説明

遊技機

【課題】大当りなどの当選に対する期待感が、ゲームの進行に合わせて段階的に高められる演出可動部を備える遊技機を提供する。
【解決手段】複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させるスロットマシン1であって、所定の動力で駆動されることで複数の異なる形態に変形する回転体82と、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象をゲーム毎に抽選する抽選手段と、を備え、回転体82は、抽選対象に対応する最終形態と、これと形態の異なる所定の途中形態とを有し、手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して動作することで、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させる遊技機に関し、特に、所定の動力で駆動されることで複数の異なる形態に変形する演出可動部を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させる遊技機が複数設置されている。
例えば、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、1ゲーム毎にスタートレバーの操作のタイミングで、所定の抽選確率にもとづいて内部抽選が行われ、内部抽選の結果、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象が決定されることで、当選内容に対応した図柄の組合せで停止表示されるように、停止ボタンの操作タイミングに基づき、各リールが停止制御されるようになっている。
【0004】
内部抽選における抽選対象には、対応するリール上の図柄の組合せの停止表示によって、遊技者に対して遊技価値が付与される抽選対象と、遊技価値が付与されない抽選対象であるハズレがある。遊技価値が付与される抽選対象は役と呼ばれ、対応するリール上の図柄の組合せの停止表示により(以下、入賞という)、所定数の遊技媒体が付与される「小役」、遊技媒体は付与されないが次回遊技において遊技媒体を投入することなく遊技可能となる「再遊技役」、所定の小役に高確率で連続して当選することで大量の遊技媒体が獲得可能な特別な遊技状態であるボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」(大当り)などがある。
【0005】
スロットマシンの通常遊技状態(例えば、遊技場開店時におけるスロットマシン電源投入後の状態など)では、これらの抽選対象の抽選される抽選確率は、ハズレが頻出するとともに、小役、再遊技役などが時折発生し、ボーナス役が稀に発生するように設定されている。従って、スロットマシンの遊技状態のうちの大半は、当選確率の低いボーナス役とこれに比べて当選確率の高いハズレ、小役、及び再遊技役を抽選対象とする通常遊技状態が占めることになり、遊技者は、このような通常遊技状態において、ボーナス役の当選を期待しながら遊技資金を投入してスロットマシン遊技を進行させている。
【0006】
近年、遊技の興趣を高めるために、当選対象(特に、ボーナス役)に関連した視覚的な演出を行うスロットマシンが増えている。この種の演出を行う演出装置としては、液晶パネルなどの表示デバイスを備えた演出表示部や、所定の動力で機械的に動作する可動体を備えた演出可動部が知られており、例えば、特許文献1に示されるスロットマシンには、外周に演出用の図柄が付された回転体と、回転体の図柄を透視するための窓を開閉するシャッタとを備えた演出可動部が設けられている。このような演出可動部によれば、機械的に動作する可動体で立体的な演出を行うことができるので、平面的な画像表示しかできない液晶パネルなどの演出表示部に比べ、高い演出効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−113965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、演出可動部を備える従来のスロットマシンでは、演出可動部において、当選対象に対する期待感を高めるような演出が行われているものの、可動体は予め決められた動作を行うに過ぎないので、当選対象を示す可動体の最終形態だけが興味の対象となる単調な演出となってしまい、当選対象に対する期待感がゲームの進行に合わせて段階的に高められるような効果的な演出を行うことは困難であった。