説明

転がり軸受装置およびこれを備える薄型モータ

【課題】モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】薄型モータ100は、内輪14aおよび外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備える。クロスローラ軸受14は、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受および回転センサを備える転がり軸受装置に係り、特に、モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な転がり軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型モータとしては、転がり軸受および回転センサを備える薄型モータが知られている。
図39は、従来の薄型モータ200の軸方向の断面図である。
薄型モータ200は、図39に示すように、固定子であるハウジングインナ220と、回転子であるロータ12と、ロータ12とハウジングインナ220の間に介在してロータ12を回転可能に支持するクロスローラ軸受14とを有して構成されている。
クロスローラ軸受14は、内輪14aおよび外輪14bを有して構成されている。内輪14aは、ハウジングインナ220の外周面に嵌合し、内輪押え26により軸方向に押圧された状態でハウジングインナ220に固定されている。外輪14bは、ロータ12の内周面に嵌合し、外輪押え28により軸方向に押圧された状態でロータ12に固定されている。
【0003】
ロータ12とハウジングインナ220の間には、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出する回転センサとしてのレゾルバ30とが設けられている。
レゾルバ30は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、レゾルバロータ18との間のリラクタンス変化を検出するレゾルバステータ20とを有して構成されている。レゾルバロータ18はロータ12の内周面に、レゾルバステータ20はハウジングインナ220の外周面に一体に取り付けられている。レゾルバロータ18を偏心させてレゾルバロータ18とレゾルバステータ20の間の距離を円周方向に変化させることにより、リラクタンスがレゾルバロータ18の位置により変化するようになっている。したがって、ロータ12の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるため、レゾルバ30は、ロータ12の回転角度位置に応じて変化するレゾルバ信号を出力する。
【0004】
なお、従来の転がり軸受装置としては、例えば、特許文献1〜3記載の軸受装置が知られている。特許文献1記載の軸受装置は、軸方向の予圧を付与して内輪14aおよび外輪14bを固定したものであり、特許文献2記載の軸受装置は、軸受の作用点を出力軸外に設定したものであり、特許文献3記載の軸受装置は、軸受の外周にモータを配置したものである。
【特許文献1】特開2005−69252号公報
【特許文献2】特開2006−25525号公報
【特許文献3】特開2002−281720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の薄型モータ200にあっては、薄型モータ200にモーメント荷重が加わると、薄型モータ200がクロスローラ軸受14を中心として傾き、レゾルバ30のギャップが変化する。そのため、ロータ12の回転角度位置を正確に検出することができないという問題があった。特に、クロスローラ軸受14を中心として傾くので、クロスローラ軸受14から離れるほどギャップ変化は大きい。また、薄型モータであるため、1つのクロスローラ軸受14でモーメント荷重を受けなければならず、クロスローラ軸受14の数を増やすことで剛性を高めギャップ変化を防止することは難しい。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な転がり軸受装置およびこれを備える薄型モータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、本発明の一態様のうち、発明1の転がり軸受装置は、内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、2つの転がり軸受を予圧を付与して対向配置した組合せ軸受からなり、前記2つの転がり軸受の一方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第1直線と、前記2つの転がり軸受の他方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第2直線との間で、かつ、前記内輪および前記外輪の一方の側に、前記回転センサを配置した。
このような構成であれば、転がり軸受により、内輪被支持体および外輪被支持体が相対的に回転可能に支持される。そして、回転センサにより、内輪被支持体および外輪被支持体の相対位置により変化するセンサ信号が出力される。
【0007】
転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、回転センサが2つの接触角内(第1直線と第2直線との間でかつ内輪および外輪の一方の側)に配置されているので、回転センサのギャップ変化を小さくすることができる。
また、転がり軸受の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、転がり軸受の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明では、ギャップ変化が小さい位置に回転センサを配置することによりギャップ変化を低減するので、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
さらに、転がり軸受として組合せ軸受を採用するので、転がり軸受装置の外部にバックアップ用の軸受等の支持部品を設置しても、複数の転がり軸受を設置しても、互いの軸受を干渉させずに使用することができる。
【0008】
ここで、内輪被支持体および外輪被支持体は、転がり軸受により相対的に回転可能に支持されていればよく、内輪被支持体が固定されて外輪被支持体が回転可能に支持されていてもよいし、外輪被支持体が固定されて内輪被支持体が回転可能に支持されていてもよいし、両者が回転可能に支持されていてもよい。
また、回転センサとしては、例えば、内輪被支持体と外輪被支持体の間のリラクタンスがそれらの相対位置により変化するレゾルバ、または円周方向に形成されたマークを検出するテープスケールが該当する。
また、組合せ軸受は、正面組合せ軸受であってもよいし、背面組合せ軸受であってもよい。
【0009】
〔発明2〕 さらに、本発明の一態様のうち、発明2の転がり軸受装置は、発明1の転がり軸受装置において、前記第1直線と前記第2直線との間でかつ前記内輪の側に前記回転センサを配置した。
このような構成であれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、回転センサが2つの接触角内(第1直線と第2直線との間でかつ内輪の側)に配置されているので、回転センサのギャップ変化を小さくすることができる。
【0010】
〔発明3〕 さらに、本発明の一態様のうち、発明3の転がり軸受装置は、発明2の転がり軸受装置において、前記回転センサは、レゾルバステータおよびレゾルバロータを有し、前記レゾルバロータと前記レゾルバステータの間のリラクタンスが前記レゾルバロータの位置により変化するレゾルバであり、前記第1直線と前記第2直線との間でかつ前記内輪の側に、前記レゾルバステータと前記レゾルバロータのギャップ面が位置するように前記回転センサを配置した。
このような構成であれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、レゾルバステータとレゾルバロータのギャップ面が2つの接触角内(第1直線と第2直線との間でかつ内輪の側)に位置するように回転センサが配置されているので、回転センサのギャップ変化をさらに小さくすることができる。
【0011】
〔発明4〕 さらに、本発明の一態様のうち、発明4の転がり軸受装置は、発明1ないし3のいずれか1の転がり軸受装置において、さらに、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体を相対的に回転させる駆動体を備え、前記駆動体を前記転がり軸受を挟んで前記回転センサの反対側に配置した。
このような構成であれば、駆動体が転がり軸受を挟んで回転センサの反対側に配置されているので、回転センサが駆動体からのノイズや熱の影響を受けにくい。
ここで、駆動体としては、例えば、モータやエンジン等のアクチュエータが該当する。
【0012】
〔発明5〕 さらに、本発明の一態様のうち、発明5の転がり軸受装置は、発明1ないし4のいずれか1の転がり軸受装置において、前記回転センサは、内周および外周の一方を前記転がり軸受の軸心に対して偏心させた円環状の被検出体と、前記被検出体との間のリラクタンス変化を検出する検出手段とを有し、前記被検出体の内周および外周のうち偏心している側が前記検出手段に対向するように、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体の一方に前記被検出体を、他方に前記検出手段を設けた。
このような構成であれば、内輪被支持体および外輪被支持体が相対的に回転すると、これに伴って検出手段および被検出体も相対的に回転する。そして、被検出体の内周および外周のうち検出手段に対向する側が偏心しているので、回転によりリラクタンス変化が生じ、検出手段により、そのリラクタンス変化が検出される。
【0013】
このように、1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるタイプの回転センサでは、モーメント荷重によるギャップ変化の影響が大きいので、ギャップ変化の低減は、誤検出防止に効果的である。
ここで、被検出体および検出手段については、内輪被支持体に被検出体を、外輪被支持体に検出手段を設けてもよいし、その逆の配置で設けてもよい。前者の場合は、被検出体の外周を偏心させ、被検出体の外周を検出手段に対向させて被検出体および検出手段を設ける。後者の場合は、被検出体の内周を偏心させ、被検出体の内周を検出手段に対向させて被検出体および検出手段を設ける。
【0014】
〔発明6〕 さらに、本発明の一態様のうち、発明6の転がり軸受装置は、発明1の転がり軸受装置において、前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期よりも短い第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、前記2つの転がり軸受の一方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第1直線と、前記2つの転がり軸受の他方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第2直線との間で、かつ、前記内輪および前記外輪の一方の側に、前記第1レゾルバのギャップ面が位置するように前記第1レゾルバを配置した。
【0015】
このような構成であれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、第1レゾルバのギャップ面が2つの接触角内(第1直線と第2直線との間でかつ内輪および外輪の一方の側)に位置するように第1レゾルバが配置されているので、第2レゾルバよりもギャップ変化の影響が大きい第1レゾルバのギャップ変化を小さくすることができる。
また、転がり軸受の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、転がり軸受の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明では、ギャップ変化が小さい位置に第1レゾルバを配置することによりギャップ変化を低減するので、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
一方、内輪被支持体および外輪被支持体が相対的に回転すると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期してリラクタンスが変化し、リラクタンス変化の基本波成分が第1周期となるセンサ信号が第1レゾルバから出力される。また、リラクタンス変化の基本波成分が第2周期となるセンサ信号が第2レゾルバから出力される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、発明1の転がり軸受装置によれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に回転センサが配置されているので、従来に比して、回転センサのギャップ変化を小さくすることができ、回転センサが誤検出する可能性を低減することができるという効果が得られる。また、転がり軸受の予圧を高くする等の方法に比して、転がり軸受の長寿命化を図ることができるという効果も得られる。さらに、転がり軸受として組合せ軸受を採用するので、転がり軸受装置の外部にバックアップ用の軸受等の支持部品を設置しても、複数の転がり軸受を設置しても、互いの軸受を干渉させずに使用することができるという効果も得られる。
さらに、発明3の転がり軸受装置によれば、回転センサのギャップ変化をさらに小さくすることができ、回転センサが誤検出する可能性をさらに低減することができるという効果が得られる。
【0017】
さらに、発明4の転がり軸受装置によれば、駆動体が転がり軸受を挟んで回転センサの反対側に配置されているので、回転センサが駆動体からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができるという効果も得られる。
さらに、発明6の転がり軸受装置によれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に第1レゾルバが配置されているので、第1レゾルバのギャップ変化を小さくすることができ、第1レゾルバが誤検出する可能性を低減することができるという効果が得られる。特に、第2レゾルバよりもギャップ変化の影響が大きい第1レゾルバのギャップ変化を小さくすることができるので、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図2】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図3】ロータ間座42の下面図である。
【図4】図3のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
【図5】モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図6】クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図7】クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図8】モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図9】レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図10】上記第2の実施の形態に図5の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図11】上記第2の実施の形態に図6の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図12】上記第2の実施の形態に図7の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図13】上記第2の実施の形態に図8の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図14】上記第2の実施の形態に図9の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図15】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図16】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図17】ロータ間座42の下面図である。
【図18】図17のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
