説明

遊技媒体払出システム

【課題】使用しているユニットのレートとは異なるレートで持玉を有する遊技者の利便性を向上させる。
【解決手段】サーバ3は、サーバ持玉数情報記憶手段21と、換算手段23とを有し、ユニット2は払出手段10を有し、払出手段10は、払出遊技媒体の価値が予め設定されており、当該設定されている払出遊技媒体の価値とは異なる価値として区分されている遊技媒体を払出可能に構成され、設定されている遊技媒体の価値とは異なる価値の遊技媒体を払い出す際は、換算手段23が、サーバ持玉数情報記憶手段21に遊技媒体の価値毎に記憶されている遊技媒体情報を、払出手段10に設定されている払い出す遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量に換算する演算を行う構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が遊技の結果獲得した遊技媒体、いわゆる持玉を払い出す遊技媒体払出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各遊技機に対応して計数機を設けることによって、遊技者が遊技の結果獲得した遊技媒体、いわゆる持玉をデータ化し、随時、データ化した持玉を遊技機に隣接して設けられた台間機から払い出すことができるようになった。
【0003】
特許文献1では、遊技客側にパチンコ玉を払出す玉計数手段30により払出される玉は、ゲーム面11の裏側に一体的に取付けたオーバーフロー通路部材60の前皿用供給路61を通り前皿14に導入され、前皿14が玉で満杯になると次は下皿用供給路62を通り下皿15に導入され、さらに下皿15が玉で満杯になると溢れた玉は計数用供給路64を通り持玉計数手段90に導入されて計数され、ゲームの進行中に前皿14内の玉が消費され、下皿15または下皿15及び前皿14内の玉貯留量に余裕が生じれば、遊技者は玉落としスイッチ17を押して制御手段40に信号を送り、持玉表示手段50に表示された玉数から減算表示された玉数に相当する玉を、下皿15や前皿14へ玉計数手段30によって払出すことのできる構成が示されている。
【0004】
ところで、近年、遊技場の経営形態として、1つの遊技媒体を貸し出す際に、同一遊技場の領域に応じて遊技媒体の貸し出し単価を変えるという手法が採用されている。すなわち、ある遊技場の半分は遊技媒体であるパチンコ玉を1玉4円で貸し出し、もう半分の領域ではパチンコ玉を1玉1円で貸し出すといった具合である。
【0005】
そして、このように価値の異なる遊技媒体について、いわゆる持玉をデータとして保持する場合(データ化された持玉について、以下単に「持玉」という場合がある。)、価値の異なる遊技媒体毎に分けて持玉とすることが一般的である。つまり貸出レートがパチンコ玉1玉につき4円の台間機からパチンコ玉の貸し出しを受けて、遊技機での遊技によって獲得した賞球であれば4円レート(=1玉につき4円)の持玉、貸出レートがパチンコ玉1玉につき1円の台間機からパチンコ玉の貸し出しを受けて、遊技機での遊技によって獲得した賞球であれば1円レート(=1玉につき1円)の持玉として、それぞれ分けて持玉を行う。これに対して、持玉を払い出して遊技を行う場合は、当該台間機は予め設定により、レートが決められているため、当該設定によって決められた特定の価値の遊技媒体しか払い出すことができず、当該台間機から遊技者が払い出して使用できる持玉は限定されていた。
【特許文献1】特開平6−31046
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば1円レートの持玉を多く有しているが、4円レートの持玉は僅かしかない遊技者が、4円レートに設定された台間機から持玉の払い出しを受けようとする場合、4円レートの持玉が僅かしかないため、1円レートの持玉を多く有しているにもかかわらず、当該遊技者は台間機に現金を投入する等して、新たに玉貸しを受け、遊技するしかなかった。このような状況は、当該遊技場に対して遊技者が不満を持つ一因となっていた。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、遊技者が複数のレートのそれぞれで持玉を有している場合、使用する台間機のレートに合わせて持玉の払い出しを受けることを可能とし、当該台間機のレートとは異なるレートで持玉を有する遊技者の利便性を向上させることを目的とし、以て遊技場の経営に役立てることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、遊技者が遊技の結果獲得した遊技媒体の量に関する遊技媒体情報を、遊技媒体の価値毎に区分し、遊技者を識別する識別情報と関連付けて記憶する遊技媒体情報記憶手段と、
遊技媒体を払い出す遊技媒体払出手段と、
前記遊技媒体の価値及び遊技媒体情報について所定の演算を行う演算手段と、からなり、
前記遊技媒体払出手段は、払出遊技媒体の価値が予め設定されており、当該設定されている払出遊技媒体の価値とは異なる価値として区分されている遊技媒体を払出可能に構成され、
前記設定されている遊技媒体の価値とは異なる価値の遊技媒体を払い出す際は、前記遊技媒体情報記憶手段に遊技媒体の価値毎に記憶されている遊技媒体情報を、前記遊技媒体払出手段に設定されている払い出す遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量に換算する演算を前記演算手段が行う、遊技媒体払出システムとした。
【0009】
請求項2の発明では、前記演算手段は、前記遊技媒体払出手段に予め設定されている払出遊技媒体の価値と、払い出しを所望する前記遊技媒体が区分されている遊技媒体の価値との比を演算し、この比と、払い出そうとする前記遊技媒体量とを乗じて、前記遊技媒体払出手段に予め設定されている払出遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量を算出する、請求項1に記載の遊技媒体払出システムとした。
【0010】
請求項3の発明では、前記演算手段は、前記換算後の遊技媒体量を、所定のタイミングで元の価値の遊技媒体量に再換算する演算を行う、請求項1に記載の遊技媒体払出システムとした。
【0011】
請求項4の発明では、遊技媒体を払い出すための操作が可能な払出操作手段を更に備え、
