説明

通行管理システム及び通行管理方法

【課題】ゲート装置の通行を許可するためにユーザの顔照合を実行した場合であっても,ゲート装置のスループットが低下することのない通行管理システムを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る通行管理システム1は,ゲート装置10が設置された通路3を通行しているユーザ2の顔をカメラ112で撮影し,カメラ112が撮影した映像のフレームに含まれる顔を照合する顔照合装置11と,ユーザ2が所持する認証デバイス12によりユーザ2を識別し,ユーザ2の識別結果及び顔の照合結果に応じてフラッパーの開放を制御するゲート装置10とから構成され,ゲート装置10を通行する前にユーザ2の顔を予め照合できるように,顔照合装置11のカメラ112の焦点は,ゲート装置10から数メートル手前の通路3上を通行するユーザ2にピントが合うように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ゲート装置を通過するユーザの顔を顔照合して,ユーザのゲート装置の通行を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
機密情報の漏洩を防止するために,企業においてセキュリティ管理が強化され、企業の施設の入口には,ユーザが所持する認証デバイス(例えば,非接触ICカード)により,ユーザを識別して通行を管理するゲート装置が設置されることが多くなった。
【0003】
認証デバイスによりユーザを識別して通行を管理するゲート装置を企業の施設の入口に設置することで,施設内部のセキュリティレベルを向上させることができるが,認証デバイスによりユーザを識別するだけでは,認証デバイスの不正な貸し借りによる成りすまし行為を防止できないため、施設内部のセキュリティレベルをより向上させるためには,認証デバイスを所持するユーザ自身も認証することが必要になる。
【0004】
ゲート装置を通行するユーザ自身を認証するためには,ユーザの生体情報を照合することが必要になり、生体情報の照合としては指先の指紋照合や目の虹彩照合もあるが,ゲート装置を通行するユーザ自身を認証する方式としては,ユーザの操作を必要としない顔照合を用いることが望ましい。
【0005】
ゲート装置において,ユーザが所持する認証デバイスと顔照合を組み合わせた発明として,ユーザの顔画像とユーザが所持する認証デバイス(無線カード)のIDとを対応させた顔照合用データを記憶した記憶部と、有料施設入口の通路で無線カードから情報を読み取るカード情報読取部と、通路に進入するユーザの顔の画像を撮像する撮像部と、認証デバイス(無線カード)から読み取ったIDをキーにし,記憶部に記憶されている顔照合用データの中からIDが一致する顔画像を読み出して撮影した顔の画像と照合し、照合に成功した場合、認証デバイス(無線カード)から読み取った割引フラグに従って料金割引を行う料金割引判定部を備えた自動改札機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-97272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,従来の技術は,認証デバイスによりユーザを識別した後,識別したユーザの顔を照合するため,認証デバイスによりユーザ識別のみをするときよりも,一人のユーザに係る処理時間が長くなり,ゲート装置のスループットが低下してしまうため,企業の施設の入口に設置されたゲート装置を通行するユーザの数が多い時間帯(朝夕,昼休み)では,ゲート装置の前に行列ができてしまうことが考えられる。
【0008】
そこで,本発明は,ゲート装置の通行を許可するためにユーザの顔照合を実行した場合であっても,ゲート装置のスループットが低下することのない通行管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明は,ゲートの開閉によりユーザの通行を管理するゲート装置と,前記ゲート装置を通行しようとするユーザの顔を照合する顔照合装置と,ユーザを識別するためのユーザIDが記憶された認証デバイスとから少なくとも構成される通行管理システムであって,ゲート装置の通行する前に,ユーザの顔照合を実行できるように,第1の発明に係る通行管理システムの前記顔照合装置は,前記ゲート装置へ通じる通路の映像を定期的に撮影するカメラと,前記ゲート装置の通行が許可されているユーザ毎に,前記ユーザIDに関連付けてユーザの照合用顔画像を記憶している顔画像DBと,前記カメラから映像のフレームが送信される毎に,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,該顔画像と前記顔画像DBに記憶されている各々の前記照合用顔画像を照合し,照合に成功すると,照合に成功した前記照合用顔画像に関連付けられた前記ユーザIDを含むエントリー情報を前記ゲート装置へ送信する顔照合手段を備えた前記顔照合装置を備えている。
【0010】
