説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】 感光体ベルト上のトナー像を記録媒体に転写する際に、記録媒体を感光体ベルトの表面に安定して接触させ、紙詰まりや記録媒体のスリップによるスミヤの発生を防止する。
【解決手段】 感光体ベルト16と転写コロトロン42とが対向する転写部22には、感光体ベルト16の裏面にバックアッププレート62が配設され、その先端部62Aが感光体ベルト16を転写コロトロン42側に撓ませている。バックアッププレート62には可動装置64が設けられており、モータ74によってベルト72を移動させ、これと連結するバックアッププレート62を矢印A方向に連動させる。センサ78で検知された記録媒体Pの厚みが所定値より大きいときは、バックアッププレート62を転写コロトロン42から後退する方向に移動する。これにより、記録媒体Pが周辺の部材に接触することによる紙詰まりの発生や、記録媒体のスリップによるスミヤの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体ベルトの表面に担持されたトナー像に記録媒体を重ね、記録媒体の裏面に非接触でトナー電荷と逆極性の電荷を与えて、トナー像を記録媒体に転写する転写装置及びこの転写装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置における転写方法として、感光体ベルトや感光体ドラム、または中間転写ベルト等の像担持体上に担持されたトナー像に記録媒体を重ね、転写コロトロンによって記録媒体の裏面にトナー電荷と逆極性の電荷を与えて、トナー像を記録媒体に転写するコロナ転写法が知られている。このコロナ転写法を用いた転写装置では、転写コロトロンと記録媒体が非接触であり、ローラ転写法のように記録媒体が像担持体に加圧されないため、記録媒体と像担持体との密着性が悪くなり易い。そして、記録媒体と像担持体との密着性が悪くなると、転写できずに白抜けが発生する。
【0003】
このため、コロナ転写法を用いる転写装置において、記録媒体と像担持体との密着性を向上させるための構成が、これまで種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、中間転写ベルトへ記録媒体を案内するガイド片の位置を厳密に位置決めすることで、記録媒体と中間転写ベルトとの密着性を向上させようとしている。しかし、普通紙や厚紙など、異なる種類の用紙を搬送すると、ガイド片で案内される用紙の流れが変化する。特に、厚紙などの腰の強い用紙は、像担持体ベルトから離れる側に反りやすく、周辺の部材に当たって紙詰まりが発生したり、用紙がスリップすることによってスミヤ(印字が滲む現象)が発生するという問題がある。
【0004】
特許文献2では、図6に示すように、トナー電荷と逆極性の電荷を付与する転写手段142と、この転写手段142の上流側にブレード158とが設けられている。感光体ベルト116は、ローラ131,132に張架されており、矢印方向に周回移動している。この転写装置100では、ブレード158を記録媒体Pの裏面に当接させて記録媒体Pを感光体ベルト116に押し付けることで、記録媒体Pと感光体ベルト116との密着性を向上させようとしている。しかし、この構成では、ブレード158の付勢力で感光体ベルト116の弛みが補正されて、記録媒体Pと共に感光体ベルト116が裏面側へ移動してしまうので、感光体ベルト116から離れる側へ反った記録媒体Pを感光体ベルト116に密着させることはできない。特に、厚紙などの記録媒体Pを搬送すると、ブレード158の付勢力で記録媒体Pが感光体ベルト16から離れる側へ反ることによって、紙詰まりが発生したり、記録媒体Pがスリップしてスミヤが発生するという問題がある。
【特許文献1】特開平9−15996号公報
【特許文献2】特開2000−242092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、記録媒体と像担持体ベルトとの密着性を向上させ、転写不良の発生を防止すると共に、紙詰まりやスミヤの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係る転写装置は、像担持体ベルトの表面に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置であって、前記像担持体ベルトの表面に接触した記録媒体に非接触でトナー電荷と逆極性の電荷を与える転写手段と、前記転写手段と対向して配置され、前記像担持体ベルトの裏面に接触し、前記像担持体ベルトを前記転写手段側に撓ませるバックアッププレートと、前記像担持体ベルトの表面に接触して搬送される記録媒体の腰の強さに応じて、前記バックアッププレートを可動させ前記像担持体ベルトの前記転写手段への撓み量を調整する可動手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、像担持体ベルトの表面に担持されたトナー像に記録媒体を接触させ、転写手段によって記録媒体に非接触でトナー電荷と逆極性の電荷を与えることによって、トナー像を記録媒体に転写する。転写手段と対向する位置では、像担持体ベルトの裏面にバックアッププレートを接触させることによって、像担持体ベルトを転写手段側に撓ませる。