説明

軸方向の熱膨張が制御されたスクロールポンプ

【課題】スクロール型ポンプにおける軸方向の熱膨張を制御する装置及び方法を提供する。
【解決手段】ポンプフレームと、固定スクロールブレードを含み前記ポンプフレームに固定された固定スクロール要素と、前記固定スクロールブレードとかみ合う旋回スクロールブレードを含む旋回スクロール要素と、前記ポンプフレームに固定されたモータと、前記モータを作動させたとき、前記固定スクロールブレードに対する前記旋回スクロールブレードの旋回運動を起こすように前記モータと前記旋回スクロール要素との間に連結されたクランク軸と、を含む真空ポンプ装置。前記クランク軸は、第1の熱膨張係数を有する第1構成要素及び第2の熱膨張係数を有する第2構成要素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール型ポンプ、特に、スクロール型ポンプにおける軸方向の熱膨張を制御する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクロール装置は、真空ポンプ及び圧縮器の分野において周知である。スクロール装置では、可動スパイラルブレードが固定スパイラルブレードに対して旋回する。可動スパイラルブレードは、偏心駆動機構に接続されている。スクロールブレード及びそれらの相対運動による構成は、ブレード間に一つ以上の空間、すなわち「ポケット」に気体を閉じ込め、当該装置を通して気体を移動させる。ほとんどの適用例において、装置を通して気体をポンプ圧送するのに回転力が利用される。油潤滑式スクロール装置は、冷媒圧縮機として広く用いられている。他の応用としては、圧縮器や真空ポンプとは逆に機能する膨張器を含む。スクロールポンプは、スクロールポンプの製造コストが同等サイズの油潤滑式滑り羽根型回転ポンプの製造コストより著しく高いという主たる理由から、真空ポンプとしての使用には広く採用されていなかった。油汚染が容認されない状況での応用にはドライスクロールポンプが用いられている。高排気率のスクロールポンプが1997年4月1日付でリーパートに付与された特許に係る下記特許文献1に記載されている。
【0003】
スクロールポンプは、固定スクロール要素および旋回スクロール要素と、駆動機構とを含む。固定スクロール要素及び旋回スクロール要素は、各々、スクロールプレート及びスクロールプレートから延びているスパイラルスクロールブレードを含む。スクロールブレードは、ブレード間のポケットを画定するように相互にかみ合わされている。駆動機構は、ブレード間のポケットがポンプ排気口の方向へ移動するように、固定スクロール要素に対する旋回スクロール要素の旋回運動を起こす。
【0004】
満足な圧縮比を得るのに必要となる閉じた空間を提供しつつ、稼働中のスクロールブレード同士の好ましからざる接触を回避するため、スクロールポンプの綿密な設計が要求される。熱膨張は、構成要素の寸法が軸方向及び半径方向に変動する原因となる。従って、熱的性能が考慮されなければならない。一般的に、チップシールは、各スクロールブレードの先端と、隣接するスクロールプレートとの間に用いられる。チップシールは熱膨張に起因する寸法変化に適応できるよう弾性があってもよい。スクロールポンプの熱的性能は、例えばモータ及びクランク軸等の幾つかの要素が稼働中に著しく加熱される一方、外部筐体等の他の要素はほとんど加熱されないといったことが有り得るという実情から込み入っている。更に、スクロールポンプは様々な温度範囲にわたっての動作を求められ得る。
【0005】
1983年5月10日付でシェーファー他に付与された特許に係る下記特許文献2では、装置の最内域と最外域とでの熱膨張の相違に適応できるよう、スクロール要素がその全長に沿って様々な厚みで形成されるスクロール型装置を開示している。1984年12月25日付でテラウチ他に付与された特許に係る下記特許文献3では、スクロールブレードの寸法誤差又は熱膨張による悪影響を回避する為、スクロールブレードの厚みが中央近辺で増しているスクロール型装置を開示している。1988年9月27日付でマチダ他に付与された特許に係る下記特許文献4では、スクロールブレードの熱膨張によるブレード間のギャップ形成を防止する為、設定された湾曲部に相対してスクロールブレードの湾曲が内側に又は外側にオフセットされるスクロール型ポンプを開示している。
【特許文献1】米国特許第5,616,015号明細書
【特許文献2】米国特許第4,382,754号明細書
【特許文献3】米国特許第4,490,099号明細書
【特許文献4】米国特許第4,773,835号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの特許はスクロール型ポンプにおける半径方向への膨張問題を対象としており、軸方向への膨張問題を扱ってはいない。
