説明

遊技機の管理システム及びプログラム

【課題】一人の遊技者が複数台の遊技機を占有してしまう、いわゆる遊技機の掛け持ちを効果的に防止する。
【解決手段】スロットマシンに指紋読取装置を設ける。指紋を読み取らせた後でないと遊技できない。読み取られた指紋はホールコンピュータに送られて管理される。ホールコンピュータは指紋に基づき遊技機の掛け持ちを判定する。遊技機の掛け持ちを検知したとき、ホールコンピュータは、以前に遊技されていた遊技機を遊技不能にするとともに、当該遊技機に空台である旨の報知をさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシン等の遊技機を管理するためのシステム及び当該管理を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機において、遊技者が所定の枚数のメダルや遊技球等の遊技媒体を遊技機に投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要な遊技媒体は、遊技ホール内に設けられた遊技媒体貸機等で借りることができ、所望の遊技機の遊技媒体投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
スロットマシンは、基本的に図柄が揃ったときに賞品としてメダルを払い出すものであるが、図柄が揃うかどうかは内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。また、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、小役などのさまざまな賞も内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。抽選の処理の内容(内部動作)は所定の範囲内で設定の変更が可能であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。
【0004】
スロットマシン等の遊技機は、一人の遊技者が複数台の遊技機を操作することは認められておらず、原則的に一人の遊技者は一台の遊技機のみを操作できることになっている。一人の遊技者が複数台の遊技機の掛け持ちを行うと他の者に迷惑をかけるため、ホールスタッフは掛け持ちを発見したら遊技者を注意することになっている。掛け持ち遊技が行われると、ホール全体の遊技機の稼働率が低下するので、ホールの損失にもつながりかねない。また、一人の遊技者に複数の遊技機を占有されると、他の遊技者は、所望の遊技機において遊技を行うことができないこともあるので、遊技を行わずに帰ってしまったり、再度の来場を期待できなくなるという問題もある。
【0005】
スロットマシンではないが、パチンコ機において遊技機の掛け持ちを防止するための先行技術として、以下に示す特許文献1〜10がある。
【特許文献1】特開平6−246038号公報
【特許文献2】特開平6−339559号公報
【特許文献3】特開平7−14055号公報
【特許文献4】特開平7−236755号公報
【特許文献5】特開平8−107975号公報
【特許文献6】特開平11−333115号公報
【特許文献7】特開2000−189641号公報
【特許文献8】特開2002−306810号公報
【特許文献9】特開2007−290号公報
【特許文献10】特開2007−292号公報
【0006】
また、スロットマシンに指紋認証を採用した先行技術として次の特許文献11がある。
【特許文献11】特開2006−223489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜10は、パチンコ機において、その遊技を行う際に使用する記録媒体(カード)などを利用して掛け持ちを判定するものである。特許文献1〜10記載の技術は、そのような記録媒体を使用しないスロットマシン等の遊技機には適用できなかった。
【0008】
本発明は、上記先行技術とは異なるやり方で、一人の遊技者が複数台の遊技機を占有してしまう、いわゆる遊技機の掛け持ちを確実に防止できる遊技機の管理システム及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る遊技機の管理システムは、所定の信号に基づく抽選処理、及び、前記抽選処理の結果に基づく当選判定処理を含む遊技処理を実行するメイン基板と、前記当選判定処理の結果に基づき演出表示を行うサブ基板と、指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を読み取るバイオメトリクスセンサと、外部へ前記生体認証情報を含む情報を送信する送信装置と、外部から命令を受ける受信装置と、前記バイオメトリクスセンサの出力又は前記受信装置で受けた命令に基づき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態又は前記遊技処理の実行できない状態のいずれかにする遊技可能/不能設定装置と、前記受信装置で受けた命令に基づき、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を前記サブ基板に行わせる空台報知指示装置とをそれぞれ含む複数の遊技機と、
前記遊技機の前記送信装置及び前記受信装置と通信するための送受信部と、前記遊技機から受けた前記生体認証情報の処理を行う生体認証情報処理部と、前記生体認証情報を前記遊技機に対応づけて記憶する生体認証情報登録テーブルとを含むホールコンピュータと、を備え、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態にし、前記遊技機の前記送信装置は前記ホールコンピュータへ前記生体認証情報を送信し、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記複数の遊技機のいずれか一つ(以下、この遊技機を「生体認証情報の送信元の遊技機」と記す)から受けた前記生体認証情報に基づき前記生体認証情報登録テーブルを検索し、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがないとき、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込み、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルにおいて前記複数の遊技機の他の一つ(以下、この遊技機を「先に生体認証情報が登録されていた遊技機」と記す)に対応付けられた同じ前記生体認証情報があるとき、登録されていた前記生体認証情報を削除するとともに前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むとともに、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ、前記予め定められた報知を行わせるための空台報知命令を送信し、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記空台報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にし、前記遊技機の前記空台報知指示装置は、前記サブ基板に前記予め定められた報知を行わせる、ものである。
【0010】