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、演出可動部の演出効果を高めることができるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させる遊技機であって、所定の動力で駆動されることで複数の異なる形態に変形する演出可動部と、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象をゲーム毎に抽選する抽選手段と、を備え、前記演出可動部は、前記抽選対象に対応する最終形態と、これと形態の異なる所定の途中形態とを有し、前記手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して動作することで、前記途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形する構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスロットマシンによれば、演出可動部は、少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して動作し、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形するので、大当りなどの当選に対する期待感が、ゲームの進行に合わせて段階的に高められることになり、その結果、当選内容を示す可動体の最終形態だけが興味の対象となるような単調な演出に比べ、演出可動部の演出効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部から演出制御部に送られる信号の種類及びその受信タイミングを示す説明図である。
【図5】(a)は、第一実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部正面図、(c)は、ボーナス役当選時の最終形態を示す要部正面図である。
【図6】第一実施形態に係る演出可動部の動作例を示す説明図である。
【図7】(a)は、各入賞役の図柄の組合せを示す説明図、(b)は、各抽選対象の入賞役を示す説明図である。
【図8】(a)は、抽選対象1に当選した際に用いる演出データの説明図、(b)は、抽選対象10に当選した際に用いる演出データの説明図、(c)は、抽選対象7に当選した際に用いる演出データの説明図である。
【図9】演出制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】停止ボタン演出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】(a)は、第二実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部側面図、(c)は、ボーナス役当選時の最終形態を示す要部側面図である。
【図12】(a)は、第三実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部正面図、(c)は、ボーナス役当選時の最終形態を示す要部正面図である。
【図13】(a)〜(d)は、第四実施形態に係る演出可動部の回転体を示す平面図、正面図、斜視図及び展開図である。
【図14】第四実施形態で用いる演出データの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0014】
[スロットマシン本体]
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略正面図、図2は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図、図3は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41c(可変表示部)を回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0016】
スロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部(抽選手段)10、制御部10からの指令により、演出可動部8、スピーカ9、LED等のランプを制御する演出制御部20、及び必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0017】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0018】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに掛けるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。また、前扉1a下部には、効果音等が出力されるスピーカ9が設けられている。
【0019】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0020】
スロットマシン1では、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、制御部10が、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技が進行する。
【0021】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その検出信号が制御部10に入力される。制御部10は、この検出信号の入力数からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0022】
さらに、制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス役、小役、再遊技役、ハズレの複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0023】
