説明

通信端末、通信相手データの処理方法およびプログラム

【課題】
通信端末単独で、無効な通信相手の識別情報の検出を可能とする。
【解決手段】
通信端末は、
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段と、
下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を行う無効データ判定手段を備える。
(A)識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、通信相手データの処理方法およびプログラムに関し、特に無効な通信相手の識別情報を検出できる通信端末、通信相手データの処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大半の携帯電話端末には電話帳機能が備えられており、ユーザは任意の電話番号を電話帳データとして登録しておくことができる。また、固定電話端末にも同様の電話帳機能を備えるものが存在する。
【0003】
電話端末に割り当てられた電話番号は、何らかの理由で変更や解約されることがある。例えば、契約している通信事業者の変更または解約や、嫌がらせ電話の回避等がその理由として挙げられる。この場合、この電話番号を電話帳に登録している電話端末においては、通信できない無効な電話番号が電話帳に残されることになる。
【0004】
さらに、変更または解約されて未使用となった電話番号は、ある一定期間が経過すると別の電話端末に割り当てられることがある。この場合、この電話番号を電話帳に登録している電話端末においては、この電話番号が新たに割り当てられた電話端末に間違い電話をかけてしまう可能性がある。
【0005】
このような電話番号の変更または解約に伴う無効な電話帳データの発生を検出するためには、ユーザは、電話帳に登録されている電話番号全てに電話をかけて確認する必要がある。しかしこれはユーザにとって多大な負担であるという問題点があった。
【0006】
また、上記の問題点は、電話番号だけではなく、電子メールにおけるメールアドレスや、インスタントメッセンジャーにおけるユーザIDなど、これら通信方法における通信相手の識別情報についても同様であった。
【0007】
このような問題点を解決する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1の電話帳管理システムは、電話端末の電話帳データをサーバに登録しておき、電話番号の変更があった場合に、その電話番号を電話帳に記憶している電話端末がその変更の通知を受けられるようにする。
【0008】
【特許文献1】特開2004−23414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は以下の問題点を持っている。
(1)電話端末の電話帳データを管理するサーバが必要であり、導入コストが高くなる。
(2)一部の電話端末(例えばこのサーバと通信処理を行わない電話端末など)においては、その電話端末の電話番号が変更されてもその変更を検出できない。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決する通信端末、通信相手データの処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る通信端末は、
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段と、
下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を行う無効データ判定手段を備えることを特徴とする。
(A)識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【0012】
本発明に係る通信相手データの処理方法は、
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段を備える通信端末において、下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を行うことを特徴とする。
(A)識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【0013】
本発明に係るプログラムは、
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段を備える通信端末のコンピュータに、下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を実行させることを特徴とする。
(A)識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る通信端末、通信相手データの処理方法およびプログラムは、通信端末単独で、それ自身が記憶する、無効な通信相手の識別情報の検出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信端末が適用される通信システムを示すシステム構成図である。第1の実施形態に係る通信端末1は、通信ネットワーク2に接続され、通信相手端末3と通信を行う。通信端末1および通信相手端末3は携帯電話端末やPHS(Personal Handy-phone System)端末のような移動体通信端末であってもよいし、固定電話端末やデスクトップコンピュータのような固定通信端末であってもよい。通信端末1は、通信相手の識別情報を含む、通信相手データ111を記憶する記憶部11と、変更または解約などにより無効となった識別情報を検出する無効データ判定部121を備えている。これらの構成要素は、ハードウェアで構成されていてもよいし、ソフトウェアで構成されていてもよい。
