説明

透明導電性フイルム、透明導電性フイルムの製造方法、透明電極フイルム、色素増感太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子及び電子ペーパー

【課題】光透過性が高く、且つ、表面抵抗率が低い可撓性に優れた透明導電性フイルムを提供する。
【解決手段】透明性の支持体12と、該支持体12上に設けられ、且つ、導電性金属からなる細線構造部14及び透光性の導電膜16とを有する。細線構造部14は、その断面形状が略台形状となるように形成されている。細線構造部14の側面と上面とのなす角θの好適な範囲は、θ>100度が好ましく、θ>120度がさらに好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性が高く、且つ、表面抵抗率が低い可撓性に優れた透明導電性フイルム及びその製造方法と、前記透明導電性フイルムを利用した透明電極フイルム、色素増感太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子及び電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、液晶ディスプレイや有機、無機のエレクトロルミネッセンス素子、電子ペーパー等には、光を取り出す側の電極として、透明導電性層を有するフイルムやガラス基板が用いられる(例えば特許文献1〜4参照)。
【0003】
これらの透明導電性層は、インジウム及び錫の酸化物や亜鉛の酸化物、錫の酸化物等を用いて形成されているものが一般的だが、低抵抗を得るためには、厚く均一な膜を形成しなければならず、その結果、光透過率の減少、コストの高価格化、形成プロセスにおいて高温処理が必要になる等の問題があり、特に、フイルム上での低抵抗化には、限界があった。
【0004】
その改善策としては、透明電極層に金属線等の導電性成分を付加する提案(特許文献2)や、透明電極層(透明陽極基板)に導電性金属のバスラインを設ける方法(特許文献1及び3)、あるいは透明電極層(上部電極)上に網目模様の金属線構造を設ける方法(特許文献5)が提案されている。
【0005】
ITO(Indium Tin Oxide)膜等の導電性金属、透明電極層を蒸着したりスパッタしたりすることで導電性を付与すること(例えば特許文献1及び2参照)は、生産性が低い点でも改善が求められている。また、バスラインを設けることはそれ自体の工程が増えるためにコストが上がる。
【0006】
そのほか、特許文献5ではITO膜を蒸着して導電性を高めているが、材料としてのITO膜は、資源枯渇の懸念があるので代替が求められていることや、また、蒸着工程ではロスが多くなることが弱点である。ITO膜等の導電性金属を蒸着したりスパッタしたりする導電性膜の付与(例えば特許文献2参照)は生産性が低い点でも改善が求められている。
【0007】
さらに、特許文献6には、真性伝導性重合体及びその中に不均一に分布した伝導性金属を含んでおり、それ自身で伝導体を形成する実質的に透明な伝導層を支持体上に製造する方法であって、該不均一に分布した伝導性金属を写真処理によって製造する方法が開示されている。しかしながら、高い光透過率と低い表面抵抗が両立する透明導電性フイルムを抵コストで大量に製造する目的には、なお不十分であった。
【0008】
また、色素増感太陽電池においては、電気取出し抵抗の低下のために設けた網目模様の金属線構造や金属バスラインは電解質液に腐食されやすいという問題がある。このため、特許文献7では、金属細線網目の開口部に透明樹脂膜を塗布して埋めて表面を平らにした上で、金属細線及び開口部の上に金属酸化物の透明導電層をスパッタリングで設ける提案がされている。しかしながら、金属酸化物層は曲げると亀裂を発生しやすく、特許文献7の方法を用いてもフレキシブルな太陽電池の製作には使用できなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平8−180974号公報
【特許文献2】特開平9−147639号公報
【特許文献3】特開平10−162961号公報
【特許文献4】特開平11−224782号公報
【特許文献5】特開2005−302508号公報
【特許文献6】特表2006―501604号公報
【特許文献7】特開2005−332705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
【0011】
すなわち、透過率が高く、表面抵抗率が低く、耐薬品性に優れ、可撓性の優れた、安価な透明導電性フイルム及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、光透過性が高く、且つ、表面抵抗率が低く、さらに可撓性に優れた透明導電性フイルムを利用した透明電極フイルム、色素増感太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子及び電子ペーパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題は本発明を特定する下記の事項及びその好ましい態様により達成された。
【0014】
[1] 第1の本発明に係る透明導電性フイルムは、支持体と、該支持体上に設けられ、且つ、導電性金属を含有する細線構造部及び透光性の導電膜とを有する透明導電性フイルムにおいて、前記細線構造部は断面形状が略台形状となるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
[2] 第1の本発明において、前記導電膜が導電性微粒子を含有することを特徴とする。
【0016】
[3] 第1の本発明において、前記導電膜が2層以上の層で構成され、その少なくとも1層が導電性微粒子を含有することを特徴とする。
【0017】
[4] 第1の本発明において、前記導電性微粒子がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
【0018】
[5] 第1の本発明において、前記細線構造部がない場合の透明導電性塗布膜単独の表面抵抗が、102オーム/sq〜108オーム/sqであり、前記透明導電性フイルムの表面抵抗が0.02オーム/sq以上1000オーム/sq以下であることを特徴とする。
【0019】
[6] 第1の本発明において、前記細線構造部の厚み(高さ)が、5μm以下であることを特徴とする。
【0020】
[7] 第1の本発明において、前記細線構造部の厚み(高さ)が、2μm以下であることを特徴とする。
【0021】
[8] 第1の本発明において、前記細線構造部の厚み(高さ)が、前記導電膜と実質的に同じであることを特徴とする。
【0022】
[9] 第1の本発明において、前記透明導電性フイルムの光の透過率が、550nmの光に対して70%以上であることを特徴とする。
【0023】
[10] 第1の本発明において、前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキを用いて形成されることを特徴とする。
【0024】
[11] 第1の本発明において、前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキをインクジェット法を用いて所望のパターンに形成されて構成されていることを特徴とする。
【0025】
