロント用増幅器216に接続する(ステップS26)。これにより、音声調整部136は、音声情報を複数のスピーカ222から226に出力する。
【0052】
第1選択部200及び第2選択部220に着目すると、第1選択部200は、第1接続線L1(第1線)に接続され、音声情報がナビゲーション音声情報(第1音声情報)の場合は第1接続線L1に入力される音声情報を出力せず、音声情報がUSB音声情報(第2音声情報)の場合は第1接続線L1から入力される音声情報を全てのスピーカ222から226(音声出力部)に出力する。また、第2選択部220は、第2接続線L2に接続され、音声情報がナビゲーション音声情報の場合は第2接続線L2から入力される音声情報を一部のスピーカ226に出力し、音声情報がUSB音声情報の場合は第1選択部200が出力した音声情報を複数のスピーカ222から226に出力する。
【0053】
実施例1によれば、ナビゲーション音声情報とUSB音声情報とを1つの接続線PND−LINEで受信するため接続線や接続コネクタが1つで済み小型化及び低コスト化が可能となる。ナビゲーション音声は一部の搭乗者に聞こえれば十分である。実施例1によれば、ナビゲーション音声は一部のスピーカ226から出力され、その他の音声は全てのスピーカ222から226から出力させることができる。
【0054】
ナビゲーション音声を聞く搭乗者は主に運転者である。よって、ナビゲーション音声を出力する一部のスピーカは、運転席に音声を出力させるスピーカ226であることが好ましい。実施例1では、左右のフロント用スピーカ226からナビゲーション音声を出力したが、フロント用スピーカのうち運転席側のスピーカにのみナビゲーション音声を出力してもよい。
【0055】
ナビゲーション音声の音量レベルは、ポータブル機器10において制御されるため車載機器100においては固定でよい。一方、USB音声は車載機器100で制御されることが好ましい。よって、図10、図11及び図12を参照に、音声調整部136において、音声情報がナビゲーション音声情報の場合、音声情報はボリューム部206を通らない。よって、音量レベルは固定されている。一方、音声情報がUSB音声情報の場合、音声情報はボリューム部206を通る。よって、音声調整部136は音量レベルを可変制御することができる。
【0056】
USB音声情報はUSBスロット57を介しポータブル機器10に入力した音声情報でなくとも、他のインターフェースにより接続された音声情報や、車載機器100に入力された音声情報をポータブル機器10に出力し、ポータブル機器10のインターフェースで音声情報に変換されたものであってもよい。例えば、図9のように、ポータブル機器10がUSBスロット57及びUSBインターフェース42を有する場合は、車載機器100に更にUSBスロット57及びUSBインターフェース42を有すると小型化及び低コスト化の妨げになる。そこで、ポータブル機器10のUSBインターフェース42を用いることにより、一層の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0057】
図9のように、音声調整部136は、ポータブル機器10から出力された音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを示す音声識別情報に基づき、図11及び図12のように、音声情報を全てのスピーカ222から226に出力するか一部のスピーカ226に出力するかを選択する。さらに、音声調整部136は、音声識別情報に基づき、音声レベルを可変制御するか固定するかを選択する。このように、音声識別情報を用いることにより音声調整部136は、簡単に上記選択を行うことができる。
【0058】
なお、音声識別情報の周波数は高くないためポータブル機器10から車載機器100へ音声識別情報を伝送する接続線や接続コネクタは音声情報の接続線や接続コネクタに比べ小型化及び低コスト化が可能である。よって、音声情報用の接続線や接続コネクタを2つ設けるのに比べ小型化及び低コスト化が可能となる。さらに、音声識別情報は接続線PND−LINEを伝送する音声情報中に入れることもできる。
【0059】
ポータブル機器10は、ナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等で構成されてもよい。さらに、CD挿排口180及びCD再生部135の代わりにMD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等の他の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよいし、複数種の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施例について説明したが、本実施例は、本発明の原理と精神から逸脱しない限り当業者が変更することもできる。本実施例は特許請求の範囲とその均等の範囲を確定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(A)及び図1(B)は実施例に係る車載システムの外観を示す図である。
【図2】図2はポータブル機器を車載機器から取り外した状態を示す図である。
【図3】図3は前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す図である。
【図4】図4は、車載システムの車両への搭載例を示す図である。
【図5】図5は、車載システムの概略構成を示す簡単なブロック図である。
【図6】図6は本体部の正面図である。
【図7】図7(A)から図7(C)は本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す図である。
【図8】図8(A)は、ポータブル機器の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図であり、図8(B)はポータブル機器の背面図である。
【図9】図9は、ポータブル機器のナビゲーション部及び車載機器の音声調整部を示した図である。
【図10】図10は、音声調整部の詳細なブロック図である。
【図11】図11は、第1選択部の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2選択部の動作を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電子装置及び車載電子システムに関し、特に携帯ナビゲーション装置を装着する車載電子装置及び車載電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1から特許文献4には、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5には、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着脱可能な携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に、ナビゲーション音声情報と音楽データ等の音声情報が出力される場合がある。この場合、ナビゲーション音声情報と音楽データ等の音声情報とは別の接続線(ケーブル等)で携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に送信される。このように、2つの音声情報を携帯ナビゲーション装置から車載電子装置に伝送するため、接続線や接続コネクタが2つ必要となり、小型化や低コスト化の妨げとなってしまう。さらに、ナビゲーション音声は一部の搭乗者に聞こえれば十分であり、他の搭乗者には不快なこともありうる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型化及び低コスト化が可能であり、搭乗者が不快感を覚えることを抑制可能な車載電子装置及び車載電子システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置であって、前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部と、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部と、前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御する制御部と、を具備する車載電子装置が提供される。