前記払出操作手段が操作されたことにより所定量の遊技媒体が払い出されたとき、当該払い出された遊技媒体の量に相応する遊技媒体量を、前記換算後の遊技媒体量から減算する、請求項1又は2に記載の遊技媒体払出システムとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜4の発明によれば、遊技者が価値の異なる遊技媒体それぞれで持玉を有している場合に、当該持玉を、使用する遊技媒体払出装置で夫々予め設定されているレートに合わせて、持玉の払い出しを受けることを可能とし、使用している遊技媒体払出装置のレートとは異なるレートで持玉を有する遊技者の利便性を向上させることができ、以て遊技場の経営に役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、遊技者が遊技の結果獲得した遊技媒体の量に関する遊技媒体情報を、遊技媒体の価値毎に区分し、遊技者を識別する識別情報と関連付けて記憶する遊技媒体情報記憶手段と、遊技媒体を払い出す遊技媒体払出手段と、前記遊技媒体の価値及び遊技媒体情報について所定の演算を行う演算手段と、からなり、前記遊技媒体払出手段は、払出遊技媒体の価値が予め設定されており、当該設定されている払出遊技媒体の価値とは異なる価値として区分されている遊技媒体を払出可能に構成され、前記設定されている遊技媒体の価値とは異なる価値の遊技媒体を払い出す際は、前記遊技媒体情報記憶手段に遊技媒体の価値毎に記憶されている遊技媒体情報を、前記遊技媒体払出手段に設定されている払い出す遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量に換算する演算を前記演算手段が行う構成とすることにより、使用している遊技媒体払出装置のレートとは異なるレートで持玉を有する遊技者の利便性を向上させることができ、以て遊技場の経営に役立てることができる。
【実施例1】
【0014】
図1は、遊技媒体払出システムAの全体を示す概念図である。遊技媒体払出システムAは、記憶媒体の一例としての会員カード1と、遊技媒体払出装置の一例としてのユニット2と、管理装置の一例としてのサーバ3とから構成されている。ユニット2とサーバ3とは、通信回線を通じて接続されており、相互に情報及び信号の送受信が可能である。会員カード1は、内部に情報を書込み、また内部に記録された情報を読出すことのできる媒体であればよく、例えば、集積回路を組み込んだICカード、ICコイン等により実現可能である。特に、会員カード1は、識別情報記憶手段6を有している。
【0015】
識別情報記憶手段6は、例えばRAMやROM等の半導体メモリからなる。この識別情報記憶手段6には、当該会員カード1に割り振られた固有の識別情報を記憶する。なお、識別情報として他の情報、例えば遊技場独自の番号等を識別情報記憶手段6に記憶させても良い。
【0016】
ユニット2はいずれも、図2に示すように遊技場に複数設けられた各遊技機4に対応して設けられている台間機であり、現金が投入されると一定の遊技媒体を貸し出す、遊技媒体貸出機としての機能を備えている。またユニット2は読取手段8、表示手段9、払出手段10(遊技媒体払出手段に相当)、持玉払出操作手段11(払出操作手段に相当)、持玉払出操作手段12(払出操作手段に相当)、払出用口座情報記憶手段13、情報送受信手段14、ユニット番号記憶手段15、減算手段16(演算手段に相当)、返却操作手段17、払出口座確認手段18、合算手段19、払出数検知計数手段36を備えている。更に、図2に示すように各遊技機4に対応して計数機5が配置され、ユニット2に接続されている。計数機5は、遊技の結果遊技者が獲得した遊技媒体を計数し、随時計数結果である持玉数情報をユニット2に送信して、受信したユニット2は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報を更新して記憶させる。
【0017】
読取手段8は、会員カード1と接触又は非接触で通信を行い、会員カード1の識別情報記録手段6に記憶されている識別情報を読み取るリーダである。すなわち読取手段8は、ユニット2に設けた会員カード挿入口(図示省略)に会員カード1を挿入させて、会員カード1に記憶された情報を読み取るように構成しても良いし、ユニット2の表面部にアンテナの覆域を設け、この覆域内に進入した会員カード1の情報を、電磁誘導を利用した交信方法よって非接触で読み取るように構成しても良い。なお、本実施例1では会員カード1を挿入させるように構成している。表示手段9は、各種の情報、例えば遊技に関する情報や遊技機4の稼働情報を表示したり、ユニット2を制御するコマンドやそれに対する応答出力等を表示したりする、例えばCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、モニタである。特に表示手段9は会員カード1を使用してユニット2と通信を行っている遊技者の持玉数を表示する。
【0018】
払出手段10は、持玉払出操作手段11又は12から払出信号を受信すると、所定数の遊技媒体を払い出す制御機構である。持玉払出操作手段11、12及び返却操作手段17は遊技者が押し下げ等の操作を行うと、払出信号を送信する等、ユニット2に情報を入力できる入力デバイスであって、例えばタッチパネル、キーボード、ボタン、レバーである。なお、本実施例においては、図3に示すように表示手段9に持玉払出操作手段11、12を表示させて、その表示部を遊技者が押すことのできる、タッチパネルの構成が示されている。
【0019】
払出用口座情報記憶手段13及びユニット識別情報記憶手段15は、例えば、大容量メモリとして機能するハードディスク(HD)、不揮発性メモリ等を用いることができる。また記録媒体(メディア)へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブを備えれば、記録媒体に記録されたプログラム等をユニット2のシステムにロードすることができる。記録媒体には、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、PCカード、DVD、ICメモリーカード、MO、メモリースティック等が含まれる。
【0020】
払出用口座情報記憶手段13は、遊技を行っている当該遊技者の持玉数情報が記憶される。詳しくは、会員カード1がユニット2の読取手段8に挿入された状態で、遊技を行い、当該遊技の結果獲得した遊技媒体であって、計数機5によって計数された、当該遊技者の持玉数情報や、後述のサーバ3から受信した持玉数情報が、価値の異なる遊技媒体毎に口座で区分けされて記憶される。但し、後述するように、払出用口座情報記憶手段13には、他口座の持玉数情報であっても、換算手段23によって当該ユニット2のレートで換算された後の持玉数情報が記憶される。つまり例えば、当該ユニット2が4円レートであり、当該遊技者が4円レートの口座1に「85玉」、1円レートの口座2に「2600玉」の持玉を有していた場合には、口座1の持玉数情報はそのまま記憶されるが、口座2の持玉数情報は、4円レートで換算された「650玉」という持玉数情報が払出用口座情報記憶手段13に記憶される。ユニット識別情報記憶手段15は、当該ユニット2に割り当てられたユニット識別情報が記憶されている。なお本明細書では、特定されたレートで持玉数情報が記憶されている口座を「基準口座」とし、特定されたレート以外のレートで持玉数情報が記憶されている口座を「他口座」とする。
【0021】
