説明

通信システム

【課題】 通信端末装置の不正利用を確実に防止することができ、セキュリティが向上された通信システムを提供する。
【解決手段】 端末側制御部17は、端末側方位センサ11によって検出される端末側方位データと、携帯側方位センサ21によって検出される携帯側方位データとの差分値を表す方位差分データを算出し、また端末側加速度センサ12によって検出される端末側加速度データと、携帯側加速度センサ22によって検出される携帯側加速度データとの差分値を表す加速度差分データを算出する。端末側制御部17は、算出した方位差分データが予め定める第1閾値よりも大きく、かつ加速度差分データが予め定める第2閾値よりも大きいと判断した場合、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が携帯する携帯形電子装置と、携帯形電子装置との間で通信可能に構成される通信端末装置とによって構築される通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、機能の充実化が図られており、通話、電子的な電話帳およびスケジュール帳、電子メールの送受信ならびにインターネット接続などの機能に加え、非接触IC(
Integrated Circuit)カード技術を用いたクレジット機能が搭載されるようになってきている。このようにクレジット機能を備える携帯電話機は、盗難されて第三者によって不正に使用された場合の損失が大きい。そこで従来の携帯電話機では、暗証番号および指紋認証などによって携帯電話機本体の各機能の停止およびその解除ができるようにして、個人情報の保護および盗難の防止が図られている。また暗証番号および指紋認証に代わるセキュリティ機能を備える電子装置に関する従来技術は、特許文献1〜3に示されている。
【0003】
特許文献1の携帯電話は、携帯電話との距離を認識する無線ユニットを備え、携帯電話との距離が予め設定した制限距離を越えた場合に、携帯電話の機能制限、発信先制限、警告音発生などを行い、置き忘れによる損害を軽減するように構成される。
【0004】
特許文献2の携帯端末装置は、携帯端末装置本体が定位置から動かされたとき、その運動の加速度を検出し、携帯端末装置本体が不当に携行されたことを表す警報を発して、携帯端末装置本体の盗難および盗用を防止するように構成される。
【0005】
特許文献3の盗難警報装置は、対象機器に設置され、対象機器に生じる振動、衝撃および傾斜角を加速度として検出する加速度センサを備え、加速度センサの出力が予め定められた測定時間中に予め定められた設定値を超えた回数を測定し、この測定した回数が所定の回数以上であるときに盗難と判定し、警告を発するように構成される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−158482号公報
【特許文献2】特開平8−249546号公報
【特許文献3】特開2004−262375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
暗証番号および指紋認証などによって携帯電話機本体の各機能の停止およびその解除をする従来の携帯電話装置では、携帯電話装置本体の各機能の停止およびその解除をする場合、携帯電話装置の利用者自身が暗証番号および指紋認証のための入力作業をしなければならないので、利用者にとって前記の入力作業が煩雑であり、利便性が低いという問題がある。
【0008】
特許文献1の携帯電話は、無線ユニットから発信される微弱な電波を受信し、無線ユニットを携帯している携帯電話の利用者との相対距離を認識して、この相対距離が制限距離を越えた場合に、たとえば電子マネー端末としての機能を停止するように構成されている。しかし、無線ユニットからの電波の到達距離は、外的要因によって変化するうえ、混信およびノイズの影響によって誤動作を引起すおそれがある。また電波の到達距離を一律に制御することは難しいので、セキュリティを確保することができない。
【0009】
特許文献2の携帯端末装置では、加速度センサによる加速度検出などの盗難防止機能の作動状態を有効または無効にする場合、携帯端末装置の利用者が所定のスイッチを操作しなければならないので、利用者にとって前記操作が煩雑であり、利便性が低いという問題がある。またスイッチの存在および操作方法を正規の利用者以外の第三者に判りにくくしたとしても、前記第三者によって不所望にスイッチが操作されて、携帯端末装置が不正に利用されてしまう危険性がある。
【0010】
本発明の目的は、通信端末装置の不正利用を確実に防止することができ、セキュリティが向上された通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、利用者が携帯する携帯形電子装置と、携帯形電子装置との間で通信可能に構成される通信端末装置とを含む通信システムであって、
携帯形電子装置は、
通信端末装置と通信可能な携帯側通信手段と、
携帯形電子装置本体の方位を表す携帯側方位データ、および携帯形電子装置本体の加速度を表す携帯側加速度データを検出する携帯側検出手段とを備え、
通信端末装置は、
携帯形電子装置と通信可能な端末側通信手段と、
通信端末装置本体の方位を表す端末側方位データ、および通信端末装置本体の加速度を表す端末側加速度データを検出する端末側検出手段と、
携帯側方位データと端末側方位データの差分値を表す方位差分データ、および携帯側加速度データと端末側加速度データの差分値を表す加速度差分データを算出し、
算出した方位差分データと予め定める第1閾値との比較結果、および算出した加速度差分データと予め定める第2閾値との比較結果に基づいて、通信端末装置本体の予め定める機能を停止するか否かを制御する制御手段とを備えることを特徴とする通信システムである。
【0012】
また本発明は、通信端末装置は、端末側通信手段を介して携帯形電子装置と通信可能であるか否かを判定する通信可否判定手段をさらに備え、