【0017】
無効データ判定部121は、まず通信相手データ111が含む識別情報が示す通信相手への通信の発信を行う。そして、この発信に対してこの識別情報が無効である旨の応答を通信ネットワーク2から受信した場合に、この識別情報が無効であると判定する。この処理を無効データ判定処理と称する。
【0018】
このように、無効データ判定部121は、通常の通信手順に従った発信および受信を行うことにより、通信相手の識別情報が無効であるかどうかの判定を行う。このことにより、本発明の第1の実施形態に係る通信端末は、サーバ等の設備を追加することなく、また、通信相手端末に特別な処理・機能を追加することなく、通信端末単独で無効な識別情報を検出することができる。
【0019】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0020】
第2の実施形態に係る電話端末は、第1の実施形態に係る通信端末を、電話通信システムで使用される電話端末に適用したものである。
【0021】
第2の実施形態に係る電話端末1Aの構成を図2を参照して説明する。図2は、電話端末1Aの主要な機能構成を示すブロック構成図である。
【0022】
電話端末1Aは、記憶部11と、制御部12と、通信インタフェース部13と、表示部14と、入力操作部15を主要な構成要素として備えている。記憶部11は、第1の実施形態における通信相手データ111に相当する電話帳データ111Aを記憶する。制御部12は、無効データ判定処理、電話通信の発着信の制御、電子メールの送受信の制御およびその他装置全般の制御を行う。通信インタフェース部13は、通信ネットワーク2とのインタフェース処理を実行する。表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示装置から構成される。入力操作部15は、テンキーやカーソルキー、決定キー等から構成される。さらに制御部12は、第1の実施形態で説明した無効データ判定部121と、無効な電話帳データ111Aを仕分処理する無効データ仕分部122を備えている。これらの構成要素は、ハードウェアで構成されていてもよいし、ソフトウェアで構成されていてもよい。
【0023】
ここで、記憶部11および電話帳データ111Aの内容について図3を参照して説明する。電話帳データ111Aは、個々の電話帳データに一意に採番されたID1111、通信相手の名前1112、および電話番号1113を含む。また、記憶部11は、無効なデータであると判定された電話帳データ111Aを格納する無効データ格納領域119を備えている。
【0024】
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係る電話端末の動作を説明する。図4は、第2の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。制御部12は、前回の無効データ判定処理実施より予め設定された期間が経過すると、無効データ判定部121に無効データ判定処理の開始を指示する。この処理間隔の期間は、間違い電話発信を防止するために、変更または解約されて未使用となった電話番号が再割り当てされるまでの期間よりも短い期間を設定することが好ましい。また、頻繁な発信による通信費増大や通信相手への迷惑を抑制するために、ある程度長い期間を設定することが好ましい。
【0025】
無効データ判定処理開始の指示を受けると、無効データ判定部121は、まず、まだ判定処理していない電話帳データ111Aのうち1件を抽出する(ステップS101)。そして、抽出した電話帳データ111Aが含む電話番号に対し、通信インタフェース部13を通して電話通信の発信を行う(ステップS102)。これは、例えばISDN(Integrated Services Digital Network)や移動体電話通信、IP(Internet Protocol)電話などのデジタル電話の場合、通信ネットワーク2に対して呼を設定するメッセージ(SETUP、INVITEなど)を送信する。また、例えばアナログ電話の場合、DP(Dial Pulse)信号やDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号などの、呼設定のための電気信号を発信する。
【0026】
次に、無効データ判定部121は、通信ネットワーク2から受信した応答を確認し、発信先の電話番号が無効/有効のいずれかであるかを判定する(ステップS103)。ここで、発信先の電話番号が無効であるために通信が接続不可能である、という旨の応答を通信ネットワーク2から受信した場合、この電話番号は無効であると判定される(ステップS103の「無効」)。この応答は、「おかけになった電話番号は現在使われておりません」のトーキー(音声案内)であってもよい。または、デジタル電話の場合、無効な電話番号であることを表す呼切断メッセージ(Disconnect cause=Unassigned number、Response=Not foundなど)であってもよい。なお、電話端末1Aは、このトーキーを識別するために音声認識機能を備えていてもよい。
【0027】