情報送受信手段14、減算手段16、払出口座確認手段18、合算手段19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成することができる。情報送受信手段14は、ユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報、会員カード1の識別情報、合算後の持玉数情報、基準口座の持玉数情報、他口座の持玉数情報をサーバ3に送信する。また、情報送受信手段14は、他口座の換算後の持玉数情報及び換算時の余り分の持玉数情報を、基準口座の持玉数情報と共に受信する。減算手段16は、ユニット2から払い出された遊技媒体の計数結果を、払出数検知計数手段36より受信し、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている、会員カード1を使用して遊技を行っている当該遊技者の持玉数情報のうち、該当口座の持玉数情報を呼び出して、当該持玉数情報から払い出された遊技媒体数を減算し、減算後の持玉数を、当該口座の持玉数情報として更新して記憶させる。そして、払い出しを行った当該口座にフラグを立てる。また表示手段9に減算後の持玉数情報を表示させる。
【0022】
払出口座確認手段18は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報の各口座にフラグが立っているか否かを確認し、フラグが立っている口座、つまり払い出しが行われた口座を特定する。更に、払い出しが行われた口座が基準口座であるか否かを確認する。確認した結果、払い出しが行われた口座が基準口座と異なっていた場合には、払出口座確認手段18は、合算信号を合算手段19に送信する。
【0023】
合算手段19は合算信号を受信すると、払出用口座情報記憶手段13から払い出しが行なわれた他口座の持玉数情報、基準口座の持玉数情報を呼び出して合算する演算処理を行う。払出数検知計数手段36は、ユニット2から払い出される遊技媒体を検知し、その数を計数し、計数結果を減算手段16に送信する、例えば計数センサー等である。
【0024】
サーバ3は、プログラム制御により動作するコンピュータであり、サーバ持玉数情報記憶手段21(貯遊技媒体情報記憶手段に相当)、レート情報記憶手段22、換算手段23(演算手段に相当)、照会手段24、レート特定手段26を備えている。
【0025】
サーバ持玉数情報記憶手段21、レート情報記憶手段22は、例えば、大容量メモリとして機能するハードディスク(HD)、不揮発性メモリを用いることができる。また記録媒体(メディア)へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブを備えれば、記録媒体に記録されたプログラム等をサーバ3のシステムにロードすることができる。記録媒体には、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、PCカード、DVD、ICメモリーカード、MO、メモリースティック等が含まれる。
【0026】
サーバ持玉数情報記憶手段21には、各会員カード1に割り振られている識別情報毎に、各持玉数情報が記憶されている。詳しくは、各持玉数情報は、価値の異なる遊技媒体毎に口座で区分けされて記憶されている。そしてこれらの持玉数情報は識別情報と関連付けて記憶されており、識別情報に基づいて検索することが可能である。従って例えば、識別情報「00004」に基づいて、サーバ持玉数情報記憶手段21内を検索すると、持玉が口座1に「85玉」、口座2に「2603玉」といった持玉数情報を引き出すことができる。レート情報記憶手段22には、遊技場に設けられているユニット2の各レート情報が記憶されている。レート情報とは、単位遊技媒体をいくらで払い出すかを示すものであり、例えば1玉=1円、1玉=4円といった情報である。このレート情報は予め遊技場の担当者等により設定されるものであり、遊技場の経営方針により定められ、又は適宜変更されるものである。なお、本実施例では図4に示すようにユニット2毎に設定するものとしているが、予め複数のユニット2についてグループ設定を行い、この設定されたグループ毎にレート情報を設定する構成としても良い。
【0027】
換算手段23、照会手段24、レート特定手段26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成することができる。換算手段23は、当該ユニット2で予め設定されているレート情報を基準として、会員カード1の識別情報によって特定されたサーバ持玉数情報記憶手段21に記憶されている持玉数情報のうち、当該ユニット2のレート以外のレートで記憶されている口座の持玉数情報を、当該ユニット2のレートで換算する。また換算手段23は、当該ユニット2のレートで換算された他口座の持玉数情報を、当該各口座のレートで再換算し、再換算後の持玉数情報をサーバ持玉数情報記憶手段21の当該各口座に記憶させる。照会手段24は、会員カード1の識別情報を受信して、当該識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている持玉数情報を特定する。また、識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、基準口座の持玉数情報を、合算後の持玉数情報に更新して記憶させ、払い出しが行われた他口座の持玉数情報を、更新して記憶させる。更に、識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、基準口座の持玉数情報を払い出し後の持玉数情報に更新して記憶させる。レート特定手段26は、ユニット識別情報を受信して、当該ユニット識別情報に基づいてレート情報記憶手段22内を検索し、該当するユニット2のレート情報を特定する。
【0028】
次に、遊技媒体払出システムAの具体的な処理の流れを説明する。最初に、サーバ3に持玉数情報が記憶されるまでの一連の流れの概略を説明する。具体的には、遊技者がユニット2に会員カード1を挿入し、更に現金をユニット2の現金投入口(図示省略)に投入して、遊技媒体の貸し出しを受けて遊技を開始する。そしてこの遊技で入賞すると遊技機4から所定量の遊技媒体が払い出される。これを計数機5で計数すると、その計数情報がユニット2に送信され、ユニット2では持玉数情報として記憶される。この持玉数を上限として、持玉払出操作手段11又は持玉払出操作手段12を操作することにより持玉を払い出して再び遊技に使用することができる。一方、当該遊技では持玉のすべてを使用せず、例えば他の遊技機4での遊技に使用したい場合は、ユニット2の返却操作手段17を操作することにより、会員カード1がユニット2から排出(返却)される。この返却操作手段17が操作されたとき、ユニット2はサーバ3に対し、少なくとも会員カード1の識別情報、残存している持玉数に関する持玉数情報、及び自身を識別するためのユニット2のユニット識別情報を送信する。そしてこれらの情報を受信したサーバ3は、受信したユニット識別情報に基づき、図4に示すようなデータテーブルを検索して当該ユニット2の使用口座を特定する。次に図6に示すようなデータテーブルにおいて、上記受信した会員カード1の識別情報に一致する識別情報に関連付けて、及び使用口座に関連付けて、当該受信した持玉数情報を記憶する。これを貸出レートの異なるユニット2でも行うことにより、複数の口座に持玉数情報が記憶されることとなる。
【0029】