制御手段は、通信可否判定手段によって、携帯形電子装置との通信が不可能であると判定された場合、通信端末装置本体の予め定める機能を停止することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、通信端末装置は、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための指令を入力する入力手段をさらに備え、
制御手段は、通信端末装置本体の予め定める機能を停止しているとき、入力手段によって前記指令が入力されたか否かを判断し、前記指令が入力されたと判断した場合、前記指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置に送信するように、端末側通信手段を制御することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、携帯形電子装置と通信端末装置とは、ブルートゥースを利用して通信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信端末装置と、利用者が携帯する携帯形電子装置とは、互いに通信可能に構成される。携帯形電子装置本体の方位を表す携帯側方位データ、および携帯形電子装置本体の加速度を表す携帯側加速度データは、携帯側検出手段によって検出される。通信端末装置本体の方位を表す端末側方位データ、および通信端末装置本体の加速度を表す端末側加速度データは、端末側検出手段によって検出される。
【0016】
携帯側方位データと端末側方位データの差分値を表す方位差分データ、および携帯側加速度データと端末側加速度データの差分値を表す加速度差分データは、制御手段によって算出される。算出された方位差分データと予め定める第1閾値との比較結果、および算出した加速度差分データと予め定める第2閾値との比較結果に基づいて、通信端末装置本体の予め定める機能を停止するか否かが、制御手段によって制御される。
【0017】
たとえば方位差分データが予め定める第1閾値よりも大きく、かつ加速度差分データが予め定める第2閾値よりも大きい場合、通信端末装置本体の予め定める機能を停止するように、制御手段によって制御される。
【0018】
したがって通信端末装置の利用者が、通信端末装置から離れた位置にいる場合でも、たとえば方位差分データが予め定める第1閾値よりも大きく、かつ加速度差分データが予め定める第2閾値よりも大きいときには、通信端末装置本体の予め定める機能が停止される。これによって通信端末装置の利用者に関する個人情報が、通信端末装置の利用者以外の第三者によって不所望に見られてしまうことを防止することができ、前記個人情報の機密性を保持することができる。また前記第三者によって通信端末装置が不正に利用されることを確実に防止することができ、前記従来技術に比べてセキュリティを向上することができる。
【0019】
また本発明によれば、通信端末装置が、端末側通信手段を介して携帯形電子装置と通信可能であるか否かは、通信可否判定手段によって判定される。通信可否判定手段によって携帯形電子装置との通信が不可能であると判定された場合、制御手段によって、通信端末装置本体の予め定める機能が停止される。
【0020】
したがって通信端末装置が携帯形電子装置と通信できない場合でも、通信端末装置本体の予め定める機能が停止されるので、通信端末装置の利用者に関する個人情報が、通信端末装置の利用者以外の第三者によって不所望に見られてしまうことを確実に防止することができ、前記個人情報の機密性を保持することができる。また前記第三者によって通信端末装置が不正に利用されることを確実に防止することができ、前記従来技術に比べてセキュリティを格段に向上することができる。
【0021】
また本発明によれば、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための指令は、入力手段によって入力することができる。通信端末装置本体の予め定める機能を停止しているとき、入力手段によって前記指令が入力されたか否かが制御手段によって判断され、前記指令が入力されたと制御手段によって判断された場合、端末側通信手段は、前記指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置に送信するように、制御手段によって制御される。
【0022】
したがって通信端末装置の利用者は、通信端末装置から送信される前記指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置によって受信し、利用者の通信端末装置が、利用者以外の第三者によって不正に利用されていることを即座に把握することができる。これによって通信端末装置の利用者は、通信端末装置が盗難されて不正に利用されていることを警察に通報するなどの処理を迅速に行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、ブルートゥースは他の無線通信と比べて省電力、近距離、無免許で利用可能および小形化などの利便性を有しているので、携帯形電子装置と通信端末装置とがブルートゥースを利用して通信することによって、通信システムを容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態である通信システム1の構成を示すブロック図である。通信システム1は、通信端末装置2および携帯形電子装置3を含んで構成される。通信端末装置2および携帯形電子装置3は、利用者が携帯して持運ぶことが可能であり、利用者に持運ばれることによって移動する。本実施の形態では、利用者が携帯形電子装置3を身に付けることを前提としている。通信システム1では、通信端末装置2と携帯形電子装置3とが互いに通信することができる。また通信システム1において、通信端末装置2と携帯形電子装置3とは、近距離無線規格であるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を利用して通信することができる。通信端末装置2は、たとえば携帯電話機であってもよい。通信端末装置2は、無線固定局である基地局と、サーバ装置とを介して他の通信端末装置と通信可能に構成されている。
【0025】