これにより、第1音声情報と第2音声情報とを1つの接続線で受信するため接続線や接続コネクタが1つで済み小型化及び低コスト化が可能となる。さらに、ナビゲーション音声は一部の音声出力部から出力し、第2音声情報は全ての音声出力部から出力することができる。これにより、ナビゲーション音声により搭乗者が不快感を覚えることを抑制することができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、携帯ナビゲーション装置と前記携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対して音声情報を出力可能な車載電子装置とを含む車載電子システムであって、前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信し、前記車載電子装置に設けられた受信部と、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力し、前記車載電子装置に設けられた音声選択部と、前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御し、前記車載電子装置に設けられた制御部と、を具備する車載電子システム。これにより、小型化及び低コスト化が可能であり、搭乗者が不快感を覚えることを抑制が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照に、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(A)及び図1(B)に車載システムの一例である車載システム1の外観を示す。図1(A)及び図1(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(車載電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯ナビゲーション装置)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)示すように車載機器100の前面部120に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。このように、ポータブル機器10は車載機器100から着脱自在であり、車載機器100はポータブル機器10を装着可能である。
【0011】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体110と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。
ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0012】
図2は、ポータブル機器10を取り外した車載機器100の前面部120を示している。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150(収納部側コネクタ)と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0013】
図3には、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。
不図示の駆動機構によって図3に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体110に対してチルトさせることができる。チルト動作によって、車載機器本体110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器100の前面部120には、操作ボタン(図6に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0014】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。
車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。
なお、図示していないが、後述するGPS(Global Positioning System)情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、又はフロントガラスの車室側に貼り付けられる。
【0015】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。
車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30(携帯機器側コネクタ)が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信され、車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0016】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はIGの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0017】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。
操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図6に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(図中にはFUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0018】
ここで、ボタン群の操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。
まず、車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。
【0019】
次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切り替えることができる。
【0020】
図7(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。
図7(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを短押しして、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図7(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。
【0021】
次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図7(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画像が表示される(図7(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0022】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図7(B)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。
また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0023】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。
なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部20を介さずに、制御部140を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらにGPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。これら以外にも適宜変更が可能である。
【0024】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。
【0025】
CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。
なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0026】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。
メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報を一時的に記憶しておく。
【0027】
マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。
外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0028】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。
また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。
なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。
【0029】
また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。
さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0030】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。
また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車載機器100に車速パルスが入力されない構成であってもよい。
【0031】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0032】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。
なお、表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0033】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図8(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0034】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載機器100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0035】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0036】
蓄電池15は、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態では、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット57(図8(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0037】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
メモリ18は、例えば、読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0038】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSD(Secure Digital)カードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーションのための地図画像を作成する。作成した地図画像は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持していてもよい。
【0039】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、取得した音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0040】
図8(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図8(B)に、ポータブル機器10の背面図を示す。
【0041】
ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SDメモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20は、SDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0042】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0043】
図9はポータブル機器10のナビゲーション部19及び車載機器100の音声調整部136の接続を図5より詳細に示した図である。図9を参照に、ポータブル機器10には、外部よりUSBスロット57を介し、例えば音楽等のUSB音声情報が入力される。USB音声情報はUSBインターフェース42により、音声出力可能なフォーマットに変換される。一方、ナビゲーション部19はナビゲーション音声情報を出力する。選択部40は制御部20の制御により、ナビゲーション音声情報かUSB音声情報を選択し、コネクタ30から車載機器100に送信する。
【0044】
制御部20は、車載機器100に送信した音声情報がナビゲーション音声情報(第1音声情報)かUSB音声情報(第2音声情報)か、を識別するための音声識別情報をコネクタ30から車載機器100に出力する。
【0045】
車載機器100において、音声情報はコネクタ150から1つの接続線PND−LINE(受信部)により受信される。接続線PND−LINEは音声調整部136(音声選択部)に入力される。音声調整部136は制御部140の指示により音声情報をスピーカ145(音声出力部)に出力する。
【0046】
図10は音声調整部136のブロック図である。ポータブル機器10から入力される音声情報が伝送する接続線PND−LINEは、音声調整部136内または外に設けられたノードN1で第1接続線L1(第1線)及び第2接続線L2(第2線)に分岐し、第1接続線L1は第1選択部200のスイッチ204に入力される。第2接続線L2は第2選択部220に入力される。
【0047】
音声調整部136は、第1選択部200、第2選択部220及び増幅器212から216を有する。第1選択部200は、CD再生部135(図5参照)から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ201、ラジオ受信部134(図5参照)から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ202、携帯音楽再生機等の外部から入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ203、ポータブル機器10から第1接続線L1を介し入力される音声情報をボリューム部206に接続するスイッチ204、及びボリューム部206を有している。音声調整部136に入力される音声情報に1つがスイッチ201から204により選択されボリューム部206に入力される。ボリューム部206は音声情報の音声レベルを可変制御し、音声情報をサブウーハ(左右を含む)、リア席(左右を含む)及びフロント席(左右を含む)用に分岐し出力する。
【0048】
サブウーハ用の音声情報は増幅器212により増幅されスピーカ222に出力される。リア席用の音声情報は増幅器214により増幅されスピーカ224に出力される。フロント用の音声情報は第3接続線L3を介し第2選択部220に入力される。さらに、第2接続線L2は第1選択部200を介さず第2選択部220に入力される。第2選択部220は、制御部140からの音声識別信号に基づき第2接続線L2または第3接続線L3を増幅器216に接続する。これにより、フロント用の音声情報は増幅器216により増幅されスピーカ226に出力される。
【0049】
