説明

近赤外線吸収フィルタ及びプラズマディスプレイパネル

【課題】高い近赤外線遮蔽能を有しながら、プラズマテレビに装着した際に、干渉縞の発生のほとんどない表示品位の高い近赤外線吸収フィルタを提供する。
【解決手段】近赤外線吸収フィルタ10は、フィルム状の支持体12と、支持体12の一方面に形成され、バインダ及び近赤外線吸収染料を含有する近赤外線吸収層14と、支持体12の他方面に形成された易接着層16とを有する。そして、易接着層16として、波長550mnにおける支持体12の屈折率をη1、波長550mnにおける易接着層16の屈折率をη2としたとき、|η1−η2|≦0.03を満たす易接着層16を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面に設置される積層フィルムとして好適な近赤外線吸収フィルタ及び該近赤外線吸収フィルタを具備したプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、近赤外線吸収フィルタについて、様々な使用形態が提案されている。例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)は、キセノン等のガスに高電圧をかけ、プラズマ発光させることで画像を表示するが、励起されたキセノン等のガス分子がより安定な状態になる際に近赤外線が放出される。この近赤外線は、リモコン装置の誤動作の原因になる等の弊害の原因になるため、これを吸収除去する等の遮蔽処置をすることが必要である。そこで、PDPを用いたテレビジョン、いわゆるプラズマテレビの前面には、近赤外線吸収フィルムが装着されている。
【0003】
近赤外線吸収フィルタは、近赤外線吸収層をポリエステル等の支持体上に設けたフィルムであり、これをプラズマテレビの前面に貼ることで放出される近赤外線を吸収する。この方法を用いるとリモコン装置の誤動作を防止することができる。また、ビル等の建築物の硝子窓にも熱線吸収フィルムを設置し、室内冷房のためのエネルギの節約の効果をあげることが提案されている。また、自動車のウインド硝子に熱線吸収フィルムを貼合わせることも提案されている。その他、近赤外線吸収組成物やそれを塗設したフィルムには様々な用途で産業上利用されている。
【0004】
ところで、プラズマテレビのコストダウンのため、近赤外線吸収フィルタの近赤外線吸収層が設けられている面の反対面(以降、「裏面」と記す)に、種々の機能を持った層(以降、「機能層」と記す)を形成することが行われている。例えば、特許文献1には、裏面に機能層としてハードーコート層を形成する例が記載されている。裏面にこれらの機能層を設けると干渉による虹ムラ(干渉縞)が発生するため、支持体に屈折率と厚みを制御したアンダーコート層を設けてこの干渉縞を防止する方法がとられている。具体的には、特許文献1には、アンダーコート層の屈折率を支持体と機能層の屈折率の中間の値に制御することにより、干渉縞を防止する技術が記載されている。
【0005】
確かに、この方法によると、ある程度の干渉縞を防止する効果がある。しかし、近年プラズマテレビの大型化が進み、画面が大サイズになると、より高い干渉縞の防止効果が必要とされるようになってきた。これは、画面サイズが大きくなったため、画面に対して斜めに照射した外光による干渉縞が無視できなくなったためと考えられる。
【0006】
従って、画面サイズの大きいプラズマテレビに対しても干渉縞の発生のほとんどない「機能層を付与可能な近赤外線吸収フィルタ」が望まれていた。
【0007】
また、従来、近赤外線を吸収する色素や染料は様々なものが知られている。例えば特許文献2及び特許文献3に例示されるような有機顔料が挙げられ、PDP用光学フィルタ等に用いられている。PDP用光学フィルタとしては、上述の有機顔料を有機溶剤、バインダ樹脂と共に溶解又は分散させてフィルムに塗布することで、近赤外線吸収フィルタ機能を有するフィルムにして利用されている。
【0008】
しかし、この使用態様は、有機溶剤を用いるために、環境への影響が大きい欠点を有していた。また、製造設備も、防爆設備にする必要があり、高額な設備投資を必要とする方式である。このため、有機溶剤を用いずに近赤外線吸収フィルタを製造することが望まれてきた。
【0009】
一方、近赤外線吸収フィルタの裏面に設ける塗布層を水系で製造することが知られている。例えば特許文献4には、水系でポリエステル支持体上に易接着層を設ける方法が記載されている。そこで、近赤外線吸収層についても水系で製造できれば、近赤外線吸収フィルタを有機溶剤を使用せずに製造できて好都合である。
【0010】
近赤外線吸収層を水系で塗布する方法は既に知られており、例えば特許文献5には水溶性染料とゼラチンバインダを用いた方法が記載されている。すなわち、特許文献5に例示されるような水溶性染料を水溶性バインダ、具体的にはゼラチンとともに水に溶解し、フィルムに塗布することで、近赤外線を吸収フィルタ機能を有するフィルムにしてPDPに利用することが提案されている。
【0011】
この方法によれば大量の有機溶剤を用いることなく近赤外線吸収フィルタを製造できる。
【0012】
しかし、高温あるいは高湿雰囲気下で経時させると近赤外線吸収層の色味が変化してしまうという問題があった。これは、近赤外線吸収層といえども可視域の光に対して完全に透明というわけではなく、若干の吸収を持っていることに起因する。このため、高温あるいは高湿雰囲気下で経時させると色味がわずかに変化する。従って、この近赤外線吸収フィルタを装着したプラズマテレビでは、経時によってわずかに色味が変化して表示品位が低下するおそれがある。
【0013】
また、このようにして得た近赤外線吸収フィルタは、PDPに利用した場合に画像のコントラストが低下するという問題、及び、支持体との接着性が不十分であるという問題も有していた。コントラストの低下は、上記フィルタに含まれる赤外線吸収染料による光散乱が原因で、上記フィルタのヘイズ値が十分ではないことに起因すると推定された。また、支持体との接着性の不足は、バインダとして選択したゼラチンに問題があると考えられた。支持体との間の接着性に関しては、例えば特許文献6に記載のように、支持体との間に易接着性の下塗り層を別途設けて改善することも可能だが、製造工程が複雑になり望ましくない。
【0014】
以上のように、プラズマテレビに装着した場合に干渉縞の発生及びコントラストの低下が少なく、また、経時による色味変化の発生が低減され、さらに支持体との接着性が十分な近赤外線吸収フィルタを、有機溶剤を用いずに、且つ、安価に製造可能な技術の開発が望まれていた。
【0015】
【特許文献1】特開2005−189741号公報
【特許文献2】特開平11−231126号公報
【特許文献3】特開2002−138203号公報
【特許文献4】特開2007−152886号公報
【特許文献5】特開平11−109126号公報
【特許文献6】特開2001-228324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、高い近赤外線遮蔽能を有しながら、プラズマテレビに装着した際に、干渉縞の発生及びコントラストの低下のほとんどない表示品位の高い近赤外線吸収フィルタを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明の他の目的は、耐久性、特に高温高湿度下での耐久性の優れた近赤外線吸収フィルタを提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性を有する近赤外線吸収フィルタを提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性を有すると共に、耐久性、特に、高温高湿度下での耐久性の優れたプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来の近赤外線吸収フィルタでは、支持体とその裏面に形成された塗布層(易接着層)との屈折率差が大きいために、干渉縞が発生していることを見出し、その屈折率差を所定の範囲に抑制することで、高い近赤外線遮蔽能を有しながら、プラズマテレビに装着した際に、干渉縞の発生のほとんどない表示品位の高い近赤外線吸収フィルタを提供することができる。
【0021】
例えば、易接着層の屈折率は1.50程度であり、この場合には、フィルム状の支持体であるPET(ポリエチレンテレフタレート)の屈折率(1.65)との屈折率差が大きくなってしまい、干渉縞が発生するという問題があった。これを解決したのが、本発明である。
【0022】
[1] すなわち、第1の本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、フィルム状の支持体と、前記支持体の一方面に形成され、バインダ及び近赤外線吸収染料を含有する近赤外線吸収層と、前記支持体の他方面に形成され、下記式(1)の条件を満たす易接着層とを有することを特徴とする。
|η1−η2|≦0.03 …(1)
【0023】
前記式(1)中、η1は波長550mnにおける前記支持体の屈折率を示し、η2は波長550mnにおける塗布層の屈折率を示す。
【0024】
[2] そして、第1の本発明において、前記易接着層は、波長550mnにおける屈折率η2が1.55以上であることを特徴とする。
【0025】
[3] 第1の本発明において、前記易接着層は、バインダと微粒子を含有し、微粒子が60〜70wt%含まれていることを特徴とする。
【0026】
[4] この場合、前記微粒子は酸化錫を主成分とするものであり、前記易接着層は該微粒子を60〜70wt%含むことが特に好ましい。
【0027】