また、制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0024】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、制御部10が遊技状態に応じた所定の制御信号を演出制御部20に出力することで、演出制御部20が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、演出可動部8、スピーカ9及びLED等のランプを駆動して、所定の演出を行う。
【0025】
図4は、制御部から演出制御部に送られる信号の種類及びその受信タイミングを示す説明図である。
この図に示すように、制御部10から演出制御部20に送られる信号としては、ベット操作信号、当選対象信号、第一停止操作信号、第二停止操作信号、第三停止操作信号などがある。
【0026】
ベット操作信号は、ベットボタン2aの操作時に制御部10から演出制御部20に送信される。
当選対象信号は、内部抽選の抽選結果である当選対象を示す信号であり、スタートレバー3の操作時に制御部10から演出制御部20に送信される。
第一停止操作信号は、最初に操作した停止ボタン5a,5b,5cの操作時に制御部10から演出制御部20に送信される。
第二停止操作信号は、二番目に操作した停止ボタン5a,5b,5cの操作時に制御部10から演出制御部20に送信される。
第三停止操作信号は、三番目に操作した停止ボタン5a,5b,5cの操作時に制御部10から演出制御部20に送信される。
【0027】
[演出可動部]
次に、本実施形態の演出可動部8及びその動作例について、図5及び図6を参照して説明する。
図5の(a)は、第一実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部正面図、(c)は、ボーナス役当選時の最終形態を示す要部正面図である。
これらの図に示す本実施形態の演出可動部8は、前扉1aの上部に設けられており、窓81を介して遊技者から目視可能な平板状の回転体(役物)82を備えている。回転体82は、上下方向に突出する回転軸82aを介して回転自在に支持されており、ギヤ82b、83aを介して機械的に連結されるモータ83の動力で回転するとともに、位置センサSによって回転位置が検出されるようになっている。また、初期形態で正面となる回転体82の表面82cには、内部抽選の抽選結果を示すような文字や図柄は描かれていないが、回転体82の裏面82dには、内部抽選におけるボーナス役の当選を意味する「ボーナス確定」という文字が描かれている。
【0028】
図6は、第一実施形態に係る演出可動部の動作例を示す説明図である。
本実施形態の演出可動部8では、回転体82の回転制御にもとづいて視覚的な演出を行うにあたり、回転体82の表面82cが正面を向く初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態を兼ねる)と、「ボーナス確定」という文字が描かれた裏面82dが正面を向くボーナス役当選時の最終形態(回転角180゜)と、これらとは形態の異なる所定の途中形態(例えば、回転角90゜、135゜)とを予め規定するとともに、ゲームの進行手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して回転体82を動作させることで、回転体82の形態を、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形させる。これにより、ボーナス役当選に対する期待感を、ゲームの進行に合わせて段階的に高めることが可能になる。
【0029】
例えば、図6に示す動作例では、スタートレバー操作に応じて、「キュイーン」という効果音を鳴らした後、最初の停止ボタン操作に応じて、初期形態の回転体82を反時計回りに90゜回転させて第一の途中形態(回転角90゜)とし、二番目の停止ボタン操作に応じて、第一の途中形態の回転体82を反時計回りに45゜回転させて第二の途中形態(回転角135゜)とする。そして、ボーナス役に当選した場合は、三番目の停止ボタン操作に応じて、「ペカッ」という効果音を鳴らすとともに、第二の途中形態の回転体82を反時計回りに45゜回転させてボーナス役当選時の最終形態(回転角180゜)とする。一方、ボーナス役当選時以外の場合は(ハズレ当選時、小役、再遊技役に単独当選時)、三番目の停止ボタン操作に応じて、第二の途中形態の回転体82を時計回りに135゜回転させてボーナス当選時以外(ハズレ当選時、小役、再遊技役に単独当選時)の最終形態である初期形態に戻す。
【0030】
[演出制御処理]
次に、本実施形態の演出制御部20による演出可動部8の具体的な演出制御処理について、図7〜図10を参照して説明する。
図7の(a)は、各入賞役の図柄の組合せを示す説明図、(b)は、各抽選対象の入賞役を示す説明図である。