【図19】モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図20】クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図21】クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図22】モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図23】レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図24】上記第4の実施の形態に図19の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図25】上記第4の実施の形態に図20の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図26】上記第4の実施の形態に図21の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図27】上記第4の実施の形態に図22の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図28】上記第4の実施の形態に図23の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図29】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図30】モータ部16、アンギュラ玉軸受54、55およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図31】アンギュラ玉軸受54、55、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図32】アンギュラ玉軸受54、55、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図33】モータ部16、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図34】レゾルバ30、モータ部16およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図35】背面組合せ軸受を採用した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図36】本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
【図37】本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
【図38】本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
【図39】従来の薄型モータ200の軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の一態様に係る第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一態様に係る回転センサの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第1の実施の形態を示す図である。
まず、本発明の一態様を適用する薄型モータ100の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
薄型モータ100は、図1に示すように、固定子であるステータ22と、回転子であるロータ12と、ロータ12とステータ22の間に介在してロータ12を回転可能に支持するクロスローラ軸受14と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを有して構成されている。
【0020】
クロスローラ軸受14は、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。ここで、接触角θ1、θ2を大きくするほどクロスローラ軸受14のアキシャル荷重の負荷能力を向上させることができ、逆に、接触角θ1、θ2が小さくするほどクロスローラ軸受14のラジアル荷重の負荷能力を向上させることができる。なお、いずれの負荷能力を向上させるかは、薄型モータ100の使用環境や使用目的に応じて任意に選択されるため、接触角θ1、θ2の値については特に限定しない。
そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側(以下、2つの接触角内という。)に配置されている。また、モータ部16は、クロスローラ軸受14を挟んでレゾルバ30の反対側に配置されている。さらに、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0021】
ステータ22には、軸方向上方(図1の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図1の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0022】
クロスローラ軸受14は、内輪14aと、外輪14bと、内輪14aおよび外輪14bの間で転動可能に設けられた複数のクロスローラ(ころ)14cとを有して構成されている。クロスローラ14cは、直径が長さよりわずかに大きな略円筒状で、軌道上偶数番目の回転軸と、軌道上奇数番目の回転軸が互いに90°傾斜している。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0023】
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、出力軸の外周面に嵌合している。
モータ部16は、永久磁石16aと、永久磁石16aと所定間隔をもって対向して配置されるコイル16bとを有して構成されている。永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の外壁体12bの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bに取り付けられている。
【0024】
レゾルバ30は、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ20とを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図1において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS(Absolute)型の単極レゾルバである。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC(Increment)型の多極レゾルバである。
【0025】
2つのレゾルバ30のレゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、2つのレゾルバ30のレゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
そして、コイル16bに通電することにより、ロータ12およびレゾルバロータ18が一体に回転し、レゾルバステータ20によりリアクタンス変化を検出し、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御を行う構造となっている。
【0026】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
コイル16bに通電すると、ロータ12に回転トルクが付与され、ロータ12が回転する。そして、レゾルバ30により、ロータ12と一体に回転するレゾルバロータ18との間のリラクタンス変化が検出され、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御が行われる。
薄型モータ100にモーメント荷重が加わると、薄型モータ100がクロスローラ軸受14を中心として傾くが、レゾルバ30が2つの接触角内に配置されているので、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができる。
また、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
【0027】
さらに、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくい。
さらに、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、クロスローラ軸受14の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明の一態様では、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30を配置することによりギャップ変化を低減するので、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
このようにして、本実施の形態では、内輪14aおよび外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、レゾルバ30を2つの接触角内に配置した。
【0028】
これにより、薄型モータ100にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30が配置されているので、従来に比して、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。また、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法に比して、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置した。
これにより、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
【0029】
これにより、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。
さらに、本実施の形態では、クロスローラ軸受14を採用した。
これにより、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができるので、アキシャル荷重およびラジアル荷重に対する剛性を維持しつつ、モーメント荷重によるギャップ変化を低減することができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、レゾルバロータ18との間のリラクタンス変化を検出するレゾルバステータ20とを有して構成されている。
【0030】
このように、1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるタイプのレゾルバ30では、モーメント荷重によるギャップ変化の影響が大きいので、ギャップ変化の低減は、誤検出防止に効果的である。
上記第1の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明1ないし5の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明1、3または5の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明1、3または5の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明1ないし5の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18は、発明5の被検出体に対応し、レゾルバステータ20は、発明5の検出手段に対応し、モータ部16は、発明3の駆動体に対応し、直線L1は、発明1または2の第1直線に対応し、直線L2は、発明1または2の第2直線に対応している。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第2の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図2ないし図4は、本発明の一態様に係る回転センサの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第2の実施の形態を示す図である。
まず、レゾルバ30の構成を説明する。
【0032】
図2は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図2に示すように、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータと、レゾルバロータと所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータとを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図2において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18raと、レゾルバロータ18raに対向して配置されたレゾルバステータ20saとを有し、レゾルバロータ18raの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS型の単極レゾルバである。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18riと、レゾルバロータ18riに対向して配置されたレゾルバステータ20siとを有し、レゾルバロータ18riの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC型の多極レゾルバである。
【0033】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
図3は、ロータ間座42の下面図である。
【0034】
図4は、図3のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
ロータ間座42の下面には、図3に示すように、ボルト18aが挿通するボルト穴46aと、ボルト18bが挿通するボルト穴46bとが形成されている。ボルト穴46aは、ロータ間座42の周方向に60°間隔に6つ形成されているとともに、図3真下のボルト穴46aから反時計回りに15°間隔で2つ形成されている。ボルト穴46bは、60°間隔で形成された各ボルト穴46aから時計回りに15°の位置にそれぞれ形成されている。
【0035】
ボルト穴46aは、図4に示すように、ロータ間座42を軸方向に貫通し、座ぐり深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。ボルト穴46bの深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。
一方、レゾルバステータ20sa、20siは、図2に示すように、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0036】
次に、ステータ22の構成を説明する。
ステータ22には、図2に示すように、ステータ22の径方向内側から径方向外側に貫通する配線管48が形成されている。配線管48には、レゾルバ30の配線が収容されている。
配線管48の高さDは、レゾルバ30の1本の配線の直径をd、所定の余裕をα(0<α<d)とすると、下式(1)により得られる値に設定されている。
D=2d+α …(1)
レゾルバ30の配線は、電力線、グランド線等の複数本の配線から構成されている。これら配線をねじれなく水平に並べて配線することができれば、配線管の高さDはdですむ。しかし、実際は、配線同士が軸方向でクロスする。そこで、1回のクロス分(d)を考慮し、2d+αとして設定するのが好ましい。
【0037】
次に、内輪押え26および外輪押え28の構成を説明する。
内輪押え26には、図2に示すように、ボルト26aを挿通するボルト穴26cが形成されている。上記第1の実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚は、ボルト穴26cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、ボルト穴26cの1ピッチ分の長さをpiとすると、下式(2)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴26cにボルト26aをねじ込むと、内輪押え26の外周面が内輪14a側に押し出され、内輪14aを係止するので、内輪14aを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。
pi<ti<2pi …(2)
【0038】
上式(2)において、肉厚tiを2pi以上とすると、内輪押え26の外周面を押し出す作用が小さくなり、内輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚tiをpi以下とすると、ボルト穴26cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(2)により得られる値に設定するのが好ましい。
外輪押え28には、図2に示すように、ボルト28aを挿通するボルト穴28cが形成されている。上記第1の実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚は、ボルト穴28cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、ボルト穴28cの1ピッチ分の長さをpoとすると、下式(3)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴28cにボルト28aをねじ込むと、外輪押え28の内周面が外輪14b側に押し出され、外輪14bを係止するので、外輪14bを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。
