説明

送受信制御装置およびその制御方法

【課題】 NGN網のような複数の異なるネットワークを統合した次世代ネットワークに未対応の通信端末でも、次世代ネットワークに接続できるようにする。
【解決手段】 送受信制御装置10は、IP−FAX(通信端末)101からセッション確立要求を受信すると、その要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声用セッションの確立を要求するものである場合、IP−FAX101との間に音声用セッションを確立させ、音声通信終了後、音声データを破棄する。その後、T.38データを送信するためのT.38用のセッション確立要求をHGW112へ送信し、HGW112との間にT.38用セッションを確立させると共に、T.38用のセッション確立要求をIP−FAX101へ送信し、IP−FAX101との間にT.38用セッションを確立させ、IP−FAX101からのT.38データを受信してHGW112へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、IPファクシミリ装置(以下「IP−FAX」ともいう)等の通信端末と通信する通信部(第1の通信手段)と、次世代ネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置と通信する通信部(第2の通信手段)とを有し、その各通信部との間のデータの送受信を制御する送受信制御装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、次世代の公衆網(次世代ネットワーク)として、NGN(Next Generation Network)の開発が進められている。NGN(以下「NGN網」ともいう)は、IP(Internet Protocol)網と公衆電話網などを全て統合した公衆網である。
近年、例えばIP−FAXも、NGN網に通信可能に接続(以下単に「接続」ともいう)できることが求められている。しかし、IP−FAXがNGN網を使って送信(IP−FAX送信)を行う場合、ITU−T(国際電気通信連合)の勧告T.38(以下単に「T.38」ともいう)用のデータ(以下単に「T.38データ」ともいう)のみを通信する方式でないと、送信を行えない。その理由は、以下に示す通りである。
【0003】
従来のIP−FAXは、VoIP(Voice over Internet Protocol)ゲートウェイ(GateWay)を使うユーザのために、音声データとT.38データの両方を通信していた。しかし、NGNでは、音声データの通信を行うと、T.38データのみの通信を行うときよりも、料金が多くかかってしまうため、通信関連の各社で集まり、NGNを使ったIP−FAX送信では、T.38データのみを通信するというように取り決めが行われた。なお、VoIPゲートウェイとは、IP網から送られてくるデータ(情報)を変換して、公衆電話網に流す装置のことであり、公衆電話網から送られてくるデータをIP網に流すことも可能である。
【0004】
一方、特許文献1には、音声通信の利用のみを前提としているキャリア網に装置を接続した場合であっても、画像データの通信を行うため、自装置が接続されるキャリアのサーバに適合するSDP(Session Description Protocol)ヘッダ形式を記憶手段に記憶し、送信するリクエストメッセージのSDPヘッダを記憶手段内のSDPヘッダ形式に従って記述する装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、NGN網では通信関連の各社で取り決めたT.38データの通信のみを可能にする場合には、例えば特許文献1に記載されているようなNGNに対応していない従来のIP−FAXは、NGN網に通信可能に接続できないという問題がある。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、NGN網のような複数の異なるネットワークを統合した次世代ネットワークに未対応の通信端末(IP−FAX等)でも、次世代ネットワークに接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下に示す送受信制御装置およびその制御方法をそれぞれ提供する。
この発明による送受信制御装置は、通信端末と通信する第1の通信手段と、次世代ネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置と通信する第2の通信手段とを備え、上記第1,第2の通信手段を用いてデータの送受信を制御する送受信制御装置であって、以下の(1)〜(7)のいずれかに示すようにしたことを特徴とする。
【0007】
(1)上記通信端末からセッション確立要求を受信した場合に、そのセッション確立要求の内容を判別する要求判別手段と、その判別の結果、上記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、上記通信端末との間に上記音声通信用のセッションを確立させる第1のセッション接続手段と、それによって上記音声通信用のセッションが確立され、その音声通信が終了した後、上記音声データを破棄する音声データ破棄手段と、それによって上記音声データが破棄された後、ITU−T勧告T.38通信用のデータを送信するためのそのT.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記ネットワーク通信制御装置に対して発行して、そのネットワーク通信制御装置との間に上記T.38通信用のセッションを確立させる第2のセッション接続手段と、上記音声データ破棄手段によって上記音声データが破棄された後、上記T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記通信端末に対して発行して、その通信端末との間に上記T.38通信用のセッションを確立させる第3のセッション接続手段と、それによって上記T.38通信用のセッションが確立された場合に、上記通信端末から送られてくる上記T.38通信用のデータを受信するデータ受信手段と、上記第2のセッション接続手段によって上記T.38通信用のセッションが確立され、且つ上記データ受信手段によって上記T.38通信用のデータを受信した場合に、そのデータを上記ネットワーク通信制御装置へ送信するデータ送信手段とを設ける。
【0008】
(2)(1)の送受信制御装置において、上記データ受信手段によって上記ネットワーク通信制御装置から送られてくるデータを受信した場合に、そのネットワーク通信制御装置からデータを受信したことを判断する受信元判断手段を設け、上記データ送信手段が、上記受信元検知手段によって上記ネットワーク通信制御装置からデータを受信したことが判断された場合に、その受信したデータをそのまま上記通信端末へ送信する。
【0009】
(3)(1)又は(2)の送受信制御装置において、上記第2の通信手段を、SIPを利用し、電話番号とIPアドレスとを対応付けた情報を記憶する制御、およびその情報に基づいて通信の制御を行うSIPサーバとも通信する手段とし、上記通信端末の電話番号とIPアドレスとを記憶する記憶手段と、上記データ受信手段によって上記通信端末から通知されるその通信端末の電話番号とIPアドレスとを受信した場合に、上記記憶手段に記憶されている電話番号又はIPアドレスを必要に応じて更新する更新手段と、その更新後の電話番号とIPアドレスとを上記SIPサーバに対して通知する通知手段とを設ける。
【0010】
(4)(1)〜(3)のいずれかの送受信制御装置において、上記データ受信手段によって上記通信端末から通知される受信を拒否したい相手の識別情報を受信した場合に、その識別情報を登録する登録手段と、上記データ受信手段によって上記ネットワーク通信制御装置からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、そのデータの送信元の識別情報を確認する確認手段と、それによって確認した上記送信元の識別情報が上記登録手段によって登録されている識別情報と一致する場合に、上記ネットワーク通信制御装置からのデータの受信を拒否する受信拒否手段とを設ける。
【0011】
(5)(1)〜(3)のいずれかの送受信制御装置において、上記データ受信手段によって上記通信端末から通知される送信を禁止したい相手の識別情報を受信した場合に、該識別情報を登録する登録手段と、上記データ受信手段によって上記通信端末からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、該データの送信先の識別情報を確認する確認手段と、それによって確認した上記送信先の識別情報が上記登録手段によって登録されている識別情報と一致する場合に、上記通信端末からのデータの送信を禁止する送信禁止手段とを設ける。
【0012】
(6)(1)〜(5)のいずれかの送受信制御装置において、上記要求判別手段による判別の結果、上記セッション確立要求が宛先に向けて上記音声データ以外のデータを送信するためのセッションの確立を要求するものである場合に、上記通信端末との間および上記ネットワーク通信制御装置との間にそれぞれ要求されたセッションを確立させる第4のセッション接続手段を設け、上記データ受信手段が、上記第4のセッション接続手段によって要求されたセッションが確立され、且つ上記データ受信手段によってデータを受信した場合に、そのデータを上記ネットワーク通信制御装置へ送信する。