一方で、発信先の電話番号に対する通信が接続可能である、という旨の応答を受信した場合、この電話番号は有効であると判定される(ステップS103の「有効」)。この応答は、呼出中であることを示すリングバックトーン(呼び出し音)の音声であってもよい。または、デジタル電話の場合、通信相手の呼出中メッセージ(Alerting、Ringingなど)や応答メッセージ(Connect、OKなど)であってもよい。なお、電話端末1Aは、リングバックトーンを識別するために音声認識機能を備えていてもよい。発信先の電話番号が有効であると判定された場合、通信費の発生や通信相手への迷惑を抑制するために、通信相手が応答する前に速やかに発信を中止することが好ましい。
【0028】
ステップS103の判定が「無効」であった場合、無効データ判定部121は、ステップS101で抽出したこの電話帳データ111Aの仕分処理を無効データ仕分部122に指示する。無効データ仕分部122は、この指示を受けて、この電話帳データ111Aの仕分処理を行う。(ステップS104)。仕分処理については、詳細を後述する。
【0029】
ステップS104が終了するか、ステップS103の判定が「有効」であった場合、無効データ判定部121は、まだ判定処理していない電話帳データ111Aが存在するかどうかをチェックする(ステップS105)。存在する場合、再度ステップS101に戻り無効データ判定処理を続行する。存在しない場合、無効データ判定処理を終了する。
【0030】
次に、図5〜9を参照して、第2の実施形態における電話帳データ111Aの仕分処理を説明する。
【0031】
図5は、無効データ判定処理が開始する前の記憶部11の状態を表している。また、図6は、無効データ判定処理が終了した後の記憶部11の状態を表している。この無効データ判定処理においては、IDが「002」である電話帳データ111Aが含む電話番号「070−2222−xxxx」が無効であると判定されている。その結果を受けて、無効データ仕分部122は、この電話帳データ111Aを無効データ格納領域119に移動している。
【0032】
この無効データ判定処理の前後において、電話端末1Aにおける電話帳表示機能を実行した様子を図7,8に示す。電話帳表示機能は、例えば入力操作部15が備える電話帳表示キーが押下されることにより実行される。図7は、図5の状態の記憶部11における電話帳データ111Aが表示部14に一覧表示された様子を表している。また、図8は、図6の状態の記憶部11における電話帳データ111Aが表示部14に一覧表示された様子を表している。図8を参照すると、無効データ格納領域119に移動された、IDが「002」である電話帳データ111Aが一覧表示より除外されている。また、図7,8の両方には無効データの存在有無を表すごみ箱アイコン141が表示されている。図8のごみ箱アイコン141には、無効データが存在することを示すごみマーク142が表示されている。
【0033】
さらに、記憶部11が図6の状態において、電話端末1Aにおける無効データ表示機能を実行した様子を図9に示す。無効データ表示機能は、例えば図7,8のごみ箱アイコン141を、入力操作部15が備えるカーソルキーと決定キーで選択・決定することにより実行される。図9を参照すると、無効データ判定処理において無効データ格納領域119に移動された、IDが「002」である電話帳データ111Aが表示部14に表示されている。この無効データ格納領域119に移動された電話帳データ111Aは、ユーザの削除指示などにより、記憶部11より完全に削除することができる。また、ユーザの復元指示などにより、無効データ格納領域119から元の場所に戻すこともできる。
【0034】
なお、無効データ仕分部122は、無効であると判定された電話番号を含む電話帳データ111Aを無効データ格納領域119に移動するかわりに、即座に記憶部11より削除するようにしてもよい。この場合、削除したデータを復元することができなくなるかわりに、記憶部11の使用容量を節約することができる。
【0035】
以上説明したように本発明の第2の実施形態に係る電話端末は、サーバ等の設備を追加することなく、また、他の電話端末に処理・機能を追加することなく、電話端末単独で無効な電話番号を検出することができる。その理由は、無効データ判定部121が通常の電話通信手順に従って発信を行い、その発信に対する応答を確認することにより、発信先の電話番号が無効であるかどうかの判定を行うからである。すなわち、無効データ判定処理が、通常の電話通信処理とは異なる処理・機能を、電話端末1Aの外部に必要としないからである。このため、この電話端末は、電話帳データを管理するサーバの導入が必要な特許文献1に開示された電話帳管理システムに比べ、導入にかかる費用を低減させる。
【0036】
また、本発明の第2の実施形態に係る電話端末は、無効な電話番号を含む電話帳データを自動的に仕分けることが出来る。その理由は、無効データ判定処理で検出された無効な電話番号を含む電話帳データを、無効データ仕分部が無効なデータを格納する領域に移動したり、削除したりするからである。
【0037】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0038】
第3の実施形態における無効データ判定処理は、発信先の電話番号が無効とも有効とも判定できなかった場合の処理を行う点が第2の実施形態と異なっている。
【0039】
第3の実施形態に係る電話端末の主要な機能構成は、図2と同様であるため、説明を省略する。また、記憶部11および電話帳データ111Aの内容も、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
