説明

通話システム、この通話システムに用いられる通話装置、並びにこの通話システムおよび通話装置に用いられるスピーカ

【課題】ユーザーの利便性を向上し、複数の音声情報を聞き取りやすくすることが可能な通話装置を提供する。
【解決手段】イヤホン部307は、Rチャンネル用イヤホン307aと、Lチャンネル用イヤホン307bとで構成されるステレオ用イヤホンであり、たとえばそれぞれスピーカが内蔵されている各イヤホンの所定位置、たとえばイヤホンの背中部にID部307a(307b)が設けられ、左右のイヤホンスピーカ部に設けられたID部307a,307bには異なるID情報(認識情報)が付与され、音声切替部302は、制御部303の制御の下、ID読み取り部304で検出されたIDが付与されているイヤホンスピーカ側に通話音声信号104を、他方のイヤホンスピーカ側に通話外音声信号である放送音声信号205を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽などの再生や、放送電波を受信して再生することが可能な携帯電話機等の通話装置に係り、特に、認識情報(ID情報)に応じて通話音声や通話音声以外の音データの出力を制御可能な通話システム、この通話システムに用いられる通話装置、並びにこの通話システムおよび通話装置に用いられるスピーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の移動体端末装置の技術革新は著しく、インターネット接続などの通信機能や、電子メールの機能、ゲーム、音楽プレーヤ、FM放送受信、TV放送受信など、多機能化および高機能化が進んでいる。
また、周知のように、地上デジダル放送では、主に携帯性の高い受信機向けに、1または3セグメントの伝送帯域を使用した放送が予定されており、また、衛星デジタル放送においても携帯性の高い受信機向けにサービスが予定されている。
【0003】
このように、携帯電話機は、本来の通話機能だけでなく、音楽再生や、放送受信機などのようにメディア再生機能を備えるようになり、音声系メディアの再生機能として、ステレオイヤホンマイクや、ステレオスピーカなどのステレオ化も進んでいる。
また、携帯電話機のマルチメディア端末化が進む一方で、携帯電話の使用マナーとして、公衆の面前での使用中は、外部に音を出さないよう、マナーモードにするなり、イヤホンマイクを利用するというマナーも定着してきている。
【0004】
このような状況下において、以下に示す第1〜第3の装置のような音楽再生機能付携帯電話機等が種々提案されている。
【0005】
第1の装置は、電話として使用しない場合には、ヘッドフォンステレオとして使用可能であり、着信時はリモートコントロールにより円滑に着信応答が可能であり、着信応答で音楽を中断する携帯電話装置である(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
第2の装置は、ヘッドフォンステレオ付携帯電話機であって、ヘッドフォンステレオ部動作時でも電話部に着信があると、電話の呼出音がヘッドフォンステレオの再生音より優先してイヤホン等から再生する携帯電話機である(たとえば特許文献2参照)。
【0007】
第3の装置は、音楽再生中であっても携帯電話機の着信を確認できるように、着信でイヤホンの音楽に着信音を重畳するようにした音楽再生機能付携帯電話機である。
【0008】
また、ID情報(データ)を含むIDタグを用いたカードシステムや位置情報提供装置が提案されている。
【0009】
たとえば、IDタグを用いた非接触型カードシステムであって、コリジョンが発生したときに、各IDタグに対する通信回数を低減させ、各IDタグからIDデータを収集し終わるまでの時間を短くして、処理速度を向上させたカードシステムが提案されている。
【0010】
また、所定の場所に配置された複数の無線IDリーダを用いることにより、無線IDタグが取り付けられた移動体の位置情報を提供する位置情報提供装置が提案されている。
【特許文献1】特開平10−23115号公報
【特許文献2】実開平5−6958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した携帯電話機等にあっては、次のような課題を有している。
【0012】
たとえば、本体スピーカから通話外音声を出力し、イヤホンスピーカより、通話音声を出力する場合においても、前述の携帯電話使用のマナーのように、電車内や、公共施設内においては、通話外の音声を本体スピーカより出力させることは、マナー違反になり、かつ、イヤホンからは通話音声が聞こえているため、本体スピーカより出力される通話外音声は聞き取りにくいという欠点がある。
【0013】
また、通話音声と通話外音声が合成されてイヤホンから出力されるような場合には、両方の音声を同時に聞き取ることは非常に難しく、時間マスキング効果や周波数マスキング効果を回避するようそれぞれの音量を調節させた場合においても、どちらかの音声を優先して聞きたい場合には、ユーザーはその時々で、複雑な操作もしくは行動を行わなければならず、利便性が悪いものであり、かつ、通話に不自然さが生じるという欠点がある。