[5] 第1の本発明において、前記支持体は、波長550mnにおける屈折率が1.62〜1.68の範囲にあるポリエステルであることを特徴とする。
【0028】
[6] 第1の本発明において、前記易接着層は、波長550nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする。
【0029】
[7] 第1の本発明において、前記近赤外線吸収層及び/又は易接着層がさらに架橋剤を含有することを特徴とする。
【0030】
[8] この場合、前記架橋剤は、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤のいずれかから選ばれる架橋剤であってもよい。
【0031】
なお、屈折率を制御するためには、比較的多量に無機微粒子を易接着層に入れる必要がある。しかし、無機微粒子を易接着層に多量にいれた場合には、易接着層の膜強度及び支持体との接着力が弱くなり、膜としての機能を十分に果たせなくなるという新たな問題がでてくるおそれがある。そこで、本発明では、易接着層に上記架橋剤を含有させることで屈折率を制御すると共に、十分な膜強度及び接着力を得ることができ、易接着層としての機能を十分に発揮できるようにした。
【0032】
[9] 第1の本発明において、前記近赤外線吸収層の前記バインダが、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂から選ばれたポリマーであることを特徴とする。
【0033】
[10] 第1の本発明において、前記近赤外線吸収層は、前記バインダとしてポリマーの水性分散物を用いて形成されたものであることを特徴とする。
【0034】
[11] 第1の本発明において、前記赤外線吸収層及び前記易接着層のバインダが共にポリマーの水性分散物からなることを特徴とする。
【0035】
[12] 第1の本発明において、前記近赤外線吸収層は、塗布溶媒の70%以上が水である水性塗布液を前記支持体に塗布した後、乾燥することにより形成されたものであってもよい。
【0036】
[13] 第1の本発明において、前記赤外線吸収層及び前記易接着層が、共に塗布溶媒の70%以上が水である水性塗布液を前記支持体に塗布した後、乾燥することにより形成されたものであることを特徴とする。
【0037】
[14] 第1の本発明において、前記支持体が単層のポリエステル支持体からなり、前記近赤外線吸収層及び前記易接着層が共に前記ポリエステル支持体に直接接して形成されていることを特徴とする。
【0038】
[15] 第1の本発明において、ヘイズ値が2%以下であることを特徴とする。
【0039】
[16] 第1の本発明において、前記近赤外線吸収染料がヘプタメチンシアニン染料であることを特徴とする。
【0040】
[17] そして、第2の本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、上述した第1〜第3の本発明に係る近赤外線吸収フィルタを具備する。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明に係る近赤外線吸収フィルタによれば、以下に示す効果を奏する。
【0042】
(1) 高い近赤外線遮蔽能を有しながら、プラズマテレビに装着した際に、干渉縞の発生のほとんどない表示品位の高いものとすることができる。
【0043】
(2) 耐久性、特に高温高湿度下での耐久性の優れたものとすることができる。
【0044】
(3) 高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性に有利となる。
【0045】
また、本発明に係るプラズマディスプレイパネルによれば、高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性を有すると共に、耐久性、特に、高温高湿度下での耐久性の優れたプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係る近赤外線吸収フィルタ及びプラズマディスプレイパネルの実施の形態例を図1を参照しながら説明する。
【0047】
本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10は、図1に示すように、フィルム状の支持体12と、該支持体12の一方面に形成され、バインダ及び近赤外線吸収染料を含有する近赤外線吸収層14と、支持体12の他方面に形成された易接着層16とを有する。本発明において、易接着層16は支持体12上に直接形成されることが好ましい。易接着層16を支持体12上に直接形成し間に別の層を設けないことによって虹ムラの低減が可能となり、また別の層を設けないことにより生産性が向上できる。また、支持体12と近赤外線吸収層14との間には別の層を設けてもよいが、生産性向上およびコスト低減の観点からは近赤外線吸収層14は支持体12上に直接形成されることが望ましい。支持体12上にこれらの層を直接形成することは一方で支持体12とこれらの層との間の接着性の低下のおそれが生じるが、バインダ及び架橋剤を本発明の好ましい条件に設定することにより、接着性の確保が可能となる。
【0048】
そして、本実施の形態の好ましい態様を以下に示す。
【0049】
(A) 易接着層16として、波長550mnにおける支持体12の屈折率をη1、波長550mnにおける易接着層16の屈折率をη2としたとき、下記式(1)の条件を満たす易接着層16を形成することが好ましい。
|η1−η2|≦0.03 …(1)
【0050】
(B) 易接着層16として、波長550nmにおける屈折率が1.55以上の易接着層16を形成することが好ましい。
【0051】
(C) 易接着層16は、バインダと微粒子を含有し、微粒子が50〜80wt%含まれていることが好ましく、より好ましくは微粒子が55〜75wt%含まれていることである。微粒子は、酸化錫、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化亜鉛を主成分とするものが好ましく、酸化錫を主成分とするものが特に好ましい。
【0052】
(D) 支持体12は、波長550mnにおける屈折率が1.62〜1.68の範囲にあるポリエステルであることが好ましい。
【0053】
(E) 易接着層16は、波長550nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましい。
【0054】
(F) 近赤外線吸収層14及び/又は易接着層16がさらに架橋剤を含有することが好ましい。この場合、架橋剤は、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤のいずれかから選ばれる架橋剤であることが好ましい。
【0055】
(G) 近赤外線吸収層14及び/又は易接着層16のバインダが、ポリマーの水性分散物であることが好ましい。
【0056】
(H) 近赤外線吸収層14のバインダが、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂から選ばれたポリマーであることが好ましい。
【0057】
(I) 近赤外線吸収層14及び/又は易接着層16は、塗布溶媒の70%以上が水である水性塗布液を支持体に塗布した後、乾燥することにより形成されたものであることが好ましい。
【0058】
(J) 近赤外線吸収フィルタ10のヘイズ値は4.0%以下であることが好ましく、2.0%であることがさらに好ましい。
【0059】
次に、本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10を構成する上述した各層、並びに各層の材料等について詳細に説明する。
【0060】
(1) 近赤外線吸収層14
本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10は、近赤外線吸収性(近赤外線遮蔽性)を有する。上述したようにプラズマディスプレイは、強度の近赤外線を発生するので、光学フィルタを用いて、実用上問題ないレベルまで電磁波だけでなく近赤外線もカットする必要があり、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下とすることが必要である。このため、本実施の形態の近赤外線吸収層14には近赤外線吸収染料を用いる。
【0061】
(a) 近赤外線吸収染料
本実施の形態に使用される近赤外線吸収染料は、ポリマーの水性分散物中に安定に溶解又は分散し得る染料であって、少なくとも800〜1200μmに分光吸収域を有する染料であり、この性質を有する染料であれば適用の対象となり得る。
【0062】
近赤外線吸収染料としては、例えば、シアニン染料、オキソノール染料が挙げられる。シアニン染料としては、ペンタメチンシアニン染料、ペプタメチンシアニン染料、ノナメチンシアニン染料が好ましく、シアニン染料の環基としてはチアゾール環、インドレニン環又はベンゾインドレニン環を有するものが好ましい。
【0063】
オキソノール染料としては、バルビツール酸環を有するバルビツール酸オキソノール染料が好ましい。
【0064】
また、これら染料は、水溶性基を有することが好ましい。水溶性基としては、カルボキシル基及びその塩、スルホ基及びその塩等が挙げられる。
【0065】
さらに、インドレニンシアニン系染料やバルビツール酸オキソノール系染料に代表される水溶性の染料は、有機溶剤に溶かすことなく水溶液にして塗布できる点で、環境影響の観点と、塗布コスト低減の点から好ましい。
【0066】
