説明

遊技設備

【課題】 車いすの利用者が車いすに座った状態のまま、容易に遊技機と向き合うことができ、かつ、車いすの利用者が遊技機と向き合ったときに生じる、遊技機の位置と車いすの利用者の位置とのずれを小さくすることができる遊技設備を提供すること。
【解決手段】 車いすWCの前輪FWおよび主輪MWをターンテーブル30の凹部32,33に嵌合させると、車いすWCが現在の向きからスロットマシン4に正対するまでターンテーブル30が回転する。また、車いすの利用者がスロットマシン4から離れる場合、スロットマシン4に設けられた右スイッチを押すと、ターンテーブル30がスロットマシン4に向って右方向に90゜回動して停止し、スロットマシン4に設けられた左スイッチ18を押すと、ターンテーブル30が、反時計回りに角度情報θが270゜になるまで回動して停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすの利用者が容易に遊技を行うことができる遊技設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機を設置して、遊技を提供するぱちんこ屋などの遊技場では、複数の遊技機が、島と呼ばれる遊技機を取り付けるための台および枠に、横一列に並べて固定、設置されている。また、遊技場に複数の島を設置する場合は、各島を、遊技機列の方向と直交する方向に、一定の間隔をおいて設置され、これにより、各島に設置された遊技機は互いに向い合うこととなる。そして、島と島の間の空間は遊技者が通行するための通路となり、この通路は、遊技機列の方向と並行に形成されることとなる。
【0003】
さらに、島に設置された各遊技機の前方には、それぞれ遊技者が座って遊技を行えるように椅子が配置されており、これらの椅子には、遊技場によって、脚にキャスターを取り付けて椅子を移動しやすくしたものや、床に固定設置したものが使用されている。ここで、たとえば車いすの利用者が遊技場で遊技をする場合、移動可能な椅子が配置されている場合は、その椅子を移動させた後、車いすに座ったまま遊技を行うことができるが、他の遊技者の邪魔にならない場所を確保し、そこまで配置されていた椅子を移動させなければならないという問題がある。また、椅子が床に固定されている場合は、車いすから固定された椅子へ移らなければならないため、移動に大変な労力を要するとともに、車いすの保管場所を確保しなければならないという問題がある。
【0004】
そこで、車いすの利用者が、車いすに座ったまま遊技を行いやすいように、特許文献1には、島に取り付けられた各遊技機に対応して配置された椅子を、遊技機が載置された台の下側に収納する遊技設備が開示されている。特許文献1に開示された遊技設備では、各遊技機の前方床面にターンテーブルを設け、ターンテーブルの一箇所に支柱を立設してその上に座席部を設けている。そして、椅子を収納する場合は、ターンテーブルを回転させることにより、島に設置された遊技機の下側に設けられている収納スペースへ移動させる。
【0005】
上述した特許文献1に開示されている遊技設備においては、椅子を移動、収納する構成としてターンテーブルを採用しているが、それ以外の方法により椅子を移動、収納する遊技設備としては、たとえば、特許文献2に開示されているようなものがある。特許文献2に開示されている遊技設備では、モータ駆動機構によって、遊技機の底部から前方に突出し、または、遊技機内部に没入するスライド体の先端に、リンク機構を介して椅子の支柱を取り付けている。そして、スライド体が遊技機内に没入しているとき(遊技中)は、支柱が遊技機から離れる方向に傾いて遊技者が椅子に腰掛けることができ、スライド体が遊技機から突出しているとき(非遊技中)は、支柱が直立して椅子の腰掛部分が遊技機方向に傾動(移動)して、椅子の背もたれ部により遊技機の液晶表示装置が隠される。これにより、遊技が行われていないときは、通路を広く取ることができるとともに遊技機の液晶表示装置を保護することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−216349号公報
【特許文献2】特開2007−020903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に開示されている遊技設備では、椅子を遊技機の下側に設けられた収納部に収納することによって遊技機の前方に広いスペースが得られるので、車いすの利用者は、車いすに座ったままの状態で遊技を行うことができるとともに、各遊技機に対して配置していた椅子の移動が容易となり、かつ、移動後の椅子の保管場所を別途確保する必要が無いという利点がある。
【0008】
しかしながら、前述したように、島と島の間に形成された通路は、島に設置された遊技機列と並行しているため、車いすの利用者は、通路を走行して所望する遊技機の近くまで来ると、車いすの向きをほぼ90゜変えて当該所望する遊技機と向い合わなくてはならない。このとき、遊技機と正対することができなかった場合、遊技がしづらくなり、さらに、隣の遊技者に接近しすぎた場合は、ゆったりと遊技をすることができなくなるといった問題が生じる。そこで、このような場合、車いすの利用者は車いすの位置を修正することになるが、車いすを小刻みに操らなければならない場合もあり、車いすの利用者に余計な負担がかかるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、車いすの利用者が車いすに座った状態のまま、容易に遊技機と向き合うことができ、かつ、車いすの利用者が遊技機と向き合ったときに生じる、遊技機の位置と車いすの利用者の位置とのずれを小さくすることができる遊技設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の遊技機を並設してなる遊技機列の複数を、車いすが通過可能な幅とした通路を介して配置し、各々の遊技機列の各遊技機において遊技を提供する遊技設備であって、前記遊技機列を構成する各遊技機に対応する床面に設けられ、前記車いすが載置された状態で回動するターンテーブルと、前記ターンテーブルの盤面に前記車いすが載置されたことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記車いすが載置されたことを検出すると、前記ターンテーブルを初期位置から前記車いすの前方が前記遊技機と対向する位置まで回動させる回動駆動手段と、外部からの指示に従って、前記回動駆動手段に、前記ターンテーブルを前記遊技機と対向する位置から前記初期位置まで回動させる初期位置復帰手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
ここで、「車いすが通過可能な幅」とは、少なくとも日本工業規格で定められた車いすの幅(JIS T9201,T9203では700mm以下)よりも広い幅であり、手動車いすの操作を考慮すると900mm以上であることが望ましい。また、「初期位置」とは、言い換えると、予め定めた基準位置に対するターンテーブルの特定の回転角度をいい、全周360゜のうち、1つまたは複数の角度を初期位置として定めたものである。また、複数の角度を初期位置として定めた場合、初期位置復帰手段によってどの初期位置へ復帰するのかについては、いずれの初期位置へ復帰させるのかを決定する条件を適宜定め、その条件に応じた初期位置へ復帰させればよい。
【0012】
本発明によれば、車いすの利用者が、通路を通って、遊技機列のうち所望する遊技機に対応して設けられたターンテーブルへ車いすを進めると、ターンテーブルに車いすが載置されたことが検出手段によって検出され、車いすに座っている上記利用者が、遊技機と向き合う位置までターンテーブルが回動する。これにより、車いすの利用者は、労力を使うことなく遊技機と向き合う位置まで車いすを方向転換させることができる。また、ターンテーブルの盤面の大きさを適宜定めることによって、車いすの利用者が遊技機と向き合ったときの、遊技機の位置と車いすの利用者の位置とのずれを小さくすることができる。
【0013】