図10を参照して、第3の実施形態に係る電話端末の動作を説明する。図10は、第3の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。なお、図10のフローチャートにおいて、図4のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。
【0041】
無効データ判定部121は、通信ネットワーク2から受信した応答を確認し、発信先の電話番号が無効/有効/不明のいずれかであるかを判定する(ステップS203)。ここで、発信先の電話番号が無効であるために通信が接続不可能である、という旨の応答を通信ネットワーク2から受信した場合、この電話番号は無効であると判定される(ステップS203の「無効」)。これは図4のステップS103と同様である。
【0042】
一方で、発信先の電話番号に対する通信が接続可能である、という旨の応答を受信した場合、この電話番号は有効であると判定される(ステップS203の「有効」)。これも図4のステップS103と同様である。
【0043】
ここで、上記の「無効」であるとも「有効」であるとも判定できない応答を受信した場合、この電話番号は無効であるか有効であるか不明であると判定される(ステップS203の「不明」)。この応答は、デジタル電話の場合、通信ネットワーク障害など、無効な電話番号以外の原因を表す呼切断メッセージであってもよい。また、「無効」,「有効」応答以外の全ての応答を「不明」と判定してもよい。
【0044】
ステップS203の判定が「不明」であった場合、無効データ判定部121は、この「不明」な電話番号の判定リトライを行う。まず、既に判定リトライ回数が予め設定された回数を超えたかどうかを判定する(ステップS206)。超えている場合は「有効」であると判定し、判定リトライを終了してステップS105に移行する。超えていない場合は、再度ステップS102に戻り判定処理を行う。そして、対象の電話番号の判定リトライ回数を計数するカウンタを1増加させる。なお、再度ステップS102に戻る前に待機時間を設けてもよい。
【0045】
ステップS203の判定が「無効」または「有効」であった場合、以降の処理は第2の実施形態のステップS103以降と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
なお、「不明」な電話番号の判定リトライ回数が予め設定された回数を超えた場合は「有効」であると判定したが、「無効」であると判定してもよい。この場合、第2の実施形態と同様に、無効データ仕分部122がこの電話帳データ111Aを仕分してもよい。
【0047】
あるいは、「不明」な電話番号の判定リトライ回数が予め設定された回数を超えた場合は、「有効」であるとも「無効」であるとも判定できない、としてもよい。この場合、この電話帳データ111Aは、記憶部11に設けられた、判定できないデータを格納する領域(図示しない)に移動されてもよいし、判定できないデータであることを示すフラグを付与されてもよい。または、判定できなかった電話帳データ111Aを示すレポートを作成し、表示部14に表示してユーザが確認できるようにしてもよい。
【0048】
さらには、判定リトライは全く行われずともよい。
【0049】
以上説明したように本発明の第3の実施形態に係る電話端末は、発信先の電話番号が無効であるか有効であるか判定できない応答を受信した場合、判定リトライなどの対応を行う。このため、一時的に通信相手との電話通信ができないような状況においても、電話番号が無効であるかどうかの判定を正確に行うことが出来る。
【0050】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0051】
第4の実施形態における無効データ判定処理は、電話番号の替わりに、メールアドレスが変更または解約された電話帳データを検出する点が第2の実施形態と異なっている。
【0052】
第4の実施形態に係る電話端末の主要な機能構成は、図2と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
第4の実施形態に係る記憶部11および電話帳データ111Aの内容について図11を参照して説明する。電話帳データ111Aは、個々の電話帳データに一意に採番されたID1111、通信相手の名前1112、およびメールアドレス1114を含む。また、記憶部11は、無効なデータであると判定された電話帳データ111Aを格納する無効データ格納領域119を備えている。
【0054】
次に、図12を参照して、第4の実施形態に係る電話端末の動作を説明する。図12は、第4の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。制御部12は、前回の無効データ判定処理実施より予め設定された期間が経過すると、無効データ判定部121に無効データ判定処理の開始を指示する。この処理間隔の期間は、頻繁な電子メール送信による通信費増大や通信相手への迷惑を抑制するために、ある程度長い期間を設定することが好ましい。
【0055】
無効データ判定処理開始の指示を受けると、無効データ判定部121は、まず、電話帳データ111Aの全件について、それぞれが含むメールアドレスに対し、通信インタフェース部13を通して電子メールの送信を行う(ステップS301)。
【0056】
