説明

通信システム

VBRデータ受信時やパケットロスが発生したような場合でも、受信側で再生タイミングを忠実に再現して、通信品質の向上を図る。送信レート認識部(21)は、タイムスタンプから送信レートを認識する。メモリ(22)は、データを格納する。ダミーデータ付加部(23)は、メモリ(22)に対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータを、メモリ(22)への書き込みデータに付加する。読み出しクロック生成部(24)は、読み出しレートと等しい読み出しクロックを生成する。ダミーデータ除去部(24)は、メモリ(22)から読み出しクロックで読み出されたデータから、ダミーデータを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、通信システムに関し、特に非同期ネットワーク上で情報通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
近年、インターネットを中心とするIPネットワーク・トラフィックの爆発的な増大に伴い、画像/音声データの配信が盛んに行われており、さらなるサービスの高度化、広域化が望まれている。
画像/音声データをリアルタイムで伝送する際には、送受信間でタイミングを合わせる必要があるが、非同期のIPネットワークでは、送信側と受信側は共通の基準クロックを持っていない。このため、受信装置では、送信側のクロックに同期したデータを一旦生成する必要があり、そのデータに対して復号化等の処理を行うことになる。
図10は従来の受信装置を有する通信システムの構成を示す図である。通信システム1aは、固定伝送速度でトラフィックの一定帯域を確保するCBR(Constat Bit Rate)の通信を行うシステムである。送信装置100はIPネットワーク31に接続し、IPネットワーク31はLAN32と接続し、LAN32は受信装置200と接続する。
受信装置200は、I/F部206、メモリ202、PLL(Phase Locked Loop)制御部204から構成される。また、PLL制御部204は、格納データ量監視部204a、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)204bから構成される。
I/F部206は、送信装置100からIPネットワーク31、LAN32を介して送信された送信データを受信すると、送信データの中から有効データを抽出して、メモリ202へ送信する。また、接続するLAN32上の伝送クロックをメモリ202の書き込みクロックWCKとして出力する。
I/F部206は具体的には、パソコンやプリンタなどをLANに接続するための拡張カードであるNIC(Network Interface Card)に該当する。LAN32が例えば、10Mb/sのイーサネット(Ethernet:登録商標)であるならば、書き込みクロックWCKは10Mb/sになる。
メモリ202では、書き込みクロックWCKで有効データが書き込まれ、読み出しクロックRCKで読み出される。格納データ量監視部204aは、メモリ202内の格納データ量と設定しきい値との差分を監視し、差分情報を出力する。
VCO204bは、差分情報にもとづき、格納データ量と設定しきい値との差分がゼロになるように発振周波数を変えて、読み出しクロックRCKを生成し出力する。
すなわち、差分情報にもとづいて、設定しきい値に対して格納データ量が減っていることを認識した場合は、読み出しクロックRCKを遅くしてメモリ202からデータを読み出し、また設定しきい値に対して格納データ量が増えていることを認識した場合は、読み出しクロックRCKを速くしてメモリ202からデータを読み出すことで、メモリ202内のデータ占有量を一定に保つ(すなわち、読み出しクロックRCKを一定値に保つ)。
このように、一定レートで送信されるデータに対して、受信装置200のメモリ202の格納データ量が一定の占有量となるように読み出し制御を行うことで(ただし、書き込みクロックWCKの速度≦読み出しクロックRCKの速度)、送信レートに同期した読み出しデータを生成することができる。
受信側で再生タイミングを回復する従来技術としては、送信側の非同期クロックの時間情報を、同期網のクロックを基準にカウントして、カウント値をタイムスタンプとしてパケットに付加し、受信側ではタイムスタンプにもとづき、同期網のクロックを基準に再生タイミングを生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】 特許第2861515号公報(段落番号〔0024〕〜〔0026〕,第1図)
図10で上述した受信装置200は、CBRの固定ビットレートの通信には適用できる。しかし、映像のMPEG圧縮を考えた場合、絵柄が複雑な部分には多くのビット量を割り当て、絵柄が平坦な部分には少なくビット量を割り当てるVBR(Variable Bit Rate)のような可変ビットレート通信には適用することができないといった問題があった。