次に、遊技者がユニット2に予め設定されている貸出レート以外のレートで保有している持玉をユニット2から払い出す処理の流れを、図5を用いて説明する。まず、遊技者が会員カード1をユニット2の読取手段8に挿入してユニット2との通信を開始させると、読取手段8はこれを検知し、読取手段8は、会員カード1の識別情報記憶手段6に記憶されている識別情報を読み取る(S101)。情報送受信手段14は、読取手段8を介して読み取った会員カード1の識別情報と、ユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報とをサーバ3に送信する(S102)。サーバ3の照会手段24は、識別情報を受信して、当該識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている持玉数情報を特定する(S103)。例えば、図6に示すように識別情報「00004」を受信すると、当該識別情報に基づいて、サーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている、口座1に「85玉」、口座2に「2603玉」という持玉数情報を特定する。レート特定手段26は、ユニット識別情報を受信して、当該ユニット識別情報に基づいてレート情報記憶手段22内を検索し、該当するユニット2のレート情報を特定する(S104)。例えば当該ユニット2のユニット識別情報が「U0002」であった場合、当該ユニット識別情報に基づいて、レート情報記憶手段22内を検索すると、図4に示すようにユニット識別情報「U0002」のユニット2のレートは「口座1」で設定されており、図7に示すように「口座1」は「4円レート」であるため、レート特定手段26によって特定されるレートは「4円」となる。換算手段23は、特定されたレート情報を基準として、照会手段24によって特定された持玉数情報のうち、特定されたレート以外のレートで記憶されている口座の持玉数情報を、特定されたレートで換算する(S105)。
【0030】
具体的には、この換算の際の演算式は、以下の通りである。
他口座レート÷基準口座レート=レート比
レート比×他口座の持玉数情報=換算後の持玉数情報
【0031】
例えば上述したように、ユニット2のユニット識別情報が「U0002」で、レート特定手段26によって特定されるレートが「4円」であった場合には、識別情報が「00004」の会員カード1を使用している遊技者の持玉数情報は、「4円」のレートの「口座1」が基準口座となり、「1円」レートの「口座2」が他口座となる。そして、この「口座2」に記憶されている持玉数情報を特定されたレートで換算する場合、上記演算式に則ると、
1円レート÷4円レート=0.25
0.25×2603玉=650玉・・・余り 3玉
となる。つまり、口座2の持玉を4円のレートで払い出そうとする場合、650玉払い出すことができる。そして余りは換算できないため、口座2にそのまま(1円レートの持玉として)留保しておく。なお、このとき当該口座2の中には、1円レートのままの3玉と、4円レートに換算した650玉の2種の持玉数情報が存在することとなる。なお更に、別の他口座(図6では口座3)に持玉数情報が記憶されていれば、当該持玉数情報も口座2の場合と同様に特定されたレートで換算する。
【0032】
そして他口座の換算後の持玉数情報(=650玉)を、基準口座の持玉数情報(=85玉)と共に、ユニット2に送信する(S106)。ユニット2では情報送受信手段14を介してこれらの持玉数情報を受信して、口座毎に区分けして、払出用口座情報記憶手段13に記憶する(S107)。また図3に示すように、受信した他口座の換算後の持玉数情報、基準口座の持玉数情報を口座毎に区分けして、表示手段9に表示する(S108)。ここで、遊技者が基準口座から持玉の払い出しを行う場合には、持玉払出操作手段12をタッチし、他口座から持玉の払い出しを行う場合には、持玉払出操作手段11をタッチする。持玉払出操作手段11又は12を遊技者等がタッチすると、持玉払出操作手段11又12は、払出操作を受け付け(S109)、払出信号を払出手段10に送信する。払出信号を受信した払出手段10は、遊技媒体を払い出す(S110)。なお、持玉払出操作手段11又は持玉払出操作手段12を遊技者等がタッチすると、例えば該当口座の持玉が全て払い出されるように設定しても良いし、一度の押し下げ操作で一定の量の持玉が払い出されるように設定しても良い。さらに、持玉払出操作手段11、12をタッチしている間だけ持玉が払い出されるように構成しても良い。
【0033】
払出数検知計数手段36は、ユニット2から払い出された遊技媒体を検知し、その数を計数し、計数結果を減算手段16に送信する。減算手段16は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている、会員カード1を使用して遊技を行っている当該遊技者の持玉数情報のうち、該当口座の持玉数情報を呼び出して、当該持玉数情報から払い出された遊技媒体数を減算し(S111)、減算後の持玉数を、当該口座の持玉数情報として更新して記憶させる。そして、払い出しを行った当該口座にフラグを立てる。また表示手段9に減算後の持玉数情報を表示させる。なお、図8では払出状態が「1」となっているのが、フラグが立っている状態で、払い出しが行われた口座であることを示し、払出状態が「0」となっているのが、フラグが立っていない状態で、払い出しが行われていない口座であることを示している。
【0034】
例えば、ユニット識別情報「U0002」のユニット2で、他口座である「口座2」から、「125玉」の払い出しが行われた場合、払出数検知計数手段36は払い出されるパチンコ玉である遊技媒体を検知し、その数を計数し、「125玉」という計数結果を減算手段16に送信する。計数結果を受信した減算手段16は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている、識別情報「00004」の会員カード1を使用して遊技を行っている当該遊技者の持玉数情報のうち、「口座2」の「650玉」という持玉数情報を呼び出して、この持玉数情報から、計数結果である「125玉」を減算する。そして、減算後の「525玉」という持玉数情報を払出用口座情報記憶手段13の識別情報「00004」の「口座2」に更新して記憶させる。また、払い出しを行った「口座2」にフラグを立てる。更に表示手段9に減算後の持玉数情報「525玉」を表示させる。
【0035】
そして図9及び図10に示すように、遊技者が、当該遊技機4での遊技を終了する場合等に、返却操作手段17を操作すると(S112)、払出口座確認手段18は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報の各口座にフラグが立っているか否かを確認し、払い出しが行なわれた口座を特定する。更に、払い出しが行なわれた口座が基準口座であるか否かを確認する(S113)。確認した結果、払い出しが行なわれた口座が基準口座と異なり、他口座であった場合には、払出口座確認手段18は、合算信号を合算手段19に送信する。合算信号を受信した合算手段19は、今回払い出しが行なわれた他口座の持玉数情報、基準口座の持玉数情報を合算し(S114)、合算後の持玉数情報を払出用口座情報記憶手段13の基準口座に更新して記憶する。そして、今回払い出しが行なわれた他口座の持玉数情報を「0玉」と更新して記憶する。