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがあるとき、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ遊技状態又はクレジットの状態を問い合わせ、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機から遊技中である旨の回答を受けたとき又はクレジットの残がある旨の回答を受けたとき、前記生体認証情報登録テーブルに登録されていた前記生体認証情報を削除するとともに前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むことに代えて、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対して掛け持ち遊技を警告する報知を行わせるための警告報知命令を送信し、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記警告報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にし、前記空台報知指示装置は、前記サブ基板に前記掛け持ち遊技を警告する報知を行わせる、ようにしてもよい。
【0011】
前記遊技機は、さらに、前記メイン基板に記憶されているクレジットを加算させるクレジット加算指示装置と、前記クレジットを減算させるクレジット減算指示装置とを含み、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがあるとき、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へクレジットの状態を問い合わせ、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機からクレジットの残がある旨の回答を受けたとき、前記回答に基づきクレジットを加算すべき旨の命令及び加算すべきクレジットの数を前記生体認証情報の送信元の遊技機へ送信するとともに、クレジットを減算すべき旨の命令及び減算すべきクレジットの数を前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ送信し、
前記遊技機の前記クレジット加算指示装置は、前記クレジットを加算すべき旨の命令及び加算すべきクレジットの数を受けたとき、前記メイン基板に記憶されているクレジットに前記加算すべきクレジットの数を加算し、
前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機の前記クレジット減算指示装置は、前記クレジットを減算すべき旨の命令及び減算すべきクレジットの数を受けたとき、前記メイン基板に記憶されているクレジットから前記減算すべきクレジットの数を減算する、ようにしてもよい。
【0012】
この発明は、スタートスイッチの出力に基づく抽選処理、及び、前記抽選処理の結果に基づく当選判定処理を含む遊技処理を実行するメイン基板と、前記当選処理の結果に基づき演出表示を行うサブ基板と、指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を読み取るバイオメトリクスセンサとを備える遊技機のプログラムであって、
前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態にするステップと、
前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、外部へ前記生体認証情報を送信するステップと、
外部から予め定められた空台報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にするステップと、
前記空台報知命令を受けたとき、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を行わせるステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0013】
この発明は、管理対象である遊技機と通信を行う送受信部と、前記遊技機から受けた指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を前記遊技機に対応づけて記憶している生体認証情報登録テーブルとを備えるホールコンピュータのプログラムであって、
前記送受信部を通じて前記遊技機から受けた前記生体認証情報に基づき前記生体認証情報登録テーブルを検索するステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報がないとき、受けた前記生体認証情報を前記遊技機に対応づけて前記生体認証情報登録テーブルに書き込むステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報があるとき、登録されていたものを前記生体認証情報登録テーブルから削除するとともに、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報があるとき、前記送受信部を通じて、先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を行わせるための空台報知命令を送信するステップと、を前記ホールコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0014】
この発明に係るプログラムは、例えば、記録媒体に記録される。
媒体には、例えば、EPROMデバイス、フラッシュメモリデバイス、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、CD(CD−ROM、Video−CDを含む)、DVD(DVD−Video、DVD−ROM、DVD−RAMを含む)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きのRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。
【0015】
媒体とは、何等かの物理的手段により情報(主にデジタルデータ、プログラム)が記録されているものであって、コンピュータ、専用プロセッサ等の処理装置に所定の機能を行わせることができるものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、バイオメトリクス認証により、一人の遊技者が複数台の遊技機を占有してしまう、いわゆる遊技機の掛け持ちを検知し、占有されている遊技機を強制的に空台とすることで、遊技機の掛け持ちを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の実施の形態1.
この発明の実施の形態に係る遊技機(スロットマシン)について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0019】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132のさらに右側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0020】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートボタン134を設けてあり、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。
【0021】
前扉130には、遊技者個人を特定するためのバイオメトリクスセンサBSが少なくともひとつ設けられている。バイオメトリクスセンサ(Biometrics Sensor)とは、身体的な特徴を用いて個人を特定するためのセンサであり、代表的なものとして、指紋に基づき個人を特定する装置、眼球の虹彩に基づき個人を特定する装置、静脈に基づき個人を特定する装置が挙げられる。これらの装置はいずれも公知のものである。以下の説明においては、バイオメトリクスセンサBSとして指紋読取装置を例にとり説明を加えるが、他の装置でも同様である。
【0022】
