説明

通報システム及び情報機器

【課題】電柱に設置されている情報機器に対して、その設置されている住所データを容易に設定記憶できるようにする。
【解決手段】電柱11に設置されている情報機器101から近距離無線通信によって携帯電話801に設定プログラムを送信する。設定プログラムは、携帯電話801に、電柱11に付されている電柱番号の入力と、入力された電柱番号に基づく電柱データを伴う住所設定指令の近距離無線通信による送信出力とを実行させる。情報機器101は、住所設定指令を近距離無線通信により受信すると、これに伴われている電柱データを伴う住所データ送信要求を電力事業者サーバ201(管理サーバ)に送信する。電力事業者サーバ201は、電柱番号と住所とを対応付けて記憶する電柱番号/住所ファイルから住所データを検索し、情報機器101に返信する。情報機器101は、受信した住所データを記憶部102(第1の記憶部)に設定記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、社会インフラである電柱を利用し、電柱設置場所からの警察や消防等への通報を支援することができる通報システム及び情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等のネットワーク通信技術に関する技術革新に伴い、電柱や街灯等の社会インフラを利用した情報通信技術が提案されている。例えば、特許文献1には、街灯に情報機器を実装し、(1)交通誘導機能、(2)緊急コール機能、(3)避難誘導機能、(4)防災情報提供機能、(5)観光・商業情報提供機能、(6)交通情報提供機能、(7)迷子・事故等探索機能、(8)安全監視機能、(9)住民情報提供機能を持たせたることが開示されている(段落0025〜0047参照)。また、特許文献1には、情報機器が監視・制御センターに接続されていることについても記載されている(段落0018〜0019)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−251502公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、例えば上記(2)の緊急コールをした場合、上記(7)の迷子・事故等探索、そして上記(8)の安全監視を実行するに際しては、情報機器が設置されている街灯の場所を監視・制御センターにおいて把握できるようシステム構成されていなければならないはずである。これに対して、特許文献1には、街灯の設置場所を監視・制御センターにどのように伝達するのかについての記載が一切なく、その実現手法が不明である。
【0005】
そこで、あくまでも想像ではあるが、個々の街灯に設置されている情報機器にその情報機器が設置されている街灯の住所情報を設定記憶させておくことが想定される。しかしながら、個々の情報機器に対してどのように住所情報を設定するのかについては、全く不明であり、その実現手法を想定することができない。また、仮に、個々の情報機器に対して住所情報を設定する手法が明かであるとしても、そのための作業に膨大な尽力が要求されることが予想される。
【0006】
本発明の目的は、電柱に設置されている情報機器に対して、その設置されている住所データを容易に設定記憶できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通報システムは、情報処理を実行する第1の情報処理部を有し、電柱に設置される情報機器と、情報処理を実行する第2の情報処理部を有し、前記情報機器と当該情報機器が設置される前記電柱に架設されている通信線によって構築される通信回線を介してデータ送受信可能な管理サーバと、を備え、前記情報機器は、移動体通信端末との間で近距離無線通信を実行する近距離無線通信回路と、前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、電柱を特定する電柱特定情報の入力を許容する処理と当該入力された電柱特定情報に基づく電柱データを伴う住所設定指令を近距離無線通信によって送信出力する処理とを含む住所データ設定処理を実行させる設定プログラムを記憶し、住所データの記憶領域を有する第1の記憶部と、操作入力可能な操作部と、前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している設定プログラムを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、前記第1の情報処理部が、前記設定プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信出力されて前記近距離無線通信回路が受信した前記住所設定指令に基づいて、当該住所設定指令に伴われている電柱データを含む住所データ送信要求を前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段と、前記第1の情報処理部が、前記管理サーバから前記通信回線を介して送信された住所データを前記第1の記憶部に設定記憶する手段と、を具備し、前記管理サーバは、前記第2の情報処理部が、前記情報機器から前記通信回線を介して送信された住所データ送信要求を受信すると、当該要求に伴われている電柱データに基づいて、電柱番号と住所とを対応付けて第2の記憶部に記憶されている電柱番号/住所ファイルを検索して対応する住所データを取得する手段と、前記第2の情報処理部が、前記取得した住所データを前記通信回線を介して前記情報機器に送信する手段と、を具備する。
【0008】
本発明は、電柱に設置され、電柱に架設されている通信線によって構築される通信回線を介して管理サーバとデータ送受信可能な情報機器であって、情報処理を実行する第1の情報処理部と、移動体通信端末との間で近距離無線通信を実行する近距離無線通信回路と、前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、電柱を特定する電柱特定情報の入力を許容する処理と当該入力された電柱特定情報に基づく電柱データを伴う住所設定指令を近距離無線通信によって送信出力する処理とを含む住所データ設定処理を実行させる設定プログラムを記憶し、住所データの記憶領域を有する第1の記憶部と、操作入力可能な操作部と、前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している設定プログラムを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、前記第1の情報処理部が、前記設定プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信出力されて前記近距離無線通信回路が受信した前記住所設定指令に基づいて、当該住所設定指令に伴われている電柱データを含む住所データ送信要求を前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段と、前記第1の情報処理部が、前記管理サーバから前記通信回線を介して送信された住所データを前記第1の記憶部に設定記憶する手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電柱に設置されている情報機器に対して、その設置されている住所データを容易に設定記憶することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図20に基づいて説明する。
【0011】
図1は、情報機器101に対する住所データ設定処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。電柱11に情報機器101が設置されている。電柱11は、例えばある電力事業者21が管理運営している。この電力事業者21は、管理サーバとしての電力事業者サーバ201(図5参照)を有している。電力事業者サーバ201は、電柱番号と住所とを対応付けて記憶している電柱番号/住所ファイル202を格納する第2の記憶部としての外部記憶装置203(図7参照)に対してアクセス可能であり、電柱番号に基づく電柱データから住所を検索できるようになっている。
【0012】
情報機器101は、その第1の記憶部としての記憶部102に、設定プログラム及び通報プログラムとしての設定通報プログラムを記憶保存している。設定通報プログラムは、近距離無線通信を用いて移動体通信端末、例えば携帯電話801に無線送信され、この携帯電話801の記憶領域(図10に基づき後述するRAM819)に貯留される。この際、情報機器101は、条件(図11中のステップS105の条件)に従い、携帯電話801に対して、設定プログラムと通報プログラムとのいずれか一方のみを無線送信する。このような設定通報プログラムとしては、一例として、JAVAスクリプト(JAVAは登録商標)が用いられる。
【0013】
携帯電話801に貯留された設定プログラムは、その携帯電話801に、情報機器101への住所データ設定処理を実行させる。住所データ設定処理は、
(ア)電柱11を特定する電柱特定情報の入力を許容する処理
(イ)入力された電柱特定情報に基づく電柱データを伴う住所設定指令を近距離無線通信によって送信出力する処理
を含んでいる。
【0014】
図1に示されている(1)〜(6)の手順(住所データ設定手順)について説明する。
【0015】
(1)の手順
情報機器101は、ユーザ(住所設定作業者)からの住所データの設定指示操作を受け付ける。
【0016】
(2)の手順
情報機器101は、住所データの設定指示操作があった場合には、記憶部102が記憶保存している設定プログラムを近距離無線通信によって送信出力する。
【0017】
(3)の手順
携帯電話801は、情報機器101から近距離無線通信によって送信出力された設定プログラムを受信すると、これを記憶領域(図10に基づき後述するRAM819)に貯留する。記憶領域に貯留された設定プログラムは、携帯電話801に上記(ア)及び(イ)の処理を実行させる。これにより、ユーザ(住所設定作業者)は、携帯電話801を操作し、電柱特定情報を入力することができる(上記(ア)の処理)。電柱特定情報は、一例として、電柱に取り付けられている電柱番号票12に電柱番号として表記されているので、ユーザ(住所設定作業者)はその表記されている電柱番号を入力する。そして、ユーザ(住所設定作業者)が携帯電話801を操作して送信指定すると、携帯電話801より、入力された電柱番号に基づく電柱データを伴う住所設定指令が近距離無線通信によって送信出力される。