【0014】
また、上述したIDタグを用いたカードシステムや位置情報提供装置は、通話外音声と通話音声という複数の音声情報を聞き取ることを可能することは全く考慮されていない。
【0015】
本発明の目的は、ユーザーの利便性を向上し、複数の音声情報を聞き取りやすくすることが可能な通話システム、通話装置、およびスピーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点の通話システムは、電話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、少なくとも前記通話手段の音声を出力可能な耳近傍に装着可能なスピーカと、前記スピ一力に配置された認識部と、前記認識部が近接状態の場合に認識情報を取得可能な認識手段と、前記認識手段により前記通話手段の制御を変更する制御手段とを備えている。
【0017】
本発明の第2の観点の通話装置は、通話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、認識部を有すると共に少なくとも前記通話手段の音声を出力可能なスピーカから、前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、前記認識手段が前記スピーカの前記認識情報を取得した場合に、前記通話手段の制御を変更する制御手段とを備えている。
【0018】
好適には、前記制御手段は、前記認識手段による前記認識情報の取得により前記通話手段を通話状態に変更する。
【0019】
好適には、着信を検知する着信検知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記着信検知手段が着信を検知しかつ前記認識手段が前記認識報を取得した場合、前記着信に応答して前記通話手段を通話状態に変更する。
【0020】
好適には、通話先を指定する指定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記指定手段により前記指定通話先が指定された状態で前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記通話手段を通話状態に変更する。
【0021】
本発明の第3の観点の通話装置は、電話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、前記通話に関する音と前記通話以外に関する音とを切換または混合の制御を行う音制御手段と、認識部を有すると共に少なくとも前記音制御手段の出力音を出力可能な情報をスピーカから前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、前記認識手段が前記スピーカの前記認識情報を取得した場合に、前記音制御手段は前記通話に関する音と前記通話以外に関する音との切替または混合の制御を行う音出力制御手段とを備えている。
【0022】
好適には、前記音出力制御手段は、前記認識手段が認識情報を取得した場合、少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する。
【0023】
好適には、着信を検知する着信検知手段と、前記通話手段の制御を変更する通話制御手段と、をさらに備え、前記着信検知手段が着信を検知しかつ前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記音制御手段は前記着信に応答して前記通話手段を通話状態に変更すると共に、前記音出力制御手段は少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する。
【0024】
好適には、前記通話手段の制御を変更する通話制御手段と、通話先を指定する指定手段と、をさらに備え、前記指定手段により前記指定通話先が指定された状態で前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記通話制御手段は前記通話手段を通話状態に変更すると共に、前記音出力制御手段は少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する。
【0025】
本発明の第4の観点の通話装置は、通話回線を介して音声の送受が可能な通話手段と、
少なくとも前記通話に関する音と前記通話以外に関する音とを切換または混合可能な音制御手段と、それぞれ異なる認識部を有すると共に前記音制御手段の出力音を出力可能な少なくとも2つのスピーカのいずれかから前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、前記認識手段により前記認識情報を取得した場合に前記音制御手段の切換または混合を制御する音出力制御手段とを備えている。
【0026】