以下において符号BSを指紋読取装置に対応させて説明を加える。指紋読取装置BSは、人間の指紋(指先の紋様のパターン)を読み取るものであり、面型静電容量センサ、プリズム型センサなどが市販されている。本発明の実施の形態における指紋読取装置BSは、遊技者の指紋を読み取るものであるから、遊技者の指で容易にアクセスできる箇所、例えば、スタートスイッチ134の上かつ符号を付していないベットスイッチの横の位置や、メダル投入口132のすぐ下の位置に設けられる(これらの位置は図1において楕円で大まかに示されている)。遊技者は、遊技に先立ち指紋読取装置BSに自分の指を当てて指紋を読み取らせた後に、遊技を行うことができる。なお、右手左手どちらのどの指を読み取らせるかは予め定めておくとよい。例えば、遊技者に予め特定の指(例えば右手の人差し指)の指紋を登録させ、登録された指紋を読み取らせたときにのみ遊技を行うことができるようにしておくとよい。
【0023】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置2が設置されている。このホッパ装置2の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク1を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回転リールからなるリールユニット203が設置されている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置2と、その上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
【0024】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ121が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ121は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパタンク1に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0025】
また、メダルセレクタ121の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ121により排除されたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0026】
スロットマシンで遊技を楽しもうとする遊技者は、まずメダル貸機(図示しない)等から遊技媒体であるメダルを借り、メダル投入装置のメダル投入口132に直接メダルを入れることができる。スタートスイッチ134は回転リールの斜め下方に位置するレバーであって、遊技メダルの投入を条件に、リールユニット203の駆動を開始させる。リールユニット203は、ストップスイッチ140によりその駆動が停止される。リールユニット203は、三個の回転リールから構成されている。そして、各回転リールは、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
【0027】
図3は、発明の実施の形態1に係るスロットマシンの機能ブロック図を示す。
図3において、200、201はそれぞれCPU、ROM、RAMを内蔵するメイン基板、サブ基板である。メイン基板200はメダルの投入枚数の管理、払い出し、リールの回転及び停止制御、当選処理などを行う。具体的には、メイン基板200は、スタートスイッチ134の出力に基づき抽選を行い、抽選結果に基づき当選を判定する。入賞したとき、ホッパ装置2を駆動して所定枚数のメダルを払い出す。サブ基板201は当選処理に基づいた演出表示などの処理を行う。
【0028】
202はスタートスイッチ134やストップスイッチ140、ベットスイッチなどのスイッチからなる操作部である。203は三個の回転リールからなるリールユニットである。204はゲーム表示部131やリールの内部照明、液晶表示装置、スピーカなどを含む演出表示部である。演出表示部204により当選処理によって得られる当選役や押し順の報知がなされる。205は各部に電源を供給する電源部である。2はメダルを払い出すためのホッパ装置である。
【0029】
なお、メイン基板200のROMには、このスロットマシン100で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、当選確率テーブル,図柄テーブルおよび入賞図柄組合せテーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。当選確率テーブルは、乱数発生部で抽出された乱数値を各当選態様に区分けするように区分されており、乱数発生部で発生する一定範囲の数値の中から抽出される乱数値を各当選態様に区画するデータを記憶している。すなわち、当選確率テーブルは、乱数発生部がとる乱数の全領域に対応して、各当選態様ごとに区分された領域を有するものである。例えば、0〜一定数の範囲を複数に区分し、ひとつの区分(領域)を外れとし、他の区分(領域)を当選1、当選2、・・・というように設定する。
【0030】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。そして、入賞判定で入賞とされたとき、すなわち所定の図柄が揃ったとき入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0031】
発明の実施の形態1に係る遊技機は、さらに、指紋読取装置BS、送信装置1、遊技可能/不能設定装置3、受信装置4、及び、空台報知指示装置5を備える。なお、空台とは遊技者が付いていない台(遊技機)のことである。以下の説明において、遊技機のことを「台」と記すことがある。
【0032】
指紋読取装置BSは、前述したように、人間の指紋(指先の紋様のパターン)を読み取るものである。面型静電容量センサ、プリズム型センサなどが市販されている。
【0033】
送信装置1は、ホールに設置された複数の遊技機を管理するホールコンピュータへ指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を含む情報を送信するものである。
【0034】
遊技可能/不能設定装置3は、指紋読取装置BSの出力及び/又はホールコンピュータからの信号(命令)に基づき遊技可能な状態と不能な状態を適宜設定する装置である。遊技可能/不能設定装置3は例えばスイッチであり、遊技不能な状態ではメダルセレクタ121の出力及び操作部202の出力を遮断することで、遊技者がスタートスイッチ等を操作してもリールユニット203の回転リールが回転しないようにできる。言い換えれば、遊技可能/不能設定装置3は遊技の受付を可能/不能にする装置である。あるいは、遊技可能/不能設定装置3は遊技の受付を禁止する信号を発生する回路である。当該信号が図示しないI/Oを通じてメイン基板200のCPUに読み取られ、予め用意された遊技の受付を禁止するプログラムが実行されることで遊技の受付が禁止される。
【0035】
受信装置4は、ホールコンピュータから信号(命令)を受けるものである。
【0036】
空台報知指示装置5は、受信装置4で受けた命令に基づきサブ基板201に対して、予め定められた報知を行わせるものである。例えば、リールユニット203の右側に設けられた液晶表示装置に「この遊技機は空いています。どうぞお使いください。」といったメッセージを表示させる。
【0037】
遊技可能/不能設定装置3及び空台報知指示装置5は、電源部205から電源投入信号(電源電圧が上昇する際に発生されるリセット信号など)を受けており、電源投入時には予め定められた動作を行う(詳細は後述)。
【0038】