更に,第1の発明に係る通行管理システムには,ユーザの顔照合と認証デバイスを用いたユーザ識別により,ユーザのゲート装置の通行を管理できるように,第1の発明に係る通行管理システムの前記ゲート装置は,前記認証デバイスから前記ユーザIDを読み取るリーダと,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を記憶するエントリーDBと,前記ゲート装置の通行が許可されているユーザの前記ユーザIDを記憶しているユーザDBと,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録するエントリー管理手段と,前記リーダから前記ユーザIDが送信されると,該ユーザIDを含む前記エントリー情報を前記エントリーDBから,該ユーザIDを前記ユーザDBからそれぞれ検索し,それぞれが検索できた場合に前記ゲートを開放する動作を行うゲート制御手段を備えている。
【0011】
更に,前記ゲート装置を通行したユーザに対応するエントリー情報を削除できるように,第1の発明に係る通行管理システムの前記ゲート装置の前記ゲート制御手段は,ゲートを開放する動作を行った後,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報の削除要求を前記エントリー管理手段に行い,前記エントリー管理手段は,前記ゲート制御手段から削除要求を受けた前記エントリー情報を前記エントリーDBから削除することが望ましい。
【0012】
更に,同じユーザの前記エントリー情報が重複して登録されないように,第1の発明に係る通行管理システムの前記ゲート装置の前記エントリー管理手段は,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報に含まれる前記ユーザIDと同一の前記ユーザIDを含む前記エントリー情報を前記エントリーDBから検索し,該エントリー情報を検索できたときは,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録しないことが望ましい。
【0013】
更に,利用されなかった前記エントリー情報が残らないように,第1の発明に係る通行管理システムの前記ゲート装置の前記エントリー管理手段は,前記エントリー情報の受信時間を付与して前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録し,前記エントリー情報の受信時間から所定時間を経過した前記エントリー情報を前記エントリーDBから削除することが望ましい。
【0014】
更に,複数の前記ゲート装置が設けられている場合,第1の発明に係る通行管理システムの前記顔照合装置は,複数の前記ゲート装置全てに対して前記エントリー情報を送信し,第1の発明に係る通行管理システムの前記ゲート装置の前記ゲート制御手段は,自機及び他機の前記エントリー管理手段に対して,前記エントリー情報の削除要求を行うことが望ましい。
【0015】
上述した課題を解決する第2の発明は,ゲートの開閉によりユーザの通行を管理するゲート装置と,前記ゲート装置を通行しようとするユーザの顔を照合する顔照合装置と,ユーザを識別するためのユーザIDが記憶された認証デバイスを利用した通行管理方法であって,第2の発明に係る通行管理方法には,ゲート装置の通行する前に,ユーザの顔照合を実行できるように,前記顔照合装置が,前記ゲート装置へ通じる通路の映像を定期的に撮影するカメラから映像のフレームが送信されると,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,前記顔照合装置に予め登録されている各々の前記照合用顔画像と該顔画像と照合し,照合に成功すると,照合に成功した前記照合用顔画像に関連付けられている前記ユーザIDを含むエントリー情報を前記ゲート装置へ送信するステップa1が含まれ,更に,ユーザの顔照合と認証デバイスを用いたユーザ識別により,ユーザのゲート装置の通行を管理できるように,前記ゲート装置が,前記顔照合装置から前記エントリー情報を受信すると,該エントリー情報を前記ゲート装置に記憶するステップa2が実行される顔照合工程と,前記ゲート装置が,前記認証デバイスに対応したリーダを用いて,前記認証デバイスから前記ユーザIDを読み取るステップb1と,前記ゲート装置が,前記ステップb1で得られたユーザIDを含む前記エントリー情報が前記ゲート装置に記憶され,かつ,該ユーザIDが前記ゲート装置に登録されている場合,前記ゲートを開放する動作を行うステップb2が実行されるゲート制御工程が含まれる。
【0016】
更に,前記ゲート装置を通行したユーザに対応するエントリー情報を削除できるように,第2の発明に係る通行管理方法の前記ゲート制御工程の前記ステップb2において,前記ゲート装置は,前記ゲートを開放する動作を行った後に,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報を前記ゲート装置から削除することを特徴とすることが望ましい。