po<to<2po …(3)
【0039】
上式(3)において、肉厚toを2po以上とすると、外輪押え28の内周面を押し出す作用が小さくなり、外輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚toをpo以下とすると、ボルト穴28cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(3)により得られる値に設定するのが好ましい。
上記第1の実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さは、クロスローラ軸受14の高さをBとすると、1/4B程度であった。しかしながら、内輪押え26の押圧部26bの高さが1/4B程度であると、内輪押え26がレゾルバ30側に傾き、レゾルバ30のギャップが変化する可能性がある。そのため、ロータ12の回転角度位置を正確に検出することができないという問題があった。
そこで、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、図2に示すように、下式(4)により得られる値に設定されている。
H=1/2B …(4)
【0040】
これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
なお、外輪押え28の押圧部28bの高さは1/4Bとする。
このようにして、本実施の形態では、レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト18a、18bによりそれぞれ取り付けられている。
これにより、レゾルバロータ18ra、18riを独立に固定することができるので、レゾルバロータ18ra、18riの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト20a、20bによりそれぞれ取り付けられている。
【0041】
これにより、レゾルバステータ20sa、20siを独立に固定することができるので、レゾルバステータ20sa、20siの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30は、ABS型およびINC型のレゾルバとして構成した。
これにより、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができる。
さらに、本実施の形態では、配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
これにより、配線管48の高さが小さくなるので、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。また、レゾルバ30の複数の配線について1回のクロス分が許容されるので、レゾルバ30の配線を配線管48に収容する作業性が低下する可能性を低減することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)により得られる値に設定されている。
これにより、内輪14aを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
さらに、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)により得られる値に設定されている。
これにより、外輪14bを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
上記第2の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明6ないし10の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明7、8または10の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明9の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明6ないし10の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18raは、発明6の第1レゾルバロータに対応し、レゾルバロータ18riは、発明6の第2レゾルバロータに対応し、ボルト18a、18bは、発明6の固定手段に対応している。
【0044】
〔第1及び第2の実施の形態の変形例〕
なお、上記第1の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30を2つの接触角内に配置する構成であれば、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
まず、第1の構成を説明する。
図5は、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図5に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側に配置されている。また、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0045】
ステータ22には、軸方向上方(図5の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図5の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を内輪14aの上面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの下面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
【0046】
外輪14bは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を外輪14bの下面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの上面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にロータ12の内壁体12aの内周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0047】
このようにして、第1の構成では、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。また、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。
【0048】
次に、第2の構成を説明する。
図6は、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図6に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側に配置されている。また、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0049】
ステータ22には、軸方向上方(図6の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図6の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0050】
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
【0051】
このようにして、第2の構成では、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。また、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。
【0052】
次に、第3の構成を説明する。
図7は、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図7に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側に配置されている。また、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0053】
ステータ22には、軸方向上方(図7の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図7の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0054】
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の外壁体12bの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
【0055】
このようにして、第3の構成では、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。また、モータ部16が径方向の最も外側に配置されているので、巻線を巻くスペースを大きく確保することができ、高い出力トルクを実現することができる。さらに、モータ部16の極数を増やすことができ、低速から超低速の運転を実現することができる。
【0056】
次に、第4の構成を説明する。
図8は、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図8に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側に配置されている。また、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0057】
ステータ22には、軸方向上方(図8の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図8の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0058】
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0059】
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
【0060】
このようにして、第4の構成では、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
【0061】
次に、第5の構成を説明する。
図9は、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図9に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側に配置されている。また、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0062】
ステータ22には、軸方向上方(図9の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図9の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0063】
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0064】
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
【0065】
このようにして、第5の構成では、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
【0066】
なお、図5ないし図9の構成においては、ABS/INC一体型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS型およびINC型のレゾルバから構成することもできる。
また、上記第2の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30を2つの接触角内に配置する構成であれば、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
【0067】
まず、第1の構成を説明する。
図10は、上記第2の実施の形態に図5の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図10に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0068】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、外輪押え28の外周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0069】
次に、第2の構成を説明する。
図11は、上記第2の実施の形態に図6の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図11に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0070】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
次に、第3の構成を説明する。
【0071】
図12は、上記第2の実施の形態に図7の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図12に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、外輪押え28の外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0072】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの内周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0073】
次に、第4の構成を説明する。
図13は、上記第2の実施の形態に図8の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図13に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0074】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0075】
次に、第5の構成を説明する。
図14は、上記第2の実施の形態に図9の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図14に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0076】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の内壁体22aの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
なお、図10ないし図14の構成においては、ABS型およびINC型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS/INC一体型のレゾルバから構成することもできる。
【0077】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
また、図5ないし図14の構成においては、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
【0078】
また、上記第1の実施の形態においては、レゾルバロータ18をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバステータ20を内輪押え26の内周面に取り付けて構成したが、これに限らず、レゾルバステータ20をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバロータ18を内輪押え26の内周面に取り付けて構成することもできる。図5ないし図14の構成についても同様である。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、ABS型およびINC型のレゾルバ30を設けて構成したが、これに限らず、円周方向に形成されたマークを検出するテープスケールを設けて構成することもできる。図5ないし図14の構成についても同様である。
【0079】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、ステータ22の内壁体22aおよび外壁体22bをステータ22の一部として形成したが、これに限らず、ステータ22の内壁体22aまたは外壁体22bを別部材で構成し、これをステータ22に取り付けて構成することもできる。また、ステータ22の内壁体22aを形成せずに内輪押え26をステータ22に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、内輪押え26がステータ22の内壁体を構成することとなる。図5ないし図14の構成についても同様である。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、ロータ12の内壁体12aおよび外壁体12bをロータ12の一部として形成したが、これに限らず、ロータ12の内壁体12aまたは外壁体12bを別部材で構成し、これをロータ12に取り付けて構成することもできる。また、ロータ12の外壁体12bを形成せずに外輪押え28をロータ12に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、外輪押え28がロータ12の外壁体を構成することとなる。図5ないし図14の構成についても同様である。
