説明

遊技機

【課題】不正解錠に対する十分な防御性能の確保と、メンテナンス性の向上との両立を図ることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11と、これに対し開閉可能に支持された内枠12と、外枠11に対し内枠12を施錠する施錠装置とを備えている。施錠装置は、鍵により操作されるシリンダ錠700と、シリンダ錠700の動作に連動して、内枠12の開放を規制する係合位置と、内枠12の開放を許容する非係合位置とに摺動変位する内鉤部材とを備えている。さらに、外枠11は、係合状態となる内鉤部材を囲む受け金具及び樹脂カバーを備えている。樹脂カバーには、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で内鉤部材を操作可能な操作部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコ機等の遊技機では、メンテナンス等の観点から遊技機本体(内枠)が固定枠(外枠)に対し開閉可能に設けられている。そのため、店員以外の者が無断で遊技機本体を開放できないように、遊技機には施錠装置が設けられている。かかる施錠装置としては、専用の鍵を用いて操作されるシリンダ錠と、固定枠に設けられた複数の被係合部材に対しそれぞれ係脱可能に設けられた複数の鉤部材と、鍵によるシリンダ錠の解錠操作に応じて複数の鉤部材を連動させる摺動杆とを備えたものが知られている。そして、施錠状態では各鉤部材がそれぞれ対応する被係合部材に係合することで遊技機本体が固定枠に対し開放不能となる。他方、専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作することにより摺動杆を介して各鉤部材が被係合部材から同時に離脱し、遊技機本体が開放可能となる。
【0003】
近年、遊技ホールでは、営業中に遊技機本体を不正に解錠し、本体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換する等して、多くの遊技媒体を獲得する不正行為が行われることもある。このような不正解錠は、通常、遊技機本体と固定枠との隙間から針金等の線材を差込み、当該線材を施錠装置の鉤部材に引っ掛けて解錠方向に動かすことにより行われる。いずれか1つの鉤部材に対して不正な解錠操作が行われると、その動作が摺動杆を介して他の鉤部材に伝達され、全鉤部材が連動して被係合部材から離脱し、遊技機本体が開放可能となる。
【0004】
このような不正解錠操作を防止するため、近年では、例えば被係合部材及びこれに係合した鉤部材を囲む防護カバーを備えた遊技機も提案されている(例えば特許文献1参照)。このようにすれば、遊技機前面側から専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作しない限り、遊技機本体の開放を行うことは極めて困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−120817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技ホールにおいては、遊技機の導入時やシリンダ錠の故障時など様々な場面において、シリンダ錠自体の交換や、遊技ホールで使用する鍵に合わせたシリンダ錠のキーコード(鍵穴形状)の変更などが行われる。一般的なシリンダ錠では、例えば所定のリセットピンを押圧した状態で新たに設定したい鍵を鍵穴に挿入し回動操作するなど、所定操作を行うことで、新たに設定したい鍵に合ったキーコードとすることができる。
【0007】
ところが、シリンダ錠の故障時や鍵の紛失時などは勿論のこと、シリンダ錠の交換やキーコードの変更が適正に行われず、キーコードの設定ミスや設定し忘れ、シリンダ錠の不良などの問題を抱えたまま、遊技機本体を閉鎖した場合には、シリンダ錠を操作して遊技機本体を開放することができなくなる。
【0008】
このような不具合が発生した場合、上記防護カバーが設けられていると、従来の対処方法のように遊技機背面側から鉤部材を手で動かして被係合部材との係合状態を解除することもできないため、遊技機本体を全く開放することができない状況に陥るおそれがある。
【0009】
これに対し、特開2001−120817号公報に記載された発明(図3参照)のように防護カバーが遮蔽位置と非遮蔽位置との間で回動自在に設けられていると、不正解錠に対する防御性能が低下する。
【0010】
尚、かかる課題は、パチンコ機に限らず、扉体と固定枠とを施錠する施錠機構を備えた他の遊技機にも該当する問題である。
【0011】
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、不正解錠に対する十分な防御性能の確保と、メンテナンス性の向上との両立を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
外郭を構成する固定枠と、
前記固定枠の前面側にて開閉可能に支持された扉体と、
前記扉体に設けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備え、
前記施錠装置が、
鍵により操作される錠部材と、
少なくとも前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記固定枠に設けられた被係合部材に対し係合されて前記扉体の開放を規制する係合位置と、前記被係合部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係合位置とに変位可能な鉤部材とを備えた遊技機において、
前記被係合部材及びこれに係合される前記鉤部材を囲む遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で前記鉤部材を操作可能となる操作部を備えていることをその要旨としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遊技機によれば、不正解錠に対する十分な防御性能の確保と、メンテナンス性の向上との両立を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の斜視図である。
【図3】パチンコ機の右側面図である。
【図4】内枠及び前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
【図5】外枠の構成を示す斜視図である。
【図6】内枠及び遊技盤の構成を示す正面図である。
【図7】内枠の構成を示す背面図である。
【図8】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図9】電気的構成を示すブロック図である。
【図10】施錠装置を背面左側から見た斜視図である。
【図11】施錠装置を正面左側から見た斜視図である。
【図12】施錠装置の背面図である。
【図13】施錠装置の右側面図である。
【図14】施錠装置の左側面図である。
【図15】施錠装置の正面図である。
【図16】背面側から見た施錠装置の分解図である。
【図17】側面側から見た施錠装置の分解図である。
【図18】鍵の非挿入時におけるシリンダ錠を示す断面図である。
【図19】鍵の挿入時におけるシリンダ錠を示す断面図である。
【図20】(a)は、摺動杆が上方へ摺動した状態における施錠装置を背面左側から見た斜視図であり、(b)は、その状態における施錠装置を正面左側から見た斜視図である。
【図21】(a)は、摺動杆が下方へ摺動した状態における施錠装置を背面左側から見た斜視図であり、(b)は、その状態における施錠装置を正面左側から見た斜視図である。
【図22】受け金具に係合された内鉤部材及び内ロック部材等を示す部分拡大斜視図である。
【図23】受け金具に係合された前鉤部材及び前ロック部材等を示す部分拡大斜視図である。
【図24】内鉤部材及び内ロック部材が受け金具に係止されるとともに、前鉤部材及び前ロック部材が受け金具に係止された状態を示す部分拡大図である。
【図25】内枠の開放状態において、内鉤部材及び内ロック部材が上方に摺動した状態を示す部分拡大図である。
【図26】(a)は、内枠を解錠するに際し、内ロック部材が基準位置より変位した状態を示す部分拡大図であり、(b)は、それに続き内鉤部材及び内ロック部材が上方に摺動した状態を示す部分拡大図である。
【図27】前面枠セットの開放状態において、前鉤部材及び前ロック部材が下方に摺動した状態を示す部分拡大図である。
【図28】(a)は、前面枠セットを解錠するに際し、前ロック部材が基準位置より変位した状態を示す部分拡大図であり、(b)は、それに続き前鉤部材及び前ロック部材が下方に摺動した状態を示す部分拡大図である。
【図29】受け金具及び樹脂カバーを正面左側から見た分解斜視図である。
【図30】受け金具及び樹脂カバーを正面右側から見た分解斜視図である。
【図31】受け金具及び樹脂カバーを背面左側から見た分解斜視図であり。
【図32】受け金具及び樹脂カバーを背面右側から見た分解斜視図である。
【図33】(a)組付け状態の受け金具及び樹脂カバーを正面左側から見た斜視図であり、(b)はそれを正面右側から見た斜視図であり、(c)はそれを背面左側から見た斜視図であり、(d)はそれを背面右側から斜視図である。
【図34】(a),(b)は、工具を用いた内枠の解錠操作を説明するための部分拡大斜視図である。
【図35】(a)〜(d)は、工具を用いた内枠の解錠操作を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
【0016】
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に扉体としての内枠12が開閉可能に支持されている。
【0017】
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。図5は外枠11の全体を示す斜視図である。本実施形態における外枠11は、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
【0018】
左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、原料となるアルミニウム合金を高温・高圧下のもと所定断面形状で押出形成し、この押出成形材を所定寸法に切断し、切削加工等によりネジ止め用のネジ孔など細かい箇所を加工して得られる。従って、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、それぞれ長手方向に略一様な断面形状となっている。
【0019】
また、左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。
【0020】
また、右辺枠構成部11dの内側には、後述する施錠装置600の内鉤部材613,614に対応して、上下一対の受け金具83が取付けられている。そして、内枠12の閉時においては、各受け金具83に対して内鉤部材613,614が係止されることにより、内枠12の開放が規制される(図22等参照)。
【0021】
なお、本実施形態では、上記ヒンジ81,82や受け金具83として、アルミニウム合金製の外枠11本体よりも剛性の高いステンレス合金等の鋼鉄製のものが採用されている。
【0022】
さらに、外枠11の下辺枠構成部11bには、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。また、外枠11の右辺枠構成部11dの内側面前側には複数のリブ89が形成されている。これらリブ88,89により、外枠11と内枠12の隙間からの線材等の進入を防止している。加えて、右辺枠構成部11dには、その後端部から外枠11内側へ向け突出した延出壁部90が形成されている。これにより、外枠11裏側から受け金具83への線材等の進入を防止している。
【0023】
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
【0024】
また、内枠12の前面側には、前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
【0025】
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
【0026】
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
【0027】
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
【0028】
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
【0029】
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
【0030】
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
【0031】
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
【0032】
また、前面枠セット14の右側部背面側には、後述する施錠装置600の前鉤部材616,617,618に対応して、3つの受け金具91,92,93が上下方向に沿って設けられている(図4参照)。そして、前面枠セット14の閉時においては、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係止されることにより、前面枠セット14の開放が規制される(図23等参照)。
【0033】
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0034】
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
【0035】
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0036】
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
【0037】
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
【0038】
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
【0039】
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
【0040】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
【0041】
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
【0042】
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
【0043】
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
【0044】
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0045】