【0036】
例えば、遊技者が、返却操作手段17を操作すると、払出口座確認手段18は、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報の各口座にフラグが立っているか否かを確認し、払い出しが行われた「口座2」を特定する。更に、払い出しが行われた口座が基準口座ではなく、他口座であることを確認すると、払出口座確認手段18は、合算信号を合算手段19に送信する。合算信号を受信した合算手段19は、今回払い出しが行われた「口座2」の持玉数情報「525玉」、基準口座である「口座1」の持玉数情報「85玉」を合算する。合算後の持玉数情報「610玉」を払出用口座情報記憶手段13の「口座1」に更新して記憶する。そして、今回払い出しが行なわれた「口座2」の持玉数情報を「0玉」と更新して記憶する。
【0037】
会員カード1を読取手段8から取り出す等、会員カード1と読取手段8との通信が終了すると、払出用口座情報記憶手段13の払い出しが行なわれた口座のフラグを、フラグの立っていない、デフォルトの状態に戻す。
【0038】
そして、情報送受信手段14は、少なくともユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報、会員カード1の識別情報、合算後の持玉数情報、今回払い出しが行われた他口座の持玉数情報、今回払い出しが行われなかった他口座の持玉数情報をサーバ3に送信する(S115)。サーバ3の照会手段24は、識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、基準口座の持玉数情報を呼び出して合算後の持玉数情報に更新して記憶させ、今回払い出しが行われた他口座の持玉数情報を呼び出して「0玉」に更新して記憶させる(S116)。但し、当該口座に換算時の余り分の持玉数情報が記憶されている場合には、持玉数情報「0玉」にこの余り分の持玉数情報を加えた上で当該各口座に記憶させる。そして、換算手段23は、払い出しが行われなかった他口座の持玉数情報を、当該各口座のレートで以下のように再換算し、再換算後の持玉数情報を当該各口座に記憶させる(S117)。
【0039】
払い出しを行ったユニット2のレート÷当該口座のレート=レート比
換算後の持玉数情報×レート比=再換算後の持玉数情報
【0040】
なお、当該口座に換算時の余り分の持玉数情報が記憶されている場合には、再換算後の持玉数情報にこの余り分の持玉数情報を加えた上で当該各口座に記憶させる。
【0041】
例えば、情報送受信手段14は、ユニット識別情報「U0002」、会員カード1の識別情報「00004」、合算後の持玉数情報「610玉」、今回払い出しが行なわれた「口座2」の持玉数情報「0玉」、今回払い出しが行われなかった「口座3」の持玉数情報「0玉」をサーバ3に送信する(S115)。サーバ3の照会手段24は、識別情報「00004」に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、識別情報「00004」と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、「口座1」の持玉数情報を合算後の持玉数情報「610玉」に更新し、「口座2」の持玉数情報「0玉」に換算時の余り分の持玉数情報「3玉」を加えて持玉数情報を「3玉」に更新する(S116)。そして換算手段23は、「口座3」持玉数情報を口座3のレートで再換算し、再換算後の持玉数情報を「口座3」に記憶する(S117)。
【0042】
一方、払出口座確認手段18が、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報の各口座にフラグが立っているか否かを確認し、払い出しが行われた口座を特定し、更に、払い出しが行われた口座が基準口座であることを確認した場合には、情報送受信手段14は、少なくともユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報、会員カード1の識別情報、基準口座の持玉数情報、他口座の持玉数情報をサーバ3に送信する(S118)。サーバ3の照会手段24は、識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、基準口座の持玉数情報を呼び出して払い出し後の持玉数情報に更新する(S119)。そして、換算手段23は、他口座の持玉数情報を、当該各口座のレートで再換算し、再換算後の持玉数情報を当該各口座に記憶させる(S120)。
【0043】
このように遊技媒体払出システムAを構成することによって、遊技者が複数のレートのそれぞれで持玉を有している場合、使用するユニット2のレートに合わせて持玉の払い出しを受けることを可能とし、当該ユニット2のレートとは異なるレートで持玉を有する遊技者の利便性を向上させることができる。
【0044】
なおユニット2に書込制御手段(図示省略)を設け、また会員カード1に持玉数情報を記憶する持玉数情報記憶手段(図示省略)を設けて、合算後の持玉数情報、払い出しが行われなかった他口座の持玉数情報等を会員カード1の持玉数情報記憶手段に書き込む構成としても良い。このような構成にすれば、ユニット2とサーバ3が通信不能な状態、いわゆるオフラインの状態にあっても運用可能であり、便宜である。
【0045】
また本実施例1では、他口座から払い出しが行われた場合に、当該他口座と基準口座の持玉数情報を合算して、合算後の持玉数情報をサーバ3に記憶させる構成を示したが、払い出しが行われた他口座の持玉数情報と基準口座の持玉数情報を合算するだけでなく、払い出しが行われなかった他口座の持玉数情報も合算し、合算後の持玉数情報をサーバ3に記憶させる構成としても良い。このような構成とすれば、持玉数情報を一元化することができて便宜である。
【実施例2】
【0046】
上記実施例1においては、ユニット2に表示手段9を設け、会員カード1を使用してユニット2と通信を行っている遊技者の持玉数情報を表示する構成を示した。この場合の表示手段9は、上述したように、液晶ディスプレイのような一度に大量の情報を表示できる表示デバイスとしている。しかし、ユニット2の種類によっては、例えば7セグメントディスプレイ等、一度に大量の情報を表示できない表示デバイスを備えている場合も考えられる。そのような場合には、図11に示すように、遊技媒体払出システムBを構成する。
【0047】
遊技媒体払出システムBは、記憶媒体の一例としての会員カード1、遊技媒体払出装置の一例としてのユニット28、管理装置の一例としてのサーバ3から構成されている。ユニット28はいずれも、遊技場に複数設けられた各遊技機4に対応して設けられている台間機であり、現金が投入されると一定の遊技媒体を貸し出す、遊技媒体貸出機としての機能を備えている。またユニット28は読取手段8、表示手段29、口座選択操作手段30、持玉払出操作手段31、払出用口座情報記憶手段13、情報送受信手段14、ユニット番号記憶手段15、減算手段16、返却操作手段17、払出口座確認手段18、合算手段19、払出数検知計数手段36、表示手段37、モード選択操作手段38、払出操作手段39、払出手段40を備えている。更に、各遊技機4に対応して計数機5が配置され、ユニット28に接続されている。