よって、改良型スクロール型ポンプ装置及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面によると、真空ポンプ装置が提供される。この真空ポンプ装置は、吸気口及び排気口を有するスクロールセットと、モータと、クランク軸とを具備する。スクロールセットは、固定スクロールブレードを含む固定スクロール要素、及び旋回スクロールブレードを含む旋回スクロール要素を具備する。固定スクロールブレードと旋回スクロールブレードとは、ブレード間のポケットを画定するように相互にかみ合わされている。クランク軸は、モータを作動させた際、固定スクロールブレードに対する旋回スクロールブレードの旋回運動を起こすように、モータと旋回スクロール要素との間に動作可能なように結合されている。クランク軸は、第1の材料から成る第1構成要素を具備し、第1構成要素は、第2の材料から成る第2構成要素に堅く接合されている。第1の材料及び第2の材料は、異なる熱膨張係数を有する。
【0008】
第1の材料及び第2の材料は、金属であってもよい。幾つかの実施形態において、第1の材料は鋼を含み、第2の材料は低い熱膨張係数を有する鉄‐ニッケル合金を含む。クランク軸の第1構成要素及び第2構成要素の寸法及び材料は、所望の熱膨張が提供できるように選択され得る。
本発明の第2の局面によると、真空ポンプ装置が提供される。この真空ポンプ装置は、ポンプフレームと、固定スクロールブレードを含み、ポンプフレームに固定された固定スクロール要素と、固定スクロールブレードとかみ合う旋回スクロールブレードを含む旋回スクロール要素と、ポンプフレームに固定されたモータと、モータを作動させたとき、固定スクロールブレードに対する旋回スクロールブレードの旋回運動を起こすようにモータと旋回スクロール要素との間に結合されたクランク軸と、を具備する。クランク軸は、第1の熱膨張係数を有する第1構成要素、及び第2の熱膨張係数を有する第2構成要素を具備する。
【0009】
本発明の第3の局面によると、第1のスクロール要素及び第2のスクロール要素を具備するタイプの真空ポンプ装置の動作方法が提供される。本方法は、モータ及び偏心クランク軸により、第1のスクロール要素に対する第2のスクロール要素の旋回運動を起こすことを含む。偏心クランク軸は、第1の熱膨張係数を有する第1構成要素を具備し、第1構成要素は、第2の熱膨張係数を有する第2構成要素に堅く接合されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のよりよい理解のために、本明細書で引用する添付図面を参照する。
本発明の実施形態のスクロールポンプを図1に示す。気体(一般的に空気)は、ポンプの吸気口12に接続されている真空室又は他の機器(図示せず)から排出される。ポンプハウジング14は、フレーム18に固定された固定スクロールプレート16を含む。ポンプは、ポンプ圧送される気体を排出する排気口20を更に含む。
【0011】
スクロールポンプは、一組のかみ合わされた、螺旋形のスクロールブレードを含む。スクロールセットは、固定スクロールプレート16から延びる固定スクロールブレード30、及び旋回スクロールプレート34から延びる旋回スクロールブレード32を含む。スクロールブレード30及び32は、熱移動を促進し、ポンプの機械的剛性及び耐久性を高めるため、それぞれスクロールプレート16及び34に望ましくは一体的に形成されている。スクロールブレード30及びスクロールプレート16は、固定スクロール要素44を構成し、スクロールブレード32及びスクロールプレート34は旋回スクロール要素46を構成する。スクロールブレード30及び32は、相互に軸方向に延び、かみ合ってブレード間のポケット空隙40を形成している。スクロールブレード先端の溝にあるチップシール42は、スクロールブレード間を封止(シール)する役割を果たす。スクロールブレード30と相対するスクロールブレード32の旋回運動は、スクロールブレード間のポケットに流入する気体に対しスクロール型ポンプ作用を引き起こす。
【0012】
スクロールポンプ用駆動機構50は、クランク軸54を介して旋回スクロールプレート34に結合されているモータ52を含む 。モータ52はクランク軸54に固定されるステータ60及びロータ62を含む。クランク軸の端部64は、クランク軸54の主要部に対して偏心した構成となっており、旋回プレート軸受70を介して旋回スクロールプレート34に取り付けられている。クランク軸54は、下記のように主軸受72及び74を介してポンプハウジングに取り付けられている。モータ52を作動させると、クランク軸54は、軸78のまわりを主軸受72及び74上で回転する。クランク軸端部64の偏心した構成により、スクロールブレード30に相対してスクロールブレード32の旋回運動が起こり、その結果気体が吸気口12から排気口20まで圧送される。