好適には、前記音出力制御部は、前記認識手段により所定のスピーカの認識部の認識情報を取得した場合、前記通話に関する音を前記所定のスピーカには出力状態に、かつ、前記所定以外のスピーカには非出力状態若しくは前記所定のスピーカに対して音量が低出力状態になるよう前記音制御手段を制御する。
【0027】
好適には、前記音出力制御手段は、前記認識手段において一定時間以上、前記認識情報を検出し続けた場合、前記音制御手段の動作をロックし、前記音制御手段がロック中に異なる認識情報を検出した場合、前記音制御手段のロックを解除する。
【0028】
好適には、音量調整部をさらに備え、前記音出力制御手段は、通話中に前記音量調整部による音量調整がなされた場合に、前記認識手段が前記認識情報の検出状態にあるときは、前記通話に関する音の音量を調整させ、前記認識手段が前記認識情報の非検出状態にあるときは、前記通話以外に関する音の音量を調整させる。
【0029】
好適には、音量調整部をさらに備え、前記音出力制御手段は、通話中に前記音量調整部による音量調整がなされた場合に、前記認識手段が前記認識情報の検出状態にあるときは、前記通話に関する音の音量を調整させ、前記認識手段が前記認識情報の非検出状態にあるときは、前記通話以外の音の音量を調整させ、前記音制御手段がロック中のときには、前記通話に関する音の音量を調整させる。
【0030】
好適には、前記音出力制御手段は、通話中に前記認識手段が前記認識情報を検出中の状態は、前記通話に関する音の音量と前記通話以外に関する音の音量とが、一方が大きく他方が小さくなるように調整させる。
【0031】
好適には、表示部をさらに有し、通話中に前記認識手段が前記認識情報を検出中には、前記表示部の表示を停止する。
【0032】
好適には、前記認識手段は、無線により前記スピーカの前記認識部から前記認識情報を取得する。
【0033】
好適には、前記認識手段は、撮像手段を含み、当該撮像手段により取り込んだ前記スピーカの前記認識部の画像から前記認識情報を取得する。
【0034】
本発明の第5の観点は、電話回線を介して音声通話を行う通話装置と接続可能であって、少なくとも通話に関する音を出力可能なスピーカにおいて、前記通話装置にて認識可能な認識情報を有する認識部を備えている。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ユーザーの利便性を向上した通話システム、通話装置、およびスピーカを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面に関連付けて説明する。
【0037】
本実施形態においては、音楽などの再生や、放送電波を受信して再生することが可能な通話装置としての携帯電話機であって、受信または選択されたコンテンツをステレオイヤホンや、ステレオイヤホンマイクを接続して再生中に、着信または発信を行い、通話状態になった場合に、携帯電話機本体を近づけた側のイヤホンが、通話受話音声を再生し、逆側のイヤホンは、再生中の音楽コンテンツ等を再生して、イヤホンを付けたまま、音楽コンテンツと通話を行うことを可能として、ユーザーの利便性を図っている。
ここで、通話に関する音は、通話音声、リングバックトーン、ビジートーン(BT)、コールプログレストーン、アンサートーン、DTHFトーンなどを意味し、通話以外に関する音は通話以外のアプリケーションソフトで使用される音、TV音声、ラジオ音声、ゲーム音声、音楽プレーヤ音、メディアプレーヤ音などを意味する。
【0038】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
本実施形態の携帯電話機1は、通常の電話通信部に加えて、放送受信部を兼ね備えた場合の構成を一例として採用している。
【0039】
図1の携帯電話機1は、電話通話部100、放送受信部200、および音・表示制御系300を、主構成要素として有している。
表示・音制御系300は、表示部301、音制御手段としての音声切替部302、通話並びに音出力制御部としての制御部303、認識情報検知手段としてのID(認識情報)読み取り部304、マイクロフォン305、スピーカ部306、およびステレオ用イヤホン部307を有している。
【0040】
電話通話部100は、携帯電話アンテナ部101、送受信部102、および通話処理部103を有し、マイクロフォン305や、スピーカ部306を利用して、通話音声104を相手端末と通話するための機能を有する。
電話通話部100は、制御部303によって制御され、ユーザーインターフェイスは、制御部303により、表示部301を使用して表示される。
【0041】
放送受信部200は、放送受信用アンテナ部201、チューナ(Tuner)部202、復調処理部203、およびデコード部204を有する。
放送受信部200は、放送受信用アンテナ部201を介して放送波を受信し、チューナ部202でチャンネルを合わせて、復調処理部203にて受信波を復調し、デコード部204で通話音声以外の放送音声信号205や放送映像信号206にデコードを行う。