【0017】
更に,同じユーザの前記エントリー情報が重複して登録されないように,第2の発明に係る通行管理方法の前記顔照合工程の前記ステップa2において,前記ゲート装置は,前記ゲート装置に記憶している前記エントリー情報の中から,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報に含まれる前記ユーザIDと同一の前記ユーザIDを含む前記エントリー情報を検索し,該エントリー情報を検索できたときは,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記ゲート装置に記憶しないことが望ましい。
【0018】
更に,利用されなかった前記エントリー情報が残らないように,第2の発明に係る通行管理方法の前記顔照合工程の前記ステップa2において,前記ゲート装置は,前記エントリー情報の受信時間を付与して前記エントリー情報を前記ゲート装置に記憶し,定期的に前記エントリー情報の受信時間からの経過時間を前記エントリー情報毎に求め,前記エントリー情報の受信時間から所定時間が経過した前記エントリー情報を前記ゲート装置から消去するエントリー管理工程を含むことが望ましい。
【0019】
更に,複数の前記ゲート装置が設けられている場合,第2の発明に係る通行管理方法において,複数の前記ゲート装置が設けられている場合,前記顔照合工程の前記ステップa1において,前記顔照合装置は,複数の前記ゲート装置全てに対して前記エントリー情報を送信し,前記ゲート装置は,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報を自機から削除すると共に,他機に対して,該エントリー情報の削除要求を行い,前記エントリー情報の削除要求を受けた前記ゲート装置は,削除要求を受けた前記エントリー情報を削除することが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
このように,本発明によれば,ゲート装置の通行を許可するためにユーザの顔照合を実行した場合であっても,ゲート装置のスループットが低下することのない通行管理システム及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る通行管理システムを説明する図。
【図2】通行管理システムの顔照合装置のブロック図。
【図3】顔照合装置に接続されたカメラの設置状況を説明する図。
【図4】顔照合装置の顔照合手段が実行する手順を説明するフロー図。
【図5】通行管理システムのゲート装置のブロック図。
【図6】ゲート装置のゲート制御手段が実行する手順を説明するフロー図。
【図7】ゲート装置のゲート制御手段が実行する手順を説明する補足図。
【図8】ゲート装置のエントリー管理手段が実行する手順を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここから,本願発明の実施形態について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明を実施できる程度に説明する。
【0023】
図1は,本実施形態に係る通行管理システム1を説明する図である。本実施形態に係る通行管理システム1は,ゲート装置10が設置された通路3を通行しているユーザ2の顔をカメラ112で撮影し,カメラ112が撮影した映像のフレームに含まれる顔を照合する顔照合装置11と,ユーザ2が所持する認証デバイス12(ここでは,非接触ICカード)によりユーザ2を識別し,ユーザ2の識別結果及び顔の照合結果に応じてフラッパーの開放を制御するゲート装置10とから構成されている。
【0024】
ユーザ2がゲート装置10を通行する直前でユーザ2の顔照合を行うと,一人のユーザ2がゲート装置10の前にいる時間は顔照合に係る時間だけ長くなり,ゲート装置10のスループットが低下するため,朝夕など,ゲート装置10を通行するユーザ数が多いときは,ゲート装置10を通行しようとする単位時間当たりのユーザ数がゲート装置10のスループットを超えるため,ゲート装置10の前にユーザ2が並ぶことになってしまう。
【0025】
このように,ゲート装置10を通行する直前でユーザ2の顔照合を行うと,顔照合に係る時間がゲート装置10のスループットの律速になるため,本実施形態の通行管理システム1では,ゲート装置10を通行する前にユーザ2の顔を予め照合し,ゲート装置10が,ゲート装置10を通行する前に実施された顔照合の結果と認証デバイス12によるユーザ識別の結果に応じてフラッパーの開放を制御することで,顔照合に係る時間がゲート装置10のスループットの律速にならないようにしている。
【0026】