また、これら染料は、会合体として利用することが好ましく、特にJ会合体として利用することが好ましい。J会合体とすることで非会合状態においては可視域に吸収極大を有する染料の吸収波長を所望の近赤外線領域に設定することが容易になる。また、染料の耐熱性や耐湿熱性、耐光性等の耐久性を向上させることができる。
【0067】
また、これらの染料の水溶性を調節し、難溶性又は不溶性とすることによって、あるいは換言すると、レーキ染料として利用することも好ましい形態である。これにより、染料の耐熱性や耐湿熱性、耐光性等の耐久性を向上させることができ、好ましい。
【0068】
これらの近赤外線吸収染料としては、特開2001-228324号等に記載の染料を利用することができる。
【0069】
これらの近赤外線吸収染料は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0070】
近赤外線吸収染料の量は、近赤外線遮蔽効果を有効に得るためには、透明樹脂バインダに対して0.1質量%以上とすることが好ましく、特に5質量%以上が好ましい。また、透明樹脂バインダの物性を保つためには、近赤外線吸収色素の量を40質量%以下に抑えることが好ましい。
【0071】
(b) バインダ
本実施の形態の近赤外線吸収層14に用いることができるバインダには、特に制限はなく、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ゴム系ポリマー等のポリマーを用いることができる。
【0072】
アクリル系ポリマーとは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレート等を主成分としてこれらと共重合可能なモノマー(例えばスチレン、ジビニルベンゼン等)を共重合したポリマーである。
【0073】
ポリウレタン系ポリマーとは、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDI、TODI、HDI、IPDI等があり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。
【0074】
さらに、本実施の形態で用いられるイソシアネートとしては、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用できる。以上述べたポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリオール及び、鎖延長処理については例えば文献(「ポリウレタン樹脂ハンドブック」岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)に記載されている。
【0075】
ポリエステル系ポリマーとは、主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常、ポリカルボン酸とポリオールの反応で得られる。ポリカルボン酸としては例えばフマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等があり、ポリオールとしては例えば前述のものがある。ポリエステル系ポリマー及びその原料については例えば文献(「ポリエステル樹脂ハンドブック」滝山栄一郎著、日刊工業新聞社、昭和63年発行)に記載されている。
【0076】
本実施の形態のゴム系ポリマーとは、合成ゴムのうちジエン系合成ゴムをいう。具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン等がある。本実施の形態のゴム系ポリマーについては例えば文献(「合成ゴムハンドブック」神原周ら編集、朝倉書店、昭和42年発行)に記載されている。
【0077】
本実施の形態の近赤外線吸収層14のバインダとしては、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマーが近赤外線吸収の透明性や耐久性、膜強度等の点から好ましい。
【0078】
本実施の形態の近赤外線吸収層14のバインダとして用いるポリマーとしては、前述のポリマーの中で分子内にカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
【0079】
本発明の近赤外線吸収層14のバインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解して用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことから、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。
【0080】
ここで、ポリマーの水分散物とは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としては、ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等いずれでもよい。なお、本発明のポリマーの水分散物については「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))等に記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0081】
なお、水分散物としては下記のような市販ポリマーを用いてもよい。
【0082】
スーパフレックス830、460、870、420、420NS(第一工業製薬製ポリウレタン)、ボンディック1370NS、1320NS、ハイドランHw140SF、WLS201、WLS202、WLS213(大日本インキ化学工業製ポリウレタン)、オレスターUD350、UD500、UD600(三井化学製ポリウレタン)、ネオレッツR972、R966、R9660(楠本化成製ポリウレタン)、ファインテックスEs650、Es2200(大日本インキ化学工業製ポリエステル)、バイロナールMD1100、MD1400、MD1480(東洋紡製ポリエステル)、ジュリマーET325、ET410、SEK301(日本純薬製アクリル)、ボンコートAN117、AN226(大日本インキ化学工業製アクリル)、ラックスターDS616、DS807(大日本インキ化学工業製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX110、LX206、LX426、LX433(日本ゼオン製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX513、LX1551、LX550、LX1571(日本ゼオン製アクリロニトリル−ブタジエンゴム)。
【0083】
本実施の形態の近赤外線吸収層14のバインダとして用いるポリマーは1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
【0084】
本実施の形態の近赤外線吸収層14のバインダとして用いるポリマーの分子量には特に制限はないが、通常、重量平均分子量で3000から1000000程度のものが好ましい。重量平均分子量が3000未満のものは塗布層の強度が不十分になる場合があり、1000000を超えるものは塗布面状が悪い場合がある。
【0085】
(c) 架橋剤
本実施の形態の近赤外線吸収層14に用いる架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系、カルボジイミド系、メラミン系、イソシアネート系、シクロカーボネート系、ヒドラジン系等の公知の架橋剤を用いることができる。これらの架橋剤については、例えば文献(「架橋剤ハンドブック」山下晋三ら編集、大成社、昭和56年発行)に記載されている。
【0086】
これらの架橋剤のうち、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。
【0087】
本実施の形態で用いられるエポキシ系架橋剤とは、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物である。本実施の形態では、これらの化合物は、特に制限なく使用できる。
【0088】
エポキシ系架橋剤の例としては、例えばディナコールEX614B、EX521、EX512、EX301、EX313、EX314、EX810、EX811(ナガセケムテックス製)等がある。
【0089】
本実施の形態で用いられるカルボジイミド系架橋剤とは、分子内に2つ以上のカルボジイミド基を有する化合物である。本実施の形態ではこれらの化合物は、特に制限なく使用できる。
【0090】
カルボジイミド化合物は、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、本実施の形態に用いうるカルボジイミド系架橋剤としては、例えば、カルボジライトV−02−L2(日清紡製)等の市販品としても入手可能である。
【0091】
本実施の形態で用いられるメラミン系架橋剤とは、分子内に2つ以上のメチロール基を有する化合物であり、本実施の形態ではこれらの化合物を特に制限なく利用できる。メラミン架橋剤の例としては、ヘキサメチロールメラミンが挙げられる。また、市販のメラミン系架橋剤の例としては、ベツカミンPM−N、ベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業製)が挙げられる。
【0092】