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
【0046】
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
【0047】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0048】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
【0049】
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
【0050】
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
【0051】
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
【0052】
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
【0053】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0054】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
【0055】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0056】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
【0057】
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
【0058】
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
【0059】
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
【0060】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0061】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0062】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
【0063】
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0064】
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
【0065】
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
【0066】
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0067】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0068】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0069】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0070】
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0071】
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
【0072】
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0073】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
【0074】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0075】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0076】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0077】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0078】
次に、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構について説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。これら両施錠機構は単一の施錠装置600(図3等参照)によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。
【0079】
施錠装置600について図10乃至図17を参照して詳しく説明する。ここで、図10は、施錠装置600を背面左側から見た斜視図であり、図11は、施錠装置600を正面左側から見た斜視図である。但し、図10,11では、便宜上、施錠装置600に関連する外枠11、内枠12及び前面枠セット14の関連部分も併せて模式的に図示している。また、図12は、施錠装置600の背面図であり、図13は右側面図、図14は左側面図、図15は正面図である。但し、図12〜15では便宜上、後述するカムカバー740を省略している。図16は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図17は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。
【0080】
施錠装置600は、内枠12の背面側左側辺部に沿って取付けられている(図7参照)。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603とを備えており、これらが一体となって横断面略L字状をなしている。
【0081】
但し、取付板602の内枠12外方側縁部には、後方へ突出したフランジ部602aが略全長にわたって設けられ、支持板603の後縁部には、内枠12外方側へ突出したフランジ部603aが複数箇所に設けられている。これらフランジ部602a,603aは、後述する摺動杆610や各種鉤部材等の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えるとともに、基枠601内側への線材等の侵入を防ぎ、摺動杆610や各種鉤部材等に対する不正な解錠操作を防ぐ機能などを備えている。
【0082】
取付板602には、内枠12への取付固定用に複数の取付孔604が穿設されるとともに、後述する前鉤部材616,617,618の挿通用に上下方向3箇所に略矩形状の鉤挿通孔605,606,607が形成されている。さらに、各鉤挿通孔605,606,607の上方位置には、それぞれ後述する前ロック部材619,620,621が挿通されるロック挿通孔667,668,669が形成されている。
【0083】
一方、内枠12のうち、鉤挿通孔605,606,607に対応する部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、これら連通孔97,98,99を介して、前鉤部材616,617,618が内枠12前面側に突出している。また、各連通孔97,98,99からは、前鉤部材616,617,618とともに、前ロック部材619,620,621も突出している。
【0084】
さて、基枠601の内側には、摺動部材としての長尺状の摺動杆610、内枠12施錠用の上下一対の内鉤部材613,614、各内鉤部材613,614に対応して設けられた内ロック部材615,623、前面枠セット14施錠用の3つの前鉤部材616,617,618、各前鉤部材616,617,618に対応して設けられた前ロック部材619,620,621などが配設されている。なお、施錠装置600を構成する基枠601、摺動杆610、内鉤部材613,614、内ロック部材615,623、前鉤部材616,617,618、前ロック部材619,620,621などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。内鉤部材613,614が本実施形態における鉤部材に相当し、内ロック部材615,623がロック部材に相当する。
【0085】
摺動杆610は、支持板603に沿って配設されており、上下方向に摺動可能となっている。
【0086】
また、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602bとなっており、支持板603では、前記幅広部602bに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603bとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。また、摺動杆610も同様に、支持板603の膨出部603bに対応する部位が膨出している。但し、この摺動杆610の膨出部610aの形成区間は、支持板603の膨出部603bの形成区間よりも短く設定されており、摺動杆610の摺動の妨げとならないようになっている。
【0087】
ここで、まず内枠12の施錠機構に関連する部分について詳しく説明する。内枠12の施錠機構を構成する内鉤部材613,614は、摺動杆610の内枠12外方側(図10左手前側)に重畳するように配設されている。但し、内鉤部材613,614と、摺動杆610との間には、後述の内ロック部材615,623が介在している。
【0088】
内鉤部材613,614は、主として摺動杆610と重畳する縦長の基部613a,614aと、当該基部613a,614aの上部から後方へ延びる突出部613b,614bと、当該突出部613b,614bの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部613c,614cとから構成されている。頭部613c,614cの下端部は、突出部613b,614bより下方に突出しており、当該突出部分が後述するように係止部として機能する。
【0089】
内鉤部材613,614に対応して、摺動杆610及び支持板603の上部及び下部には、それぞれ内ガイド孔625,626及び外ガイド孔627,628が形成されている。各ガイド孔625〜628は上下方向に長い長円状をなす。そして、これら摺動杆610の内ガイド孔625,626及び支持板603の外ガイド孔627,628に対し、支持板603の外側(内枠12内方側)から差し込まれたガイドピン631,632が、後述する内ロック部材615,623のガイド孔615e,623eを介して、内鉤部材613,614(基部613a,614aの上部)に固定されている。これにより、内鉤部材613,614は、基枠601(支持板603)及び摺動杆610に対して、上下に相対変位可能に係合されるとともに、摺動杆610の摺動に連動して摺動可能となる。
【0090】
なお、上述した支持板603側の複数のフランジ部603aのうち、内鉤部材613,614に対応する位置に設けられたものには、当該内鉤部材613,614に対応する位置に溝部(凹部)603cが形成されている。そして、内鉤部材613,614のうち、突出部613b,614b及び頭部613c,614cのみがこの溝部603cを介して支持板603より後方へ突出し、基部613a,614aは、取付板602とフランジ部603aとの間に収まった状態となっている。
【0091】
上記構成により、内鉤部材613,614は、ガイドピン631,632により左右方向への動きを規制され、かつ、取付板602やフランジ部603aにより前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
【0092】
次に内鉤部材613,614に対応して設けられた内ロック部材615,623について詳しく説明する。内ロック部材615,623は、内枠12の施錠時において、不正な解錠操作による内鉤部材613,614の摺動変位を規制し、当該内鉤部材613,614を係止位置に維持することによって、内枠12の不正な開放を防止するためのものである。
【0093】
内ロック部材615,623は、縦長の縦片部615a,623aと、当該縦片部615a,623aの上端部近傍から後方に向け延出した上片部615b,623bと、縦片部615a,623aの下端部から後方に向け延出した下片部615c,623cとを備えており、全体としては後方に向け凹となる側面視略コ字状に形成されている。
【0094】
内ロック部材615,623は、内鉤部材613,614の内枠12内方側に重畳するように配設されている。つまり、内鉤部材613,614と、摺動杆610との間に、内ロック部材615,623が配設されている。
【0095】
内ロック部材615,623には、上片部615b,623bにおいて軸孔615d,623dが設けられるとともに、縦片部615a,623aにおいてガイド孔615e,623eが形成されている。ガイド孔615e,623eは、軸孔615d,623dを中心にとって略円弧状に形成されている。
【0096】
また、内鉤部材613,614の突出部613b,614bと頭部613c,614cとの境界部近傍には、挿通孔613e,614eが形成されている。そして、内枠12外方側から挿通孔613e,614eに対しそれぞれ差し込まれたガイドピン633,634が、内ロック部材615,623の軸孔615d,623dに固定されている。
【0097】
さらに、上述したように、上記ガイドピン631,632が、内ロック部材615,623のガイド孔615e,623eを介して、内鉤部材613,614(基部613a,614aの上部)に固定されている。これにより、内ロック部材615,623は、内鉤部材613,614に対し、軸孔615d,623d(ガイドピン633,634)を中心として回動変位可能に軸支されるとともに、内鉤部材613,614が上下方向に摺動する場合には、これに連動して上下方向に摺動することとなる。
【0098】
また、内ロック部材615,623に対応して、支持板603側のフランジ部603aには、内鉤部材613,614用の溝部603cの下方位置において、ロック挿通孔603dが形成されている。そして、このロック挿通孔603dを介して、内ロック部材615,623の下片部615c,623cが支持板603より後方へ突出した状態となっている。
【0099】
内ロック部材615,623の縦片部615a,623aの上端部には、取付板602側すなわち前側において、内枠12外方側へ屈曲形成されたフック部615f,623fが形成されている。そして、このフック部615f,623fに付勢部材(維持手段及び付勢手段)としてのコイルばねC1,C2の一端が掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部635,636に掛けられている。コイルばねC1,C2の引張力により、通常時には、内ロック部材615,623の上部前端側が下方かつ前方へ引っ張られ、内ロック部材615,623自身はもちろんのこと、これとともに上記ガイドピン631〜634やフック部615f,623f等を介して内鉤部材613,614が下方へ付勢されている。つまり、鉤部材613,614は、通常時、ガイドピン631,632が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に当接した状態で保持される。また、この状態において、内ロック部材615,623は、ガイド孔615e,623eの上縁部がガイドピン631,632に当接した状態となり、図24に示すような基準姿勢をとる。