通信端末装置2は、端末側方位センサ11、端末側加速度センサ12、入力操作部13、表示部14、端末側無線通信ユニット15、端末側記憶部16および端末側制御部17を含む。端末側方位センサ11は、たとえば地磁気センサによって実現される。端末側方位センサ11は、たとえば2つの磁気センサを互いに直交する方向に配設し、その各磁気センサによって磁界の大きさを検出し、その検出値から通信端末装置本体の向いている絶対方位を表す端末側方位データを検出する。端末側方位センサ11は、予め定める時間、本実施の形態では1〜2秒毎に、端末側方位データを検出する。
【0026】
端末側加速度センサ12は、センサチップの中央に設けたおもりを四方からピエゾ抵抗素子で支持し、加速度を受けたとき、中央のおもりの変動によって発生する4つのピエゾ抵抗の変動をブリッジ回路を用いて検出するピエゾ抵抗式加速度センサで、かつ2軸の加速度センサによって実現される。端末側加速度センサ12は、ピエゾ抵抗式加速度センサに限らず、チップ内の発熱部分であるヒータによって温めた内部の気体の動きを、温度センサで検出する方式である熱分布検知式加速度センサ、またはセンサ内に一定質量の可動電極を設け、これと固定側の電極との間の静電容量の変化を捉え、加速度を検出する静電容量式加速度センサによって実現されてもよい。
【0027】
端末側加速度センサ12は、直方体状に形成される通信端末装置本体の厚み方向に垂直な長方形状の平面における長手方向に平行に延びる軸線方向(以下「X軸方向」という場合がある)に作用する加速度、および前記平面内においてX軸方向に直交する幅方向に平行に延びる軸線方向(以下「Y軸方向」という場合がある)に作用する加速度をそれぞれ表す端末側加速度データを検出する。端末側加速度センサ12は、予め定める時間、本実施の形態では0.1〜0.5秒毎に、端末側加速度データを検出する。
【0028】
入力操作部13は、利用者が操作して所定の情報を入力するための入力操作キーなどの複数の操作片を有する。入力操作部13は、各操作片が操作されることによって、数字情報、文字情報および通信端末装置2への指示情報などの所定の情報など、操作に応じた情報を表す信号を生成して端末側制御部17に与える。したがって利用者は、入力操作部13の各操作片を操作して、通信端末装置2に情報を与えることができる。
【0029】
表示部14は、静止画像および動画像を含む画像を表示する。画像は、文字、数字などのキャラクタを表す画像でもよいし、写真およびイラストを表す画像でもよい。表示部14は、透過型液晶表示素子、反射型液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス(
Electro Luminescence;略称:EL)素子および半透過半反射型液晶表示素子のうち、少なくとも1つを用いて実現されてもよい。また表示部14は、カラー表示可能であってもよいし、白黒表示可能であってもよい。
【0030】
端末側無線通信ユニット15は、端末側アンテナおよび端末側無線通信部を含む。端末側アンテナは、たとえばブルートゥースを利用して、携帯形電子装置3と無線通信するときに、予め定める信号を携帯形電子装置3との間で送受信する。この端末側アンテナは、端末側無線通信部から与えられる信号を送信するとともに、受信した信号を端末側無線通信部に与える。端末側アンテナは、たとえば伸縮自在なロッドアンテナによって実現されてもよいし、プリント基板実装時の占有面積が比較的小さいチップアンテナによって実現されてもよい。
【0031】
端末側無線通信部は、受信時は、携帯形電子装置から端末側アンテナを介して受信した信号を復調して端末側制御部17に与え、送信時は、端末側制御部17から与えられる信号を変調および増幅して、端末側アンテナに与える。
【0032】
端末側記憶部16は、たとえばRAM(R andom Access Memory)によって実現される。RAMは、端末側方位センサ11によって検出される端末側方位データ、端末側加速度センサ12によって検出される端末側加速度データ、携帯形電子装置3から送信され、端末側無線通信ユニット15によって受信した携帯側方位データおよび携帯側加速度データを記憶する。
【0033】
端末側制御部17は、中央演算処理部(Central Processing Unit;略称:CPU)を含み、その内部に記憶される制御プログラムに基づいて、通信端末装置2を構成する前記の端末側方位センサ11、端末側加速度センサ12、入力操作部13、表示部14、端末側無線通信ユニット15および端末側記憶部16を含むハードウェア資源を統括的に制御する。
【0034】
端末側制御部17は、端末側方位センサ11によって検出された端末側方位データ、および端末側加速度センサ12によって検出された端末側加速度データを、端末側記憶部16に記憶させる。
【0035】
端末側制御部17は、携帯側方位データおよび携帯側加速度データの取得要求を表す情報(以下「データ要求情報」という場合がある)を送信するように、端末側無線通信ユニット15を制御する。端末側制御部17は、携帯形電子装置3から送信され、端末側無線通信ユニット15によって受信した携帯側方位データおよび携帯側加速度データを、端末側記憶部16に記憶させる。
【0036】
端末側制御部17は、端末側記憶部16に記憶される携帯側方位データと端末側方位データとの差分値を表す方位差分データを算出し、また端末側記憶部16に記憶される携帯側加速度データと端末側加速度データとの差分値を表す加速度差分データを算出する。
【0037】
端末側制御部17は、算出した方位差分データと予め定める第1閾値との比較結果、および算出した加速度差分データと予め定める第2閾値との比較結果に基づいて、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触IC(Integrated Circuit)カード技術を用いたクレジット機能を停止するか否かを制御する。ここで、第1閾値と第2閾値とは、互いに異なる値である。
【0038】