本発明で用いられるイソシアネート系架橋剤とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。本実施の形態では、これらの化合物は特に制限なく利用できる。イソシアネート系架橋剤の例としては、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1、5−ナフタレンジイソシアネート等がある。さらにイソシアネート化合物の中でイソシアネート基がアルコールやフエノール等でブロックされたいわゆるブロックイソシアネートは水性塗布液で使用したときに、ポツトライフが長く、特に好ましい。ブロックイソシアネートについては上述した文献(「ポリウレタン樹脂ハンドブック」岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)に記載されている。市販のブロックイソシアネートは、エラストロンH−3、H−38、C−9(第一工業製薬製)等があり、これらを利用することも可能である。
【0093】
本実施の形態に用いられる架橋剤は、バインダに対して、1〜100質量%、より好ましくは5〜50質量%の範囲で添加することが好ましい。添加量が1質量%より少ないと上層との接着性が不十分になる場合があり、100質量%を超えると塗布面状が悪化する場合がある。
【0094】
(d) その他の材料
本実施の形態の近赤外線吸収層14には、上述したように、近赤外線吸収染料、バインダ及び架橋剤が含まれるが、これ以外に必要に応じて界面活性剤、すべり剤、マット剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0095】
界面活性剤としては、公知のアニオン系、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤については、例えば文献(「界面活性剤便覧」西 一郎、今井 怡知一郎、笠井 正蔵編 産業図書(株) 1960年発行)に記載されている。
【0096】
すべり剤としては、例えばワックス、低分子量ポリオレフィン、シリコーン、Cn2n+1SO3Na(n=5〜15)等を用いることができる。
【0097】
マット剤としては、公知の有機又は無機の微粒子を用いることができる。マット剤の具体例として平均粒径が0.2から10μm程度のポリメチルメタクリレートやポリスチレンあるいはシリカの微粒子を挙げることができる。
【0098】
帯電防止剤としては、ポリアニリン、ポリピロール等の電子伝導系のポリマー、分子鎖中にカルボキシル基やスルホン酸基を有するイオン伝導系ポリマー、導電性微粒子等がある。これらのうち、特に、特開昭61−20033号公報記載の導電性酸化錫微粒子は導電性と透明性の観点から好ましい。
【0099】
(e) 厚み等
本実施の形態の近赤外線吸収層14の厚みは0.3〜20μm、好ましくは0.5〜2μmの範囲であることが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると層の吸光度が不足して近赤外線遮断能が不十分になる場合があり、20μmを超えると面状が悪化する場合がある。
【0100】
本実施の形態の近赤外線吸収層14は1層でもよいし、2層以上積層してもよい。2層以上積層する場合は、全層の厚みの合計が前述の値になることが好ましい。
【0101】
本実施の形態の近赤外線吸収層14の塗布方法に、特に制限はなく、公知のバーコータ塗布、スライドコータ塗布等の方法を用いることができる。
【0102】
本実施の形態の近赤外線吸収層14の塗布溶媒としては、水、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等、及びこれらの混合系等の水系、有機溶剤系の塗布溶剤を用いることができる。
【0103】
これらのうちで、最も好ましいものは水を主成分とするものである。具体的には水単独の塗布溶媒でもよいし、水に水混和性の有機溶剤、例えばN−メチルピロリドン、n−ブチルセルソルブ、メチルアルコール等を混合した混合溶媒でもよい。混合溶媒の場合、環境や安全性の観点から有機溶剤は全体の30質量%以下にすることが好ましい。本発明では、水単独又は水に対して水混和性の有機溶剤を30質量%以下の割合で添加した溶媒を水性溶媒という。
【0104】
(2) 支持体12
本実施の形態に用いられる支持体12としては、ポリエステル、ポリスチレン、トリアセチルセルロース等の透明プラスチックを用いることができる。これらの内でポリエステルはコスト、耐薬品性、強度の点から好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等を挙げることができる。中でも、コストの観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0105】
本実施の形態の支持体12は、2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸とは、支持体12の幅方向及び長手方向をそれぞれ1軸とみなして、両方向に延伸させることである。2軸延伸されたポリエステルフィルムは、2軸配向ポリエステルフィルムと称され、十分に分子配向が制御されているため、非常に優れた機械強度を有する。なお、延伸倍率は特に制限されるものではないが、一方向に対する延伸倍率が1.5〜7倍であることが好ましく、より好ましくは2〜5倍程度である。特に、1軸方向あたりの延伸倍率を2〜5倍程度として2軸延伸させた支持体12は、分子配向がより効果的に制御されているので、非常に優れた機械強度を備えることから支持体12として好適である。ただし、支持体12の延伸倍率が1.5倍よりも小さいと充分な機械的強度が得られなくなる。一方で、延伸倍率が7倍を超えると均一な厚みを得ることが難しくなり問題である。
【0106】
支持体12の厚みは30μm以上400μm以下であることが好ましく、より好ましくは、35μm以上350μm以下であることが好ましい。厚みが30μm未満の場合には、薄すぎるために取り扱いが難しい。一方で、400μmを超える場合には、プラズマディスプレイパネルの小型化や軽量化を阻害したり、製造コストの増大等を引き起こすため不適である。
【0107】
支持体12への近赤外線吸収性塗布液の塗布は、支持体12を一軸方向に延伸した後に行ってもよいし、二軸延伸した後に行ってもよい。しかし、前者の場合は、近赤外線吸収性塗布液を塗布した後で延伸を行うことになり、塗布した近赤外線吸収性塗布液が250℃以上の高温にさらされることになる。このような高温では近赤外線吸収染料が分解する懸念がある。従って、近赤外線吸収性塗布液の塗布は、二軸延伸後に行うことが好ましい。また、支持体と近赤外線吸収層との間に別の層を設けず、近赤外線吸収層を支持体上に直接形成することが製造コストを抑制する観点から望ましい。
【0108】
(3) 易接着層16
本実施の形態に使用される易接着層16は、上述したように、波長550mnにおける支持体12の屈折率をη1、波長550mnにおける易接着層16の屈折率をη2としたとき、下記式(1)の条件を満たすことが好ましい。特に、波長550nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましい。
|η1−η2|≦0.03 …(1)
【0109】
そこで、易接着層16は、屈折率を調整するための有機微粒子又は無機微粒子と、バインダと、架橋剤とを有する。
【0110】
バインダは、上述したように、近赤外線吸収層14に含有されるバインダと同じ材料、すなわち、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ゴム系ポリマー等のポリマーを用いることができる。詳細は既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0111】
架橋剤は、上述したように、近赤外線吸収層14に含有される架橋剤と同じ架橋剤、すなわち、エポキシ系、カルボジイミド系、メラミン系、イソシアネート系、シクロカーボネート系、ヒドラジン系等の架橋剤を用いることができる。詳細は既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0112】
微粒子は、酸化錫、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、カオリンのような無機微粒子、架橋ポリスチレンのような有機微粒子が挙げられる。より好ましくは酸化錫、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウムであり、さらに好ましいのは、酸化錫、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛であり、最も好ましいのは酸化錫を主成分とする微粒子である。形状は、不定形、板状、球形のいずれでもよく、また、2種類以上の微粒子を混合使用してもよい。そして、平均径が1nm以上400nm以下、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下の微粒子を50wt%以上80wt%以下、より好ましくは55wt%以上75wt%以下、より好ましくは60wt%以上70wt%以下添加させる。
【0113】
また、易接着層16は、上述したように、有機微粒子又は無機微粒子、バインダ、架橋剤が含有されるが、これ以外に必要に応じて界面活性剤、すべり剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
【0114】