【0013】
フレーム18は、スクロールブレード30及び32に向かって内側に延び、モータ52及びクランク軸54を受け入れる空洞を画定する凹角の中央ハブ80を含む。中央ハブ80に取り付けられたリング82は、主軸受72を取り付けるための穿孔84を画定する。クランク軸54に螺合された(ねじを切ってはめ合わされた)ナット85は、軸受72の内側の軌道輪(レース)を締着する。軸受72は、リング82の穿孔84内で軸方向に摺動することができる。スクロールポンプ後部では、軸受74の内側の軌道輪が軸受スリーブ86及び軸受スリーブ86に螺合されたナット88の間で固定されている。軸受74の外側の軌道輪は、フレーム18に固定されている。植込みボルト(スタッド)90はクランク軸54の後端部に螺合され、所定の位置に接着剤で固定されている。軸受スリーブ86は、植込みボルト90に螺合されている。旋回スクロールブレード32の軸方向位置は、植込みボルト90に対して軸受スリーブを回転させることにより調節され得る。旋回スクロールブレード32が所望の軸方向位置にあるときに、回り止めナット92はスリーブ86と植込みボルト90とを固定する。
【0014】
クランク軸54に接続されている平衡錘アセンブリは、モータ52が作動されたときに、真空ポンプの平衡(バランス)の取れた動作を提供する。幾つかの実施形態において、平衡錘アセンブリは、クランク軸54に接続されている平衡錘96を一つ含む。他の実施形態においては、平衡錘アセンブリは、クランク軸54に接続されている平衡錘を少なくとも2つ含む。
【0015】
スクロールポンプは真空ポンプの第1の固定構成要素と旋回スクロールプレート34との間を連結するベローズ(蛇腹)アセンブリ100を更に含み、ベローズアセンブリ100内の第1の空間とベローズアセンブリ100外の第2の空間とを隔離する。固定スクロールブレード30に相対した旋回スクロールブレード32が運動している間、ベローズアセンブリ100の一端は、自由に回転できる。その結果、ベローズアセンブリ100はスクロールブレードに同期せず、稼働中に著しいねじり応力にさらされることがない。
【0016】
スクロールポンプは、真空ポンプの旋回スクロールプレート34と固定構成要素との間を結合する同期機構を更に含む。図1の実施形態において、同期機構は同期クランクを3セット含み、各セットは真空ポンプの旋回スクロールプレート34と固定構成要素との間に結合される。図1において、同期クランク140及び142が示されている。同期クランク140、142、及び更にもう一つの同期クランク(図示せず)は、軸78から等間隔で配置され、且つ相互に等間隔で配置されている。他の同期機構も、本発明の範囲内で用いられ得る。
【0017】
上記のようにスクロールポンプでは、スクロールブレード32の旋回運動中、固定スクロールブレード30と旋回スクロールブレード32との間に閉じた空間が要求される。満足な圧縮比を確保するには閉じた空間が必要である。空間は、様々な動作温度範囲にわたって維持されなければならない。空間が過大になれば、性能が損なわれる。スクロールブレードが接触すれば、スクロールポンプは稼働を停止しうるし、損壊しうる。更に、スクロールポンプの異なる部位は、それぞれに異なる温度で動作し得る。例えば、クランク軸54はポンプハウジング14の外表面と比較して相対的に高い温度で動作し得る。異なる温度で動作し異なる材料から作られ得る構成要素は、それぞれ異なる熱膨張を起こす。
【0018】
スクロールポンプの重要なパラメータの1つは、固定スクロールブレード30と旋回スクロールブレード32との間の軸方向の空間である。軸方向の空間は、通常約0.005ないし0.010インチの範囲にある。軸方向の空間は、スクロールポンプの構成要素の熱膨張の影響を受ける。無制御の軸方向への膨張は、スクロールブレード30とスクロールブレード32との接触を引き起こす可能性や、チップシール42と、隣接したシール面との接触を失わせる可能性があり、そうした場合にはポンプ性能が低下する。
【0019】
本発明の特徴によると、クランク軸54は第2構成要素54bに堅く接合された第1構成要素54aを含む。第1構成要素54aは第1の熱膨張係数を有する第1の材料から作られ、第2構成要素54bは第2の熱膨張係数を有する第2の材料から作られている。構成要素54a及び54bの材料及び全長は、スクロールポンプの稼働中に所望の熱的性能を提供できるものを選択する。第1構成要素54a及び第2構成要素54bは、一般的に金属であって、クランク軸54を形成するため継手54cで一体的に硬く接合されている。1つの実施形態において、構成要素54aと構成要素54bとは、摩擦溶接によって継手54cに一体的に固定されている。他の実施形態において、構成要素54a及び54bは、クランク軸54を形成するため、例えばスエージ加工又はねじ付け(螺合)等によって機械的に接合される。