図11は制御部140の第1選択部200に対する制御動作を示すフローチャートである。制御部140はスピーカ145に接続線PND−LINEの音声情報を出力させるか判断する(ステップS10)。例えば、ポータブル機器10を介したUSB音声の出力が選択されている。または、音声認識情報がナビゲーション音声の出力を示している場合、制御部140は接続線PND−LINEの音声情報を出力させると判断する。ステップS10においてNoの場合、第1選択部200はスイッチ204をオフする(ステップS14)。ステップS10においてYesの場合、制御部140は音声認識情報に基づき、接続線PND−LINEの音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを判断する(ステップS12)。ナビゲーション音声の場合、第1選択部200はスイッチ204をオフする(ステップS14)。よって、音声情報はボリューム部206に入力されない。ステップS12においてUSB音声情報の場合、制御部140は第1選択部200のスイッチ204をオンする(ステップS16)。よって、音声情報はボリューム部206に入力される。
【0050】
図12は制御部140の第2選択部220に対する制御動作を示すフローチャートである。制御部140はスピーカ145に接続線PND−LINEの音声情報を出力させるか判断する(ステップS20)。例えば、ポータブル機器10を介したUSB音声の出力が選択されている。または、音声認識情報がナビゲーション音声の出力を示している場合、制御部140は接続線PND−LINEの音声情報を出力させると判断する。ステップS20においてNoの場合、制御部140からの指示により、第2選択部220は第1選択部200のフロント用の音声情報を出力させる第3接続線L3を増幅器216に接続する(ステップS26)。ステップS20においてYesの場合、制御部140は、音声認識情報に基づき、接続線PND−LINEの音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを判断する(ステップS22)。ナビゲーション音声の場合、制御部140からの指示により第2選択部220は第2接続線L2を増幅器216に接続する(ステップS24)。ステップS22においてUSB音声情報の場合、第2選択部220は第3接続線L3を増幅器216に接続する(ステップS26)。
【0051】
実施例1によれば、図9のように、車載機器100(車載電子装置)には、ポータブル機器10(携帯ナビゲーション装置)が出力するナビゲーション音声情報(第1音声情報)と、ポータブル機器10を介したUSB音声情報(第2音声情報)とを音声情報として受信する接続線PND−LINEが設けられている。図11及び図12を参照に、音声調整部136(音声選択部)は、音声情報がナビゲーション音声情報の場合は、第1選択部200のスイッチ204をオフし(ステップS14)、第2選択部220が第2接続線L2をフロント用増幅器216に接続する(ステップS24)。これにより、音声調整部136は、音声情報を複数のスピーカ222から226のうち一部のスピーカ226(音声出力部)に出力する。一方、音声情報がUSB音声情報の場合は、第1選択部200のスイッチ204をオンし(ステップS16)、第2選択部220が第3接続線L3をフロント用増幅器216に接続する(ステップS26)。これにより、音声調整部136は、音声情報を複数のスピーカ222から226に出力する。
【0052】
第1選択部200及び第2選択部220に着目すると、第1選択部200は、第1接続線L1(第1線)に接続され、音声情報がナビゲーション音声情報(第1音声情報)の場合は第1接続線L1に入力される音声情報を出力せず、音声情報がUSB音声情報(第2音声情報)の場合は第1接続線L1から入力される音声情報を全てのスピーカ222から226(音声出力部)に出力する。また、第2選択部220は、第2接続線L2に接続され、音声情報がナビゲーション音声情報の場合は第2接続線L2から入力される音声情報を一部のスピーカ226に出力し、音声情報がUSB音声情報の場合は第1選択部200が出力した音声情報を複数のスピーカ222から226に出力する。
【0053】
実施例1によれば、ナビゲーション音声情報とUSB音声情報とを1つの接続線PND−LINEで受信するため接続線や接続コネクタが1つで済み小型化及び低コスト化が可能となる。ナビゲーション音声は一部の搭乗者に聞こえれば十分である。実施例1によれば、ナビゲーション音声は一部のスピーカ226から出力され、その他の音声は全てのスピーカ222から226から出力させることができる。
【0054】
ナビゲーション音声を聞く搭乗者は主に運転者である。よって、ナビゲーション音声を出力する一部のスピーカは、運転席に音声を出力させるスピーカ226であることが好ましい。実施例1では、左右のフロント用スピーカ226からナビゲーション音声を出力したが、フロント用スピーカのうち運転席側のスピーカにのみナビゲーション音声を出力してもよい。
【0055】
ナビゲーション音声の音量レベルは、ポータブル機器10において制御されるため車載機器100においては固定でよい。一方、USB音声は車載機器100で制御されることが好ましい。よって、図10、図11及び図12を参照に、音声調整部136において、音声情報がナビゲーション音声情報の場合、音声情報はボリューム部206を通らない。よって、音量レベルは固定されている。一方、音声情報がUSB音声情報の場合、音声情報はボリューム部206を通る。よって、音声調整部136は音量レベルを可変制御することができる。
【0056】
USB音声情報はUSBスロット57を介しポータブル機器10に入力した音声情報でなくとも、他のインターフェースにより接続された音声情報や、車載機器100に入力された音声情報をポータブル機器10に出力し、ポータブル機器10のインターフェースで音声情報に変換されたものであってもよい。例えば、図9のように、ポータブル機器10がUSBスロット57及びUSBインターフェース42を有する場合は、車載機器100に更にUSBスロット57及びUSBインターフェース42を有すると小型化及び低コスト化の妨げになる。そこで、ポータブル機器10のUSBインターフェース42を用いることにより、一層の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0057】
図9のように、音声調整部136は、ポータブル機器10から出力された音声情報がナビゲーション音声情報かUSB音声情報かを示す音声識別情報に基づき、図11及び図12のように、音声情報を全てのスピーカ222から226に出力するか一部のスピーカ226に出力するかを選択する。さらに、音声調整部136は、音声識別情報に基づき、音声レベルを可変制御するか固定するかを選択する。このように、音声識別情報を用いることにより音声調整部136は、簡単に上記選択を行うことができる。
【0058】
なお、音声識別情報の周波数は高くないためポータブル機器10から車載機器100へ音声識別情報を伝送する接続線や接続コネクタは音声情報の接続線や接続コネクタに比べ小型化及び低コスト化が可能である。よって、音声情報用の接続線や接続コネクタを2つ設けるのに比べ小型化及び低コスト化が可能となる。さらに、音声識別情報は接続線PND−LINEを伝送する音声情報中に入れることもできる。
【0059】
ポータブル機器10は、ナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等で構成されてもよい。さらに、CD挿排口180及びCD再生部135の代わりにMD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等の他の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよいし、複数種の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施例について説明したが、本実施例は、本発明の原理と精神から逸脱しない限り当業者が変更することもできる。本実施例は特許請求の範囲とその均等の範囲を確定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(A)及び図1(B)は実施例に係る車載システムの外観を示す図である。
【図2】図2はポータブル機器を車載機器から取り外した状態を示す図である。
【図3】図3は前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す図である。
【図4】図4は、車載システムの車両への搭載例を示す図である。
【図5】図5は、車載システムの概略構成を示す簡単なブロック図である。
【図6】図6は本体部の正面図である。