【0080】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、モータ部16は、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14と径方向同一平面上に配置しなくてもよい。図5ないし図14の構成についても同様である。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、クロスローラ軸受14を適用したが、これに限定するものではなく、4点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。この場合、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができる転がり軸受を採用することが好ましい。かかる転がり軸受としては、例えば、4点接触玉軸受が該当する。図5ないし図14の構成についても同様である。
【0081】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、本発明の一態様に係る回転センサの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置を、ステータ22とロータ12を回転可能に支持する構造に適用したが、これに限らず、2つの部材の間に介在してそれらを相対的に回転可能に支持する構造であればどのような構造にも適用することもできる。図5ないし図14の構成についても同様である。
【0082】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第3の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図15は、本発明の一態様に係るレゾルバの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置およびレゾルバの軸受幅内配置構造を有する転がり軸受装置の第3の実施の形態を示す図である。
まず、本発明の一態様を適用する薄型モータ100の構成を説明する。
図15は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
薄型モータ100は、図15に示すように、固定子であるステータ22と、回転子であるロータ12と、ロータ12とステータ22の間に介在してロータ12を回転可能に支持するクロスローラ軸受14と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを有して構成されている。ここで、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16は、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0083】
ステータ22には、軸方向上方(図15の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図15の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
クロスローラ軸受14は、内輪14aと、外輪14bと、内輪14aおよび外輪14bの間で転動可能に設けられた複数のクロスローラ(ころ)14cとを有して構成されている。クロスローラ14cは、直径が長さよりわずかに大きな略円筒状で、軌道上偶数番目の回転軸と、軌道上奇数番目の回転軸が互いに90°傾斜している。
【0084】
クロスローラ軸受14は、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。ここで、接触角θ1、θ2を大きくするほどクロスローラ軸受14のアキシャル荷重の負荷能力を向上させることができ、逆に、接触角θ1、θ2が小さくするほどクロスローラ軸受14のラジアル荷重の負荷能力を向上させることができる。なお、いずれの負荷能力を向上させるかは、薄型モータ100の使用環境や使用目的に応じて任意に選択されるため、接触角θ1、θ2の値については特に限定しない。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0085】
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、出力軸の外周面に嵌合している。
モータ部16は、永久磁石16aと、永久磁石16aと所定間隔をもって対向して配置されるコイル16bとを有して構成されている。永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の外壁体12bの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bに取り付けられている。
【0086】
レゾルバ30は、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ20とを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図15において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS型の単極レゾルバ(以下、レゾルバ30のうち単極レゾルバを指すときは「単極レゾルバ30」と表記する。)である。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC型の多極レゾルバ(以下、レゾルバ30のうち多極レゾルバを指すときは「多極レゾルバ30」と表記する。)である。
【0087】
単極レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側(以下、2つの接触角内という。)にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸方向においてクロスローラ軸受14の軸受幅の範囲内(以下、軸受幅内という。)にそのギャップ面が位置するように配置されている。ここで、レゾルバ30のギャップとは、レゾルバロータ18とレゾルバステータ20の径方向のギャップをいい、ギャップ面とは、レゾルバロータ18およびレゾルバステータ20がギャップを介して対向する面をいう。
【0088】
2つのレゾルバ30のレゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、2つのレゾルバ30のレゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
そして、コイル16bに通電することにより、ロータ12およびレゾルバロータ18が一体に回転し、レゾルバステータ20によりリアクタンス変化を検出し、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御を行う構造となっている。
【0089】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
コイル16bに通電すると、ロータ12に回転トルクが付与され、ロータ12が回転する。そして、レゾルバ30により、ロータ12と一体に回転するレゾルバロータ18との間のリラクタンス変化が検出され、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御が行われる。
薄型モータ100にモーメント荷重が加わると、薄型モータ100がクロスローラ軸受14を中心として傾くが、単極レゾルバ30のギャップ面が2つの接触角内でかつ軸受幅内に位置するように単極レゾルバ30が配置されているので、多極レゾルバ30よりもギャップ変化の影響が大きい単極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができる。
【0090】
また、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
さらに、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくい。
さらに、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、クロスローラ軸受14の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明の一態様では、ギャップ変化が小さい位置に単極レゾルバ30を配置することによりギャップ変化を低減するので、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
【0091】
このようにして、本実施の形態では、内輪14aおよび外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出する単極レゾルバ30および多極レゾルバ30とを備え、単極レゾルバ30のギャップ面が2つの接触角内に位置するように単極レゾルバ30を配置した。
これにより、薄型モータ100にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に単極レゾルバ30が配置されているので、従来に比して、単極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、単極レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。特に、多極レゾルバ30よりもギャップ変化の影響が大きい単極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができるので、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができる。また、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法に比して、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態では、単極レゾルバ30のギャップ面が軸受幅内に位置するように単極レゾルバ30を配置した。
これにより、単極レゾルバ30のギャップ変化をさらに小さくすることができ、単極レゾルバ30が誤検出する可能性をさらに低減することができる。また、単極レゾルバ30およびクロスローラ軸受14が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置した。
これにより、薄型モータ100の高さをさらに小さくすることができる。また、多極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、多極レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
【0093】
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。
さらに、本実施の形態では、クロスローラ軸受14を採用した。
これにより、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができるので、アキシャル荷重およびラジアル荷重に対する剛性を維持しつつ、モーメント荷重によるギャップ変化を低減することができる。
【0094】
上記第3の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明11ないし16の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明11、14または16の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明11、14または16の外輪被支持体に対応し、単極レゾルバ30は、発明11ないし13または16の第1レゾルバに対応している。また、多極レゾルバ30は、発明11または16の第2レゾルバに対応し、モータ部16は、発明14の駆動体に対応し、直線L1は、発明11または13の第1直線に対応し、直線L2は、発明11または13の第2直線に対応している。
【0095】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第4の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図16ないし図18は、本発明の一態様に係るレゾルバの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置およびレゾルバの軸受幅内配置構造を有する転がり軸受装置の第4の実施の形態を示す図である。
まず、レゾルバ30の構成を説明する。
【0096】
図16は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図16に示すように、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータと、レゾルバロータと所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータとを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図16において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18raと、レゾルバロータ18raに対向して配置されたレゾルバステータ20saとを有し、レゾルバロータ18raの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS型の単極レゾルバである。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18riと、レゾルバロータ18riに対向して配置されたレゾルバステータ20siとを有し、レゾルバロータ18riの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC型の多極レゾルバである。
【0097】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
図17は、ロータ間座42の下面図である。
【0098】
図18は、図17のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
ロータ間座42の下面には、図17に示すように、ボルト18aが挿通するボルト穴46aと、ボルト18bが挿通するボルト穴46bとが形成されている。ボルト穴46aは、ロータ間座42の周方向に60°間隔に6つ形成されているとともに、図17真下のボルト穴46aから反時計回りに15°間隔で2つ形成されている。ボルト穴46bは、60°間隔で形成された各ボルト穴46aから時計回りに15°の位置にそれぞれ形成されている。
【0099】
ボルト穴46aは、図18に示すように、ロータ間座42を軸方向に貫通し、座ぐり深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。ボルト穴46bの深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。
一方、レゾルバステータ20sa、20siは、図16に示すように、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0100】
次に、ステータ22の構成を説明する。
ステータ22には、図16に示すように、ステータ22の径方向内側から径方向外側に貫通する配線管48が形成されている。配線管48には、レゾルバ30の配線が収容されている。
配線管48の高さDは、レゾルバ30の1本の配線の直径をd、所定の余裕をα(0<α<d)とすると、下式(5)により得られる値に設定されている。
D=2d+α …(5)
レゾルバ30の配線は、電力線、グランド線等の複数本の配線から構成されている。これら配線をねじれなく水平に並べて配線することができれば、配線管の高さDはdですむ。しかし、実際は、配線同士が軸方向でクロスする。そこで、1回のクロス分(d)を考慮し、2d+αとして設定するのが好ましい。
【0101】
次に、内輪押え26および外輪押え28の構成を説明する。
内輪押え26には、図16に示すように、ボルト26aを挿通するボルト穴26cが形成されている。上記第3の実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚は、ボルト穴26cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、ボルト穴26cの1ピッチ分の長さをpiとすると、下式(6)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴26cにボルト26aをねじ込むと、内輪押え26の外周面が内輪14a側に押し出され、内輪14aを係止するので、内輪14aを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。
pi<ti<2pi …(6)
【0102】