放送映像信号206は、表示部301に表示され、放送音声信号205は、音声切替部302に入力される。
【0042】
表示部301、液晶表示装置(LCD)等により構成され、制御部303の制御の下、放送映像信号206に応じた映像を表示する。
【0043】
音声切替部302は、制御部303の制御の下、電話通話部100の通話処理部103による通話音声信号104と放送受信部200のデコード部204による放送音声信号205を切り替えて、スピーカ部306、または、Rチャンネル用イヤホン307a、Lチャンネル用イヤホン307bで構成されるステレオ用のイヤホン部307へ出力することが可能である。
【0044】
本実施形態のイヤホン部307は、Rチャンネル用イヤホン307aと、Lチャンネル用イヤホン307bとで構成されるステレオ用イヤホンであり、たとえばそれぞれスピーカが内蔵されている各イヤホンの所定位置、たとえば図2に示すように、イヤホンの背中部にID部307a(307b)が設けられている。
本実施形態のようにステレオイヤホンの場合には、左右のイヤホンスピーカ部に設けられたID部307a,307bには異なるID情報(認識情報)が付与されている。
そして、音声切替部302は、制御部303の制御の下、ID読み取り部304で検出されたIDが付与されているイヤホンスピーカ側に通話音声信号104を、他方のイヤホンスピーカ側に通話外音声信号である放送音声信号205を出力する。
【0045】
制御部303は、電話通信部100に着信が入った場合、着信を検出し、放送受信部200が視聴のための放送受信を行っていない場合には、通常の着信状態に入り、ユーザーの呼接続イベント待ちとなる。
制御部303は、着信を検出したときに、放送受信部200が放送波を受信して放送番組を表示部301およびイヤホン部307を利用して視聴中であった場合、ユーザーが着信呼をオフフックして、通話状態に入ったら、ID読み取り部304を動作させてID読み取りを開始する。
制御部303は、ID読み取り部304がIDを読み取っていなければ継続的に放送音声信号205を音声切替部302を介してイヤホン部307のイヤホン307a、307bに出力させる。
【0046】
制御部303は、前述したように、ID読み取り部304がIDを読み取った場合には、音声切替部302を制御して、イヤホン部307のうち読み取ったIDに対応するイヤホンスピーカ側に通話音声信号104を出力させ、もう片方のイヤホンスピーカ側に放送音声信号205を出力させる。
また、制御部303は、ID読み取り部304により一方のイヤホンスピーカに配置されたID部のID情報を取得した場合、通話音声信号104を一方のスピーカには出力状態に、かつ、他方のスピーカには非出力状態若しくは一方のスピーカに対して音量が低出力状態に制御するように構成することも可能である。
【0047】
イヤホン部307の左右イヤホン307a、307bがそれぞれ異なるIDを持っている場合には、前述のように音声信号が再生され、同一のIDの場合には、放送音声信号205と通話音声信号104の単純な切替動作となる。
ID読み取り部304は、その後も定期的に読み取り動作を行い、IDの検出ができなくなった場合には、放送音声信号205をイヤホン部307のイヤホン307a、307bに出力する。
【0048】
制御部302は、ID読み取り部304において一定時間以上、ID情報を検出し続けた場合、音声切替部302の動作をロックする。
また、制御部302は、音声切替部302がロック中に異なる認識情報を検出した場合、前記音制御手段のロックを解除する。
【0049】
また、制御部303は、通話中に図示しない音量調整部が操作された場合に、ID読み取り部304がID情報の検出状態にあるときは、通話音声の音量を調整させ、ID読み取り部304がID情報の非検出状態にあるときは、放送音声の音量を調整させる。
このとき、制御部303は、音声切替部302がロック中のときには、通話音声の音量を調整させる。
【0050】
また、制御部303は、通話中にID読み取り部304がID情報を検出中には、表示部301の表示を停止させる。
【0051】
ID読み取り部304におけるID読み取り処理は、ID読み取り部304がIDが示されているID部308a,308bのID情報を検出してIDを認識するもので、代表的な方法としては、ID読み取り部にカメラを使用し、ID部に2次元バーコードを使用したものや、ID部を色で構成し、色認識で行う手法、非接触ICカードのようなものなど様々な手法があり、どの方式を採用してもかまわない。
【0052】
さらに具体的な利用方法として説明すると、たとえば、図2のようにイヤホン部背中にID部308a,308bが装備されていて、かつ、図3に示すように、電話機本体10のスピーカ周辺にID読み取り部304を装備させた場合、イヤホン部307を使用して放送を視聴中に、着信し、通話状態に入ると、ユーザーはイヤホン307a,307bを耳近傍に付けたまま、図4(a)に示すように電話機本体10を通常利用時と同じように耳にかざせば(当てれば)、ID読み取り部304は、Rチャンネル用イヤホン307aに付けられたID部308aのID情報を検出することが可能であり、電話機本体10がかざされたRチャンネルより通話音声が聞こえ、Lチャンネルからは、今まで視聴していた放送音声を聞くことができる。