特に、易接着層16は、近赤外線吸収層14の耐光性を改善する目的で、紫外線吸収剤を含有することが望ましい。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアジン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散又は溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。なお、紫外線吸収剤は可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
【0115】
界面活性剤としては、公知のアニオン系、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤については、例えば文献(「界面活性剤便覧」西 一郎、今井 怡知一郎、笠井 正蔵編 産業図書 1960年発行)に記載されている。
【0116】
すべり剤としては、例えばワックス、低分子量ポリオレフィン、シリコーン、Cn2n+1SO3Na(n=5〜15の自然数)等を用いることができる。
【0117】
帯電防止剤としては、ポリアニリン、ポリピロール等の電子伝道系のポリマー、分子鎖中にカルボキシル基やスルホン酸基を有するイオン伝導系ポリマー、導電性微粒子等がある。これらのうち特に特開昭61−20033号公報に記載の導電性酸化錫微粒子は導電性と透明性の観点から好ましい。
【0118】
易接着層16の厚みは、0.02μm以上5μm以下が好ましく、特に好ましくは、0.5μm以上2μmである。易接着層16の膜厚が0.02μm未満であると、支持体12との接着性が不十分になり、5μmを超えるとヘイズが悪化する場合がある。易接着層16は、1層でもよいし、2層以上積層してもよい。2層以上積層する場合は全層の厚みの合計が好ましくは0.02μm以上5μm、特に好ましくは0.5μm以上2μm以下である。
【0119】
本実施の形態で用いられる易接着層16の塗布方法には特に制限はない。塗布方法としては、バーコータ塗布、スライドコータ塗布等の公知の方法を用いることができる。塗布溶媒も、水、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等、及びこれらの混合系等の水系、有機溶剤系の塗布溶剤を用いることができる。
【0120】
これらのうちで、最も好ましいものは水を主成分とするものである。具体的には水単独の塗布溶媒でもよいし、水に混和性の有機溶剤、例えばメタノール等のアルコール類、n−ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル類、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の窒素化合物類、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等を混合した混合溶媒でもよい。混合溶媒の場合、環境や安全性の観点から有機溶剤は全体の30質量%以下にすることが好ましい。
【0121】
塗布は一軸方向に延伸した後に行ってもよいし、二軸延伸した後に行ってもよい。しかし、横延伸後のベース耳部の回収を可能にするため、二軸延伸後に塗布することが好ましい。易接着層16は支持体12の一方の面のみならず、他方の面に形成してもよい。また、易接着層16は支持体12上に直接形成することが製造コストを抑制する観点から望ましい。
【0122】
(4) 好ましい付加機能
本実施の形態では、図示しないが、必要に応じて近赤外線吸収層14にさらに別の機能性を付与してもよい。又は近赤外線吸収層14とは別に機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層又はアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋等の汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層等を設けることができる。これらの機能層は、近赤外線吸収層14と支持体12とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。
【0123】
これらの機能性膜はPDPに直接貼合してもよく、プラズマディスプレイパネル本体とは別に、ガラス板やアクリル樹脂板等の透明基板に貼合してもよい。これらの機能性膜を光学フィルタ(又は単にフィルタ)と呼ぶ。
【0124】
(反射防止性・防眩性)
本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、又は、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、又はその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
【0125】
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを近赤外線吸収フィルタ10に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
【0126】
上記のような機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
【0127】
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
【0128】
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物又は有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。
【0129】
粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
【0130】
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型又は光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値又は表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
【0131】
防眩性層を設けた場合の近赤外線吸収フィルタ10のヘイズ値は0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズ値が小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズ値が大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
【0132】
(ハードコート性)
近赤外線吸収フィルタ10に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層及び/又は防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性及び/又は防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
【0133】
ハードコート性が付与された近赤外線吸収フィルタ10の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
【0134】
(帯電防止性)
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
【0135】
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011オーム/sq程度以下であればよい。
【0136】
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成しても良い。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
【0137】
(防汚性)
近赤外線吸収フィルタ10が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
【0138】
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水及び/又は油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0139】
(紫外線カット性)
近赤外線吸収フィルタ10には、後述する色素や透明基材の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、透明基材自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や透明基材上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
【0140】
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射又は吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散又は溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
【0141】
なお、紫外線カット性を有する機能性フィルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
【0142】
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
【0143】
(その他の光学特性)