【0100】
また、内ロック部材615,623の縦片部615a,623aの前縁部には、フック部615f,623fよりも下方位置において、前方へ突出した突起部615g,623gが形成さている。これに対応して、摺動杆610の前縁部には内枠12外方側へ屈曲形成された前作用片610b,610cが形成されている。そして、摺動杆610の前作用片610b,610cが、内ロック部材615,623の突起部615g,623gと接触可能となっている。さらに、これら突起部615g,623gと前作用片610b,610cとの形成位置に対応して、内鉤部材613,614の基部613a,614aの前縁部には、切欠き凹部613d,614dが形成されている。これにより、突起部615g,623gの動作が妨げられないようになっている。
【0101】
また、内鉤部材613,614の基部613a,614aの上端部には、内枠12外方側へ屈曲形成されたガード部613f,614fが形成されている。このガード部613f,614fは、外部から内ロック部材615,623のフック部615f,623f側や突起部615g,623g側への線材等の進入を妨げ、これらに対し線材等を引っ掛けにくくするためのものである。
【0102】
なお、内鉤部材613,614の摺動範囲のうち、ガイドピン631,632が、支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に当接する位置が、内鉤部材613,614が各受け金具83に係止される位置となる。つまり、この位置が、内鉤部材613,614の係合位置(基準位置)に相当する。これに対し、ガイドピン631,632が、支持板603の外ガイド孔627,628の上縁部に当接する位置が、内鉤部材613,614が各受け金具83から離脱する位置となる。つまり、この位置が、内鉤部材613,614の非係合位置に相当する。
【0103】
ここで、受け金具83及びこれに組付けられる樹脂カバー801の構成について、図29〜図33を参照して詳しく説明する。受け金具83は本実施形態における第1カバー部材を構成し、樹脂カバー801は第2カバー部材を構成する。従って、受け金具83及び樹脂カバー801により本実施形態における遮蔽部材が構成される。
【0104】
ここで、図29は、受け金具83及び樹脂カバー801を正面左側から見た分解斜視図であり、図30は、正面右側から見た分解斜視図である。また、図31は、受け金具83及び樹脂カバー801を背面左側から見た分解斜視図であり、図32は、背面右側から見た分解斜視図である。図33は、組付け状態の受け金具83及び樹脂カバー801を示すものであり、(a)はそれを正面左側から見た斜視図であり、(b)は正面右側から見た斜視図であり、(c)は背面左側から見た斜視図であり、(d)は背面右側から斜視図である。
【0105】
受け金具83は、金属板を折り曲げ形成することにより、全体として後方が開口した略箱状に形成されている。受け金具83は、上下・左右方向に沿って配設される略平板状の前壁部83aと、当該前壁部83aの上下左右の縁部からそれぞれ後方向へ延出した上壁部83b、下壁部83c、左壁部83d及び右壁部83eとを備えている。これら上下左右の壁部83b〜83eにより本実施形態における周壁部が構成される。
【0106】
さらに、上壁部83bの右端縁部には、当該縁部から上方へ延出したフランジ状の取付部83fが形成されている。同様に、下壁部83cの右端縁部には、当該縁部から下方へ延出したフランジ状の取付部83gが形成されている。各取付部83f,83gには、ネジ孔83hが形成されている。そして、受け金具83は、外枠11の右辺枠構成部11dの内壁面に各取付部83f,83gを当接させた状態で、ネジ孔83hに対し外枠11の右辺枠構成部11dの外側からネジ799が螺着されることにより固定される(図5参照)。
【0107】
左壁部83d及び右壁部83eの前後方向の延出長は、上壁部83b及び下壁部83cの半分程度となっている。
【0108】
また、前壁部83aには、内鉤部材613,614が進入する鉤孔部83jを有している。内鉤部材613,614は、鉤孔部83jを介して受け金具83内に進入した状態で、当該前壁部83aの裏側にて係止される。
【0109】
さらに、前壁部83aには、鉤孔部83jの下方位置にてロック孔部83pが形成されている。そして、内鉤部材613,614が受け金具83に係合した状態では、内ロック部材615,623の下片部615c,623cがロック孔部83pに挿入された状態となる(図22等参照)。また、ロック孔部83pの下辺部には、前方へ突出形成されたガード部83qが形成されている。このガード部83qは、内ロック部材615,623の下片部615c,623cに対し線材等を引っ掛けにくくするためのものである。
【0110】
内鉤部材613,614が各受け金具83に係合された状態では、内鉤部材613,614の頭部613c,614cや内ロック部材615,623の下片部615c,623cの先端部の周囲が、受け金具83の各壁部83a〜83eによって囲まれた状態となる。従って、受け金具83は、被係合部材としての機能と、被覆部材(第1カバー部材)としての機能を併せ持つこととなる。これにより、受け金具83に係止される内鉤部材613,614や内ロック部材615,623に対し、線材等を引っ掛けにくくなるため、不正解錠に対する防御性能の向上を図ることができる。
【0111】
その効果を高めるために、本実施形態では、さらに受け金具83の後側の開口部を覆う樹脂カバー801を備えている。
【0112】
樹脂カバー801は、例えばポリカーボネート等の硬質樹脂材料により一体形成されており、全体として前方が開口した略箱状に形成されている。
【0113】
樹脂カバー801は、受け金具83の前壁部83aに相対向する後壁部801aと、当該後壁部801aの上下左右の縁部からそれぞれ前方向へ延出した上壁部801b、下壁部801c、左壁部801d及び右壁部801eと備えている。そして、受け金具83への組付け状態においては、上下左右の壁部801b〜801eが受け金具83の上下左右の壁部83b〜83eの内側に嵌め込まれる。
【0114】
上壁部801b及び下壁部801cには、それぞれ自身の前端縁部から後方に向けて一対の切り込みが形成されることにより、左右方向略中央部において係止片801f,801gが形成されている。同様に、右壁部801eには、係止片801hが上下2箇所に形成されている。また、各係止片801f〜801hの先端部には、樹脂カバー外方へ突出する係止爪が設けられている。
【0115】
これに対応して、受け金具83の上壁部83b、下壁部83c及び右壁部83eには、各係止片801f〜801hの係止爪が係止される係止孔部83k,83l,83mがそれぞれ設けられている。
【0116】
また、樹脂カバー801の左壁部801dは、上下方向の両端部近傍を除く略全域において、その延出長が、受け金具83の左壁部83dの後端縁部に合わせて短くなっている。そして、この延出長の短い左壁部801dの上下方向略全域には、その前端部近傍の外側にて、断面略L字状の受部801jが突出形成されている。そして、受け金具83との組付け状態においては、この受部801jに対し受け金具83の左壁部83dの後端縁部が挿し込まれる。これにより、線材等の内部への進入が防がれる。
【0117】
一方、樹脂カバー801の右壁部801eの外側には、前後方向略中央部において、上下方向3箇所に受部801kが突出形成されている。このうち、中央の受部801kは断面略L字状に構成されている。これら受部801kは、受け金具83の右壁部83eの後端縁部の位置に合わせて形成されており、受け金具83への組付け状態においては、これら受部801kに受け金具83の右壁部83eの後端縁部が当接又は挿し込まれる。これにより、線材等の内部への進入が防がれる。
【0118】
さらに、樹脂カバー801の右壁部801eの外側には、各受部801kから後壁部801aにかけて前後方向に沿って複数の補強リブ801mが設けられている。
【0119】
また、樹脂カバー801の下部には、後壁部801aから左壁部801d(受部801j)にかけて、背面視略矩形状の範囲を囲むように開口部801pが形成されるとともに、当該開口部801pを塞ぐようにブロック部801qが設けられている。ブロック部801qは、そのほぼ全体が樹脂カバー801の内側に配設されるように、連結部としての複数の破断部801rによって、開口部801pに連結されている。そして、破断部801rを切断することにより、ブロック部801qは樹脂カバー801の本体部から切離し可能となる。
【0120】
ブロック部801qは、鍵Kを用いずに内鉤部材613,614の解錠操作を行う際に操作部として機能するものである。図29等に示すように、ブロック部801qは、自身の上部に設けられ、内鉤部材613,614に作用する鉤作用部としての鉤受部802と、自身の前下部に設けられ、内ロック部材615,623に作用するロック作用部としてのロック受部803とを備えている。
【0121】
鉤受部802は、内鉤部材613,614の頭部613c,614c下側の傾斜部位に対応して前方に向けて下方傾斜した傾斜面802aと、これの両側で内鉤部材613,614の左右方向への位置ズレを規制するリブ802bとを備えている。
【0122】
ロック受部803は、上記傾斜面802aと略平行するように前方に向けて下方傾斜した傾斜面803aと、自身の先端部右側で内ロック部材615,623の右方向への位置ズレを規制するリブ803bとを備えている。
【0123】
また、ブロック部801qの背面側には、ドライバー等の棒状の工具G1(図34等参照)を挿入可能な工具係合部としての断面略円形状の差込み孔805が開口している。
【0124】
次に受け金具83と樹脂カバー801との組付け手順について説明する。両者の組付けは、受け金具83を外枠11の右辺枠構成部11dの内壁面に取付ける前段階に行われる。
【0125】
本実施形態では、樹脂カバー801を受け金具83の後側の開口部に嵌め込む構成となっている。各係止片801f〜801hを弾性変形させつつ、樹脂カバー801の各壁部801b〜801eを挿し込んでいくと、所定位置に達したところで、各係止片801f〜801hが復元し、係止爪が受け金具83の係止孔部83k〜83mに係止される。同時に、樹脂カバー801の左壁部801dの受部801jに受け金具83の左壁部83dが挿し込まれ、右壁部801eの受部801kに受け金具83の右壁部83eが当接又は挿し込まれる。これにより両者の組付けが完了する。なお、受け金具83の構成上、上下左右の壁部83b〜83eが交わる4つのコーナー部にはスリット状の隙間が生じるが、樹脂カバー801の組付け時には、この隙間は、樹脂カバー801の上下左右の壁部801b〜801eが交わる4コーナー部によって、そのほぼ全体が塞がれる。これにより、線材等の内部への進入が防がれる。
【0126】
続いて、上記のように樹脂カバー801を組付けた状態で受け金具83を外枠11の右辺枠構成部11dの内壁面に固定する。詳しくは、受け金具83の各取付部83f,83gを位置合わせした状態で、ネジ孔83hに対し外枠11の右辺枠構成部11dの外側からネジ799を螺着することにより固定する。
【0127】
一旦、受け金具83を固定すると、受け金具83の右壁部83eに係止された樹脂カバー801の係止片801hの係止爪を、受け金具83の外側から押すことができなくなるため、係止状態を解除できなくなる。つまり、受け金具83が固定された状態では、破壊等しない限り、樹脂カバー801を取外せない状態となる。
【0128】
次に、前面枠セット14の施錠機構に関連する部分について説明する。前面枠セット14の施錠機構を構成する上記前鉤部材616,617,618は、摺動杆610の内枠12外方側において、上記取付板602の鉤挿通孔605,606,607に対応して上部、中部及び下部の3箇所に配設されている。
【0129】
前鉤部材616,617,618は、主として摺動杆610と重畳する縦長の基部616a,617a,618aと、当該基部616a,617a,618aから前方に突出した突出部616b,617b,618bと、当該突出部616b,617b,618bの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部616c,617c,618cとから構成されている。
【0130】
上述したように取付板602には、前鉤部材616,617,618に対応して鉤挿通孔605,606,607が形成されており、当該鉤挿通孔605,606,607から、突出部616b,617b,618b及び頭部616c,617c,618cのみが前方に突出している。また、頭部616c,617c,618cの上端部は、突出部616b,617b,618bより上方に突出しており、当該突出部分が後述するように係止部として機能する。
【0131】
また、前鉤部材616,617,618に対応して、摺動杆610及び支持板603の上部、中部及び下部には、それぞれ内ガイド孔645,646,647及び外ガイド孔648,649,650が形成されている。各ガイド孔645〜650は上下方向に長い長円状をなす。そして、摺動杆610の内ガイド孔645,646,647及び支持板603の外ガイド孔648,649,650に対し、支持板603の外側(内枠12内方側)から差し込まれたガイドピン651,652,653が、後述する前ロック部材619,620,621のガイド孔619e,620e,621eを介して、前鉤部材616,617,618に固定されている。これにより、前鉤部材616,617,618は、基枠601(支持板603)及び摺動杆610に対して、上下に相対変位可能に係合されるとともに、摺動杆610の摺動に連動して摺動可能となる。
【0132】
上記構成により、前鉤部材616,617,618は、上記ガイドピン651,652,653により左右方向への動きを規制され、かつ、取付板602やフランジ部603aにより前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
【0133】
次に各前鉤部材616,617,618に対応して設けられた前ロック部材619,620,621について詳しく説明する。前ロック部材619,620,621は、前面枠セット14の施錠時において、不正な解錠操作による前鉤部材616,617,618の摺動変位を規制し、当該前鉤部材616,617,618を係合位置に維持することによって、前面枠セット14の不正な開放を防止するためのものである。
【0134】
前ロック部材619,620,621は、前鉤部材616,617,618の内枠12内方側に重畳するように配設されている。つまり、前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に、前ロック部材619,620,621が配設されている。
【0135】
