説明

遊技台

【課題】不正な部品の取付を未然に防止し、遊技の公平性を確保することができる遊技台を提供する。
【解決手段】制御回路基板は、収容ケースとの間に少なくとも第1の間隔を空けて収容ケースに支持され、収容ケースは、遊技制御部に向けて突出する不正防止部をさらに有する。また、制御回路基板と不正防止部の少なくとも一部とによって形成される空間の間隔が、第1の間隔よりも狭い第2の間隔とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴遊技機(スロットマシン)や弾球遊技機(パチンコ機)に代表される遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技機に対する不正行為が目立ってきており、例えば、正規のマイコンを、抽選データや遊技制御プログラムを改ざんした不正なマイコンに取り替える不正行為が行なわれることがある。このような不正マイコンは、正規のマイコンと比較しても外観上では容易に区別できないように精密に作られている。このような不正行為を防止するために、制御回路基板を収容する基板ケースが開封された場合に開封の痕跡を残すようにした遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような遊技機では、不正マイコンや不正電子部品の搭載などを開封の痕跡によって発見しなければならず、例えば、その痕跡が小さくて目立たないような場合には、遊技機の点検などで不正行為を見落とす可能性があった。このような問題に対して、正規のマイコンの周囲を取り囲む形状を有する基板ケースを備えた遊技機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43796号公報
【特許文献2】特開2007−44559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の遊技機を含む従来の遊技機では、通常、基板ケースは遊技機に強固に取り付けられ、その取り付け位置によっては、目視による点検などが非効率になるといった問題がある上に、目視できる範囲以外(例えば、基板の裏側など)に不正な電子部品が取付けられるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであって、不正な部品の取付を未然に防止し、遊技の公平性を確保することができる遊技台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技制御部を有する制御回路基板と、前記制御回路基板を内部に収容可能な収容ケースと、を備えた遊技台において、前記制御回路基板は、前記収容ケースとの間に少なくとも第1の間隔を空けて前記収容ケースに支持され、前記収容ケースは、前記遊技制御部に向けて突出する不正防止部をさらに有し、前記制御回路基板と前記不正防止部の少なくとも一部とによって形成される空間の間隔が、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔とされていることを特徴とする、遊技台である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遊技台によれば、不正な部品の取付を未然に防止し、遊技の公平性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スロットマシンの外観斜視図を示したものである。
【図2】スロットマシンの内部構成の概略を示す前面扉を開いた斜視図である。
【図3】主制御部の回路ブロック図を示したものである。
【図4】副制御部の回路ブロック図を示したものである。
【図5】主基板収納ケース周囲の構成を示した分解斜視図である。
【図6】取付ベースに主基板収納ケースを取付けた状態を示す外観斜視図である。
【図7】主基板収納ケースの主制御基板および基板収納体を示した外観斜視図である。
【図8】(a)基板収納体に主制御基板を取付けた状態を示した外観斜視図である。(b)(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図9】主制御基板におけるICソケット周辺を拡大して示した図である。
【図10】(a)基板収納体502の外観斜視図である。(b)(a)におけるII−II線に沿う断面図である。
【図11】(a)基板収納体512の外観斜視図である。(b)(a)におけるIII−III線に沿う断面図である。
【図12】(a)基板収納体522の外観斜視図である。(b)(a)におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図13】基板収納体532の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係るスロットマシン(遊技台)について詳細に説明する。
【0011】
<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施形態に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、同図はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
【0012】
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0013】
また、図柄表示窓113の外枠には、点滅や点灯などの点灯制御によって、後述する有効ラインや入賞ラインを報知するためのライン表示LED(図示省略)が配置されている。
【0014】
さらに、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
【0015】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
【0016】
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
【0017】
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130または131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダルおよびベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