この状態から、図4(c)のように、電話機本体10を耳より離すと、イヤホンの両チャンネルからは、放送音声が聞こえてくることになり、通話状態においても必要に応じて放送のみを視聴することが可能となる。
また、図4(c)の状態より、図4(a)または、図4(b)の状態へユーザーが電話機本体10を持ち替えたりした場合でも、かざしたほうの耳に装着されているイヤホンより、通話音声が聞こえることから、イヤホンが装着されていないで通常に通話を行うのと同じように通話することが可能となり、かつ、反対側のイヤホンからは常に放送音声信号が聞こえるため、同時に視聴することが可能となる。
【0053】
次に、上記構成による動作を、図5のフローチャートに関連付けて説明する。
図5は、本第1の実施形態における携帯電話機の音声切り替え動作を示すフローチャートである。
【0054】
たとえば、放送波を受信して、放送を視聴中に、ステップST0にて着信が入ると、ステップST1でTV視聴中かどうか判定を行う。
ステップST1において、TV視聴中でなければ、ステップST2の通常着信処理へ移行する。
ステップST1において、TV視聴中であった場合、ユーザーが通話開始操作を行えば、ステップST3へ移行して通話開始を行う。
【0055】
次に、ステップST4にて、ID読み取りを開始する。
そして、ステップST5にて、IDを検出したかどうかを判定する。
ステップST5において、ID読み取りした結果IDを検出しなかった場合、ステップST6の処理にて音声出力として放送音声信号205を選択する。
その後、ステップST7において一定時間待ち状態となり、再びステップST4でID読み取りを開始し、この動作を繰り返す。
【0056】
ステップST5において、IDを検出した場合、ステップST8にて、音声切替部302を使用して、IDに対応するチャンネルへ通話音声出力を行う。
音声出力部がひとつのIDしか持たない場合には、全ての出力が通話音声出力となる。音声出力部が複数のID(たとえば2チャンネルなど)を持つ場合には、読み取ったIDに対応するチャンネルのみ通話音声出力を行い、もう一方は、放送音声出力を行う。
ステップST9で一定時間待ち状態となった後、ステップST10にて同一チャンネルへの出力時間がn秒を超えたかどうかを判定する。
ここで、同一チャンネルへの出力時間がn秒を超えた場合、ユーザーの通話姿勢が安定したとみなして、ステップST11で音声切替部をロックし、ステップST12でユーザーへ通知音を鼓動して音声切替部をロックしたことを通知する。
【0057】
ステップST10においてn秒を超えていない場合には、通話開始時のように、ユーザーの通話姿勢が安定していない状態であるため、未だ電話機の持ち替えなどが発生する可能性がある。したがって、音声切替部302のロックを行わずにステップST4へ移行し、再度ID読み取りを開始する。
ステップST10においてn秒を超えたと判定し、音声切替部302をロックした場合、ステップST13にてロック解除の条件が発生するまで音声切替部302のロックを行う。ロック解除の条件としては、「異なるIDを読み取った場合」、「ある一定時間以上IDを未検出状態になった場合」のどちらかの条件が発生した場合とする。
ロック解除の条件が発生した場合には、ステップST4にて再度ID読み取りから開始し、同様の処理を行う。
【0058】
ユーザーの操作や、通話相手の操作などにより、ステップST15のように終話イベントが発生した場合には、ステップST16に移行して放送受信音声を出力し、着信前の状態に戻る。
【0059】
さらに、ステップ3T8において通話音声を出力する場合、対応するIDと異なるIDをもつ音声出力部を有し、他方は放送音声信号を出力する場合には、音声切替部302にて通話音声信号と放送音声信号の音量または、ゲイン値を調整し、通話音声信号の方を放送音声に比較して大きめな音量に設定することによりユーザーにとって聞きやすい状況をつくることが可能である。
【0060】
また、上記の状態で、音量操作をユーザーに行われた場合には、音声切替部がロック中の状態では、通話音声を主として聞いていると想定されることより、通話音声の音量のみを操作することにより、利便性を向上させる。
【0061】
さらに、同様な場合にて、放送音声信号と通話音声信号を反比例させて音量調整することにより、さらに聞き取りやすく動作させることが可能となる。
【0062】
さらに、ID読み取り部304がIDを検出している状態においては、ユーザーが耳に電話機本体をかざしている状態であることから、表示部301をOFFすることにより、放送受信中の通話中において端末の消費電力を削減することが可能となる。