なお、遊技可能/不能設定装置3及び空台報知指示装置5は、ICなどのハードウエア又はCPUとROMに格納されたプログラムによるソフトウエア、あるいはこれらハードウエアとソフトウエアの組み合わせで実現される。
【0039】
図4は、発明の実施の形態1に係るホールコンピュータの機能ブロック図を示す。
【0040】
ホールコンピュータは、ホールに設置された複数の遊技機の動作状態や払い出し枚数、大当たりの回数などの情報を受信し管理しているが、そのような処理は公知であり、発明の実施の形態1における処理とは直接関係がない。図4では公知の処理に関する表示は省略している。
【0041】
ホールコンピュータHCは、送受信部HC1、指紋データ処理部HC2及び指紋登録テーブルHC3を備えている。
【0042】
送受信部HC1は遊技機と信号を送受信するためのものであり、具体的には、図3の送信装置1から信号を受け、同図の受信装置4へ信号を送信するものである。
【0043】
指紋データ処理部HC2は、遊技機から受けた指紋データの処理を行う。具体的には、受けた指紋データが指紋登録テーブルHC3に既に登録されているかどうか判定し、登録されている指紋データと一致したときは予め定められた処理を実行する(詳細は後述)。なお、指紋データの内容及び指紋データの一致/不一致を判定するためのアルゴリズムは公知であるので、それらの説明は省略する。
【0044】
指紋登録テーブルHC3は記憶装置(例えば半導体メモリ)であって、遊技機の識別除法、遊技機ごとに指紋データ及びその登録時刻を記憶するものである。その内容の一例を図9に示す。
【0045】
次に、図5乃至図8のフローチャートを参照して、発明の実施の形態1に係る遊技機の管理システムの動作について説明を加える。
【0046】
図5は、ホールに設置された複数の遊技機とこれらを管理するホールコンピュータの間で行われる通信の手順を示すフローチャートである。簡単のため、図5では遊技機が2台(遊技機A及び遊技機B)の場合を示しているが、3台以上の場合も同様の手順であることは言うまでもない。図5において、符号50乃至65は掛け持ちが行われていないときの処理を示し、符号70乃至80は掛け持ちが行われてるときの処理を示す。
【0047】
図6は、遊技機が電源投入後に行う処理を示す。同図は、発明の実施の形態1に直接関係する処理のみを示し、それ以外の処理(例えば、メモリのクリアなど)は省略している。
【0048】
図7は、遊技機がホールコンピュータから空台報知命令(後述)を受けたときの処理を示す。図7において、図6と同じ又は相当する処理については同一の符号を付している。
【0049】
図6及び図7は、ホールコンピュータで管理される複数の遊技機(図5では遊技機A及び遊技機B)のそれぞれが行う処理である。言い換えれば、図6及び図7の処理を実行するためのプログラムは、複数の遊技機の全てに搭載されている。
【0050】
図8は、ホールコンピュータが行う処理を示す。同図は、発明の実施の形態1に直接関係する処理のみを示し、それ以外の処理は省略している。
【0051】
ホールの開店に先立って、遊技機の電源が投入されると、所定の初期設定が行われる(図6のS1)。指紋を読み込ませてから遊技を開始できるように、電源投入直後は遊技機を遊技不能状態とする(同図のS2)。この設定は、遊技可能/不能設定装置3で行うようにしてもよい。そして、空台であること、及び遊技開始には指紋登録が必要である旨を報知する(同図のS3)。この報知は、図7のS3(空台報知指示装置5)による報知と同じである。
【0052】
遊技者は、遊技しようとする遊技機Aの指紋読取装置BSで指紋を読み込ませる(図5の50、図6・図7のS4−1でYES)。当該遊技機は、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図5の51、図6・図7のS4−2)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図5の52、図6・図7のS5・S6)。
【0053】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図5の54、図8のS20でYES)。具体的には、指紋データa1に基づき図9の指紋登録テーブルHC3を検索し、同じものが既に登録されているかどうか判定する(図8のS21)。図5の例では、遊技機Bに指紋が登録されていないから、指紋登録テーブルHC3に他の指紋データはなく、図8のS22においてNO(同じものが登録されていない)と判定される。したがって、受信された指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に設けられた遊技機A用の領域に、その受信時刻とともに書き込まれる(図5の55、図8のS25)。なお、書き込みの時刻とともに書き込んでもよい。
【0054】
なお、図5の53に示すように、遊技機Aからスタートスイッチの押下信号(すなわち遊技開始を示す信号)をホールコンピュータへ送り、当該信号を受けてからホールコンピュータで図5の54、55の処理を行うようにしてもよい。このやり方によれば、掛け持ち遊技が実際に開始した時点で指紋認証等を行う。このやり方は、指紋を読み取った時点で判断するよりも、遊技機の掛け持ちについてより正確な判断が可能になるという利点がある。
【0055】
同様の手順が、遊技機Bについても行われる。図5の例では、遊技機Bの指紋読取装置BSで読み取られた指紋データb1は、上記指紋データa1とは異なるものであり(つまり、遊技機Aの遊技者と遊技機Bの遊技者は異なる)、受信された指紋データb1は、指紋登録テーブルHC3に設けられた遊技機B用の領域に、その受信時刻とともに書き込まれる。
【0056】
遊技機Bの指紋読取装置BSで指紋データa1が読み取られたとする(図5の70、図6・図7のS4−1でYES)。遊技機Bが空台となっていて、遊技機Aの遊技者が遊技機Bについても掛け持ちで遊技しようとした場合である。遊技機Bは、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図5の71、図6・図7のS4−2)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図5の72、図6・図7のS5・S6)。
【0057】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図5の74、図8のS20でYES)。指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に遊技機Aの指紋データa1として既に登録されている。したがって、図8のS22においてYES(同じものが登録されている)と判定される。この場合、登録時刻を比較し、時間的に古い指紋データの登録を削除する(図5の76、図8のS23)。図9の例では、受けた指紋データa1は、時刻Taに登録された遊技機Aの指紋データa1と同じであるから、より古い遊技機Aの指紋データa1が削除される。図9の遊技機Aの指紋データa1は、図5の74で受信した指紋データa1よりも古いことは明らかである。これにより、ホールコンピュータは遊技機Aが空台であると認識する。そして、ホールコンピュータから削除した古い指紋データに係る遊技機(遊技機A)へ空台報知命令を送信する(図5の77、図8のS24)。そして、ホールコンピュータは遊技機Bから受信した指紋データa1を、古い指紋データb1に上書きする(図5の78、図8のS25)。
【0058】
遊技機Aで空台報知命令を受けると(図7のS10でYES)、遊技機Aは遊技不能状態になる(図5の79、図7のS2)。そして、空台であること、及び遊技開始には指紋登録が必要である旨を報知する(図7のS3)。
【0059】