【0018】
(4)の手順
情報機器101は、近距離無線通信によって送信された住所設定指令を受信すると、電力事業者サーバ201に住所の問合せを実行する。つまり、受信した住所設定指令に伴われている電柱データを伴う住所データ送信要求を電力事業者サーバ201に送信する。この際の通信は、情報機器101が設置されている電柱11に架設されている通信線51によって構築される通信回線501(図5参照)が利用される。
【0019】
(5)の手順
電力事業者サーバ201は、受信した電柱データに基づいて電柱番号/住所ファイル202を検索し、対応する住所データを取得する。そして、取得した住所データを対応する情報機器101に返信する。
【0020】
(6)の手順
情報機器101は、上記(5)の手順で電力事業者サーバ201から通信回線501を介して送信された住所データを受信すると、受信した住所データを記憶部102に設定記憶する。
【0021】
以上説明した(1)〜(6)の手順により、情報機器101に住所データを設定記憶することができる。
【0022】
図2は、通報処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。携帯電話801に貯留された通報プログラムは、その携帯電話801に、所定の通報先に対する通報処理を実行させる。通報処理は、
(カ)通報データの近距離無線通信による送信処理
(キ)近距離無線通信による住所表示指令の受信に応じた当該住所表示指令に伴われている住所データに基づく住所表示処理
(ク)近距離無線通信による自動接続指令の受信に応じた先の通報先に対する自動回線接続処理
を含んでいる。
【0023】
図2に示されている(11)〜(17)の手順(通報手順)について説明する。
【0024】
(11)の手順
情報機器101は、ユーザ(通報者)からの通報指示操作を受け付ける。
【0025】
(12)の手順
情報機器101は、通報指示操作があった場合には、記憶部102が記憶保存している通報プログラムを近距離無線通信によって送信出力する。
【0026】
(13)の手順
携帯電話801は、情報機器101から近距離無線通信によって送信出力された通報プログラムを受信すると、これを記憶領域(図10に基づき後述するRAM819)に貯留する。そして、ユーザ(通報者)が携帯電話801を操作し、貯留する通報プログラムに基づく上記(カ)の処理が選択されると、近距離無線通信による通報データの送信が実行される。
【0027】
(14)の手順
情報機器101は、近距離無線通信によって送信された通報データを受信すると、記憶部102が記憶する住所データに基づく住所情報を含む住所表示指令と自動接続指令とを近距離無線通信によって送信出力する。
【0028】
(15)の手順
ユーザ(通報者)が所持する携帯電話801は、情報機器101から近距離無線通信によって送信出力された住所表示指令と自動接続指令とを受信すると、上記(13)の手順で受信して貯留している通報プログラムに従い、上記(キ)及び(ク)の処理を実行する。つまり、受信した住所表示指令に応じて、住所表示指令に伴われている住所データに基づく住所表示処理を実行する(キ)。また、自動接続指令の受信に応じて、通報先に対する自動回線接続処理を実行する(ク)。
【0029】
(16)の手順
情報機器101は、近距離無線通信によって送信された通報データを受信すると、記憶部102が記憶する住所データを伴う通報信号を電力事業者サーバ201に送信する。この際の通信は、情報機器101が設置されている電柱11に架設されている通信線51によって構築される通信回線501(図5参照)が利用される。
【0030】
(17)の手順
電力事業者サーバ201は、受信した住所データに基づく住所情報を含む通報伝文を生成し、通信回線501を介して、警察署31に設置されて管理されている通報先管理サーバとしての警察サーバ301や、消防署41に設置されて管理されている通報先管理サーバとしての消防サーバ401等に送信する(図5参照)。
【0031】
以上説明した(11)〜(15)の手順により、電柱11に設置されている情報機器101に対して通報指示操作をしたユーザ(ユーザ)が所持する携帯電話801は、電柱11が設置されている場所の住所、換言すると現在自分がいる場所を表示することができ、また、通報先に自動回線接続をすることができる。これにより、電柱11に設置されている情報機器101の設置場所から所定の通報先に通報をするに際して、通報者の現在位置を通報先に容易に知らせ得るようにすることができる。また、以上説明した(16)〜(17)の手順により、携帯電話801からの通報に応じて、情報機器101から電力事業者サーバ201を経て、電力事業者サーバ201が通報先である警察署31や消防署41の警察サーバ301又は消防サーバ401に対して、通報がなされた住所の住所情報を含む通報伝文を送信することができる。
【0032】
図3は、情報機器101が設置されている電柱11の一例を示す正面図である。電柱11には、前述した電柱番号票12が取り付けられている。電柱番号票12の取り付け位置は、一例として、地上から2.5m〜3m程度の位置である。電柱番号票12には、この電柱番号票12が取り付けられている電柱を特定するための電柱特定情報としての電柱番号が表記されている。電柱番号は、必ずしも数字だけで表現されているとは限らず、数字の他に、漢字、平仮名、カタカナ、英字等を用いて表現されている。
【0033】
電柱11には、その上方に位置させて、通信線51、送電線52、引込線53等が架設されており、送電線52から送電される電力を変圧して引込線53に送電する変圧器54が設置されている。通信線51は、前述した通信回線を構築する。
【0034】
電柱11には、その下方に情報機器101が設置されており、中程に監視用のカメラ103が設置されている。カメラ103としては、一例として、CCDカメラが用いられている。
【0035】
図4は、情報機器101の斜視図である。情報機器101は、電柱11に設置可能な形態のハウジング104に、押圧操作可能な操作部105が一つだけ設けられて形成されている。操作部105は、押圧操作可能な操作ボタンの形態で設けられており、押圧操作による操作入力が可能となっている。このような操作部105は、前述した設定指示操作及び通報指示操作を受け付ける。ハウジング104は、その背面に電柱11に形状適合させるための湾曲部106と、電柱11に固定するためのバックル107とを有している。湾曲部106を電柱11に沿わせた状態でバックル107を締め付けることで、情報機器101が電柱11に固定される。
【0036】
情報機器101のハウジング104の表面側には、情報機器101が提供可能なサービスに関するメニューリスト108が記されている。メニューリスト108は、「警察署」、「火災救急(消防署)」、「その他のサービス」というタイトル108aと、それらのサービスについての説明書き108bとを含んでいる。操作部105は、押圧操作可能な操作ボタンの形態を有している。
【0037】
図5は、システムを構成する機器全体の接続状態を示すブロック図である。情報機器101と電力事業者サーバ201と警察サーバ301と消防サーバ401とは、通信回線501を介してデータ通信自在に接続される。この場合の用いられる通信プロトコルは、一の種類に限定されず、情報機器101、電力事業者サーバ201、警察サーバ301及び消防サーバ401がサポートしている限りにおいて、各種種類の通信プロトコルを用いることができる。
【0038】
警察サーバ301には、警察署31内に設置されている内部ネットワーク302を介して複数台の通報受けクライアント303が接続している。通報受けクライアント303は、クライアントコンピュータであり、内部ネットワーク302を介して、警察サーバ301との間でデータ通信を実行する。
【0039】
消防サーバ401には、消防署41内に設置されている内部ネットワーク402を介して複数台の通報受けクライアント403が接続している。通報受けクライアント403は、クライアントコンピュータであり、内部ネットワーク402を介して、消防サーバ401との間でデータ通信を実行する。
【0040】
ユーザ(通報者)が所持する携帯電話801は、公衆回線(図5中、PUBLIC LINEとして示す)を利用しての通話、インターネット接続、電子メールの送受信が可能である一方、情報機器101との間での近距離無線通信(図5中、RFIDとして示す)による近距離無線通信を実行可能である。
【0041】
図6は、情報機器101のハードウェア構成を示すブロック図である。情報機器101は、情報処理を実行する第1の情報処理部としての情報処理部113を有している。情報処理部113は、一例として集積回路によって構成され、記憶部102を有している。記憶部102には、前述した電柱データ及び設定通報プログラムの他に、制御シーケンスが記述されている。制御シーケンスとしては、設定通報モジュール114及び監視モジュール115が含まれている。情報処理部113は、設定通報モジュール114及び監視モジュール115に従ったシーケンス処理を実行する。設定通報モジュール114に従ったシーケンス処理は、操作部105により通報操作がなされた場合に実行される操作部105の種類に応じた場所に通報をするための各種の処理である。監視モジュール115に従ったシーケンス処理は、通報先からの監視要求信号に応じてカメラ103による撮像画像をストリーミング配信するための処理である。
【0042】
情報処理部113には、操作部105を構成するスイッチ116と、映像回路118と、通信回路119と、近距離無線通信回路120とがバス接続されている。映像回路118は、カメラ103から取り込んだ画像データをストリーミング配信し得る回路構成を有している。このような映像回路118は、カメラ103と共に監視ユニット121を構成する。近距離無線通信回路120は、例えばRFIDの技術を用いて近距離無線通信を可能とする。別の一例として、近距離無線通信回路120は、Irda等の規格による赤外線通信を近距離無線通信の実現手法として用いてもよい。
【0043】