上式(6)において、肉厚tiを2pi以上とすると、内輪押え26の外周面を押し出す作用が小さくなり、内輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚tiをpi以下とすると、ボルト穴26cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(6)により得られる値に設定するのが好ましい。
外輪押え28には、図16に示すように、ボルト28aを挿通するボルト穴28cが形成されている。上記第3の実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚は、ボルト穴28cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、ボルト穴28cの1ピッチ分の長さをpoとすると、下式(7)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴28cにボルト28aをねじ込むと、外輪押え28の内周面が外輪14b側に押し出され、外輪14bを係止するので、外輪14bを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。
po<to<2po …(7)
【0103】
上式(7)において、肉厚toを2po以上とすると、外輪押え28の内周面を押し出す作用が小さくなり、外輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚toをpo以下とすると、ボルト穴28cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(7)により得られる値に設定するのが好ましい。
上記第3の実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さは、クロスローラ軸受14の高さをBとすると、1/4B程度であった。しかしながら、内輪押え26の押圧部26bの高さが1/4B程度であると、内輪押え26がレゾルバ30側に傾き、レゾルバ30のギャップが変化する可能性がある。そのため、ロータ12の回転角度位置を正確に検出することができないという問題があった。
そこで、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、図16に示すように、下式(8)により得られる値に設定されている。
H=1/2B …(8)
【0104】
これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
なお、外輪押え28の押圧部28bの高さは1/4Bとする。
このようにして、本実施の形態では、レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト18a、18bによりそれぞれ取り付けられている。
これにより、レゾルバロータ18ra、18riを独立に固定することができるので、レゾルバロータ18ra、18riの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
【0105】
さらに、本実施の形態では、レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト20a、20bによりそれぞれ取り付けられている。
これにより、レゾルバステータ20sa、20siを独立に固定することができるので、レゾルバステータ20sa、20siの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30は、ABS型およびINC型のレゾルバとして構成した。
これにより、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができる。
さらに、本実施の形態では、配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
【0106】
これにより、配線管48の高さが小さくなるので、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。また、レゾルバ30の複数の配線について1回のクロス分が許容されるので、レゾルバ30の配線を配線管48に収容する作業性が低下する可能性を低減することができる。
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)により得られる値に設定されている。
これにより、内輪14aを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
さらに、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)により得られる値に設定されている。
これにより、外輪14bを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
【0107】
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(8)により得られる値に設定されている。
これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
上記第4の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明17ないし21の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明18、19または21の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明20の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明18または21の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18raは、発明17の第1レゾルバロータに対応し、レゾルバロータ18riは、発明17の第2レゾルバロータに対応し、ボルト18a、18bは、発明17の固定手段に対応している。
【0108】
〔第3及び第4の実施の形態の変形例〕
なお、上記第3の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
【0109】
まず、第1の構成を説明する。
図19は、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図19に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸受幅内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0110】
ステータ22には、軸方向上方(図19の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図19の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0111】
内輪14aは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を内輪14aの上面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの下面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
外輪14bは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を外輪14bの下面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの上面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
【0112】
永久磁石16aは、内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にロータ12の内壁体12aの内周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第3および第4の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0113】
このようにして、第1の構成では、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。また、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。
【0114】
次に、第2の構成を説明する。
図20は、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図20に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸受幅内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0115】
ステータ22には、軸方向上方(図20の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図20の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0116】
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第3および第4の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
【0117】
このようにして、第2の構成では、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。また、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。
【0118】
次に、第3の構成を説明する。
図21は、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図21に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪14bの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸受幅内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0119】
ステータ22には、軸方向上方(図21の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図21の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0120】
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の外壁体12bの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第3および第4の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
【0121】
このようにして、第3の構成では、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。また、モータ部16が径方向の最も外側に配置されているので、巻線を巻くスペースを大きく確保することができ、高い出力トルクを実現することができる。さらに、モータ部16の極数を増やすことができ、低速から超低速の運転を実現することができる。
【0122】
次に、第4の構成を説明する。
図22は、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図22に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸受幅内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0123】
ステータ22には、軸方向上方(図22の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図22の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
【0124】
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第3および第4の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
【0125】
このようにして、第4の構成では、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
【0126】
次に、第5の構成を説明する。
図23は、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14は、図23に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸受幅内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0127】
ステータ22には、軸方向上方(図23の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図23の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0128】
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0129】
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第3および第4の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
このようにして、第5の構成では、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
【0130】
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
なお、図19ないし図23の構成においては、ABS/INC一体型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS型およびINC型のレゾルバから構成することもできる。
また、上記第4の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
【0131】
まず、第1の構成を説明する。
図24は、上記第4の実施の形態に図19の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図24に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第4の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
【0132】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、外輪押え28の外周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0133】
配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(8)により得られる値に設定されている。
【0134】
次に、第2の構成を説明する。
図25は、上記第4の実施の形態に図20の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図25に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第4の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0135】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
次に、第3の構成を説明する。
【0136】
図26は、上記第4の実施の形態に図21の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図26に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第4の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、外輪押え28の外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0137】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの内周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(8)により得られる値に設定されている。
【0138】
次に、第4の構成を説明する。
図27は、上記第4の実施の形態に図22の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図27に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第4の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0139】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(8)により得られる値に設定されている。