また、本発明は、上記の遊技設備において、前記ターンテーブルの盤面には、前記車いすの車輪が嵌合する凹部が設けられ、前記検出手段は、前記車いすの車輪が前記凹部に嵌合したことを検知することにより、前記ターンテーブルの盤面に前記車いすが載置されたことを検出することを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、ターンテーブルの盤面に車いすの車輪が嵌合する凹部が設けられているため、車いすの利用者をターンテーブルの定位置まで誘導しやすくなり、車いすが遊技機と向き合ったときに、互いの位置のずれをより小さくすることができる。また、検出手段が上記凹部に車いすの車輪が嵌合したことを検出しないうちはターンテーブルが回動しないため、回動中に車いすの車輪がターンテーブルから脱落するおそれを少なくすることができ、安全性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、上述したいずれかの遊技設備において、遊技者が遊技を行う際に腰掛ける椅子を収納した収納部と、前記椅子を前記収納部から外部へ移動可能に支持する支持手段とを備えることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、必要に応じて遊技設備に備え付けられている椅子を、収納部から取り出し、または、収納部へ収納させることが可能となる。これにより、必要に応じて車いすを利用していない者に対して椅子を提供することができ、車いすの利用者のみならず、車いすを利用していない者に対しても遊技しやすい環境を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、上記の遊技設備において、外部からの操作に応じて前記収納部から前記椅子を引き出す指示を行う指示手段と、前記指示手段からの指示に応じて、前記支持手段を前記収納部から外部へ移動させる移動駆動手段とを備えることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、車いすを利用しない者が遊技設備に備えられている椅子を利用する場合、指示手段を操作すると、当該椅子が収納部から外部へ移動する。これにより、上記椅子を車いすを利用しない者が自らの手によってわざわざ収納部から取り出す必要が無くなる。
【0019】
また、本発明は、上記の遊技設備において、前記椅子を、遊技者が腰掛ける座部と、前記座部に対して立ち上がった状態から前記座部に重なる位置まで折り畳み可能な前記ターンテーブルの盤面からなる背もたれ部とにより構成し、前記収納部を、前記遊技機列を構成する各遊技機の前方床面に設け、前記支持手段は、前記背もたれ部が折り畳まれた状態でその表面が床面に一致する位置と、予め定められた高さとの間で、前記椅子を突出・没入可能に支持することを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、車いすを利用しない利用者のために備えられた椅子が収納部に収納されているときは、上記椅子の背もたれ部がターンテーブルとなって、検出手段によって車いすが載置されたことが検出されると、その利用者が遊技機と向き合う位置まで回動する。また、指示手段が操作されると、移動駆動手段によって上記椅子が床面から突出して、車いすを利用しない者が腰掛けることができる。すなわち、車いすの向きを変えるためのターンテーブルと、車いすの利用者でない者のための椅子とを兼用することで、ターンテーブルを回動させる回動駆動手段、椅子を移動させる移動駆動手段、椅子を収納する収納部などの設置を一箇所にまとめることができ、遊技場の空間を有効に活用することができる。
【0021】
さらに、本発明は、複数の遊技機を並設してなる遊技機列の複数を、車いすが通過可能な幅とした通路を挟んで各遊技機列の遊技機が対向するように配置し、各々の遊技機列の各遊技機において遊技を提供する遊技設備であって、対向する前記遊技機の間の床面に設けられ、前記車いすが載置された状態で回動するターンテーブルと、前記対向する遊技機に各々対応して設けられ、外部からの操作によって前記ターンテーブルの回動開始を指示する回動指示手段と、前記回動指示手段により前記ターンテーブルの回動開始が指示されると、前記ターンテーブルを、初期位置から該回動開始を指示した回動指示手段に対応する遊技機と対向する位置まで回動させる回動駆動手段と、外部からの指示に従って、前記回動駆動手段に、前記ターンテーブルを前記遊技機と対向する位置から前記初期位置まで回動させる初期位置復帰手段とを備えることを特徴としている。
【0022】
ここで、「車いすが通過可能な幅」とは、手動車いすの操作を考慮すると900mm以上であることが望ましい。また、「初期位置」とは、言い換えると、予め定めた基準位置に対するターンテーブルの特定の回転角度をいい、全周360゜のうち、1つまたは複数の角度を初期位置として定めたものである。また、複数の角度を初期位置として定めた場合、初期位置復帰手段によってどの初期位置へ復帰するのかについては、いずれの初期位置へ復帰させるのかを決定する条件を適宜定め、その条件に応じた初期位置へ復帰させればよい。
【0023】
本発明によれば、車いすの利用者が、通路を通って、遊技機列のうち所望する遊技機に対応して設けられたターンテーブルへ車いすを進め、当該遊技機に対応して設けられた回動指示手段を操作すると、車いすに座っている上記利用者が、上記回動指示手段に対応する遊技機と向き合う位置までターンテーブルが回動する。これにより、車いすの利用者は、労力を使うことなく所望する遊技機と向き合う位置まで車いすを方向転換させることができる。また、1つのターンテーブルが対向する2台の遊技機に対応して設けられているので、これら遊技機間の移動が容易になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の遊技設備によれば、車いすの利用者が車いすに座った状態のまま、容易に遊技機と向き合うことができ、かつ、車いすの利用者が遊技機と向き合ったときに生じる、遊技機の位置と車いすの利用者の位置とのずれを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係る遊技設備が導入された遊技場のフロアの平面図を模式的に示したものである。この図において、長方形をなす遊技場のフロア1には、各々5台のスロットマシン4が横一列に設置された、6つの島2a〜2fが設置されている。ここで、本実施形態では、遊技機としてスロットマシン4が設置された島を例に説明を行うが、遊技機は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、並びに、じゃん球遊技機といった弾球遊技機、または、遊技媒体としてパチンコ球を使用するスロットマシンであってもよい。また、以下、島2a〜2fの長手方向において、遊技機4が設置されている面を前面、設置されていない面を背面という。
【0026】
図1に示すように、島2a〜2fのうち、島2aは、その背面がフロア1の短手方向左側の壁面に沿って設置され、島2fは、その背面がフロア1の短手方向右側の壁面に沿って設置されている。また、島2bと島2c、および、島2dと島2eは、互いに背面が接するように配置され、島2aの前面と島2bの前面とが対向し、また、島2eの前面と島2fの前面とが対向するように設置されている。これにより、島2aに設置されたスロットマシン4は、各々、島2bに設置されたスロットマシン4と対向し、島2cに設置されたスロットマシン4は、各々、島2dに設置されたスロットマシン4と対向し、島2eに設置されたスロットマシン4は、各々、2fに設置されたスロットマシン4と対向することとなる。また、島2aと島2bの間、島2cと島2dの間、および、島2eと島2fの間には、各々、1メートルの幅を有する通路が形成されている。さらに、島2a〜2fに各々設置されているスロットマシン4に対応して、その前方床面には、後述するターンテーブル30が設けられている。
【0027】
島2a〜2fの長手方向両端部には、各々の島に設置されたスロットマシン4で遊技をしている遊技者から遊技場の係員の呼び出しが行われたことや、ボーナスゲーム(後述する)が開始されたことを報知するための報知ランプ3が設けられている。また、島2aおよび島2fの長手方向の一方端部(図1中、上側)には、紙幣を硬貨に両替する両替機5が、それぞれ設置されている。さらに、島2bおよび島2c、ならびに、島2dおよび島2eの長手方向の一方端部には、遊技者が遊技によって獲得した遊技メダルの枚数を計数するための計数機6が、それぞれ設置されている。
【0028】