なぜなら、CBRの場合、伝送速度を6Mb/sとすれば、どの時間においてもビット量は6Mbitであるので、メモリ202に格納されるデータ量も一定割合で増えていく。このため、従来のように、メモリ202のデータ格納量を一定に保つようにしきい値を設定してPLL制御を行い、読み出しレートが一定となるように読み出せば、送信側のデータ発生間隔で、メモリ202からデータを読み出すことができる。
一方、VBRの場合は、場所々々によって、ビット量は変動しているので(伝送速度が6Mb/sなら、ある時間帯のトータルで6Mbitである)、メモリ202に格納されるデータ量も一定割合では増えない。このような状態で、従来のような固定のしきい値を用いてメモリ202のデータ量を一定に保つPLL制御を行うと、送信側クロックに同期した読み出しクロックを再生することはできず、送信側のデータ発生間隔におけるメモリ202の読み出しを忠実に再現することができない。その結果、画像の色ずれや音声の間延び/早送りといった問題が発生していた。
また、IPネットワーク31上でパケットロスが生じた場合にも、VBRのデータ受信のときと同様な理由で、受信装置200は送信側のデータ発生間隔を忠実に再現することができない。さらに、従来技術(特許第2861515号公報)では、クロック同期のとれた網上で、非同期の送受信装置がパケット通信を行うことを前提として、同期網のクロックにもとづき、受信側で再生クロックを生成する構成としており、完全な非同期ネットワーク上でのパケット通信には適用することができない。
【発明の開示】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、VBRデータ受信時やパケットロスが発生したような場合でも、受信側で再生タイミングを忠実に再現して、通信品質の向上を図った通信システムを提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、情報通信を行う通信システム1において、タイムスタンプをパケットに含めて送信する送信装置10と、タイムスタンプから送信レートを認識する送信レート認識部21と、受信データを格納するメモリ22と、メモリ22に対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのデータを、メモリ22への書き込みデータに付加するデータ付加部23と、読み出しレートに従った読み出しクロックRCKを生成する読み出しクロック生成部24と、メモリ22から読み出しクロックRCKで読み出されたデータから、付加したデータを除去するデータ除去部25と、から構成される受信装置20と、を有することを特徴とする通信システム1が提供される。
ここで、送信レート認識部21は、タイムスタンプから送信レートを認識する。メモリ22は、データを格納する。データ付加部23は、メモリ22に対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのデータを、メモリ22への書き込みデータに付加する。読み出しクロック生成部24は、読み出しレートに従った読み出しクロックを生成する。データ除去部25は、メモリ22から読み出しクロックで読み出されたデータから、付加したデータを除去する。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の通信システムの原理図である。
図2は、送信レートの認識動作を説明するための図である。
図3は、付加すべきダミーデータのビット量を示す図である。
図4は、付加すべきダミーデータのビット量を示す図である。
図5は、ダミーデータが付加された補正用データを示す図である。
図6は、MPEG送信装置の構成を示す図である。
図7は、MPEG受信装置の構成を示す図である。
図8は、VBRデータ時の動作を示すタイムチャートである。
図9は、パケットロス発生時の動作を示すタイムチャートである。
図10は、従来の受信装置を有する通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の通信システムの原理図である。通信システム1は送信装置10、受信装置20を含み、非同期のネットワーク(IPネットワーク)31を介して情報通信を行うシステムである。
送信装置10は、パケットに時刻情報であるタイムスタンプを付加して送信する。受信装置20に対し、送信レート認識部21は、タイムスタンプから送信レート(送信ビットレート)を認識する。メモリ22は、送信されたデータに、必要に応じてダミーデータが付加されたデータ(補正用データ)を格納する。