【0140】
次に、第5の構成を説明する。
図28は、上記第4の実施の形態に図23の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図28に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第4の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0141】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の内壁体22aの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
配線管48の高さDは、上式(5)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(6)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(7)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
【0142】
なお、図24ないし図28の構成においては、ABS型およびINC型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS/INC一体型のレゾルバから構成することもできる。
また、上記第3および第4の実施の形態においては、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
【0143】
また、図19ないし図28の構成においては、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
また、上記第3の実施の形態においては、レゾルバロータ18をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバステータ20を内輪押え26の内周面に取り付けて構成したが、これに限らず、レゾルバステータ20をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバロータ18を内輪押え26の内周面に取り付けて構成することもできる。図19ないし図28の構成についても同様である。
【0144】
また、上記第3および第4の実施の形態においては、ステータ22の内壁体22aおよび外壁体22bをステータ22の一部として形成したが、これに限らず、ステータ22の内壁体22aまたは外壁体22bを別部材で構成し、これをステータ22に取り付けて構成することもできる。また、ステータ22の内壁体22aを形成せずに内輪押え26をステータ22に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、内輪押え26がステータ22の内壁体を構成することとなる。図19ないし図28の構成についても同様である。
また、上記第3および第4の実施の形態においては、ロータ12の内壁体12aおよび外壁体12bをロータ12の一部として形成したが、これに限らず、ロータ12の内壁体12aまたは外壁体12bを別部材で構成し、これをロータ12に取り付けて構成することもできる。また、ロータ12の外壁体12bを形成せずに外輪押え28をロータ12に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、外輪押え28がロータ12の外壁体を構成することとなる。図19ないし図28の構成についても同様である。
【0145】
また、上記第3および第4の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、モータ部16は、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14と径方向同一平面上に配置しなくてもよい。図19ないし図28の構成についても同様である。
また、上記第3および第4の実施の形態においては、クロスローラ軸受14を適用したが、これに限定するものではなく、4点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。この場合、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができる転がり軸受を採用することが好ましい。かかる転がり軸受としては、例えば、4点接触玉軸受が該当する。図19ないし図28の構成についても同様である。
【0146】
また、上記第3および第4の実施の形態においては、本発明の一態様に係るレゾルバの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置およびレゾルバの軸受幅内配置構造を有する転がり軸受装置を、ステータ22とロータ12を回転可能に支持する構造に適用したが、これに限らず、2つの部材の間に介在してそれらを相対的に回転可能に支持する構造であればどのような構造にも適用することもできる。図19ないし図28の構成についても同様である。
【0147】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第5の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図29は、本発明の一態様に係る組合せ軸受の接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第5の実施の形態を示す図である。
まず、本発明の一態様を適用する薄型モータ100の構成を説明する。
図29は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
薄型モータ100は、図29に示すように、固定子であるステータ22と、回転子であるロータ12と、ロータ12とステータ22の間に介在してロータ12を回転可能に支持するアンギュラ玉軸受54、55と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを有して構成されている。
【0148】
アンギュラ玉軸受54、55は、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。ここで、接触角θ1、θ2を大きくするほどアンギュラ玉軸受54、55のアキシャル荷重の負荷能力を向上させることができ、逆に、接触角θ1、θ2が小さくするほどアンギュラ玉軸受54、55のラジアル荷重の負荷能力を向上させることができる。なお、いずれの負荷能力を向上させるかは、薄型モータ100の使用環境や使用目的に応じて任意に選択されるため、接触角θ1、θ2の値については特に限定しない。
【0149】
そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪54a、55aの側(以下、2つの接触角内という。)にそのギャップ面が位置するように配置されている。ここで、レゾルバ30のギャップとは、レゾルバロータ18とレゾルバステータ20の径方向のギャップをいい、ギャップ面とは、レゾルバロータ18およびレゾルバステータ20がギャップを介して対向する面をいう。また、モータ部16は、アンギュラ玉軸受54、55を挟んでレゾルバ30の反対側に配置されている。さらに、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0150】
ステータ22には、軸方向上方(図29の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図29の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0151】
アンギュラ玉軸受54は、内輪54aと、外輪54bと、内輪54aおよび外輪54bの間で転動可能に設けられた複数のボール54cとを有して構成されている。アンギュラ玉軸受55は、内輪55aと、外輪55bと、内輪55aおよび外輪55bの間で転動可能に設けられた複数のボール55cとを有して構成されている。そして、アンギュラ玉軸受54、55は、予圧を付与して、正面組合せとして対向配置されている。
内輪54a、55aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0152】
外輪54b、55bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、出力軸の外周面に嵌合している。
モータ部16は、永久磁石16aと、永久磁石16aと所定間隔をもって対向して配置されるコイル16bとを有して構成されている。永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の外壁体12bの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bに取り付けられている。
【0153】
レゾルバ30は、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ18と、環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ20とを有して構成されるアウターロータ式のABS/INC一体型のレゾルバである。
レゾルバロータ18には、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成され、その内周は、アンギュラ玉軸受54、55の軸心に対して偏心している。レゾルバステータ20には、環状のステータ基部の円周方向に沿って複数のステータポールが等間隔に形成されている。各ステータポールには、レゾルバロータ18の絶対角度位置を検出するための単極レゾルバ信号を出力する単極検出用巻線と、レゾルバロータ18の相対角度位置を検出するための多極レゾルバ信号を出力する多極検出用巻線が巻装されている。これにより、レゾルバ30は、レゾルバロータ18の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号、およびリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力する。
【0154】
レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
薄型モータ100は、レゾルバ30により検出された単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号に基づいて、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御を行う構造となっている。
【0155】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
コイル16bに通電すると、ロータ12に回転トルクが付与され、ロータ12が回転する。そして、レゾルバ30により、ロータ12と一体に回転するレゾルバロータ18との間のリラクタンス変化が検出され、制御器(不図示)により回転速度や位置決めの制御が行われる。
薄型モータ100にモーメント荷重が加わると、薄型モータ100がアンギュラ玉軸受54、55を中心として傾くが、レゾルバ30のギャップ面が2つの接触角内に位置するようにレゾルバ30が配置されているので、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができる。
また、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
【0156】
さらに、レゾルバ30がアンギュラ玉軸受54、55を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくい。
さらに、アンギュラ玉軸受54、55の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、アンギュラ玉軸受54、55の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明の一態様では、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30を配置することによりギャップ変化を低減するので、アンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図ることができる。
【0157】
このようにして、本実施の形態では、内輪54a、55aおよび外輪54b、55bを有するアンギュラ玉軸受54、55と、内輪54a、55aに支持されるステータ22と、外輪54b、55bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、レゾルバ30のギャップ面が2つの接触角内に位置するようにレゾルバ30を配置した。
これにより、薄型モータ100にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30が配置されているので、従来に比して、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。また、アンギュラ玉軸受54、55の予圧を高くする等の方法に比して、アンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図ることができる。
【0158】
さらに、本実施の形態では、アンギュラ玉軸受54、55を予圧を付与して対向配置した正面組合せ軸受を採用した。
これにより、薄型モータ100の外部にバックアップ用の軸受等の支持部品を設置しても、複数の転がり軸受を設置しても、互いの軸受を干渉させずに使用することができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置した。
これにより、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30がアンギュラ玉軸受54、55を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。
【0159】
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54、55の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、レゾルバロータ18との間のリラクタンス変化を検出するレゾルバステータ20とを有して構成されている。
このように、1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるタイプのレゾルバ30では、モーメント荷重によるギャップ変化の影響が大きいので、ギャップ変化の低減は、誤検出防止に効果的である。
【0160】
上記第5の実施の形態において、アンギュラ玉軸受54、55は、発明22ないし26の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明22、25または26の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明22、25または26の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明22ないし26の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18は、発明26の被検出体に対応し、レゾルバステータ20は、発明24のレゾルバステータ、または発明26の検出手段に対応し、モータ部16は、発明25の駆動体に対応し、直線L1は、発明22ないし24の第1直線に対応している。
また、上記第5の実施の形態において、直線L2は、発明22ないし24の第2直線に対応している。
【0161】
〔第5の実施の形態の変形例〕
なお、上記第5の実施の形態においては、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30を2つの接触角内に配置する構成であれば、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
【0162】
まず、第1の構成を説明する。
図30は、モータ部16、アンギュラ玉軸受54、55およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図30に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪54b、55bの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、モータ部16、アンギュラ玉軸受54、55およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0163】
ステータ22には、軸方向上方(図30の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図30の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪54a、55aは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を内輪54a、55aの上面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの下面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