次に図2を参照して、島2a〜2fの前面構成について説明する。ここで、図2には、一例として島2bの長手方向一端部(計数機6が設置されている側)における前面構成の一部を示しているが、島の長手方向の一方端部に設置された機器(図2においては、計数機6)を除き、他の島においても同様の前面構成になっている。また、この図において、図1と同一の部分については、同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。図2において、島2bの前面には、床面から所定の高さの位置に、カウンタ7が設けられており、このカウンタ7の上には、スロットマシン4が一定の間隔をおいて載置されている。
【0029】
また、各スロットマシン4の上側には、各々対応するスロットマシン4の遊技情報を表示する、遊技情報表示器8が設置されている。この遊技情報表示器8が表示する遊技情報としては、対応するスロットマシン4において、当日、昨日、および、一昨日にボーナスゲームへ移行した回数、当日における直近のボーナスゲームの終了後からの遊技実行回数などが表示される。また、遊技情報表示器8には、スロットマシン4において遊技中に何らかの異常が生じた場合、遊技者が遊技場の係員を呼び出すためのコールボタンを備えている。このコールボタンが押されると、報知ランプ3のランプが点滅して、係員に遊技者が呼んでいることを知らせる。
【0030】
次に、図3を参照して島2a〜2fに設けられているスロットマシン4の外観構成について説明する。図3は、スロットマシン4の正面図である。スロットマシン4の正面(遊技者に対向する面)中央やや上側には、画像を表示することで遊技の興趣を向上させるための演出を行い、また、後述する報知を行うための画像などを表示する液晶表示装置10が設置されている。この液晶表示装置10の下側には、3個のリール11L,11C,11Rが回転自在に横一列に設けられており、これらリールの外周面には、それぞれ、8種類の図柄で構成される21個の図柄が等間隔で配置された図柄列が描かれている。このうち、遊技中の遊技者には、連続する3つの図柄のみ(すなわち、リールが3つあるので、計9つの図柄)が視認可能になっている。
【0031】
スロットマシン4は、リール11L,11C,11Rによって遊技者へ表示される9個の図柄に基づいて入賞などの成否を判定する。具体的には、予めリール11L,11C,11Rを横断する複数の入賞ラインが予め定められており、これらの入賞ラインに沿ってリール11L,11C,11Rにそれぞれ表示された図柄の組合せに応じて、入賞したか否かが判定される。そして、予め定められた図柄組合せに各種の役が対応付けられており、当該予め定められた図柄組合せが入賞ラインに沿って表示された場合、その図柄組合せに対応する役が成立したこととなり、成立した役に応じて遊技者へ特典が付与される。
【0032】
役の種類としては、所定枚数の遊技メダルが遊技者へ払い出される小役、遊技メダルを投入することなく、もう一度遊技を行うことができるリプレイ役、および、次の遊技からボーナスゲームが開始されることとなるボーナス役などがある。ここで、ボーナスゲーム中は、予め定められた枚数の遊技メダルが払い出されるまで、もしくは、予め定められた回数の遊技を行うまで、または、予め定められた回数だけ小役が成立するまで、上述した小役が成立する確率が高くなり、遊技者が少ない遊技回数で多数の遊技メダルを獲得しやすい状態となる。また、リプレイ役が成立した後、遊技メダルを投入することなく行うことができる遊技を再遊技という。
【0033】
リール11L,11C,11Rの下側には、ストップスイッチ12L,12C,12Rが配置されている。これらのストップスイッチ12L,12C,12Rは、リール11L,11C,11Rに各々対応しており、たとえば、ストップスイッチ12Lが押されたときは、後述するメイン制御部により左リール11Lの停止制御が行われる。同様に、ストップスイッチ12Cが押されたときは中リール11Cの停止制御が、ストップスイッチ12Rが押されたときは右リール11Rの停止制御がそれぞれ行われる。リール11Lの左側には、スロットマシン4で行われる遊技に関する情報を表示する遊技情報表示部13が設けられている。ここで、遊技情報表示部13により表示される遊技情報としては、たとえば、1回の遊技において投入された遊技メダルの枚数、スロットマシン4に貯留(後述する)されている遊技メダルの枚数、および、小役成立時に遊技者へ払い出される遊技メダルの枚数のほか、遊技メダルを投入できる状態になっているか否か、遊技を開始可能な状態であるか否か、これから行われる遊技が再遊技であるか否か、といった情報が表示される。
【0034】
ストップスイッチ12Rの右側には、スロットマシン4で遊技を行う際に遊技メダルを投入するためのメダル投入口14が設けられている。ここで、1回の遊技でスロットマシン4に投入することができる遊技メダルの枚数は最大で3枚になっており、1回の遊技を開始する前に3枚を超える遊技メダルが投入された場合、それらの遊技メダルは、スロットマシン4に貯留されることとなる。リール11Lの左側には、MAX−BETスイッチ15および1−BETスイッチ16が設けられている。これら各BETスイッチは、スロットマシン4に貯留されている遊技メダルを用いて遊技するためのスイッチであり、スロットマシン4に3枚以上の遊技メダルが貯留されている状態でMAX−BETスイッチ15が操作されると、貯留されているメダルのうち、3枚のメダルが一度にスロットマシン4へ投入される。また、1−BETスイッチ16が操作されると、1回操作されるごとに、スロットマシン4に貯留されているメダルから1枚ずつ、遊技メダルがスロットマシン4へ投入される。さらに、1−BETスイッチ16の上側には、図1に示したターンテーブル30の回転を制御し、また、図2に示したカウンタ7の下に収納されている椅子40(後述する)の取出/収納を制御する際に操作する右スイッチ17および左スイッチ18が設けられている。
【0035】
ストップスイッチ12Lの左側には、遊技者による傾動操作により、3つのリール11L,11C,11Rの可変表示を開始させるレバー型のスタートスイッチ19が設けられている。また、スタートスイッチ19の左側には、スロットマシン4に貯留されたメダルを排出するためのメダル排出スイッチ20が設けられている。ストップスイッチ12L,12C,12R、スタートスイッチ19、および、メダル排出スイッチ20の下側には、スロットマシン4に付与された機種名や、スロットマシン4のコンセプトに沿ったキャラクタなどの絵柄が描かれた腰部パネル21が配置されている。さらに腰部パネル21の下側にはメダル排出口22が設けられており、スロットマシン4で遊技が行われた結果、入賞したとき、および、スロットマシン4にメダルが貯留されている状態でメダル排出スイッチ20が押された場合に、メダル排出口22からメダルが排出される。これら排出されたメダルは、メダル受皿23に貯留される。また、スロットマシン4の最上部には、遊技の状況に応じた発光パターンで発光し、視覚的な演出や報知が行われる上部ランプ24が設けられており、上部ランプ24の左右には、遊技の状況に応じた操作音や演出音、報知音などを出力する左スピーカ25Lおよび右スピーカ25Rが配設されている。
【0036】
次に、図4に示す図を参照して、図1に示したターンテーブル30の構造について説明する。ここで、図1および図2に示した各部と同じ部分については同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図4(a)は、2つの島にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を、側面から見た図であり、2つの島の間にある通路において、ターンテーブル30が設けられた箇所の床面を一部断面で図示している。図4(b)は、2つの島にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を上から見下ろした図である。
【0037】
図4に示すように、円盤状のターンテーブル30は、スロットマシン4の前方床面に設けられた円形の窪みHの中に設置されている。この窪みHの直径は、ターンテーブル30の直径よりも若干大きくなっており、ターンテーブル30は、窪みH内において3つの支持ローラ31によって、ターンテーブル30の中心点を軸として回転可能に支持されている。また、ターンテーブル30が支持ローラ31に支持された状態にあるとき、ターンテーブル30の表面と床面とは、一致する高さになっている。ターンテーブル30の表面には、車いすWCの前輪FWが嵌合する凹部32と、主輪MWが嵌合する凹部33がそれぞれ形成されている。また、図4には示していないが、凹部32および凹部33の内部には、それぞれ車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが嵌合したことを検出する車輪センサ32s,33sが設けられている。この車輪センサ32s,33sは、ターンテーブル30の盤面に車いすWCが載置されたことを検出する検出手段に相当し、具体的には、フォトカプラ、圧力センサ、または、機械的なスイッチなどを使用することができる。