データ付加部(以下、ダミーデータ付加部)23は、メモリ22に対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのデータ(ダミーデータ)を、メモリ22への書き込みデータに付加する。
読み出しクロック生成部24は、設定した読み出しレートに従った(設定した読み出しレート等しい)読み出しクロックRCKを生成する。データ除去部(以下、ダミーデータ除去部)25は、メモリ22から読み出しクロックRCKで読み出されたデータから、付加したダミーデータを抽出して除去する。そして、ダミーデータが除去されたデータは、後段の処理部で復号化される。
次に送信レートの認識動作について説明する。図2は送信レートの認識動作を説明するための図である。まず、送信装置10では、装置内部の時計にもとづいて、パケット送信時刻に対応するタイムスタンプをパケットに付加して送信する。なお、簡単な例として、1ビットのデータ伝送を行うものとして以下説明する。
〔S1〕時刻t0で、送信装置10は、データD0にタイムスタンプTS0(時刻情報=0秒)を付加して送信する。
〔S2〕時刻t1で、送信装置10は、データD1にタイムスタンプTS1(時刻情報=1秒)を付加して送信する。
〔S3〕受信装置20の送信レート認識部21は、データD0、D1を受信すると、付加されているタイムスタンプTS0、TS1から、データD0、D1の送信間隔が1秒(=1秒−0秒=(タイムスタンプTS1の時刻情報)−(タイムスタンプTS0の時刻情報))であることを知り、送信データのビット量は1ビットなので、時刻t0〜t1の間は、送信レートが1(=1ビット/1秒)b/sであることを認識する。
〔S4〕時刻t2で、送信装置10は、データD2にタイムスタンプTS2(時刻情報=2秒)を付加して送信する。
〔S5〕送信レート認識部21は、データD2を受信すると、タイムスタンプTS1、TS2から、データD1、D2の送信間隔が1秒(=2秒−1秒=(タイムスタンプTS2の時刻情報)−(タイムスタンプTS1の時刻情報))であることを知り、送信データのビット量は1ビットなので、時刻t1〜t2の間は、送信レートが1b/sであることを認識する。
〔S6〕時刻t3で、送信装置10は、データD3にタイムスタンプTS3(時刻情報=2.5秒)を付加して送信する。
〔S7〕送信レート認識部21は、データD3を受信すると、タイムスタンプTS2、TS3から、データD2、D3の送信間隔が0.5秒(=2.5秒−2秒=(タイムスタンプTS3の時刻情報)−(タイムスタンプTS2の時刻情報))であることを知り、送信データのビット量は1ビットなので、時刻t2〜t3の間は、送信レートが2(=1ビット/0.5秒)b/sであることを認識する。このようにして、送信レート認識部21は、送信装置10がパケットに付加したタイムスタンプの情報にもとづき、送信レートを認識することができる。
次にダミーデータの付加動作について図3〜図5を用いて説明する。図3、図4は付加すべきダミーデータのビット量を示す図である。図中のグラフの縦軸はビット量、横軸は時間である。なお、簡単な例として、2ビットのデータ伝送を行うものとして以下説明する。
送信装置10は、それぞれ2ビットのデータd0〜d3に対し、データd0にタイムスタンプTS0(時刻情報=0秒)、データd1にタイムスタンプTS1(時刻情報=1秒)、データd2にタイムスタンプTS2(時刻情報=2秒)、データd3にタイムスタンプTS3(時刻情報=3秒)を付加して、1秒間隔で送信するものとする。また、受信装置20のメモリ22の読み出しレートを6b/sとする。
図3に対し、受信装置20の送信レート認識部21は、データd0、d1を受信すると、付加されているタイムスタンプTS0、TS1から、データd0、d1の送信間隔が1秒であることを知り、送信データのビット量は2ビットなので、時刻t0〜t1の間は、送信レートが2(=2ビット/1秒)b/sであることを認識する。
読み出しレートが6b/sであるから、ダミーデータ付加部23は、この場合、読み出しレート(6b/s)と送信レート(2b/s)の差を補正するために、4ビットのダミーデータを、データd0に付加してメモリ22へ書き込むことになる。同様にして、データd1、d2に対しても4ビットのダミーデータが付加された後に、メモリ22に書き込まれる。
一方、図4では送信装置10から送信されたデータd1がネットワーク上で欠落した場合を示している。受信装置20の送信レート認識部21は、データd0、d2を受信すると、付加されているタイムスタンプTS0、TS2から、データd0、d2の送信間隔が2秒であることを知り、送信データのビット量は2ビットなので、時刻t0〜t2の間は、送信レートが1(=2ビット/2秒)b/sであることを認識する。
読み出しレートが6b/sであるから、ダミーデータ付加部23は、この場合、読み出しレート(6b/s)と送信レート(1b/s)の差を補正するために、10ビットのダミーデータを、データd0に付加してメモリ22へ書き込むことになる。