【0013】
(7)(1)〜(6)のいずれかの送受信制御装置において、上記データ受信手段によるデータの受信および上記データ送信手段によるデータの送信の結果を認識する認識手段と、その認識手段による認識結果を記憶する記憶手段とを設ける。
【0014】
この発明による制御方法は、通信端末と通信する第1の通信手段と、複数の異なるネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置と通信する第2の通信手段とを有し、上記第1,第2の通信手段との間のデータの送受信を制御する送受信制御装置における制御方法であって、上記通信端末からセッション確立要求を受信した場合に、該セッション確立要求の内容を判別する要求判別工程と、その判別の結果、上記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、上記通信端末との間に上記音声通信用のセッションを確立させる第1のセッション接続工程と、それによって上記音声通信用のセッションが確立され、該音声通信が終了した後、上記音声データを破棄する音声データ破棄工程と、それによって上記音声データが破棄された後、ITU−T勧告T.38通信用のデータを送信するためのそのT.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記ネットワーク通信制御装置に対して発行して、そのネットワーク通信制御装置との間に上記T.38通信用のセッションを確立させる第2のセッション接続工程と、上記音声データ破棄工程によって上記音声データが破棄された後、上記T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記通信端末に対して発行して、その通信端末との間に上記T.38通信用のセッションを確立させる第3のセッション接続工程と、それによって上記T.38通信用のセッションが確立された場合に、上記通信端末から送られてくる上記T.38通信用のデータを受信するデータ受信工程と、上記第2のセッション接続工程によって上記T.38通信用のセッションが確立され、且つ上記データ受信工程によって上記T.38通信用のデータを受信した場合に、そのデータを上記ネットワーク通信制御装置へ送信するデータ送信工程とを有するものである。
【0015】
この発明によれば、送受信制御装置が、上記通信端末からセッション確立要求を受信した場合に、そのセッション確立要求の内容を判別し、その判別の結果、上記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、上記通信端末との間に上記音声通信用のセッションを確立させ、その音声通信が終了した後、上記音声データを破棄する。
【0016】
その後、ITU−T勧告T.38通信用のデータを送信するためのそのT.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記ネットワーク通信制御装置に対して発行して、そのネットワーク通信制御装置との間に上記T.38通信用のセッションを確立させると共に、上記T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を上記通信端末に対して発行して、その通信端末との間に上記T.38通信用のセッションを確立させることにより、上記通信端末から送られてくる上記T.38通信用のデータを受信し、そのデータを上記ネットワーク通信制御装置へ送信する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、NGN網のような複数の異なるネットワークを統合した次世代ネットワークに未対応の通信端末であっても、次世代ネットワークに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による送受信制御装置を含むネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
【図2】図1の送受信制御装置10の例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した送受信制御装置10による登録処理の説明に供する説明図である。
【図4】図2に示した送受信制御装置10による送信端末101に対する振る舞いを説明するための送受信制御装置10と送信端末101との間の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図5】図2に示した送受信制御装置10によるHGW112に対する振る舞いを説明するための送受信制御装置10とHGW112との間の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0019】
【図6】図2に示した送受信制御装置10を用いたNGN網110を利用するIP−FAX送受信時の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図7】図2に示した送受信制御装置10を用いたNGN網110を利用するIP−FAX受信時の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図8】図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第1実施例を示すフロー図である。
【図9】同じく通信制御の第2実施例を示すフロー図である。
【図10】同じく通信制御の第3実施例を示すフロー図である。
【0020】
【図11】同じく通信制御の第4実施例を示すフロー図である。
【図12】同じく通信制御の第5実施例を示すフロー図である。
【図13】従来のIP網を利用したIP−FAX送信を説明するためのネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
【図14】従来のNGN網を利用したIP−FAX送信を説明するためのネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
以下の実施形態では、送受信制御装置が以下の(a)〜(f)に示すような機能を持つことが特徴になっている。
(a)ユーザ操作によって登録されたホームゲートウェイ(HomeGateWay:HGW)のIPアドレスを記憶する機能
(b)そのIPアドレスに基づいて、HGWと通信する機能
(c)IP−FAXから送られてくるデータ(情報)を受信する機能
(d)その受信したものから音声通信の部分を除いて、HGWに送信する機能
(e)その送信時に、IP−FAXから見ると、IP網でのIP−FAX送信をしているのと同じように振舞う機能
(f)HGWから見ると、NGN対応済みのIP−FAXと通信をしているのと同じように振舞う機能
【0022】
そこで、その特徴について詳細に説明するが、その説明に入る前に、理解の便宜のため、従来のIP−FAX送信について説明する。
図13は、従来のIP網を利用したIP−FAX送信を説明するためのネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
図13に示すネットワークシステムは、NGN未対応のIP−FAX101と、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ102と、NGN未対応のIP−FAX103とを備えている。それらの機器の接続は、IP網100を介して行う。
【0023】
IP−FAX101,103は、原稿の画像を画像データとして読み取るスキャナ等の画像読取部と、画像データに基づいて画像を用紙等の印刷媒体に印刷(画像形成)するプロッタ等の画像形成部と、IP網100経由で画像データ等のデータの送受信を行う通信部とを備えている。
SIPサーバ102は、SIPを利用して、電話番号とIPアドレスとを対応付けた情報を記憶する制御、およびその情報に基づいて通信の制御(相手を呼び出してつなぐといった呼制御を含む)を行うものである。
このように構成されたネットワークシステムおけるIP網100を利用したIP−FAX送信の流れは、以下の(A1)〜(A6)に示す通りである。
【0024】
(A1)IP−FAX101は、送信端末として動作する場合、SIPサーバ102にアクセスし、宛先(送信先)と音声通信用のセッションを確立させようとする。
(A2)SIPサーバ102は、電話番号から宛先を見つけ、宛先の端末(受信端末)であるIP−FAX103(以下「宛先端末103」という)とIP−FAX101(以下「通信端末101」という)との間に音声通信用のセッションを確立させる。
(A3)送信端末101は、音声データの通信(音声通信)を宛先端末103と行う。
(A4)音声データの通信が終わると、宛先端末103が、T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を発行し、T.38通信用のセッションを確立させる。
(A5)送信端末101は、T.38データの通信を宛先端末103と行う。
(A6)T.38データの通信が終わったら、通信を終了する。
【0025】