【0038】
ターンテーブル30の表面、周縁部において、車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが各々凹部32および凹部33に嵌合しているときの、車いすWCの進行方向に一致し、かつ、ターンテーブル30の中心点を通過する線A上には、三角形のマークMが描かれている。このマークMが描かれている位置は、ターンテーブル30の基準位置と定められている。また、ターンテーブル30の表面には、上述した線Aに直交し、かつ、ターンテーブル30の中心点を通過する線Bに沿って、後述する摺動部材43を通過させるための溝部34が形成されている。
【0039】
ターンテーブル30は、その中心点の裏面において、ターンテーブル30を正逆転させる回転用モータ35のモータ軸35sに固定されている。ここで、以下では、ターンテーブル30の時計回りの回転を正転とし、反時計回りの回転を逆転とする。また、図4には示していないが、回転用モータ35には、ロータリエンコーダ35eが設けられており、回転用モータ35の回転角度に関する情報(以下、角度情報θという)を出力する。この角度情報θは、上述したマークMがスロットマシン4と正対するとき、0゜となり、ターンテーブル30が時計回りに回転するとともにその値が増していく。なお、通路の床面において、島2の内部からターンテーブル30に向かって、前述した摺動部材43を通過させるための床面溝部36が形成されており、上述した溝部34は、ターンテーブル30が90゜または270゜の回転角度にあるとき、スロットマシン4と正対し、床面溝部36と一直線をなす。また、回転角度90゜または270゜を、それぞれターンテーブル30の初期位置としている。すなわち、ターンテーブル30の初期位置は2つ存在する。
【0040】
また、島2のカウンタ7の下側には、車いすWCを利用しない遊技者のための椅子40が収納されている。椅子は、遊技者が腰掛ける座部41と、座部41を回動自在に支持する脚42とからなる。また、図5に示すように、脚42は、前述した摺動部材43の一端に固定設置されている。この摺動部材43の一端側(脚42が固定されている側)には、摺動部材43の摺動を滑らかにするためのローラ44が取り付けられている。また、摺動部材43の一端側には、プッシュスイッチ45が設けられており、プッシュスイッチ45は、通常時は突出してOFF状態になっているが、摺動部材43の一端側が図5中、左側に移動して溝部34の垂直壁34wに接すると、摺動部材43内に没入してON状態になる。
【0041】
摺動部材43の裏面には、ラック43rが形成されており、島2の内部に設置されている移動用モータ46のモータ軸に取り付けられたピニオン46pと噛み合うようになっている。これにより、移動用モータ46のモータ軸が、反時計回りに回転(以下、逆転という)すると、摺動部材43はターンテーブル30の方向(図5中、左方向)へ移動し、時計回りに回転(以下、正転という)すると、島2の方向(図5中、右方向)へ移動する。また、島2の内部にはリミットスイッチ47が設けられており、椅子40がカウンタ7の下側へ収納される位置(図4(a)および図5において破線で示す位置)まで到達すると、脚42がリミットスイッチ47に接してON状態となる。これにより、島2のカウンタ7の下側は、椅子40を収納する収納部に相当し、摺動部材43は、この収納部から椅子を外部へ移動可能に支持する支持手段に相当する。
【0042】
また、前述した座部41の中には、圧力センサ48が設けられており、通常時はOFF状態になっているが、遊技者が座部41に腰掛けると、その重さによりON状態となる。さらに、島2の内部には、制御部50が設置されており、前述した車輪センサ32s,33s、プッシュスイッチ45、リミットスイッチ47、および、圧力センサ48の状態に基づいて、回転用モータ35および移動用モータ46を制御する。
【0043】
次に、図6に示すブロック図を参照して制御部50の構成について説明する。なお、この図において、図3〜図5に示した各部と同じ部分については同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図6において、CPU51は、ROM52に記憶された制御プログラムを実行することにより、外部から入力される各種スイッチの状態に基づいて、前述した回転用モータ35および移動用モータ46の駆動制御を行う。また、CPU51は、計時機能を備えており、上述した制御プログラムを処理しつつ、当該制御プログラムに従って、計時の開始または停止を行う。
【0044】
RAM53には、CPU51によって上述した制御プログラムが実行される過程で発生する各種データを一時的に記憶する。RAM53に記憶されるデータの中には、ロータリエンコーダ35eから出力される角度情報θ、および、ターンテーブル30の基準位置(マークMが描かれている位置)が、スロットマシン4と正対しているか、それとも初期位置にあるかを示すフラグTFの内容が含まれている。すなわち、フラグTFの値が“0”だった場合、ターンテーブル30の基準位置が初期位置にあることを意味し、“1”だった場合は、スロットマシン4と正対していることを意味している。また、CPU51、ROM52、および、RAM53は、各々バス54に接続されており、CPU51は、バス54を介してROM52およびRAM53とデータの授受を行う。
【0045】
バス54には、入力インタフェース55が接続されており、入力インタフェース55は、スロットマシン4に設けられた右スイッチ17および左スイッチ18のON/OFF状態、並びに、車輪センサ32s,33s、プッシュスイッチ45、リミットスイッチ47のON/OFF状態、および、圧力センサ48のON/OFF状態、ロータリエンコーダ35eから出力される角度情報θを、バス54を介してCPU51へ出力する。また、CPU51は、バス54を介して駆動回路56,57と接続されており、駆動回路56により回転用モータ35を、駆動回路57により移動用モータ46を駆動制御する。
【0046】
次に図7および図8に示すフローチャートを参照して、上述した制御部50による回転用モータ35および移動用モータ46の駆動制御の流れについて説明する。まず、図7において、CPU51は、ターンテーブル30の凹部32,33に設けられた車輪センサ32s,33sがともにON状態になったか否かを判断する(ステップS1)。双方の車輪センサがONになっていた場合は、ターンテーブル30の凹部32,33に、車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが嵌合しているものとみなし、ステップS1の判断結果がYESとなり、CPU51は、次にRAM53に記憶されているフラグTFの値が“0”になっているか否かを判断する(ステップS2)。フラグTFの値が“0”になっている場合は、ステップS2の判断結果がYESとなり、CPU51は、ターンテーブル30が初期位置にあるものとみなし、RAM53に格納されている角度情報θの値を読み取る(ステップS3)。
【0047】
そして、角度情報θが180゜未満を示しているか否かを判断し(ステップS4)、角度情報θが180゜未満を示していた場合は、ステップS4の判断結果がYESとなり、CPU51は、駆動回路56により回転用モータ35を逆転(角度情報θの値を減少)させる(ステップS5)。これに対して角度情報θが180゜以上であった場合は、ステップS4の判断結果がNOとなり、CPU51は駆動回路56により回転用モータ35を正転(角度情報θの値を増大)させる(ステップS6)。そして、ステップS5またはS6の処理により回転用モータ35を正転または逆転させると、次にCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが0゜になったか否かを判断する(ステップS7)。
【0048】
角度情報θが0゜になっていない場合は、ステップS7の判断結果がNOとなり、CPU51は、ステップS4の処理に戻ってステップS5またはS6の処理を行い、引き続き回転用モータ35を正転または逆転させる。そして、角度情報θが0゜になると、ステップS7の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFの値を“1”にセットし(ステップS8)、回転用モータ35を停止させる(ステップS9)。その後、CPU51は、現状の角度情報θの値(ここでは0゜)をRAM53に格納し(ステップS10)、ステップS1の処理へ戻る。