図5はダミーデータが付加された補正用データを示す図である。図4の送信データd1が欠落したときのダミーデータ付加動作の様子を示している。データd1が欠落すると、上述のように10ビットのダミーデータがデータd0に付加されて補正用データが生成される。そして、メモリ22からこの補正用データが読み出しレート6b/sで読み出される。
もし、ダミーデータを付加せずに送信データをメモリ22に書き込むと、データd1が欠落しているため、ここの間はメモリ22の格納領域を詰めて書き込むことになる。このとき、メモリから一定レートの読み出しを行うと、メモリからのデータ読み出し間隔は、送信データ間隔を忠実に再現することはできない。
一方、本発明では、読み出しレートに等しくなるように、送信データにダミーデータを付加してメモリ22への書き込みを行っている。したがって、データd1が欠落していても、メモリ22への書き込み時、格納領域が詰められてしまうことはなく、メモリ22から一定レートの読み出しを行うと、メモリ22からのデータ読み出し間隔は、送信データ間隔を忠実に再現することができる(図では、欠落部分に対しては6ビットのダミーデータが読まれることになるが、後段のダミーデータ除去部25でダミーデータはすべて除去される)。
なお、上記では、データの欠落に対して本発明の動作概要を説明したが、送信間隔が一定でないVBRデータの受信時でも同様な動作により、本発明は送信データ間隔を忠実に再現することができる。
次に本発明をMPEGのシステムに適用した場合の構成及び動作について説明する。図6はMPEG送信装置の構成を示す図であり、図7はMPEG受信装置の構成を示す図である。
図6のMPEG送信装置10aは、発振器11、タイムスタンプカウンタ12、読み出し/付加制御部13、MPEGエンコーダ14、タイムスタンプ付加部15、I/F部16から構成される。
発振器11は、MPEG送信装置10aが動作するための基準クロックを発振し、タイムスタンプカウンタ12及び読み出し/付加制御部13へ入力する。タイムスタンプカウンタ12は、基準クロックにもとづいてカウントを行う。読み出し/付加制御部13は、MPEGエンコーダ14に読み出しイネーブルを出力し、また、タイムスタンプ付加部15にタイムスタンプ付加イネーブルを出力する。
MPEGエンコーダ14は、MPEGデータを符号化して、通信・放送系で使用するトランスポートパケット(188バイトの固定長パケットで、これが複数個集まってトランスポートストリームが形成される)を生成し、読み出しイネーブルにもとづいて出力する。
タイムスタンプ付加部15は、タイムスタンプ付加イネーブルを受信したときのタイムスタンプカウンタ12から出力されるカウンタ値をタイムスタンプとして、トランスポートパケットに付加する。I/F部16は、タイムスタンプが付加されたトランスポートパケットのフォーマットをIP化して、IPネットワーク31へ出力する。
図7のMPEG受信装置20aは、送信レート認識部21、メモリ22、ダミーデータ付加部23、PLL制御部24a(読み出しクロック生成部24に該当)、ダミーデータ除去部25、NIC26、MPEGデコーダ27から構成される(MPEGデコーダ27を除く構成ブロックが再生タイミング回復部20a−1に該当する)。また、送信レート認識部21は、タイムスタンプ分離部21a、データ量計測部21b、制御部21cから構成され、PLL制御部24aは、格納データ量監視部24a−1、VCO24a−2から構成される。
LAN32とのインタフェースをとるNIC26は、MPEG送信装置10aからIPネットワーク31及びLAN32を介して送信された送信データを受信すると、送信データの中から有効データ(トランスポートパケット)を抽出する。また、接続するLAN32上の伝送クロックをメモリ22の書き込みクロックWCKとして出力する。
タイムスタンプ分離部21aは、トランスポートパケットの中からタイムスタンプを分離する。データ量計測部21bは、タイムスタンプ間隔に含まれるデータ量を計測する(ここでは1パケット毎にタイムスタンプが付加され、1パケット=188バイトと固定なので、タイムスタンプ間隔に含まれるデータ量は188バイトであるが、可変長パケット通信にも対応可能とするために設けられている)。制御部21cは、タイムスタンプとデータ量から送信レートを算出する。
ダミーデータ付加部23は、メモリ22に対する設定された読み出しレートにもとづいて、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータを、トランスポートパケットに付加し、これをメモリ22への書き込みデータとする。メモリ22は、書き込みクロックWCKにもとづき、ダミーデータが付加されたトランスポートパケットを格納する。