[12] 第1の本発明において、前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキをスクリーン印刷・グラビア印刷法を用いて所望のパターンに形成されて構成されていることを特徴とする。
【0026】
[13] 第1の本発明において、前記細線構造部が、前記支持体上に少なくとも感光性銀塩含有層を有する感光層を露光し、現像処理することにより形成された導電性金属銀からなることを特徴とする。
【0027】
[14] 第1の本発明において、前記細線構造部が、前記支持体上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光・現像することにより導電性金属銀部と光透過性部が形成されて構成されていることを特徴とする。
【0028】
[15] 第1の本発明において、前記細線構造部の導電性金属部が銀を含有し、Ag/バインダ体積比が1/4以上であることを特徴とする。
【0029】
[16] 第1の本発明において、前記光透過性部が実質的に物理現像核を有しないことを特徴とする。
【0030】
[17] 第1の本発明において、前記細線構造部は、前記支持体上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光し、現像した後で、定着する前に少なくとも1度圧密処理を行い、定着終了後にさらに少なくとも1度圧密処理を行って得られることを特徴とする。
【0031】
[18] 第1の本発明において、前記圧密処理が、露光済みの感光層に対して現像、水洗、乾燥後に行われ、さらに、定着、水洗、乾燥後に行われることを特徴とする。
【0032】
[19] 第1の本発明において、前記細線構造部は、前記現像と乾燥の間に物理現像、電解めっき及び無電解めっきの少なくとも1つを行って得られることを特徴とする。
【0033】
[20] 第1の本発明において、前記圧密処理がカレンダーロール装置によって行われることを特徴とする。
【0034】
[21] 第1の本発明において、前記導電膜が前記細線構造部の上面に設けられていることを特徴とする。
【0035】
[22] 第2の本発明に係る透明導電性フイルムの製造方法は、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀含有層を含む写真構成層を有する感光材料を露光し、現像することにより、細線構造部を形成させて、該細線構造部とカーボンナノチューブを含有する透明導電性膜とを組み合わせることを特徴とする。
【0036】
[23] 第3の本発明に係る透明導電性フイルムの製造方法は、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀含有層を含む写真構成層を設ける工程と、前記写真構成層の少なくとも1層がカーボンナノチューブを含有する層である感光材料を露光し、現像することにより、該カーボンナノチューブを含有する透明導電性膜と金属銀部と光透過性部からなる細線構造部を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0037】
[24] 第4の本発明に係る透明電極フイルムは、上述した第1の本発明に係る透明導電性フイルムを有することを特徴とする。
【0038】
[25] 第5の本発明に係る色素増感太陽電池は、上述した第1の本発明に係る透明導電性フイルムを有することを特徴とする。
【0039】
[26] 第6の本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子は、上述した第1の本発明に係る透明導電性フイルムを有することを特徴とする。
【0040】
[27] 第7の本発明に係る電子ペーパーは、上述した第1の本発明に係る透明導電性フイルムを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明に係る透明導電性フイルムによれば、光透過率が高く、表面抵抗率が低く、耐薬品性に優れ、可撓性の優れた、安価な透明導電性フイルムを提供することができる。ここで言うフイルムとは、透明フイルム上に透明導電性膜を形成したものを指すが、本発明は、プロセスが簡便であることから、ガラス基板等のリジッドな基板に適用してもその効果は期待できる。
【0042】
また、本発明に係る透明導電性フイルムは、光透過性が高く、且つ、表面抵抗率が低く、可撓性に優れるため、大面積のエレクトロルミネッセンス素子の低電圧化、高耐久化、面内輝度均一化や、太陽電池等の電力取り出し効率の改良、さらに電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイの低電圧・低消費電力化のために好ましく用いることができる。
【0043】
また、圧密処理した導電性金属部を有する細線構造部と、透明導電性膜とを有することを特徴とする本発明は、高い透過率と低い表面抵抗率とが両立する透明導電性フイルムを提供することが可能となる。さらに、上記の透明導電性フイルムを低コストで大量に製造できる製造方法を提供することができる。本発明では、透明導電性材料などを透明導電性膜に用いたことによって上記安価な生産性を実現できている。
【0044】
本発明の透明導電性フイルムは、導電性膜と細線構造部との協同によって表面抵抗が低く、塗膜も安価であるので、無機EL、有機EL、電子ペーパー、太陽電池などに利用することができる。
【0045】
また、太陽電池の電極に用いるとき、低抵抗の金属線部が直接電解質液と接触しないため、金属線の腐食が起こりにくいという特徴がある。いずれの製品に適用する場合でも、本発明に係る透明導電性フイルムは、可撓性が優れているためにロールトゥロールの生産が可能であり、これらの製品の生産プロセスコストを大幅に削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に本発明の好ましい態様を記載する。
【0047】
本発明の透明導電性フイルムの第1の特徴は、導電性金属部と光透過性開口部からなる細線構造部を有していることにある。細線構造部は圧密処理によって導電性を上げることが好ましい。第2の特徴は、金属細線及び金属細線に囲まれた開口部を非腐食性透明導電膜が覆っていることである。金属細線構造部と非腐食性透明導電膜を併せ有することによって、透明性を損なうことなく通電抵抗を効果的に低減でき、且つ、金属細線の腐食を防止することができる。
【0048】
先ず、本実施の形態に係る透明導電性フイルム10は、図1に示すように、透明性の支持体12と、該支持体12上に設けられ、且つ、導電性金属からなる細線構造部14及び透光性の導電膜16とを有する。
【0049】
細線構造部14の細線パターンとしては、メッシュ状にしてもよいし、あるいは六角形状を多数並べた形状、三角形状を多数並べた形状、多角形状を多数並べた形状、ストライプ状(格子状)等が挙げられる。もちろん、各細線を直線状のほか波線状(サイン曲線等)にしてもよい。
【0050】
そして、本実施の形態に係る透明導電性フイルムは、図1に示すように、細線構造部の断面形状が略台形状となるように形成されている。細線構造部の側面と上面とのなす角θの好適な範囲は、θ>100度が好ましく、θ>120度がさらに好ましい。
【0051】
このように、本実施の形態に係る透明導電性フイルムにおいては、光透過率が高く、表面抵抗率が低く、耐薬品性に優れ、可撓性の優れた、安価な透明導電性フイルムを提供することができる。ここで言うフイルムとは、透明フイルム上に透明導電性膜を形成したものを指すが、本発明は、プロセスが簡便であることから、ガラス基板等のリジッドな基板に適用してもその効果は期待できる。