図14は、従来のNGN網を利用したIP−FAX送信を説明するためのネットワークシステムの構成例を示す概略図であり、図13と同じ部分(SIPサーバ102)には同一符号を付している。
図14に示すネットワークシステムは、NGN対応済みのIP−FAX111と、HGW112と、SIPサーバ102と、HGW113と、NGN対応済みのIP−FAX114とを備えている。それらの機器の接続は、NGN網110を介して行う。
【0026】
IP−FAX111,114は、原稿の画像を画像データとして読み取るスキャナ等の画像読取部と、画像データに基づいて画像を用紙等の印刷媒体に印刷するプロッタ等の画像形成部と、NGN網110経由で画像データ等のデータの送受信を行う通信部とを備えている。
HGW112,113は、それぞれIP−FAX111,114をNGN網110に接続するために用いるゲートウェイ装置(次世代ネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置)である。よって、例えばIP−FAX111が送信端末として動作する場合、そのIP−FAX111から見て、HGW112はNGN網110の窓口となるような装置となる。
このように構成されたネットワークシステムにおけるNGN網110を利用したIP−FAX送信の流れは、以下の(B1)〜(B6)に示す通りである。
【0027】
(B1)IP−FAX111は、送信端末として動作する場合、自己とHGW112との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
(B2)IP−FAX111(以下「通信端末111」という)は、HGW112とT.38データの通信を行う。
(B3)HGW112は、SIPサーバ102にアクセスして、宛先側のHGW123とT.38通信用のセッションを確立させようとする。
(B4)SIPサーバ102は、電話番号から宛先を見つけ、送信端末111側のHGW112と宛先側のHGW113との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
(B5)送信端末111側のHGW112は、宛先側のHGW113とT.38データの通信を行う。
(B6)T.38データの通信が終わったら、通信を終了する。
【0028】
次に、この発明による送受信制御装置を含むネットワークシステムの構成について説明する。
図1は、そのネットワークシステムの構成例を示す概略図であり、図13,図14と同じ部分(SIPサーバ102)には同一符号を付している。
図1に示すネットワークシステムは、NGN未対応のIP−FAX101と、送受信制御装置10と、HGW112と、SIPサーバ102と、HGW113と、NGN対応済みのIP−FAX114とを備えている。それらの機器の接続は、NGN網110を介して行う。
【0029】
次に、図1の送受信制御装置10の構成について説明する。
図2は、その送受信制御装置10の構成例を示すブロック図である。
この送受信制御装置10は、データの送受信を制御するものであり、例えば図2に示すように、システム制御部11、システムメモリ12、パラメータメモリ13、時計回路14、操作表示部15、T.38符号化復号化部16、呼接続メッセージ符号化復号化部17、磁気ディスク装置18、およびネットワーク通信制御部19を備えている。
【0030】
システム制御部11は、送受信制御装置10全体を制御する中央処理装置(CPU)であり、後述するこの発明に関わる制御を行う。
システムメモリ12は、システム制御部11が実行する制御プログラムを格納する記憶手段である。
パラメータメモリ13は、設定されたパラメータ情報などを蓄積するための不揮発性の記憶手段である。パラメータ情報としては、後述するHGW112のIPアドレスや、IP−FAX101のIPアドレスと電話番号、通信履歴、受信拒否端末情報、および送信禁止端末情報等がある。
【0031】
時計回路14は、現在の時刻を生成出力する時計手段である。
操作表示部15は、操作情報および設定情報を入力すると共に、これらの情報や装置の状態情報を表示するためのものであり、ダイヤル番号操作キー等の各種操作キーおよび液晶表示装置等の表示器を備えている。
T.38符号化復号化部16は、T.38データの通信のために、データを所定の符号方式で符号化圧縮(エンコード)する一方、所定の復号化方式で復号伸張(デコード)するものである。
【0032】
呼接続メッセージ符号化復号化部17は、呼接続メッセージを所定の符号化方式で符号化圧縮する一方、所定の復号化方式で復号伸張するものである。
磁気ディスク装置18は、画像データ等のデータを格納する記憶手段である。
ネットワーク通信制御部19は、IP−FAX101と通信を行ったり、HGW112およびNGN網110を介して相手側のHGW113との接続・通信および切断を制御したりする通信手段である。このネットワーク通信制御部19は、この発明に関わる第1,第2の通信手段としての機能を果す。
【0033】
ここで、システム制御部11(CPU)が、システムメモリ12内の制御プログラムを実行し、T.38符号化復号化部16、呼接続メッセージ符号化復号化部17、およびネットワーク通信制御部19を含む各部を制御することにより、この発明に関わる要求判別手段、第1のセッション接続手段、音声データ破棄手段、第2のセッション接続手段、第3のセッション接続手段、データ受信手段、データ送信手段、受信元検知手段、更新手段、通知手段、登録手段、確認手段、受信拒否手段、送信禁止手段,第4のセッション接続手段、および認識手段としての機能を果す。
【0034】
次に、図2に示した送受信制御装置10による登録処理について説明する。
図3は、その送受信制御装置10による登録処理の説明に供する説明図である。
送受信制御装置10へは、以下の(a)(b)に示す情報を登録する必要がある。
(a)HGW112のIPアドレス
(b)送信端末(IP−FAX)101のIPアドレスと電話番号
【0035】
HGW112のIPアドレスは、HGW112をデータの送受信時に使用するために登録する。具体的には、システム制御部11が、ユーザ操作(実際にはユーザによる図15の操作表示部15上の操作に応じて発生する操作信号)により、HGW112のIPアドレスをパラメータメモリ13に記憶して登録する。
送信端末101のIPアドレスと電話番号は、送受信制御装置10が送信端末101になり変わって通信をするために登録する。具体的には、システム制御部11が、送信端末101からそのIPアドレスと電話番号が通知されるため、それらをパラメータメモリ13に記憶して登録する。
【0036】
次に、図2に示した送受信制御装置10による送信端末101に対する振る舞いについて説明する。
図4は、その送受信制御装置10による送信端末101に対する振る舞いを説明するための送受信制御装置10と送信端末101との間の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0037】
送受信制御装置10は、送信端末101から見たらSIPサーバ102および宛先の端末であるIP−FAX(宛先端末)114のように振る舞う。
送信端末101にはSIPサーバ102のIPアドレスを登録する部分があり、そこに送受信制御装置10のIPアドレスを登録する。
それによって、NGN未対応の送信端末(IP−FAX)101は、NGN網110に対しても、IP網に対してIP−FAX送信する時と同じように使える。
【0038】
すなわち、NGN未対応の送信端末101は、送受信制御装置10のIPアドレスをSIPサーバ102のIPアドレスとして登録しているため、SIPサーバ102にアクセスしようとすると、送受信制御装置10につながる。よって、送信端末101が、宛先端末114への「INVITE」メッセージ(送受信制御装置10のIPアドレスが含まれている)をSIPサーバ102に対して発行すると、送受信制御装置10につながる(図3のS1)。
【0039】
送受信制御装置10は、送信端末101から「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージが音声データの通信の要求(音声通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを送信端末101へ順次返信する。それによって、通信OKを送信端末101へ応答することになり、送信端末101との間に音声通信用のセッションを確立させる。このとき、NGN網110を使用しない従来のIP−FAX送信では、SIPサーバ102が宛先端末114のIPアドレスを送信端末101へ返すところであるが、この実施形態では送受信制御装置10が自己のIPアドレスを返す(S2)。
【0040】
送信端末101は、送受信制御装置10から「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、SIPサーバ102とセッションが確立していると判断して、了解した旨を示す「ACK」メッセージを送受信制御装置10へ通知し、送受信制御装置10のIPアドレスに対して音声データの通信を始め、送受信制御装置10との間で音声データの通信を行う(S3,S4)。
音声データの通信が終了すると、送受信制御装置10は、「INVITE」メッセージを送信端末101に対して発行する(S5)。
【0041】