その際、可動手段によって、像担持体ベルトの表面に接触して搬送される記録媒体の腰の強さに応じてバックアッププレートを可動させ、転写手段側への像担持体ベルトの撓み量を調整する。これにより、記録媒体の腰が強く、記録媒体が像担持体ベルトの表面から離れる側に反り易い場合でも、像担持体ベルトの撓み量を適切に調整することで、記録媒体を像担持体ベルトの表面に安定して接触させることが可能となる。このため、記録媒体と像担持体ベルトとの密着性が向上し、転写不良の発生を防止できると共に、紙詰まりの発生や、記録媒体がスリップすることによるスミヤの発生を抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る転写装置は、請求項1に記載の転写装置において、前記記録媒体の腰の強さは、前記記録媒体を収容する給紙トレイに収容された前記記録媒体の種類、又は記録媒体搬送路に配置されたセンサで検知される前記記録媒体の厚みで判定されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、記録媒体の腰の強さは、記録媒体を収容する給紙トレイに収容された記録媒体の種類、又は記録媒体搬送路に配置されたセンサで検知される記録媒体の厚みで判定され、その判定に基づいて可動手段によってバックアッププレートを可動させる。これにより、記録媒体の腰の強さに応じて像担持体ベルトの撓み量が適切に調整され、記録媒体を像担持体ベルトの表面に安定して接触させることが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る転写装置は、請求項2に記載の転写装置において、前記可動手段は、前記記録媒体の腰の強さが普通紙より大きいときに、前記バックアッププレートを前記転写手段から後退する方向に移動させることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、記録媒体の腰の強さが普通紙より大きいときに、バックアッププレートを転写手段から後退する方向に移動させることで、像担持体ベルトの表面の撓み量を少なくする。これにより、記録媒体の腰が強く、像担持体ベルトの表面から離れる側に反り易い場合でも、記録媒体の浮き上がりを防止して、像担持体ベルトの表面に安定して接触させることが可能となる。このため、紙詰まりの発生や、記録媒体がスリップすることによるスミヤの発生を抑制できる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の転写装置を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の転写装置を備えているので、記録媒体の腰が強く、像担持体ベルトの表面から離れる側に反り易い場合でも、バックアッププレートを可動して像担持体ベルトの撓み量を適切に調整することで、記録媒体を像担持体ベルトの表面に安定して接触させることが可能となる。このため、紙詰まりの発生や、記録媒体がスリップすることによるスミヤの発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体を像担持体ベルトの表面に安定して接触させることが可能となり、転写不良の発生を防止できると共に、紙詰まりの発生や、記録媒体がスリップすることによるスミヤの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1には、第1実施形態に係る転写装置10を備えた画像形成装置1が示されている。
【0017】
画像形成装置1は電子写真方式を用いたカラーレーザプリンタである。この画像形成装置1では、画像形成部14で感光体ベルト16上にトナー像が形成され、このトナー像が、搬送ロール18によって給紙カセット20から転写部22へ搬送された記録媒体Pに転写される。そして、トナー像が転写された記録媒体Pが、転写部22の搬送方向下流側で定着装置12によって加圧、加熱されてトナー像が記録媒体Pに定着され、排紙ロール24によってスタッカ26へ排紙される。
【0018】
また、記録媒体Pの表裏両面に画像を形成する場合には、定着装置12の搬送方向下流側の搬送経路が切替えられて、表面にトナー像が定着された記録媒体Pが、表裏を反転するための裏面搬送路28へ搬送される。そして、表裏を反転された記録媒体Pは、搬送ベルト29によって転写部22の搬送方向上流側へ搬送され、搬送ロール18によって再び転写部22へ搬送されて感光体ベルト16から裏面にトナー像を転写される。そして、記録媒体Pは、定着装置12を通過して裏面にトナー像を定着され、排紙ロール24によってスタッカ26へ排紙される。
【0019】
画像形成部14には、感光体ベルト16が設けられている。この感光体ベルト16は、上下方向に延出する搬送経路30に沿って配設された2本のロール31、32、ロール31、32の水平方向に配設された2本のロール34によって周回移動が可能に張架され、上下左右に平坦面16A、16B、16C、16Dを形成されている。なお、上下の平坦面16A、16Bの方が左右の平坦面16C、16Dよりも長くなっている。
【0020】