【0049】
一方、前述したステップS2において、RAM53に格納されているフラグTFの値が“1”になっていた場合、ステップS2の判断結果がNOになって、CPU51は、ターンテーブル30上に車いすWCが載っており、かつ、当該車いすWCの利用者がスロットマシン4と正対しているとみなし、スロットマシン4の右スイッチ17(図3参照)がONになっているか否かを判断する(ステップS11)。右スイッチ17がONになっていた場合は、ステップS11の判断結果がYESとなって、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を正転させる(ステップS12)。次いでCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になったか否かを判断し(ステップS13)、90゜になっていない場合はステップS13の判断結果がNOとなり、ステップS12の処理へ戻って引き続き回転用モータ35を正転させる。
【0050】
そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になるまでステップS12およびS13の処理を繰り返し行い、角度情報θが90゜になると、ステップS13の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFの値を“0”にリセットした後(ステップS14)、ステップS9の処理へ移行して回転用モータ35を停止させ、ステップS10の処理により現状の角度情報θの値(ここでは90゜)をRAM53に格納して、ステップS1の処理へ戻る。
【0051】
これに対して、前述したステップS11の処理において、右スイッチ17がOFFになっていた場合、判断結果がNOとなり、CPU51は、スロットマシン4の左スイッチ18(図3参照)がONになっているか否かを判断する(ステップS15)。そして、左スイッチ18もOFFになっていた場合は、ステップS15の判断結果がNOとなり、CPU51はステップS1の処理へ戻る。一方、左スイッチ18がONになっていた場合は、ステップS15の判断結果がYESとなって、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を逆転させる(ステップS16)。そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になったか否かを判断し(ステップS17)、270゜になっていない場合はステップS17の判断結果がNOとなって、ステップS16の処理へ戻り、引き続き回転用モータ35を逆転させる。
【0052】
そして、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になるまでCPU51は、ステップS12およびS13の処理を繰り返し行い、角度情報θが270゜になると、ステップS13の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFの値を“0”にリセットした後(ステップS18)、ステップS9の処理へ移行して回転用モータ35を停止させ、ステップS10の処理により現状の角度情報θの値(ここでは270゜)をRAM53に格納して、ステップS1の処理へ戻る。
【0053】
次に、前述したステップS1で、ターンテーブル30の凹部32,33に設けられた車輪センサ32s,33sの双方、もしくは、一方がOFF状態になっていた場合、ステップS1の判断結果はNOとなり、CPU51は、座部41の中に設けられた圧力センサ48(図5参照)がOFFになっているか否かを判断する(図8,ステップS20)。ここで、圧力センサ48がONになっていた場合は、椅子40に遊技者が腰掛けているものとして、CPU51は、そのまま図7のステップS1の処理へ戻る。これに対して、圧力センサ48がOFFになっていた場合は、ステップS20の判断結果がYESとなって、スロットマシン4の右スイッチ17がONになっているか否かを判断する(ステップS21)。
【0054】
右スイッチ17がOFFになっていた場合は、ステップS21の判断結果がNOとなって、CPU51は、現在計時中であるか否かを判断する(ステップS22)。CPU51が計時を行っていなければ、ステップS22の判断結果がNOとなり、CPU51は、計時を開始し(ステップS23)、その後、計時を開始してから予め定められた時間が経過したか否かを判断する(ステップS24)。なお、上述したステップS22において、CPU51が計時を行っていた場合は、ステップS22の判断結果がYESとなって、直接ステップS24の処理へ移行し、計時を開始してから予め定められた時間が経過したか否かを判断する。そして、ステップS24において、計時を開始してから予め定められた時間が経過していなかった場合は、ステップS24の判断結果がNOとなって、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0055】
これに対して、ステップS23で計時を開始してから予め定められた時間が経過すると、ステップS24の判断結果がYESとなって、CPU51は、計時時間をクリアし(ステップS25)、移動用モータ46を正転させる(ステップS26)。そして、リミットスイッチ47がONになった否かを判断し(ステップS27)、ONになっていなければ、ステップS27の判断結果がNOとなってステップS26の処理へ戻り、引き続き移動用モータ46を正転させる。これにより、摺動部材43は、カウンタ7の下側へと移動を開始する。そして、以下、ステップS26とS27の処理を繰り返し行い、椅子40がカウンタ7の下側へ収納されると、脚42とリミットスイッチ47とが接し、リミットスイッチ47がONになる。これにより、ステップS27の判断結果がYESとなり、CPU51は、移動用モータ46を停止させ(ステップS28)、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0056】
一方、前述したステップS21において、スロットマシン4の右スイッチ17が遊技者によって押されてONになると、ステップS21の判断結果はYESとなり、CPU51は、移動用モータ46を逆転させる(ステップS29)。そして、プッシュスイッチ45がONになった否かを判断し(ステップS30)、ONになっていなければ、ステップS30の判断結果がNOとなって、CPU51は、ステップS29の処理へ戻り、引き続き移動用モータ46を逆転させる。これにより、摺動部材43は、ターンテーブル30側へと移動を開始する。そして、以下、ステップS29とS30の処理を繰り返し行い、プッシュスイッチ45が、溝部34の垂直壁34w(図5参照)に接すると、プッシュスイッチ45がONになる。これにより、ステップS30の判断結果がYESとなり、CPU51は、移動用モータ46を停止させ(ステップS28)、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0057】
上述した駆動制御を行う遊技設備においては、車いすの利用者が、対向する2つの島2の間の通路を通り、島2に設置されたスロットマシン4のうち、所望するスロットマシン4に対応するターンテーブル30の凹部32,33に、それぞれ車いすWCの前輪FWおよび主輪MWを嵌合させる。ここで、ターンテーブル30の初期位置は、基準位置が90゜または270゜の角度になっていることから、ターンテーブル30の表面に形成された凹部32,33の方向は、通路と平行になっており(図4(b)、右側のターンテーブル30参照)、通路を通ってきた車いすの前輪および主輪を、凹部32,33に嵌合させ易くなっている。
【0058】
車いすWCの前輪FWおよび主輪MWを、凹部32,33に嵌合させると、車輪センサ32s,33sがともにON(図7のステップS1,YES)となる。そして、初期状態ではフラグTFの値が“0”になっている(ステップS2,YES)ことから、車いすWCが、現在の向きからスロットマシン4に正対するまでターンテーブル30が回転する(ステップS3〜S7,YES)。このとき、ターンテーブル30は、初期位置に応じて回転する角度が小さくて済む方向(初期位置が90゜のときは反時計回り、270゜のときは時計回り)に回転する。また、車いすWCがスロットマシン4と正対するまでターンテーブル30が回転すると、フラグTFの値が“1”とした後(ステップS8)、回転用モータ35を停止させる(ステップS9)。これにより、ステップS1〜S9の処理を行うCPU51は、回動駆動手段に相当するといえる。