また、近赤外線吸収フィルタ10をプラズマディスプレイに用いる場合、その透過色がニュートラルグレー又はブルーグレーであることが好ましい。これは、プラズマディスプレイの発光特性及びコントラストを維持又は向上させるためであり、また、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。
【0144】
また、プラズマディスプレイに用いる光学フィルタはその透過色がニュートラルグレー又はブルーグレーであることが要求される。これは、プラズマディスプレイの発光特性及びコントラストを維持又は向上させる必要があったり、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。さらにまた、カラープラズマディスプレイはその色再現性が不十分と言われており、その原因である蛍光体又は放電ガスからの不要発光を選択的に低減することが好ましい。特に赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることが出来、また、光学フィルターの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
【0145】
色素を含有させる方法としては、(1)色素を少なくとも1種類以上、透明な樹脂に混錬させた高分子フィルム又は樹脂板、(2)色素を少なくとも1種類以上、樹脂又は樹脂モノマー/有機系溶媒の樹脂濃厚液に分散・溶解させ、キャスティング法により作製した高分子フィルム又は樹脂板、(3)色素を少なくとも1種類以上、樹脂バインダと有機系溶媒に加え、塗料とし、高分子フィルム又は樹脂板上にコーティングしたもの、(4)色素を少なくとも1種類以上を含有する透明な粘着材、のいずれか一つ以上選択できるが、これらに限定されない。本発明でいう含有とは、基材又は塗膜等の層又は粘着材の内部に含有されることは勿論、基材又は層の表面に塗布した状態を意味する。
【0146】
上記の色素は可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料又は顔料であって、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素があげられる。その種類・濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、光学フィルターに要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体又は塗膜の種類・厚さから決まり、特に限定されるものではない。
【0147】
プラズマディスプレイパネルは、パネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは特に光学フィルターの温度も上がるため、色素は、例えば80℃で分解等によって顕著に劣化しない耐熱性を有していることが好適である。また、耐熱性に加えて色素によっては耐光性に乏しいものもある。プラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、紫外線吸収剤を含む部材や紫外線を透過しない部材を用いることによって、色素の紫外線による劣化を低減すること、紫外線や可視光線による顕著な劣化がない色素を用いることが肝要である。熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルタの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下してしまう。さらには、媒体又は塗膜中に分散させるために、適宜の溶媒への溶解性や分散性も重要である。また、本発明においては異なる吸収波長を有する色素2種類以上を一つの媒体又は塗膜に含有させても良いし、色素を含有する媒体、塗膜を2つ以上有していてもよい。
【0148】
(電磁波遮蔽性)
本発明の近赤外線吸収フィルタは、電磁波遮蔽層を積層することにより、電磁波遮蔽能を付与しても良い。電磁波遮蔽層としては、透光性であることがディスプレイ用途としては好ましい。
【0149】
透光性電磁波遮蔽層としては、導電性金属をメッシュ状に形成したものや、金属および金属酸化物を多層に積層したものが知られておいるが、本発明にはこれらのうち導電性金属メッシュからなる透光性電磁波遮蔽層が好ましい。
【0150】
電磁波遮蔽用の導電性金属メッシュとしては、銅箔等の金属箔をフォトレジスト法によってエッチング処理によってメッシュを形成したもの、銀塩写真法や印刷法によって銀等の金属微粒子をメッシュパターン状に配置した後、これら微粒子上に電気めっきまたは無電解めっき等によってさらに金属を積層し導電性を向上させたもの等が知られており、本発明にいずれも好ましく使用できる。
【0151】
本発明の近赤外線吸収フィルタとこれら電磁波遮蔽層とを積層する際の順序には特に制限はなく、近赤外線吸収層を形成した後に電磁波遮蔽層を積層しても、電磁波遮蔽層を形成した後に近赤外線吸収層を形成してもよく、また、電磁波遮蔽層形成工程の一部のみを行った後に近赤外線吸収層を形成し、さらにその後に電磁波吸収層形成工程を継続してもよい。また、近赤外線吸収層及び電磁波遮蔽層は支持体の同一の面に形成しても、別の面に形成してもよい。
【0152】
本発明に適用する透光性電磁波吸収層としては、特に銀塩写真法を用いた金属メッシュからなる透光性電磁波遮蔽層が好ましい。この場合、電磁波遮蔽層形成用の銀塩感光層の露光工程より前に、近赤外線吸収層の形成が完了していることが好ましい。
【0153】
さらに、本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10は、易接着層16として、波長550mnにおける支持体12の屈折率をη1、波長550mnにおける易接着層16の屈折率をη2としたとき、下記式(1)の条件を満たす易接着層を形成するようにしている。
|η1−η2|≦0.03 …(1)
【0154】
また、本実施の形態では、易接着層16として、波長550nmにおける屈折率が1.55以上の易接着層16を形成するようにしている。
【0155】
また、本実施の形態では、易接着層16は、バインダと微粒子を含有し、微粒子が50〜80wt%、好ましくは60〜70wt%含まれている。
【0156】
従って、以下の効果を奏することができる。
【0157】
(1) 高い近赤外線遮蔽能を有しながら、プラズマテレビに装着した際に、干渉縞の発生のほとんどない表示品位の高いものとすることができる。
【0158】
(2) 耐久性、特に高温高湿度下での耐久性の優れたものとすることができる。
【0159】
(3) 高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性に有利となる。
【0160】
また、上述した効果を奏する本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタ10を備えた本実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルは、高い近赤外線遮蔽能を有しながら高い透明性をも備え、且つ、環境への悪影響が少なく、高い生産性と低コスト性を有すると共に、耐久性、特に、高温高湿度下での耐久性の優れたものとなる。
【実施例1】
【0161】
以下、実施例及び比較例により、本発明の内容をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。なお、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるものではない。
【0162】
この実施例では、試料(実施例1〜11、比較例1〜3)について、近赤外線吸収能の評価、その耐湿熱性の評価、接着性の評価、その耐湿熱性の評価及び干渉縞の評価を調べた。
【0163】
実施例1〜11、比較例1〜3の内訳(バインダ、架橋剤、その混合比、並びに易接着層への微粒子の含有量)を表1に示し、実施例1〜11、比較例1〜3の吸光度及びその耐湿熱性の評価結果、並びに接着性及びその耐湿熱性の評価結果を表2に示し、支持体及び易接着層の各屈折率に関する値と干渉縞の評価結果を表3に示す。
【0164】
[実施例1]
(支持体12)
Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒータ温度が280〜300℃設定温度の押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.1倍に延伸後、幅方向に3.9倍に延伸し、厚さ100μm、屈折率1.65の支持体を得た。
【0165】
(易接着層16)
以下に示すポリエステル樹脂、カルボジイミド化合物、カルナバワックス、界面活性剤A、界面活性剤B、第1微粒子分散液、第2微粒子分散液を混合して易接着層用の塗布液を調製した。
【0166】
・ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業製、ファインテックス ES650、固形分29%) 58.8質量部
・カルボジイミド化合物(日清紡製、カルボジライトV・02・L2、固形分10%水溶液、カルボジイミド等量385) 34.1質量部
・カルナバワックス(中京油脂製、セロゾール524、固形分3%水溶液)
11.4質量部
・界面活性剤A(日本油脂製、ラピゾールB−90、固形分1%水溶液、アニオン性) 16.0質量部
・界面活性剤B(三洋化成工業製、ナロアクティー HN−100、固形分5%水溶液、ノニオン性) 34.1質量部
・第1微粒子分散液(シリカ微粒子分散液;日本アエロジル製、OX−50の水分散物、固形分10%水溶液) 4.1質量部
・第2微粒子分散液(酸化錫分散液;石原産業製、アンチモンドープ酸化錫 SN−38F、固形分17%水溶液、平均粒径30〜38nm)