前ロック部材619,620,621は、縦長の縦片部619a,620a,621aと、当該縦片部619a,620a,621aの上端部近傍から前方に突出した上片部619b,620b,621bと、縦片部619a,620a,621bの下端部から前方に突出した下片部619c,620c,621cとを備えており、全体としては前方に向け凹となる側面視略コ字状に形成されている。
【0136】
前ロック部材619,620,621には、下片部619c,620c,621cにおいて軸孔619d,620d,621dが設けられるとともに、縦片部619a,620a,621aにおいてガイド孔619e,620e,621eが形成されている。ガイド孔619e,620e,621eは、軸孔619d,620d,621dを中心にとって略円弧状に形成されている。
【0137】
また、前鉤部材616,617,618の突出部616b,617b,618bと頭部616c,617c,618cとの境界部近傍には、挿通孔616h,617h,618hが形成されている。そして、内枠12外方側から挿通孔616h,617h,618hに対しそれぞれ差し込まれたガイドピン657,658,659が、前ロック部材619,620,621の軸孔619d,620d,621dに固定されている。
【0138】
さらに、上述したように、上記ガイドピン651,652,653が、前ロック部材619,620,621のガイド孔619e,620e,621eを介して、前鉤部材616,617,618(基部616a,617a,618a)に固定されている。これにより、前ロック部材619,620,621は、前鉤部材616,617,618に対し、軸孔619d,620d,621d(ガイドピン657,658,659)を中心として回動変位可能に軸支されるとともに、前鉤部材616,617,618が上下方向に摺動する場合には、これに連動して上下方向に摺動することとなる。
【0139】
上述したように、取付板602には、前ロック部材619,620,621に対応してロック挿通孔667,668,669が形成されており、当該ロック挿通孔667,668,669を介して、上片部619b,620b,621bのみが、取付板602より前方へ突出した状態となっている。
【0140】
前ロック部材619,620,621の縦片部619a,620a,621aには、前縁側(取付板602側)の略中央部においてフック部619f,620f,621fが形成されている。そして、このフック部619f,620f,621fに、前鉤部材616,617,618の切欠き凹部616j,617j,618jを介して、付勢部材としてのコイルばねC3,C4,C5の一端が掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部637,638,639に掛けられている。コイルばねC3,C4,C5の引張力により、通常時には、前ロック部材619,620,621の前端側が上方かつ前方へ引っ張られ、前ロック部材619,620,621自身はもちろんのこと、これとともに上記ガイドピン651〜653、ガイドピン657〜659やフック部619f,620f,621f等を介して前鉤部材616,617,618が上方へ付勢される。つまり、前鉤部材616,617,618は、通常時、ガイドピン651,652,653が支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部に当接した状態で保持される。また、この状態において、前ロック部材619,620,621は、ガイド孔619e,620e,621eの下縁部がガイドピン651,652,653に当接した状態となり、図24に示すような基準姿勢をとる。
【0141】
また、前ロック部材619,620,621の縦片部619a,620a,621aの下端部後側には後方へ突出した突起部619g,620g,621gが形成さている。これに対応して、摺動杆610の後縁部には内枠12外方側へ屈曲形成された後作用片610d,610e,610fが形成されている。そして、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fが、前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621gと接触可能となっている。さらに、これら突起部619g,620g,621gと後作用片610d,610e,610fとの形成位置に対応して、前鉤部材616,617,618の基部616a,617a,618aの後縁部には、内枠12外方側へ膨出した膨出凹部616g,617g,618gが形成されている。これにより、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fの動作が妨げられないようになっている。膨出凹部616g,617g,618gは、ガード部としての機能と有しており、外部から前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621g側への線材等の進入を妨げ、これらに対し線材等を引っ掛けにくくしている。
【0142】
なお、前鉤部材616,617,618の摺動範囲のうち、ガイドピン651,652,653が、支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部に当接する位置が、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係止される位置となる。つまり、この位置が、前鉤部材616,617,618の係合位置(基準位置)に相当する。
【0143】
これに対し、ガイドピン651,652,653が、支持板603の外ガイド孔648,649,650の下縁部に当接する位置が、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93から離脱する位置となる。つまり、この位置が、前鉤部材616,617,618の非係合位置に相当する。
【0144】
ここで、受け金具91,92,93の構成について詳しく説明する。受け金具91,92,93は、前面枠セット14の背面側に固定される取付部91a,92a,93aと、当該取付部91a,92a,93aから後方へ延出した延出部91b,92b,93b、当該延出部91b,92b,93bの後端部から前面枠セット14の内方側へ延出し、前鉤部材616,617,618が係合される係合部91c,92c,93cとを備えている。
【0145】
また、取付部91a,92a,93aには、前鉤部材616,617,618に対応して、差込み孔91d,92d,93dが形成されており、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された際には、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cの先端が差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となる(図23参照)。
【0146】
また、受け金具91,92,93の係合部91c,92c,93cには、前ロック部材619,620,621に対応して挿通孔91e,92e,93eが形成されており、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された際には、前ロック部材619,620,621の上片部619b,620b,621bが挿通孔91e,92e,93eに挿通された状態となる(図23参照)。
【0147】
また、摺動杆610は、通常時、内ガイド孔625,626の下縁部が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部と略同一高さ位置となる位置で、かつ、内ガイド孔645,646,647の上縁部が支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部と略同一高さ位置となる位置において保持されている。この位置が摺動杆610の基準位置に相当する。摺動杆610が基準位置にある場合には、内ガイド孔625,626の下縁部が内鉤部材613,614のガイドピン631,632と係合すること、つまりコイルばねC1,C2の引張力によって、上方への動作が抑えられた状態にあるとともに、内ガイド孔645,646,647の上縁部が前鉤部材616,617,618のガイドピン651,652,653と係合すること、つまりコイルばねC3,C4,C5の引張力によって、下方への動作が抑えられた状態にある。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1等の引張力に抗して上方又は下方へ摺動変位する。
【0148】
さて、取付板602の幅広部602bには、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられており、その前面側は前面枠セット14の前面側に露出している。
【0149】
図18に示すように、シリンダ錠700は、略筒状をなすシリンダ本体701と、シリンダ本体701内部に設けられ、内部に鍵穴702を有してなる錠軸703と、シリンダ本体701の外周に設けられた外筒704とを備えている。
【0150】
シリンダ錠700は、取付板602の取付孔602cに対しシリンダ本体701を挿通した状態で、フランジ部705を取付板602の背面側にネジ止めすることにより固定されている。
【0151】
シリンダ本体701には、該シリンダ本体701の内外を連通する上下8つずつ、合計16個の透孔706が形成されている。これに対応して、錠軸703にも、各透孔706と連通する16個の透孔708が形成されている。かかる透孔708の鍵穴702側は、後述するピン714等の収容部材が鍵穴702内に脱落しないように他の部位よりも小径に形成されている。
【0152】
各透孔706内には、それぞれバネ709が収容されている。バネ709の一端は前記外筒704に当接し、他端には台座711が連結されている。また、各透孔708内には、前記台座711に支持されるようにして、複数のスペーサ712,713及びピン714が収容されている。そして、これらピン714、スペーサ712,713、台座711は、バネ709の伸縮によって各透孔706,708内を上下動可能となっている。このうち、ピン714は、前記透孔708の鍵穴702側の小径部を介して鍵穴702内に出没可能となっている。
【0153】
上記構成により、鍵穴702内への鍵Kの挿入時には、当該鍵Kの上下両側の凹凸形状に沿って各ピン714等が上下動する。そして、鍵Kの挿入完了状態にあっては、図19に示すように各ピン714がそれぞれ鍵Kの溝に入り込んだ状態となり、ピン714の基端面、又は、スペーサ712若しくは713の一方の端面と、錠軸703の外周面とが面一になる。これにより、鍵Kの挿入完了状態にあっては、鍵Kの回動操作に伴って錠軸703が回動可能となる。つまり、このシリンダ錠700は、少なくとも鍵穴702に鍵Kを挿し込まない限り錠軸703を回動させることができない内部構造となっている。
【0154】
また、錠軸703の後端部には、鍵穴702に挿入された鍵Kの回動動作を摺動杆610に伝達する係合部材としてのカム板720が固定されている。
【0155】
カム板720は、上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。
【0156】
これに合わせて、摺動杆610の膨出部610aには、上係合爪720aが出入可能な上係合孔725と、下係合爪720bが出入可能な下係合孔726とが形成されている。また、支持板603には、両係合爪720a,720bの動作を妨げないように透孔730が形成されている。
【0157】
上記構成のもと、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿し込まれていない状態で、錠軸703及びカム板720が基準位置にある場合には、図10に示すように、上係合爪720aの先端が、摺動杆610の上係合孔725に挿通状態となるとともに、下係合爪720bの先端が、摺動杆610の下係合孔726に挿通状態となる。
【0158】
また、上述したように、本実施形態のシリンダ錠700は、鍵穴702に鍵Kの挿入がない場合には錠軸703及びカム板720を回動させることができない状態(変位不能となるロック状態)となるため、カム板720が基準位置にある場合には、係合爪720a,720bにより摺動杆610の摺動が規制されることとなる。例えば、仮に鍵Kを用いずに、基準位置にある摺動杆610に対し線材等を不正に引っ掛けて、当該摺動杆610に対し解錠方向への外力がかけられた場合には、係合爪720a,720bが摺動杆610の係合孔725,726の縁部に引っ掛かり、摺動杆610の解錠方向への摺動変位が、係合孔725等の遊び長を除き実質的に規制される。
【0159】
また、施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにしてカムカバー740がネジ等の固定手段により取付固定されている。カムカバー740によって、カム板720と摺動杆610との係合部が覆われるとともに、摺動杆610の膨出部610a略全体(上下の段差部を含む)が覆われている。
【0160】
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、摺動杆610が基準位置をとることにより、上述したように外枠11の内側に固定された各受け金具83に対して内鉤部材613,614の頭部613c,614cが係止され、内枠12の開放が規制されている(図22,24参照)。なお、内鉤部材613,614が各受け金具83に係合された状態では、内ロック部材615,623の下片部615c,623cがロック孔部83pに挿通された状態となる(図22参照)。但し、図22では、便宜上、樹脂カバー801を取外した状態での部分断面図が示されている。
【0161】
仮に、内枠12の開放状態において、係止位置にある内鉤部材613(614)の突出部613b(614b)や頭部613c(614c)に対し線材等を引っ掛けて、摺動杆610を介さず、内鉤部材613(614)に対し解錠方向(上方)への外力がかけられると、図25に示すように内鉤部材613(614)が上方へ摺動するとともに、これに連動して内ロック部材615(623)が上方へ摺動する。この際、内ロック部材615(623)は、コイルばねC1(C2)の引張力により取付板602側(前方かつ下方)へ引き付けられるため、通常時の基準姿勢を維持しつつ上方へ摺動する。この基準姿勢を維持した状態が本実施形態における内ロック部材615(623)の第1状態に相当する。
【0162】
従って、内枠12の施錠状態において、鍵Kを用いることなく、係止位置にある内鉤部材613(614)に対し線材等を引っ掛かける等して不正に上記同様の解錠操作を行った場合には、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が受け金具83の前壁部83aに引っ掛かることとなる。つまり、内鉤部材613(614)を解錠方向へ摺動させようとしても、その動きは、ロック孔部83p等の遊び分を除き実質的に規制される。もちろん、ロック孔部83pの遊び量は、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が受け金具83の前壁部83aに当接した状態でも、内鉤部材613(614)の頭部613c(614c)が受け金具83から離脱しない程度に設定されている。結果として、内鉤部材613(614)は非係止位置まで変位せず、内枠12の開放は許容されない。