【0059】
また、車いすの利用者が遊技を行っている間、CPU51は、ステップS1→S2→S11→S15→S1→……の処理を繰り返し行い、待機状態となっている。そして、車いすの利用者が遊技をやめて移動する場合、スロットマシン4の右スイッチ17を押すと(ステップS11,YES)、ターンテーブル30は、時計回りに角度情報θが90゜になるまで(すなわち、スロットマシン4に向って右方向に90゜)回動して停止する(ステップS12〜S14→S9)。また、左スイッチ18を押すと(ステップS15,YES)、ターンテーブル30は、反時計回りに角度情報θが270゜になるまで(すなわち、スロットマシン4に向って左に90゜)回動して停止する(ステップS16〜S18→S9)。これにより、ステップS11〜S18およびS9の処理を行うCPU51は、初期位置復帰手段に相当するといえる。
【0060】
このように、上述した遊技設備では、車いすの利用者が、通路を通って、所望するスロットマシン4に対応して設けられたターンテーブル30の凹部32,33に車いすWCの凹部32,33に嵌合させると、車輪センサ32s,33sによってターンテーブル30に車いすWCが載置されたことが検出され、ターンテーブル30が、車いすWCとスロットマシン4とが正対する位置まで回動する。これにより、車いすの利用者は、労力を使うことなくスロットマシン4と向き合う位置まで車いすを方向転換させることができる。また、ターンテーブル30の回動は、まず、車いすWCの前輪FWおよび主輪MWの双方が、凹部32,33に嵌合し、次に、凹部32,33内に設けられた車輪センサ32s,33sによって前輪FWおよび主輪MWの双方が検出されなければ、開始されない。このため、車いすWCの利用者をターンテーブル30の所定位置まで誘導しやすくなり、車いすWCがスロットマシン4と向き合ったときに、互いの位置のずれをより小さくすることができる。また、ターンテーブル30の回動中に、車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが、ターンテーブル30から脱落するおそれを少なくすることができ、安全性を向上させることができる。
【0061】
また、車輪センサ32s,33sによって車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが検出されない場合(ステップS1,NO)は、右スイッチ17が押されると(図8,ステップS21,YES)、移動用モータ46が逆転して、椅子40がカウンタ7の下側からターンテーブル30の方向へ引き出され(ステップS29,S30)、車いすWCを利用していない遊技者が、椅子40に腰掛けて遊技を行うことができる。これにより、右スイッチ17は、外部からの操作に応じてカウンタ7の下側から椅子40を引き出す指示を行う指示手段に相当し、ステップS29,S30の処理を行うCPU51は、移動駆動手段に相当する。また、遊技者が椅子40に腰掛けている間は、圧力センサ48がON状態になる(ステップS20,NO)ことから、CPU51は、図7のステップS1および図8のステップS20の処理を繰り返し実行して待機状態となる。そして、この遊技者が椅子40から離れ(ステップS20,YES)、そのまま放置された場合(ステップS21,NO)は、計時が開始され(ステップS23)、所定時間が経過すると(ステップS24,YES)、移動用モータ46が正転して(ステップS26)、椅子40がカウンタ7の下側まで移動させられる(ステップS27,S28)。
【0062】
これにより、車いすWCを利用しない遊技者であっても、椅子40に座りながら遊技を行うことができ、また、離席した場合は、所定時間が経過すると、自動的に椅子40がカウンタ7の下側に収納されるので、次に当該スロットマシンで車いすの利用者が遊技を行う場合、椅子40が邪魔になることがない。
【0063】
次に上述した遊技設備の変形例について図9および図10を参照して説明する。以下に説明する変形例は、上述した遊技設備において、ターンテーブル30と椅子40とを1つの構成にまとめたものである。ここで、図9(a)は、2つの島にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を側面から見た図であり、2つの島2の間にある通路において、ターンテーブル30が設けられた箇所の床面を一部断面で図示している。図9(b)は、2つの島にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を、上から見下ろした図である。なお、図9において、前述した図4および図5に示した各部と同じ部分については同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0064】
まず、座部41には、ターンテーブル30を座部41に対して折り畳み可能に支持する支持部材37が取り付けられている。これにより、ターンテーブル30に車いすWCが載置されるときは、ターンテーブル30を座部41に折り畳み、座部41に遊技者が腰掛けるときは、ターンテーブル30を起こして背もたれとして使用することができる。また、脚42にはラック42rが形成されており、窪みHの中に設けられた移動用モータ46のモータ軸に取り付けられているピニオン46pと噛み合い、移動用モータ46が正転すると脚42を床面から突出させ、逆転すると床面に没入させる。また、脚42が床面に没入すると、座部41と脚42の間に介在するウォームホイール38が、回転用モータ35のモータ軸に取り付けられたウォーム35wと噛み合い、回転用モータ35が正転すると、ターンテーブル30を時計回りに回転させ、逆転すると反時計回りに回転させる。
【0065】
また、窪みHの中には、脚42が没入するための収納穴49が開けられており、この収納穴49の内部において、開口の近くにはリミットスイッチ47が埋設されている。そして、脚42が収納穴49に収納されているときは、リミットスイッチ47がON状態となり、座部41が遊技者に利用可能な位置まで脚42が床面から突出すると、OFF状態となる。また、窪みH内には段部が形成されており、この段部には支持ローラ31が4つ設置されている。さらに、この段部には、プッシュスイッチ45が設けられており(図9(b)参照)、脚42が収納穴49に没入して、ターンテーブル30の裏面が支持ローラ31と接すると、プッシュスイッチ45がON状態となる。
【0066】
上述した構成の遊技設備では、制御部50の構成は、図6のブロック図と同様であり、図7のフローチャートに従ってターンテーブル30の回転制御を行うが、座部41および脚42の突出/没入制御については、図10に示すフローチャートに従って行われる。以下、図10に示すフローチャートに従って行われる座部41および脚42の突出/没入制御について説明する。
【0067】
CPU51が図7に示すステップS1において、ターンテーブル30の凹部32,33に設けられた車輪センサ32s,33sの双方、もしくは、一方がOFF状態になっていた場合、ステップS1の判断結果はNOとなり、CPU51は、図10に示すフローチャートに従って回転用モータ35および移動用モータ46の制御を実行する。すなわち、まず、CPU51は、座部41の中に設けられた圧力センサ48(図9参照)がONになっているか否かを判断する(ステップS40)。ここで、圧力センサ48がONになっていた場合は、座部41に遊技者が腰掛けているものとして、CPU51は、そのまま図7のステップS1の処理へ戻る。これに対して、圧力センサ48がOFFになっていた場合は、ステップS40の判断結果がYESとなって、スロットマシン4の右スイッチ17がONになっているか否かを判断する(ステップS41)。
【0068】