演出制御部20は、制御部10からの当選対象信号に基づき、今回のゲームの当選対象(入賞役)を特定することができる。当選対象信号は、内部抽選における抽選対象のうち、いずれの抽選対象に当選したかを示すものであって、例えば、抽選対象1の場合はビッグボーナス(BB)、抽選対象2の場合はレギュラーボーナス(RB)、抽選対象3の場合は小役1、抽選対象4の場合は小役2、抽選対象5の場合は小役3、抽選対象6の場合は再遊技の当選を特定でき、抽選対象7の場合はハズレであることを特定することができる。
【0031】
また、本実施形態の抽選対象には、大当りであるビッグボーナスやレギュラーボーナスと、小当りである小役1〜3や再遊技が同時に当る同時当りが含まれている。例えば、抽選対象8の場合はビッグボーナスと小役1、抽選対象9の場合はビッグボーナスと小役2、抽選対象10の場合はビッグボーナスと小役3、抽選対象11の場合はビッグボーナスと再遊技、抽選対象12の場合はレギュラーボーナスと小役1、抽選対象13の場合はレギュラーボーナスと小役2、抽選対象14の場合はレギュラーボーナスと小役3、抽選対象15の場合はレギュラーボーナスと再遊技の同時当りを特定することができる。そして、本実施形態では、同時当りの場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスの図柄の組合せではなく、優先的に小役1〜3や再遊技の図柄の組合せとなるようにリール41a,41b,41cの回転が制御されるようになっている。
【0032】
図8の(a)は、抽選対象1に当選した際に用いる演出データの説明図、(b)は、抽選対象10に当選した際に用いる演出データの説明図、(c)は、抽選対象7に当選した際に用いる演出データの説明図である。
演出制御部20は、今回のゲームで当選した当選対象に基づいて演出制御を行うにあたり、各抽選対象毎に複数の演出パターンが規定された演出データ(演出テーブル)を備えるとともに、制御部10からの当選対象信号に基づいて今回当選した当選対象を特定した際に、今回の演出制御に用いる演出パターンを抽選により選択し、該選択した演出パターンに従って演出可動部8の制御を実行するようになっている。
【0033】
例えば、抽選対象1(ビッグボーナス)や抽選対象10(ビッグボーナス+小役3)に当選し、抽選番号1の演出パターンが選択された場合、前述した図6に示す演出を実行する。また、抽選対象7(ハズレ)に当選し、抽選番号1の演出パターンが選択された場合、三番目の停止ボタン操作があるまでは図6と同じ演出を実行し、三番目の停止ボタン操作に応じて、回転体82を初期形態に戻す制御を行う。
このように、当選対象がボーナスのときに、初期形態から最終形態までの変形を伴う一連の連続回転動作を介してボーナスに対応する最終形態に変形し、当選対象がボーナス以外のときに、連続回転動作を途中まで行ってから、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態(初期形態)に変形するので、当選対象がボーナス以外のハズレや小役であっても、遊技者にボーナスの期待感を持たせることができる。
また、抽選対象10のように、抽選対象にビッグボーナスと、小役3とに同時に当選する同時当りとを含み、今回ゲームの当選対象が同時当りであって、リール41a,41b,41cが小役3に対応する図柄の組合せ(チェリー・ANY・ANY)を表示するときにおいて、演出可動部8は、ビッグボーナスに対応する最終形態(回転角180゜「ボーナス確定」)に変形するので、小役3の当選と思い込んでいる遊技者に対し、意外性のある大当り告知を行うことができる。
【0034】
演出可動部8による演出方法としては、回転体82を回転させるだけでなく、回転体82を振動させてもよい。例えば、図8に示す各抽選対象の演出データでは、抽選番号4〜6に規定される演出パターンにおいて、スタートレバー操作時に回転体82を振動させる演出が含まれている。このような回転体82を振動させる演出は、短時間の周期でモータ83の正逆転を繰り返し切り換える制御により容易に実現することができる。
【0035】
また、各抽選対象の演出データには、回転体82が途中形態を介さずに最終形態に変形する演出パターンを含んでもよい。例えば、抽選対象1や抽選対象10の抽選番号8に規定される演出パターンのように、三番目の停止ボタン操作が行われるまで回転体82を初期形態のまま回転させず、三番目の停止ボタン操作に応じて、回転体82をボーナス確定を示す最終形態まで一気に回転させる。このようにすると、回転体82が途中形態を介して最終形態に変形する演出パターンと、途中形態を介さずに最終形態に変形する演出パターンが混在することにより、後者の演出に意外性を感じさせることができる。
【0036】
また、図8には例示していないが、三番目の停止ボタン操作時にハズレと見せかけ、その後にボーナス確定を告知するように演出可動部8を制御することもできる。例えば、抽選対象1(ビッグボーナス)や抽選対象10(ビッグボーナス+小役3)に当選した場合において、三番目の停止ボタン操作があるまでは図6と同じ演出を実行し、最後の操作である三番目の停止ボタン操作に応じて、回転体82を初期形態に戻すと見せかけ、初期形態を通り越して(このとき一旦初期形態で停止させてもよい)ボーナス役当選を示す最終形態まで回転(時計回りに315°回転)させることもできる。このような演出は、演出可動部8を、一回転の回転動作により形態が元に戻る回転体82としたため、容易に実現できる。