【0018】
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
【0019】
ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施形態では発光可能な受皿を採用している。
【0020】
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置190は、例えば開閉自在な扉(シャッター)163が前面に取り付けられた液晶表示装置を含み、この演出装置190には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
【0021】
<内部構成>
次に、スロットマシン100の内部構成について簡単に説明する。図2は、スロットマシン100の内部構成の概略を示す前面扉102を開いた斜視図である。本体部としてのキャビネット101の内部には、主基板収納ケース210、副制御基板収納ケース220およびリールユニット185や、図示を省略した電源ボックス、メダル払出装置180、メダル補助収納部240、中央スピーカユニット、外部中継端子板等の諸装置が配設されている。
【0022】
リールユニット185は、樹脂製のケース221内にステッピングモータで駆動されるリール110〜112を個別に着脱可能に取り付けて構成している。そして、このリールユニット185は、ケース221により3本のリールをユニット化し、キャビネット101に設けたリールユニット載置台278に対する着脱を容易に行えるように構成している。また、リールユニット載置台278の下部には、音通路277が取り付けられ、前面扉102がキャビネット101に閉じられた状態で前面扉102に取り付けられた音通路268と組み合わさるように構成している。中央スピーカユニットから出力された音は、この音通路277および音通路268を通過して外部に出力される。
【0023】
キャビネット101の内部には、透明な樹脂ケースからなる主基板収納ケース210が、キャビネット101を構成している後板の上部に、取付ベース230を介して取り付けられている。この主基板収納ケース210の内部空間には、後述する主制御部300を構成する電子部品を実装した主制御基板が収納されている。
【0024】
さらに、キャビネット101の内部には、メダルを払い出すためのメダル払出装置180(以下、ホッパー180ということがある)が配設してある。メダル払出装置180は、DCモータで駆動されメダルを1枚ずつ払い出すと共に、メダルを払い出す毎に検出信号を出力する払出装置本体181と、払出装置本体181にメダルを供給すると共にメダルを蓄積するメダルタンク182とで構成されている。そして、メダル払出装置180の横には、メダル補助収納部240が置かれており、メダル払出装置180がメダルでいっぱいになると、余分なメダルは流れ落ち、このメダル補助収納部240内に蓄積される。
【0025】
そして、主制御基板およびリール110〜112の側方、即ち向って左側の側板には、後述する副制御部400を構成する副制御基板を収納した副基板収納ケース220が配設してある。
【0026】
一方、キャビネット101の側板にヒンジ装置276を介して蝶着された前面扉102には、演出装置290、この演出装置290を制御する演出制御基板を収納した演出制御基板収納ケース274、上部スピーカ272、図柄表示窓113を有するリールパネル270、投入されたメダルを選別するためのメダルセレクタ170、このメダルセレクタ170が不正なメダル等をメダル受皿156に落下させる際にメダルが通過する通路266等が設けてある。メダルセレクタ170は、さらに、投入されたメダルをメダルタンク182に案内する通路171を備えている。
【0027】
<制御部>
次に、図3および図4を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
【0028】
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、によって構成されている。
【0029】
<主制御部>
まず、図3を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、同図は主制御部300の回路ブロック図を示したものである。
【0030】
主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバスおよびアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
【0031】
また、CPU310には、センサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
【0032】
さらに、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチセンサ324、メダル払い出しセンサ326、電源判定回路327の状態を検出し、各センサを監視している。
【0033】
メダル投入センサ320は、メダル投入口134に投入されたメダルを検出するためのセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135の操作を検出するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検出するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検出するためのセンサである。精算スイッチセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダルおよびベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検出するためのセンサである。電源判定回路327は、スロットマシン100に供給される電源の遮断を検出するための回路である。
【0034】