端末側制御部17は、端末側無線通信ユニット15を介して携帯形電子装置3と通信可能であるか否かを判定する。端末側制御部17は、携帯形電子装置3との通信が不可能であると判定した場合、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止する。
【0039】
端末側制御部17は、通信端末装置本体の予め定める機能を停止しているとき、入力操作部13によって、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための指令(以下「機能実行指令」という場合がある)が入力されたか否かを判断し、機能実行指令が入力されたと判断した場合、機能実行指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置3に送信するように、端末側無線通信ユニット15を制御する。
【0040】
携帯形電子装置3は、携帯側方位センサ21、携帯側加速度センサ22、振動発生部23、音声出力部24、携帯側無線通信ユニット25、携帯側記憶部26および携帯側制御部27を含む。携帯側方位センサ21は、たとえば地磁気センサによって実現される。携帯側方位センサ21は、たとえば2つの磁気センサを互いに直交する方向に配設し、その各磁気センサによって磁界の大きさを検出し、その検出値から携帯形電子装置本体の方位を表す携帯側方位データを検出する。携帯側方位センサ21は、予め定める時間、本実施の形態では1〜2秒毎に、携帯側方位データを検出する。
【0041】
携帯側加速度センサ22は、ピエゾ抵抗式加速度センサでかつ2軸の加速度センサによって実現される。携帯側加速度センサ22は、端末側加速度センサ12と同様に、ピエゾ抵抗式加速度センサに限らず、熱分布検知式加速度センサまたは静電容量式加速度センサによって実現されてもよい。
【0042】
携帯側加速度センサ22は、長方体状に形成される携帯形電子装置本体の厚み方向に垂直な長方形状の平面における長手方向に平行に延びる軸線方向(以下「A軸方向」という場合がある)に作用する加速度、および前記平面内においてA軸方向に直交する幅方向に平行に延びる軸線方向(以下「B軸方向」という場合がある)に作用する加速度をそれぞれ表す携帯側加速度データを検出する。携帯側加速度センサ22は、予め定める時間、本実施の形態では0.1〜0.5秒毎に、携帯側加速度データを検出する。
【0043】
振動発生部23は、携帯側制御部27から与えられる予め定める制御信号に基づいて振動を発生する。振動発生部23は、たとえば回転軸に重錘を偏心させて取付けたモータによって実現され、このモータが回転することによって重錘が回転して、振動を発生する。
【0044】
音声出力部24は、たとえばスピーカによって実現される。音声出力部24は、携帯側制御部22から与えられる予め定める制御信号に基づいて、予め定める警告音、たとえば電子ブザー音を出力する。
【0045】
携帯側無線通信ユニット25は、携帯側アンテナおよび携帯側無線通信部を含む。携帯側アンテナは、たとえばブルートゥースを利用して、通信端末装置2と無線通信するときに、予め定める信号を通信端末装置2との間で送受信する。この携帯側アンテナは、携帯側無線通信部から与えられる信号を送信するとともに、受信した信号を携帯側無線通信部に与える。携帯側アンテナは、たとえば伸縮自在なロッドアンテナによって実現されてもよいし、プリント基板実装時の占有面積が比較的小さいチップアンテナによって実現されてもよい。
【0046】
携帯側無線通信部は、受信時は、通信端末装置から携帯側アンテナを介して受信した信号を復調して携帯側制御部27に与え、送信時は、携帯側制御部27から与えられる信号を変調および増幅して、携帯側アンテナに与える。
【0047】
携帯側記憶部26は、たとえばRAMによって実現される。RAMは、携帯側方位センサ21によって検出される携帯側方位データ、および携帯側加速度センサ22によって検出される携帯側加速度データを記憶する。
【0048】
携帯側制御部27は、CPUを含み、その内部に記憶される制御プログラムに基づいて、携帯形電子装置3を構成する前記の携帯側方位センサ21、携帯側加速度センサ22、振動発生部23、音声出力部24、携帯側無線通信ユニット25および携帯側記憶部26を含むハードウェア資源を統括的に制御する。
【0049】
携帯側制御部27は、携帯側方位センサ21によって検出された携帯側方位データ、および携帯側加速度センサ22によって検出された携帯側加速度データを、携帯側記憶部26に記憶させる。携帯側制御部27は、通信端末装置2から送信されるデータ要求情報を携帯側無線通信ユニット25によって受信したとき、携帯側記憶部26に記憶されている携帯側方位データおよび携帯側加速度データを通信端末装置2に送信するように、携帯側無線通信ユニット25を制御する。
【0050】
携帯側制御部27は、通信端末装置2から送信される情報であって、通信端末装置2の入力操作部13によって、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を実行するための指令が入力された旨の情報を、携帯側無線通信ユニット25によって受信したとき、振動発生部23を振動させるか、または音声出力部24から、予め定める警告音、たとえば電子ブザー音を出力させる。
【0051】
本実施の形態において、端末側通信手段は、端末側無線通信ユニット15に相当する。端末側検出手段は、端末側方位センサ11および端末側加速度センサ12に相当する。入力手段は、入力操作部13に相当する。制御手段および通信可否判定手段は、端末側制御部17に相当する。携帯側通信手段は、携帯側無線通信ユニット25に相当する。携帯側検出手段は、携帯側方位センサ21および携帯側加速度センサ22に相当する。
【0052】
図2は、通信端末装置2における端末側方位データおよび端末側加速度データの検出を説明するための図である。図3は、携帯形電子装置3における携帯側方位データおよび携帯側加速度データの検出を説明するための図である。
【0053】
通信端末装置2の端末側制御部17では、端末側方位センサ11によって検出される端末側方位データと、端末側無線通信ユニット15によって受信した携帯側方位データとの差分値を表す方位差分データを算出し、算出した方位差分データと、予め定める第1閾値とを比較し、方位差分データが第1閾値よりも大きいか否かを判断する。