【0164】
外輪54b、55bは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を外輪54b、55bの下面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの上面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にロータ12の内壁体12aの内周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0165】
このようにして、第1の構成では、モータ部16、アンギュラ玉軸受54、55およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびアンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30がアンギュラ玉軸受54、55を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。また、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。
【0166】
次に、第2の構成を説明する。
図31は、アンギュラ玉軸受54、55、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図31に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪54b、55bの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、アンギュラ玉軸受54、55、モータ部16およびレゾルバ30は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0167】
ステータ22には、軸方向上方(図31の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図31の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪54a、55aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0168】
外輪54b、55bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
このようにして、第2の構成では、アンギュラ玉軸受54、55、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
【0169】
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびアンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。また、アンギュラ玉軸受54、55が径方向の最も内側に配置されているので、アンギュラ玉軸受54、55のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、アンギュラ玉軸受54、55のグリースが漏れにくい。
【0170】
次に、第3の構成を説明する。
図32は、アンギュラ玉軸受54、55、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図32に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、外輪54b、55bの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、アンギュラ玉軸受54、55、レゾルバ30およびモータ部16は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0171】
ステータ22には、軸方向上方(図32の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図32の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0172】
内輪54a、55aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪54b、55bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の外壁体12bの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
【0173】
レゾルバロータ18は、ボルト18aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
このようにして、第3の構成では、アンギュラ玉軸受54、55、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
【0174】
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびアンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図る効果のほか、アンギュラ玉軸受54、55が径方向の最も内側に配置されているので、アンギュラ玉軸受54、55のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、アンギュラ玉軸受54、55のグリースが漏れにくい。また、モータ部16が径方向の最も外側に配置されているので、巻線を巻くスペースを大きく確保することができ、高い出力トルクを実現することができる。さらに、モータ部16の極数を増やすことができ、低速から超低速の運転を実現することができる。
【0175】
次に、第4の構成を説明する。
図33は、モータ部16、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図33に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪54a、55aの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、モータ部16、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0176】
ステータ22には、軸方向上方(図33の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図33の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0177】
内輪54a、55aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪54b、55bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
【0178】
レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
このようにして、第4の構成では、モータ部16、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびアンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図る効果のほか、アンギュラ玉軸受54、55が径方向の最も外側に配置されているので、大径のアンギュラ玉軸受54、55を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
次に、第5の構成を説明する。
【0179】
図34は、レゾルバ30、モータ部16およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図34に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪54a、55aの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、レゾルバ30、モータ部16およびアンギュラ玉軸受54、55は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0180】
ステータ22には、軸方向上方(図34の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図34の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪54a、55aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
【0181】
外輪54b、55bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
【0182】
レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
このようにして、第5の構成では、レゾルバ30、モータ部16およびアンギュラ玉軸受54、55を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびアンギュラ玉軸受54、55の長寿命化を図る効果のほか、アンギュラ玉軸受54、55が径方向の最も外側に配置されているので、大径のアンギュラ玉軸受54、55を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
また、上記第5の実施の形態においては、正面組合せ軸受を採用したが、これに限らず、背面組合せ軸受を採用することもできる。
【0183】
図35は、背面組合せ軸受を採用した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図35に示すように、直線L1と直線L2との間でかつ内輪54a、55aの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。図29の構成と異なるのは、直線L1が軸方向下向きに、直線L2が軸方向上向きに延長し、レゾルバ30は、直線L1の上方でかつ直線L2の下方にそのギャップ面が位置するように配置されている点である。
このような構成であっても、上記第5の実施の形態と同等の効果が得られる。
なお、図30ないし図34の構成についても同様である。
また、上記第5の実施の形態においては、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
【0184】
また、図30ないし図34の構成においては、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
また、上記第5の実施の形態においては、レゾルバロータ18をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバステータ20を内輪押え26の内周面に取り付けて構成したが、これに限らず、レゾルバステータ20をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバロータ18を内輪押え26の内周面に取り付けて構成することもできる。図30ないし図34の構成についても同様である。
【0185】
また、上記第5の実施の形態においては、ABS/INC一体型のレゾルバ30を設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバを設けて構成することもできるし、INC型のレゾルバを設けて構成することもできるし、レゾルバに代えて、円周方向に形成されたマークを検出するテープスケールを設けて構成することもできる。図30ないし図34の構成についても同様である。
また、上記第5の実施の形態においては、ステータ22の内壁体22aおよび外壁体22bをステータ22の一部として形成したが、これに限らず、ステータ22の内壁体22aまたは外壁体22bを別部材で構成し、これをステータ22に取り付けて構成することもできる。また、ステータ22の内壁体22aを形成せずに内輪押え26をステータ22に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、内輪押え26がステータ22の内壁体を構成することとなる。図30ないし図34の構成についても同様である。
【0186】
また、上記第5の実施の形態においては、ロータ12の内壁体12aおよび外壁体12bをロータ12の一部として形成したが、これに限らず、ロータ12の内壁体12aまたは外壁体12bを別部材で構成し、これをロータ12に取り付けて構成することもできる。また、ロータ12の外壁体12bを形成せずに外輪押え28をロータ12に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、外輪押え28がロータ12の外壁体を構成することとなる。図30ないし図34の構成についても同様である。
また、上記第5の実施の形態においては、レゾルバ30、アンギュラ玉軸受54、55およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、モータ部16は、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55と径方向同一平面上に配置しなくてもよい。図30ないし図34の構成についても同様である。
【0187】
また、上記第5の実施の形態においては、アンギュラ玉軸受54、55を適用したが、これに限定するものではなく、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。図30ないし図34の構成についても同様である。
また、上記第5の実施の形態においては、本発明の一態様に係る組合せ軸受の接触角内配置構造を有する転がり軸受装置を、ステータ22とロータ12を回転可能に支持する構造に適用したが、これに限らず、2つの部材の間に介在してそれらを相対的に回転可能に支持する構造であればどのような構造にも適用することもできる。図30ないし図34の構成についても同様である。
【0188】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第6の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図36は、本発明の一態様に係る回転センサの接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第6の実施の形態を示す図である。
本発明の一態様を適用するレゾルバ装置110の構成を説明する。
【0189】
図36は、本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
レゾルバ装置110は、モータ部16を有しない点を除き図1の薄型モータ100と同等の構成である。
クロスローラ軸受14は、図36に示すように、異なる2つの接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、接触角の頂点Oから接触角θ1の方向に延長する直線L1と、頂点Oから接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪14aの側に配置されている。また、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0190】
ステータ22には、軸方向上方(図36の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図36の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0191】
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、モータ等の出力軸の外周面に嵌合している。
レゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0192】
このようにして、本実施の形態では、内輪14aおよび外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、直線L1と直線L2との間でかつ内輪14aの側にレゾルバ30を配置した。
これにより、レゾルバ装置110にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30が配置されているので、従来に比して、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。また、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法に比して、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
【0193】
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ装置110の高さを小さくすることができる。