まず,通行管理システム1の顔照合装置11について説明する。図2は,通行管理システム1の顔照合装置11のブロック図である。通行管理システム1の顔照合装置11は,マイクロプロセッサ,RAMやROMなどのメモリ,ネットワークインターフェースが実装されたコンピュータ基板を有し,大容量のデータ記憶装置が接続された汎用のサーバで実現される装置で,図2に図示したように,ゲート装置10へ通じる通路3の映像を定期的に撮影するカメラ112と,ゲート装置10の通行が許可されているユーザ2毎に,ユーザIDに関連付けてユーザ2の照合用顔画像を記憶している顔画像DB111と,カメラ112から映像のフレームが送信される毎に,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,該顔画像と顔画像DB111に記憶されている各々の照合用顔画像を照合し,照合に成功すると,照合に成功した照合用顔画像に関連付けられたユーザIDを含むエントリー情報をゲート装置10へ送信する顔照合手段110を備えている。
【0027】
図3は,顔照合装置11に接続されたカメラ112の設置状況を説明する図である。顔照合装置11に接続されたカメラ112は,ゲート装置10が設置された通路3の天井などに固定され,顔照合装置11に接続されたカメラ112の焦点は,ゲート装置10から数メートル手前の通路3上を通行するユーザ2にピントが合うように設定されている。
【0028】
ゲート装置10から数メートル手前の通路3上を通行するユーザ2にピントが合うようにカメラ112の焦点を設定しているのは,ユーザ2が撮影されてからゲート装置10に到達する間に,ユーザ2の顔照合を終了させ,顔照合に係る時間がゲート装置10のスループットの律速にならないようにするためである。
【0029】
ユーザ2の顔を撮影する位置をゲート装置10から数メートル手前にすれば,顔の撮影位置からゲート装置10までの距離をユーザ2が歩行するのに数秒程度かかるため,この時間を利用してユーザ2の顔照合を行えば,ユーザ2がゲート装置10を通行する時点までに,ユーザ2の顔照合を終わらすことができるようになる。
【0030】
顔画像DB111は,顔照合装置11として利用されるサーバのデータ記憶装置に設けられるDBで,顔画像DB111には,本実施形態に係る通行管理システム1が設置される施設を利用するユーザ2毎にユーザ2の顔画像が予め照合用顔画像として登録され,照合用顔画像には,照合用顔画像に対応するユーザ2が所持する認証デバイス12に記憶されているユーザIDが関連付けられている。
【0031】
通行管理システム1の顔照合装置11に備えられた顔照合手段110は,顔照合装置11として利用するサーバに実装された一つのモジュールで実現することができ,カメラ112から映像のフレームが送信される毎に,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,該顔画像と顔画像DB111に記憶されている各々の照合用顔画像を照合し,照合に成功すると,照合に成功した照合用顔画像に関連付けられたユーザIDを含むエントリー情報をゲート装置10へ送信する処理を行う。
【0032】
図4は,顔照合装置11の顔照合手段110が実行する手順を説明するフロー図である。顔照合装置11の顔照合手段110は,カメラ112は,ゲート装置10が設置されている通路3の映像を連続して撮影し,撮影した映像をゲート装置10の顔照合手段110に対して送信し,カメラ112からフレームが送信される毎に,顔照合装置11の顔照合手段110は図4の手順を実行する。
【0033】
顔照合装置11の顔照合手段110は,カメラ112から映像のフレームを受信すると(S1), Haar-Like特徴量を用いたAdaboostアルゴリズムなどの公知の技術を利用して,このフレームに含まれる顔画像を検出する(S2)。
【0034】
カメラ112から受信した映像のフレームから顔画像を検出すると,顔照合装置11の顔照合手段110は,カメラ112から受信したフレームから検出した顔画像毎にループ処理L1を実行した後,この手順を終了する。
【0035】
ループ処理L1において,顔照合装置11の顔照合手段110は,顔画像のSURF特徴量(Speeded Up Robust Features)を求めるなどして,顔画像DB111に記憶されている各照合用顔画像とこの顔画像を照合し(S3),照合結果によって処理を分岐する(S4)。
【0036】
顔照合装置11の顔照合手段110は,ループ処理L1の対象となる顔画像との照合に成功した照合用顔画像があった場合,照合に成功した照合用顔画像に関連付けられたユーザIDを少なくとも含むエントリー情報を,顔照合装置11に接続している全てのゲート装置10へ送信する(S5)。また,ループ処理L1の対象となる顔画像と全ての照合用顔画像の照合に失敗するとエントリー情報を送信しない。
【0037】
図1では,ゲート装置10の数は3台であるため,顔照合装置11がエントリー情報を送信するゲート装置10の数は3台になるが,ゲート装置10の数が1台のみであれば,顔照合装置11がエントリー情報を送信するゲート装置10の数は1台のみになる。
【0038】
なお,顔照合装置11の顔照合手段110がゲート装置10へ送信するエントリー情報には,照合に成功した照合用顔画像に関連付けられたユーザIDのみならず,エントリー情報を識別するためのIDなど,エントリー情報を管理するための情報も含ませることができる。