次に、無効データ判定部121は、送信した電子メールに対する応答メールを通信インタフェース部13が受信したかどうかをチェックする(ステップS302)。受信した場合は、その応答メールを確認し、送信先のメールアドレスが無効/有効のいずれかであるかを判定する(ステップS303)。ここで、この応答メールが、送信先のメールアドレスが無効であるために電子メールが配信不可能である、という旨の内容であった場合、このメールアドレスは無効であると判定される(ステップS303の「無効」)。この応答メールは、例えば、通信ネットワーク2上の電子メールサーバから返信される、送信先のメールアドレスが存在しないことを通知する電子メールであってもよい。このような電子メールの文面の一例を図13に示す。図13を参照すると、この電子メールの文面には、送信元のメールアドレス("x-xxxxxx@codomo.ne.jp")、送信先のメールアドレス("□□@hardbank.ne.jp")、および送信先のメールアドレスが存在しなかったことを表す文章が含まれている。このような電子メールは、送信元と送信先のメールアドレス、およびその文章が含む特定のキーワード("Undeliverable","User unknown","Invalid recipient"など)を検出することにより、その内容を識別することが可能である。
【0057】
一方で、応答メールが上記のような内容ではなかった場合、このメールアドレスは有効であると判定される(ステップS303の「有効」)。
【0058】
ステップS303の判定が「無効」であった場合、無効データ判定部121は、このメールアドレスに対応する電話帳データ111Aの仕分処理を無効データ仕分部122に指示する。無効データ仕分部122は、この指示を受けて、この電話帳データ111Aの仕分処理を行う。(ステップS304)。この仕分処理は第2の実施形態で説明したものと同様である。すなわち、無効データ仕分部122が、無効であると判定されたメールアドレスを含む電話帳データ111Aを無効データ格納領域119に移動したり、削除したりする。
【0059】
ステップS302で応答メールを受信していないか、ステップS304が終了するか、ステップS303の判定が「有効」であった場合、無効データ判定部121は、ステップS301の電子メール送信から予め設定された応答待ち時間が経過したかどうかをチェックする(ステップS305)。経過していない場合、再度ステップS302に戻り無効データ判定処理を続行する。経過した場合、無効データ判定処理を終了する。なお、この応答待ち時間は、通信ネットワーク2上における電子メールの送受信にかかる平均的な時間に、ある程度の余裕時間を加算した値が設定されることが好ましい。
【0060】
以上説明したように本発明の第4の実施形態に係る電話端末は、サーバ等の設備を追加することなく、また、他の電話端末に処理・機能を追加することなく、電話端末単独で無効なメールアドレスを検出することができる。その理由は、無効データ判定部121が通常の電子メール手順に従って送信を行い、その送信に対する応答を確認することにより、発信先のメールアドレスが無効であるかどうかの判定を行うからである。すなわち、無効データ判定処理が、通常の電子メール送受信処理とは異なる処理・機能を、電話端末1Aの外部に必要としないからである。このため、この電話端末は、導入にかかる費用を低減させる。
【0061】
また、本発明の第4の実施形態に係る電話端末は、無効なメールアドレスを含む電話帳データを自動的に仕分けることが出来る。その理由は、無効データ仕分処理で検出された無効なメールアドレスを含む電話帳データを、無効データ仕分部が無効なデータを格納する領域に移動したり、削除したりするからである。
【0062】
以上のとおり、電話番号またはメールアドレスを記憶する電話帳機能を備えた電話端末を例に本発明の実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、SMS(Short Message Service)や、インスタントメッセンジャーの機能を備えた通信端末に適用されてもよい。さらには、通信相手の識別情報の記憶機能を持つ通信端末を使用し、無効な通信相手への発信を行うとその旨が発信側の通信端末に通知される、他の通信方法に適用されてもよい。
【0063】
本発明の実施形態においては、無効データ判定処理は予め設定された期間ごとに実行されるとしたが、ユーザが指定した任意のタイミングで実行されてもよい。
【0064】
また、無効データ判定処理は、予め設定された期間ごとに全ての電話帳データに対して実行されるとしたが、個々の電話帳データによって実行の周期が異なってもよい。さらには、個々の電話帳データによって無効データ判定処理を行ったり行わなかったりしてもよい。その場合、電話帳データに、実行の周期や、前回実行した日付や、実行の要否を記憶してもよい。また、これらをユーザが設定できてもよい。例えば、企業や店舗などの電話番号は、個人加入者の電話番号より一般的に変更頻度が低い。そのため、これらの電話番号に対する判定処理を行わない、または判定の周期を長くすることにより、無用な通信費の発生や通信相手への迷惑を抑制することができる。
【0065】
また、無効データに対する処理として、データの削除や無効データ格納領域への移動以外の処理を行ってもよい。例えば、ユーザへ無効データの存在を知らせる表示処理を行ってもよい。具体的には、実行データ判定処理結果レポートとして無効データの一覧を画面に表示してもよい。または、電話帳表示機能を実行すると、該当する電話帳データに無効データであることを表すアイコンやメッセージが表示されてもよい。
【0066】