CPU310には、更に、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リール110〜112に設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにハイレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、ホッパー180のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)と、外部集中端子板233が接続されている。
【0035】
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311および水晶発振器316から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
【0036】
<副制御部>
次に、図4を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。なお、同図は副制御部400の回路ブロック図を示したものである。
【0037】
副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバスおよびアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
【0038】
また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
【0039】
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令およびデータ、ライン表示LEDの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
【0040】
さらに、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、図柄表示窓113の外枠に配設され、点滅や点灯などの点灯制御によって有効ラインや入賞ラインを報知するためのライン表示LED420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
【0041】
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
【0042】
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を遊技店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、メダル払い出し口155の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、扉・液晶画面制御部490への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部490は、液晶表示装置157および扉装置163を制御する制御部である。
【0043】
<主基板収納ケース周囲の構成>
次に、図5および図6を用いて、主基板収納ケース210周囲の構成について説明する。なお、図5は、主基板収納ケース210周囲の構成を示した分解斜視図であり、図6は、取付ベース230に主基板収納ケース210を取付けた状態を示す外観斜視図である。
【0044】
<主基板収納ケース>
まず、主基板収納ケース210について説明する。主基板収納ケース210は、底面が略矩形の角皿状である基板収納体212および蓋体213を組み合わせて構成される箱体となっている。この主基板収納ケース210の内部の空間には、遊技に関するプログラムや各種データ等を記憶したROM312や、CPU、RAM等のその他の電子部品211aが実装され、主制御部300を構成する主制御基板211が、ネジ211bによって四隅を基板収納体212に固定された状態で収納される。基板収納体212および蓋体213は、それぞれ透光性の樹脂から構成されており、主基板収納ケース210内部に収納された主制御基板を外部から視認することが可能となっている。
【0045】
また、ROM312の表面と主制御基板211の表面には、封印シール312bが、両者に跨って貼付けられている。従って、本実施形態では、主制御基板211からROM312を取り外すためには封印シール312bを剥がす、または破断する必要があり、ROM312を取り外した痕跡が残るようになっている。
【0046】
基板収納体212の下側縁には門型のヒンジ部212aが2箇所に設けられ、左右側縁の上部には矩形状の窪みである係止凹部212bがそれぞれ設けられている。そして、蓋体213の下側縁にはヒンジ部212aと係合するフック状のフック部213aが2箇所に設けられ、左右側縁の上部には係止凹部212bと係止する凸部を備える係止舌片213bがそれぞれ設けられている。従って、主基板収納ケース210を組み立てる場合には、まず、蓋体213のフック部213aを基板収納体212のヒンジ部212aに係合させ、次に、ヒンジ部212aを中心に蓋体213を揺動させて基板収納体212と蓋体213を合わせると共に蓋体213の係止舌片213bを基板収納体212の係止凹部212bに係止させる。
【0047】
また、基板収納体212および蓋体213の上部には、ケース用かしめピン214aを挿入して両者を分離できないように封印(かしめ)するためのケース用かしめ部212c、213cが、それぞれ4箇所に設けられている。これらのケース用かしめ部212c、213cは、基板収納体212および蓋体213を組み合わせた場合に、基板収納体212のケース用かしめ部212cが蓋体213のケース用かしめ部213c内に収容され、ケース用かしめピン214aが挿入される挿入孔がそれぞれ連通するように構成されている。そして、この連通した挿入孔に挿入されたケース用かしめピン214aが、ケース用かしめ部212c、213cのそれぞれに取り外し不可能に係止するようになっている。すなわち、ケース用かしめピン214aを挿入することにより、ケース用かしめ部212c、213cが互いに分離不可能に結合され、主基板収納ケース210が封印される。
【0048】
なお、一旦封印した主基板収納ケース210を開封する場合には、蓋体213のケース用かしめ部213cを蓋体213から切断する。これにより、基板収納体212および蓋体213を分離した後も、蓋体213のケース用かしめ部213cが基板収納体212のケース用かしめ部212cと結合したまま基板収納体212に残ることととなり、主基板収納ケース210を開封した痕跡が残るようになっている。本実施形態では、ケース用かしめ部212c、213cが4箇所に設けられているため、主基板収納ケース210の封印を4回行うことができるようになっている。