【0054】
本実施の形態において、端末側方位データおよび携帯側方位データが表す方位は、東西および南北の2つの軸に基づいて、その間を等間隔に16個に分割した16個の方位、すなわち東、西、南、北、北東、南東、北西、南西、北北東、東北東、東南東、南南東、南南西、西南西、西北西、北北西とする。またそれぞれの方位を、北を基準とした角度(以下「方位角」という場合がある)で表す方式に基づいて、北を0度または360度として、北東を45度、東を90度、南東を135度、南を180°南西を225度、西を270°、北西を315度とする。したがって東、西、南、北の方位間隔は、90度(直角)であり、東、西、南、北、北東、南東、北西、南西の方位間隔は、45度である。さらに東、西、南、北、北東、南東、北西、南西、北北東、東北東、東南東、南南東、南南西、西南西、西北西、北北西の方位間隔は、22度30分である。
【0055】
本実施の形態では、端末側方位センサ11によって検出される絶対方位に対応する方位角と、携帯側方位センサ21によって検出される絶対方位に対応する方位角との差の絶対値である差分値を表す方位差分データを算出する。このとき、前記差分値が180度よりも大きい場合には、360度から、算出した差分値を差引いた値を、方位差分データとする。
【0056】
本実施の形態では、算出した方位差分データが、予め定める第1閾値、本実施の形態では22度30分よりも大きいか否かを判断する。たとえば通信端末装置本体の予め定める方位X1が「北」、すなわち方位角が0度であると検出され、携帯形電子装置本体の予め定める方位A1が「北西」、すなわち方位角が315度であると検出された場合、まず0度と315度との差の絶対値である差分値を算出する。このときの差分値は315度となり、180度よりも大きいので、360度から315度を差引いた45度を、方位差分データとして算出する。端末側制御部17は、算出した方位差分データ「45度」が、第1閾値「22度30分」よりも大きいと判断する。このようにして、通信端末装置本体と携帯形電子装置本体との相対的な方位関係を把握する。
【0057】
また通信端末装置2の端末側制御部17では、端末側加速度センサ12によって検出される端末側加速度データと、端末側無線通信ユニット15によって受信した携帯側加速度データとの差分値を表す加速度差分データを算出し、算出した加速度差分データと、予め定める第2閾値とを比較し、加速度差分データが第2閾値よりも大きいか否かを判断する。
【0058】
本実施の形態では、通信端末装置本体のX軸方向に作用する加速度と、携帯形電子装置本体のA軸方向に作用する加速度との差分値を表す加速度差分データ(以下「第1加速度差分データ」という場合がある)を算出し、算出した第1加速度差分データが、予め定める第2閾値、本実施の形態では0.2Gよりも大きいか否かを判断する。また本実施の形態では、通信端末装置本体のY軸方向に作用する加速度と、携帯形電子装置本体のB軸方向に作用する加速度との差分値を表す加速度差分データ(以下「第2加速度差分データ」という場合がある)を算出し、算出した第2加速度差分データが、前記第2閾値よりも大きいか否かを判断する。本実施の形態の加速度差分データは、第1加速度差分データおよび第2加速度差分データを含む。
【0059】
本実施の形態では、端末側制御部17によって、方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが第2閾値よりも大きいと判断されたとき、正規の利用者以外の第三者によって、通信端末装置2が不正に利用されているおそれがあると判断して、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止する。
【0060】
図4は、通信端末装置2の予め定める機能の停止および解除の制御に関する端末側制御部17の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、通信端末装置2の電源がオンのとき、換言すれば通信端末装置2が動作しているとき、端末側制御部17によって繰返し実行される。
【0061】
ステップa1では、端末側記憶部16から、端末側方位データおよび端末側加速度データを取得する。端末側方位データおよび端末側加速度データを取得すると、ステップa2に進む。ステップa2では、端末側無線通信ユニット15を介して、携帯形電子装置3とブルートゥースを利用した通信が可能であるか否かを判断し、可能であればステップa3に進み、不可能であればステップa7に進む。
【0062】
ステップa3では、端末側無線通信ユニット15によって、データ要求情報を携帯形電子装置3に送信する。データ要求情報を送信すると、ステップa4に進む。ステップa4では、端末側無線通信ユニット15によって受信し、端末側記憶部16に記憶された携帯側方位データおよび携帯側加速度データを、端末側記憶部16から取得する。携帯側方位データおよび携帯側加速度データを取得すると、ステップa5に進む。
【0063】
ステップa5では、ステップa1で取得した端末側方位データと、ステップa4で取得した携帯側方位データとの差分値を表す方位差分データを算出し、またステップa1で取得した端末側加速度データと、ステップa4で取得した携帯側加速度データとに基づいて、第1加速度差分データおよび第2加速度差分データを算出する。方位差分データならびに第1および第2加速度差分データを算出すると、ステップa6に進む。
【0064】
ステップa6では、方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが第2閾値よりも大きいか否かを判断する。ステップa6において、方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが第2閾値よりも大きければ、通信端末装置2が第三者によって不所望に利用されているおそれがあると判断して、ステップa7に進む。ステップa6において、方位差分データが第1閾値以下または、第1および第2加速度差分データが第2閾値以下であれば、通信端末装置2は利用者によって携帯されていると判断して、ステップa8に進む。