このように一旦ハズレと見せかけ、その後に大当りを告知することで、遊技者に最後まで回転体82を注視させることができ、遊技性が向上する。
なお、一旦ハズレと見せかけてボーナス確定を告知する演出は、上記のように1ゲーム内で完結させることなく、複数のゲームに跨って実行してもよい。例えば、三番目の停止ボタン操作に応じて、回転体82を初期形態に戻した後、次回のゲームのベットボタン操作に応じて、回転体82をボーナス役当選を示す最終形態まで回転させる。
以下、演出制御部20が行う演出制御処理の具体的な処理手順について説明する。
【0037】
図9は、演出制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
この図に示すように、演出制御部20が行う演出制御処理では、まず、制御部10から何らかの信号を受信したか否かを判断する(S11)。ここで、制御部10から信号を受信したと判断した場合は、スタートレバー操作時に制御部10から送信される当選対象信号であるか否かを判断する(S12)。
【0038】
このステップS12において、受信信号が当選対象信号であると判断した場合は(S12−Yes)、当選対象となった抽選対象に対応する演出データの抽選番号を抽選により取得し(S13)、抽選番号に対応する演出データ(演出パターン)を所定の記憶領域に格納する(S14)。そして、格納した演出データが演出有りの演出パターンであるか否かを判断し(S15)、演出有りの演出パターンであると判断した場合は(S15−Yes)、格納した演出データによって規定されるスタートレバー操作時の演出動作を実行する(S16)。
【0039】
一方、ステップS12において、受信信号が当選対象信号ではないと判断した場合は(S12−No)、受信信号が停止ボタン操作信号であるか否かを判断する(S17)。そして、受信信号が停止ボタン操作信号であると判断した場合は(S17−Yes)、図10に示す停止ボタン演出処理を実行し(S18)、停止ボタン操作信号ではないと判断した場合は(S17−No)、その他の演出処理を実行する(S19)。
【0040】
図10は、停止ボタン演出処理の処理手順を示すフローチャートである。
この図に示すように、停止ボタン演出処理では、まず、受信信号が第一停止ボタン操作信号であるか否かを判断する(S21)。ここで、受信信号が第一停止ボタン操作信号であると判断した場合は(S21−Yes)、格納した演出データによって規定される最初の停止ボタン操作時の演出を実行する(S22)。
【0041】
一方、ステップS21において、受信信号が第一停止ボタン操作信号ではないと判断した場合は(S21−No)、受信信号が第二停止ボタン操作信号であるか否かを判断する(S23)。ここで、受信信号が第二停止ボタン操作信号であると判断した場合は(S23−Yes)、格納した演出データによって規定される二番目の停止ボタン操作時の演出を実行する(S24)。
【0042】
また、ステップS23の判断において、受信信号が第二停止ボタン操作信号ではないと判断した場合は(S23−No)、格納した演出データによって規定される三番目の停止ボタン操作時の演出を実行する(S25)。
【0043】
以上のように構成された本実施形態によれば、複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させるスロットマシン1であって、所定の動力で駆動されることで複数の異なる形態に変形する演出可動部8と、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象をゲーム毎に抽選する抽選手段(制御部10)と、を備え、演出可動部8は、抽選対象に対応する最終形態と、これと形態の異なる所定の途中形態とを有し、前記手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して動作することで、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形するので、大当りなどの当選に対する期待感が、ゲームの進行に合わせて段階的に高められることになり、その結果、当選内容を示す可動体の最終形態だけが興味の対象となるような単調な演出に比べ、演出可動部8の演出効果を高めることができる。
【0044】
[演出可動部の変形例]
次に、演出可動部8の変形例について、図11〜図14を参照して説明する。
図11の(a)は、第二実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部側面図、(c)は、ボーナス当選時の最終形態を示す要部側面図である。
これらの図に示すように、第二実施形態に係る演出可動部8Bは、二枚の平板部材を有し、一方の平板部材は、演出可動部8Bの水平面上に固定状態で設けられる固定体84aを構成し、他方の平板部材は、ヒンジ84bを介して固定体84aの後端部に上下回動自在に連結される回動体84cを構成している。回動体84cは、図示しないモータの動力で回動するようになっており、初期形態で固定体84aの上面と重なり合う回動体84cの表面84dには、内部抽選におけるボーナスの当選を意味する「ボーナス確定」という文字が描かれている。