以上の説明から分かるように、発明の実施の形態1によれば、指紋に基づき遊技機の掛け持ちを判定し、掛け持ちが行われていると判定したときに、より古い指紋登録を削除するとともに、先に遊技していた遊技機に空台の報知を行わせることにより、掛け持ち遊技を防止することができる。発明の実施の形態1によれば、遊技者が任意に選択した新しい遊技機での遊技を継続させ、それ以前に選択した遊技機を強制的に空台にするので、遊技機を単に変えるだけの台移動に対して悪影響を与えることはない。空台であることが明示されるので、空台か否かの判断もはっきりする点で一般遊技者にとっても便利であり、しかも、悪質な掛け持ち遊技を防止することができる。
【0060】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態1では、時間的に古い指紋登録(先に登録されたもの)を削除するとともに、当該古い指紋登録に係る遊技機を強制的に空台としていた。しかし、もし当該遊技機が遊技中であるとき、具体的にはスタートスイッチが押下された後であって3つ全部のストップスイッチが押下される前の回転リール(回胴)が回転中であるとき、当該遊技機を強制的に空台とするのは、遊技を強制的に中断することになり好ましくない。
【0061】
そこで、回転リール(回胴)が回転中であるかどうかに応じて処理を変えることが望ましい。発明の実施の形態2は、そのような遊技機の管理システムに関する。
【0062】
図10は、発明の実施の形態2に係る遊技機のブロック図である。図3と同一又は相当部分には同一符号を付している。図10の各構成要素は図3と同じであるが、図10では回転リール(回胴)が回転中であるかどうかを判定するために、受信装置4の出力がメイン基板200に入力されるとともに、その判定結果をホールコンピュータへ送信するために、メイン基板200の出力が送信装置1に入力されている。
【0063】
メイン基板200は、受信装置4を通じて、ホールコンピュータから遊技状態問合を受けたら、回胴の回転状態を判定する。具体的には、メイン基板200は、そのCPUでリールユニット203に設けられた図示しない回転リール(回胴)の位置検出センサを監視することで、回転リール(回胴)が回転しているかそれとも停止しているかを判定する。判定結果は、送信装置1を通じてホールコンピュータへ送られる。あるいは、スタートスイッチ134の押下で回転中のフラグをセットし、3つのストップスイッチ140全部の押下時(正確には3つのストップスイッチ140のうち最後に押下されたもの、いわゆる第3停止時)に前記フラグをリセットするようにしておき、当該フラグをホールコンピュータへ送信するようにしてもよい。
【0064】
図10の空台報知指示装置5は、発明の実施の形態1の場合と同じく空台の報知を行うことに加えて、ホールコンピュータから掛け持ち警告報知命令を受けたとき、「掛け持ち遊技はお止めください」などの報知を行う。
【0065】
次に、図11及び図12のフローチャートを参照して、発明の実施の形態2に係る遊技機の管理システムの動作について説明を加える。なお、遊技機の処理は、発明の実施の形態1の場合と比べて、遊技状態問合に対してその回答を送信するという処理が追加されているだけであるので、そのフローチャートは省略する。
【0066】
図11は、ホールに設置された複数の遊技機とこれらを管理するホールコンピュータの間で行われる通信の手順を示すフローチャートである。簡単のため、図5では遊技機が2台(遊技機A及び遊技機B)の場合を示しているのは、発明の実施の形態1の場合と同じである。
【0067】
図12は、ホールコンピュータが行う処理を示す。
【0068】
遊技者は、遊技しようとする遊技機Aの指紋読取装置BSで指紋を読み込ませる(図11の50)。当該遊技機は、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図11の51)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図11の52)。
【0069】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図11の54、図12のS20でYES)。具体的には、指紋データa1に基づき図9の指紋登録テーブルHC3を検索し、同じものが既に登録されているかどうか判定する(図12のS21)。図11の例では、遊技機Bに指紋がまだ登録されていないから、指紋登録テーブルHC3に他の指紋データはなく、図12のS22においてNO(同じものが登録されていない)と判定される。したがって、受信された指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に設けられた遊技機A用の領域に、その受信時刻とともに書き込まれる(図11の55)。
【0070】
遊技機Bの指紋読取装置BSで指紋データa1が読み取られたとする(図11の60)。遊技機Bが空台となっていて、遊技機Aの遊技者が掛け持ちで遊技しようとした場合である。遊技機Bは、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図11の61)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図11の62)。
【0071】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図11の64、図12のS20でYES、S21)。指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に遊技機Aの指紋データa1として既に登録されている。したがって、図12のS22においてYES(同じものが登録されている)と判定される。
【0072】
遊技機A(当該他の遊技機)へ遊技中(回胴回転中)であるかどうか問い合わせる(図11の64b、図12のS26)。これを受けて、メイン基板200は遊技中(回胴回転中)か否かを判定し、その結果をホールコンピュータへ送信する(図11の64c)。図11の64cでは遊技中(回転中)であるである旨の回答がなされたとする。すると、図12のS28でYESとなり、遊技機B(図12のS20の指紋データの送信元の遊技機)へ掛け持ち警告報知命令が送信される(図11の68、図12のS29)。掛け持ち警告報知命令は遊技受付停止命令も兼ねている。この場合、遊技機Aの遊技は強制的に中断されることがないが、新たに指紋が読み取られた遊技機Bでの遊技の受付が停止され、しかも、「掛け持ち遊技はお止めください」などの警告表示がなされる。例えば、遊技機Bのメイン基板200での遊技処理が禁止され、サブ基板201により警告表示(報知)が行われる。したがって、新たな遊技機Bでの掛け持ち遊技は不可能になる。
【0073】
遊技機Aへ遊技中であるかどうか問い合わせたとして(図11の74b、図12のS26)、その回答(図11の74c)が遊技中でない(回胴回転中)である場合は、発明の実施の形態1と同じ処理がなされる。すなわち、登録されている指紋データを削除し(図11の76、図12のS23)、ホールコンピュータから削除した指紋データに係る遊技機(遊技機A)へ空台報知命令を送信する(図11の77、図12のS24)。そして、ホールコンピュータは遊技機Bから受信した指紋データa1を上書きする(図11の78、図12のS25)。遊技機Aで空台報知命令を受けると、遊技機Aは遊技不能状態になる(図11の79)。そして、空台であること、及び遊技開始には指紋登録が必要である旨を報知する(図11の80)。
【0074】
発明の実施の形態2によれば、同じ指紋データが登録されていた遊技機が遊技中(回胴回転中)には新しく指紋が読み取られた遊技機を遊技不能にするので、遊技を強制的に中断させることがない。したがって、遊技者に特段の不利益を与えることなく、掛け持ち遊技を防止することができる。
【0075】
発明の実施の形態2の変形例.