260.7質量部
【0167】
そして、100μm厚みの支持体12を、搬送速度70m/分で搬送し、727J/m2の条件でコロナ放電処理を行い、上述した易接着層16用の塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、7.1cm3/m2とし、180℃で1分乾燥することで、支持体12上に易接着層16を形成した。
【0168】
(近赤外線吸収性塗布液の調製)
以下に示す近赤外線吸収染料、バインダ、架橋剤、界面活性剤、マット剤及び水を混合して近赤外線吸収性塗布液を調製した。
【0169】
・近赤外線吸収染料:ヘプタメチン染料(下記一般式参照) 15質量部
【0170】
【化1】

【0171】
・バインダ:オレスターUD350 (固形分38%) 148.3質量部
三井化学株式会社製ポリウレタンの水分散物
・架橋剤:ディナコールEx614B 5.6質量部
ナガセケムテック製エポキシ系架橋剤
・界面活性剤:サンデット BL (固形分45%) 0.8質量部
三洋化成(株)製アニオン系界面活性剤
・マット剤:平均粒径0.8μmシリカ微粒子 0.2質量部
・水 全量が1000質量部になるよう添加
架橋剤のバインダ(固形分)に対する割合は、バインダ=148.3×0.38=56.3重量部に対して架橋剤が5.6重量部であるから10%となる。
【0172】
(近赤外線吸収層14の塗布)
上述した厚み100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートの支持体12を、70m/分の速度で搬送しながら、易接着層16を形成した面と反対の表面に対して730J/m2の条件でコロナ放電処理を施した。その後、上記の近赤外線吸収性塗布液を、ウェット膜厚が14μmとなるように塗布し、130℃で5分間乾燥して近赤外線吸収層14を積層した。以上の方法で実施例1に係る近赤外線吸収フィルムを得た。
【0173】
[実施例2〜9]
近赤外線吸収層14のバインダの種類と、架橋剤の種類と、これらの割合を、表1のように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例2〜5、比較例1〜4に係る近赤外線吸収フィルムを得た。
【0174】
[比較例1〜3]
易接着層用の塗布液中に混合する第2微粒子分散液の添加量を変更することにより、屈折率を表3のように変えること以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3に係る近赤外線吸収フィルタを得た。
【0175】
[実施例10、11]
実施例1の作製方法に対して、易接着層のバインダ種及び架橋剤添加量を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして、実施例10、11に係る近赤外線吸収フィルタを得た。
【0176】
上記の試料作製過程において、近赤外線吸収層及び易接着層の溶媒は、全ての試料において水が95%以上を占めていた。
【0177】
【表1】

【0178】
表1において、バインダ及び架橋剤の内訳は以下の通りである。
【0179】
[バインダ]
ウレタン:オレスターUD350(三井化学製)
ポリエステル:バイロナールMD−110(東洋紡製)
ゼラチン:新田ゼラチン製オセインゼラチン
ES650:大日本インキ化学工業製ファインテックスES650(ポリエステル)
【0180】
[架橋剤]
エポキシ:ディナコールEX614B(ナガセケムテックス製)
カルボジイミド:カルボジライトV−02−L2(日清紡製)
メラミン:スミテックスレジン M−3(住友化学工業製)
イソシアネート:エラストロンH−3(第一工業製薬製)
ビニルスルホン:1,2-ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン
【0181】
[評価方法]
(近赤外線吸収能の評価方法)
日立製作所製の分光器U−3500を用いて、波長900nmの吸光度を測定した。
【0182】
(耐湿熱性の評価方法)
試料(実施例1〜11、比較例1〜3)を、80℃/相対湿度90%にて4日間保存した後、上記の方法で900nmの吸光度を測定した。
【0183】
(易接着層16の接着性の評価方法)
易接着層16の表面に、UV硬化型樹脂A(JSR製、Z7410B、屈折率1.65)を膜厚が約9μmとなるように塗布して塗布層を設けた後、この塗布層を70℃で1分間乾燥させた。次に、乾燥した塗布層に対して高圧水銀灯を用いて紫外線を照射することにより樹脂を硬化させて、3μmのハードコート層を形成した。なお、塗布層に対する紫外線の照射量は1000mj/cm2とした。
【0184】
そして、ハードコート層の表面にカミソリで縦横6本ずつのキズをつけて25個の桝目を作った。この上に幅20mmのマイラーテープを貼ってから、180度の角度でテープを剥離した。剥離テストにより、剥離せずに残った枡目の数を接着性の指標とした。最も接着性の良好なものは25/25であり、最も接着性の悪い物は0/25である。
【0185】
(近赤外線吸収層14の接着性の評価方法)
近赤外線吸収層14の表面にカミソリで縦横6本ずつのキズをつけて25個の桝目を作った。この上に幅20mmのマイラーテープを貼ってから、180度の角度でテープを剥離した。剥離テストにより、剥離せずに残った枡目の数を接着性の指標とした。最も接着性の良好なものは25/25であり、最も接着性の悪い物は0/25である。
【0186】
(耐湿熱性の評価方法)
試料を80℃/相対湿度90%にて4日間保存した後、25℃相対湿度60%の雰囲気に戻し2時間調湿した後、前述の方法で接着性を評価した。
【0187】
(干渉縞の評価方法)
先ず、作製した試料の表面のうち、ハードコート層がない面をサンドペーパーで適量擦った後に、黒インクを塗ることで、裏面の反射が起こらないようにした。次に、この試料を机の上に置き、その30cm上から3波長蛍光灯(商品名:ナショナルパルック蛍光灯 FL20SS・EX−D/18)を用いて試料を照らすことで発生する干渉縞(虹ムラ)を目視により観察し、この観察で見られた干渉斑を虹ムラとして、下記の基準により5段階で評価した。なお、下記の評価においてCランク以上は製品上問題ないレベルである。
【0188】
Aランク:虹ムラが全く見えない。
Bランク:虹ムラがほとんど見えない。
Cランク:虹ムラが若干見える。
Dランク:虹ムラが強く見える。
Eランク:虹ムラが非常に強く見える。
【0189】
(屈折率の測定方法)
先ず、市販のシリコンウエハに、乾燥後の膜厚が3〜4μmとなるように、塗布液を塗布して塗布層を設けた後、これを105℃で10分間乾燥させてサンプルを作製した。次に、このサンプルの屈折率を屈折率測定機(SPA−4000(Sairon Technology.Inc社製)を用いて、プリズムカプラ法により波長660nm、850nmで測定した。そして、各波長における屈折率の測定値とセルメイヤーの式とから、550nmでの屈折率を算出した。なお、セルメイヤーの式とは、n2−1=Aλ2/(λ2−B)であり、λ:測定波長(nm)、n:測定波長での屈折率、A及びBは定数である。この式を用いて、測定波長と屈折率を上式に代入し、定数A、Bを求め、次に、波長=550nmを代入し、波長550nmでの屈折率を求めた。
【0190】
(ヘイズ値の評価方法)
上記試料に関し、日本電色工業性のヘイズメータNDH2000を用いて、JIS K 7136に準じてヘイズを測定した。
【0191】
【表2】

【0192】
【表3】

【0193】
[評価結果]
先ず、表3に示すように、実施例1〜5、8〜10の干渉縞の評価は共にAランク、実施例6、7、11の干渉縞の評価は共にBランクであり、|η1−η2|は、いずれも0.03以下であった。比較例1〜3の干渉縞の評価については、比較例1、3がE、比較例2がDであり、|η1−η2|は、いずれも0.03を超えていた。このように、実施例1〜11は、干渉縞がほとんど生じないことがわかる。
【0194】
次に、表2に示すように、吸光度の耐湿熱性の評価についてみると、実施例1〜5、9〜11はほとんど低下しなかったが、実施例6〜8は低下している。これは、近赤外線吸収層のバインダとしてポリマーの水性分散物ではないゼラチンを用いたことが原因と考えられる。
【0195】
次に、表2に示すように、吸光度の耐湿熱性に関しては、近赤外線吸収層のバインダとしてポリマーの水性分散物ではないゼラチンを用いた場合には、特に高温高湿保存後に吸光度の低下が大きいことが示されている。
【0196】
表2に示すように、ヘイズに関しては、近赤外線吸収層のバインダとしてポリマーの水性分散物ではないゼラチンを用いた場合、及びバインダとしてポリマーの水性分散物を用いても架橋剤を用いなかった場合には、特に高温高湿保存後にヘイズ値の上昇が大きくなっていることが示されている。
【0197】
表2に示すように、近赤外線吸収層の接着性に関しては、近赤外線吸収層のバインダとしてポリマーの水性分散物ではないゼラチンを用いた場合、及びバインダとしてポリマーの水性分散物を用いても架橋剤を用いなかった場合には、特に高温高湿保存後に接着性が低下していることが示されている。
【0198】
表2に示すように、易接着層の接着性に関しては、易接着層のバインダとしてポリマーの水性分散物ではないゼラチンを用いた場合、及びバインダとしてポリマーの水性分散物を用いても架橋剤を用いなかった場合には、特に高温高湿保存後に接着性が低下していることが示されている。
【0199】