【0052】
また、本発明に係る透明導電性フイルムは、光透過性が高く、且つ、表面抵抗率が低く、可撓性に優れるため、大面積のエレクトロルミネッセンス素子の低電圧化、高耐久化、面内輝度均一化や、太陽電池等の電力取り出し効率の改良、さらに電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイの低電圧・低消費電力化のために好ましく用いることができる。
【0053】
特に、本実施の形態では、細線構造部の断面形状が略台形状となるよう形成されていることから、細線構造部上の導電膜の膜厚が一定以上の厚さで形成される。細線構造部が矩形に形成されている場合には、細線構造部の角の部分では導電膜の膜厚が薄くなってしまうが、本実施の形態の透明導電性フイルムではそのようなことが防止できる。従って、本実施の形態の透明導電性フイルムを太陽電池などに使用した場合でも電解質溶液と細線構造部との距離が一定の範囲で保たれ、電解質溶液に細線構造部が晒されることがないため、細線構造部の腐食を防止することができる。
【0054】
特に、後述するが細線構造部14を圧密処理することによって、高い透過率と低い表面抵抗とが両立する透明導電性フイルム10を提供することが可能となる。しかも、このような効果を有する透明導電性フイルム10を低コストで大量に製造することができる。本実施の形態では、透明導電性材料等を導電膜に用いたことによって透明導電性フイルムの量産化を実現することができる。
【0055】
また、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイにも低抵抗の電極として用いることができ、この場合、低電圧、低消費電力化に貢献することができる。いずれの製品に適用する場合でも、本実施の形態に係る透明導電性フイルム10は、可撓性が優れているため、ロールトゥロールの生産が可能であり、これらの製品の生産プロセスコストを大幅に削減することができる。
【0056】
その他の好ましい態様としては、以下のとおりである。
【0057】
先ず、本実施の形態に係る透明導電性フイルム10の導電膜16は、導電性微粒子を含むことが好ましい。導電性微粒子としてカーボンナノチューブを用いることが好ましい。導電膜16が2層以上の層で構成されている場合は、その少なくとも1層が導電性微粒子を含有することが好ましい。
【0058】
また、細線構造部14がない場合の透明導電性塗布膜単独の表面抵抗が、102オーム/sq〜108オーム/sqであり、透明導電性フイルム10の表面抵抗が0.02オーム/sq以上1000オーム/sq以下である。
【0059】
細線構造部14の厚み(高さ)は、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。細線構造部14の厚み(高さ)が、導電膜16と実質的に同じであることが好ましい。
【0060】
透明導電性フイルムの光の透過率が、550nmの光に対して70%以上であることが好ましい。
【0061】
細線構造部14は、導電性銀ペーストや導電性インキを用いて形成することができる。あるいは、導電性銀ペーストや導電性インキをインクジェット法を用いて所望のパターンに形成して構成することができる。あるいは、導電性銀ペーストや導電性インキをスクリーン印刷・グラビア印刷法を用いて所望のパターンに形成して構成することができる。
【0062】
本実施の形態では、細線構造部14は、支持体12上に少なくとも感光性銀塩含有層を有する感光層を露光し、現像処理することにより形成された導電性金属銀からなるようにしてもよい。この場合、細線構造部14は、支持体12上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光・現像することにより、導電性金属銀部と光透過性部が形成されるようにしてもよい。なお、光透過性部は、実質的に物理現像核を有しないようにしてもよい。また、細線構造部14は、銀を含有し、且つ、Ag/バインダ体積比が1/4以上であることが好ましい。
【0063】
特に、細線構造部14の断面形状を略台形状にするには、例えばハロゲン化銀含有層を複数形成し、それぞれの層で感度を変化させる。すなわち、一番下の層では感度の高いものを使用し、一番上の層では感度の低いものを使用する。これにより、一番下の層では感度が高いことから感光面積が大きく、一番上の層では感度が低いことから感光面積が小さくなり、所望の台形状を形成することができる。
【0064】
そして、細線構造部14は、支持体12上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光し、現像した後で、定着する前に少なくとも1度圧密処理を行い、定着終了後にさらに少なくとも1度圧密処理を行って得られることが好ましい。この場合、圧密処理は、露光済み感光層に対して現像、水洗、乾燥後に行い、さらに、定着、水洗、乾燥後に行うことが好ましい。圧密処理はカレンダーロール装置によって行うことができる。
【0065】
さらに、細線構造部14は、現像と乾燥の間に物理現像、電解めっき及び無電解めっきの少なくとも1つを行って得ることが好ましい。
【0066】
次に、本実施の形態に係る透明導電性フイルム10の具体的構成例について説明する。
【0067】
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0068】
[圧密化処理]
圧密処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールからなる。カレンダ処理に用いられるロールとして、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂などのなどのプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面乳剤塗布する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。線圧力は、好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。ここで、線圧力とは圧密処理されるフイルム試料1cmあたりにかかる力とする。
【0069】
[導電性細線構造部]
本発明は、このような透明導電膜に加えて、一様な網目状、櫛型あるいはグリッド型等の金属及び/又は合金の細線構造部を配置し、圧密処理した導電性面を作成して通電性を改善する。EL素子に用いた場合に輝度を向上させる観点から、本発明の透明導電性フイルムの導電性面の表面抵抗率は0.05オーム/sq以上1000オーム/sq以下であることが好ましく、0.05オーム/sq以上100オーム/sq以下であることがより好ましい。このとき、透明導電性フイルム単独の表面抵抗率は、光の透過率を低くしないために、102オーム/sq〜108オーム/sqの範囲内であることがより好ましい。透明導電性フイルム10及び導電膜16の表面抵抗率は、JIS K6911に記載の測定方法に準じて測定された値である。
【0070】