【0039】
次に,通行管理システム1のゲート装置10について説明する。図1では3台のゲート装置10を図示しているが,それぞれのゲート装置10の内容は同一である。
【0040】
図5は,通行管理システム1のゲート装置10のブロック図である。通行管理システム1のゲート装置10は,コンピュータ基板が実装された汎用的なゲート装置10を利用して実現される装置で,ゲート装置10には,認証デバイス12からユーザIDを読み取るリーダ104が接続され,顔照合装置11から受信したエントリー情報を記憶するエントリーDB102と,ゲート装置10の通行が許可されているユーザ2のユーザIDを記憶しているユーザDB103と,顔照合装置11から受信したエントリー情報をエントリーDB102に登録する処理を少なくとも実行するエントリー管理手段101と,リーダ104からユーザIDが送信されると,該ユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDB102から,該ユーザIDをユーザDB103からそれぞれ検索し,それぞれが検索できた場合にゲートを開放する動作を行うゲート制御手段100が備えられている。
【0041】
通行管理システム1のゲート装置10に備えられたリーダ104は,ユーザ2が所持する認証デバイス12に対応し,ユーザ2が所持する認証デバイス12が非接触ICカードならば,リーダ104は非接触ICカード用のリーダライタになるし,また,ユーザ2が所持する認証デバイス12が接触ICカードならば,リーダ104は接触ICカード用のリーダライタになる。
【0042】
エントリーDB102は,顔照合装置11として利用されるサーバのデータ記憶装置に設けられるDBで,エントリーDB102には,顔照合装置11から送信されたエントリー情報が登録され,エントリーDB102に登録されたエントリー情報は,エントリー情報を用いてフラッパーを開放したとき,または,エントリーDB102に記憶されてから所定時間が経過したときに,エントリーDB102から削除される。
【0043】
ユーザDB103は,顔照合装置11として利用されるサーバのデータ記憶装置に設けられるDBで,ユーザDB103には,ゲート装置10の通行を許可されているユーザ2が所持する認証デバイス12に記憶されたユーザIDが記憶されている。
【0044】
通行管理システム1のゲート装置10に備えられたゲート制御手段100は,本発明に係るゲート装置10に実装されるコンピュータプログラムで実現することができ,リーダ104からユーザIDが送信されると,該ユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDB102から,該ユーザIDをユーザDB103から,それぞれ検索し,それぞれが検索できた場合にゲートを開放する動作を行った後に,リーダ104が読み取ったユーザIDに対応するエントリー情報の削除要求をエントリー管理手段101に行う処理を実行する。
【0045】
図1のように複数台のゲート装置10が設置されている場合,顔照合装置11から全てのゲート装置10に対して同一のエントリー情報が送信されるため,ゲート装置10のゲート制御手段100は,自機のエントリー管理手段101のみならず,他機のエントリー管理手段101に対しても,ゲートを開放したときのユーザIDに対応するエントリー情報の削除要求を行うことになる。
【0046】
なお,ゲートを開放したときのユーザIDに対応するエントリー情報の指定にユーザIDを用いることもできるが,エントリー情報にエントリー情報のIDが含まれる場合,削除するエントリー情報の指定に,エントリー情報のIDを用いることもできる。
【0047】
図6は,ゲート装置10のゲート制御手段100が実行する手順を説明するフロー図である。ゲート装置10に接続しているリーダ104は,ユーザ2が所持する認証デバイス12を検出する動作を行い,認証デバイス12を検出すると,検出した認証デバイス12に対してユーザIDを送信し,認証デバイス12から受信したユーザIDがリーダ104からゲート制御手段100へ送信される。
【0048】
ゲート装置10のゲート制御手段100は,リーダ104からユーザIDを受信すると(S10),このユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDB102から検索し(S11),検索結果に応じて処理を分岐させる(S12)。
【0049】
ゲート装置10のゲート制御手段100は,このエントリー情報をエントリーDB102から検索できなかったときは,フラッパーを一定時間開放することなく,この手順を終了し,リーダ104が認証デバイス12から読み取ったユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDBから検索できたときは,リーダ104が認証デバイス12から読み取ったユーザIDをユーザDB103から検索する(S13)。
【0050】