また、それぞれ赤や黒等、異なる色のトナー像を感光体ベルト16の表面に形成する複数のプリントエンジン36が、下側の平坦面16Bに沿って配列されている。各プリントエンジン36は、感光体ベルト16の回転方向(図中矢印A方向)に順に配設された帯電器37、露光ヘッド38、現像器39を備える。帯電器37は、帯電コロトロンや帯電ロール等で、感光体ベルト16を一様に帯電する。また、露光ヘッド38は、LEDアレイや光走査装置(Raster Optical Scanner)等で、感光体ベルト16の帯電面を露光して感光体ベルト16上に画像データに基づいた静電潜像を形成する。また、現像器39は、トナーからなる1成分現像剤、或いはトナーやキャリアからなる2成分現像剤を収容しており、現像器39内で現像剤を攪拌しながら現像ロール39Aに搬送する。そして、現像器39は、現像ロール39Aに現像バイアスを印加されて現像ロール39Aから感光体ベルト16の静電潜像上へトナーを移動させる。これによって、感光体ベルト16上の静電潜像がトナーで可視化される。
【0021】
そして、感光体ベルト16の転写部22に面した平坦面16Dに面して転写装置10が配設されている。この転写装置10は、搬送経路を挟んで平坦面16Dに面した転写コロトロン42を備える。この転写コロトロン42は、記録媒体Pの裏面に向けて放電し、記録媒体Pの裏面に非接触でトナー電荷と逆極性の電荷を与えて、感光体ベルト16上のトナー像を記録媒体Pへ転写する。この転写装置10については後に詳述する。
【0022】
また、感光体ベルト16の平坦面16Cに面して、クリーナブレードやクリーナロール等のクリーニング機構44(クリーナブレードを図示)が配設されている。このクリーニング機構44は、転写部22で記録媒体Pに転写されずに感光体ベルト16上に残留した未転写残留トナーを感光体ベルト16から除去する。
【0023】
そして、転写部22の搬送方向下流側に配設された定着装置12は、記録媒体Pの転写面に接触して回転するヒートロール46と、記録媒体Pを間においてヒートロール46に圧接され、記録媒体Pの裏面に接触して回転する加圧ロール48を備え、ヒートロール46と加圧ロール48とで定着ニップNが形成されている。ヒートロール46の内部にはハロゲンランプ等のヒーターランプ50が配設されており、ヒートロール46の表面が加熱されている。このため、トナー像が転写された記録媒体Pが定着ニップNを通過する際に、記録媒体Pが加熱、加圧され、記録媒体上のトナーが溶融して記録媒体Pに定着される。
【0024】
ここで、定着装置12には、離型剤供給装置13が備えられている。この離型剤供給装置13は、ヒートロール46の表面に接触したドナーロール52と、シリコンオイル等の離型剤を貯留したタンク54と、ドナーロール52及びタンク54内の離型剤にスポンジ等の吸収体を介して接触したメタリングロール56とを備える。
【0025】
メタリングロール56の表面には、メタリングブレード(図示省略)が接触している。このメタリングブレードは、所定の圧力でメタリングロール56の表面に接触し、メタリングロール56の表面上の離型剤をミクロンオーダーの精度で所定の厚みに規制(計量)している。そして、メタリングロール56の表面上で所定の厚みとされた離型剤がドナーロール52によってヒートロール46の表面へ搬送され、ヒートロール46の表面上に、所定の厚みの離型剤の層が形成される。これによって、定着ニップNにおいて、記録媒体P上のトナーのヒートロール46の表面からの剥離性が向上されるので、定着不良やトナーの定着オフセットを防止できる。
【0026】
ここで、転写装置10について説明する。
【0027】
図2に示すように、転写装置10では、感光体ベルト16の平坦面16Dに対向して転写コロトロン42が配設されている。この転写コロトロン42の搬送方向上流側の側部には、ブレード58が支持体59に支持されている。このブレード58は弾性フィルムであり、感光体ベルト16の幅方向へ延在している。そして、ブレード58の先端を感光体ベルト16の搬送方向下流側に向けて押圧することで、ブレード58を弾性変形させて搬送方向下流側へ屈曲させている。
【0028】
また、感光体ベルト16の平坦面16Dの裏面側では、感光体ベルト16の幅方向へ延在する金属製のバックアッププレート62が配設されている。このバックアッププレート62は、ロール31とロール32との間から感光体ベルト16の平坦面16Dの裏面へ向けて延出し、2箇所で搬送方向上流側へ屈曲して、先端部62Aを平坦面16Dの裏面に面接触させ、転写コロトロン42に対向させる。これにより、感光体ベルト16は、ブレード58の搬送方向下流側の転写コロトロン42の有効電界範囲で、バックアッププレート62の先端部62Aによって押圧され、転写コロトロン42側へ撓むように構成されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、バックアッププレート62は、可動装置64によって転写コロトロン42に対して進退する方向(矢印A方向)に移動可能となっている。可動装置64は、バックアッププレート62の下部にベース板66を備えており、ベース板66の上面には、幅方向(記録媒体Pの搬送方向と直交する方向)の両端部に1対のレール66Aが配設されている。バックアッププレート62の下部の幅方向両端部には、レール66A上を走行可能な突起部62Bが前後方向(矢印A方向)に2つ設けられている。そして、突起部62Bがレール66Aを摺動することで、バックアッププレート62が矢印A方向に進退するように構成されている。バックアッププレート62の幅方向の中央部には、長孔63が形成されている。長孔63には、プーリー68の支軸68Aが挿通されており、支軸68Aはベース板66に回転可能に支持されている。