金属や合金の細線の材料としては、銅や銀、アルミニウムが好ましく用いられるが、目的によっては、前述の透明導電性材料を用いてもよい。電気伝導性と熱伝導性が高い材料であることが好ましい。この金属や合金の細線の幅は、任意であるが、5μmから1000μmの間が好ましく、10μmから200μmがさらに好ましく、20μmから100μmが特に好ましい。金属や合金の細線は、100μmから10mmの間隔で配置されていることが好ましく、0.5mmから4mm間隔で配置されていることがさらに好ましい。金属及び/又は合金の細線構造部を配置することで、光の透過率が減少するが、減少はできるだけ小さいことが重要で、細線の間隔を狭くしすぎたり、細線幅や高さを大きく取りすぎたりすることなく、好ましくは70%以上の光の透過率を確保することが、重要である。本発明においては、透明導電性フイルムの光の透過率が、550nmの光に対して70%以上であることが好ましく、80%であることがより好ましい。さらには、90%以上であることが最も好ましい。
【0071】
本発明の透明導電性フイルムをEL素子に用いる場合に、輝度を向上させるため、また白色発光を実現する上で、波長420nm〜650nmの領域の光を70%以上透過することが好ましく、より好ましくは80%以上透過することが好ましい。さらには白色発光を実現する上では、波長380nm〜680nmの領域の光を80%以上透過することがより好ましい。90%以上であることが最も好ましい。透明導電性フイルムの光の透過率は、分光光度計によって測定することができる。
【0072】
金属及び/又は合金の細線構造部の高さ(厚み)は、0.1μm以上5μm以下が、好ましい。特に好ましくは、0.1μm以上2μm以下である。さらには0.1μm以上1μm以下が最も好ましい。金属及び/又は合金の細線構造部は支持体フイルムと非腐食性透明導電膜の間にあることが好ましい。細線構造部の突起部と開口部の高低差が、5μm以下であることが好ましい。さらには実質的に高低差が無いのが最も好ましい。
【0073】
ここで、導電性面の高さは、3次元表面粗さ計(例えば、東京精密社製;SURFCOM575A−3DF)を用いて5mm四方を測定したときの凹凸部の平均振幅を示す。表面粗さ計の分解能の及ばないものについては、STMや電子顕微鏡による測定によって高さを求める。
【0074】
以下の本発明の詳細説明は、本発明の特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる細線構造部の作製方法を中心にして述べる。
【0075】
[銀塩感光材料を用いた細線構造部形成方法]
(細線構造部形成用銀塩感光材料)
本発明の細線構造部は、支持体上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって露光部及び未露光部に対応して又は逆対応して、金属銀部及び光透過性部を形成し、さらに前記金属銀部に物理現像及び圧密処理を施すことによって前記金属銀部に導電性金属を担持させることで製造することができる。物理現像は必須でないが、好ましい態様である。
【0076】
本発明の細線構造部の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
【0077】
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
【0078】
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
【0079】
物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0080】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透明導電性フイルムの細線構造部が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
【0081】
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透明導電性フイルムの細線構造部が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
【0082】
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透明導電性フイルムの細線構造部が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0083】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0084】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は、液処理に係る発明であるが、その他、現像方式として熱現像方式を適用する技術にも参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報、特願2004−244080号明細書、同2004−085655明細書が適用できる。
【0085】
また、圧密処理は現像後、定着前に少なくとも1度行われ、且つ、定着後に少なくとも1度行われることが好ましい。さらに具体的には、圧密処理は現像、水洗、乾燥、圧密処理、定着、水洗、乾燥、圧密処理の順に行われることが好ましい。現像処理において物理現像が行われるときには、物理現像後に圧密処理が行われるのが好ましい。
【0086】
〈感光材料〉
[支持体]
本発明の製造方法に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、及びガラス板などを用いることができる。
【0087】
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
【0088】
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、上記プラスチックフイルムはポリエチレンテレフタレートフイルム(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であることが好ましい。
【0089】
透明導電性フイルムは透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフイルム又はプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフイルム及びプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0090】
本発明におけるプラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。
【0091】
また、耐光性向上のために紫外線吸収剤を練り込んだフイルムや、バリア層を付与したり、反射防止層やハードコート層を付与したものを用いてもよい。
【0092】
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用導電性フイルムの用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、且つ、端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
【0093】
[保護層]
用いられる感光材料は、後述する乳剤層上に保護層を設けていてもよい。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層に形成される。上記保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方が好ましい。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