格納データ量監視部24a−1は、メモリ22内の格納データ量と設定しきい値との差分を監視し、差分情報を出力する。VCO24a−2は、差分情報にもとづき、格納データ量と設定しきい値との差分がゼロになるように発振周波数を変えて、読み出しレートと等しい読み出しクロックRCKを生成し出力する。
ダミーデータ除去部25は、読み出しクロックRCKで読み出された読み出しデータからダミーデータを除去する。MPEGデコーダ27は、ダミーデータ除去部25から出力されたトランスポートパケットを復号化する。
次にタイムチャートを用いて動作について説明する。図8はVBRデータ受信時の動作を示すタイムチャートである。データP1はMPEGエンコーダ14の出力、データP2はI/F部16の出力、データP3はNIC26の入力、データP4はダミーデータ付加部23の出力、データP5はメモリ22の出力を表している。
〔P1〕MPEG送信装置10aのMPEGエンコーダ14は、トランスポートパケットA〜Eを出力する。なお、トランスポートパケットA〜Eそれぞれに対して、タイムスタンプ付加部15によって、タイムスタンプTS1〜TS5が付加される。タイムスタンプTS1〜TS5それぞれの時刻情報はt1〜t5とする。
また、トランスポートパケットの送信間隔は一定ではなく、トランスポートパケットA、Bの送信間隔をTA〜B、トランスポートパケットB、Cの送信間隔をTB〜C、トランスポートパケットC、Dの送信間隔をTC〜D、トランスポートパケットD、Eの送信間隔をTD〜Eとすると、TA〜B=TB〜C<TC〜D=TD〜Eというようにパケットの送信間隔は広がっている。
〔P2〕MPEG送信装置10aのI/F部16は、タイムスタンプTS1〜TS5が付加されたトランスポートパケットA〜Eをネットワーク上へ順次出力する。
〔P3〕MPEG受信装置20aのNIC26は、トランスポートパケットA〜Eを受信する。ただし、ネットワーク伝送上における遅延要素によって、トランスポートパケットの到着時間にばらつき(到着時間のばらつきをジッタと呼ぶ)が生じているものとする。ここでは、トランスポートパケットA、Bの受信間隔TjA〜Bは、送信間隔TA〜Bより短いとし、トランスポートパケットB、Cの受信間隔TjB〜Cは、送信間隔TB〜Cより長いとする。
〔P4〕送信レート認識部21は、タイムスタンプTS1、TS2から、トランスポートパケットA、Bの送信間隔(t2−t1=TA〜B)を算出し、この算出結果とパケットデータ量とから時間TA〜Bにおける送信レートを認識する。そして、ダミーデータ付加部23は、メモリ22の読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータM1をトランスポートパケットAに付加する。
また、送信レート認識部21は、タイムスタンプTS2、TS3から、トランスポートパケットB、Cの送信間隔(t3−t2=TB〜C)を算出し、この算出結果とパケットデータ量とから時間TB〜Cにおける送信レートを認識する。ダミーデータ付加部23は、メモリ22の読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータM2をトランスポートパケットBに付加する。以下、同様にして、ダミーデータM3、M4が生成され、トランスポートパケットC、Dに付加される。
〔P5〕メモリ22からは、格納データ量が一定の占有量となるように、常に一定の読み出しクロックRCKで、ダミーデータが付加されているデータが読み出される。したがって、VBRデータ受信時においても、送信側のデータ発生間隔で、メモリ22からデータを読み出すことができる。また、メモリ22は、ジッタバッファの役目を果たしており、メモリ22でデータを一時的に保持することで、ジッタが吸収される。
図9はパケットロス発生時の動作を示すタイムチャートである。なお、データP1、P2までは図8と同様なので、受信側での処理のデータP3−1、P4−1、P5−1について説明する。データP3−1はNIC26の入力、データP4−1はダミーデータ付加部23の出力、データP5−1はメモリ22の出力を表している。
〔P3−1〕MPEG受信装置20aのNIC26は、トランスポートパケットA〜Eを受信する。ただし、ここでは、ネットワーク伝送上でトランスポートパケットBがロスしたとする。
〔P4−1〕送信レート認識部21は、タイムスタンプTS1、TS3から、トランスポートパケットA、Cの送信間隔(t3−t1=TA〜B+TB〜C)を算出し、この算出結果とパケットデータ量とから時間TA〜B+TB〜Cにおける送信レートを認識する。ダミーデータ付加部23は、メモリ22の読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータM1aをトランスポートパケットAに付加する。また、ダミーデータM3、M4が生成され、トランスポートパケットC、Dに付加される。