【0030】
バックアッププレート62及びベース板66の感光体ベルト16と反対側には、プーリー70が配設されており、プーリー68とプーリー70にはベルト72が巻き掛けられている。プーリー70の支軸70Aにはモータ74が連結されており、モータ74によってプーリー70が回転する。モータ74は図示しないフレームに支持されている。プーリー70によって駆動力が伝達されてベルト72が周回方向に移動し、このベルト72の移動によってプーリー68が回転する。ベルト72とバックアッププレート62とは、連結部72Aで連結されており、ベルト72の移動によってバックアッププレート62が連動する構成となっている。すなわち、ベルト72の移動によって、バックアッププレート62の突起部62Bがレール66A上を摺動し、バックアッププレート62の先端部62Aが矢印A方向に進退する。モータ74は、ステッピングモータであり、パルス信号によってプーリー70の回転を制御し、バックアッププレート62の先端部62Aの位置を記録媒体Pの厚みによって3段階に変更する構成となっている。これにより、感光体ベルト16の転写コロトロン42側への撓み量が3段階に調整される。この撓み量の調整については後述する。
【0031】
図2に示すように、転写部22の搬送方向上流側には、転写コロトロン42と対向する感光体ベルト16の表面に記録媒体Pを導くガイドプレート80、82が配置されており、ガイドプレート80、82に案内されて記録媒体Pが搬送される。ガイドプレート80、82の途中には、記録媒体Pの厚みを検知するセンサ78が配設されている。このセンサ78はコントローラ76に接続されており、センサ78で検知された記録媒体Pの厚みに基づいてコントローラ76がモータ74の回転を制御する構成となっている。
【0032】
次に、転写装置10の作用について説明する。
【0033】
図2に示すように、記録媒体Pは、搬送ロール18(図1参照)によって搬送され、ガイドプレート80、82に沿って転写コロトロン42と対向する感光体ベルト16の表面に搬送される。その際、センサ78によって記録媒体Pの厚みが検知され、コントローラ76によって可動装置64のモータ74が制御される。モータ74によってプーリー70が回転し、ベルト72が移動する。ベルト72の移動により、ベルト72と連結部72Aで連結されたバックアッププレート62の突起部62Bがレール66A上を摺動し、バックアッププレート62の先端部62Aが矢印A方向に移動する。その際、図4に示すように、バックアッププレート62がロール31、32に掛け渡された感光体ベルト16の基準位置(バックアッププレート62が当接しない位置)と、バックアッププレート62が感光体ベルト16を押圧した撓み位置との間隔Cを3段階に変更する。
【0034】
センサ78で検知された記録媒体Pの厚みが、普通紙(約64gsm)を含む所定値以下(例えば、100gsm以下)であるときは、基準位置17と感光体ベルト16の撓み位置との間隔Cが0.8mmとなるように、バックアッププレート62の先端部62Aの位置を移動する。ここで、gsmは、Gram per Square Meterの頭文字をとったもので、記録媒体Pの厚みを坪量(g/m2)で表示したものである。なお、記録媒体Pの厚みはμmで表示する場合もある。
【0035】
その際、図2に示すように、記録媒体Pの裏面に当接したブレード58によって、記録媒体Pが感光体ベルト16の表面に押付けられており、ブレード58の押付力によって、感光体ベルト16の弛みが補正され、感光体ベルト16が記録媒体Pと共に感光体ベルト16の裏面側へ変位する。そして、裏面側へ変位した感光体ベルト16は、ブレード58の搬送方向下流側の転写コロトロン42の有効電界範囲で、バックアッププレート62の先端部62Aによって押圧され、転写コロトロン42側へ撓ませられる。これによって、感光体ベルト16と記録媒体Pとの隙間が減少されるので、両面印刷における記録媒体Pの裏面の転写工程等、記録媒体Pが感光体ベルト16の表面から逃げる側に反っている場合でも、記録媒体Pと感光体ベルト16との密着性を向上できる。そして、転写コロトロン42によって記録媒体Pにトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体ベルト16に担持されたトナー像が記録媒体Pに転写される。
【0036】
一方、センサ78で検知された記録媒体Pの厚みが、所定範囲内(例えば100gsm〜150gsmの間)であるときは、図5に示すように、基準位置17と感光体ベルト16の撓み位置との間隔C(図4参照)が0.5mmとなるように、バックアッププレート62の先端部62Aの位置を転写コロトロン42から後退する方向(矢印B方向)に移動する。さらに、センサ78で検知された記録媒体Pの厚みが、所定値以上(例えば150gsm以上)であるときは、図5に示すように、基準位置17と感光体ベルト16の撓み位置との間隔C(図4参照)が0.3mmとなるように、バックアッププレート62の先端部62Aの位置を転写コロトロン42から後退する方向(矢印B方向)に移動する。