送信端末101は、送受信制御装置10から「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「200 OK」のレスポンスを送受信制御装置10へ返信することにより、送受信制御装置10との間にT.38通信用のセッションを確立させる(S6)。
送受信制御装置10は、送信端末101から「200 OK」のレスポンスを受けると、送信端末101とセッションが確立していると判断して、了解した旨を示す「ACK」メッセージを送信端末101へ通知し、T.38データの通信を始め、送信端末101との間でT.38データの通信を行う(S7,S8)。
【0042】
ここで、送信端末101は、ステップS1〜S3の動作シーケンスの期間では、送受信制御装置10をSIPサーバ102と判断して通信制御を行っている。また、ステップS4〜S8の動作シーケンスの期間では、送受信制御装置10を宛先端末(受信端末)114と判断して通信制御を行っている。よって、ステップS1〜S8の動作シーケンスは、NGN網110を使用しない従来のIP−FAX送信を行う場合と同じになる。
【0043】
次に、図2に示した送受信制御装置10によるHGW112に対する振る舞いについて説明する。
図5は、その送受信制御装置10によるHGW112に対する振る舞いを説明するための送受信制御装置10とHGW112との間の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0044】
送受信制御装置10は、HGW112とT.38データの通信のみ行う(音声データの通信は行わない)。
送受信制御装置10には、ユーザーによってHGW112のIPアドレスが登録されている。
それによって、NGN網110を利用した通常のIP−FAX送信する時と同じようにHGW112を使える。
【0045】
すなわち、送受信制御装置10は、送信端末101との音声データの通信が終了すると、「INVITE」メッセージをHGW112に対して発行する(図5のS11)。
HGW112は、送受信制御装置10から「INVITE」メッセージ(宛先端末114の電話番号が含まれている)を受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、以下の(a)(b)に示す二つの理由から、通常通りのNGN網110を利用したIP−FAX送信が行われていると解釈するため、IP−FAX送信を実行する。
【0046】
(a)NGN対応済みのIP−FAXと同じように、送受信制御装置10にはHGW112のIPアドレスが登録されているため、送受信制御装置10はHGW112との関わり方がNGN対応済みのIP−FAXと全く同じである。
(b)送受信制御装置10は、T.38データの通信のみHGW112と行い、音声データの通信はHGW112と一切行わない。音声のデータは、全て捨てる。
【0047】
HGW112は、T.38データの通信の要求を受けて、IP−FAX送信を実行する際に、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを送受信制御装置10へ順次返信する。それによって、通信OKを送受信制御装置10へ応答することになり、送受信制御装置10との間にT.38通信用のセッションを確立させる。このとき、NGN網110を使用するIP−FAX送信なので、自己のIPアドレスを返す(S12)。
【0048】
送受信制御装置10は、HGW112から「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、HGW112とセッションが確立していると判断して、了解した旨を示す「ACK」メッセージをHGW112へ通知し、HGW112のIPアドレスに対してT.38データの通信を始め、HGW112との間でT.38データの通信を行う(S13,S14)。
よって、ステップS11〜S14の動作シーケンスはNGN網110を用いた通常のIP−FAX送信を行う場合と同じになり、IP網用のIP−FAX101がNGN網110を用いたIP−FAX送信を行える。
【0049】
次に、図2に示した送受信制御装置10を用いたNGN網110を利用するIP−FAX送受信時の動作シーケンスについて説明する。
図6は、その送受信制御装置10を用いたNGN網110を利用するIP−FAX送信時の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0050】
図4によって説明したように、NGN未対応のIP−FAX101は、送受信制御装置を使うことによって、NGN網110を利用したIP−FAX送信が可能になる。以下に、図6に示す動作シーケンスの流れの説明を示す。
【0051】
(1)NGN未対応のIP−FAX101は、宛先端末であるNGN対応済みのIP−FAX114に向けて「INVITE」メッセージ(送受信制御装置10のIPアドレスが含まれている)をSIPサーバ102に対して発行する(S21)。
ここで、「INVITE」メッセージは、まずSIPサーバ102を経由してIP−FAX114に行く。NGN未対応のIP−FAX101には、送受信制御装置10のIPアドレスがSIPサーバ102のIPアドレスとして登録されている。そのため、NGN未対応のIP−FAX101がIP−FAX114に向けて発行した「INVITE」メッセージは、まず送受信制御装置10に送られる。
【0052】
(2)SIPサーバになりすましている送受信制御装置10は、「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージが音声データの通信の要求(音声通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスをIP−FAX101へ順次返信することにより、通信OKをIP−FAX101へ応答し(S22〜S24)、NGN未対応のIP−FAX101との間にセッションを確立させる。
【0053】
ここで、NGN未対応のIP−FAX101は、宛先のIP−FAX114とセッションがつながったと判断していて、通常のIP−FAX送信の手順を実行し始める(音声の通信を始める)。また、送受信制御装置10は、「INVITE」メッセージを受信した場合に、詳細には後述するが、図8のステップS102、図9のステップS202、図12のステップS502でそれぞれ対応する判断を行う。
【0054】
(3)IP−FAX101は、送受信制御装置10から「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、了解した旨を示す「ACK」メッセージを送受信制御装置10へ通知し(S25)、送受信制御装置10のIPアドレスに対して音声データの通信を始め、送受信制御装置10との間で音声データの通信を行う(S26)。このとき、送受信制御装置10は、送受信制御装置10から音声データを受け取るが、全て破棄する(音声データを何にも利用しない)。
【0055】
(4)送受信制御装置10は、IP−FAX101との音声データの通信が終了し、その音声データを全て捨てた(破棄した)後、NGN未対応のIP−FAX101から受け取った「INVITE」メッセージの中身に修正を加えて、その修正後の「INVITE」メッセージを宛先のIP−FAX114に向けて発行する(S27)。加えた修正の内容は2つで、SDP(Session Description Protocol)のマルチメディアの種類を音声からT.38に変える(つまり音声通信のセッション確立要求からT.38通信用のセッション確立要求に変える)ことと、SIPサーバ102のIPアドレスが送受信制御装置10のIPアドレスになっているため、それを本当の(正しい)SIPサーバ102のIPアドレスに変えることである。
【0056】
それによって、SIPサーバ102にアクセスし、HGW112、NGN網110、およびHGW113を介して相手端末であるIP−FAX114との間にセッションを確立させることが可能になる。
なお、SDPとは、セッションを確立するために必要な情報を記述するためのプロトコルである。
【0057】
(5)HGW112は、送受信制御装置10からIP−FAX114に向けて発行された「INVITE」メッセージを受信すると、それをNGN網110経由で宛先側のHGW113へ送信する(S28)。
HGW113は、送受信制御装置10からHGW112およびNGN網110経由で「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージが音声データの通信の要求(音声通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスをNGN網110経由でHGW112へ順次返信する(S29〜S31)。
【0058】
HGW112は、HGW113からNGN網110経由で送られてくる「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを送受信制御装置10へ順次受け渡す(S32〜S34)。それによって、通信OKを送受信制御装置10へ応答することになり、送受信制御装置10と宛先側のHGW113との間にT.38通信用のセッションが確立される。
【0059】