【0065】
ステップa7では、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止する。前記予め定める機能を停止すると、本処理を終了する。
【0066】
ステップa8では、通信端末装置本体の予め定める機能が停止しているか否かを判断し、停止していれば、ステップa9に進み、停止していなければ、ステップa1に戻る。ステップa9では、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能の停止状態を解除する。前記予め定める機能の停止状態を解除すると、本処理を終了する。
【0067】
図5は、携帯側方位データおよび携帯側加速度データの送信処理に関する携帯側制御部27の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、携帯形電子装置3の電源がオンのとき、換言すれば携帯形電子装置3が動作しているとき、携帯側制御部27によって繰返し実行される。
【0068】
ステップb1では、携帯側無線通信ユニット25によって、通信端末装置2から、データ要求情報を受信しているか否かを判断し、受信していればステップb2に進み、受信していなければ、受信するまで待機する。
【0069】
ステップb2では、携帯側無線通信ユニット25によって受信し、携帯側記憶部26に記憶された携帯側方位データおよび携帯側加速度データを、携帯側記憶部26から取得する。携帯側方位データおよび携帯側加速度データを取得すると、ステップb3に進む。
【0070】
ステップb3では、ステップb2で取得した携帯側方位データおよび携帯側加速度データを、携帯側無線通信ユニット25によって、通信端末装置2に送信する。携帯側方位データおよび携帯側加速度データを送信すると、本処理を終了する。
【0071】
前述のように本実施の形態によれば、通信端末装置2と携帯形電子装置3とは、互いに近距離無線規格であるブルートゥースを利用した通信が可能に構成される。携帯形電子装置本体の方位を表す携帯側方位データは、携帯側方位センサ21によって検出され、携帯形電子装置本体の加速度を表す携帯側加速度データは、携帯側加速度センサ22によって検出される。通信端末装置本体の方位を表す端末側方位データは、端末側方位センサ11によって検出され、通信端末装置本体の加速度を表す端末側加速度データは、端末側加速度センサ12によって検出される。
【0072】
携帯側方位データと端末側方位データの差分値を表す方位差分データ、通信端末装置本体のX軸方向に作用する加速度と、携帯形電子装置本体のA軸方向に作用する加速度との差分値を表す第1加速度差分データ、ならびに通信端末装置本体のY軸方向に作用する加速度と、携帯形電子装置本体のB軸方向に作用する加速度との差分値を表す第2加速度差分データは、端末側制御部17によってそれぞれ算出される。
【0073】
本実施の形態では、算出された方位差分データと予め定める第1閾値とを比較し、また算出された第1および第2加速度差分データと予め定める第2閾値とを比較し、方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが第2閾値よりも大きいか否かが、端末側制御部17によって判断される。
【0074】
方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが第2閾値よりも大きいと判断された場合には、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能が停止される。
【0075】
したがって通信端末装置2の利用者が、通信端末装置2から離れた位置にいる場合でも、たとえば方位差分データが予め定める第1閾値よりも大きく、かつ第1および第2加速度差分データが予め定める第2閾値よりも大きいときには、通信端末装置本体の予め定める機能が停止される。これによって通信端末装置2の利用者に関する個人情報、たとえば電話帳データが、通信端末装置2の利用者以外の第三者によって不所望に見られてしまうことを防止することができ、前記個人情報の機密性を保持することができる。また前記第三者によって通信端末装置2が不正に利用されることを確実に防止することができる。
【0076】
さらに盗難防止機能の作動状態を有効または無効にするために、利用者が所定のスイッチを操作する必要がある前記従来技術とは異なり、利用者が入力操作部13を操作をすることなく、通信端末装置本体の予め定める機能を停止させることができる。
【0077】
したがって前記従来技術に比べて、通信端末装置2および携帯形電子装置3の利用者の利便性を向上することができ、また利用者以外の第三者によって不所望にスイッチが操作されて、通信端末装置2が不正に利用されてしまうことを防止することができる。これによって、前記従来技術に比べてセキュリティを向上することができる。
【0078】
また本実施の形態によれば、通信端末装置2が、端末側無線通信ユニット15を介して、携帯形電子装置3とブルートゥースを利用した通信が可能であるか否かは、端末側制御部17によって判定される。端末側制御部17によって携帯形電子装置3との通信が不可能であると判定された場合、通信端末装置本体の予め定める機能が停止される。
【0079】
したがって通信端末装置2が、端末側無線通信ユニット15を介して、携帯形電子装置3と通信ができない場合でも、通信端末装置本体の予め定める機能が停止されるので、通信端末装置2の利用者に関する個人情報が、通信端末装置2の利用者以外の第三者によって不所望に見られてしまうことを確実に防止することができ、前記個人情報の機密性を保持することができる。また前記第三者によって通信端末装置が不正に利用されることを確実に防止することができ、前記従来技術に比べてセキュリティを格段に向上することができる。
【0080】