【0063】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、ユーザーの特別な操作を必要とせずに、通常利用時の動作の中で出カされる音声信号を切り替えることが可能であり、また、通話以外の各サービスの音声信号を、通話音声と同時に聞くことが可能な携帯電話機を提供可能となる。
【0064】
また、本第1の実施形態における携帯電話機においては、通話時においてイヤホンスピーカに配置されているID部のIDを読み取り、そのIDを保有するスピーカへ通話音声の出力を行うため、電話機本体をイヤホンをつけている耳にあてがっている時は、通話音声が聞こえ、電話機本体を耳から離すと、通話外音声が聞こえるという、ユーザーがどちらを聞きたいかのその時々の動作を電話機を耳から離すかどうかで行うことが可能なため、自然な状態で通話することが可能となる。
【0065】
また、ステレオイヤホンを利用している場合には、電話機本体をあてがっている方向のイヤホンより、通話音声が聞こえ、もう一方のイヤホンからは通話外音声が聞こえるため、通話音声と通話外音声を同時に聞き取ることが可能となる。
【0066】
また、ID検出時には、耳にあてがって通話を行っている状態のため、それを起因として画面表示をOFFすることにより、低消費電力にすることが可能となる。
また、一定時間IDを検出し続けた場合には、音声切り替え手段がロックし、音によるユーザーへの通知も行うために、利便性がよく、端末を耳から離しても通話が継続可能となる。
そして、その状態からでも違うIDを検出した場合、すなわち、他方の耳に端末本体をあてがった場合には、ロックが解除され、端末本体をあてがっている耳より通話音声が聞こえてくるため、端末を持ち替えながら通話を行う場合でも、自然な状態で通話を行うことが可能となる。
【0067】
<第2実施形態>
図6は、本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【0068】
本第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、音声切替部302の出力部に無線による音声送信部309を設け、イヤホン部307の入力部に無線による音声受信部310を設けて、放送音声と通話音声とを無線により送受信を行うように構成したことにある。
【0069】
その他の構成は第1の実施形態と同様である。
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
<第3実施形態>
図7、本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【0071】
本第3の実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、音声切替部302とイヤホン部307との間に、無線によるデータ送受信部311とデータ受送信部312とを設け、放送音声と通話音声とを無線により送受信を行医、さらにID読み取りも兼用するように構成したことにある。
【0072】
その他の構成は第1の実施形態と同様である。
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
<第4実施形態>
図8、本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第4の実施形態を示すブロック構成図である。
また、図9は、第4の実施形態の撮像部の好適な配置例を示す図である。
また、図10(A)、(B)は、第4の実施形態に係るID部(認識部)の一例を示す図である。
また、図11は、第4の実施形態における携帯電話機の音声切り替え動作を示すフローチャートである。
【0074】
本第4の実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、ID読み取り部をカメラ機能を備えた撮像部313として構成し、2つのイヤホン307 a,307bに設けられたID部308a,308bのIDとして、右側イヤホン307aには「R」の文字を用い、左側イヤホン308bにおいては「L」の文字を用い、この文字ID「R」または「L」を撮像部313で撮像し、制御部303Cで認識するようにしたことにある。
【0075】
撮像部313は、図9に示すように、表示部301の図中上縁部に配置される。
撮像部313は、被写体像を取り込むための対物レンズを含む光学系と、光学系により結像された被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を含む撮像処理回路とを有し、撮像キーが操作されると、光学系に被写体の光学像を撮影する。
【0076】
本第4の実施形態における音声切り替え動作は、第1の実施形態の音声切り替え動作との異なる処理は、ステップST4AとステップST5Aの処理のみであり、ここでは具体的な動作の説明は省略する。
本第4の実施形態のステップST4Aにおいては、撮像部313でID部308a,308bの文字IDを撮影する。
ステップST5Aにおいては、「R」または「L」の文字画像を認識したかの判断を行う。