図7は、電力事業者サーバ201のハードウェア構成を示すブロック図である。電力事業者サーバ201は、各種の情報処理を実行して各部を集中的に制御するCPU206と固定データを格納するROM207と可変データを書き替え自在に記憶してワークエリア等として用いられるRAM208とがバス接続されたマイクロコンピュータ209(第2の情報処理部)を有している。そして、マイクロコンピュータ209には、HDD210、表示装置211、入力装置212、通信回路213がバス接続されている。
【0044】
HDD210は、OS(オペレーティングシステム)、各種アプリケーションプログラム等を記憶保存している。HDD210が記憶保存しているアプリケーションプログラムには、通報処理用のプログラムが含まれている。通報処理用のプログラムは、情報機器101と協働して、警察署31及び消防署41に対して、住所データに基づく住所情報を含む通報伝文という形態で通報をするための処理を電力事業者サーバ201に実行させる。
【0045】
表示装置211は、マイクロコンピュータ209が生成する画像データを表示出力するデバイスである。例えば、CRTディスプレイやLCDディスプレイが用いられている。
【0046】
入力装置212は、マイクロコンピュータ209に各種データを入力するためのデバイスである。例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス等によって構成されている。
【0047】
通信回路213は、マイクロコンピュータ209を通信回線501及び内部ネットワーク204に接続させるデバイスである。マイクロコンピュータ209は、通信回路213及び内部ネットワーク204を介して外部記憶装置203に接続可能であり、外部記憶装置203が記憶保存している電柱番号/住所ファイル202にアクセス可能である。
【0048】
図8は、電柱番号/住所ファイル202のファイル構造を示す模式図である。電柱番号/住所ファイル202は、電柱番号(電柱データ)に住所(住所データ)を対応付けて記憶している。したがって、電柱番号/住所ファイル202を検索することで、電柱番号(電柱データ)から住所を得ることができる。この場合の住所は、言うまでもなく、電柱番号によって特定される電柱11が設置されている場所の住所である。住所データは、一例として、住所を特定する住所コードによって構成されている。別の一例として、住所を示すテキストデータによって構成されていても良い。
【0049】
図9(a)〜(c)は、それぞれ携帯電話801を示し、(a)は蓋が開かれた携帯電話801の側面図、(b)は蓋が開かれた携帯電話801の正面図、(c)は蓋が閉じられた携帯電話801の正面図である。携帯電話801は、折り畳み式であり、その基本的な外観構成としては特殊性を有していない。つまり、操作者が手で持つ側の基部ハウジング802に蓋様のカバーハウジング803が回動自在に取り付けられている。そして、基部ハウジング802には、伸縮自在のアンテナ804と、操作部805と、マイク806とが設けられている。また、カバーハウジング803には、その内部に大型のメイン表示器807が設けられ、その上部にはスピーカ808が設けられている。カバーハウジング803の外側には小型のサブ表示器809も備えられている。
【0050】
ここで、操作部805は、テンキー810、電源・通話終了キー811、通話開始キー812、ウェブキー813、メールキー814、4接点キー815及びメニュー・エンターキー816を有している。テンキー810は、電話番号入力等の置数入力に際して用いられるキーである。電源・通話終了キー811は、電源のオン・オフ切り替えと、通話を終了させるためのキーである。通話開始キー812は、通話を開始するためのキーである。ウェブキー813は、インターネットを閲覧するためのキーである。メールキー814は、電子メール機能を使用する際に操作するキーである。4接点キー815は、カーソル移動等のために操作すべきキーである。メニュー・エンターキー816は、メイン表示器807にメニュー画面を表示させたり、選択項目を確定させたりする場合に用いるキーである。
【0051】
図10は、携帯電話801のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯電話801は、その概略構成として、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU817に、固定データを格納するROM818、可変データを書き替え自在に格納する記憶領域としてのRAM819、操作部805、メイン表示器807、サブ表示器809、変復調部820、及び近距離無線通信モジュール821がシステムバス822を介して接続された構成を有している。近距離無線通信モジュール821は、例えばRFIDの技術を用いて近距離無線通信を可能とする。別の一例としては、近距離無線通信モジュール821は、Irda等の規格による赤外線通信を近距離無線通信の実現手法として用いてもよい。
【0052】
ROM818は、OSや各種のプログラムをインストールしている。このようなOSやプログラムに従い、CPU817は各部を駆動制御して携帯電話801に各種の機能を生じさせる。特に、本実施の形態では、ROM818に格納されたOS及びプログラムは、インターネット接続機能、ウェブブラウザ機能、電子メール機能、プログラムダウンロード機能、及び近距離無線通信モジュール821を用いた近距離無線線通信機能等を携帯電話801に実行させる。
【0053】
携帯電話801で実行されるインターネット接続機能は、例えばISP(インターネット・サービス・プロバイダ)に接続してインターネットという仮想空間に入り込む機能である。
【0054】
携帯電話801で実行されるウェブブラウザ機能は、インターネット上で公開されているコンテンツの内容を閲覧する機能である。
【0055】
携帯電話801で実行される電子メール機能は、インターネットを介して電子メールの送受信を可能とする機能である。
【0056】
携帯電話801で実行されるプログラムダウンロード機能は、第1に、インターネット接続機能及びウェブブラウザ機能によってインターネット上に公開されているコンテンツにアクセスし、そのコンテンツが提供するアプリケーションプログラムをダウンロードする機能である。プログラムダウンロード機能は、第2に、近距離無線通信モジュール821による近距離無線通信によって受信したアプリケーションプログラムをダウンロードする機能である。プログラムダウンロード機能は、ダウンロードしたプログラムファイルをRAM819の記憶領域に記憶保存し、いつでもその記憶保存したプログラムファイルを起動して携帯電話801のCPU817に解釈実行させる機能をサポートする。
【0057】
RAM819は、不揮発性記憶領域又はバッテリバックアップ領域を有している。特に、本実施の形態のRAM819は、インターネットを介してアクセスするコンテンツや近距離無線通信によって受信したダウンロードプログラムファイルを記憶保存する記憶領域を有している。
【0058】
変復調部820には、アンテナ804を介して音声信号やデータ信号を送受信する送受信部823と、音声処理部824とが接続されている。音声処理部824は、変復調部820から送信された音声データをD/A変換してスピーカ808から音響信号として出力させ、また、マイク806から取り込まれた音声信号をA/D変換して変復調部820に送信する。
【0059】
図11は、情報機器101での設定通報モジュール114による第1のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。ユーザ(住所設定作業者)は、情報機器101に対して、この情報機器101が取り付けられている電柱11が設置されている場所の住所を特定する住所データの設定記憶のための作業を行なうことができる。ユーザ(住所設定作業者)は、情報機器101に対して住所データを設定記憶させようとする場合、情報機器101の操作部105を押圧操作する。これにより、スイッチ116が投入される。
【0060】
また、情報機器101の記憶部102に住所データが設定記憶されていれば、電柱11の近くにいる通報者は、通報が必要な事象に遭遇した場合、その事象に応じた通報をすることができる。この際、通報者は、メニューリスト108の記載を参照することで、どのようなサービスの提供を受けられるのかを知ることができる。本実施の形態で情報機器101が提供可能なサービスは、警察署への通報支援、火災救急(消防署)への通報支援、及びその他のサービスである。その他のサービスは、一例として、携帯電話801のGPS機能起動サービス等である。ユーザ(通報者)は、サービスを受けようとする場合、操作部105を押圧操作する。これにより、スイッチ116が投入される。
【0061】
情報機器101の情報処理部113は、スイッチ116の投入の有無の判定に待機している(ステップS101)。そこで、スイッチ116の投入を判定したならば(ステップS101のY)、近距離無線通信回路120を用いて、接続要求を近距離無線通信によって送信出力する(ステップS102)。この際、スイッチ116を投入したユーザ(通報者)が同一規格の近距離無線通信を実行可能な携帯電話801を所持していれば、その携帯電話801が確認信号を近距離無線通信によって送信するはずである。そこで、情報機器101の情報処理部113は、そのような携帯電話801からの確認信号の受信有無判定に待機している(ステップS103)。この待機は、所定時間のタイムアウトが到来するまで実行される(ステップS104)。
【0062】
情報機器101の情報処理部113は、タイムアウトの到来前(ステップS104のN)に確認信号を受信したならば(ステップS103のY)、記憶部102に住所データが設定記憶されているかどうかを判定する(ステップS105)。情報機器101は、工場出荷時に記憶部102に対する住所データの設定記憶がなされておらず、その状態で電柱11に設置される。このため、電柱11に設置当所の情報機器101には、住所データが記憶設定されていない。
【0063】