【0163】
正規に内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kを図1における時計回り方向に回動させる。これにより、図20(a),(b)に示すように、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bが摺動杆610の下係合孔726の上縁部に接触し、当該下係合爪720bに押上げられるようにして摺動杆610が上方に摺動する。
【0164】
摺動杆610が上方へ摺動すると、図26(a)に示すように、まず摺動杆610の前作用片610b(610c)が、内ロック部材615(623)の突起部615g(623g)に接触し、これを上方へ押し上げる。すると、内ロック部材615(623)は、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して回動変位して、下片部615c(623c)が前方(取付板602側)へやや引っ込んだ状態となる。この状態が、本実施形態における内ロック部材615(623)の第2状態に相当する。この状態になると、下片部615c(623c)が受け金具83のロック孔部83pから抜け出した状態となり、ロック状態が解除される。
【0165】
さらに、摺動杆610が上方へ摺動すると、摺動杆610の内ガイド孔625(626)の下縁部によってガイドピン631(632)が引き上げられ、図26(b)に示すように、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して内鉤部材613(614)が上方へ摺動する。この際、内ロック部材615(623)は、内鉤部材613(614)とともに上方へ摺動する。これにより、内鉤部材613(614)と受け金具83との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。
【0166】
なお、前鉤部材616,617,618が係止位置(基準位置)にある場合、ガイドピン651,652,653の係合された摺動杆610の内ガイド孔645,646,647の下部や、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fの差し込まれる前鉤部材616,617,618の膨出凹部616g,617g,618gの上部には、ガイドピン651,652,653や後作用片610d,610e,610fが相対変位するスペースが確保されている。これにより、摺動杆610が上方へ摺動変位した場合でも、前鉤部材616,617,618は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
【0167】
一方、内枠12を施錠する際には、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるよう構成されている。より詳しくは、開状態にある内枠12を閉じていくと、内鉤部材613,614の頭部613c,614cの傾斜部位が各受け金具83の鉤孔部83jの下辺(前壁部83a)に接触する。さらに、内枠12を閉じていくと、内鉤部材613,614が上方へ押され、コイルばねC1,C2の引張力に抗して一旦上方へ摺動する。この際、内ロック部材615,623は、前壁部83aに当接して回動変位する。その後、内鉤部材613,614の頭部613c,614cが前壁部83aを越えると、コイルばねC1,C2の引張力により内鉤部材613,614が元の位置に戻り、前壁部83aの裏側に係止される。内鉤部材613,614が元の位置に戻ると、内ロック部材615,623も下方へ下がって元の姿勢に戻り、下片部615c,623cがロック孔部83pに挿通された状態となる。これにより、施錠が完了し、内枠12の開放が規制された状態となるとともに、内ロック部材615,623によりロックがかかった状態(ロック状態)となる。
【0168】
次に前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、摺動杆610が基準位置をとることにより、上述したように前面枠セット14に取付けられた受け金具91,92,93(係合部91c,92c,93c)に対して前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cが係止され、前面枠セット14の開放が規制されている(図23,24参照)。なお、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された状態では、頭部616c,617c,618cの先端が取付部91a,92a,93aの差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となるとともに、係合部91c,92c,93cの挿通孔91e,92e,93eに対し、前ロック部材619,620,621の上片部619b,620b,621bが挿通された状態となる(図23参照)。
【0169】
仮に、前面枠セット14の開放状態において、係止位置にある前鉤部材616(617,618)の突出部616b(617b,618b)や頭部616c(617c,618c)に対し線材等を引っ掛けて、摺動杆610を介さず、前鉤部材616(617,618)に対し解錠方向(下方)への外力がかけられると、図27に示すように前鉤部材616(617,618)が下方へ摺動するとともに、これに連動して前ロック部材619(620,621)が下方へ摺動する。この際、前ロック部材619(620,621)は、コイルばねC3(C4,C5)の引張力により取付板602側(前方かつ上方)へ引き付けられるため、通常時の基準姿勢を維持しつつ下方へ摺動する。
【0170】
従って、前面枠セット14の施錠状態において、鍵Kを用いることなく、係止位置にある前鉤部材616(617,618)に対し線材等を引っ掛かける等して不正に上記同様の解錠操作を行った場合には、前ロック部材619(620,621)の上片部619b(620b,621b)が受け金具91(92,93)の係合部91c(92c,93c)の挿通孔91e(92e,93e)の下縁部に引っ掛かることとなる。つまり、前鉤部材616(617,618)を解錠方向へ摺動させようとしても、その動きは、挿通孔91e(92e,93e)等の遊び分を除き実質的に規制される。もちろん、挿通孔91e(92e,93e)の遊び量は、前ロック部材619(620,621)の上片部619b(620b,621b)が係合部91c(92c,93c)の挿通孔91e(92e,93e)の下縁部に当接した状態でも、前鉤部材616(617,618)の頭部616c(617c,618c)が受け金具91(92,93)から離脱しない程度に設定されている。結果として、前鉤部材616(617,618)は非係止位置まで変位せず、前面枠セット14の開放は許容されない。
【0171】
正規に前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kを図1における反時計回り方向に回動させる。これにより、図21(a),(b)に示すように、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが摺動杆610の上係合孔725の下縁部に接触し、当該上係合爪720aに押下げられるようにして摺動杆610が下方に摺動する。
【0172】
摺動杆610が下方へ摺動すると、図28(a)に示すように、まず摺動杆610の後作用片610d(610e、610f)が、前ロック部材619(620,621)の突起部619g(620g,621g)に接触し、これを下方へ押し下げる。すると、前ロック部材619(620,621)は、コイルばねC3(C4,C5)の引張力に抗して回動変位して、上片部619b(620b,621b)が後方(フランジ部603a側)へやや引っ込んだ状態となる。この状態になると、上片部619b(620b,621b)が受け金具91(92,93)の挿通孔91e(92e,93e)から抜け出した状態となり、ロック状態が解除される。
【0173】
さらに、摺動杆610が下方へ摺動すると、図28(b)に示すように、摺動杆610の内ガイド孔645(646,647)の上縁部によってガイドピン651(652,653)が引き下げられ、コイルばねC3(C4,C5)の引張力に抗して前鉤部材616(617,618)が下方へ摺動する。この際、前ロック部材619(620,621)は、前鉤部材616(617,618)とともに下方へ摺動する。これにより、前鉤部材616(617,618)と受け金具91(92,93)との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。
【0174】
なお、内鉤部材613,614が係止位置(基準位置)にある場合、ガイドピン631,632の係合された摺動杆610の内ガイド孔625,626の上部や、摺動杆610の前作用片610b,610cが差し込まれる内鉤部材613,614の切欠き凹部613d,614dの下部には、ガイドピン631,632や前作用片610b,610cが相対変位するスペースが確保されている。これにより、摺動杆610が下方へ摺動変位した場合でも、内鉤部材613,614は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
【0175】
一方、前面枠セット14を施錠する際には、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるよう構成されている。より詳しくは、開状態にある前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cの傾斜部位が受け金具91,92,93の係合部91c,92c,93c下辺に接触する。さらに、前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部材616,617,618が下方へ押され、コイルばねC3,C4,C5の引張力に抗して一旦下方へ摺動する。この際、前ロック部材619,620,621は、係合部91c,92c,93cの背面部に当接して回動変位する。その後、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cが係合部91c,92c,93cを越えると、コイルばねC3,C4,C5の引張力により前鉤部材616,617,618が元の位置に戻り、係合部91c,92c,93cに係止される。この際、頭部616c,617c,618cの先端が取付部91a,92a,93aの差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となる。前鉤部材616,617,618が元の位置に戻ると、前ロック部材619,620,621も上方へ上がって元の姿勢に戻り、上片部619b,620b,621bが係合部91c,92c,93cの挿通孔91e,92e,93eに挿通された状態となる。これにより、施錠が完了し、前面枠セット14の開放が規制された状態となるとともに、前ロック部材619,620,621によりロックがかかった状態(ロック状態)となる。
【0176】
さらに、本実施形態では、シリンダ錠700の故障時など、シリンダ錠700を操作して内枠12を開放できない状況となった場合には、パチンコ機10の背面側から直接、内鉤部材613,614を操作して内枠12を開放させることとなる。
【0177】
内枠12が施錠状態にある場合、通常は、図34(a),図35(a)に示すように、鉤部材613(614)の頭部613c(614c)が、受け金具83及び樹脂カバー801により覆われている。そのため、内鉤部材613(614)を直接操作できないようになっている。
【0178】
そこで、直接操作するためには、まず図34(b),図35(b)に示すように、ブロック部801qの差込み孔805に対し、ドライバー等の工具G1を挿入する。
【0179】
続いて、工具G1を介してブロック部801qに対し前方(図35の左方向)へ負荷をかけることにより、破断部801rが切断され、ブロック部801qが樹脂カバー801の本体部から切離される。
【0180】
さらにブロック部801qを前方へ押し込むことにより、図35(c)に示すように、ブロック部801qの前下部に設けられたロック受部803によって、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が前方へ押される。すると、内ロック部材615(623)は、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して回動変位して、下片部615c(623c)が前方へやや引っ込んだ状態となる。この状態になると、下片部615c(623c)が受け金具83のロック孔部83pから抜け出した状態となり、ロック状態が解除される。内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)を前方へ押すこの方向が本実施形態における第1の方向に相当する。
【0181】
この状態を維持したまま、ブロック部801qを上方に持ち上げていくと、ブロック部801qの上部に設けられた鉤受部802(傾斜面802a)が内鉤部材613(614)の頭部613c(614c)下側の傾斜部位に当接する。さらにブロック部801qを上方へ持ち上げていくと、摺動杆610が摺動することなく、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して内鉤部材613(614)及び内ロック部材615(623)だけが上方へ摺動する。
【0182】
ある程度、ブロック部801qを上方へ持ち上げていくと、ロック受部803の傾斜面803aがロック孔部83pの上辺(前壁部83a)に当接する。さらにブロック部801qを上方へ持ち上げていくと、傾斜面803aがロック孔部83pの上辺を滑るようにして、ブロック部801qがやや後方へ変位しつつ、さらに内鉤部材613(614)を上方へ押し上げる。内鉤部材613(614)を上方へ押し上げるこの方向が本実施形態における第2の方向に相当する。
【0183】
ブロック部801qのロック受部803がロック孔部83pから完全に抜け出し、しばらくすると、図35(d)に示すように、内鉤部材613(614)が非係止位置に達する。これにより、内鉤部材613(614)と受け金具83との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。この過程において、ロック受部803は、内ロック部材615(623)から離れるが、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が前壁部83aに当接することにより、内ロック部材615(623)の回動変位が規制されるため、内ロック部材615(623)がロック状態に戻ることもない。
【0184】