【0077】
その他の構成は第1の実施形態と同様である。
本第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、上記各実施形態においては、通話音声以外の音声としては放送音声を例に説明したが、この通話音声以外の音声には、TV音声や音楽データなど実通話音声以外の耳で聴覚可能なものを全て含む。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明に係るID部(認識部)の配置例を示す図である。
【図3】本発明に係る認識情報検出手段としてのID読み取り部の好適な配置例を示す図である。
【図4】携帯電話機本体とイヤホン部の各イヤホンとの位置関係に応じた動作を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態における携帯電話機の音声切り替え動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【図7】本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【図8】本発明に係る通話装置しての携帯電話機の第4の実施形態を示すブロック構成図である。
【図9】第4の実施形態の撮像部の好適な配置例を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係るID部(認識部)の一例を示す図である。
【図11】第4の実施形態における携帯電話機の音声切り替え動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1…携帯電話機(通話装置)、100…電話通話部、101…携帯電話アンテナ部、102…送受信部、103…通話処理部、200…放送受信部、201…放送受信用アンテナ部、202…チューナ(Tuner)部、203…復調処理部、204…デコード部、300,300A〜300C…表示・音制御系、301…表示部、302…音制御手段としての音声切替部、303…通話並びに音出力制御部としての制御部、304…認識情報検知手段としてのID(認識情報)読み取り部、305…マイクロフォン、306…スピーカ部、307…ステレオ用イヤホン部、308a,308b…ID部(認識部)、309…音声送信部、310…音声受信部、311…データ送受信部、312…データ受送信部、313…撮像部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、
少なくとも前記通話手段の音声を出力可能な耳近傍に装着可能なスピーカと、
前記スピ一力に配置された認識部と、
前記認識部が近接状態の場合に認識情報を取得可能な認識手段と、
前記認識手段により前記通話手段の制御を変更する制御手段と
を備えた通話システム。
【請求項2】
通話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、
認識部を有すると共に少なくとも前記通話手段の音声を出力可能なスピーカから、前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、
前記認識手段が前記スピーカの前記認識情報を取得した場合に、前記通話手段の制御を変更する制御手段と
を備えた通話装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記認識手段による前記認識情報の取得により前記通話手段を通話状態に変更する
請求項2に記載の通話装置。
【請求項4】
着信を検知する着信検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記着信検知手段が着信を検知しかつ前記認識手段が前記認識報を取得した場合、前記着信に応答して前記通話手段を通話状態に変更する
請求項3に記載の通話装置。
【請求項5】
通話先を指定する指定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記指定手段により前記指定通話先が指定された状態で前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記通話手段を通話状態に変更する
請求項2に記載の通話装置。
【請求項6】
電話回線を介して音声通話が可能な通話手段と、
前記通話に関する音と前記通話以外に関する音とを切換または混合の制御を行う音制御手段と、
認識部を有すると共に少なくとも前記音制御手段の出力音を出力可能な情報をスピーカから前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、
前記認識手段が前記スピーカの前記認識情報を取得した場合に、前記音制御手段は前記通話に関する音と前記通話以外に関する音との切替または混合の制御を行う音出力制御手段と
を備えた通話装置。
【請求項7】
前記音出力制御手段は、前記認識手段が認識情報を取得した場合、少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する