送受信制御装置10は、宛先側のHGW113からNGN網110およびHGW112経由で「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、SIPサーバ102とセッションが確立していると判断して、了解した旨を示す「ACK」メッセージをHGW112へ通知する(S35)。
HGW112は、送受信制御装置10から通知される「ACK」メッセージをNGN網110経由でHGW113へ受け渡す(S36)。
【0060】
(6)送受信制御装置10は、「ACK」メッセージをHGW112へ通知した後、「INVITE」メッセージをNGN未対応のIP−FAX101に対して発行する(S37)。
NGN未対応のIP−FAX101は、送受信制御装置10から「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「200 OK」のレスポンスを送受信制御装置10へ返信することにより、送受信制御装置10との間にT.38通信用のセッションを確立させる(S38)。
【0061】
(7)NGN未対応のIP−FAX101は、送受信制御装置10の間にセッションが確立されたら、了解した旨を示す「ACK」メッセージを送受信制御装置10へ通知し(S39)、T.38データの通信を始め、送受信制御装置10との間でT.38データの通信を行う(S40)。その通信が終了すると、セッション終了を示す「Bye」メッセージを送受信制御装置10へ通知する(S41)。
(8)送受信制御装置10は、NGN未対応のIP−FAX101から「Bye」メッセージを受信すると、IP−FAX101とのT.38通信でIP−FAX101から得たT.38データをHGW112へ送信した後、セッション終了を示す「Bye」メッセージをHGW112へ通知する(S42,S43)
【0062】
(9)HGW112は、送受信制御装置10からT.38データを受信すると、SIPサーバ102を使い、宛先側のHGW113とNGN網110経由でT.38通信用のセッションを確立させ、受信したT.38データの通信を行った後、送受信制御装置10から「Bye」メッセージを受信すると、その「Bye」メッセージをNGN網110経由で宛先側のHGW113へ送信する(S44,S45)。
【0063】
(10)宛先側のHGW113は、HGW112とのT.38データの通信が終了すると、宛先の端末であるNGN対応済みのIP−FAX113とT.38通信用のセッションを確立させ、受信したT.38データの通信を行う。そして、その通信が終了し、HGW112から「Bye」メッセージを受信すると、「200 OK」のレスポンスをNGN網110経由でHGW112へ返信する(S46)。
HGW112は、宛先側のHGW113からNGN網110経由で送られてくる「200 OK」のレスポンスを送受信制御装置10へ受け渡す(S47)。
送受信制御装置10は、HGW112送られてくる「200 OK」のレスポンスをNGN未対応のIP−FAX101へ通知する(S48)。
【0064】
図7は、図2に示した送受信制御装置10を用いたNGN網110を利用するIP−FAX受信時の動作シーケンスの一例を示す図である。
HGW113は、NGN対応済みのIP−FAX114から「INVITE」メッセージを受信すると、それをNGN網110経由でNGN未対応のIP−FAX101側のHGW113へ送信する(S51)。
【0065】
HGW113は、その「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスをNGN網110経由でNGN対応済みのIP−FAX114側のHGW113へ順次返信することにより、通信OKをHGW113へ応答し(S52〜S54)、HGW113との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
【0066】
HGW113は、HGW112からNGN網110経由で「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、了解した旨を示す「ACK」メッセージをHGW112へ通知し(S55)、HGW112のIPアドレスに対してT.38データの通信を始めて、HGW112との間でT.38データの通信を行う(S56)。その通信が終了すると、セッション終了を示す「Bye」メッセージをHGW112へ通知する(S57)。
【0067】
HGW112は、その「Bye」メッセージを受信すると、「200 OK」のレスポンスをHGW113へ返信した後(S58)、先に受信した「INVITE」メッセージを送受信制御装置10へ通知する(S59)。
送受信制御装置10は、その「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスをHGW112へ順次返信することにより、通信OKをHGW112へ応答し(S60〜S62)、HGW112との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
【0068】
ここで、送受信制御装置10は、HGW112から「INVITE」メッセージを受信した場合に、詳細には後述するが、図9のステップS202、図11のステップS402で対応する判断を行う。
HGW112は、送受信制御装置10から「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、了解した旨を示す「ACK」メッセージを送受信制御装置10へ通知し(S63)、送受信制御装置10のIPアドレスに対してT.38データの通信を始め、送受信制御装置10との間でT.38データの通信を行い(S64)、その通信が終了すると、セッション終了を示す「Bye」メッセージを送受信制御装置10へ通知する(S65)。
【0069】
送受信制御装置10は、その「Bye」メッセージを受信すると、「200 OK」のレスポンスをHGW112へ返信した後(S66)、先に受信した「INVITE」メッセージをNGN未対応のIP−FAX101へ通知する(S67)。
NGN未対応のIP−FAX101は、その「INVITE」メッセージを受信すると、そのメッセージがT.38データの通信の要求(T.38通信用のセッション確立要求)を示すものであれば、「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスをHGW112へ順次返信することにより、通信OKを送受信制御装置10へ応答し(S68〜S70)、送受信制御装置10との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
【0070】
送受信制御装置10は、IP−FAX101から「100 Trying」「180 Ringing」「200 OK」の各レスポンスを受信することにより、通信OKの応答を受けると、了解した旨を示す「ACK」メッセージをIP−FAX101へ通知し(S71)、IP−FAX101のIPアドレスに対してT.38データの通信を始め、IP−FAX101との間でT.38データの通信を行い(S72)、その通信が終了すると、セッション終了を示す「Bye」メッセージをIP−FAX101へ通知する(S73)。
IP−FAX101は、その「Bye」メッセージを受信すると、「200 OK」のレスポンスを送受信制御装置10へ返信する(S74)。
【0071】
以下、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の各実施例について説明する。
〔第1実施例〕
まず、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第1実施例について説明する。
図8は、その通信制御の第1実施例を示すフローチャートである。
【0072】
送受信制御装置10は、送信端末101から最初に「INVITE」メッセージが通知されると、図8に示す通信制御をスタートし、まずステップS101でその「INVITE」メッセージを受信し、ステップS102でその「INVITE」メッセージが音声通信用のセッション確立要求を示すものであるか否かを判断する。なお、図示の都合上、省略したが、「INVITE」メッセージを受信した場合に、その受信が送信端末101からの受信であるかHGW112からの受信であるかを判断し、送信端末101からの受信であった場合(つまり送信端末101によるデータ送信であった場合)に、ステップS102以降へ進むようにするとよい。
【0073】
ステップS102での判断の結果、受信した「INVITE」メッセージが音声通信用のセッション確立要求を示すものであった場合に、ステップS103へ進み、送信端末101との間に音声通信用のセッションを確立させる。
続いて、ステップS104において、送信端末101と音声データの通信(やり取り)を行った後、ステップS105で送信端末101から受信した音声データを全て破棄して、HGW112側には一切流さない。
【0074】
次のステップS106においては、宛先端末114とT.38通信を行うため、ステップS103で送信端末101から受信した宛先端末114等の情報(IPアドレス)に基づいて、T.38通信用のセッション確立要求を示す「INVITE」メッセージをHGW112へ送信して、そのHGW112との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