内枠12の開放後は、一旦、外枠11から受け金具83を取外して、使用済みの樹脂カバー801を取外す。そして、上述した手順で新たな樹脂カバー801を取着して、再度、受け金具83を外枠11に取付ける。
【0185】
以上詳述したように、本実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を備えることにより、内枠12や前面枠セット14の施錠時において、鍵Kを用いずに線材等によって内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の解錠方向への摺動が規制される。つまり、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618は係止位置に維持されるため、内枠12や前面枠セット14の開放は許容されない。
【0186】
一方、鍵Kを用いて正規に解錠操作を行った場合には、摺動杆610から力を受けることにより、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621が状態変化し、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618が非係止位置へ摺動可能となる。つまり、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618が受け金具83や受け金具91,92,93から離脱し、内枠12や前面枠セット14の開放が許容される。
【0187】
本実施形態の内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621は、外枠11本体や前面枠セット14本体に当接する等して状態変化する構成ではない。従って、内ロック部材615,623と外枠11本体との当接位置関係や、前ロック部材619,620,621と前面枠セット14本体との当接位置関係などを考慮する必要がないため、例えば内ロック部材615等のうち受け金具83等と係り合う下片部615c等の前後長を予め余裕をもって長めに設計しておくことができ、内枠12と外枠11との間や、内枠12と前面枠セット14との間にある程度の遊びを設けたとしても、受け金具83や受け金具91,92,93に対し内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621がより確実に係止されやすい。結果として、仮に内枠12と外枠11との組付誤差や、内枠12と前面枠セット14との組付誤差が大きくなった場合でも、当該組付誤差による内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621の機能低下といった不具合は低減される。換言すれば、より大きな製造誤差や組付誤差を許容することができ、歩留まり性が向上する。
【0188】
また、内枠12や前面枠セット14を無理やり引っ張る等した場合でも、内ロック部材615,623と受け金具83との係合や、前ロック部材619,620,621と受け金具91,92,93との係合が簡単に解除され、内枠12や前面枠セット14が開放されてしまうおそれも低い。さらに、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621は、摺動杆610ではなく、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の解錠方向への摺動を直接的に規制しているため、より確実に不正解錠を抑制することができる。
【0189】
また、仮に線材等を用いて内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を状態変化させるとともに、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618を不正に解錠操作しようとした場合には、内鉤部材613等と内ロック部材615等とにそれぞれ引っ掛けた線材等を少なくとも2方向に操作しなければならないため、不正解錠操作が行いにくくなる。
【0190】
結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0191】
また、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を、これに対応する内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に配設することにより、内ロック部材615等の露出する部位が減る。従って、内ロック部材615等に線材等を引っ掛けたり、金属片等を押し当てたりすることのできる部位の露出度も減り、上述したような不正解錠操作が行いにくくなる。
【0192】
さらに、支持板603の後縁部にフランジ部603aが設けられていることにより、内鉤部材613等と摺動杆610との隙間から線材等を進入させ、内ロック部材615等に引っ掛けるといった不正行為がより困難となる。
【0193】
加えて、内鉤部材613,614にはガード部613f,614fが設けられ、前鉤部材616,617,618にはガード部として機能する膨出凹部616g,617g,618gが設けられている。これにより、内ロック部材615,623のフック部615f,623fや突起部615g,623g、前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621gなどに対し線材等を引っ掛けにくくなる。
【0194】
結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
【0195】
また、本実施形態では、摺動杆610を共用しつつも、内枠12と前面枠セット14とを別々に開放でき、メンテナンス時等の作業性の向上を図るとともに、部品点数の増加を抑制することができる。このような構成では、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618を摺動杆610に対して上下動可能に係合する構成を採用せざるを得ないため、内鉤部材613,614等に対する直接の解錠操作によっては当該内鉤部材613,614等が上下動しないようにする上記防御機能がより奏効することとなる。
【0196】
さらに、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618は、それぞれ独立して摺動変位するように構成されているため、不正行為により仮に内鉤部材613,614のいずれか一方、又は、前鉤部材616,617,618のいずれかが解錠方向へ摺動させられてしまった場合でも、他は摺動しないため、内枠12や前面枠セット14の施錠状態が保持され、開放は許容されない。結果として、内鉤部材613等の解錠方向への摺動変位を規制する内ロック部材615等との相乗効果により、不正解錠に対する防御性能がさらに向上する。
【0197】
また、本実施形態では、内枠12や前面枠セット14を施錠する際に、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるように構成されている。より詳しくは、内枠12等を施錠する際に、コイルばねC1等の引張力に抗して、内鉤部材613等が受け金具83等に接触して一旦解錠方向に変位するとともに、内ロック部材615等が受け金具83等に接触して回動変位する。その後、コイルばねC1等の引張力により、内鉤部材613等が元の位置に戻り、施錠が完了すると、内ロック部材615等も元の姿勢に戻る。これにより、内枠12等の開放が規制された状態となるとともに、内ロック部材615等によりロックがかかったロック状態となる。このような構成とすることで、内ロック部材615等が邪魔になることなく、スムーズに内枠12等を閉めることができ、作業性が向上する。
【0198】
加えて、本実施形態では、鉤部材613,614及び内ロック部材615,623が受け金具83及び樹脂カバー801により覆われているため、鉤部材613,614や内ロック部材615,623に対し線材等を引っ掛けにくくなる。結果として、線材等による鉤部材613,614に対する直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われるのを抑止することができる。
【0199】
さらに、シリンダ錠700の故障時など正当な理由から、鍵Kを用いずにパチンコ機10の背面側から鉤部材613,614を直接操作して係合状態を解除しなくてはならない状況となった場合には、樹脂カバー801のブロック部801qを切離し、当該ブロック部801qを介して、その作業を行うことができる。つまり、正当な理由の下で行う作業の効率を妨げることなく不正行為のみをより確実に抑止することができる。
【0200】
加えて、ブロック部801qが切離されると、樹脂カバー801にはその痕跡が残る。そのため、万が一、ブロック部801qを切離して不正行為が行われた場合には、それを確認することで不正行為を早期発見できる。従って、不正行為の直接的な防止はもとより、不正行為を早期発見できるという側面からも不正行為の抑止を図ることができる。
【0201】
また、樹脂カバー801を組付けた状態で受け金具83を外枠11に固定すると、樹脂カバー801を取外せない状態となる。一般的に、パチンコ機10が遊技ホールの島設備に設置された後には、他のパチンコ機10等が隣接して配置されるため、外枠11の右辺枠構成部11dの外側からネジ799を取外しできなくなる。従って、樹脂カバー801を無傷で受け金具83から取外すためには、一旦、パチンコ機10を島設備から取外さなければならず、痕跡を残さずに不正行為を行うことは困難となる。
【0202】
結果として、メンテナンス性の向上を図りつつも、不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0203】
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0204】
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構が、単一の施錠装置600によって具現化されている。これに限らず、例えば前面枠セット14が内枠12と一体形成された構成等においては、当該前面枠セット14の施錠機構を省略した構成としてもよい。
【0205】
(b)上記実施形態では、内枠12の施錠機構に関しては、両内鉤部材613,614に対応して内ロック部材615,623が設けられ、前面枠セット14の施錠機構に関しては、3つの前鉤部材616,617,618すべてに対応して前ロック部材619,620,621が設けられた構成となっている。これに限らず、例えば内枠12の施錠機構に関しては、2つの内鉤部材613,614のうちのいずれか一方のみに対応して内ロック部材を備えた構成としてもよい。また、前面枠セット14の施錠機構に関しては、3つの前鉤部材616,617,618のうちの少なくとも1つに対応して前ロック部材が設けられた構成としてもよい。少なくとも1つに対応して設けられていれば、不正解錠に対する防御性能を十分に発揮することはできる。
【0206】
(c)内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621の各ロック部材の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621が回動変位することにより、ロック状態(第1状態)と非ロック状態(第2状態)とに状態変化する構成となっている。これに限らず、例えばラックアンドピニオン機構により、摺動杆610の動作に連動して略水平方向にスライド変位するロック部材などを採用してもよい。
【0207】
また、上記実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を、これに対応する内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に配設している。これに限らず、内ロック部材615等が内鉤部材613等に対し、摺動杆610とは逆側に配設された構成としてもよい。
【0208】
また、内鉤部材613等の動きを直接的に規制する内ロック部材615等に代えて、内枠12の閉時に摺動杆610の動きを規制することにより、内鉤部材613等の鉤部材の動きを規制するロック部材を備えた構成としてもよい。例えば内枠12を閉じると、所定のロック部材が外枠11や受け金具83等の所定部位に当接することにより押されて変位し、摺動杆610の一部に差し込まれる等して摺動杆610と係合し、当該摺動杆610ひいては内鉤部材613等の移動を規制する構成等が一例に挙げられる。
【0209】
また、本発明に係る遮蔽部材(受け金具83及び樹脂カバー801)は、内ロック部材615等が省略された、内鉤部材613等のみを備えた構成においも適用することができる。
【0210】
(d)内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では1つの摺動杆610を共用して、内枠12の解錠と前面枠セット14の解錠とを別々に行う構成となっており、当該摺動杆610に対し、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618がそれぞれ相対変位可能に係合されている。これに代えて、内鉤部材613,614又は前鉤部材616,617,618の一方を摺動杆610に相対変位不能に設けた構成としてもよい。構成例としては、内鉤部材613,614又は前鉤部材616,617,618が摺動杆610と一体形成された構成や、摺動杆610に対しネジ等の固定手段により相対変位不能に固定された構成などが挙げられる。このような構成としても、後述するシリンダ錠700等との関係によっては、内枠12を開放できない状況となった場合に、パチンコ機10の背面側から直接、内鉤部材613,614を操作して内枠12を開放させることに不都合を生じない。
【0211】
また、内枠12用と、前面枠セット14用に、別々に摺動する2つの摺動杆を備え、各摺動杆に対して内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618がそれぞれ相対変位不能に設けられた構成としてもよい。
【0212】
また、上記実施形態では、内鉤部材613等が上下方向に摺動する構成となっているが、これに限らず、内鉤部材613等が係止位置と非係止位置とに回動変位する構成を採用してもよい。
【0213】
また、内鉤部材613等の各鉤部材、及び、これに対応する受け金具83等の各被係合部材や、内ロック部材615等の各ロック部材の数は、上記実施形態の数に限定されるものではなく、内枠12の施錠機構など各施錠機構に対応して、例えば1つであってもよい。
【0214】
また、上記実施形態では、鉤部材613,614の両鉤部材に対応して、受け金具83に樹脂カバー801が取付けられているが、一方の鉤部材にのみ対応して樹脂カバー801を備えた構成としても十分、同様の作用効果を得ることができる。
【0215】