すなわち、|η1−η2|がいずれも0.03以下で、且つ、近赤外線吸収層のバインダとしてポリマーの水性分散物を用い、さらに架橋剤を添加し、且つ、易接着層のバインダとしてポリマーの水性分散物を用い、さらに架橋剤を添加した実施例1〜5に関しては、いずれも高温高湿雰囲気下に保存しても近赤外線吸収能や接着性の低下が小さく、しかも、干渉縞がほとんど生じないことがわかる。
【0200】
なお、易接着層の接着性は、虹ムラ改良のための微粒子が存在しない場合(比較例3)では問題なく、微粒子の添加によって初めて悪化すること、この悪化に対して架橋剤が有効に作用していること(実施例1〜5)が示されている。
【実施例2】
【0201】
[実施例12〜16]
表1〜3には示していないが、実施例1の作製方法に対して、後述の部分以外は実施例1と同様の方法によって、実施例12〜16を作製し、評価したところ、実施例1と同様の近赤外線吸収能、耐湿熱性、接着性、及び虹ムラを有していることを確認した。
【0202】
[実施例12]
実施例1に対して易接着層のバインダをウレタン樹脂(三井化学(株)製オレスターUD350)に変更した。バインダの固形分塗設量は実施例1と同じとした。
【0203】
[実施例13]
実施例1に対して易接着層のバインダをアクリル樹脂(日本純薬(株)製ジュリマーET410)に変更した。バインダの固形分塗設量は実施例1と同じとした。
【0204】
[実施例14]
実施例1に対して、アンチモンドープ酸化錫微粒子に代えて酸化チタン微粒子(出光興産(株)製 出光チタニア)を用いた。酸化チタン微粒子の塗設量(g/m2)は実施低1の酸化錫塗設量(g/m2)と同じとした。
【0205】
[実施例15]
実施例1に対して、アンチモンドープ酸化錫微粒子に代えてジルコニア微粒子(日産化学(株))を用いた。ジルコニア微粒子の塗設量(g/m2)は実施低1の酸化錫の塗設量(g/m2)と同じとした。
【0206】
[実施例16]
実施例1に対して、近赤外線吸収層のヘプタメチンシアニン染料の種類を、特開2001-228324号記載のII−3に変更した。近赤外線吸収染料の塗設量(g/m2)は、実施例1の染料の塗設量(g/m2)と同じとした。
【実施例3】
【0207】
[参考例1]
近赤外線吸収性塗布液を調整する際に、さらに、Acid Violet 17(ALDRICH)を、5mg/m2、Acid Violet 34(東京化成工業)を、5mg/m2となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1の近赤外線吸収フィルタを得た。なお、このとき、溶液濃度は0.5質量%であった。
【0208】
参考例1の近赤外線吸収フィルタではヘプタメチン染料にさらに、染料を加えたことで、近赤外線吸収フィルムの色をグレーに調節することができた。
【0209】
[参考例2]
Acid Violet 17(ALDRICH)を5mg/m2、Acid Violet 34(東京化成工業)を5mg/m2を、近赤外線吸収層に代えて易接着層に添加したこと以外は上記参考例1と同様にして参考例2の近赤外線吸収フィルムを得、参考例1と同様に近赤外線吸収フィルタの色をグレーに調節できることを確認した。
【0210】
上記参考例1と参考例2に関して上記実施例1と同様の評価を行い、実施例1と同様の近赤外線吸収能、耐湿熱性、接着性、及び虹ムラを有していることを確認した。但し、ヘイズについては表4に示すように、参考例1が、実施例1及び参考例2に比べ若干劣るものであった。
【0211】
【表4】

【0212】
[参考例3、4]
特開2001−228324号公報の実施例1に記載のように、スチレンブタジエンコポリマーからなる易接着性の下塗り層を近赤外線吸収層と支持体との間に塗布したこと以外は実施例1と同様にして、参考例3、4の近赤外線吸収フィルムを得、上記実施例1と同様の評価を行ったところ、近赤外線吸収層の接着性が改良することを確認した。実施例1〜5の試料はこのような下塗り層を設けることなく接着性が良好であった。
【0213】
なお、本発明に係る近赤外線吸収フィルタ及びプラズマディスプレイパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本実施の形態に係る近赤外線吸収フィルタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0215】
10…近赤外線吸収フィルタ 12…支持体
14…近赤外線吸収層 16…易接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の支持体と、
前記支持体の一方面に形成され、バインダ及び近赤外線吸収染料を含有する近赤外線吸収層と、
前記支持体の他方面に形成され、下記式(1)の条件を満たす易接着層と、
を有することを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
|η1−η2|≦0.03 …(1)
[前記式(1)中、η1は波長550mnにおける前記支持体の屈折率を示し、η2は波長550mnにおける前記易接着層の屈折率を示す。]
【請求項2】
請求項1記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記易接着層は、波長550mnにおける屈折率η2が1.55以上であることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項3】
請求項1記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記易接着層は、バインダと微粒子を含有し、微粒子が60〜70wt%含まれていることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収フィルタ。
【請求項4】
請求項3記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記微粒子は酸化錫を主成分とするものであり、前記易接着層は該微粒子を60〜70wt%含むことを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記支持体は、波長550mnにおける屈折率が1.62〜1.68の範囲にあるポリエステルであることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記易接着層は、波長550nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記近赤外線吸収層及び/又は易接着層がさらに架橋剤を含有することを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項8】
請求項7記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記架橋剤は、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤のいずれかから選ばれる架橋剤であることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記近赤外線吸収層の前記バインダが、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂から選ばれたポリマーであることを特徴とする近赤外線吸収フイルタ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記近赤外線吸収層は、前記バインダとしてポリマーの水性分散物を用いて形成されたものであることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記赤外線吸収層及び前記易接着層のバインダが共にポリマーの水性分散物からなることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記近赤外線吸収層は、塗布溶媒の70%以上が水である水性塗布液を前記支持体に塗布した後、乾燥することにより形成されたものであることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記赤外線吸収層及び前記易接着層が、共に塗布溶媒の70%以上が水である水性塗布液を前記支持体に塗布した後、乾燥することにより形成されたものであることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記支持体が単層のポリエステル支持体からなり、前記近赤外線吸収層及び前記易接着層が共に前記ポリエステル支持体に直接接して形成されていることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
ヘイズ値が2%以下であることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタにおいて、
前記近赤外線吸収染料がヘプタメチンシアニン染料であることを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の近赤外線吸収フィルタを具備したプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【公開番号】特開2008−181097(P2008−181097A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320052(P2007−320052)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】