〔P5−1〕メモリ22からは、格納データ量が一定の占有量となるように、常に一定の読み出しクロックRCKで、ダミーデータが付加されているデータが読み出される。したがって、パケットロスが生じた場合でも、送信側のデータ発生間隔で、メモリ22からデータを読み出すことができる。
以上説明したように、本発明によれば、受信側のバッファメモリにデータを入力する時点でダミーデータを付加して、固定レート化することで、VBRやパケットロス時でも送信側でのデータ発生間隔を忠実に再現することが可能になる。また、上記ではMPEG画像の送受信装置に本発明を適用した例を示したが、非同期で接続する多様な送受信装置に対して本発明は適用可能である。
以上説明したように、本発明の通信システムは、送信装置は、タイムスタンプをパケットに付加して送信し、受信装置は、タイムスタンプから送信レートを認識し、メモリに対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータを付加してデータをメモリに格納して読み出す構成とした。これにより、VBRデータ受信時やパケットロスが発生したような場合でも、受信側で再生タイミングを忠実に再現することができ、通信品質の向上を図ることが可能になる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信を行う通信システムにおいて、
タイムスタンプをパケットに含めて送信する送信装置と、
タイムスタンプから送信レートを認識する送信レート認識部と、受信データを格納するメモリと、前記メモリに対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのデータを、前記メモリへの書き込みデータに付加するデータ付加部と、読み出しレートに従った読み出しクロックを生成する読み出しクロック生成部と、前記メモリから読み出しクロックで読み出されたデータから、付加したデータを除去するデータ除去部と、から構成される受信装置と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
送信側の再生タイミングを回復する受信装置において、
送信側で付加されたタイムスタンプから送信レートを認識する送信レート認識部と、
データを格納するメモリと、
前記メモリに対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのデータを、前記メモリへの書き込みデータに付加するデータ付加部と、
読み出しレートに従った読み出しクロックを生成する読み出しクロック生成部と、
前記メモリから読み出しクロックで読み出されたデータから、付加したデータを除去するデータ除去部と、
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
MPEGのトランスポートストリームを受信するMPEG受信装置において、
送信側でトランスポートパケットに付加されたタイムスタンプから送信レートを認識する送信レート認識部と、データを格納するメモリと、前記メモリに対する読み出しレートを設定した際に、読み出しレートと送信レートの差を補正するためのダミーデータを、前記メモリへの書き込みトランスポートパケットに付加するダミーデータ付加部と、前記メモリ内の格納データ量と設定しきい値との差分を監視して、差分情報を生成し、差分情報にもとづき、格納データ量と設定しきい値との差分がゼロになるように発振周波数を変えて、読み出しレートに等しい読み出しクロックを生成するPLL制御部と、前記メモリから読み出しクロックで読み出されたデータから、ダミーデータを除去するダミーデータ除去部と、から構成される再生タイミング回復部と、
ダミーデータが除去されたトランスポートパケットを復号化するMPEGデコーダと、
を有することを特徴とするMPEG受信装置。
【請求項4】
受信データを記憶する記憶部を備えるとともに、前記記憶部に記憶した対象データのデータ量を一定とするように読み出しレートを制御する機能を備えた受信装置において、
パケットデータに含まれる情報にもとづいて、送信側における符号化装置の送信レートに前記読み出しレートが近づくように、可変長のデータを前記対象データに加えるデータ付加部と、
付加されたデータによりレートが制御されて読み出された読み出しデータに含まれる可変長のデータを少なくとも除いて出力する付加データ除去部と、
を有することを特徴とする受信装置。

【国際公開番号】WO2005/006688
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503859(P2005−503859)
【国際出願番号】PCT/JP2003/008812
【国際出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】