図6は、機能実行指令が入力された旨の情報の送信に関する端末側制御部17の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、通信端末装置2の電源がオンのとき、換言すれば通信端末装置2が動作しているとき、端末側制御部17によって繰返し実行される。
【0081】
ステップc1では、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能の停止時に、入力操作部13によって、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための指令である機能実行指令が入力されたか否かを判断し、入力されていればステップc2に進み、入力されていなければ、本処理を終了する。
【0082】
ステップc2では、端末側無線通信ユニット15を介して、携帯形電子装置3とブルートゥースを利用した通信が可能であるか否かを判断し、可能であればステップc3に進み、不可能であれば、本処理を終了する。
【0083】
ステップc3では、端末側無線通信ユニット15によって、機能実行指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置3に送信する。機能実行指令が入力された旨の情報を送信すると、本処理を終了する。
【0084】
図7は、通信端末装置2の異常状態の報知に関する携帯側制御部27の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、携帯形電子装置3の電源がオンのとき、換言すれば携帯形電子装置3が動作しているとき、携帯側制御部27によって繰返し実行される。
【0085】
ステップd1では、携帯側無線通信ユニット25によって、通信端末装置2から、機能実行指令が入力された旨の情報を受信しているか否かを判断し、受信していればステップd2に進み、受信していなければ、本処理を終了する。
【0086】
ステップd2では、振動発生部23を振動させるか、または音声出力部24から、予め定める警告音、たとえば電子ブザー音を出力させ、通信端末装置2の異常状態を、通信端末装置2の利用者に報知する。通信端末装置2の異常状態とは、たとえば通信端末装置2が第三者によって不正に利用されている状態をいう。振動発生部23を振動させるか、または音声出力部24から予め定める警告音を出力させると、本処理を終了する。
【0087】
前述のように本実施の形態によれば、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための機能実行指令は、入力操作部13によって入力することができる。通信端末装置本体の予め定める機能を停止しているとき、入力操作部13が操作されて機能実行指令が入力されたか否かは、端末側制御部17によって判断される。端末側制御部17によって、機能実行指令が入力されたと判断された場合、機能実行指令が入力された旨の情報が、端末側無線通信ユニット15を介して携帯形電子装置3に送信される。
【0088】
通信端末装置2から、機能実行指令が入力された旨の情報を受信しているか否かは、携帯側制御部27によって判断され、機能実行指令が入力された旨の情報を受信している場合には、振動発生部23が振動されるか、または音声出力部24から予め定める警告音、たとえば電子ブザー音が出力される。
【0089】
したがって通信端末装置2の利用者は、通信端末装置2を携帯していないときでも、振動発生部23の振動、または音声出力部24から出力される音声によって、利用者の通信端末装置2が、利用者以外の第三者によって不正に利用されていることを即座に把握することができる。これによって通信端末装置2の利用者は、通信端末装置2が盗難されて不正に利用されていることを警察に通報したり、周囲を探索するなどの処理を迅速に行うことができる。
【0090】
また本実施の形態によれば、通信端末装置2と携帯形電子装置3との通信に利用されるブルートゥースは、他の無線通信と比べて省電力、近距離、無免許で利用可能および小形化などの利便性を有している。したがって、通信端末装置2と携帯形電子装置3とがブルートゥースを利用して通信することによって、通信システム1を容易に構築することができる。
【0091】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば前述の実施の形態では、端末側加速度センサ12および携帯側加速度センサ22が、2軸の加速度センサによって実現される場合について述べたが、互いに直交する3軸の加速度センサによって実現されてもよい。
【0092】
端末側加速度センサ12および携帯側加速度センサ22が、3軸の加速度センサによって実現される場合の加速度差分データの算出方法について説明する。端末側方位センサ11および携帯側方位センサ21によって検出される絶対方位に基づいて、たとえば東西方向に延びる軸線をX軸とし、南北方向に延びる軸線をY軸とし、X軸およびY軸にそれぞれ直交する方向に延びる軸線をZ軸とする。
【0093】
直方体状に形成される通信端末装置本体の厚み方向に垂直な長方形状の平面における長手方向に平行に延びる軸線をx軸とし、前記平面内においてx軸に直交する方向に延びる軸線をy軸とし、通信端末装置本体の厚み方向であり、x軸およびy軸にそれぞれ直交する方向に延びる軸線をz軸とする。
【0094】
また直方体状に形成される携帯形電子装置本体の厚み方向に垂直な長方形状の平面における長手方向に平行に延びる軸線をa軸とし、前記平面内においてa軸に直交する方向に延びる軸線をb軸とし、携帯形電子装置本体の厚み方向であり、a軸およびb軸にそれぞれ直交する方向に延びる軸線をc軸とする。
【0095】
端末側加速度センサ12では、X軸、Y軸およびZ軸に対するx軸、y軸およびz軸の傾斜角を端末側加速度データとして検出する。具体的に述べると、X軸とx軸との成す角θx、Y軸とy軸との成す角θy、およびZ軸とz軸との成す角θzを、端末側加速度データとしてそれぞれ検出する。
【0096】
携帯側加速度センサ22では、X軸、Y軸およびZ軸に対するa軸、b軸およびc軸の傾斜角を携帯側加速度データとして検出する。具体的に述べると、X軸とa軸との成す角θa、Y軸とb軸との成す角θb、およびZ軸とc軸との成す角θcを、携帯側加速度データとしてそれぞれ検出する。