ゲート装置10のゲート制御手段100は,検索結果に応じて処理を分岐させる(S14),リーダ104が認証デバイス12から読み取ったユーザIDがユーザDB103から検索できなかったときは,フラッパーを一定時間開放することなく,この手順を終了し,このユーザIDをユーザDB103から検索できたときは,フラッパーを一定時間開放した後(S15),自機及び他機のエントリー管理手段101に対して,このユーザIDに対応するエントリー情報を削除要求を行い(S16),この手順を終了する。
【0051】
図7は,ゲート装置10のゲート制御手段100が実行する手順を説明する補足図で,図7(a)は,カメラ112が撮影した映像のフレーム112aを説明する図で,図7(b)は,図7(a)で図示したフレーム112aに含まれるユーザ2の顔照合結果である。
【0052】
図7(a)で図示したフレーム112aには,A,B,C,D及びEの合計5人のユーザ2が撮影され,図7(a)で図示したフレーム112aからA,B,C,D及びEの合計5人のユーザ2の顔画像が検出されている。
【0053】
図7(b)で図示したように,A,B,D及びEのユーザ2は顔照合に成功し,Cのユーザは顔照合に失敗しているため,A,B,D及びEのユーザ2それぞれに対応する4つのエントリー情報が顔照合装置11からゲート装置10へ送信され,Cのユーザ2に対応するエントリー情報は顔照合装置11からゲート装置10へ送信されないため,A,B,D及びEのユーザ2それぞれに対応する4つのエントリー情報がゲート装置10のエントリーDB102に登録される。
【0054】
よって,A,B,D及びEのユーザ2が所持している認証デバイス12に記憶されている各ユーザIDがゲート装置10のユーザDB103に記憶されている場合,A,B,D及びEのユーザ2が所持しているいずれかの認証デバイス12がリーダ104にかざされると,ゲート装置10のフラッパーは一定時間だけ開放され,Cのユーザ2が所持している認証デバイス12がリーダ104にかざされても,Cのユーザ2は顔照合に失敗しているため,ゲート装置10のフラッパーは開放されない。
【0055】
通行管理システム1のゲート装置10に備えられたエントリー管理手段101は,本発明に係るゲート装置10顔照合装置11として利用するゲート装置10に実装されるコンピュータプログラムで実現することができ,顔照合装置11からエントリー情報を受信すると,このエントリー情報をエントリーDB102に登録し,自機又は他機のゲート制御手段100から,エントリー情報の削除要求を受けると,削除要求を受けたエントリー情報をエントリーDB102から削除し,加えて,定期的にエントリーDB102に登録されてから所定時間が経過したエントリー情報を削除する処理を行う。
【0056】
図8は,ゲート装置10のエントリー管理手段101が実行する手順を説明するフロー図で,図8(a)は,顔照合装置11からエントリー情報を受信したときにエントリー管理手段101が実行する手順で,図8(b)は,ゲート制御手段100からエントリー情報の削除要求を受けたときにエントリー管理手段101が実行する手順で,図8(c)は,定期的にエントリー管理手段101が実行する手順である。
【0057】
まず,図8(a)を参照しながら,顔照合装置11からエントリー情報を受信したときにエントリー管理手段101が実行する手順について説明する。
【0058】
ゲート装置10のエントリー管理手段101は,顔照合装置11からエントリー情報を受信すると(S20),まず,受信したエントリー情報に含まれるユーザIDと同じユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDB102に登録されているか検索し(S21),検索結果に応じて処理を分岐させる(S22)。
【0059】
ゲート装置10のエントリー管理手段101は,受信したエントリー情報に含まれるユーザIDと同じユーザIDを含むエントリー情報が既にエントリーDB102に登録されている場合,顔照合装置11から登録要求を受けたエントリー情報をエントリーDB102に登録することなくこの手順を終了する。
【0060】
また,ゲート装置10のエントリー管理手段101は,受信したエントリー情報に含まれるユーザIDと同じユーザIDを含むエントリー情報がエントリーDB102に登録されていない場合,顔照合装置11から受信したエントリー情報をこの時の時刻を付加してエントリーDB102に登録し(S23),この手順を終了する。
【0061】
なお,ゲート装置10のエントリー管理手段101が,顔照合装置11から受信したエントリー情報に含まれるユーザIDと同じユーザIDを含むエントリー情報がエントリーDB102に登録されているか検索するのは,顔照合装置11のカメラ112が撮影した連続するフレームに同一のユーザ2が撮影されていると,同一のユーザ2の顔が複数回照合されることになり,同一のユーザIDを含む複数のエントリー情報がゲート装置10へ送信されてしまうため,同一のユーザIDを含むエントリー情報が重複してエントリーDB102に登録されるのを防止するためである。