情報機器101の情報処理部113は、記憶部102に住所データが設定記憶されていないと判定すると(ステップS105のN)、記憶部102が記憶保存する設定通報プログラムのうち、設定プログラムを送信出力する(ステップS106)。これに対して、記憶部102に住所データが設定記憶されていると判定すると(ステップS105のY)、記憶部102が記憶する設定通報プログラムのうち、通報プログラムを送信出力する(ステップS107)。このようなステップS106及びステップS107の送信出力も、近距離無線通信回路120を用いた近距離無線通信によって実行される。
【0064】
図12は、携帯電話801でのプログラム貯留処理の流れを示すフローチャートである。携帯電話801のCPU817は、近距離無線通信モジュール821による接続要求の受信の有無判定に待機している(ステップS801)。この場合の接続要求は、情報機器101が図11のステップS102で近距離無線通信によって送信出力する接続要求である。
【0065】
携帯電話801のCPU817は、接続要求の受信を判定すると(ステップS801のY)、近距離無線通信モジュール821を制御して近距離無線通信によって確認信号を無線送信する(ステップS802)。この場合の確認信号は、情報機器101の情報処理部113が図11中のステップS103で受信判定する確認信号に相当する。したがって、情報機器101は、この確認信号の受信判定(図11中のステップS103のY)に応じて設定通報プログラム(設定プログラム又は通報プログラム)を近距離無線通信によって無線送信するので、携帯電話801のCPU817は、情報機器101から送信出力された設定プログラム又は通報プログラムを受信して、RAM819に貯留する。
【0066】
図13は、携帯電話801に貯留する設定プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。携帯電話801のRAM819に貯留する設定プログラムは、携帯電話801に、図13に示すフローチャートの処理を実行させる。つまり、設定プログラムは、携帯電話801のメイン表示器807に、住所データ設定用の画面を画面表示する(ステップS811)。
【0067】
図19は、住所データの設定処理に際して携帯電話801のメイン表示器807に表示される画面遷移例を例示する模式図である。図13中のステップS811に示す住所データ設定用の画面を画面表示する処理に応じて、携帯電話801は、メイン表示器807に図19(a)に例示する住所データ設定画面831を表示する。住所データ設定画面831には、「住所データを設定します。電柱番号を入力して送信ボタンを操作入力してください。」というメッセージ831aが表示され、入力表示欄831bと送信ボタン831cとが表示される。入力表示欄831bは、携帯電話801のテンキー810を用いて入力された電柱番号を表示する欄である。テンキー810による入力操作に応じて、漢字、平仮名、カタカナ、英数字が入力可能である。ユーザ(住所設定作業者)は、電柱11の電柱番号票12に表記されている電柱番号と同一の電柱番号を入力する。携帯電話801に貯留する設定プログラムは、入力された電柱番号を入力表示欄831bに表示する。そして、携帯電話801に貯留する設定プログラムは、例えばエンターキー816による送信ボタン831cの操作入力を可能とする。
【0068】
図13に示すフローチャート(携帯電話801に貯留する設定プログラムによる処理の流れを示す)の説明に戻る。携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する設定プログラムに従い、電柱番号の入力の有無を判定し(ステップS812)、電柱番号の入力ありを条件に送信指定の有無を判定する(ステップS813)。そこで、携帯電話801のCPU817は、電柱番号が入力されて送信ボタン831cの操作入力がなされたならば送信指定ありを判定し(ステップS813のY)、近距離無線通信モジュール821による近距離無線通信によって住所設定指令を送信出力する(ステップS814)。この住所設定指令には、ステップS812で入力判定した電柱番号に基づく電柱データが伴われている。
【0069】
携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する設定プログラムに従い、住所設定指令の無線送信処理後(ステップS814)、画面更新を実行し、メイン表示器807に設定中画面832を表示させる(ステップS815)。図19(b)に示すように、設定中画面832には、「しばらくお待ち下さい。」という文字メッセージ832aと、現在の状態として住所データを設定中であることを示す絵柄メッセージ832bとが表示される。
【0070】
携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する設定プログラムに従い、画面更新処理後(ステップS815)、情報機器101からの確認信号の受信に待機する(ステップS816)。この確認信号は、情報機器101が実行する後述する図14に示すフローチャート中のステップS120の処理によって、住所データの設定処理がなされた場合(図14中のステップS119参照)に情報機器101が近距離無線通信によって送信出力する信号である。
【0071】
携帯電話801のCPU817は、確認信号を受信したならば(ステップS816のY)、情報機器101において住所データの設定処理が正常になされたことになるので、画面更新を実行し、メイン表示器807に正常設定の確認画面833を表示させ(ステップS817)、処理を終了する。図19(c)に示すように、確認画面833には、「住所データが正常に設定されました。」というメッセージ833aと、OKボタン833bとが表示される。携帯電話801に貯留する設定プログラムは、例えばエンターキー816によるOKボタン833bの操作入力を可能とし、OKボタン833bが操作入力された場合には、メイン表示器807の表示を初期画面に復帰させ、RAM819から設定プログラムを消去する。
【0072】
これに対して、携帯電話801のCPU817は、予め決められた待機時間経過後も確認信号を受信できなければ(ステップS816のN)、情報機器101において住所データの設定処理が正常になされなかったことになるので、画面更新を実行し、メイン表示器807に再トライ画面834を表示させ(ステップS818)、ステップS812の処理にリターンする。図19(d)に示すように、再トライ画面834には、「住所データの設定に失敗しました。再度、電柱番号を入力して送信ボタンを操作入力してください。」というメッセージ834aが表示され、入力表示欄834bと送信ボタン834cとキャンセルボタン834dとが表示される。入力表示欄834bは、入力表示欄831bと同様に、携帯電話801のテンキー810を用いて入力された電柱番号を表示する欄である。テンキー810による入力操作に応じて、漢字、平仮名、カタカナ、英数字が入力可能である。ユーザ(住所設定作業者)は、電柱11の電柱番号票12に表記されている電柱番号と同一の電柱番号を入力する。携帯電話801に貯留する設定プログラムは、入力された電柱番号を入力表示欄834bに表示する。そして、携帯電話801に貯留する設定プログラムは、例えば4接点キー815による送信ボタン834cとキャンセルボタン834dとの選択操作を可能とし、例えばエンターキー816による選択後の送信ボタン834c又はキャンセルボタン834dの操作入力を可能とする。図13に示すフローチャートには記述していないが、携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する設定プログラムに従い、キャンセルボタン834dが操作入力された場合には、メイン表示器807の表示を初期画面に復帰させ、RAM819から設定プログラムを消去する。
【0073】
図14は、情報機器101での設定通報モジュールによる第2のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。情報機器101の情報処理部113は、設定プログラム又は通報プログラムを無線送信した後(図11中のステップS106又はステップS107)、接続要求受信の有無の判定に待機している(図14中のステップS111)。この接続要求は、携帯電話801からの住所設定指令の無線送信(図13中のステップS814)、図16に基づいて後述する携帯電話801からの警察通報要求(通報データ)の無線送信(図16中のステップS825)、消防通報要求(通報データ)の無線送信(図16中のステップS826)、対応サービスの提供(図16中のステップS830)という処理の実行に伴い、住所設定指令、警察通報要求(通報データ)、消防通報要求(通報データ)等と共に近距離無線通信モジュール821より送信出力される。
【0074】
情報機器101の情報処理部113は、接続要求の受信を判定すると(ステップS111のY)、要求内容の判定処理を実行する(ステップS112)。この処理は、接続要求を伴っている住所設定指令、警察通報要求、消防通報要求等を分析することによって実行される。その後、情報機器101の情報処理部113は、要求内容が住所設定指令であるのか(ステップS113)、警察への通報であるのか(ステップS114)、消防への通報であるのか(ステップS115)の判定に待機する。いずれでもない場合には、その他のサービス提供であるはずなので、対応するサービスの提供処理を実行する(ステップS116)。
【0075】
情報機器101の情報処理部113は、要求内容が住所設定指令であると判定した場合(ステップS113のY)、電力事業者サーバ201に住所問合せを送信する(ステップS117)。この処理は、通信回線501を介して、電柱番号に基づく電柱データを伴う住所データ送信要求を電力事業者サーバ201に送信する処理である。この場合の電柱データは、情報機器101が携帯電話801から受信した住所設定指令に伴われている電柱データである。つまり、図13中のステップS814によって携帯電話801が無線送信する住所設定指令には同図中のステップS812で入力判定した電柱番号が伴われているので、情報機器101は、図14中のステップS117の処理で、その住所設定指令に伴われている電柱番号に基づく電柱データを付加した住所データ送信要求を生成し、これを電力事業者サーバ201に通信回線501を介して送信する。その後、情報機器101の情報処理部113は、電力事業者サーバ201からの住所データの受信有無の判定に待機する(ステップS118)。
【0076】