上記発明の実施の形態2では、遊技中(回胴回転中)かどうかに応じて空台とする遊技機を切り換えていた。同様に、クレジットの有無に応じて空台とする遊技機を切り換えるようにしてもよい。
【0076】
クレジットとは、遊技機に投入したメダルのうちで未使用のものであり、電子的に貯留されたものである。クレジットが残っている間はメダルを投入することに代えて、スタートスイッチの右上にあるベットスイッチを押下することで遊技を開始することができる。クレジットの数は、メイン基板200の図示しないメモリに記憶されている。通常、遊技者が台を移動する際は、クレジットを全部使い切るかあるいはメダル投入口132の右側にある払い戻しボタンでメダルを払い出す。通常の台移動であればクレジットの残はゼロであるが、台の掛け持ちを行う場合は先に遊技していた台にクレジットが残っている場合がある。したがって、クレジットの残が有る場合(クレジットがゼロでない場合)は、遊技中(回胴回転中)と同様に扱い、後に遊技を始めた台について強制的に遊技を中断させることが好ましい。
【0077】
図13及び図14に、発明の実施の形態2の変形例のフローチャートを示す。図11及び図12と比較して、図13及び図14は、遊技機Aに問い合わせる内容がクレジット状態である点、及び、遊技機Bへ掛け持ち警告報知命令を送信する条件がクレジットの残が有る場合(クレジットがゼロでない場合)である点のみが相違している。他の処理は同じであるので、図13及び図14の詳細な説明は省略する。
【0078】
発明の実施の形態3.
クレジットの残の有無にかかわらず、先に遊技をしていた台を強制的に空台とし、クレジットの残が有る場合はそれを後に遊技を始めた台へ転送するようにしてもよい。発明の実施の形態3は、そのようなクレジットの転送を可能にする遊技機の管理システムに関する。
【0079】
図15は、発明の実施の形態2に係る遊技機のブロック図である。図10と同一又は相当部分には同一符号を付している。図10と比べて、図15ではクレジット加算指示装置6及びクレジット減算指示装置が追加されている。クレジット加算指示装置6は、ホールコンピュータからクレジット状態転送命令(詳細は後述)を受けて、指示された数のクレジットをメイン基板200のRAMに記憶されているクレジットに加算するように指示するものである。クレジット減算指示装置7は、ホールコンピュータから空台報知命令を受けて、指示された数のクレジットをメイン基板200のRAMに記憶されているクレジットから減算するように指示するものである。なお、図15の遊技機では、受信装置4を通じてホールコンピュータからクレジット状態の問い合わせ(後述のクレジット状態問合)を受けたら、送信装置1を通じてクレジットの有無とともに、クレジット残有りの場合はその数値をホールコンピュータへ回答する。
【0080】
次に、図16及び図17のフローチャートを参照して、発明の実施の形態3に係る遊技機の管理システムの動作について説明を加える。
なお、遊技機の処理は、発明の実施の形態1の場合と比べて、クレジット状態問合に対してその回答を送信するという処理が追加されている。当該処理は、例えば割り込み処理である。ホールコンピュータから信号を受けると、メイン基板200のROMに予め記憶された割り込み処理プログラムが起動される。具体的には、受けた信号の種類に応じて予め定められたプログラムが実行される。メイン基板200がクレジット状態問合を受けると当該問合に対応するプログラムが実行される。当該プログラムにより、メイン基板200のCPUは、クレジットの状態を読み込み(メイン基板200のRAMの所定アドレスに記憶されているクレジットのデータを読み込み)、読み込んだクレジットの情報をホールコンピュータへ送信する。クレジット状態問合の受信と、その回答の送信は、単純な要求(リクエスト)と応答(レスポンス)の処理であるので、その処理フローチャートは省略する。
【0081】
図16は、ホールに設置された複数の遊技機とこれらを管理するホールコンピュータの間で行われる通信の手順を示すフローチャートである。簡略化のため、遊技機が2台(遊技機A及び遊技機B)の場合を示しているのは、発明の実施の形態1の場合と同じである。
【0082】
図17は、ホールコンピュータが行う処理を示す。
【0083】
遊技者は、遊技しようとする遊技機Aの指紋読取装置BSで指紋を読み込ませる(図16の50)。当該遊技機は、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図16の51)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図16の52)。
【0084】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図16の54、図17のS20でYES)。具体的には、指紋データa1に基づき図9の指紋登録テーブルHC3を検索し、同じものが既に登録されているかどうか判定する(図17のS21)。図16の例では、遊技機Bに指紋がまだ登録されていないから、指紋登録テーブルHC3に他の指紋データはなく、図17のS22においてNO(同じものが登録されていない)と判定される。したがって、受信された指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に設けられた遊技機A用の領域に、その受信時刻とともに書き込まれる(図16の55)。
【0085】
遊技機Bの指紋読取装置BSで指紋データa1が読み取られたとする(図16の60)。遊技機Bが空台となっていて、遊技機Aの遊技者が掛け持ちで遊技しようとした場合である。遊技機Bは、読み込んだ指紋データa1をホールコンピュータへ送る(図16の61)。それから、当該遊技機は遊技可能状態に移行し、遊技者は遊技を開始する(図16の62)。
【0086】
ホールコンピュータは、受けた指紋データa1について認証を行う(図16の64、図17のS20でYES、S21)。指紋データa1は、指紋登録テーブルHC3に遊技機Aの指紋データa1として既に登録されている。したがって、図17のS22においてYES(同じものが登録されている)と判定される。
【0087】
遊技機A(当該他の遊技機)へクレジットの状態を問い合わせる(図16の64d、図17のS26b)。これを受けて、メイン基板200はクレジットの有無及びクレジットがあるときはその数値を読み出して、その結果をホールコンピュータへ送信する(図16の64e)。この回答には、クレジットの有無の情報及びクレジットの数が含まれる。ゼロをクレジット無しとして、0以上の整数値を送るようにすればクレジットの有無の情報は省略することができる。なお、クレジット状態を回答した後であって、空台報知命令を受けたときに、クレジット減算指示装置7の指示を受けて遊技機Aのメイン基板200はクレジットをクリアし、クレジットが無い状態にする。
【0088】
図16の64eではクレジットが有る(クレジット数≠0)旨の回答がなされたとする。すると、図17のS28でYESとなり、遊技機B(図17のS20の指紋データの送信元の遊技機)へクレジット状態転送命令が送信される(図16の69)。クレジット転送命令を受けると遊技機Bのクレジット加算指示装置6はメイン基板200に対してクレジット加算を指示する。クレジット状態転送命令は、少なくとも、クレジットを加算する命令と加算すべきクレジット数を含む。そこで、ホールコンピュータはクレジットを加算する命令とともに、遊技機Aから受けたクレジットの状態(クレジットの数)を送信する(図17のS29b)。