【0048】
表示手段29は、各種の情報、ユニット28を制御するコマンドやそれに対する応答出力、遊技者の所有する持玉数情報等を表示することができるが、一度に大量な情報を表示することはできない表示デバイス、例えば、図12に示すような、7セグメントディスプレイである。口座選択操作手段30は、例えばボタン、レバー等の、ユニット28に情報を入力できる入力デバイスである。特に口座選択操作手段30は、価値の異なる遊技媒体毎に、口座別に区分けされてユニット28の払出用口座情報記憶手段13に記憶されている持玉数情報を、口座選択操作手段30を操作することによって、7セグメントディスプレイ等の表示手段29に口座毎に順に表示させることができる。持玉払出操作手段31は遊技者が押し下げ等の操作を行うと、払出信号を送信する等、ユニット2に情報を入力できる入力デバイスであって、例えば、キーボード、ボタン、レバーである。
【0049】
表示手段37は、各種の情報、ユニット28を制御するコマンドやそれに対する応答出力、貸出可能な残度数等の情報を表示することができるが、一度に大量な情報を表示することはできない表示デバイス、例えば、図12に示すような、7セグメントディスプレイである。モード選択操作手段38は、モード選択操作手段38を操作することによって、7セグメントディスプレイ等の表示手段37に表示させる情報を切り替えることができる。払出操作手段39は遊技者が押し下げ等の操作を行うと、払出信号を送信する等、ユニット28に情報を入力できる入力デバイスであって、例えば、キーボード、ボタン、レバーである。払出手段40は、持玉払出操作手段31又は払出操作手段39から払出信号を受信すると、所定数の遊技媒体を払い出す制御機構である。
【0050】
次に、遊技媒体払出システムBの具体的な処理の流れを、図13を用いて説明する。遊技者が会員カード1をユニット28の読取手段8に挿入してユニット2との通信を開始すると、読取手段8はこれを検知し、読取手段8は、会員カード1の識別情報記憶手段6に記憶されている識別情報を読み取る(S201)。情報送受信手段14は、読取手段8を介して読み取った会員カード1の識別情報とユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報をサーバ3に送信する(S202)。サーバ3の照会手段24は、識別情報を受信して、当該識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている持玉数情報を特定する(S203)。レート特定手段26は、ユニット識別情報を受信して、当該ユニット識別情報に基づいてレート情報記憶手段22内を検索し、該当するユニット28のレート情報を特定する(S204)。換算手段23は、特定されたレート情報を基準として、照会手段24によって特定された持玉数情報のうち、特定されたレート以外のレートで記憶されている口座の持玉数情報を、特定されたレートで換算する(S205)。
【0051】
そして他口座の換算後の持玉数情報を、基準口座の持玉数情報と共にユニット28に送信する(S206)。ユニット28では情報送受信手段14を介して、これらの持玉数情報を受信し、口座毎に区分けして、払出用口座情報記憶手段13に記憶する(S207)。また受信した持玉数情報のうち基準口座の持玉数情報を、表示手段29に表示する(S208)。表示手段29に基準口座の持玉数情報が表示されている状態で、遊技者が持玉払出操作手段31を押し下げる等の操作を行うと、基準口座の持玉が払い出される。一方、他口座から持玉の払い出しを行いたい場合には、口座選択操作手段30を操作すると(S209)、表示手段29の表示が基準口座の持玉数情報から他口座の持玉数情報の表示に切り替わる(S210)。その状態で、遊技者が持玉払出操作手段31を押し下げる等の操作を行うと、他口座の持玉が払い出される(S211)。減算手段16は、払い出された遊技媒体の数を検知し、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている該当口座の持玉数情報から払い出された遊技媒体数を減算する(S212)。
【0052】
なお遊技媒体払出システムBの上記以外の構成及び作用は、実施例1の遊技媒体払出システムAと同様であるため、説明を省略する。
【実施例3】
【0053】
上記実施例1及び2においては、払い出しが基準口座ではなく、他口座から行われた場合には、払出口座確認手段18は、合算信号を合算手段19に送信し、合算信号を受信した合算手段19は、払い出しが行われた他口座の持玉数情報を、基準口座の持玉数情報と合算する構成となっているが、合算すると不都合が生じる場合もある。例えば遊技場で、4円口座の持玉で景品交換を行う場合と、1円口座の持玉で景品交換を行う場合とで、交換に必要な持玉数が実質的に異なる場合である。かかる事態は、当該景品の価格と、当該景品を持玉数に変換した場合の端数処理の仕方によって生じるものである。つまり、ある景品の価格が195円だった場合、1玉当たり4円のレートでは、端数を切り上げると、49玉必要となる。一方、1玉当たり1円のレートでは、195玉必要となる。そうすると、49玉×4円=196玉となり、1円のレートで景品と交換した場合に比べて、実質的に交換に必要な持玉数が異なることとなる。そのような場合に、上記実施例1及び実施例2のように、払い出しが行われた他口座の持玉数情報を基準口座の持玉数情報と合算する構成とすると、遊技者には景品交換時に差分利益が生じることとなる一方、遊技場には損失が発生したり、その逆に遊技者に損失が発生する一方、遊技場に差分利益が生じることとなる。そこで、かかる事態を防止するために、図14のような遊技媒体払出システムCを以下に示す。
【0054】
遊技媒体払出システムCは、会員カード1、ユニット32、サーバ3から構成されている。ユニット32はいずれも、遊技場に複数設けられた各遊技機4に対応して設けられている台間機であり、現金が投入されると一定の遊技媒体を貸し出す、遊技媒体貸出機としての機能を備えている。またユニット32は読取手段8、表示手段9、払出手段10、持玉払出操作手段11、持玉払出操作手段12、払出用口座情報記憶手段13、情報送受信手段14、ユニット番号記憶手段15、減算手段16、返却操作手段17、換算手段33(演算手段に相当)、払出数検知計数手段36を備えている。更に、各遊技機4に対応して計数機5が配置され、ユニット32に接続されている。
【0055】
換算手段33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成することができる。換算手段33は、払出用口座情報記憶手段13の各口座に記憶されている持玉数情報を、各口座のレートでそれぞれ再換算し、再換算後の持玉数情報を、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている各口座に記憶させる。