上記第6の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明1、2、4または5の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明1または5の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明1または5の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明1、2、4または5の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18は、発明5の被検出体に対応し、レゾルバステータ20は、発明5の検出手段に対応し、直線L1は、発明1または2の第1直線に対応し、直線L2は、発明1または2の第2直線に対応している。
【0194】
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第7の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図37は、本発明の一態様に係る組合せ軸受の接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第7の実施の形態を示す図である。
本発明の一態様を適用するレゾルバ装置110の構成を説明する。
図37は、本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
レゾルバ装置110は、モータ部16を有しない点と、ABS型およびINC型のレゾルバ30を用いる点とを除き図29の薄型モータ100と同等の構成である。
アンギュラ玉軸受54、55は、図37に示すように、正面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪54a、55aの側にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0195】
ステータ22には、軸方向上方(図37の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図37の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0196】
内輪54a、55aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪54b、55bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、モータ等の出力軸の外周面に嵌合している。
【0197】
レゾルバ30は、上記第1および第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバであって、ABS/INC一体型のレゾルバとは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
このようにして、本実施の形態では、内輪14a、15aおよび外輪14b、15bを有するアンギュラ玉軸受14、15と、内輪14a、15aに支持されるステータ22と、外輪14b、15bに支持されるロータ12と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、直線L1と直線L2との間でかつ内輪54a、55aの側にレゾルバ30のギャップ面が位置するようにレゾルバ30を配置した。
【0198】
これにより、レゾルバ装置110にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30が配置されているので、従来に比して、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。また、アンギュラ玉軸受14、15の予圧を高くする等の方法に比して、アンギュラ玉軸受14、15の長寿命化を図ることができる。
さらに、本実施の形態では、アンギュラ玉軸受14、15を予圧を付与して対向配置した正面組合せ軸受を採用した。
これにより、レゾルバ装置110の外部にバックアップ用の軸受等の支持部品を設置しても、複数の転がり軸受を設置しても、互いの軸受を干渉させずに使用することができる。
【0199】
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受14、15を径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ装置110の高さを小さくすることができる。
上記第7の実施の形態において、アンギュラ玉軸受14、15は、発明22ないし24または26の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明22または26の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明22または26の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明22ないし24または26の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18は、発明26の被検出体に対応し、レゾルバステータ20は、発明24のレゾルバステータ、または発明26の検出手段に対応し、直線L1は、発明22ないし24の第1直線に対応し、直線L2は、発明22ないし24の第2直線に対応している。
【0200】
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の一態様に係る第8の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図38は、本発明の一態様に係る組合せ軸受の接触角内配置構造を有する転がり軸受装置の第8の実施の形態を示す図である。
本発明の一態様を適用するレゾルバ装置110の構成を説明する。
図38は、本実施の形態に係るレゾルバ装置110の軸方向の断面図である。
レゾルバ装置110は、モータ部16を有しない点と、ABS型およびINC型のレゾルバ30を用いる点と、背面組合せ軸受を採用する点とを除き図29の薄型モータ100と同等の構成である。
【0201】
アンギュラ玉軸受54、55は、図38に示すように、背面組合せ軸受であり、接触角θ1、θ2を有している。そして、単極レゾルバ30は、アンギュラ玉軸受54の接触角θ1の頂点O1から接触角θ1の方向に延長する直線L1と、アンギュラ玉軸受55の接触角θ2の頂点O2から接触角θ2の方向に延長する直線L2との間で、かつ、内輪54a、55aの側にそのギャップ面が位置するように配置されているとともに、軸方向においてクロスローラ軸受14の軸受幅の範囲内にそのギャップ面が位置するように配置されている。また、レゾルバ30およびアンギュラ玉軸受54、55は、径方向の同一平面上に配置されている。
【0202】
ステータ22には、軸方向上方(図38の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図38の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0203】
内輪54a、55aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪54a、55aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪54a、55aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪54b、55bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪54b、55bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪54b、55bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、モータ等の出力軸の外周面に嵌合している。
【0204】
レゾルバ30は、上記第1および第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバであって、ABS/INC一体型のレゾルバとは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0205】
このようにして、本実施の形態では、内輪14a、15aおよび外輪14b、15bを有するアンギュラ玉軸受14、15と、内輪14a、15aに支持されるステータ22と、外輪14b、15bに支持されるロータ12と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、直線L1と直線L2との間でかつ内輪54a、55aの側に単極レゾルバ30のギャップ面が位置するように単極レゾルバ30を配置した。
これにより、レゾルバ装置110にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に単極レゾルバ30が配置されているので、従来に比して、単極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、単極レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。特に、多極レゾルバ30よりもギャップ変化の影響が大きい単極レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができるので、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができる。
【0206】
さらに、本実施の形態では、軸方向においてクロスローラ軸受14の軸受幅の範囲内に単極レゾルバ30のギャップ面が位置するように単極レゾルバ30を配置した。
これにより、単極レゾルバ30のギャップ変化をさらに小さくすることができ、単極レゾルバ30が誤検出する可能性をさらに低減することができる。
上記第8の実施の形態において、アンギュラ玉軸受14、15は、発明11ないし13、16または27の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明11、16または27の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明11、16または27の外輪被支持体に対応している。また、レゾルバ30は、発明11、16または27の回転センサに対応し、直線L1は、発明11、13または27の第1直線に対応し、直線L2は、発明11、13または27の第2直線に対応している。
【0207】
〔第6ないし第8の実施の形態の変形例〕
なお、上記第6の実施の形態においては、上記第2の実施の形態、または上記第1および第2の実施の形態の各変形例との組み合わせも可能である。
また、上記第7の実施の形態においては、上記第5の実施の形態の各変形例との組み合わせも可能である。
また、上記第8の実施の形態においては、上記第4の実施の形態、または上記第4および第5の実施の形態の各変形例との組み合わせも可能である。
また、上記第6および第7の実施の形態においては、ABS型およびINC型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS/INC一体型のレゾルバから構成することもできる。
【0208】
また、上記第8の実施の形態においては、ABS型およびINC型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS/INC一体型のレゾルバから構成することもできる。
また、上記第7の実施の形態においては、正面組合せ軸受を採用したが、これに限らず、背面組合せ軸受を採用することもできる。
また、上記第8の実施の形態においては、背面組合せ軸受を採用したが、これに限らず、正面組合せ軸受を採用することもできる。
【0209】
また、上記第6の実施の形態においては、クロスローラ軸受14を適用したが、これに限定するものではなく、4点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。この場合、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができる転がり軸受を採用することが好ましい。かかる転がり軸受としては、例えば、4点接触玉軸受が該当する。4点接触玉軸受を採用した場合は、許容回転速度を高く設定することができるとともに、最小部品構成で薄型を実現することができる。
また、上記第7および第8の実施の形態においては、アンギュラ玉軸受14、15を適用したが、これに限定するものではなく、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。
【符号の説明】
【0210】
100、200 薄型モータ
110 レゾルバ装置
12 ロータ
14 クロスローラ軸受
14a 内輪
14b 外輪
14c クロスローラ
16 モータ部
16a 永久磁石
16b コイル
30 レゾルバ
18 レゾルバロータ
20 レゾルバステータ
22 ステータ
42 ロータ間座
44 ステータ間座
48 配線管
54、55 アンギュラ玉軸受
54a、55a 内輪
54b、55b 外輪
54c、55c ボール
12a、22a 内壁体
12b、22b 外壁体
26 内輪押え
28 外輪押え
26b、28b 押圧部
16c、18a、20a、24a、26a、28a ボルト
24 固定板
220 ハウジングインナ
18ra、18ri レゾルバロータ
20sa、20si レゾルバステータ
18b、20b ボルト
26c、28c、46a、46b ボルト穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、
前記転がり軸受は、2つの転がり軸受を予圧を付与して対向配置した組合せ軸受からなり、
前記2つの転がり軸受の一方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第1直線と、前記2つの転がり軸受の他方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第2直線との間で、かつ、前記内輪および前記外輪の一方の側に、前記回転センサを配置したことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1直線と前記第2直線との間でかつ前記内輪の側に前記回転センサを配置したことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回転センサは、レゾルバステータおよびレゾルバロータを有し、前記レゾルバロータと前記レゾルバステータの間のリラクタンスが前記レゾルバロータの位置により変化するレゾルバであり、
前記第1直線と前記第2直線との間でかつ前記内輪の側に、前記レゾルバステータと前記レゾルバロータのギャップ面が位置するように前記回転センサを配置したことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
さらに、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体を相対的に回転させる駆動体を備え、
前記駆動体を前記転がり軸受を挟んで前記回転センサの反対側に配置したことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記回転センサは、内周および外周の一方を前記転がり軸受の軸心に対して偏心させた円環状の被検出体と、前記被検出体との間のリラクタンス変化を検出する検出手段とを有し、前記被検出体の内周および外周のうち偏心している側が前記検出手段に対向するように、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体の一方に前記被検出体を、他方に前記検出手段を設けたことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期よりも短い第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、
前記2つの転がり軸受の一方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第1直線と、前記2つの転がり軸受の他方の接触角の頂点から当該接触角の方向に延長する第2直線との間で、かつ、前記内輪および前記外輪の一方の側に、前記第1レゾルバのギャップ面が位置するように前記第1レゾルバを配置したことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の転がり軸受装置を備えることを特徴とする薄型モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−17853(P2012−17853A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189205(P2011−189205)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2008−29222(P2008−29222)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】