【0037】
このように記録媒体Pの厚みが大きくなるに従って、感光体ベルト16の撓み量が段階的に少なくなるように調整する。この状態で厚みの大きい記録媒体Pが搬送されると、記録媒体Pは感光体ベルト16の表面にスムーズに供給され、記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に安定して接触されることができる。このため、記録媒体Pの厚みが大きく(腰が強く)、感光体ベルト16の表面から離れる側に反り易い場合でも、バックアッププレート62の位置を矢印B方向に後退させることで、記録媒体Pを感光体ベルト16に安定して接触させることができ、記録媒体Pと感光体ベルト16との密着性が向上する。このため、転写不良の発生が防止されると共に、記録媒体Pが周囲の部材(転写コロトロン42など)に衝突してジャム(紙詰まり)が発生したり、記録媒体Pがスリップすることによりスミヤが発生することを抑制できる。
【0038】
また、上記実施形態では、記録媒体Pの厚みをセンサ78で検知してバックアッププレート62の位置を切り替えたが、この構成に限定されるものではない。例えば、給紙カセット20に収容された記録媒体Pの種類によって記録媒体Pの腰の強さを判定し、その判定に応じてバックアッププレート62の位置を切り替えても良い。すなわち、腰が強い記録媒体Pであるときは、バックアッププレート62の先端部62Aを転写コロトロン42から後退する位置に移動するように構成する。これにより、記録媒体Pの種類が変わっても、記録媒体Pと感光体ベルト16とを安定して接触させることが可能となり、紙詰まりやスミヤの発生を抑制できる。
【0039】
なお、本実施形態では、バックアッププレート62の先端部62Aの位置をモータ74によって3段階に調整しているが、これに限定するものではない。例えば、ソレノイドを用いて2段階に調整し、又はステッピングモータを用いて4段階以上に調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る転写装置を備えた画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る転写装置を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る転写装置を上方から見た構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る転写装置のバックアッププレートによる感光体ベルトの撓み位置を示す部分拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る転写装置のバックアッププレートの動作を説明する図である。
【図6】従来の転写装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1 画像形成装置
10 転写装置
16 感光体ベルト(像担持体ベルト)
17 基準位置
18 搬送ロール
20 給紙カセット(給紙トレイ)
22 転写部
42 転写コロトロン(転写手段)
58 ブレード
62 バックアッププレート
62A 先端部
62B 突起部
64 可動装置(可動手段)
66 ベース板
68 プーリー
70 プーリー
72 ベルト
72A 連結部
74 モータ
76 コントローラ
78 センサ
C 間隔
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体ベルトの表面に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置であって、
前記像担持体ベルトの表面に接触した記録媒体に非接触でトナー電荷と逆極性の電荷を与える転写手段と、
前記転写手段と対向して配置され、前記像担持体ベルトの裏面に接触し、前記像担持体ベルトを前記転写手段側に撓ませるバックアッププレートと、
前記像担持体ベルトの表面に接触して搬送される記録媒体の腰の強さに応じて、前記バックアッププレートを可動させ前記像担持体ベルトの前記転写手段への撓み量を調整する可動手段と、
を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記記録媒体の腰の強さは、前記記録媒体を収容する給紙トレイに収容された前記記録媒体の種類、又は記録媒体搬送路に配置されたセンサで検知される前記記録媒体の厚みで判定されることを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記可動手段は、前記記録媒体の腰の強さが普通紙より大きいときに、前記バックアッププレートを前記転写手段から後退する方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−65480(P2007−65480A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253676(P2005−253676)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】