【0045】
そして、第二実施形態の演出可動部8Bでは、回動体84cの回動制御にもとづいて視覚的な演出を行うにあたり、回動体84cの表面84dが固定体84aの上面と重なり、「ボーナス確定」という文字が隠れた初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態を兼ねる)と、回動体84cが初期形態から上方に90°回動し、表面84dに描かれた「ボーナス確定」という文字を遊技者に示すボーナス当選時の最終形態(例えば、回転角90゜)と、これらとは形態の異なる所定の途中形態(例えば、回転角45°)とを予め規定するとともに、ゲームの進行手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して回動体84cを動作させることで、回動体84cの形態を、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形させる。
【0046】
図12の(a)は、第三実施形態に係る演出可動部を示す概略斜視図、(b)は、初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態)を示す要部正面図、(c)は、ボーナス役当選時の最終形態を示す要部正面図である。
これらの図に示すように、第三実施形態に係る演出可動部8Cは、その水平面上に直立状に固定される平板状の固定体85aと、その前側下方に左右方向移動自在に設けられる矢印形状の移動体85bとを備えている。固定体85aの正面は、遊技者から目視可能であり、その右端部には、内部抽選におけるボーナスの当選を意味する「ボーナス確定」という文字が描かれている。また、移動体85bは、図示しないモータの動力で左右方向に移動するようになっている。
【0047】
そして、本実施形態の演出可動部8Cでは、移動体85bの移動制御にもとづいて視覚的な演出を行うにあたり、移動体85bが固定体85aの左端部に位置する初期形態(ボーナス役当選時以外の最終形態を兼ねる)と、移動体85bが固定体85aの右端部まで移動し、固定体85aの右端部に描かれた「ボーナス確定」という文字を指すボーナス役当選時の最終形態と、これらとは形態の異なる所定の途中形態(例えば、移動体85bが左右中間位置に移動)とを予め規定するとともに、ゲームの進行手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して移動体85bを動作させることで、移動体85bの形態を、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形させる。
【0048】
図13の(a)〜(d)は、第四実施形態に係る演出可動部の回転体を示す平面図、正面図、斜視図及び展開図、図14は、第四実施形態で用いる演出データの説明図である。
図13に示すように、第四実施形態に係る演出可動部8Dは、外周面に5つの平面を持つ角柱形状の回転体86を有し、5つの平面には、それぞれ異なる当選対象を示す文字「ハズレ」、「ベル」、「チェリー」、「リプレイ」、「スイカ」が描かれている。回転体86は、図示しないモータの動力で回転するとともに、少なくとも上記の各平面が正面を向く形態で回転を停止させることができる。また、回転体86の内部には、図示しないランプが設けられ、該ランプの点灯により回転体86の外周面を光らせることができるようになっている。
【0049】
そして、第四実施形態の演出可動部8Dでは、回転体86の回転制御にもとづいて視覚的な演出を行うにあたり、前回以前のゲームの最終形態である初期形態と、今回のゲームの当選対象に応じて、それぞれ「ハズレ」、「ベル」、「チェリー」、「リプレイ」、「スイカ」を示す複数の最終形態と、これらとは形態の異なる所定の途中形態とを規定するとともに、ゲームの進行手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して回転体86を動作させることで、回転体86の形態を、途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形させる。
【0050】
上記のように、複数の抽選対象に対応する最終形態がそれぞれ異なる場合において、本実施形態の演出可動部8Dは、前回以前のゲームにおける前回最終形態から、今回のゲームの当選対象となった抽選対象に対応する今回最終形態に変形するときに、前回最終形態と今回最終形態との組合せに応じて予め規定される演出パターン(変形パターン)にもとづいて今回最終形態に変形するようになっている。
【0051】
つまり、第四実施形態の演出制御部20は、図14に示すように、前回最終形態と今回最終形態とのすべての組合せについて、複数の演出パターンが規定された演出データ(演出テーブル)を備えるとともに、制御部10からの当選対象信号に基づいて今回当選した当選対象を特定した際に、前回最終形態と今回最終形態との組合せにもとづいて使用する演出データ(演出テーブル)を特定した後、今回の演出制御に用いる演出パターンを抽選により選択し、該選択した演出パターンに従って演出可動部8Dの制御を実行するようになっている。