次のステップS107においては、送信端末101とT.38通信を行うため、T.38通信用のセッション確立要求を示す「INVITE」メッセージを送信端末101へ送信して、その送信端末101との間にT.38通信用のセッションを確立させる。
【0075】
そして、ステップS108で送信端末101とT.38データのやり取り(通信)を行い、ステップS109でHGW112とT.38データのやり取りを行う。それによって、送信端末101とやり取りしたT.38データをHGW112へ送信して、そのT.38データを宛先端末114へ送ってもらうことができる。HGW112は、宛先側のHGW113とやり取りして、宛先の受信端末である宛先端末114へT.38データを送信させる。
【0076】
ステップS109でのT.38データのやりとりが終了すると、ステップS110へ進んで通信を終了する。
そして、ステップS111において、上述した音声通信およびT.38通信の各通信結果(データの送受信結果)を認識し、その認識結果を通信履歴としてパラメータメモリ13に記憶保存する。
【0077】
一方、ステップS102での判断の結果、送信端末101から受信した「INVITE」メッセージが音声通信用のセッション確立要求を示すものでなかった場合には、ステップS112へ移行し、送信端末101との間に要求されたセッション(受信した「INVITE」メッセージが示すセッション確立要求に対応するもの)、例えばT.38通信用のセッションを確立させた後、ステップS113おいて、受信した「INVITE」メッセージをHGW112へ送信して、HGW112との間にも要求されたセッションを確立させる。
【0078】
そして、ステップS114で送信端末101とデータ(例えばT.38データ)のやり取りを行った後、ステップS115でHGW112とデータ(例えばT.38データ)のやり取りを行う。このとき、送信端末101から受信したデータは、全て何も手を加えずにHGW112へ送信する。
ステップS115でのデータのやりとりが終了すると、ステップS110へ移行して、上述と同様の制御を続ける。
【0079】
このように、送受信制御装置10は、自己に接続されているIP−FAX(通信端末)101からセッション確立要求を受信した場合に、そのセッション確立要求の内容を判別し、その判別の結果、上記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、IP−FAX101との間に音声通信用のセッションを確立させ、その音声通信が終了した後、上記音声データを破棄する。
【0080】
その後、T.38通信用のデータを送信するためのそのT.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を自己に接続されているHGW112に対して発行して、そのHGW112との間にT.38通信用のセッションを確立させると共に、T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求をIP−FAX101に対して発行して、そのIP−FAX101との間にT.38通信用のセッションを確立させることにより、IP−FAX101から送られてくるT.38通信用のデータを受信し、そのデータをHGW112へ送信する。
【0081】
したがって、複数の異なるネットワークを統合した次世代ネットワークであるNGN網110に未対応のIP−FAX101であっても、NGN網110に接続でき、宛先のIP−FAX114へ音声データを送信しようとした場合に、その音声データを破棄し、代わりにT.38通信用のデータを宛先のIP−FAX(宛先端末)114へ送信することができる。
【0082】
また、自己に接続されているIP−FAX101からのセッション確立要求が宛先のIP−FAX114に向けて音声データ以外のデータを送信するためのセッションの確立を要求するものである場合に、IP−FAX101との間およびHGW112との間にそれぞれ要求されたセッションを確立させ、IP−FAX101からのデータを受信した場合に、そのデータをHGW112へ送信することにより、IP−FAX101から音声データ以外のデータを送信しようとした場合に、そのデータをそのまま宛先のIP−FAX114へ送信することが可能になる。
【0083】
さらに、通信の結果を認識し、その認識結果を通信履歴としてパラメータメモリ13に記憶保存することにより、通信端末101から通信履歴の取得要求があった場合に、パラメータメモリ13から通信履歴を読み出して通信端末101へ送信し、その操作表示部上に表示させることが可能になる。あるいは、送受信制御装置10の操作表示部15から通信履歴の取得要求があった場合にも、パラメータメモリ13から通信履歴を読み出して操作表示部15上に表示することもできる。
【0084】
〔第2実施例〕
次に、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第2実施例について説明する。
図9は、その通信制御の第2実施例を示すフローチャートである。
【0085】
送受信制御装置10は、送信端末101又はHGW112から最初に「INVITE」メッセージが通知されると、図9に示す通信制御をスタートし、まずステップS201でその「INVITE」メッセージを受信し、ステップS202でその「INVITE」メッセージの受信がHGW112からの受信であるか送信端末101からの受信であるかを判断し、送信端末101からの受信であれば、送信端末101によるデータ送信であるため、ステップS209へ移行して、図8のステップS102〜S109,S112〜S115と同様の制御を行った後、ステップS207へ移行する。
【0086】
ここで、送受信制御装置10では、送信端末(IP−FAX)101のIPアドレスと電話番号の他に、HGW112のIPアドレスもパラメータメモリ13に記憶保持しているため、「INVITE」メッセージの受信がHGW112からの受信であるか送信端末101からの受信であるかを、そのメッセージに含まれている送信端末101又はHGW112のIPアドレスとパラメータメモリ13に記憶保持されているIPアドレスとを比較照合することによって判断することができる。
【0087】
一方、「INVITE」メッセージの受信がHGW112からの受信であった場合には、IP−FAX101は受信端末となるため、ステップS203へ進み、HGW112との間に要求されたセッション(例えばT.38通信用のセッション)を確立させた後、ステップS204でHGW112とデータ(例えばT.38データ)のやり取りを行う。
次に、ステップS205へ進み、受信した「INVITE」メッセージを受信端末101へ送信して、受信端末101との間にも要求されたセッションを確立させた後、ステップS206で受信端末101とデータのやり取りを行う。それによって、HGW112とやり取りしたデータを受信端末101へ送信することができる。
【0088】
ステップS206でのデータのやりとりが終了すると、ステップS207へ進んで通信を終了する。
そして、ステップS207において、上述した通信の結果を認識し、その認識結果を通信履歴としてパラメータメモリ13に記憶保存して、図9の通信制御を終了する。
【0089】
このように、送受信制御装置10は、自己に接続されているHGW112から送られてくるデータを受信した場合に、そのことを判断し、その受信したデータをそのままIP−FAX(受信端末)114へ送信することにより、自己に接続されているIP−FAX114では、外部のIP−FAXからのデータをNGN網110経由でそのまま受信することができる。
【0090】
〔第3実施例〕
次に、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第3実施例について説明する。
図10は、その通信制御の第3実施例を示すフローチャートである。
【0091】
送受信制御装置10は、送信端末101からそのIPアドレスと電話番号が通知されると、図10に示す通信制御をスタートする。
ここで、送信端末(IP−FAX)101は、SIPサーバ102に対して自己のIPアドレスと電話番号を自動で定期的に通知しにいく仕組みを持っている。また、送受信制御装置10は、IPアドレスと電話番号が通知されると、自己に自動で登録する仕組みを持っている。
【0092】
送受信制御装置10は、図10に示す通信制御をスタートすると、まずステップS301で送信端末101からのIPアドレスと電話番号の通知を受け、次のステップS302において、通知を受けた情報(送信端末101のIPアドレスと電話番号)と自己に登録されている(パラメータメモリ13に記憶されている)情報(送信端末101のIPアドレスと電話番号)とに差異があるか否かを判断し、差異がなければ図10の通信制御を終了する。
【0093】
通知を受けた情報と自己に登録されている情報とに差異がある場合には、ステップS303へ進み、ステップS301で通知を受けた情報に基づいて、パラメータメモリ13に記憶されている情報(送信端末101のIPアドレス又は電話番号)を更新する。つまり、通知を受けた情報をパラメータメモリ13に記憶されている情報に上書きして更新する。なお、自己に送信端末101の情報が全く登録されていない場合(初めて接続したとき)は、上記差異があると判断する。