【0049】
また、基板収納体212および蓋体213の上部の左右両端には、固定用かしめピン214bを挿入することによって主基板収納ケース210の取付ベース230への固定を封印するための固定用かしめ部212d、213dが2箇所に設けられている。これらの固定用かしめ部212d、213dは、基板収納体212および蓋体213を組み合わせた場合に、基板収納体212の固定用かしめ部212d内に蓋体213の固定用かしめ部213dの一部が収容され、固定用かしめピン214bが挿入される挿入孔がそれぞれ連通するように構成されている。そして、蓋体213側から固定用かしめピン214bをこの連通した挿入孔に挿入すると共に、基板収納体212の背後に突出した固定用かしめピン214bの先端部を取付ベース230に設けられた嵌入孔231内に嵌入することにより、主基板収納ケース210の取付ベース230への固定が封印されるようになっている。
【0050】
固定用かしめピン214bは、先端部が基板収納体212の背後に突出して嵌入孔231に嵌入した状態では、蓋体213の固定用かしめ部213dと係止して取り外せないようになっている。本実施形態では、固定用かしめ部212d、213dが2箇所に設けられているため、主基板収納ケース210の固定の封印を2回行うことが可能となっている。
【0051】
なお、主基板収納ケース210の基板収納体212の左端部には、矩形状の2つの係合凸部212fが突設されており、この2つの係合凸部212fを取付ベース230に設けられた係合凹部230bに係合させることによって、主基板収納ケース210は取付ベース230に固定される。
【0052】
また、本実施形態では、ケース用かしめ部212c、213cおよび固定用かしめ部212d、213dの配置に応じて、2つのケース用かしめピン214aおよび1つの固定用かしめピン214bを略E字形状の連結部材214cで連結している。このように、複数のケース用かしめピン214aおよび固定用かしめピン214bを連結し、一体化することによって、これらのかしめピン214a、214bの紛失を防止すると共に、封印忘れを防止することができる。
【0053】
主基板収納ケース210の上部中央は、ICタグ封印シール215を貼付ける部分となっている。基板収納体212の上部中央には、蓋体213に向けて突出する矩形状の凸部212eが設けられており、基板収納体212と蓋体213を組み合わせた場合に、蓋体213の上部中央に設けられた凹部213e内に収容されるようになっている。そして、ICタグ封印シール215は、基板収納体212の凸部212eの表面とその下方の蓋体213の表面に跨って貼付けられる(図6参照)。従って、本実施形態では、主基板収納ケース210を開封するにはICタグシール215を剥がす、または破断する必要があり、これによっても主基板収納ケース210を開封した痕跡が残るようになっている。すなわち、主基板収納ケース210は、ICタグ封印シール215によっても封印されている。
【0054】
主制御基板211には、外部の各種基板等に繋がるケーブルを接続するための複数のコネクタ211cが実装されており、蓋体213には、これらのコネクタ211cに対応する位置に複数のコネクタ孔213fが設けられている。主制御基板211が主基板収納ケース210内に収納された状態では、各コネクタ211cは、対応するコネクタ孔213fから一部が露出するようになっている。従って、主基板収納ケース210を開封しなくとも、外部の各種基板等に繋がるケーブルを各コネクタ211cに接続することが可能となっている。また、逆に、各コネクタ211cに接続されたケーブルを外さない限り、基板収納体212と蓋体213を分離して主基板収納ケース210を開封することができないため、これらのコネクタ211cは、主基板収納ケース210の開封を阻止する開封阻止部として機能している。なお、本実施形態では、コネクタ211cが主制御基板211の左右両端部に実装されているため、コネクタ孔213fは蓋体213の左右両端部にのみ設けられている。
【0055】
<取付ベース>
次に、取付ベース230について説明する。取付ベース230は、透光性のある樹脂から構成された略矩形状の部材であり、中央に主基板収納ケース210を固定して収容するための矩形状の窪みである収容凹部230aが形成されている。収容凹部230a底面の四隅近傍には、取付ベース230をキャビネット101に固定するためのネジを挿通する挿通孔232が形成されている。これらの挿通孔232は、収容凹部230a内に主基板収納ケース210が固定された状態では、主基板収納ケース210によって遮蔽されることとなる。従って、主基板収納ケース210を取付ベース230から取り外さない限り、取付ベース230をキャビネット101から取り外すことができないようになっている。
【0056】
収容凹部230aは、主基板収納ケース210の基板収納体212の2つの係合凸部212fと係合する2つの係合凹部230bが左側面に設けられると共に、左右方向の幅が主基板収納ケース210よりやや大きく形成され、収容凹部230内で主基板収納ケース210を左右にスライド可能に構成されている。従って、主基板収納ケース210は、一旦右よりに収容凹部230a内に収容した後に左方向にスライドさせ、係合凸部212fを係合凹部230bに係合させることによって取付ベース230に固定される。なお、収容凹部230aの下側側面には、主基板収納ケース210のヒンジ部212aおよびフック部213aと干渉しないようにするための2つの切欠き部230cが形成されている。
【0057】
係合凸部212fを係合凹部230bに係合させた後、固定用かしめ部212d、213dを通して固定用かしめピン214bを収容凹部230aの底面に設けられた嵌入孔231に嵌入し、主基板収納ケース210の左右方向の移動を規制することによって、主基板収納ケース210の取付ベース230への固定が封印される。これにより、固定用かしめピン214bまたは固定用かしめ部212d、213dを破壊する等の痕跡を残さない限り、主基板収納ケース210を取り外すことが不可能となる。嵌入孔231は、係合凸部212fを係合凹部230bに係合させた状態での固定用かしめ部212d、213dに対応する位置、すなわち収容凹部230a底面の上側の左右角部の近傍にそれぞれ設けられている。