また、それぞれの電話帳データが複数の電話番号やメールアドレス、あるいはその両方を含んでもよい。その場合、その一部の電話番号やメールアドレスが無効であると判定された電話帳データは、その一部が削除または移動されてもよいし、その全部が削除または移動されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信端末が適用される通信システムを示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第2〜4の実施形態に係る電話端末の主要な機能構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の第2,3の実施形態における記憶部11および電話帳データ111Aの内容を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。
【図5】無効データ判定処理が開始する前の記憶部11の状態を表す図である。
【図6】無効データ判定処理が終了した後の記憶部11の状態を表す図である。
【図7】図5の状態の電話帳データ111Aが表示部14に一覧表示された様子を表す図である。
【図8】図6の状態の電話帳データ111Aが表示部14に一覧表示された様子を表す図である。
【図9】無効データ格納領域119に移動された電話帳データ111Aが表示部14に一覧表示された様子を表す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態における記憶部11および電話帳データ111Aの内容を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における無効データ判定処理を説明するフローチャートである。
【図13】発信先のメールアドレスが無効であることを示す応答メールの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 通信端末
1A 電話端末
11 記憶部
111 通信相手データ
111A 電話帳データ
119 無効データ格納領域
1111 ID
1112 名前
1113 電話番号
1114 メールアドレス
12 制御部
121 無効データ判定部
122 無効データ仕分部
13 通信インタフェース部
14 表示部
141 ごみ箱アイコン
142 ごみマーク
15 入力操作部
2 通信ネットワーク
3 通信相手端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段と、
下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を行う無効データ判定手段を備えることを特徴とする通信端末。
(A)前記識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【請求項2】
前記無効データ判定手段は、予め設定された期間毎に前記無効データ判定処理を行うことを特徴とする請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記無効データ判定手段は、前記通信相手データ別に予め設定された期間毎に、前記無効データ判定処理を行うことを特徴とする請求項1記載の通信端末。
【請求項4】
前記無効データ判定手段は、前記通信相手データ別に予め設定された実行の要否に従い、前記無効データ判定処理を行うか行わないかを選択することを特徴とする請求項1乃至3記載の通信端末。
【請求項5】
前記無効データ判定処理は、下記(C)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4記載の通信端末。
(C)該発信に対して該識別情報が有効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が有効であると判定する。
【請求項6】
前記無効データ判定処理は、下記(D)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の通信端末。
(D)該発信に対して該識別情報が無効であるか有効であるか不明である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であるか有効であるか不明であると判定する。
【請求項7】
前記通信端末は、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを、前記記憶手段における無効な通信相手データを格納する領域に移動する無効データ仕分手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6記載の通信端末。
【請求項8】
前記通信端末は、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを削除する無効データ仕分手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6記載の通信端末。
【請求項9】
前記識別情報は電話番号であることを特徴とする請求項1乃至8記載の通信端末。
【請求項10】
前記識別情報はメールアドレスであることを特徴とする請求項1乃至8記載の通信端末。
【請求項11】
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段を備える通信端末において、下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を行うことを特徴とする通信相手データの処理方法。