【0020】
1つの実施形態において、第1構成要素54aは鋼から作られ、第2の構成要素54bは、INVARという商標名で知られている、極めて低い熱膨張係数を有する鉄‐ニッケル合金から作られる。他の適切な材料としては、インコネル617という商標名で知られている鉄‐ニッケル合金を含む。軸78に沿って測られる、構成要素54a及び54bの軸方向長さは、スクロールポンプの稼働中に所望の軸方向への熱膨張を提供できるものが選択される。1つの実施形態において、低い熱膨張係数を有する構成要素54bの軸方向長さは、クランク軸54の全長の約3分の2である。稼働中に所望の軸方向への膨張を実現するため、異なる材料及び異なる相対的長さを用いることは発明の範囲内であることは理解されよう。
【0021】
クランク軸54の軸方向への熱膨張を制御するため、クランク軸の構成要素のうちの1つは、他と著しく異なる熱膨張係数を有する材料から構成される。それから2つの構成要素の全長は、熱平衡に至った際に固定スクロール要素に相対した旋回スクロール要素の軸方向位置を正確に制御するため、適宜に調節される。
軸方向への膨張が制御されたクランク軸を用いることで、固定スクロールブレードと旋回スクロールブレードとの間の軸方向ギャップを正確に制御できる。このことは、熱的中立なスクロールポンプの設計に貢献し得る。すなわち軸方向ギャップに関し、固体チップシールの使用を可能にし、バネ式で作動するシールの必要性をなくす。軸方向への膨張が制御されたクランク軸を用いることで、全体的な設計に著しい変更無しに固定スクロール要素と旋回スクロール要素との間の軸方向ギャップを正確に制御できる。クランク軸の2つの構成要素の長さは、全体的な設計又は材料の変更無しに軸方向位置を正確に制御するため調節され得る。二構成要素の設計を用いることで、場合によっては高価な材料をより経済的に用いることを可能にする。低熱膨張係数の材料の多くは高価である。二構成要素の設計は、より高価な材料を必要最低限量用いることを可能にする。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施形態における幾つかの観点の説明をふまえ、種々の変形、変更及び改良が当業者に容易に思いつくものであると認識される。上記の変形、変更及び改良は、当該開示内容の一部であることを意図しており、且つ本発明の精神及び範囲内にあることを意図する。したがって、上記の説明及び図面は例示のみを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のスクロールポンプの概略側面断面図である。
【図2】図1のスクロールポンプのクランク軸の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口を有するスクロールセットであって、このスクロールセットは、固定スクロールブレードを含む固定スクロール要素、及び旋回スクロールブレードを含む旋回スクロール要素を具備し、前記固定スクロールブレードと前記旋回スクロールブレードとがブレード間のポケットを画定するように相互にかみ合わされているスクロールセットと、
モータと、
前記モータと前記旋回スクロール要素との間に動作可能なように連結され、前記モータを作動させたとき、前記固定スクロールブレードに対する前記旋回スクロールブレードの旋回運動を起こすクランク軸であって、このクランク軸は、第1の材料から成る第1構成要素を具備し、この第1構成要素は、第2の材料から成る第2構成要素に堅く接合されており、前記第1の材料と前記第2の材料とは、異なる熱膨張係数を有するクランク軸とを具備する真空ポンプ装置。
【請求項2】
前記第1の材料及び前記第2の材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項3】
前記第1の材料は鋼を含み、前記第2の材料は低い熱膨張係数を有する鉄−ニッケル合金を含むことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項4】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に摩擦溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の真空ポンプ装置。