【0058】
なお、収容凹部230aは、主基板収納ケース210の基板収納体212と蓋体213の合せ面が収容凹部230a内に位置する深さに形成されている。本実施形態では、収容凹部230aの深さをこのように設定することで、基板収納体212と蓋体213の合せ面への外部からのアクセスを遮断し、この合せ面を介した不正行為を防止するようにしている。
【0059】
取付ベース230の右側面下部には、外部集中端子板233を固定するための外部集中端子板固定部230dが突設されている。この外部集中端子板233は、遊技店等に設置される情報収集装置(例えば、ホールコンピュータ)、および主制御基板211に接続され、主制御基板211から情報収集装置への各種情報の送信を中継するためのものである。なお、主制御基板211と情報収集装置の間の通信は一方向通信であり、情報収集装置から主制御基板への情報の送信はできないようになっている。外部集中端子板233は、外部集中端子板固定部230dの表面において、左側端部を2つの固定片230eの背後に嵌め込んだ後に右側端部を2つの係止片230fに係止させることによって固定される。
【0060】
取付ベース230表面の左端部には、主制御基板211のコネクタ211cに接続されたケーブルを部分的に収容するためのケーブル用凹部230gが形成されている。ケーブル用凹部230gには、主制御基板211の左側に配置されたコネクタ211cに接続されるケーブルを拘束する(図5参照)ためのケーブル拘束具234が2つ配設されている。これらのケーブル拘束具234は、ケーブル用凹部230gの底面に設けられた2つの取付孔230hに、固定ピン234aを挿入して係止させることにより、着脱可能に取付けられる。
【0061】
取付ベース230表面の左上部、右上部、および左下部の3箇所には、後述するカバー部材250を取付ベース230に取り付けるための、案内溝235が設けられている。これらの案内溝235は、左右方向に所定の長さで形成された溝状の孔であり、左側半分の幅広の挿脱部235a、および右側半分の幅狭の案内部235bから構成されている。さらに、取付ベース230表面の左下部には、取付ベース230に取り付けたカバー部材250の左方向への移動を規制するための制止片236が設けられている。この制止片236は、取付ベース230の一部を切り欠くことにより、弾性変形によって先端部が表裏方向に移動可能な舌片状に形成したものである。制止片236の先端部表面には、先端に向けて漸次肉厚が増すように形成された斜面部236aが設けられている。従って、制止片236の先端部は、斜面部236aが取付ベース230の表面から突出した状態となっている。
【0062】
また、取付ベース230表面の右上部には、後述するカバー用かしめピン260の一部が挿入される平坦部用第1挿入孔237およびカバー用かしめピン260の一部が係止する退避部用第1係止孔238が設けられている。
【0063】
<カバー部材>
次に、カバー部材250について説明する。カバー部材250は、取付ベース230に固定された主基板収納ケース210の上部に配置されたケース用かしめ部212c、213c、固定用かしめ部212d、213d、およびICタグ封印シール215を前方(表側)から覆う(遮蔽する)と共に、主基板収納ケース210の左端部に位置するコネクタ211cを前方から覆う(遮蔽する)ための部材である。従って、カバー部材250は、水平方向に伸びる横長の略長方形板状の水平部250a、および水平部250aの左端部を基端として下方向に伸びる縦長の略長方形板状の垂直部250bから構成された略L字形の一体形状の部材となっている。換言すれば、カバー部材250は、前方(表側)から見た場合に、主基板収納ケース210の左上角部から右方向に略水平に伸びる辺の近傍の領域、および左上角部から下方向に略垂直に伸びる辺の近傍の領域を覆うことが可能なL字形状に一体的に構成されている。
【0064】
本実施形態では、このようにカバー部材250をL字形状とすることにより、主基板収納ケース210の開封を阻止する開封阻止部であるケース用かしめ部212c、213c、固定用かしめ部212d、213d、ICタグ封印シール215、およびコネクタ211cを1つの部材で効率的に覆いながらも、主基板収納ケース210内部の視認性、特に中央部の視認性を確保することで、主制御基板211に実装されたROM312の目視による確認を阻害することがないようにしている。また、CPUやRAM等のその他の電子部品211aについても、目視により容易に状態を確認することができるようになっている。
【0065】
カバー部材250の水平部250aの上端の左右両端部近傍、および垂直部250bの下端の3箇所には、鉤形舌片251が設けられている。この3つの鉤形舌片251は、後方の取付ベース230に向けて(裏側に向けて)突設された平板の先端部を外側に向けて曲折した形状となっている。また、垂直部250bの下端近傍には、矩形断面の孔である制止孔252が設けられている。これらの鉤形舌片251および制止孔252は、カバー部材250を取付ベース230に固定するためのものである。カバー部材250の取付ベース230への取付については後述する。
【0066】
カバー部材250の垂直部250bは、コネクタ211cを覆う部分であるため、コネクタ211cに接続されるケーブルと干渉しないように垂直部250bの一部を前方(表側)に向けて膨出させた膨出部253が形成されている。従って、カバー部材250を取付ベース230に固定した状態では、コネクタ211cに接続されたケーブルは部分的にこの膨出部253の内部に収容されることとなる。
【0067】
カバー部材250は、カバー用かしめピン260により、取付ベース230への固定が封印(かしめ)される。このカバー用かしめピン260は、カバー部材250に係止する第1係止部261と、カバー部材250および取付ベース230の両方に係止する第2係止部262と、第1係止部261および第2係止部262を連結する連結部263から構成されている。さらに、第2係止部262は、カバー部材250および取付ベース230の両方に係止せずに挿入される平坦部262aと、カバー部材250を通して取付ベース230に係止することでカバー部材250および取付ベース230の両方に係止する退避部262bと、平坦部262aおよび退避部262bの間に突設され、位置決めのためにカバー部材250のみに挿入される四角柱状の位置決め部262cから構成されている。