これにより、演出パターンが、前回最終形態と今回最終形態に応じて異なるため、複雑かつ多彩な演出を行うことができる。
【0052】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、演出可動部が備える可動体(役物)を回転体、回動体、移動体で構成しているが、可動体は、回転体、回動体、移動体に限らず、所定の動力でポーズ(形態)が変化するフィギュア(人形)などで構成してもよい。この場合、フィギュアの途中形態に滅多に出現しない特殊形態(特殊ポーズ)を設けることで、遊技意欲を向上させることができる。
【0054】
また、前記実施形態では、スタートレバー操作時に効果音を鳴らし、複数の停止ボタン操作に応じて演出可動部を動作させているが、ベットボタン操作やスタートレバー操作に応じて演出可動部を動作させたり、これらと停止ボタン操作との組合せに応じて演出可動部を動作させたり、さらには、演出可動部を動作させる操作手段を1ゲーム毎にランダムに変更させるようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、ボーナスや小役の告知に演出可動部を使用しているが、ボーナス中における所定の権利獲得報知(例えば、ART(アシスト・リプレイタイム)権利の獲得報知)、通常遊技時に発生するART発動高確率状態の報知などに使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、演出可動部を備えるスロットマシン(回胴式遊技機)に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
2a ベットボタン
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
5a,5b,5c 停止ボタン
8 演出可動部
10 制御部
20 演出制御部
82 回転体
83 モータ
84c 回動体
85b 移動体
86 回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作手段を所定の手順に従って操作して遊技を進行させる遊技機であって、
所定の動力で駆動されることで複数の異なる形態に変形する演出可動部と、
複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象をゲーム毎に抽選する抽選手段と、を備え、
前記演出可動部は、
前記抽選対象に対応する最終形態と、これと形態の異なる所定の途中形態とを有し、
前記手順に従った少なくとも二以上の操作手段の操作にそれぞれ連動して動作することで、前記途中形態を介して、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記抽選対象に所定の大当りを含み、
前記演出可動部は、
前記当選対象が前記大当りのときに、形態の変形を伴う一連の連続動作を介して大当りに対応する最終形態に変形し、
前記当選対象が前記大当り以外のときに、前記連続動作を途中まで行ってから、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する最終形態に変形する請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記抽選対象に所定の大当りを含み、
前記演出可動部は、
前記当選対象が前記大当りのときに、当該演出可動部の動作に係る最後の操作手段の操作に連動して大当り以外の抽選対象に対応する最終形態となった後に、前記大当りに対応する最終形態に変形する請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出可動部を、前記抽選対象に対応する前記最終形態をその停止位置で表す回転体で形成した請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記抽選対象に対応する図柄の組合せを表示する所定の可変表示部を備えるとともに、前記抽選対象に所定の大当りと、所定の小当りと、これらに同時に当選する同時当りとを含み、
今回ゲームの当選対象が前記同時当りであって、前記可変表示部が前記小当りに対応する図柄の組合せを表示するときにおいて、
前記演出可動部は、前記大当りに対応する最終形態に変形する請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記複数の抽選対象に対応する最終形態がそれぞれ異なる場合において、
前記演出可動部は、
前回以前のゲームにおける前回最終形態から、今回ゲームの当選対象となった抽選対象に対応する今回最終形態に変形するときに、前回最終形態と今回最終形態との組合せに応じた変形パターンにもとづいて今回最終形態に変形する請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−80999(P2012−80999A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228458(P2010−228458)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】