【0097】
端末側制御部17は、角θxと角θaとの差分値、角θyと角θbとの差分値、および角θzと角θcとの差分値を、それぞれ第1〜第3加速度差分データとして算出し、第1〜第3加速度差分データと予め定める閾値とを比較する。
【0098】
端末側制御部17は、前述の実施の形態と同様に算出した方位差分データが第1閾値よりも大きく、かつ第1〜第3加速度差分データが予め定める閾値よりも大きいと判断されたとき、正規の利用者以外の第三者によって、通信端末装置2が不正に利用されているおそれがあると判断して、通信端末装置本体の予め定める機能、たとえば非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止するようにしてもよい。
【0099】
前述のように端末側加速度センサ12によって、X軸、Y軸およびZ軸に対するx軸、y軸およびz軸の傾斜角を端末側加速度データとして検出し、また携帯側加速度センサ22によって、X軸、Y軸およびZ軸に対するa軸、b軸およびc軸の傾斜角を携帯側加速度データとして検出する構成であっても、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
また前述の実施の形態では、通信端末装置本体における非接触ICカード技術を用いたクレジット機能を停止する場合について説明したが、停止する通信端末装置本体の機能は、これに限らず、通話、電子的な電話帳およびスケジュール帳、電子メールの送受信ならびにインターネット接続などの機能であってもよい。
【0101】
また本発明の他の実施の形態の携帯形電子装置3は、情報を表示する表示手段を備える構成にしてもよく、携帯形電子装置3が、通信端末装置2から、機能実行指令が入力された旨の情報を受信した場合、機能実行指令が入力された旨の情報を表示手段に表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の一形態である通信システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】通信端末装置2における端末側方位データおよび端末側加速度データの検出を説明するための図である。
【図3】携帯形電子装置3における携帯側方位データおよび携帯側加速度データの検出を説明するための図である。
【図4】通信端末装置2の予め定める機能の停止および解除の制御に関する端末側制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】携帯側方位データおよび携帯側加速度データの送信処理に関する携帯側制御部27の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】機能実行指令が入力された旨の情報の送信に関する端末側制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】通信端末装置2の異常状態の報知に関する携帯側制御部27の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 通信システム
2 通信端末装置
3 携帯形電子装置
11 端末側方位センサ
12 端末側加速度センサ
13 入力操作部
15 端末側無線通信ユニット
17 端末側制御部
21 携帯側方位センサ
22 携帯側加速度センサ
25 携帯側無線通信ユニット
27 携帯側制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携帯する携帯形電子装置と、携帯形電子装置との間で通信可能に構成される通信端末装置とを含む通信システムであって、
携帯形電子装置は、
通信端末装置と通信可能な携帯側通信手段と、
携帯形電子装置本体の方位を表す携帯側方位データ、および携帯形電子装置本体の加速度を表す携帯側加速度データを検出する携帯側検出手段とを備え、
通信端末装置は、
携帯形電子装置と通信可能な端末側通信手段と、
通信端末装置本体の方位を表す端末側方位データ、および通信端末装置本体の加速度を表す端末側加速度データを検出する端末側検出手段と、
携帯側方位データと端末側方位データの差分値を表す方位差分データ、および携帯側加速度データと端末側加速度データの差分値を表す加速度差分データを算出し、
算出した方位差分データと予め定める第1閾値との比較結果、および算出した加速度差分データと予め定める第2閾値との比較結果に基づいて、通信端末装置本体の予め定める機能を停止するか否かを制御する制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
通信端末装置は、端末側通信手段を介して携帯形電子装置と通信可能であるか否かを判定する通信可否判定手段をさらに備え、
制御手段は、通信可否判定手段によって、携帯形電子装置との通信が不可能であると判定された場合、通信端末装置本体の予め定める機能を停止することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
通信端末装置は、通信端末装置本体の予め定める機能を実行するための指令を入力する入力手段をさらに備え、
制御手段は、通信端末装置本体の予め定める機能を停止しているとき、入力手段によって前記指令が入力されたか否かを判断し、前記指令が入力されたと判断した場合、前記指令が入力された旨の情報を携帯形電子装置に送信するように、端末側通信手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
携帯形電子装置と通信端末装置とは、ブルートゥースを利用して通信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−329599(P2007−329599A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157864(P2006−157864)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】