【0068】
カバー部材250の水平部250aの右端部近傍には、カバー用かしめピン260の第1係止部261と係止する第1係止部用係止孔254と、平坦部262aが挿入される平坦部用第2挿入孔255と、退避部262bが挿入される退避部用挿入孔256と、位置決め部262cが挿入される位置決め部用挿入孔257が設けられている。
【0069】
<主基板収納ケースの基板収納体>
次に、図7および図8を用いて、主基板収納ケース210の基板収納体212について詳細に説明する。なお、図7は、主基板収納ケース210の主制御基板211および基板収納体212を示した外観斜視図である。また、図8(a)は、基板収納体212に主制御基板211を取付けた状態を示した外観斜視図であり、同図(b)は、同図(a)のI−I線に沿う断面図である。
【0070】
図7に示すように、基板収納体212の底板212hの内面には、底板212hの外周に沿って複数(この例では、8個)の板状の基板支持部212jが形成されている。主制御基板211は、これら複数の基板支持部212jによって、基板収納体212の底板212hの内面と第1の間隔(この例では、図8(b)に示す間隔B)を保ちながら支持されるとともに、ネジ211bによって基板収納体212に固定される。
【0071】
また、基板収納体212の底板212hの内面には、主制御基板211に実装されたROM312のICソケット312aに向けて、不正防止部216が突出形成されている。不正防止部216の幅方向長さW1は、ICソケット312aの幅方向長さW2よりも長くしているとともに、不正防止部216の長手方向L1は、ICソケット312aの長手方向長さL2よりも長くしている。すなわち、不正防止部216における主制御基板211側の面の面積(W1×L1)は、ICソケット312aにおける基板収納体212側の面の面積(W2×L2)よりも大きくしており、仮に不正防止部216を主制御基板211側に垂直移動させた場合に不正防止部216の移動軌跡によって形成される仮装空間内に、ICソケット312aの全体が収納される関係になっている。
【0072】
また、不正防止部216は、長手方向両側に直線状に形成された溝部216aと、主制御基板211側に向けて突出形成された円形状の2つの突出部216bを有して構成されている。溝部216aは、主制御基板211を基板収納体212の基板支持部212jにセットしたときに、ICソケット312aの足(リード)の少なくとも一部を自身の内部空間に収容可能としており、これにより、外部からICソケット312aの足にアクセスして、ICソケット312aの足に不正な細工を施すことを不可能または困難にしている。
【0073】
突出部216bは、主制御基板211を基板収納体212の基板支持部212jにセットしたときに、主制御基板211の裏面(基板収容体212側の面)に当接または近接するような高さにしており、これにより、主制御基板211を基板収納体212の基板支持部212jにセットした状態で主制御基板211に電子部品(例えば、ROM312)を実装する際に、突出部216bは主制御基板211を裏側から支持する支持部材として機能し、主制御基板211の曲げや破損を防止可能としている。なお、不正防止部216における突出部216bの配設位置は特に限定されないが、突出部216bが主制御基板211を裏側から支持する支持部材として機能する際に、主制御基板211の裏側に形成された信号線などに接触しないような位置であることが好ましい。
【0074】
このような構成により、スロットマシン100では、図8(b)に示すように、主制御基板211の裏面と不正防止部216とによって形成される空間の間隔を、上述の第1の間隔Bよりも狭い第2の間隔Aとしており、ROM312の裏側方向の空間に不正な部品が取り付けられるような不正行為を防止している。
【0075】
図9は、主制御基板211におけるICソケット312a周辺を拡大して示した図である。本実施形態では、ICソケット312aの幅方向両側に、それぞれ14mm以上のスペースを設けるとともに、ICソケット312aの長手方向両側に、それぞれ10mm以上のスペースを設けている。このICソケット312aの周囲のスペース(同図の斜線部分)は、図示しない試験器を装着したり、封印シールを貼り付けるためのスペースである。
【0076】
本実施形態では、不正防止部216における主制御基板211側の面の面積を、ICソケット312aにおける基板収納体212側の面の面積よりも大きくしたが、例えば、不正防止部216における主制御基板211側の面の面積を、ICソケット312aおよびその周囲のスペースを含む面の面積よりも大きくしてもよい。このような構成とすれば、外部からICソケット312aの足にアクセスして、ICソケット312aの足に不正な細工を施すことを、より一層、不可能または困難にすることが可能となる。
【0077】
<変形例1>
次に、図10を用いて、変形例1に係る基板収納体502について詳細に説明する。なお、同図(a)は基板収納体502の外観斜視図であり、同図(b)は同図(a)におけるII−II線に沿う断面図である。
【0078】
変形例1に係る基板収納体502の底板502aの内面には、主制御基板211側に向けて不正防止部504が突出形成されており、同図(b)に示すように、不正防止部504の底部には空間が形成されている。また、不正防止部504は、主制御基板211を基板収納体502の基板支持部502bにセットしたときに、主制御基板211に固定されたICソケット312aの裏側方向に位置するように配置されている。
【0079】
このような構成により、変形例1に係るスロットマシンでは、同図(b)に示すように、主制御基板211の裏面と不正防止部504とによって形成される空間の間隔を、基板収納体502の底板502aと主制御基板211の裏面との間の第1の間隔Bよりも狭い第2の間隔Aとしており、ROM312の裏側方向の空間に不正な部品が取り付けられるような不正行為を防止している。なお、この例では、不正防止部504の底部に空間を設けたが、同図(c)に示すように、不正防止部の底部を、基板収納体の底部と面一にしてもよい。
【0080】
<変形例2>