【0089】
そして、発明の実施の形態1と同じ処理がなされる。すなわち、登録されている指紋データを削除し(図16の76、図17のS23)、ホールコンピュータから削除した指紋データに係る遊技機(遊技機A)へ空台報知命令を送信する(図16の77、図17のS24)。空台報知命令は、遊技機Aに対する遊技受付停止及び空台報知の命令と、クレジットを減算する命令と減算すべきクレジット数を含む。減算すべきクレジット数は、例えば、上述の加算すべきクレジット数と同じである。掛け持ち遊技にペナルティを課すときは、減算すべきクレジット数を加算すべきクレジット数より大きくしてもよい。
【0090】
そして、ホールコンピュータは遊技機Bから受信した指紋データa1を上書きする(図16の78、図17のS25)。遊技機Aで空台報知命令を受けると、遊技機Aは遊技不能状態になる(図16の79)。そして、空台であること、及び遊技開始には指紋登録が必要である旨を報知する(図16の80)。この際、クレジット減算指示装置7によりクレジットの減算が行われる。
【0091】
なお、クレジットの減算は、ホールコンピュータがクレジット状態転送命令を出す(図16の69)タイミングで行ってもよい。例えば、ホールコンピュータは、クレジット状態転送命令の送信と同時に、遊技機Aへクレジット減算命令(図示せず)の送信を行うようにする。遊技機Aにおいて、クレジット減算指示装置7がクレジット減算命令を受けると、クレジット減算指示装置7はメイン基板200へクレジット減算指示を送る。これを受けて、メイン基板200はRAMに記憶されているクレジットを減算する。
【0092】
クレジットの減算に代えて、クレジットをクリアしてもよい。クリアとは、記憶されているクレジットの数によらず、それをゼロにすることである。転送したクレジット数が遊技機Aで記憶していた全部のクレジットに足らないときでも、遊技機Aのクレジットをクリアすることでペナルティを課すことができる。
【0093】
発明の実施の形態3によれば、先に指紋が登録されていた遊技機のクレジットを、新しく指紋が読み取られた遊技機へ転送しつつ、先の遊技機を空台にするので、遊技者に特段の不利益を与えることなく、掛け持ち遊技を防止することができる。
【0094】
発明の実施の形態1〜3において、掛け持ち遊技によって遊技不能となった遊技機については、何らかの特別な解除操作(例えば、店員が前扉を開けて内部に設けられたリセットスイッチを押下するなどの操作)を行うまでは、他の遊技者が指紋認証をしても遊技不能のままとしておいてもよい。例えば、図5などにおいて、遊技機Aで空台報知命令を受けると、遊技機Aは遊技不能状態になるが(同図の79)、遊技機Aのその状態を維持する。空台であること、及び遊技開始には指紋登録が必要である旨を報知する(同図の80)ことに代えて、「現在遊技できません。店員を呼んでください」といった遊技不能のメッセージを報知するようにしてもよい。
【0095】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】発明の実施の形態に係る前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】発明の実施の形態に係る前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】発明の実施の形態1に係るスロットマシンの機能ブロック図である。
【図4】発明の実施の形態1に係るホールコンピュータの機能ブロック図である。
【図5】発明の実施の形態1に係る遊技機の管理システムの処理フローチャートである。
【図6】発明の実施の形態1に係る遊技機の処理フローチャートである(電源投入時)。
【図7】発明の実施の形態1に係る遊技機の処理フローチャートである(空台報知命令受信時)。
【図8】発明の実施の形態1に係るホールコンピュータの処理フローチャートである。
【図9】発明の実施の形態に係る指紋登録テーブルの内容の説明図である。
【図10】発明の実施の形態2に係るホールコンピュータの機能ブロック図である。
【図11】発明の実施の形態2に係る遊技機の管理システムの処理フローチャートである。
【図12】発明の実施の形態2に係るホールコンピュータの処理フローチャートである。
【図13】発明の実施の形態2の変形例に係る遊技機の管理システムの処理フローチャートである。
【図14】発明の実施の形態2の変形例に係るホールコンピュータの処理フローチャートである。
【図15】発明の実施の形態3に係るホールコンピュータの機能ブロック図である。
【図16】発明の実施の形態3に係る遊技機の管理システムの処理フローチャートである。
【図17】発明の実施の形態3に係るホールコンピュータの処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1 送信装置
2 ホッパ装置
3 遊技可能/不能設定装置
4 受信装置
5 空台報知指示装置
6 クレジット加算指示装置
7 クレジット減算指示装置
200 メイン基板
201 サブ基板
BS 指紋読取装置(バイオメトリクスセンサ)
HC ホールコンピュータ
HC1 送受信部
HC2 指紋データ処理部(生体認証情報処理部)
HC3 指紋登録テーブル(生体認証情報登録テーブル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号に基づく抽選処理、及び、前記抽選処理の結果に基づく当選判定処理を含む遊技処理を実行するメイン基板と、前記当選判定処理の結果に基づき演出表示を行うサブ基板と、指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を読み取るバイオメトリクスセンサと、外部へ前記生体認証情報を含む情報を送信する送信装置と、外部から命令を受ける受信装置と、前記バイオメトリクスセンサの出力又は前記受信装置で受けた命令に基づき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態又は前記遊技処理の実行できない状態のいずれかにする遊技可能/不能設定装置と、前記受信装置で受けた命令に基づき、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を前記サブ基板に行わせる空台報知指示装置とをそれぞれ含む複数の遊技機と、