(A)前記識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【請求項12】
前記無効データ判定処理は、予め設定された期間毎に行われることを特徴とする請求項11記載の通信相手データの処理方法。
【請求項13】
前記無効データ判定処理は、前記通信相手データ別に予め設定された期間毎に行われることを特徴とする請求項11記載の通信相手データの処理方法。
【請求項14】
前記無効データ判定処理は、前記通信相手データ別に予め設定された実行の要否に従い、行われるか行われないかを選択されることを特徴とする請求項11乃至13記載の通信相手データの処理方法。
【請求項15】
前記無効データ判定処理は、下記(C)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項11乃至14記載の通信相手データの処理方法。
(C)該発信に対して該識別情報が有効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が有効であると判定する。
【請求項16】
前記無効データ判定処理は、下記(D)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項15記載の通信相手データの処理方法。
(D)該発信に対して該識別情報が無効であるか有効であるか不明である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であるか有効であるか不明であると判定する。
【請求項17】
前記通信相手データの処理方法は、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを、前記記憶手段における無効な通信相手データを格納する領域に移動することを特徴とする請求項11乃至16記載の通信相手データの処理方法。
【請求項18】
前記通信相手データの処理方法は、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを削除することを特徴とする請求項11乃至16記載の通信相手データの処理方法。
【請求項19】
前記識別情報は電話番号であることを特徴とする請求項11乃至18記載の通信相手データの処理方法。
【請求項20】
前記識別情報はメールアドレスであることを特徴とする請求項11乃至18記載の通信相手データの処理方法。
【請求項21】
通信相手の識別情報を含む通信相手データを記憶する記憶手段を備える通信端末のコンピュータに、下記(A),(B)の処理を含む無効データ判定処理を実行させることを特徴とするプログラム。
(A)前記識別情報が示す通信相手への通信の発信を行い、
(B)該発信に対して該識別情報が無効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であると判定する。
【請求項22】
前記無効データ判定処理は、予め設定された期間毎に行われることを特徴とする請求項21記載のプログラム。
【請求項23】
前記無効データ判定処理は、前記通信相手データ別に予め設定された期間毎に行われることを特徴とする請求項21記載のプログラム。
【請求項24】
前記無効データ判定処理は、前記通信相手データ別に予め設定された実行の要否に従い、行われるか行われないかを選択されることを特徴とする請求項21乃至23記載のプログラム。
【請求項25】
前記無効データ判定処理は、下記(C)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項21乃至24記載のプログラム。
(C)該発信に対して該識別情報が有効である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が有効であると判定する。
【請求項26】
前記無効データ判定処理は、下記(D)の処理をさらに含むことを特徴とする請求項25記載のプログラム。
(D)該発信に対して該識別情報が無効であるか有効であるか不明である旨の応答を受信した場合に、該識別情報が無効であるか有効であるか不明であると判定する。
【請求項27】
前記プログラムは、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを、前記記憶手段における無効な通信相手データを格納する領域に移動する処理をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項21乃至26記載のプログラム。
【請求項28】
前記プログラムは、無効であると判定された識別情報を含む前記通信相手データを削除する処理をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項21乃至26記載のプログラム。
【請求項29】
前記識別情報は電話番号であることを特徴とする請求項21乃至28記載のプログラム。
【請求項30】
前記識別情報はメールアドレスであることを特徴とする請求項21乃至28記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−74692(P2010−74692A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242000(P2008−242000)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】