次に、図11を用いて、変形例2に係る基板収納体512について詳細に説明する。なお、同図(a)は基板収納体512の外観斜視図であり、同図(b)は同図(a)におけるIII−III線に沿う断面図である。
【0081】
変形例2に係る基板収納体512の底板512aの内面には、主制御基板211側に向けて不正防止部514が突出形成されている。この不正防止部514は、同図(b)に示すように、主制御基板211を基板収納体512の基板支持部512bにセットしたときに、主制御基板211に固定されたICソケット312aの裏側方向に位置するように配置されている。また、不正防止部514には、複数(この例では、8個)の凹部514aが形成されている。
【0082】
このような構成により、変形例2に係るスロットマシンでは、同図(b)に示すように、主制御基板211の裏面と不正防止部514とによって形成される空間の間隔を、基板収納体512の底板512aと主制御基板211の裏面との間の第1の間隔Bよりも狭い第2の間隔A(または間隔C)としており、ROM312の裏側方向の空間に不正な部品が取り付けられるような不正行為を防止している。
【0083】
<変形例3>
次に、図12を用いて、変形例3に係る基板収納体522について詳細に説明する。なお、同図(a)は基板収納体522の外観斜視図であり、同図(b)は同図(a)におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【0084】
変形例3に係る基板収納体522の底板522aの内面には、主制御基板211側に向けて不正防止部524が突出形成されている。この不正防止部524は、同図(b)に示すように、主制御基板211を基板収納体522の基板支持部522bにセットしたときに、主制御基板211に固定されたICソケット312aの裏側方向に位置するように配置されている。また、この例では、不正防止部524は、センター部524aと、このセンター部524aの両側に配設されたサイド部524b、524cの3つの部位で構成されている。サイド部524b、524cは、主制御基板211を基板収納体522の基板支持部522bにセットしたときに、ICソケット312aの足(リード)の少なくとも一部を自身の内部空間に収容可能としており、これにより、外部からICソケット312aの足にアクセスして、ICソケット312aの足に不正な細工を施すことを不可能または困難にしている。
【0085】
このような構成により、変形例3に係るスロットマシンでは、同図(b)に示すように、主制御基板211の裏面と不正防止部524とによって形成される空間の間隔を、基板収納体522の底板522aと主制御基板211の裏面との間の第1の間隔Bよりも狭い第2の間隔Aとしており、ROM312の裏側方向の空間に不正な部品が取り付けられるような不正行為を防止している。
【0086】
<変形例4>
次に、図13を用いて、変形例4に係る基板収納体532について詳細に説明する。なお、同図は基板収納体532の外観斜視図である。
【0087】
変形例4に係る基板収納体532の底板532aの内面には、不正防止部534を取り付けるための取付部532bが2つ形成されている。上記実施形態では、不正防止部を基板収納体に一体的に形成する例を示したが、変形例4に係るスロットマシンのように、基板収納体532と不正防止部534を別体としてもよい。このような構成とすれば、予め用意した複数種類の不正防止部の中から、基板収納体532に収納する主制御基板に最適な不正防止部を選択・配設できる場合があり、利便性を高めることが可能となる。なお、この例では、1つの不正防止部を取り付ける例を示したが、複数種類の不正防止部を取り付けるために複数の取付部を備えていてもよく、また、1つの不正防止部の取り付け位置を適宜変更するために複数の取付部を備えていてもよい。このような構成とすれば、さらに利便性を高めることができる場合がある。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン100は、遊技制御部(例えば、ROM312)を有する制御回路基板(例えば、主制御基板211)と、前記制御回路基板を内部に収容可能な収容ケース(例えば、基板収納体212)と、を備えた遊技台において、前記制御回路基板は、前記収容ケースとの間に少なくとも第1の間隔(例えば、間隔B)を空けて前記収容ケースに支持され、前記収容ケースは、前記遊技制御部に向けて突出する不正防止部(例えば、不正防止部216)をさらに有し、前記制御回路基板と前記不正防止部の少なくとも一部とによって形成される空間の間隔が、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔(例えば、間隔A)とされていることを特徴とする、遊技台である。なお、本発明に係る遊技制御部はROMに限定されず、例えば、CPU310やRAM314なども含まれる。
【0089】
本実施形態に係るスロットマシン100によれば、制御回路基板と収容ケースとの間に所定の隙間を確保することによって制御回路基板から発生する熱の上昇を抑えることを可能としながら、不正防止部を設けることによって制御回路基板と収容ケースとの間に不正な部品を取り付けることを不可能または困難にすることができる。このため、発熱による異常動作や不正な部品の取付を未然に防止し、遊技の公平性を確保することができる場合がある。
【0090】
また、前記不正防止部における前記制御回路基板側の面の大きさが、前記遊技制御部、または、前記遊技制御部を載置するためのICソケット(例えば、ICソケット312a)における前記収容ケース側の面の大きさよりも大きくてもよい。このような構成とすれば、遊技制御部またはICソケットの裏側を不正防止部によって確実に隠蔽することができ、遊技制御部またはICソケットの裏側に不正な部品を取り付けることを、より一層、不可能または困難にすることができる場合がある。
【0091】
また、前記制御回路基板は、前記遊技制御部を載置するためのICソケットをさらに有し、前記不正防止部は、前記ICソケットのリード部の少なくとも一部を収容する溝部(例えば、溝部216a)を有していてもよい。このような構成とすれば、外部からICソケットの足にアクセスして、ICソケットの足に不正な細工を施すことを不可能または困難にすることができる上に、不正防止部とICソケットの足が干渉し合うことを防止でできる場合がある。