その後、ステップS304へ進み、更新後の情報(送信端末101のIPアドレスと電話番号)をSIPサーバ102へ通知し、図10の通信制御を終了する。
SIPサーバ102は、IPアドレスと電話番号が通知されると、その通知を受けて、その通知を受けた情報を自動で登録をする仕組みがある。
【0094】
このように、送受信制御装置10は、自己に接続しているIP−FAX101のIPアドレスと電話番号とを記憶するパラメータメモリ13を設け、IP−FAX101から通知されるその電話番号とIPアドレスとを受信した場合に、パラメータメモリ13に記憶されているIPアドレス又は電話番号を必要に応じて更新し(受信した電話番号又はIPアドレスと差異があるIPアドレス又は電話番号を更新し)、その更新後の電話番号とIPアドレスとをSIPサーバ102に対して通知することにより、IP−FAX101の電話番号又はIPアドレスが変更になった場合でも、NGN網110経由で外部のIP−FAX114と確実に通信を行うことができる。
【0095】
〔第4実施例〕
次に、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第4実施例について説明する。なお、送受信制御装置10にIP−FAX101以外のIP−FAXも接続可能であるものとする。また、NGN網110を介してIP−FAX114以外のIP−FAXからもデータを受信可能とする。
図11は、その通信制御の第4実施例を示すフローチャートである。
【0096】
送受信制御装置10では、予め受信を拒否する送信端末の一覧情報(受信拒否端末一覧情報)を設定して、パラメータメモリ13に記憶保持することができる。例えば、IP−FAX101(図15の操作表示部15でもよい)から受信拒否端末一覧情報を受信した場合に、それをパラメータメモリ13に記憶保持し、登録しておくことができる。受信拒否端末一覧情報は、各受信を拒否する送信端末をそれぞれ識別するための識別情報であり、この実施形態では、その各送信端末のIPアドレスと電話番号が相当するが、他の識別情報であっても良い。
【0097】
送受信制御装置10は、HGW112から最初に「INVITE」メッセージが通知されると、図11に示す通信制御をスタートし、まずステップS401において、その「INVITE」メッセージを受信する。
次に、ステップS402において、受信した「INVITE」メッセージに含まれている送信元情報が示す送信端末(IP−FAX)114等の送信端末が自己に設定されている受信拒否端末一覧情報が示す送信端末の一覧に含まれているかどうかを判断し、その一覧に含まれていれば送信端末からのデータの受信は行わず、そのままステップS404へ移行する。
【0098】
また、受信した「INVITE」メッセージに含まれている送信元情報が示す送信端末が自己に設定されている受信拒否端末一覧情報が示す送信端末の一覧に含まれていない場合には、ステップS403へ進み、図9のステップS203〜S206と同様の制御を行った後、ステップS404へ進んで通信を終了し、ステップS405において、通信の結果を認識し、その認識結果を通信履歴としてパラメータメモリ13に記憶保存して、図11の通信制御を終了する。
【0099】
このように、送受信制御装置10は、自己に接続されているIP−FAX101から通知される受信を拒否したい相手の識別情報を受信した場合に、その識別情報を登録し、自己に接続されているHGW112からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、そのデータの送信元であるIP−FAX114等のIP−FAXの識別情報を確認し、その識別情報が登録されている識別情報と一致する場合に、HGW112からのデータの受信を拒否することにより、受信を拒否したい相手からのデータのみを確実に拒否することができる。
【0100】
〔第5実施例〕
次に、図2に示した送受信制御装置10による通信制御の第5実施例について説明する。
図12は、その通信制御の第5実施例を示すフローチャートである。
【0101】
送受信制御装置10では、予め送信を禁止する宛先(宛先端末)の一覧情報(送信禁止宛先一覧情報)を設定して、パラメータメモリ13に記憶保存することができる。例えば、IP−FAX101(図15の操作表示部15でもよい)から送信禁止宛先一覧情報を受信した場合に、それをパラメータメモリ13に記憶保持し、登録しておくことができる。送信禁止宛先一覧情報は、各宛先端末をそれぞれ識別するための識別情報であり、この実施形態では、各宛先端末のIPアドレスと電話番号が相当するが、他の識別情報であっても良い。
【0102】
送受信制御装置10は、送信端末101等の送信端末から最初に「INVITE」メッセージが通知されると、図12に示す通信制御をスタートし、まずステップS501において、その「INVITE」メッセージを受信する。
次に、ステップS502において、受信した「INVITE」メッセージに含まれている宛先情報が示す宛先端末(IP−FAX)114等の宛先端末が自己に設定されている送信禁止宛先一覧情報が示す宛先端末の一覧に含まれているかどうかを判断し、その一覧に含まれていれば宛先端末へのデータの送信は行わず、そのままステップS504へ移行する。
【0103】
また、受信した「INVITE」メッセージに含まれている宛先情報が示す宛先端末が自己に設定されている送信禁止宛先一覧情報が示す宛先端末の一覧に含まれていない場合には、ステップS503へ進み、図8のステップS102〜S109,S112〜S115と同様の制御を行った後、ステップS504へ進んで通信を終了し、ステップS505において、通信の結果を認識し、その認識結果を通信履歴としてパラメータメモリ13に記憶保存して、図12の通信制御を終了する。
【0104】
このように、送受信制御装置10は、自己に接続されているIP−FAX101から通知される送信を禁止したい相手の識別情報を受信した場合に、その識別情報を登録し、自己に接続されているIP−FAX101からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、そのデータの送信先であるIP−FAX114等のIP−FAXの識別情報を確認し、その識別情報が登録されている識別情報と一致する場合に、IP−FAX101からのデータの送信を禁止することにより、送信を禁止したい相手へのデータのみを確実に禁止することができる。
【0105】
以上、この発明を、NGN未対応のIP−FAXとHGWとの間に接続でき、そのIP−FAXとそのHGW、NGN網、および宛先側のHGWを介して宛先(外部)のIP−FAXと通信可能な送受信制御装置に適用可能な実施形態について説明したが、この発明はこれに限らず、NGN未対応のIP−FAX機能を有するデジタル複合機等の他の通信端末とHGW等のネットワーク通信制御装置との間に接続でき、その通信端末とそのネットワーク通信制御装置、NGN網等の次世代ネットワーク、および宛先側のネットワーク通信制御装置を介して宛先のIP−FAX等の通信端末と通信可能な送受信制御装置に適用可能である。
【0106】
〔この発明に関わるプログラム〕
このプログラムは、送受信制御装置を制御するコンピュータ(CPU)に、この発明に関わる要求判別手段、第1のセッション接続手段、音声データ破棄手段、第2のセッション接続手段、第3のセッション接続手段、データ受信手段、データ送信手段、受信元検知手段、更新手段、通知手段、登録手段、確認手段、受信拒否手段、送信禁止手段,第4のセッション接続手段、および認識手段としての機能を実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをCPUに実行させることにより、上述したような作用効果を得ることができる。
【0107】
このような印刷制御プログラムは、はじめから送受信制御装置に備えるROM、あるいは不揮発性メモリ(フラッシュROM,EEPROM等)、あるいはHDD(ハードディスク装置)などの記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROM、あるいはメモリカード,フレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAM等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムを送受信制御装置にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそれらの記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、印刷制御プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいは印刷制御プログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、送受信制御装置が、NGN網のような複数の異なるネットワークを統合した次世代ネットワークに未対応の通信端末であっても、次世代ネットワークに接続することができる。したがって、次世代ネットワークに未対応の通信端末であっても、次世代ネットワークに接続可能な送受信制御装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0109】