請求項6に記載の通話装置。
【請求項8】
着信を検知する着信検知手段と、
前記通話手段の制御を変更する通話制御手段と、をさらに備え、
前記着信検知手段が着信を検知しかつ前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記音制御手段は前記着信に応答して前記通話手段を通話状態に変更すると共に、前記音出力制御手段は少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する
請求項7に記載の通話装置。
【請求項9】
前記通話手段の制御を変更する通話制御手段と、
通話先を指定する指定手段と、をさらに備え、
前記指定手段により前記指定通話先が指定された状態で前記認識手段が前記認識情報を取得した場合、前記通話制御手段は前記通話手段を通話状態に変更すると共に、前記音出力制御手段は少なくとも前記通話に関する音が前記スピーカに出力されるよう前記音制御手段を制御する
請求項7に記載の通話装置。
【請求項10】
通話回線を介して音声の送受が可能な通話手段と、
少なくとも前記通話に関する音と前記通話以外に関する音とを切換または混合可能な音制御手段と、
それぞれ異なる認識部を有すると共に前記音制御手段の出力音を出力可能な少なくとも2つのスピーカのいずれかから前記認識部の認識情報を取得可能な認識手段と、
前記認識手段により前記認識情報を取得した場合に前記音制御手段の切換または混合を制御する音出力制御手段と
を備えた通話装置。
【請求項11】
前記音出力制御部は、前記認識手段により所定のスピーカの認識部の認識情報を取得した場合、前記通話に関する音を前記所定のスピーカには出力状態に、かつ、前記所定以外のスピーカには非出力状態若しくは前記所定のスピーカに対して音量が低出力状態になるよう前記音制御手段を制御する
請求項10に記載の通話装置。
【請求項12】
前記音出力制御手段は、前記認識手段において一定時間以上、前記認識情報を検出し続けた場合、前記音制御手段の動作をロックし、前記音制御手段がロック中に異なる認識情報を検出した場合、前記音制御手段のロックを解除する
請求項6から11のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項13】
音量調整部をさらに備え、
前記音出力制御手段は、通話中に前記音量調整部による音量調整がなされた場合に、前記認識手段が前記認識情報の検出状態にあるときは、前記通話に関する音の音量を調整させ、前記認識手段が前記認識情報の非検出状態にあるときは、前記通話以外に関する音の音量を調整させる
請求項6から12のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項14】
音量調整部をさらに備え、
前記音出力制御手段は、通話中に前記音量調整部による音量調整がなされた場合に、前記認識手段が前記認識情報の検出状態にあるときは、前記通話に関する音の音量を調整させ、前記認識手段が前記認識情報の非検出状態にあるときは、前記通話以外の音の音量を調整させ、前記音制御手段がロック中のときには、前記通話に関する音の音量を調整させる
請求項12に記載の通話装置。
【請求項15】
前記音出力制御手段は、通話中に前記認識手段が前記認識情報を検出中の状態は、前記通話に関する音の音量と前記通話以外に関する音の音量とが、一方が大きく他方が小さくなるように調整させる
請求項6から12のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項16】
表示部をさらに有し、
通話中に前記認識手段が前記認識情報を検出中には、前記表示部の表示を停止する
請求項2から15のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項17】
前記認識手段は、無線により前記スピーカの前記認識部から前記認識情報を取得する
請求項2から15のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項18】
前記認識手段は、撮像手段を含み、当該撮像手段により取り込んだ前記スピーカの前記認識部の画像から前記認識情報を取得する
請求項2から15のいずれか一に記載の通話装置。
【請求項19】
電話回線を介して音声通話を行う通話装置と接続可能であって、少なくとも通話に関する音を出力可能なスピーカにおいて、
前記通話装置にて認識可能な認識情報を有する認識部を
備えたスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−186651(P2006−186651A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377870(P2004−377870)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】