【0056】
具体的には、この再換算の際の演算式は、以下の通りである。
払い出しを行ったユニット32のレート÷当該口座のレート=レート比
換算後の持玉数情報×レート比=再換算後の持玉数情報
【0057】
つまり例えば、ユニット32のレートが「4円」、ある他口座のレートが「1円」で、他口座にユニット32のレートで「525玉」の持玉数情報が記憶されている場合、他口座のレートに再換算すると、「2100玉」の持玉数情報が記憶されていることとなる。なお、当該他口座に、換算手段23による換算時の余り分の持玉数情報が記憶されている場合には、この換算時の余り分の持玉数情報を再換算後の持玉数情報に加える。この再換算を、基準口座及び他口座を含めた全ての口座について行う。
【0058】
次に、遊技媒体払出システムCの具体的な処理の流れを、図15を用いて説明する。遊技者が会員カード1をユニット32の読取手段8に挿入、近接等してユニット32との通信を開始すると、読取手段8はこれを検知し、読取手段8は、会員カード1の識別情報記憶手段6に記憶されている識別情報を読み取る(S301)。情報送受信手段14は、読取手段8を介して読み取った会員カード1の識別情報とユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報をサーバ3に送信する(S302)。サーバ3の照会手段24は、識別情報を受信して、当該識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている持玉数情報を特定する(S303)。レート特定手段26は、ユニット識別情報を受信して、当該ユニット識別情報に基づいてレート情報記憶手段22内を検索し、該当するユニット32のレート情報を特定する(S304)。換算手段23は、特定されたレート情報を基準として、照会手段24によって特定された持玉数情報のうち、特定されたレート以外のレートで記憶されている口座(=他口座)の持玉数情報を、特定されたレートで換算する(S305)。
【0059】
そして他口座の換算後の持玉数情報を、基準口座の持玉数情報と共に、ユニット32に送信する(S306)。ユニット32では受信したこれらの持玉数情報を、口座毎に区分けして、払出用口座情報記憶手段13に記憶する(S307)。また、基準口座の持玉数情報及び換算後の他口座の持玉数情報を口座毎に区分けして、表示手段9に表示する(S308)。ここで、遊技者が基準口座から持玉の払い出しを行う場合には持玉払出操作手段12をタッチし、他口座から持玉の払い出しを行う場合には持玉払出操作手段11をタッチする。持玉払出操作手段11又は12を遊技者等がタッチすると、持玉払出操作手段11又12は払出操作を受け付け(S309)、払出信号を払出手段10に送信する。払出信号を受信した払出手段10は、遊技媒体を払い出す(S310)。
【0060】
払出数検知計数手段36は、ユニット32から払い出された遊技媒体を検知し、その数を計数し、計数結果を減算手段16に送信する。減算手段16は、払い出された遊技媒体の数を検知し、払出用口座情報記憶手段13に記憶されている該当口座の持玉数情報から払い出された遊技媒体数を減算する(S311)。そして、減算手段16は減算後の持玉数情報を払出用口座情報記憶手段13の該当口座に記憶させるとともに、表示手段9に減算後の持玉数情報を表示させる。
【0061】
そして図16に示すように遊技者が、当該遊技機4での遊技を終了する場合等に、返却操作手段17を操作すると(S312)、換算手段33は、各口座の換算後の持玉数情報を、各口座のレートでそれぞれ再換算して、元の当該口座のレートにおける持玉数に戻す(S313)。
【0062】
例えば、上述した実施例1のように、他口座である「口座2」から払い出しが行われた場合、遊技者が、当該遊技機4での遊技を終了する場合等に、返却操作手段17を操作すると、換算手段33は、「口座2」の持玉数情報「525玉」を、口座2のレート「1円」で再換算して、「口座2」のレートにおける持玉数情報「2100玉」に戻す。一方、「口座1」の持玉数情報「85玉」を口座1のレート「4円」で再換算すると、持玉数情報は「85玉」で変わらない。
【0063】
情報送受信手段14は、少なくともユニット識別情報記憶手段15に記憶されているユニット識別情報、会員カード1の識別情報、再換算後の基準口座の持玉数情報、再換算後の他口座の持玉数情報をサーバ3に送信する(S314)。サーバ3の照会手段24は、識別情報に基づいてサーバ持玉数情報記憶手段21内を照会し、当該識別情報と関連付けて記憶されている持玉数情報のうち、基準口座の持玉数情報を呼び出して換算後の持玉数情報に更新して記憶させると共に、他口座の持玉数情報を呼び出して換算後の持玉数情報に更新して記憶させる(S315)。
【0064】
なお遊技媒体払出システムCの上記以外の構成及び作用は、実施例1の遊技媒体払出システムAと同様であるため、説明を省略する。
【0065】
また本実施例では、ユニット32に換算手段33を設け、再換算を行う構成を示したが、各口座の持玉数情報をサーバ3に送信し、サーバ3の換算手段23で再換算を行う構成としても良い。
【0066】
また、上記実施例1〜3では、記憶媒体の一例として会員カード1を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば遊技場の会員でない、いわゆるビジターに対して発行するICコイン・ICカード等であってもよい。この場合、そのICコイン・ICカード等にはそれぞれ固有の識別情報が記憶された識別情報記憶部を設け、管理装置(サーバ)には各識別情報に関連付けて持玉数を記憶するよう構成する。
【0067】
更にICコインの場合は、ユニットに挿入されると、当該ICコインに記憶されている持玉数情報は、読み取られてユニットに記憶された後、コイン内の持玉数情報は消去され、そして遊技者が、当該遊技機4での遊技を終了する場合等に、予めユニット内にストックしてあった新たなICコインに、残存持玉数情報を書き込み、当該コインを返却する構成としても良い。
【0068】
また、上記実施例1〜3における識別情報記憶手段6等の各記憶手段は、例えば物理的に複数の記憶装置を用い、各記憶装置に各記憶手段を割り当てて構成しても良いし、1つの記憶装置に複数の記憶領域を設け、これを各記憶手段に割り当てる構成としても良い。同様に、情報送受信手段14、減算手段16等の演算・制御等を行う手段は、例えば物理的に複数のCPUを用い、各CPUに各演算・制御等を行う手段を割り当てて構成しても良いし、1つのCPUで演算・制御等を行わせるように構成しても良い。
【0069】
また、上記実施例1〜3における持玉数情報の換算及び再換算に用いる演算式は一例であって、これらに限定されるものではなく、換算又は再換算の目的を達成できれば、式の加減乗除の別は問わない。
【0070】