【0092】
また、前記不正防止部は、前記遊技制御部または前記ICソケットの少なくとも一部が視認可能な透明または半透明の材料であってもよい。このような構成とすれば、不正な部品の取付を未然に防止しつつ、遊技制御部またはICソケットを外部から視認可能とすることによってメンテナンス性を確保できる場合がある。
【0093】
また、前記不正防止部は、前記制御回路基板に当接可能な突出部(例えば、突出部216b)、換言すれば、制御回路基板の撓みを制限するために制御回路基板に向けて突出する突出部をさらに有してもよい。このような構成とすれば、制御回路基板に遊技制御部を実装する際に、突出部を制御回路基板を裏側から支持する支持部材として機能させることができ、制御回路基板の曲げや破損を防止できる場合がある。
【0094】
また、前記不正防止部は、前記収容ケースと別体であってもよい。このような構成とすれば、予め用意した複数種類の不正防止部の中から、収容ケースに収納する制御回路基板に最適な不正防止部を選択・配設できる場合があり、利便性を高めることができる場合がある。
【0095】
なお、本発明に係る遊技台は、「複数種類の図柄が施された複数のリールと、このリールの回転を開始させるためのスタートレバーと、各々のリールに対応して設けられ、リールの回転を個別に停止させるためのストップボタンと、予め定められた役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段と、この抽選手段の判定結果とストップボタンの操作に基づいて、リールを停止させるリール停止制御手段と、を備え、停止時のリールにより表示される図柄の組合せが、内部当選した役に対応して予め定められた図柄の組合せである場合に前記役に入賞するように構成されたスロットマシン」に好適であるが、上記実施形態に示されるようなスロットマシンの構造等に限定されるものではない。
【0096】
従って、例えば、上記実施形態においては、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシン(いわゆるパロット)やパチンコ遊技機などにも適用可能である。
【0097】
ここで、本発明が適用されるパチンコ遊技機としては、リール(回転体)などの可動体を有し所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、始動入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ遊技機が一例として挙げられる。このようなパチンコ遊技機では、遊技球が始動入賞口に入球すると、抽選を行い、この抽選結果が当りであるか否かを判定する。そして、この抽選で大当たりに当選すると、可変表示装置により、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄;例えば、777など)が表示され、大当たり状態に移行する。大当たり状態では、大入賞口が、例えば、所定の時間または所定の回数、開放され続けるので、遊技球は入球しやすい状態となり、遊技者にとって有利な状態が実現されるようになっている。また、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄)が、確率変動を伴う大当たり図柄(確変図柄)である場合には、次に大当たりとなる確率が高くなり、遊技者にとってさらに有利な状態が実現される。
【0098】
また、本発明の実施例に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機等に代表される遊技台の分野で特に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
100 スロットマシン
110〜112 リール
135 スタートレバー
137〜139 ストップボタン
210 主基板収納ケース
212 基板収納体
213 蓋体
300 主制御部
400 副制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技制御部を有する制御回路基板と、
前記制御回路基板を内部に収容可能な収容ケースと、を備えた遊技台において、
前記制御回路基板は、
前記収容ケースとの間に少なくとも第1の間隔を空けて前記収容ケースに支持され、
前記収容ケースは、
前記遊技制御部に向けて突出する不正防止部をさらに有し、
前記制御回路基板と前記不正防止部の少なくとも一部とによって形成される空間の間隔が、
前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔とされていることを特徴とする、
遊技台。
【請求項2】
前記不正防止部における前記制御回路基板側の面の大きさが、
前記遊技制御部、または、前記遊技制御部を載置するためのICソケットにおける前記収容ケース側の面の大きさよりも大きいことを特徴とする、
請求項1に記載の遊技台。
【請求項3】
前記制御回路基板は、
前記遊技制御部を載置するためのICソケットをさらに有し、
前記不正防止部は、
前記ICソケットのリード部の少なくとも一部を収容する溝部を有することを特徴とする、
請求項1または2に記載の遊技台。
【請求項4】
前記不正防止部は、
前記遊技制御部または前記ICソケットの少なくとも一部が視認可能な透明または半透明の材料からなることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の遊技台。
【請求項5】
前記不正防止部は、
前記制御回路基板に当接可能な突出部をさらに有することを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載の遊技台。
【請求項6】
前記不正防止部は、
前記収容ケースと別体であることを特徴とする、
請求項1〜5のいずれかに記載の遊技台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−55930(P2011−55930A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206740(P2009−206740)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】