(e)シリンダ錠700の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、キーコードを変更可能なシリンダ錠を採用してもよい。キーコードの変更手順の一例について説明すると、所定のリセットピンを押圧した状態で鍵穴に現状の鍵を挿入して回動操作した後、該鍵を引き抜く。そして、リセットピンを押圧したまま、新たに設定したい鍵を鍵穴に挿入し、前記現状の鍵とは逆向きに回動操作した後、リセットピンの押圧状態を解除してから鍵を引き抜く。以上のような操作を行うことで、新たに設定したい鍵に合ったキーコードとすることができる。
【0216】
また、上記実施形態では、鍵Kの非挿入状態においてシリンダ錠700がロック状態となり、摺動杆610の摺動変位がカム板720により規制される構成を採用している。これに限らず、例えば、摺動杆610が基準位置にある場合には、カム板720の両係合爪720a,720bが係合孔725,726に挿入された状態とならず、摺動杆610の摺動が規制されない構成を採用してもよい。また、鍵Kの非挿入状態においてもロック状態とならない(カム板720が変位不能とならない)シリンダ錠を採用してもよい。このような場合には、内鉤部材613,614等を摺動杆610に一体形成するなど、摺動杆610に対し相対変位不能に設けた構成としても、上述したように内枠12を開放できない状況となった場合に、パチンコ機10の背面側から直接、内鉤部材613,614を操作して内枠12を開放させることに不都合を生じない。
【0217】
(f)上記実施形態では、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、時計回り方向に回動操作することで内枠12が解錠され、反時計回りに回動操作することで前面枠セット14が解錠される構成となっている。つまり、内鉤部材613,614が上方へ摺動することにより受け金具83から離脱し、前鉤部材616,617,618が下方へ摺動することにより、受け金具91,92,93から離脱する構成となっている。これに限らず、両者の解錠操作が逆となる構成としてもよい。
【0218】
(g)樹脂カバー801の構成は上記実施形態に限定されるものではない。ブロック部801qの構造、形成位置、大きさ、範囲などに関しても適宜、変更可能である。
【0219】
例えば、上記実施形態では、樹脂カバー801の本体部からブロック部801qを完全に切離す構成となっているが、これに限らず、ブロック部801qの一部が本体部と連結された状態のまま内鉤部材613等を操作可能な構成としてもよい。
【0220】
また、上記実施形態では、樹脂成形体としてブロック部801qが樹脂カバー801の本体部に予め一体形成された構成であるが、これに限らず、樹脂カバー801の開口部801pに、別体成形されたブロック部801qを接着剤などの固定手段により取着した構成としてもよい。
【0221】
また、上記実施形態では、複数の破断部801rを切断することによって、ブロック部801qが樹脂カバー801の本体部から切離し可能な構成となっているが、これに限らず、ブロック部801qの全周囲に薄肉部を設けることにより、樹脂カバー801の本体部から切離し可能となる構成としてもよい。このようにすれば、通常時には、樹脂カバー801内側に線材等が進入する隙間が形成されないため、防御性能を高めることができる。
【0222】
また、上記実施形態では、ブロック部801qを操作しやすくするため、当該ブロック部801qに工具係合部として、ドライバー等の工具G1を挿入可能な差込み孔805が設けられている。これに代えて、工具係合部として、プライヤー等の工具により挟持可能な部位を設けた構成としてもよい。また、工具係合部を省略した構成としてもよい。この場合、作業者の手で摘むことが可能な摘み部等を備えた構成としてもよい。
【0223】
また、上記実施形態では、ブロック部801qに工具係合部として、工具G1を挿入可能な差込み孔805が1つ設けられているだけであるが、工具係合部を複数設けた構成としてもよい。例えば、ブロック部801qが上下2パーツに分離する構成とするとともに、上下のパーツにそれぞれ工具G1を挿入可能な差込み孔を設けた構成としてもよい。つまり、操作部としてのブロック部801qが、内鉤部材613,614を操作するための鉤操作部(上側のパーツ)と、内ロック部材615,623を操作するためのロック操作部とからなる構成としてもよい。このように、内鉤部材613,614を操作するための操作部と、内ロック部材615,623を操作するための操作部とを別々に備えることにより、内鉤部材613,614及び内ロック部材615,623の操作をより容易に行うことができる。
【0224】
また、上記実施形態では、受け金具83の背面側よりブロック部801qに対し工具G1を挿し込み、当該ブロック部801qを操作して、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)を第1の方向である前方へ押し、内ロック部材615(623)のロック状態を解除しつつ、第2の方向である上方へブロック部801qを操作し、内鉤部材613(614)の頭部613c(614c)を持ち上げるといった2方向への操作によって、内鉤部材613(614)と受け金具83との係合を解除する構成となっている。
【0225】
これに限らず、ブロック部801qを一方向に操作することにより、内鉤部材613(614)及び内ロック部材615(623)の両者とも解除される構成としてもよい。例えば、ブロック部801qに対し受け金具83の下側から工具G1を挿入可能な構成とし、ブロック部801qを上方へ押し上げていくことにより、ロック受部803によって、内ロック部材615(623)のロック状態を解除しつつ、鉤受部802によって、内鉤部材613(614)の係合を解除可能な構成としてもよい。
【0226】
(h)被係合部材や遮蔽部材の構成に関しても、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、鉤部材613,614が係合される被係合部材と、その周囲を囲む遮蔽部材(第1カバー部材)とが、受け金具83として一体形成された構成となっている。これに限らず、これらを別体で設けた構成としてもよい。
【0227】
また、上記実施形態では、遮蔽部材として、第1カバー部材を構成する金属製の受け金具83と、第2カバー部材としての樹脂製の樹脂カバー801とが別体で構成されている。第1カバー部材及び第2カバー部材の形状、素材、組付構造などは上記実施形態に限定されるものではない。例えば、遮蔽部材として、第1カバー部材と第2カバー部材とが樹脂材料や金属材料等により一体形成された構成としてもよい。
【0228】
(i)上記実施形態では、例えば内ロック部材615,623を介して、コイルばねC1,C2の付勢力が内鉤部材613,614に伝わる構成となっている。つまり、内鉤部材613,614の付勢手段と、内ロック部材615,623の維持手段とが、単一のコイルばねC1,C2により構成されている。また、同様に、前鉤部材616,617,618の付勢手段と、前ロック部材619,620,621の維持手段とが、単一のコイルばねC3,C4,C5により構成されている。これに限らず、各鉤部材の付勢手段と、各ロック部材の維持手段を別々のコイルばねにより構成してもよい。勿論、付勢手段や維持手段はコイルばねに限定されるものではない。また、付勢手段や維持手段の力が、摺動杆610など他の部材を介して間接的に鉤部材やロック部材に伝わる構成としてもよい。
【0229】
(j)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
【0230】
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
【0231】
手段1.外郭を構成する固定枠と、
前記固定枠の前面側にて開閉可能に支持された扉体と、
前記扉体に設けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備え、
前記施錠装置が、
鍵により操作される錠部材と、
少なくとも前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記固定枠に設けられた被係合部材に対し係合されて前記扉体の開放を規制する係合位置と、前記被係合部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係合位置とに変位可能な鉤部材とを備えた遊技機において、
前記被係合部材及びこれに係合される前記鉤部材を囲む遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で前記鉤部材を操作可能となる操作部を備えていることを特徴とする遊技機。
【0232】
上記手段1によれば、遮蔽部材を備えることにより、被係合部材に係合される鉤部材に対し線材等を引っ掛けにくくなる。結果として、線材等による鉤部材に対する直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われるのを抑止することができる。
【0233】
さらに、錠部材の故障時など正当な理由から、鍵を用いずに遊技機背面側から鉤部材を直接操作して被係合部材との係合状態を解除しなくてはならない状況となった場合には、遮蔽部材の本体部から操作部を切離し、当該操作部を介して、その作業を行うことができる。つまり、正当な理由の下で行う作業の効率を妨げることなく不正行為のみをより確実に抑止することができる。
【0234】
加えて、操作部が切離されると、遮蔽部材にはその痕跡が残る。そのため、万が一、操作部を介して不正行為が行われた場合には、それを確認することで不正行為を早期発見できる。従って、不正行為の直接的な防止はもとより、不正行為を早期発見できるという側面からも不正行為の抑止を図ることができる。
【0235】
結果として、メンテナンス性の向上を図りつつも、遮蔽部材全体が動かせる構成とする場合に比べて、不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0236】
尚、鉤部材及びこれに対応する被係合部材の数は1つに限定されるものではなく、これらを複数備えた構成としてもよい(これらに対応する遮蔽部材や、以下に示すロック部材等に関しても同様)。このようにすれば、不正解錠に対する防御性能のさらなる向上が図られる。
【0237】
また、上記「切離し」には、遮蔽部材の本体部に一体形成された操作部の切離しや、遮蔽部材の本体部に固定された別体の操作部の取外し等を意味している。
【0238】
また、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。勿論、錠部材はシリンダ錠に限定されるものではなく、この他、カードキーのような鍵を用いて操作されるものであってもよい。
【0239】
また、鉤部材及び被係合部材の「係合(係合状態)」とは、扉体の閉状態において、少なくとも扉体を開放する方向(例えば前方向)に動かした場合に、当該鉤部材及び被係合部材が接触し、両者が扉体の開放を規制する位置関係にある状態を指す。従って、鉤部材及び被係合部材の「係合」には、常時、両者が当接している場合のみではなく、動作性等を考慮して両者間に所定のクリアランス(遊び)を設けて、扉体の閉状態においては両者が離間している場合も含む。例えば、扉体の開閉方向である前後方向に対し、係合状態にある鉤部材及び被係合部材の間に所定のクリアランスが設定され、扉体の閉状態においては、鉤部材及び被係合部材が前後方向に対し当接してはいないが、扉体を開放しようと動かした場合には、両者が係り合う構成となっていればよい。逆に、鉤部材及び被係合部材の「非係合(非係合状態)」とは、扉体を開閉方向に動かした場合に、鉤部材及び被係合部材が接触しない位置関係、又は接触しつつも扉体を開放可能な位置関係にある状態を指す。
【0240】
手段2.外郭を構成する固定枠と、
前記固定枠の前面側にて開閉可能に支持された扉体と、
前記扉体に設けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置が、
鍵により操作される錠部材と、
少なくとも前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記固定枠に設けられた被係合部材に対し係合されて前記扉体の開放を規制する係合位置と、前記被係合部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係合位置とに変位可能な鉤部材と、
少なくとも前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記扉体の閉時において前記鉤部材の解錠方向への動きを規制する第1状態(第1位置)と、前記鉤部材の解錠方向への動きを許容する第2状態(第2位置)へ変化可能(変位可能)なロック部材とを備えるとともに、
前記被係合部材及びこれに係合される前記鉤部材並びに前記ロック部材を囲む遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で前記鉤部材及び前記ロック部材を操作可能となる操作部を備えていることを特徴とする遊技機。
【0241】
上記手段2によれば、ロック部材を備えることにより、扉体の閉時時において、鍵を用いずに線材等によって鉤部材に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、鉤部材の解錠方向への動きが規制される。つまり、鉤部材は係合位置に維持されるため、扉体の開放は許容されない。
【0242】
また、仮に線材等を用いてロック部材を状態変化させるとともに、鉤部材を不正に解錠操作しようとした場合には、鉤部材とロック部材とにそれぞれ引っ掛けた線材等を少なくとも2方向に操作しなければならないため、不正解錠操作が行いにくくなる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0243】
また、上記遮蔽部材を備えることにより、被係合部材に係合される鉤部材に対し線材等を引っ掛けにくくなるとともに、ロック部材に対しても線材等を引っ掛けにくくなる。結果として、上記手段1と同様の作用効果に加え、さらに不正解錠に対する防御性能のさらなる向上を図ることができる。つまり、錠部材の故障時など正当な理由から、鍵を用いずに遊技機背面側から鉤部材を直接操作して被係合部材との係合状態を解除しなくてはならない状況となった場合には、遮蔽部材の本体部から操作部を切離し、当該操作部を介して、ロック部材を解除しつつ、鉤部材を操作して、その作業を行うことができる。つまり、正当な理由の下で行う作業の効率を妨げることなく不正行為のみをより確実に抑止することができる。
【0244】
手段3.外郭を構成する固定枠と、
前記固定枠の前面側の左右一側部にて開閉可能に支持された扉体と、
前記扉体の左右他側部に沿って取付けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
前記扉体の左右他側部に沿って取付けられる取付部、及び、当該取付部から突設された支持部を具備する縦長の基枠と、
鍵により操作される錠部材と、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向に摺動可能なように前記支持部に沿って設けられた摺動部材と、
前記固定枠に設けられた被係合部材に対し係合されて前記扉体の開放を規制する係合位置と、前記被係合部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係合位置とに、上下方向に摺動可能な鉤部材と、