右スイッチ17がOFFになっていた場合は、ステップS41の判断結果がNOとなって、CPU51は、現在計時中であるか否かを判断する(ステップS42)。CPU51が計時を行っていなければ、ステップS42の判断結果がNOとなり、CPU51は、計時を開始し(ステップS43)、その後、計時を開始してから予め定められた時間が経過したか否かを判断する(ステップS44)。なお、上述したステップS42において、CPU51が計時を行っていた場合は、ステップS42の判断結果がYESとなって、直接ステップS44の処理へ移行し、計時を開始してから予め定められた時間が経過したか否かを判断する。そして、ステップS44において、計時を開始してから予め定められた時間が経過していなかった場合は、ステップS44の判断結果がNOとなって、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0069】
これに対して、ステップS43で計時を開始してから予め定められた時間が経過すると、ステップS44の判断結果がYESとなって、CPU51は、計時時間をクリアし(ステップS45)、移動用モータ46を逆転させる(ステップS46)。そして、プッシュスイッチ45がONになった否かを判断し(ステップS47)、ONになっていなければ、ステップS47の判断結果がNOとなってステップS46の処理へ戻り、引き続き移動用モータ46を逆転させる。これにより、脚42は、収納穴49の中へ没入を開始する。そして、以下、ステップS46とS47の処理を繰り返し行い、ターンテーブル30の裏面がプッシュスイッチ45に接して、プッシュスイッチ45がONになると、ステップS47の判断結果がYESとなり、CPU51は、移動用モータ46を停止させた後(ステップS48)、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0070】
一方、前述したステップS41において、スロットマシン4の右スイッチ17が遊技者によって押されると、ステップS41の判断結果はYESとなり、CPU51は、RAM53から角度情報θを読み取り(ステップS49)、読み取った角度情報θの値が90゜になっているか否かを判断する(ステップS50)。ここで、角度情報θの値が90゜になっていなければ、ステップS50の判断結果がNOとなり、CPU51は、回転用モータ35を逆転させる(ステップS51)。この回転用モータ35の制御は、ステップS50の判断が行われる場合、図7のステップS1の判断結果がNOとなっていることから、ターンテーブル30の基準位置が90゜または270゜になっており、かつ、基準位置が270゜になっていた場合は、その状態で座部41および脚42を突出させると、椅子の向きがスロットマシン4に背を向けることになるため、その向きを修正するためである。
【0071】
ステップS51の処理により回転用モータ35を逆転させると、次にCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になったか否かを判断し(ステップS52)、90゜になっていない場合はステップS52の判断結果がNOとなって、ステップS51の処理へ戻り、引き続き回転用モータ35を逆転させる。そして、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になるまでCPU51は、ステップS51およびS52の処理を繰り返し行い、角度情報θが90゜になると、ステップS52の判断結果がYESとなり、CPU51は、回転用モータ35を停止させて(ステップS53)、現状の角度情報θの値(ここでは90゜)をRAM53に格納する(ステップS54)。
【0072】
次にCPU51は、移動用モータ46を正転させ(ステップS55)、リミットスイッチ47がOFFになった否かを判断する(ステップS56)。なお、前述したステップS50において、RAM53から読み取った角度情報θの値が90゜だった場合は、ステップS50の判断結果がYESとなって、直接、ステップS55へ移行して、移動用モータ46を正転させる。そして、以下、CPU51は、ステップS55とS56の処理を繰り返し行い、リミットスイッチ47がOFFになると、ステップS56の判断結果がYESとなり、CPU51は、ステップS48の処理へ移行して、移動用モータ46を停止させた後、図7のステップS1の処理へ戻る。
【0073】
このように、上述した変形例における遊技設備では、車いすを利用しない者のために用意された椅子が、床下に収納されているときは、椅子の背もたれ部分がターンテーブル30となっている。そして、車輪センサ32s,33sによって車いすの車輪が検出されると、車いすがスロットマシン4と向き合う位置まで回動する。また、車いすを利用しない遊技者が、右スイッチ17を押すと、椅子が床面から突出して腰掛けることができる。これにより、車いすの向きを変えるためのターンテーブルと、車いすの利用者でない者のための椅子とを兼用でき、ターンテーブル30および椅子、ならびに、これらを駆動するモータを窪みH内にまとめることができ、遊技場の空間を有効に活用することができる。
【0074】
次に、上述した変形例とは異なる変形例について、図11から図14を参照して説明する。以下に説明する変形例は、対向する2つの島2に設置されたスロットマシン4において、車いすの利用者が、対向する2台のスロットマシン4のうち、所望するスロットマシン4を選択しやすくした構造を有するものである。ここで、図11(a)は、2つの島にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を側面から見た図であり、2つの島の間にある通路において、ターンテーブル30が設けられた箇所の床面を一部断面で図示している。図11(b)は、2つの島2にそれぞれ設置された状態で対向する一組のスロットマシン4を、上から見下ろした図である。なお、図11において、前述した図4および図5に示した各部と同じ部分については同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0075】
前述した図4および図9に示した構成では、各スロットマシン4に対応して1つのターンテーブル30が設置されていたが、図11に示す変形例では、対向する2つの島2に設置されたスロットマシン4において、対向する一組のスロットマシン4a,4bに対して1つのターンテーブル30が設けられている。なお、本変形例において、対向する島2の間に設けられた通路の幅は、1m以上あり、かつ、ターンテーブル30によって、車いすがスロットマシン4aまたは4bのいずれに正対した場合でも、その利用者がスロットマシンを操作することができる程度の幅を有している。また、ターンテーブル30に関する構造は、図4に示したものと同様であり、図11(b)に示すように、ターンテーブル30の基準位置がスロットマシン4aと正対する位置にあるとき、回転用モータ35の角度情報θの値が0゜となり、ターンテーブル30の基準位置がスロットマシン4bと正対する位置にあるとき、角度情報θの値が180゜となる。また、ターンテーブル30が時計回りに回転するほど、角度情報θの値が増加していく。なお、本変形例においては、車いすを利用しない遊技者のための椅子40は備えていない。
【0076】
次に図12のブロック図を参照して、本変形例における遊技設備を制御するための制御部50の構成について説明する。なお、この図において、図6に示した制御部50と同じ部分については、同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図12に示す制御部50の構成と、図6に示した制御部50の構成との違いは、対向する2台のスロットマシン4a,4bに各々設けられている右スイッチ17a,17bおよび左スイッチ18a,18bのON/OFF状態が、入力インタフェース55へ入力され、また、椅子40が備えられていないことから、圧力センサ48からのON/OFF状態が入力インタフェース55へ入力されていない点である。また、RAM53には、フラグTFの記憶領域が、スロットマシン4a,4bの各々に対応して割り当てられており、以下では、スロットマシン4a用のフラグTFをフラグTFa、スロットマシン4b用のフラグTFをフラグTFbと記述する。
【0077】
以下、図13および図14に示すフローチャートを参照して、図12に示した制御部50による回転用モータ35および移動用モータ46の制御内容について説明する。まず、図13において、CPU51は、ターンテーブル30の凹部32,33に設けられた車輪センサ32s,33sがともにON状態になったか否かを判断する(ステップS60)。車輪センサ32s,33sがともにOFF状態だった場合、または、車輪センサ32s,33sのいずれかがOFF状態だった場合、ステップS60の判断結果がNOとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFa,TFbの値をともに“0”にリセットする(ステップS61)。そして、CPU51は、ステップS60の処理へ戻り、以下、車輪センサ32s,33sがともにON状態になるまで、ステップS60,S61の処理を繰り返し実行する。