【0062】
次に,図8(b)を参照しながら,ゲート制御手段100からエントリー情報の削除要求を受けたときに実行する手順について説明する。
【0063】
ゲート装置10のエントリー管理手段101が,自機又は他機のゲート制御手段100からエントリー情報の削除要求を受けると(S30),削除要求を受けたエントリー情報をエントリーDB102から検索し,検索したエントリー情報をエントリーDB102から削除して(S31),この手順を終了する。
【0064】
削除要求を受けたエントリー情報の指定にユーザIDが利用されるとき,ゲート装置10のエントリー管理手段101は,指定されたユーザIDを含むエントリー情報をエントリーDB102から検索することになる。また,削除要求を受けたエントリー情報の指定にエントリー情報のIDが利用されるとき,ゲート装置10のエントリー管理手段101は,指定されたエントリー情報のIDを含むエントリー情報をエントリーDB102から検索することになる。
【0065】
ゲート装置10のエントリー管理手段101が,ゲート制御手段100から削除要求を受けたエントリー情報はゲートを通過したユーザ2のエントリー情報になるため,自機又は他機のゲート制御手段100から削除要求を受けたエントリー情報をエントリーDB102から削除することで,ゲートを通過したユーザ2のエントリー情報が再利用されることを防止できる。
【0066】
次に,図8(c)を参照しながら,定期的にエントリー管理手段101が実行する手順について説明する。
【0067】
ゲート装置10のエントリー管理手段101は,タイマなどを利用して一定間隔を計測し,一定時間間隔が経過すると,エントリーDB102に登録されているエントリー情報の中から,この時点の時刻が,エントリー情報に付加された時刻から一定時間が経過しているエントリー情報を検索し(S40),検索したエントリー情報全てをエントリーDB102から削除する処理を実行して(S41),この手順を終了する。
【0068】
なお,ゲート装置10のエントリー管理手段101が,エントリー情報に付加された時刻から一定時間が経過しているエントリー情報をエントリーDB102から削除するのは,通路3をUターンしたユーザ2に対するエントリー情報がゲート装置10に残ること無くすためである。
【符号の説明】
【0069】
1 通行管理システム
10 ゲート装置
100 ゲート制御手段
101 エントリー管理手段
102 エントリーDB
103 ユーザDB
104 リーダ
11 顔照合装置
110 顔照合手段
111 顔画像DB
12 認証デバイス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートの開閉によりユーザの通行を管理するゲート装置と,前記ゲート装置を通行しようとするユーザの顔を照合する顔照合装置と,ユーザを識別するためのユーザIDが記憶された認証デバイスとから少なくとも構成される通行管理システムであって,
前記顔照合装置は,前記ゲート装置へ通じる通路の映像を定期的に撮影するカメラと,前記ゲート装置の通行が許可されているユーザ毎に,前記ユーザIDに関連付けてユーザの照合用顔画像を記憶している顔画像DBと,前記カメラから映像のフレームが送信される毎に,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,該顔画像と前記顔画像DBに記憶されている各々の前記照合用顔画像を照合し,照合に成功すると,照合に成功した前記照合用顔画像に関連付けられた前記ユーザIDを含むエントリー情報を前記ゲート装置へ送信する顔照合手段を備え,
前記ゲート装置は,前記認証デバイスから前記ユーザIDを読み取るリーダと,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を記憶するエントリーDBと,前記ゲート装置の通行が許可されているユーザの前記ユーザIDを記憶しているユーザDBと,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録するエントリー管理手段と,前記リーダから前記ユーザIDが送信されると,該ユーザIDを含む前記エントリー情報を前記エントリーDBから,該ユーザIDを前記ユーザDBからそれぞれ検索し,それぞれが検索できた場合に前記ゲートを開放する動作を行うゲート制御手段を備えている,
ことを特徴とする通行管理システム。
【請求項2】
前記ゲート装置の前記ゲート制御手段は,ゲートを開放する動作を行った後,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報の削除要求を前記エントリー管理手段に行い,前記エントリー管理手段は,前記ゲート制御手段から削除要求を受けた前記エントリー情報を前記エントリーDBから削除することを特徴とする,請求項1に記載の通行管理システム。
【請求項3】