前記鉤部材を施錠方向である上下方向一方側へ付勢する付勢手段とを備え、
前記鉤部材が、前記係合位置から前記非係合位置へ、前記摺動部材の動作に連動して解錠方向である上下方向他方側へ摺動する構成であって、
前記鉤部材の動作に連動して上下方向に摺動可能に設けられるとともに、第1状態(第1位置)と第2状態(第2位置)とに変化可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記第1状態に維持する維持手段とを備え、
前記鉤部材を前記解錠方向へ摺動させる前記摺動部材の動作に連動して、前記ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化する構成とするとともに、
前記係合位置にある鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記解錠方向への外力がかかった場合には、当該鉤部材とともに、前記ロック部材が前記第1状態を維持しつつ前記解錠方向へ摺動可能な構成とすることにより、
前記扉体の閉状態において、前記係合位置にある鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記解錠方向への外力がかかった場合には、前記第1状態に維持されたロック部材が前記被係合部材に係合されることによって、前記鉤部材の前記解錠方向への摺動が規制され、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記摺動部材が前記鉤部材を前記解錠方向へ摺動させる場合には、前記ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化することにより、当該ロック部材が前記被係合部材に係合されずに、前記鉤部材の前記解錠方向への摺動が許容される構成とするとともに、
前記被係合部材及びこれに係合される前記鉤部材並びに前記ロック部材を囲む遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で前記鉤部材及び前記ロック部材を操作可能となる操作部を備えていることを特徴とする遊技機。
【0245】
上記手段3によれば、上記手段1,2と同様の作用効果が奏される。より詳しくは、ロック部材を備えることにより、扉体の施錠時において、鍵を用いずに線材等によって鉤部材に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、鉤部材の解錠方向への摺動が規制される。つまり、鉤部材は係合位置に維持されるため、扉体の開放は許容されない。
【0246】
一方、鍵を用いて正規に解錠操作を行った場合には、摺動部材から力を受けることにより、ロック部材が第1状態から第2状態へ状態変化し、鉤部材が非係合位置へ摺動可能となる。つまり、鉤部材が被係合部材から離脱し、扉体の開放が許容される。
【0247】
上記ロック部材は、固定枠本体に当接する等して状態変化する構成ではない。従って、ロック部材と固定枠本体との直接的な関連性(例えばロック部材と固定枠本体との当接位置関係など)を考慮する必要がないため、例えばロック部材のうち被係合部材と係り合う部位の前後長を予め余裕をもって長めに設計しておくことができ、扉体と固定枠との間にある程度の遊びを設けたとしても、被係合部材に対しロック部材がより確実に係合されやすい。結果として、仮に扉体と固定枠との組付誤差が大きくなった場合でも、当該組付誤差によるロック部材の機能低下といった不具合は低減される。換言すれば、より大きな製造誤差や組付誤差を許容することができ、歩留まり性が向上する。
【0248】
また、扉体を無理やり引っ張る等した場合でも、ロック部材と被係合部材との係合が簡単に解除され、扉体が開放されてしまうおそれも低い。さらに、上記ロック部材は、摺動部材ではなく、鉤部材の解錠方向への摺動を直接的に規制しているため、より確実に不正解錠を抑制することができる。
【0249】
また、仮に線材等を用いてロック部材を状態変化させるとともに、鉤部材を不正に解錠操作しようとした場合には、鉤部材とロック部材とにそれぞれ引っ掛けた線材等を少なくとも2方向に操作しなければならないため、不正解錠操作が行いにくくなる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0250】
さらに、上記遮蔽部材を備えることにより、被係合部材に係合される鉤部材に対し線材等を引っ掛けにくくなるとともに、ロック部材に対しても線材等を引っ掛けにくくなる。結果として、さらに不正解錠に対する防御性能のさらなる向上を図ることができる。つまり、錠部材の故障時など正当な理由から、鍵を用いずに遊技機背面側から鉤部材を直接操作して被係合部材との係合状態を解除しなくてはならない状況となった場合には、遮蔽部材の本体部から操作部を切離し、当該操作部を介して、ロック部材を解除しつつ、鉤部材を操作して、その作業を行うことができる。つまり、正当な理由の下で行う作業の効率を妨げることなく不正行為のみをより確実に抑止することができる。
【0251】
なお、上記「左右一側部」とは、左右方向における一方側を指し、「左右一側部」が例えば「右側部」であれば、「左右他側部」は「左側部」となる。逆に、「左右一側部」が「左側部」であれば、「左右他側部」は「右側部」となる。
【0252】
また、鉤部材が「摺動部材の動作に連動して」動く構成には、摺動部材と鉤部材とが一体形成されたり、摺動部材に対しネジ等の固定手段により相対変位不能に固定されたりして、両者が一体的に動く構成なども含まれる。従って、鉤部材は、摺動部材と一体形成された構成や摺動部材に対し相対変位不能に固定された構成であってもよいし、摺動部材に対し相対変位可能に係合された構成でもよい。
【0253】
また、付勢手段が「鉤部材を施錠方向である上下方向一方側へ付勢する」構成としては、例えば鉤部材を直接的に付勢する構成や、摺動部材やロック部材等を介して間接的に付勢する構成等が挙げられる。
【0254】
手段4.前記鉤部材は、前記摺動部材に対し相対変位可能に組付けられるとともに、
前記ロック部材は、前記鉤部材に対し相対変位可能に組付けられていることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
【0255】
上記手段4によれば、摺動部材に対し鉤部材が相対変位可能に組付けられることにより、仮に複数の鉤部材を設けた場合でも、摺動部材に対し個々の鉤部材を独立して摺動変位させることができる。従って、仮に不正な解錠操作によって鉤部材のいずれか1つに対し直接外力が加えられた場合でも、これに摺動部材が連動しないため、他の鉤部材は摺動せず、扉体の施錠状態が保持される。つまり、扉体の開放は許容されない。さらに、ロック部材が、鉤部材に対し相対変位可能に組付けられていることにより、ロック部材がより確実に鉤部材に連動して動き、鉤部材の摺動をより確実に規制することができる。結果として、不正解錠に対する防御性能がさらに向上する。
【0256】
手段5.前記操作部は、前記鉤部材を操作する鉤操作部と、前記ロック部材を操作するロック操作部とを備えていることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の遊技機。
【0257】
上記手段5によれば、鉤部材を操作するための操作部と、ロック部材を操作するための操作部とを別々に備えることにより、鉤部材やロック部材の操作をより容易に行うことができる。
【0258】
また、上記手段5に代えて、「前記操作部は、前記鉤部材に作用する鉤作用部と、前記ロック部材に作用するロック作用部とを備えていることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の遊技機」としてもよい。
【0259】
このようにすれば、複数部材でなく、操作部といった1つ部材によって、鉤部材及びロック部材の両者を操作することができるため、部品点数の増加を抑制することができる。
【0260】
手段6.前記操作部を第1の方向へ操作して、前記ロック部材を前記第1状態から前記第2状態へと変化させつつ、前記第1の方向と交差する第2の方向へ前記操作部を操作することにより、前記鉤部材を前記係合位置から前記非係合位置へと変化させる構成となっていることを特徴とする手段2乃至5のいずれかに記載の遊技機。
【0261】
上記手段6によれば、線材等を用いた鉤部材及びロック部材の不正解錠操作に対しては困難性を維持しつつも、操作部を介した正規の鉤部材及びロック部材の解錠操作に関しては比較的容易に行うことができる。つまり、不正解錠操作の場合には、鉤部材及びロック部材を操作する少なくとも2つの線材等が必要となるが、操作部による正規の解錠操作の場合には、当該操作部1つで鉤部材及びロック部材の両部材の操作を同時に行うことができる。
【0262】
手段7.前記ロック部材は、回動変位して前記第1状態と前記第2状態とに変化する構成となっていることを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の遊技機。
【0263】
上記手段7によれば、仮にラックアンドピニオン機構によりロック部材を略水平方向にスライド変位させる構成とした場合などに比べて、より簡素な構成でロック部材の状態変化を実現することができる。
【0264】
手段8.前記操作部は、所定の工具を係合可能な工具係合部を備えていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
【0265】
上記手段8によれば、例えばドライバー等の工具を挿し込み可能な孔部などが形成されていることにより、工具を介して操作部に力をかけ易くなるため、操作部の切離しや、鉤部材等の操作がより容易に行えるようになる。ひいては、操作部を操作するためのつまみ部等を設ける必要もなく、当該操作部を比較的コンパクトな構成とすることができるため、遮蔽部材の大型化を抑制することができる。
【0266】
手段9.前記遮蔽部材は、所定の固定手段により前記固定枠に固定される金属製の第1カバー部材と、当該第1カバー部材に組付けられ、前記操作部を有する樹脂製の第2カバー部材とから構成されていることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の遊技機。
【0267】
上記手段9によれば、操作部を有する第2カバー部材を除く部分を、金属製の第1カバー部材で構成することにより、不正解錠に対する十分な防御性能を確保することができる。また、操作部を切離す等して使用した場合でも、当該使用済みの第2カバー部材のみを、未使用の新たな第2カバー部材に取り替えるだけで元の状態に戻すことができる。従って、遮蔽部材全体を交換する必要がなく、リサイクル性に優れる。
【0268】
例えば、「前記第1カバー部材は、前記鉤部材が挿通される鉤孔部(及びロック部材が挿通されるロック孔部)を有する前壁部と、前記前壁部の周縁部から後方へ延出した周壁部とを備え、前記第2カバー部材は、前記第1カバー部材の後側の開口部を塞ぐように取付けられる」構成とすれば、鉤部材(及びロック部材)が挿通する孔部を除き、実質的に上下、左右、前後の6方向からの線材等の侵入を防止することができ、不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
【0269】
手段10.少なくとも前記第1カバー部材の前記固定枠への取付状態において、前記第2カバー部材が前記第1カバー部材から取外し不能となることを特徴とする手段9に記載の遊技機。
【0270】
上記手段10によれば、上述した不正行為等の抑制効果をさらに高めることができる。なお、第2カバー部材が「取外し不能」とあるのは、第1カバー部材を固定枠から取外さない限り、第2カバー部材を取外すことができない又は極めて困難であるといった意味である。
【0271】
手段11.前記操作部は、切断可能な連結部を介して、前記第2カバー部材の本体部と一体形成されていることを特徴とする手段9又は10に記載の遊技機。
【0272】
上記手段11によれば、別途、操作部を設ける工程を省略でき、部品点数の増加を抑制することができる。
【0273】
手段12.前記被係合部材と前記遮蔽部材とを一体としたことを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の遊技機。
【0274】
上記手段12によれば、被係合部材と遮蔽部材とを一体とすることにより、部品点数の削減を図るとともに、構成の簡素化を図ることができる。
【0275】
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
【0276】
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
【0277】
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
【0278】
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
【0279】
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
【符号の説明】
【0280】
10…パチンコ機、11…外枠、12…内枠、14…前面枠セット、83…受け金具、600…施錠装置、613,614…内鉤部材、615,623…内ロック部材、700…シリンダ錠、801…樹脂カバー、801q…ブロック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する固定枠と、
前記固定枠の前面側にて開閉可能に支持された扉体と、
前記扉体に設けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備え、
前記施錠装置が、
鍵により操作される錠部材と、
少なくとも前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記固定枠に設けられた被係合部材に対し係合されて前記扉体の開放を規制する係合位置と、前記被係合部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係合位置とに変位可能な鉤部材とを備えた遊技機において、
前記被係合部材及びこれに係合される前記鉤部材を囲む遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、その本体部から切離し可能に構成されかつ当該切離された状態で前記鉤部材を操作可能となる操作部を備えていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−78693(P2013−78693A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−21022(P2013−21022)
【出願日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【分割の表示】特願2008−154786(P2008−154786)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】