【請求項5】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に機械的に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項6】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に対してスエージされていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項7】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に螺合されていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項8】
ポンプフレームを更に具備し、前記モータ及び前記固定スクロール要素が前記ポンプフレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項9】
前記クランク軸が、その一端で前記ポンプフレームに回転自在に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の真空ポンプ装置。
【請求項10】
所望の軸方向の熱膨張を提供できるように、前記クランク軸の前記第1構成要素及び前記第2構成要素の寸法及び材料が選択されていることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ装置。
【請求項11】
ポンプフレームと、
固定スクロールブレードを含み、前記ポンプフレームに固定された固定スクロール要素と、
前記固定スクロールブレードとかみ合う旋回スクロールブレードを含む旋回スクロール要素と、
前記ポンプフレームに固定されたモータと、
前記モータと前記旋回スクロール要素との間に結合され、前記モータを作動させたとき、前記固定スクロールブレードに対する前記旋回スクロールブレードの旋回運動を起こすクランク軸であって、このクランク軸は、第1の熱膨張係数を有する第1構成要素、及び第2の熱膨張係数を有する第2構成要素を具備するクランク軸と、を具備する真空ポンプ装置。
【請求項12】
前記第1構成要素が鋼を含み、前記第2構成要素が低い熱膨張係数を有する鉄‐ニッケル合金を含むことを特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ装置。
【請求項13】
前記第1構成要素及び前記第2構成要素が金属から作られていることを特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ装置。
【請求項14】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に摩擦溶接されていることを特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ装置。
【請求項15】
前記第1構成要素が前記第2構成要素に機械的に固定されていることを特徴とする請求項11に記載の真空ポンプ装置。
【請求項16】
第1のスクロール要素及び第2のスクロール要素を具備するタイプの真空ポンプ装置の動作方法であって、
モータ及び偏心クランク軸により、前記第1のスクロール要素に対する前記第2のスクロール要素の旋回運動を起こすことを含み、前記偏心クランク軸は、第1の熱膨張係数を有する第1構成要素を具備し、この第1構成要素は、第2の熱膨張係数を有する第2構成要素に堅く接合されていることを特徴とする真空ポンプ装置の動作方法。
【請求項17】
前記第1構成要素が鋼を含み、前記第2構成要素が低い熱膨張係数を有する鉄‐ニッケル合金を含むことを特徴とする請求項16に記載の真空ポンプ装置の動作方法。
【請求項18】
所望の軸方向の熱膨張を提供できるように、前記クランク軸の前記第1構成要素及び前記第2構成要素の寸法及び材料を選択することを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の真空ポンプ装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−516146(P2008−516146A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535740(P2007−535740)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035592
【国際公開番号】WO2006/041806
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】