図15は、電力事業者サーバ201での住所データ送信要求の受信処理の流れを示すフローチャートである。電力事業者サーバ201のマイクロコンピュータ209は、情報機器101からの住所データ送信要求の有無に待機している(ステップS201)。住所データ送信要求の受信を判定すると(ステップS201のY)、通信回路213及び内部ネットワーク204を介して外部記憶装置203に記憶保存されている電柱番号/住所ファイル202にアクセスし、住所を検索する(ステップS202)。つまり、受信した住所データ送信要求には電柱データが付加されているので、この電柱データに基づいて住所データを検索する。そして、検索結果である住所データを対応する情報機器101に送信する(ステップS203)。この場合の送信は、通信回路213及び通信回線501を用いて実行される。
【0077】
図14に示すフローチャート(情報機器101での設定通報モジュールによる第2のシーケンス処理の流れを示す)の説明に戻る。情報機器101の情報処理部113は、電力事業者サーバ201からの住所データの受信を判定すると(ステップS118のY)、受信した住所データを記憶部102に設定記憶する(ステップS119)。そして、近距離無線通信回路120による近距離無線通信により、確認信号を無線で送信出力する(ステップS120)。この確認信号は、携帯電話801のCPU817がRAM819に貯留する設定プログラムに従い実行する図13に示すフローチャート中のステップS816で受信判定する確認信号に対応する。
【0078】
以上説明した情報機器101により実行される図11及び図14に示す処理(設定通報モジュール114による第1のシーケンス処理及び第2のシーケンス処理)、携帯電話801による図12及び図13に示す処理(プログラム貯留処理及び設定プログラムによる処理)、並びに、図15に示す電力事業者サーバ201での処理(住所データ送信要求の受信処理)によって、情報機器101の記憶部102に対して、住所データを設定記憶することができる。このような住所設定処理の実行に際して、住所設定作業者は、電柱11に設置されている情報機器101の場所に赴いて電柱番号票12でその電柱11の電柱番号を確認し、情報機器101の操作部105を押圧操作し、その後、所持する携帯電話801のメイン表示器807に表示される住所データ設定画面831に確認した電柱番号を入力して送信ボタン831cを操作入力するだけでよい。したがって、極めて簡単な作業を行なうだけで、情報機器101の記憶部102にその情報機器101が設置されている電柱11が位置する住所を特定する住所データを設定記憶させることができる。
【0079】
情報機器101は、自ら設定記憶する住所データを利用した各種処理を実行することができる。以下、このような各種の機能を、図14、図16〜図18及び図20に基づいて説明する。説明に際しては、他の図面も適宜参照する。
【0080】
図16は、携帯電話801に貯留する通報プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。情報機器101の情報処理部113が設定通報モジュール114に従い実行する第1のシーケンス処理を示す図11に基づいて前述したように、情報機器101の113情報処理部113は、操作部105の押圧操作によるスイッチ116の投入判定後(図11中のステップS101のY)、記憶部102に対して住所データが設定記憶されていると判定すると(ステップS105のY)、記憶部102が記憶する設定通報プログラム中の通報プログラムを近距離無線通信回路120による近距離無線通信によって送信出力する(ステップS107)。これを受信してRAM819に貯留(図12中のステップS803)した携帯電話801は、貯留する通報プログラムに従い、図16に示すフローチャートの処理を実行させる。つまり、通報プログラムは、携帯電話801のメイン表示器807に、提供可能なサービスのメニューを画面表示する(図16中のステップS821)。
【0081】
図20は、通報処理に際して携帯電話801のメイン表示器807に表示される画面遷移例を例示する模式図である。図16中のステップS821に示すメニューを画面表示する処理に応じて、携帯電話801は、メイン表示器807に図20(a)に例示するメニュー画面851を表示する。メニュー画面851には、
1 警察への通報
2 消防(火災、救急)への通報
3 その他のサービス
というメニュー項目851aが表示され、移動指示表示851bと決定ボタン851cとが表示される。移動指示表示851bは、携帯電話801の4接点キー815によってメニュー項目851aから所望のメニュー項目851aを仮選択できることを表わしている。携帯電話801に貯留する設定通報プログラムは、仮選択されたメニュー項目851aを強調表示する処理を実行する。決定ボタン851cは、携帯電話801のエンターキー816を押下することによって操作可能であり、仮選択されたメニュー項目851aを本決定する。
【0082】
図16に示すフローチャート(携帯電話801に貯留する通報プログラムによる処理の流れを示す)の説明に戻る。携帯電話801に貯留する設定通報プログラムは、メニュー画面851の表示処理(ステップS821)の後、警察への通報の選択の有無の判定(ステップS822)、消防への通報の選択の有無の判定(ステップS823)、その他のサービスの選択の有無の判定(ステップS824)を携帯電話801のCPU817に実行させる。
【0083】
携帯電話801にCPU817は、RAM819に貯留する設定通報プログラムに従い、警察への通報の選択を判定すると(ステップS822のY)、近距離無線通信モジュール821による近距離無線通信によって警察通報要求(通報データ)を送信出力させる処理を実行する(ステップS825)。また、消防への通報の選択を判定すると(ステップS823のY)、近距離無線通信モジュール821による近距離無線通信によって消防通報要求(通報データ)を送信出力させる処理を実行する(ステップS826)。そして、警察通報要求(通報データ)又は消防通報要求(通報データ)の無線通信を実行させた後、メニュー画面851からの画面更新を実行し、携帯電話801のメイン表示器807に待機画面852(図20(b)参照)を表示させる(ステップS827)。
【0084】
図20(b)に示すように、待機画面852には、「しばらくお待ち下さい。」という文字メッセージ852aと、現在の状態として通報先に接続しようとしていることを示す絵柄メッセージ852bとが表示される。
【0085】
携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する設定通報プログラムに従い、その他のサービスの選択を判定すると(ステップS824のY)、メニュー画面851からの画面更新を実行する(ステップS828)。その他のサービスは、一例として、携帯電話801が有しているGPS機能を起動させるサービスであったり、ユーザ(通報者)の現在地周辺にある各種の施設、例えば飲食店に関する情報を提供するサービスであったりする。これらのサービスのコンテンツデータは、一例として、設定通報プログラムにそもそも含まれていても良く、別の一例として、サービスが選択されることによって情報機器101やその他の機器から携帯電話801に送信されても良い。また、警察への通報及び消防への通報以外のその他のサービスが提供される場合には、広告も同時に提供されるようにしても良い。広告のコンテンツデータも、一例として、設定通報プログラムにそもそも含まれていても良く、別の一例として、情報機器101やその他の機器から携帯電話801に送信されても良い。
【0086】
このように、その他のサービスには、複数種類のサービスが含まれている。そこで、ステップS828で画面更新された後に携帯電話801のメイン表示器807に表示される画面には、その他のサービスの種別を選択可能とするサービスメニュー画面(図示せず)となる。携帯電話801のユーザは、4接点キー815及びエンターキー816を操作することで、サービスメニュー画面から所望のサービスメニューを選択することができる。携帯電話801に貯留する設定通報プログラムは、その他のサービスのメニューの選択を判定したならば(ステップS829のY)、対応するサービスを提供する(ステップS830)。
【0087】
ここで、図14に示すフローチャートに基づいて、携帯電話801が近距離無線通信モジュール821による近距離無線通信によって警察通報要求(通報データ)又は消防通報要求(通報データ)を送信出力させる処理(ステップS825又はステップS826)を実行した後の情報機器101の処理について説明する。前述したように、情報機器101の情報処理部113は、設定プログラム又は通報プログラムを無線送信した後(図11中のステップS106又はステップS107)、接続要求受信の有無の判定に待機している(図14中のステップS111)。この接続要求は、携帯電話801からの住所設定指令の無線送信(図13中のステップS814)、図16に示す携帯電話801からの警察通報要求(通報データ)の無線送信(図16中のステップS825)、消防通報要求(通報データ)の無線送信(図16中のステップS826)、対応サービスの提供(図16中のステップS830)という処理の実行に伴い、住所設定指令、警察通報要求(通報データ)、消防通報要求(通報データ)等と共に近距離無線通信モジュール821より送信出力される。
【0088】
情報機器101の情報処理部113は、接続要求の受信を判定すると(ステップS111のY)、要求内容の判定処理を実行する(ステップS112)。この処理は、前述したように、接続要求を伴っている住所設定指令、警察通報要求、消防通報要求等を分析することによって実行される。その後、情報機器101の情報処理部113は、要求内容が住所設定指令であるのか(ステップS113)、警察への通報であるのか(ステップS114)、消防への通報であるのか(ステップS115)の判定に待機する。いずれでもない場合には、その他のサービス提供であるはずなので、対応するサービスの提供処理を実行する(ステップS116)。
【0089】
情報機器101の情報処理部113は、要求内容が警察への通報であると判定した場合(ステップS114のY)、電力事業者サーバ201に対して、通報信号Aに住所データを付加したデータ(通報A)を送信する(ステップS121)。このデータ(通報A)は、警察署通報用の通報信号Aを定義する通報定義データに記憶部102が記憶する住所データを付加したデータである。データ送信は、通信回路119及び通信回線501を介して実行される。