【0094】
[乳剤層]
本発明の製造方法に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサとして銀塩を含む乳剤層(銀塩含有層)を有することが好ましい。本発明における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて、染料、バインダ、現像抑制剤、溶媒、導電性材料等を含有することができる。
【0095】
乳剤層を2層以上の多層構成とし、各乳剤層に含まれる現像抑制剤の種類や量を調整し、露光・現像して細線を形成したときに最外層の細線が最も細くなり、順次支持体側に近くなるに従い細線の幅が大きくなるようにしてもよい。このようにすれば金属細線の上に塗布する非腐食性透明導電膜が金属細線のエッジ部もきれいに覆うように塗布できるため好ましい。
【0096】
<バインダ>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダを用いることができる。本発明において上記バインダとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0097】
上記バインダとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0098】
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0099】
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダ等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0100】
[露光]
本発明の製造方法では、支持体上に設けられた銀塩含有層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0101】
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザ光を用いた装置に比べて、簡便で且つコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。発光体としては、例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
【0102】
また本発明の製造方法では、露光を種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザ、発光ダイオード、半導体レーザ、半導体レーザ又は半導体レーザを励起光源に用いた固体レーザと非線形光学結晶とを組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2レーザ等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザ、半導体レーザあるいは固体レーザと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザを用いて行うことが好ましい。
【0103】
レーザ光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザ(2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザ(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザ、波長約685nmの赤色半導体レーザ(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザ(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
【0104】
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティ露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0105】
[現像処理]
本発明の製造方法では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が施される。上記現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。
【0106】
市販品としては、例えば、富士フイルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトールや、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、Dsd−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。
【0107】
本発明の好ましい態様では、上記の露光及び現像処理を行うことにより露光部にパターン状の金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
【0108】
本発明の製造方法における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明の製造方法において定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0109】
現像処理で用いられる現像液には、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。上記画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合は、特にポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
【0110】
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得やすいため好ましい。
【0111】
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
【0112】
[酸化処理]
本発明の製造方法では、現像処理後の金属銀部は、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0113】
上記酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後に行うことができる。
【0114】
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により金属銀部の黒色が経時変化することを抑制できる。
【0115】
[平滑化処理]
本発明の製造方法では、現像処理済みの金属銀部(全面金属銀部、金属メッシュ状パターン部又は金属配線パターン部)に平滑化処理を施す。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。さらに、金属銀部と光透過性部の面積を好適に設計することで、高い導電性と高い透光性とを同時に有する透明導電性フイルムが得られる。
【0116】
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダ処理と記す。
【0117】