10:送受信制御装置 11:システム制御部 12:システムメモリ
13:パラメータメモリ 14:時計回路 15:操作表示部
16:T.38符号化復号化部 17:呼接続メッセージ符号化復号化部
18:磁気ディスク装置 19:ネットワーク通信制御部
101,114:IP−FAX 102:SIPサーバ
112,113:HGW(ホームゲートウェイ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2006−229394号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と通信する第1の通信手段と、次世代ネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置と通信する第2の通信手段とを有し、前記第1,第2の通信手段を用いてデータの送受信を制御する送受信制御装置であって、
前記通信端末からセッション確立要求を受信した場合に、該セッション確立要求の内容を判別する要求判別手段と、
該要求判別手段による判別の結果、前記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、前記通信端末との間に前記音声通信用のセッションを確立させる第1のセッション接続手段と、
該第1のセッション接続手段によって前記音声通信用のセッションが確立され、該音声通信が終了した後、前記音声データを破棄する音声データ破棄手段と、
該音声データ破棄手段によって前記音声データが破棄された後、ITU−T勧告T.38通信用のデータを送信するための該T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を前記ネットワーク通信制御装置に対して発行して、該ネットワーク通信制御装置との間に前記T.38通信用のセッションを確立させる第2のセッション接続手段と、
前記音声データ破棄手段によって前記音声データが破棄された後、前記T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を前記通信端末に対して発行して、該通信端末との間に前記T.38通信用のセッションを確立させる第3のセッション接続手段と、
該第3のセッション接続手段によって前記T.38通信用のセッションが確立された場合に、前記通信端末から送られてくる前記T.38通信用のデータを受信するデータ受信手段と、
前記第2のセッション接続手段によって前記T.38通信用のセッションが確立され、且つ前記データ受信手段によって前記T.38通信用のデータを受信した場合に、該データを前記ネットワーク通信制御装置へ送信するデータ送信手段とを設けたことを特徴とする送受信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送受信制御装置において、
前記データ受信手段によって前記ネットワーク通信制御装置から送られてくるデータを受信した場合に、該ネットワーク通信制御装置からデータを受信したことを判断する受信元判断手段を設け、
前記データ送信手段は、前記受信元検知手段によって前記ネットワーク通信制御装置からデータを受信したことが判断された場合に、該受信したデータをそのまま前記通信端末へ送信することを特徴とする送受信制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送受信制御装置において、
前記第2の通信手段は、SIPを利用し、電話番号とIPアドレスとを対応付けた情報を記憶する制御、および該情報に基づいて通信の制御を行うSIPサーバとも通信する手段であり、
前記通信端末の電話番号とIPアドレスとを記憶する記憶手段と、
前記データ受信手段によって前記通信端末から通知される該通信端末の電話番号とIPアドレスとを受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている電話番号又はIPアドレスを必要に応じて更新する更新手段と、
該更新手段による更新後の電話番号とIPアドレスとを前記SIPサーバに対して通知する通知手段とを設けたことを特徴とする送受信制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の送受信制御装置において、
前記データ受信手段によって前記通信端末から通知される受信を拒否したい相手の識別情報を受信した場合に、該識別情報を登録する登録手段と、
前記データ受信手段によって前記ネットワーク通信制御装置からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、該データの送信元の識別情報を確認する確認手段と、
該確認手段によって確認した前記送信元の識別情報が前記登録手段によって登録されている識別情報と一致する場合に、前記ネットワーク通信制御装置からのデータの受信を拒否する受信拒否手段とを設けたことを特徴とする送受信制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の送受信制御装置において、
前記データ受信手段によって前記通信端末から通知される送信を禁止したい相手の識別情報を受信した場合に、該識別情報を登録する登録手段と、
前記データ受信手段によって前記通信端末からデータを送信するためのセッションの確立を要求するセッション確立要求を受信した場合に、該データの送信先の識別情報を確認する確認手段と、
該確認手段によって確認した前記送信先の識別情報が前記登録手段によって登録されている識別情報と一致する場合に、前記通信端末からのデータの送信を禁止する送信禁止手段とを設けたことを特徴とする送受信制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の送受信制御装置において、
前記要求判別手段による判別の結果、前記セッション確立要求が宛先に向けて前記音声データ以外のデータを送信するためのセッションの確立を要求するものである場合に、前記通信端末との間および前記ネットワーク通信制御装置との間にそれぞれ要求されたセッションを確立させる第4のセッション接続手段を設け、
前記データ受信手段は、前記第4のセッション接続手段によって要求されたセッションが確立され、且つ前記データ受信手段によってデータを受信した場合に、該データを前記ネットワーク通信制御装置へ送信することを特徴とする送受信制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の送受信制御装置において、
前記データ受信手段によるデータの受信および前記データ送信手段によるデータの送信の結果を認識する認識手段と、
該認識手段による認識結果を記憶する記憶手段とを設けたことを特徴とする送受信制御装置。
【請求項8】
通信端末と通信する第1の通信手段と、複数の異なるネットワークとの間の通信を制御するネットワーク通信制御装置と通信する第2の通信手段とを有し、前記第1,第2の通信手段との間のデータの送受信を制御する送受信制御装置における制御方法であって、
前記通信端末からセッション確立要求を受信した場合に、該セッション確立要求の内容を判別する要求判別工程と、
該要求判別手段による判別の結果、前記セッション確立要求が宛先に向けて音声データを送信するための音声通信用のセッションの確立を要求するものである場合に、前記通信端末との間に前記音声通信用のセッションを確立させる第1のセッション接続工程と、
該第1のセッション接続工程によって前記音声通信用のセッションが確立され、該音声通信が終了した後、前記音声データを破棄する音声データ破棄工程と、
該音声データ破棄工程によって前記音声データが破棄された後、ITU−T勧告T.38通信用のデータを送信するための該T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を前記ネットワーク通信制御装置に対して発行して、該ネットワーク通信制御装置との間に前記T.38通信用のセッションを確立させる第2のセッション接続工程と、
前記音声データ破棄工程によって前記音声データが破棄された後、前記T.38通信用のセッションの確立を要求するセッション確立要求を前記通信端末に対して発行して、該通信端末との間に前記T.38通信用のセッションを確立させる第3のセッション接続工程と、
該第3のセッション接続工程によって前記T.38通信用のセッションが確立された場合に、前記通信端末から送られてくる前記T.38通信用のデータを受信するデータ受信工程と、
前記第2のセッション接続工程によって前記T.38通信用のセッションが確立され、且つ前記データ受信工程によって前記T.38通信用のデータを受信した場合に、該データを前記ネットワーク通信制御装置へ送信するデータ送信工程とを有することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−100138(P2012−100138A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247279(P2010−247279)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】