【0090】
情報機器101の情報処理部113は、要求内容が消防への通報であると判定した場合(ステップS115のY)、電力事業者サーバ201に対して、通報信号Bに住所データを付加したデータ(通報B)を送信する(ステップS122)。このデータ(通報B)は、消防署通報用の通報信号Bを定義する通報定義データに記憶部102が記憶する住所データを付加したデータである。データ送信は、通信回路119及び通信回線501を介して実行される。
【0091】
情報機器101の情報処理部113は、通報信号Aに住所データを付加したデータ(通報A)を送信し(ステップS121)、あるいは通報信号Bに住所データを付加したデータ(通報B)を送信した後(ステップS122)、近距離無線通信回路120による近距離無線通信によって、住所表示指令及び自動回線接続指令を無線送信する(ステップS123)。この場合の住所表示指令には、記憶部102に設定記憶されている住所データに基づく住所情報を伴わせる。住所情報は、一例として、テキストデータである。つまり、受信した住所データが住所コードである場合、情報機器101の情報処理部113は、一例として、住所コードと対応する住所の文字を表現するためのテキストデータとの対応関係を定義するファイル(図示せず)を参照し、住所コードに対応するテキストデータを住所情報として住所表示指令に伴わせる。これに対して、受信した住所データがそもそも住所の文字を表現するためのテキストデータであるならば、受信した住所データそのものを住所情報として住所表示指令に伴わせる。
【0092】
図16に示すフローチャート(携帯電話801に貯留する通報プログラムによる処理の流れを示す)の説明に戻る。携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する通報プログラムに従い、警察又は消防への通報が選択されて待機画面852に画面更新をした後(ステップS827)、情報機器101からの指令受信に待機している(ステップS831)。近距離無線通信による情報機器101からの指令(住所表示指令及び自動回線接続指令)の受信を判定すると(ステップS831のY)、メイン表示器807の表示画面を待機画面852から画面更新させ、住所表示画面853とさせる(ステップS832)。この処理は、受信した住所表示指令に基づいて実行される。住所表示指令には、住所情報が伴われているので、この住所情報に基づいて住所の表示がなされる。
【0093】
図20(c)に示すように、住所表示画面853には、「この場所の住所は×××です。通報先に回線を接続します。」という文字メッセージ853aと、現在の状態として通報先に接続しようとしていることを示す絵柄メッセージ853bとが表示される。
【0094】
次いで、携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する通報プログラムに従い、ステップS812又はステップS813で選択判定されたメニューが警察通報なのか消防通報なのかを判定する(ステップS833)。この判定の結果、警察通報であったと判定した場合には(ステップS833のY)、情報機器101から受信した自動回線接続指令に従い、警察署31に回線を自動接続する(ステップS834)。これに対して、消防通報であったと判定した場合には(ステップS833のN)、情報機器101から受信した自動回線接続指令に従い、消防署41に回線を自動接続する(ステップS835)。
【0095】
この際、携帯電話801のCPU817は、RAM819に貯留する通報プログラムに従い、メイン表示器807に表示している住所表示画面853の表示内容を変更する。つまり、住所表示画面853は、図20(d)に示すように、文字メッセージ853aが「この場所の住所は×××です。」に変更され、絵柄メッセージ853bが現在の状態として通報先に接続されていることを示す絵柄に変更される。
【0096】
警察署31又は消防署41に通報をした場合、必ず聞かれることの一つに現在地が何処なのかという質問がある。そこで、ユーザ(通報者)は、携帯電話801のメイン表示器807に表示される住所を見ることで現在地を知ることができ、そのような質問に円滑に答えることができる。
【0097】
図17は、電力事業者サーバ201での通報受信処理の流れを示すフローチャートである。電力事業者サーバ201のマイクロコンピュータ209は、情報機器101からの通報(通報A又は通報B)受信の有無に待機している(ステップS211)。通報受信を判定すると(ステップS211のY)、受信判定した通報が通報Aなのか通報Bなのかの判定処理を実行する(ステップS212)。通報Aは、前述したように、警察通報の場合の通報信号Aに住所データを付加したデータである(図14中のステップS121参照)。通報信号Bは、前述したように、消防通報の場合の通報信号Bに住所データを付加したデータである(図14中のステップS122参照)。
【0098】
電力事業者サーバ201のマイクロコンピュータ209は、ステップS211で受信判定した通報が警察署向けの通報Aであったと判定した場合(ステップS212のY)、警察向けの通報伝文Aを生成する(ステップS213)。この通報伝文Aには、通報Aに含まれている住所データに基づく住所情報が含まれている。そして、生成した通報伝文Aを、通信回路213及び通信回線501を介して、警察署31の警察サーバ301に送信出力する(ステップS214)。警察サーバ301は、一例として、内部ネットワーク302を介して、受信した通報伝文Aを通報受けクライアント303に送信出力する。
【0099】
これにより、警察署31の通報受けクライアント303では、警察向けの通報伝文Aをその通報場所である住所を特定した形態で表示出力することができる。この場合の表示出力は、通報表示用のアプリケーションプログラムのインストール、ブラウザ表示等の手法によって実現可能である。
【0100】
電力事業者サーバ201のマイクロコンピュータ209は、ステップS211で受信判定した通報が消防向けの通報Bであったと判定した場合(ステップS212のN)、消防向けの通報伝文Bを生成する(ステップS215)。この通報伝文Bには、通報Bに含まれている住所データに基づく住所情報が含まれている。そして、生成した通報伝文Bを、通信回路213及び通信回線501を介して、消防署41の消防サーバ401に送信出力する(ステップS216)。消防サーバ401は、一例として、内部ネットワーク402を介して、受信した通報伝文Bを通報受けクライアント403に送信出力する。
【0101】
これにより、消防署41の通報受けクライアント403では、消防向けの通報伝文Bをその通報場所である住所を特定した形態で表示出力することができる。この場合の表示出力は、通報表示用のアプリケーションプログラムのインストール、ブラウザ表示等の手法によって実現可能である。
【0102】
ここで、ステップS213又はステップS215において通報伝文A又はBを生成するに際して、住所データが住所を特定する住所コードによって構成されている場合、マイクロコンピュータ209は、住所コードと住所を示すテキストデータとを対応付けて記憶するデータベース(図示せず)を検索して当該テキストデータを取得し、これを住所情報として通報伝文A又はBに含める。別の一例として、住所データそのものが住所を示すテキストデータによって構成されている場合には、テキストデータである住所データそのものを住所情報として通報伝文A又はBに含める。更に別の一例として、通報先において住所コードを住所を示すテキストデータに変換できるのであれば、住所コードである住所データそのものを住所情報として通報伝文A又はBに含めても良い。
【0103】
図18は、情報機器101での監視モジュール115によるシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態のシステムでは、通報伝文Aを受信した警察署31の通報受けクライアント303、通報伝文Bを受信した消防署41の通報受けクライアント403は、通報がなされた情報機器101と共に電柱11に設置されているカメラ103による映像監視を行なうことができるようにシステム構築されている。情報機器101に搭載されている監視ユニット121は、そのためのユニットである。このような映像監視を実行するために、通報受けクライアント303及び通報受けクライアント403の側には、ストリーミング配信された映像を閲覧することができるアプリケーションプログラムがインストールされている必要がある。
【0104】
通報伝文Aを受信した警察署31の通報受けクライアント303、通報伝文Bを受信した消防署41の通報受けクライアント403は、通報がなされた情報機器101と共に電柱11に設置されているカメラ103による映像監視とを行なう場合、監視要求信号を送信出力する。通報受けクライアント303から送信出力された監視要求信号は、警察サーバ301を介して電力事業者サーバ201に送信され、電力事業者サーバ201及び通信回線501を介して、当該電力事業者サーバ201が認識している対応の情報機器101との間の接続を実現させる。通報受けクライアント403から送信出力された通話要求信号は、消防サーバ401を介して電力事業者サーバ201に送信され、電力事業者サーバ201及び通信回線501を介して、当該電力事業者サーバ201が認識している対応の情報機器101との間の接続を実現させる。
【0105】
図18に示すように、情報機器101の情報処理部113は、監視要求信号の受信判定に待機しており(ステップS131)、監視要求信号の受信を判定すると(ステップS131のY)、監視モジュール115を起動する(ステップS132)。起動した監視モジュール115は、監視ユニット121において生成されたカメラ103の撮像画像を外部機器、この場合には警察署31の通報受けクライアント303又は消防署41の通報受けクライアント403のいずれかにストリーミング配信する。したがって、情報機器101から通報を受けた通報受けクライアント303を操作する警察官、通報受けクライアント403を操作する消防署員は、通報がなされた情報機器101の周辺映像を閲覧することができ、より詳細な情報を知ることができる。