カレンダ処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)。以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
【0118】
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダ種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0119】
以上に述べたように本発明の製造方法によって、高い導電性を有する導電膜を簡便で低コストで製造することができる。
【0120】
[めっき処理]
本発明においては、上記平滑化処理を行えばよいが、金属銀部に対してめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。平滑化処理は、めっき処理の前段又は後段のいずれで行ってもよいが、めっき処理の前段で行うことで、めっき処理が効率化され均一なめっき層が形成される。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
【0121】
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本発明と下記公報に開示の技術を組合わせて使用することができる。特開2004−221564号、特開2004−221565号、特開2006−012935号、特開2006−010795号、特開2006−228469号、特開2006−228473号、特開2006−228478号、特開2006−228480号、特開2006−228836号、特開2006−267627号、特開2006−269795号、特開2006−267635号、特開2006−286410号、特開2006−283133号、特開2006−283137号。
【0122】
[非腐食性透明導電性膜]
本発明の透明導電性フイルムは、前記金属細線及び金属細線で囲まれた開口部上に透明で導電性があり、且つ、曲げても亀裂が入りにくい保護膜を塗布、印刷等の方法で一様に付着、成膜することで得られる。該導電性保護膜としてはPEDOT/PSS・ポリアニリン・ポリピロール・ポリチオフェン・ポリイソチアナフテンなどの透明導電性有機ポリマー膜、あるいは導電性微粒子が分散されたポリマー膜などからなる非腐食性導電性膜であることが好ましい。導電性微粒子の代表的な事例としてはカーボンナノチューブがあげられる。導電性微粒子分散膜は分散媒ポリマーの選択や導電性微粒子の分散濃度を調整することによって、導電性膜の電気物性、光学物性、機械物性、化学物性などを様々に調整できるので特に好ましい。塗布及び印刷の方法としては、スライドコータ、スロットダイコータ、カーテンコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータなどの塗布コータやスクリーン印刷等既知の方法が用いられる。非腐食性透明導電膜は単層であっても2層以上の積層構造であってもよい。
【0123】
導電性微粒子は、細くて長いものが、少ない量で高い導電性が発現するため好ましい。導電性微粒子の含有量が少ないと透明性も高く保てるためさらに好ましい。導電性微粒子の好ましい太さは1nmから100nmである。太さが70nm以下であるとほとんで目に見えないのでさらに好ましい。5nm以上であると電気抵抗がより小さくなって電気伝導性が得られやすくより好ましい。特に好ましくは10nmから50nmである。導電性微粒子の好ましいアスペクト比は10以上であり、さらに好ましくは30以上2000以下である。カーボンナノチューブには多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)及び単層カーボンナノチューブ(SWNT)が知られている。そのいずれも本発明には使用できるが、本発明では特にSWNTが好ましい。
【0124】
非腐食性透明導電膜中の導電性微粒子はポリマーマトリックス中に分散されていることが好ましい。均一に分散されていると少量の導電性微粒子でも必要な導電性は得られる。非腐食性透明導電膜に使用できるポリマーには特に制限はなく、溶媒に溶解し導電性微粒子を凝集せずに分散できればよい。具体的にはポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロースエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリブタジエンやポリスチレンの如きビニル系樹脂、ポリアクリルエステル系及びポリメタクリル系樹脂などがある。またエポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、アクリルエステル系などのモノマーあるいはオリゴマーに導電性微粒子を分散し塗布して熱や光で重合させてもよい。また水分散したポリマーラテックス液中に導電性微粒子を分散し、塗布乾燥し、ポリマーのガラス転移温度以上の熱をかけて皮膜にする方法も使用できる。
【0125】
金属細線の腐食を防ぐための非腐食性透明導電膜の好ましい厚さは0.2〜50μmである。高い腐食防止機能と工程適性を勘案すると0.5〜30μmがさらに好ましく、1〜15μmが特に好ましい。非腐食性透明導電膜中の導電性微粒子の好ましい濃度は0.01〜1重量%である。より好ましい範囲は0.04〜0.4%であり、0.08〜0.25%が最も好ましい。非腐食性透明導電膜中に含まれる導電性微粒子の好ましい量は0.05〜1000mg/m2である。導電性微粒子の量が多いほど導電性はよくなるが、光透過率が低下する。より好ましくは0.5〜300mg/m2であり、4〜100mg/m2が特に好ましい。
【実施例1】
【0126】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0127】
1.細線構造部担持支持体の作製
(乳剤の調整)
・1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
【0128】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20%水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0129】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0130】
・4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0131】
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2×103kg/m3、粘度=60mPa・sとなった。
【0132】
(塗布試料の作製)
上記乳剤に増感色素(sd−1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd−3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、良く混合した。
【0133】