前記遊技機の前記送信装置及び前記受信装置と通信するための送受信部と、前記遊技機から受けた前記生体認証情報の処理を行う生体認証情報処理部と、前記生体認証情報を前記遊技機に対応づけて記憶する生体認証情報登録テーブルとを含むホールコンピュータと、を備え、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態にし、前記遊技機の前記送信装置は前記ホールコンピュータへ前記生体認証情報を送信し、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記複数の遊技機のいずれか一つ(以下、この遊技機を「生体認証情報の送信元の遊技機」と記す)から受けた前記生体認証情報に基づき前記生体認証情報登録テーブルを検索し、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがないとき、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込み、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルにおいて前記複数の遊技機の他の一つ(以下、この遊技機を「先に生体認証情報が登録されていた遊技機」と記す)に対応付けられた同じ前記生体認証情報があるとき、登録されていた前記生体認証情報を削除するとともに前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むとともに、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ、前記予め定められた報知を行わせるための空台報知命令を送信し、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記空台報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にし、前記遊技機の前記空台報知指示装置は、前記サブ基板に前記予め定められた報知を行わせる、ことを特徴とする遊技機の管理システム。
【請求項2】
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがあるとき、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ遊技状態又はクレジットの状態を問い合わせ、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機から遊技中である旨の回答を受けたとき又はクレジットの残がある旨の回答を受けたとき、前記生体認証情報登録テーブルに登録されていた前記生体認証情報を削除するとともに前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むことに代えて、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対して掛け持ち遊技を警告する報知を行わせるための警告報知命令を送信し、
前記遊技機の前記遊技可能/不能設定装置は、前記警告報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にし、前記空台報知指示装置は、前記サブ基板に前記掛け持ち遊技を警告する報知を行わせる、ことを特徴とする請求項1記載の遊技機の管理システム。
【請求項3】
前記遊技機は、さらに、前記メイン基板に記憶されているクレジットを加算させるクレジット加算指示装置と、前記クレジットを減算させるクレジット減算指示装置とを含み、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記生体認証情報登録テーブルに前記生体認証情報と同じものがあるとき、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へクレジットの状態を問い合わせ、
前記ホールコンピュータの前記生体認証情報処理部は、前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機からクレジットの残がある旨の回答を受けたとき、前記回答に基づきクレジットを加算すべき旨の命令及び加算すべきクレジットの数を前記生体認証情報の送信元の遊技機へ送信するとともに、クレジットを減算すべき旨の命令及び減算すべきクレジットの数を前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ送信し、
前記遊技機の前記クレジット加算指示装置は、前記クレジットを加算すべき旨の命令及び加算すべきクレジットの数を受けたとき、前記メイン基板に記憶されているクレジットに前記加算すべきクレジットの数を加算し、
前記先に生体認証情報が登録されていた遊技機の前記クレジット減算指示装置は、前記クレジットを減算すべき旨の命令及び減算すべきクレジットの数を受けたとき、前記メイン基板に記憶されているクレジットから前記減算すべきクレジットの数を減算する、ことを特徴とする請求項1記載の遊技機の管理システム。
【請求項4】
スタートスイッチの出力に基づく抽選処理、及び、前記抽選処理の結果に基づく当選判定処理を含む遊技処理を実行するメイン基板と、前記当選処理の結果に基づき演出表示を行うサブ基板と、指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を読み取るバイオメトリクスセンサとを備える遊技機のプログラムであって、
前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できる状態にするステップと、
前記バイオメトリクスセンサから前記生体認証情報を受けたとき、外部へ前記生体認証情報を送信するステップと、
外部から予め定められた空台報知命令を受けたとき、前記メイン基板を前記遊技処理の実行できない状態にするステップと、
前記空台報知命令を受けたとき、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を行わせるステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
管理対象である遊技機と通信を行う送受信部と、前記遊技機から受けた指紋、虹彩、静脈などの生体認証情報を前記遊技機に対応づけて記憶している生体認証情報登録テーブルとを備えるホールコンピュータのプログラムであって、
前記送受信部を通じて前記遊技機から受けた前記生体認証情報に基づき前記生体認証情報登録テーブルを検索するステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報がないとき、受けた前記生体認証情報を前記遊技機に対応づけて前記生体認証情報登録テーブルに書き込むステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報があるとき、登録されていたものを前記生体認証情報登録テーブルから削除するとともに、前記生体認証情報の送信元の遊技機に対応づけて前記生体認証情報を書き込むステップと、
前記生体認証情報登録テーブルに同じ前記生体認証情報があるとき、前記送受信部を通じて、先に生体認証情報が登録されていた遊技機へ、遊技機が使用されていないことを示す予め定められた報知を行わせるための空台報知命令を送信するステップと、を前記ホールコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−153655(P2009−153655A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333879(P2007−333879)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】