【0106】
通報受けクライアント303、通報受けクライアント403は、監視を終了する場合、監視切断信号を出力する。監視切断信号は、監視要求信号と同一の経路を介して対応する情報機器101に送信される。そこで、情報機器101の情報処理部113は、監視モジュール115の起動後、監視切断信号の受信に待機しており(ステップS133)、監視切断信号の受信を判定すると(ステップS133のY)、監視終了処理として、監視モジュール115の起動停止処理を実行する(ステップS134)。
【0107】
本発明の第2の実施の形態を図21及び図22に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0108】
図21は、通報処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。本実施の形態のシステムが第1の実施の形態のシステムと相違する点は、図2に基づいて前述した(17)の手順を実施する主体である。つまり、第1の実施の形態のシステムでは、電力事業者サーバ201が上記(17)の手順を実施するのに対して、本実施の形態のシステムでは、情報機器101が上記(17)の手順を実施する。ここで、上記(17)の手順は、住所データに基づく住所情報を含む通報伝文を生成し、通信回線501を介して、警察署31に設置されて管理されている通報先管理サーバとしての警察サーバ301や、消防署41に設置されて管理されている通報先管理サーバとしての消防サーバ401等に送信する、という手順である。以下、情報機器101が如何にして上記(17)の手順を実施するのかを、図22のフローチャートに基づいて説明する。
【0109】
図22は、情報機器101での設定通報モジュール114による第2のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すフローチャートの処理については、第1の実施の形態における図14に示すフローチャートで示される処理(情報機器101での設定通報モジュール114による第2のシーケンス処理の流れ)と対比することで、その理解がより一層明確になる。第1の実施の形態では、情報機器101の情報処理部113は、電力事業者サーバ201に通報A又は通報Bを送信した後(ステップS121又はステップS122)、近距離無線通信回路120による近距離無線通信によって、住所表示指令及び自動回線接続指令を無線で送信出力し(図14中のステップS123)、処理を終了する。これに対して、本実施の形態では、情報機器101の情報処理部113は、住所表示指令及び自動回線接続指令を無線で送信出力した後(ステップS123)、警察サーバ301又は消防サーバ401への通報伝文の送信処理を実行する(ステップS125〜ステップS128)。
【0110】
つまり、情報機器101の情報処理部113は、住所表示指令及び自動回線接続指令を無線送信した後(ステップS123)、ステップS112で判定した要求内容が警察への通報であるのか消防への通報であるのかの判定を実行する(ステップS124)。
【0111】
情報機器101の情報処理部113は、ステップS124での判定の結果、ステップS112で判定した要求内容が警察への通報であると判定した場合(ステップS124のY)、警察向けの通報伝文Aを生成する(ステップS125)。この通報伝文Aには、記憶部102に設定記憶されている住所データに基づく住所情報が含まれている。そして、生成した通報伝文Aを、通信回路213及び通信回線501を介して、警察署31の警察サーバ301に送信出力する(ステップS126)。警察サーバ301は、一例として、内部ネットワーク302を介して、受信した通報伝文Aを通報受けクライアント303に送信出力する。
【0112】
これにより、警察署31の通報受けクライアント303では、警察向けの通報伝文Aをその通報場所である住所を特定した形態で表示出力することができる。この場合の表示出力は、通報表示用のアプリケーションプログラムのインストール、ブラウザ表示等の手法によって実現可能である。
【0113】
情報機器101の情報処理部113は、ステップS124での判定の結果、ステップS112で判定した要求内容が消防への通報であると判定した場合(ステップS124のN)、消防向けの通報伝文Bを生成する(ステップS127)。この通報伝文Bには、記憶部102に設定記憶されている住所データに基づく住所情報が含まれている。そして、生成した通報伝文Bを、通信回路213及び通信回線501を介して、消防署41の消防サーバ401に送信出力する(ステップS128)。消防サーバ401は、一例として、内部ネットワーク402を介して、受信した通報伝文Bを通報受けクライアント403に送信出力する。
【0114】
これにより、消防署41の通報受けクライアント403では、消防向けの通報伝文Bをその通報場所である住所を特定した形態で表示出力することができる。この場合の表示出力は、通報表示用のアプリケーションプログラムのインストール、ブラウザ表示等の手法によって実現可能である。
【0115】
ここで、ステップS125又はステップS127において通報伝文A又はBを生成するに際して、住所データが住所を特定する住所コードによって構成されている場合、情報機器101の情報処理部113は、住所コードと住所を示すテキストデータとを対応付けて記憶するデータベース(図示せず)を検索して当該テキストデータを取得し、これを住所情報として通報伝文A又はBに含める。別の一例として、住所データそのものが住所を示すテキストデータによって構成されている場合には、テキストデータである住所データそのものを住所情報として通報伝文A又はBに含める。更に別の一例として、通報先において住所コードを住所を示すテキストデータに変換できるのであれば、住所コードである住所データそのものを住所情報として通報伝文A又はBに含めても良い。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態によれば、通報伝文Aを警察署31の通報受けクライアント303に送信し、あるいは通報伝文Bを消防署41の通報受けクライアント403に送信する処理を、電力事業者サーバ201を介することなく情報機器101が単独で実行することができる。したがって、通信トラフィックを少なくすることができ、例えば通信回線501における通信混雑の解消を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1の実施の形態として、情報機器に対する住所データ設定処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。
【図2】通報処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。
【図3】情報機器が設置されている電柱の一例を示す正面図である。
【図4】情報機器の斜視図である。
【図5】システムを構成する機器全体の接続状態を示すブロック図である。
【図6】情報機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】電力事業者サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】電柱番号/住所ファイルのファイル構造を示す模式図である。
【図9】(a)は蓋が開かれた移動体通信端末(携帯電話)の側面図、(b)は蓋が開かれた移動体通信端末(携帯電話)の正面図、(c)は蓋が閉じられた移動体通信端末(携帯電話)の正面図である。
【図10】移動体通信端末(携帯電話)におけるハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】情報機器での設定通報モジュールによる第1のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】移動体通信端末(携帯電話)でのプログラム貯留処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】移動体通信端末(携帯電話)に貯留する設定プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】情報機器での設定通報モジュールによる第2のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】電力事業者サーバでの住所データ送信要求の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】移動体通信端末(携帯電話)に貯留する設定通報プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】電力事業者サーバでの通報の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】情報機器での監視モジュールによるシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】設定処理に際して移動体通信端末(携帯電話)のメイン表示器に表示される画面遷移例を例示する模式図である。
【図20】通報処理に際して移動体通信端末(携帯電話)のメイン表示器に表示される画面遷移例を例示する模式図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態として、通報処理の流れを概略的に示すシステム全体の模式図である。
【図22】情報機器での設定通報モジュールによる第2のシーケンス処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
11 電柱
51 通信線
101 情報機器
102 記憶部(第1の記憶部)
103 カメラ
105 操作部
113 情報処理部(第1の情報処理部)
120 近距離無線通信回路
121 監視ユニット
201 電力事業者サーバ(管理サーバ)
202 電柱番号/住所ファイル
203 外部記憶装置(第2の記憶部)
209 マイクロコンピュータ(第2の情報処理部)
301 警察サーバ(通報先管理サーバ)
401 消防サーバ(通報先管理サーバ)
501 通信回線
801 携帯電話(移動体通信端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理を実行する第1の情報処理部を有し、電柱に設置される情報機器と、