次いで、1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩を90mg/m2、ゼラチンに対して15wt%の粒径10μmのコロイダルシリカ、水性ラテックス(aqL−6)を50mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックスを100mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(重量比88:5:7)を100mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(重量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(重量比84/16)、コア/シェル比=50/50)を100mg/m2、ゼラチンに対し4wt%の化合物(Cpd−7)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液をポリエチレンテレフタレート(PET)上にAg10.5g/m2、ゼラチン0.94g/m2になるように塗布し、その後乾燥させた。PETにはあらかじめ塗布面を親水化処理したものを用いた。
【0134】
【化1】

【0135】
得られた塗布試料は、乳剤層のAg/バインダ体積比率が1/0.7であり、本発明の導電性膜形成用感光材料に好ましく用いられるAg/バインダ比率1/4以上に該当している。
【0136】
(露光・現像処理)
次いで、乾燥させた塗布膜にライン/スペース=10μm/300μmの現像銀像を与え得る格子状のフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0137】
(現像液の組成)
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
【0138】
ハイドロキノン 0.037モル/L
N−メチルアミノフェノール 0.016モル/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140モル/L
水酸化ナトリウム 0.360モル/L
臭化ナトリウム 0.031モル/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187モル/L
【0139】
(定着液の組成)
定着液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
【0140】
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8g
酢酸 5g
アンモニア水(27%) 1g
pH 6.2に調整
【0141】
上記処理剤を用いて露光、現像済み感材を、現像25℃、20秒、定着25℃、20秒、水洗:流水(5L/min)の20秒で処理し、且つ、現像、水洗、乾燥、圧密処理、定着、水洗、乾燥、圧密処理の順に行った。圧密処理は金属ロールを装備したカレンダーロール装置を用い、線圧3920N/cm(400kgf/cm)をかけてローラ間に試料を通して行った。
【0142】
2.非腐食性透明導電膜の塗設
(1)SWNT水分散液作成
Carbon Nanotechnologies Inc.製SWNT100mg及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム400mg、純水9.5mlの割合で混合した液を超音波で30分間分散し、SWNT水分散液を作成した。
【0143】
(2)塗布液aの作成
40wt%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタアクリル酸=59/9/26/5/1の共重合体;Tg 47℃)5.0gに、純水2.6gを加え、造膜助剤として、ベンジルアルコール0.2g、SWNT水分散液0.2g、さらに純水を加えて合計10gとし、粘度5cp(25℃)の塗布液aを調製した。ポリマー量に対するカーボンナノチューブの割合は0.1%である。
【0144】
(3)塗布液bの作成
40wt%のポリマーラテックス(塩化ビニリデン/メチルアクリレート/アクリルニトリル/メタクリル酸=90.5/4/4/1/0.5)5.0gに純水2.6g、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩0.02g、SWNT水分散液0.4gを加え、さらに純水を加えて合計10gとし、塗布液bを調製した。ポリマー量に対するカーボンナノチューブの割合は0.2%である。
【0145】
(4)塗布液cの作成
ポリビニルアルコールPVA105(クラレ製)4gを40gの沸騰水で溶解したのち室温に冷却する。それにメタノール23g、グルタルアルデヒド0.5g、クエン酸モノエチルエステル0.07g、SWNT水分散液0.8gを加え、さらに純水を加えて合計100gとし、塗布液cを調製した。ポリマー量に対するカーボンナノチューブの割合は0.2%である。
【0146】
(5)非腐食性透明導電膜塗布
1.項に記載したようにして形成された細線構造部の上に塗布液a及びbをそれぞれ塗布して本発明の透明導電性フイルム実施例1及び2を作製した。乾燥は180℃で2分間とした。また、塗布液cを細線構造部の上に塗布し、140℃で10分間乾燥し、実施例3及び4の透明導電性フイルムを作成した。
【0147】
3.電解液による腐食性評価
上記のように作製された透明導電性フイルムを下記のようにして、太陽電池電解質液に対する耐久性を評価した。
【0148】
(1)電解質液の調製
セトニトリル1リットルに対して、ヨウ化リチウム0.1モル、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド0.3モル、ヨウ素0.05モル、t−ブチルピリジン0.5モルを溶解し、電解質液を調製した。
【0149】
(2)電解液による腐食性評価
10cm×10cmに切り取った各実施例の透明導電性フイルムを、バットに入れた20mlの電解質液中に、室温で10日間浸漬した。10日後に取り出し、水洗し、乾燥後10倍ルーペで透明導電性フイルムを観察した。特に細線構造部の銀線の腐食を評価した。その結果は表1に示した。
【0150】
(3)表面抵抗と光透過率の測定
透明導電性フイルムAとBの表面抵抗、波長550nmの光に対する透過率を測定し、その結果を表1に記した。また、作製したサンプルを直径4mmの円柱に巻き付け100回往復させるテストを行い、テスト前後の表面抵抗値を比較した。今回作製し、試験したいずれのサンプルもテスト前後でほぼ同等の表面抵抗値が得られ、可撓性が良好と判断できた。
【0151】
[比較例]
非腐食性透明導電膜塗布を施さず細線構造部のみのフイルムを比較評価した。
【0152】
(結果)
結果を下記の表に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
表1に示す結果から、細線構造部のみでは、金属細線が電解質液に容易に溶解するが、本発明の非腐食性透明導電層を有する透明導電性フイルムでは、細線構造部の金属細線は溶解しないことがわかる。
【0155】
なお、本発明に係る透明導電性フイルム、透明導電性フイルムの製造方法、透明電極フイルム、色素増感太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子及び電子ペーパーは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本実施の形態に係る透明導電性フイルムの構成を一部省略して示す断面図である。
【符号の説明】
【0157】
10…透明導電性フイルム 12…支持体