【図7】図7(A)から図7(C)は本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す図である。
【図8】図8(A)は、ポータブル機器の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図であり、図8(B)はポータブル機器の背面図である。
【図9】図9は、ポータブル機器のナビゲーション部及び車載機器の音声調整部を示した図である。
【図10】図10は、音声調整部の詳細なブロック図である。
【図11】図11は、第1選択部の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2選択部の動作を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置であって、
前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部と、
前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部と、
前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御する制御部と、
を具備する車載電子装置。
【請求項2】
前記一部の音声出力部は、運転席に音声を出力する音声出力部である請求項1記載の車載電子装置。
【請求項3】
前記音声選択部音声選択部は、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は音量レベルを固定し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は前記音量レベルを可変制御する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項4】
前記第2音声情報は、USBコネクタを介し前記携帯ナビゲーション装置に入力した音声情報である請求項1記載の車載電子装置。
【請求項5】
前記音声選択部音声選択部は、携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声レベルを可変制御するか固定するかを選択する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項6】
前記音声選択部音声選択部は、
前記受信部である接続線から分岐した第1線に接続され、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は前記第1線から入力される前記音声情報を出力せず、前記音声情報が第2音声情報の場合は前記第1線から入力する前記音声情報を前記全ての音声出力部に出力する第1選択部と、
前記接続線から分岐した第2線に接続され、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は前記第2線から入力される前記音声情報を前記一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が第2音声情報の場合は前記第1選択部が出力した前記音声情報を前記一部の音声出力部に出力する第2選択部と、
を有する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項7】
携帯ナビゲーション装置と前記携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対して音声情報を出力可能な車載電子装置とを含む車載電子システムであって、
前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信し、前記車載電子装置に設けられた受信部と、
前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力し、前記車載電子装置に設けられた音声選択部と、
前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御し、前記車載電子装置に設けられた制御部と、
を具備する車載電子システム。
【請求項1】
携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対応して音声情報を出力可能な車載電子装置であって、
前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信する受信部と、
前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部と、
前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御する制御部と、
を具備する車載電子装置。
【請求項2】
前記一部の音声出力部は、運転席に音声を出力する音声出力部である請求項1記載の車載電子装置。
【請求項3】
前記音声選択部音声選択部は、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は音量レベルを固定し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は前記音量レベルを可変制御する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項4】
前記第2音声情報は、USBコネクタを介し前記携帯ナビゲーション装置に入力した音声情報である請求項1記載の車載電子装置。
【請求項5】
前記音声選択部音声選択部は、携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声レベルを可変制御するか固定するかを選択する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項6】
前記音声選択部音声選択部は、
前記受信部である接続線から分岐した第1線に接続され、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は前記第1線から入力される前記音声情報を出力せず、前記音声情報が第2音声情報の場合は前記第1線から入力する前記音声情報を前記全ての音声出力部に出力する第1選択部と、
前記接続線から分岐した第2線に接続され、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は前記第2線から入力される前記音声情報を前記一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が第2音声情報の場合は前記第1選択部が出力した前記音声情報を前記一部の音声出力部に出力する第2選択部と、
を有する請求項1記載の車載電子装置。
【請求項7】
携帯ナビゲーション装置と前記携帯ナビゲーション装置を装着可能であって、複数の音声出力部に対して音声情報を出力可能な車載電子装置とを含む車載電子システムであって、
前記携帯ナビゲーション装置が出力するナビゲーション音声情報である第1音声情報と、前記携帯ナビゲーション装置を介した第2音声情報とを音声情報として受信し、前記車載電子装置に設けられた受信部と、
前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力し、前記車載電子装置に設けられた音声選択部と、
前記携帯ナビゲーション装置が装着された場合に、前記携帯ナビゲーション装置から出力された前記音声情報が前記第1音声情報か前記第2音声情報かを示す音声識別情報に基づき、前記音声情報が前記第1音声情報の場合は、前記第1音声情報を前記複数の音声出力部のうち一部の音声出力部に出力し、前記音声情報が前記第2音声情報の場合は、前記第2音声情報を前記複数の音声出力部に出力する音声選択部部を制御し、前記車載電子装置に設けられた制御部と、
を具備する車載電子システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−170434(P2008−170434A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330893(P2007−330893)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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