情報処理を実行する第2の情報処理部を有し、前記情報機器と当該情報機器が設置される前記電柱に架設されている通信線によって構築される通信回線を介してデータ送受信可能な管理サーバと、
を備え、
前記情報機器は、
移動体通信端末との間で近距離無線通信を実行する近距離無線通信回路と、
前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、電柱を特定する電柱特定情報の入力を許容する処理と当該入力された電柱特定情報に基づく電柱データを伴う住所設定指令を近距離無線通信によって送信出力する処理とを含む住所データ設定処理を実行させる設定プログラムを記憶し、住所データの記憶領域を有する第1の記憶部と、
操作入力可能な操作部と、
前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している設定プログラムを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記設定プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信出力されて前記近距離無線通信回路が受信した前記住所設定指令に基づいて、当該住所設定指令に伴われている電柱データを含む住所データ送信要求を前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記管理サーバから前記通信回線を介して送信された住所データを前記第1の記憶部に設定記憶する手段と、
を具備し、
前記管理サーバは、
前記第2の情報処理部が、前記情報機器から前記通信回線を介して送信された住所データ送信要求を受信すると、当該要求に伴われている電柱データに基づいて、電柱番号と住所とを対応付けて第2の記憶部に記憶されている電柱番号/住所ファイルを検索して対応する住所データを取得する手段と、
前記第2の情報処理部が、前記取得した住所データを前記通信回線を介して前記情報機器に送信する手段と、
を具備する、
通報システム。
【請求項2】
前記第1の記憶部は、前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、通報データの近距離無線通信による送信処理と近距離無線通信による住所表示指令の受信に応じた当該住所表示指令に伴われている住所情報に基づく住所表示処理と近距離無線通信による自動接続指令の受信に応じた所定の通報先に対する自動回線接続処理とを含む通報処理を実行させる通報プログラムを記憶し、
前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している通報プログラムを前記近距離無線通信回路による近距離無線通信によって送信出力する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記通報プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信されて前記近距離無線通信回路が受信した前記通報データに基づいて、前記第1の記憶部が記憶する住所データに基づく住所情報を含む前記住所表示指令と前記自動接続指令とを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、
を具備する、
請求項1記載の通報システム。
【請求項3】
前記通報プログラムは、前記通報処理を含む複数の処理メニューを選択的に前記移動体通信端末に実行させる、請求項2記載の通報システム。
【請求項4】
前記複数の処理メニューには、前記移動体通信端末が有しているGPS機能の起動処理が含まれている、請求項3記載の通報システム。
【請求項5】
前記通報処理以外の処理メニューには、その選択により前記移動体通信端末に広告を表示させる処理が含まれている、請求項3記載の通報システム。
【請求項6】
前記情報機器は、前記第1の情報処理部が、前記近距離無線通信回路の近距離無線通信による前記移動体通信端末からの通報データの受信に応じて、前記第1の記憶部が記憶する住所データを伴う通報データを前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段を備え、
前記管理サーバは、
前記第2の情報処理部が、前記受信した前記情報機器からの通報データに含まれている住所データに基づく住所情報を含む通報伝文を生成する手段と、
前記第2の情報処理部が、前記生成した通報伝文を前記通信回線を介して前記所定の通報先が管理する通報先管理サーバに送信する手段と、
を具備する、請求項2記載の通報システム。
【請求項7】
前記情報機器は、
前記第1の情報処理部が、前記近距離無線通信回路の近距離無線通信による前記移動体通信端末からの通報データの受信に応じて、前記第1の記憶部が記憶する住所データに基づく住所情報を含む通報伝文を生成する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記生成した通報伝文を前記通信回線を介して前記所定の通報先が管理する通報先管理サーバに送信する手段と、
を備える、請求項2記載の通報システム。
【請求項8】
前記情報機器からの指令に応じて当該情報機器の周辺画像をカメラによって撮像して撮像画像を当該情報機器に送信する監視ユニットと、
前記情報機器の第1の情報処理部が、前記監視ユニットから送信された撮像画像を前記通信回線を介して前記通報先管理サーバに送信する手段と、
を具備する、請求項2記載の通報システム。
【請求項9】
電柱に設置され、電柱に架設されている通信線によって構築される通信回線を介して管理サーバとデータ送受信可能な情報機器であって、
情報処理を実行する第1の情報処理部と、
移動体通信端末との間で近距離無線通信を実行する近距離無線通信回路と、
前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、電柱を特定する電柱特定情報の入力を許容する処理と当該入力された電柱特定情報に基づく電柱データを伴う住所設定指令を近距離無線通信によって送信出力する処理とを含む住所データ設定処理を実行させる設定プログラムを記憶し、住所データの記憶領域を有する第1の記憶部と、
操作入力可能な操作部と、
前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している設定プログラムを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記設定プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信出力されて前記近距離無線通信回路が受信した前記住所設定指令に基づいて、当該住所設定指令に伴われている電柱データを含む住所データ送信要求を前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記管理サーバから前記通信回線を介して送信された住所データを前記第1の記憶部に設定記憶する手段と、
を具備する情報機器。
【請求項10】
前記第1の記憶部は、前記移動体通信端末に貯留することによって、当該移動体通信端末に、通報データの近距離無線通信による送信処理と近距離無線通信による住所表示指令の受信に応じた当該住所表示指令に伴われている住所情報に基づく住所表示処理と近距離無線通信による自動接続指令の受信に応じた所定の通報先に対する自動回線接続処理とを含む通報処理を実行させる通報プログラムを記憶し、
前記第1の情報処理部が、前記操作部での操作入力に応じて、前記第1の記憶部が記憶している通報プログラムを前記近距離無線通信回路による近距離無線通信によって送信出力する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記通報プログラムを貯留する前記移動体通信端末から近距離無線通信によって送信されて前記近距離無線通信回路が受信した前記通報データに基づいて、前記第1の記憶部が記憶する住所データに基づく住所情報を含む前記住所表示指令と前記自動接続指令とを前記近距離無線通信回路の近距離無線通信によって送信出力する手段と、
を具備する、
請求項1記載の情報機器。
【請求項11】
前記通報プログラムは、前記通報処理を含む複数の処理メニューを選択的に前記移動体通信端末に実行させる、請求項10記載の情報機器。
【請求項12】
前記複数の処理メニューには、前記移動体通信端末が有しているGPS機能の起動処理が含まれている、請求項11記載の情報機器。
【請求項13】
前記通報処理以外の処理メニューには、その選択により前記移動体通信端末に広告を表示させる処理が含まれている、請求項11記載の情報機器。
【請求項14】
前記第1の情報処理部が、前記近距離無線通信回路の近距離無線通信による前記移動体通信端末からの通報データの受信に応じて、前記第1の記憶部が記憶する住所データを伴う通報データを前記通信回線を介して前記管理サーバに送信する手段を備える、請求項10記載の情報機器。
【請求項15】
前記第1の情報処理部が、前記近距離無線通信回路の近距離無線通信による前記移動体通信端末からの通報データの受信に応じて、前記第1の記憶部が記憶する住所データに基づく住所情報を含む通報伝文を生成する手段と、
前記第1の情報処理部が、前記生成した通報伝文を前記通信回線を介して前記所定の通報先が管理する通報先管理サーバに送信する手段と、
を備える、請求項10記載の情報機器。
【請求項16】
前記情報機器からの指令に応じて当該情報機器の周辺画像をカメラによって撮像して撮像画像を当該情報機器に送信する監視ユニットと、
第1の情報処理部が、前記監視ユニットから送信された撮像画像を前記通信回線を介して前記通報先管理サーバに送信する手段と、
を具備する、請求項10記載の情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−271257(P2008−271257A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112341(P2007−112341)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】