14…細線構造部 16…導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に設けられ、且つ、導電性金属を含有する細線構造部及び透光性の導電膜とを有する透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部は断面形状が略台形状となるように形成されていることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記導電膜が導電性微粒子を含有することを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記導電膜が2層以上の層で構成され、その少なくとも1層が導電性微粒子を含有することを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記導電性微粒子がカーボンナノチューブであることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部がない場合の透明導電性塗布膜単独の表面抵抗が、102オーム/sq〜108オーム/sqであり、前記透明導電性フイルムの表面抵抗が0.02オーム/sq以上1000オーム/sq以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部の厚み(高さ)が、5μm以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部の厚み(高さ)が、2μm以下であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部の厚み(高さ)が、前記導電膜と実質的に同じであることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記透明導電性フイルムの光の透過率が、550nmの光に対して70%以上であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキを用いて形成されることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキをインクジェット法を用いて所望のパターンに形成されて構成されていることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部が、導電性銀ペーストや導電性インキをスクリーン印刷・グラビア印刷法を用いて所望のパターンに形成されて構成されていることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部が、前記支持体上に少なくとも感光性銀塩含有層を有する感光層を露光し、現像処理することにより形成された導電性金属銀からなることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部が、前記支持体上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光・現像することにより導電性金属銀部と光透過性部が形成されて構成されていることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項15】
請求項14記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部の導電性金属部が銀を含有し、Ag/バインダ体積比が1/4以上であることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項16】
請求項14又は15記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記光透過性部が実質的に物理現像核を有しないことを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部は、前記支持体上に感光性銀塩含有層を有する感光材料を露光し、現像した後で、定着する前に少なくとも1度圧密処理を行い、定着終了後にさらに少なくとも1度圧密処理を行って得られることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項18】
請求項17記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記圧密処理が、露光済みの感光層に対して現像、水洗、乾燥後に行われ、さらに、定着、水洗、乾燥後に行われることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項19】
請求項18記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記細線構造部は、前記現像と乾燥の間に物理現像、電解めっき及び無電解めっきの少なくとも1つを行って得られることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記圧密処理がカレンダーロール装置によって行われることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムにおいて、
前記導電膜が前記細線構造部の上面に設けられていることを特徴とする透明導電性フイルム。
【請求項22】
支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀含有層を含む写真構成層を有する感光材料を露光し、現像することにより、細線構造部を形成させて、該細線構造部とカーボンナノチューブを含有する透明導電性膜とを組み合わせることを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項23】
支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀含有層を含む写真構成層を設ける工程と、
前記写真構成層の少なくとも1層がカーボンナノチューブを含有する層である感光材料を露光し、現像することにより、該カーボンナノチューブを含有する透明導電性膜と金属銀部と光透過性部からなる細線構造部を形成する工程とを有することを特徴とする透明導電性フイルムの製造方法。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムを有することを特徴とする透明電極フイルム。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムを有することを特徴とする色素増感太陽電池。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムを有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の透明導電性フイルムを有することを特徴とする電子ペーパー。

【図1】
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【公開番号】特開2008−288102(P2008−288102A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133265(P2007−133265)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】