前記ゲート装置の前記エントリー管理手段は,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報に含まれる前記ユーザIDと同一の前記ユーザIDを含む前記エントリー情報を前記エントリーDBから検索し,該エントリー情報を検索できたときは,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録しないことを特徴とする,請求項1又は請求項2に記載の通行管理システム。
【請求項4】
前記ゲート装置の前記エントリー管理手段は,前記エントリー情報の受信時間を付与して前記エントリー情報を前記エントリーDBに登録し,前記エントリー情報の受信時間から所定時間を経過した前記エントリー情報を前記エントリーDBから削除することを特徴とする,請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の通行管理システム。
【請求項5】
複数のゲート装置が設けられている場合,前記顔照合装置は,複数の前記ゲート装置全てに対して前記エントリー情報を送信し,前記ゲート装置の前記ゲート制御手段は,自機及び他機の前記エントリー管理手段に対して,前記エントリー情報の削除要求を行うことを特徴とする,請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の通行管理システム。
【請求項6】
ゲートの開閉によりユーザの通行を管理するゲート装置と,前記ゲート装置を通行しようとするユーザの顔を照合する顔照合装置と,ユーザを識別するためのユーザIDが記憶された認証デバイスを利用した通行管理方法であって,
前記顔照合装置が,前記ゲート装置へ通じる通路の映像を定期的に撮影するカメラから映像のフレームが送信されると,該フレームから顔画像を検出し,検出した顔画像毎に,前記顔照合装置に予め登録されている各々の前記照合用顔画像と該顔画像と照合し,照合に成功すると,照合に成功した前記照合用顔画像に関連付けられている前記ユーザIDを含むエントリー情報を前記ゲート装置へ送信するステップa1と,前記ゲート装置が,前記顔照合装置から前記エントリー情報を受信すると,該エントリー情報を前記ゲート装置に記憶するステップa2が実行される顔照合工程と,
前記ゲート装置が,前記認証デバイスに対応したリーダを用いて,前記認証デバイスから前記ユーザIDを読み取るステップb1と,前記ゲート装置が,前記ステップb1で得られたユーザIDを含む前記エントリー情報が前記ゲート装置に記憶され,かつ,該ユーザIDが前記ゲート装置に登録されている場合,前記ゲートを開放する動作を行うステップb2が実行されるゲート制御工程と,
を含むことを特徴とする通行管理方法。
【請求項7】
前記ゲート制御工程の前記ステップb2において,前記ゲート装置は,前記ゲートを開放する動作を行った後に,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報を前記ゲート装置から削除することを特徴とする,請求項6に記載の通行管理方法。
【請求項8】
前記顔照合工程の前記ステップa2において,前記ゲート装置は,前記ゲート装置に記憶している前記エントリー情報の中から,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報に含まれる前記ユーザIDと同一の前記ユーザIDを含む前記エントリー情報を検索し,該エントリー情報を検索できたときは,前記顔照合装置から受信した前記エントリー情報を前記ゲート装置に記憶しないことを特徴とする,請求項6又は請求項7に記載の通行管理方法。
【請求項9】
前記顔照合工程の前記ステップa2において,前記ゲート装置は,前記エントリー情報の受信時間を付与して前記エントリー情報を前記ゲート装置に記憶し,定期的に前記エントリー情報の受信時間からの経過時間を前記エントリー情報毎に求め,前記エントリー情報の受信時間から所定時間が経過した前記エントリー情報を前記ゲート装置から消去するエントリー管理工程を含むことを特徴とする,請求項6から請求項8のいずれか一つに記載の通行管理方法。
【請求項10】
複数の前記ゲート装置が設けられている場合,前記顔照合工程の前記ステップa1において,前記顔照合装置は,複数の前記ゲート装置全てに対して前記エントリー情報を送信し,前記ゲート装置は,前記リーダが読み取った前記ユーザIDに対応する前記エントリー情報を自機から削除すると共に,他機に対して,該エントリー情報の削除要求を行い,前記エントリー情報の削除要求を受けた前記ゲート装置は,削除要求を受けた前記エントリー情報を削除することを特徴とする,請求項6から請求項9のいずれか一つに記載の通行管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−67458(P2012−67458A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210885(P2010−210885)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】