また、上記実施例1〜3においては、払出手段、減算手段、換算手段等の各機能を有する手段が、それぞれ独立して別個に機能する構成を示したが、全ての手段を統括する制御手段(図示省略)を設け、この制御手段を介して各手段が機能する構成としても良い。つまり、例えば返却操作手段17が操作されると、返却操作手段17は制御手段に返却操作信号を送信し、返却操作信号を受信した制御手段が換算信号を換算手段33に送信し、換算信号を受信した換算手段33は、各口座の換算後の持玉数情報を、各口座のレートでそれぞれ再換算する、などの構成としても良い。
【0071】
また、上記実施例1〜3においては、サーバ持玉数情報記憶手段21に記憶されている持玉数情報を換算手段23によって換算し、換算を行った際に、サーバ持玉数情報記憶手段21に記憶されている持玉数情報を書き換えて記憶させる構成を示したが、換算時にサーバ持玉数情報記憶手段21内の持玉数情報を、換算後の持玉数情報に書き換えて記憶させずにサーバ持玉数情報記憶手段21に記憶されている持玉数情報はそのままにする構成としても良いし、換算後の持玉数情報をサーバ3のいずれかの記憶手段に、元のサーバ持玉数情報記憶手段21の持玉数情報とは別個に記憶させ、当該別個に記憶した換算後の持玉数情報を送信して、ユニット2の払出用口座情報記憶手段13に記憶させる構成としても良い。後者の場合、当該別個に記憶した換算後の持玉数に基づいて持玉の払出を行うとともに減算処理を行い、遊技者が会員カード1の返却操作をユニット2に対して行う等の所定のタイミングで、当該別個に記憶した換算後の持玉数を元のレートに再換算して、再換算後の持玉数情報をサーバ持玉数情報記憶手段21に更新記憶させるように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る実施例1の遊技媒体払出システムAの全体的な構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る実施例1のユニット、遊技機、計数機を示す正面図である。
【図3】本発明に係る実施例1の表示手段に価値の異なる遊技媒体毎に持玉数情報が表示されている一例を示す概念図である。
【図4】本発明に係る実施例1のサーバのレート情報記憶手段に記憶されているレート情報を示す概念図である。
【図5】本発明に係る実施例1の遊技媒体払出システムAの処理の流れを示す流れ図である。
【図6】本発明に係る実施例1のサーバのサーバ持玉数情報記憶手段に記憶されている持玉数情報を示す概念図である。
【図7】本発明に係る実施例1のサーバのレート情報記憶手段に記憶されているレート情報を示す概念図である。
【図8】本発明に係る実施例1の払出用口座情報記憶手段の持玉数の口座の払い出しの有無を示す概念図である。
【図9】本発明に係る実施例1の遊技媒体払出システムAの処理の流れを示す流れ図である。
【図10】本発明に係る実施例1の遊技媒体払出システムAの処理の流れを示す流れ図である。
【図11】本発明に係る実施例2の遊技媒体払出システムBの全体的な構成を示す概念図である。
【図12】本発明に係る実施例2の遊技媒体払出システムBのユニットの表示手段、口座選択操作手段、持玉払出操作手段を示す正面図である。
【図13】本発明に係る実施例2の遊技媒体払出システムBの処理の流れを示す流れ図である。
【図14】本発明に係る実施例3の遊技媒体払出システムCの全体的な構成を示す概念図である。
【図15】本発明に係る実施例3の遊技媒体払出システムCの処理の流れを示す流れ図である。
【図16】本発明に係る実施例3の遊技媒体払出システムCの処理の流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0073】
A:遊技媒体払出システム、B:遊技媒体払出システム、C:遊技媒体払出システム、
1:会員カード、2:ユニット、3:サーバ、4:遊技機、5:計数機、6:識別情報記憶手段、8:読取手段、9:表示手段、10:払出手段、11:持玉払出操作手段、12:持玉払出操作手段、13:払出用口座情報記憶手段、14:情報送受信手段、15:ユニット識別情報記憶手段、16:減算手段、17:返却操作手段、18:払出口座確認手段、19:合算手段、21:サーバ持玉数情報記憶手段、22:レート情報記憶手段、23:換算手段、24:照会手段、26:レート特定手段、28:ユニット、29:表示手段、30:口座選択操作手段、31:持玉払出操作手段、32:ユニット、33:換算手段、36:払出数検知計数手段、37:表示手段、38:モード選択操作手段、39:払出操作手段、40:払出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が遊技の結果獲得した遊技媒体の量に関する遊技媒体情報を、遊技媒体の価値毎に区分し、遊技者を識別する識別情報と関連付けて記憶する遊技媒体情報記憶手段と、
遊技媒体を払い出す遊技媒体払出手段と、
前記遊技媒体の価値及び遊技媒体情報について所定の演算を行う演算手段と、からなり、
前記遊技媒体払出手段は、払出遊技媒体の価値が予め設定されており、当該設定されている払出遊技媒体の価値とは異なる価値として区分されている遊技媒体を払出可能に構成され、
前記設定されている遊技媒体の価値とは異なる価値の遊技媒体を払い出す際は、前記遊技媒体情報記憶手段に遊技媒体の価値毎に記憶されている遊技媒体情報を、前記遊技媒体払出手段に設定されている払い出す遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量に換算する演算を前記演算手段が行うことを特徴とする、遊技媒体払出システム。
【請求項2】
前記演算手段は、前記遊技媒体払出手段に予め設定されている払出遊技媒体の価値と、払い出しを所望する前記遊技媒体が区分されている遊技媒体の価値との比を演算し、この比と、払い出そうとする前記遊技媒体量とを乗じて、前記遊技媒体払出手段に予め設定されている払出遊技媒体の価値と同価値の場合の遊技媒体量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の遊技媒体払出システム。
【請求項3】
前記演算手段は、前記換算後の遊技媒体量を、所定のタイミングで元の価値の遊技媒体量に再換算する演算を行うことを特徴とする、請求項1に記載の遊技媒体払出システム。
【請求項4】
遊技媒体を払い出すための操作が可能な払出操作手段を更に備え、
前記払出操作手段が操作されたことにより所定量の遊技媒体が払い出されたとき、当該払い出された遊技媒体の量に相応する遊技媒体量を、前記換算後の遊技媒体量から減算することを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊技媒体払出システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−83502(P2011−83502A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239928(P2009−239928)
【出願日】平成21年10月17日(2009.10.17)
【出願人】(501005966)大都販売株式会社 (110)
【Fターム(参考)】