【0078】
そして、車輪センサ32s,33sがともにON状態になると、ステップS60の判断結果がYESとなり、CPU51は、スロットマシン4aの右スイッチA17aが押されたか否かを判断する(ステップS62)。車いすの利用者が右スイッチA17aを押していた場合は、ステップS62の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFaの値が“0”になっているか否かを判断する(ステップS63)。フラグTFaの値が“0”になっていた場合は、ステップS63の判断結果がYESとなり、CPU51は、ターンテーブル30が初期位置(90゜または270゜の位置)にあるものとみなし、RAM53に格納されている角度情報θの値を読み取る(ステップS64)。
【0079】
そして、角度情報θが180゜未満を示しているか否かを判断し(ステップS65)、角度情報θが180゜未満を示していた場合は、ステップS65の判断結果がYESとなり、CPU51は、駆動回路56により回転用モータ35を逆転させる(ステップS66)。これに対して角度情報θが180゜以上であった場合は、ステップS65の判断結果がNOとなり、CPU51は駆動回路56により回転用モータ35を正転させる(ステップS67)。そして、ステップS66またはS67の処理により回転用モータ35を正転または逆転させると、次にCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが0゜になったか否かを判断する(ステップS68)。
【0080】
角度情報θが0゜になっていない場合は、ステップS68の判断結果がNOとなり、CPU51は、ステップS65の処理に戻ってステップS66またはS67の処理を行い、引き続き回転用モータ35を正転または逆転させる。そして、角度情報θが0゜になると、ステップS68の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFaの値を“1”にセットし(ステップS69)、回転用モータ35を停止させる(ステップS70)。その後、CPU51は、現状の角度情報θの値(ここでは0゜)をRAM53に格納し(ステップS71)、ステップS60の処理へ戻る。
【0081】
また、前述したステップS63において、フラグTFaの値が“1”になっていた場合(すなわち、車いすがスロットマシン4aと正対している場合)は、ステップS63の判断結果がNOとなり、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を正転させる(ステップS72)。次いでCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になったか否かを判断し(ステップS73)、90゜になっていない場合はステップS73の判断結果がNOとなり、ステップS72の処理へ戻って引き続き回転用モータ35を正転させる。そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になるまでステップS72およびS73の処理を繰り返し行い、角度情報θが90゜になると、ステップS73の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFaの値を“0”にリセットした後(ステップS74)、ステップS70の処理へ移行して回転用モータ35を停止させ、ステップS71の処理により現状の角度情報θの値(ここでは90゜)をRAM53に格納して、ステップS60の処理へ戻る。
【0082】
一方、ステップS62において、右スイッチA17aがONになっていなければ、ステップS62の判断結果がNOとなり、CPU51は、スロットマシン4aに設けられた左スイッチA18aがONになったか否かを判断する(ステップS75)。そして、左スイッチA18aがONになっていた場合は、ステップS75の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFaの値が“1”になっているか否かを判断する(ステップS76)。ここで、フラグTFaの値が“1”になっていた場合は、ステップS76の判断結果がYESとなり、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を逆転させる(ステップS77)。次いでCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になったか否かを判断し(ステップS78)、270゜になっていない場合はステップS78の判断結果がNOとなり、ステップS77の処理へ戻って引き続き回転用モータ35を逆転させる。
【0083】
そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になるまでステップS77およびS78の処理を繰り返し行い、角度情報θが270゜になると、ステップS78の判断結果がYESとなり、CPU51は、ステップS74の処理へ移行して、RAM53に格納されているフラグTFaの値を“0”にリセットした後、ステップS70の処理へ移行して回転用モータ35を停止させる。次いで、CPU51は、ステップS71の処理により現状の角度情報θの値(ここでは270゜)をRAM53に格納して、ステップS60の処理へ戻る。
【0084】
次に、前述したステップS75で左スイッチA18aがONになっていなかった場合、または、ステップS76でフラグTFaの値が“0”だった場合、各々のステップにおける判断結果がNOとなり、CPU51は、スロットマシン4bの右スイッチB17bが押されたか否かを判断する(図14,ステップS79)。車いすの利用者が右スイッチB17bを押していた場合は、ステップS79の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFbの値が“0”になっているか否かを判断する(ステップS80)。フラグTFbの値が“0”になっていた場合は、ステップS80の判断結果がYESとなり、CPU51は、ターンテーブル30が初期位置にあるものとみなし、RAM53に格納されている角度情報θの値を読み取る(ステップS81)。
【0085】
そして、角度情報θが180゜未満を示しているか否かを判断し(ステップS82)、角度情報θが180゜未満を示していた場合は、ステップS82の判断結果がYESとなり、CPU51は、駆動回路56により回転用モータ35を正転させる(ステップS83)。これに対して角度情報θが180゜以上であった場合は、ステップS82の判断結果がNOとなり、CPU51は駆動回路56により回転用モータ35を逆転させる(ステップS84)。そして、ステップS83またはS84の処理により回転用モータ35を正転または逆転させると、次にCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが180゜になったか否かを判断する(ステップS85)。
【0086】
角度情報θが180゜になっていない場合は、ステップS85の判断結果がNOとなり、CPU51は、ステップS82の処理に戻ってステップS83またはS84の処理を行い、引き続き回転用モータ35を正転または逆転させる。そして、角度情報θが180゜になると、ステップS85の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFbの値を“1”にセットし(ステップS86)、図13のステップS70の処理へ移行して、回転用モータ35を停止させる。その後、CPU51は、ステップS71の処理へ移行して、現状の角度情報θの値(ここでは180゜)をRAM53に格納し、図13のステップS60の処理へ戻る。
【0087】
また、前述したステップS80において、フラグTFbの値が“1”になっていた場合(すなわち、車いすがスロットマシン4bと正対している場合)は、ステップS80の判断結果がNOとなり、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を正転させる(ステップS87)。次いでCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になったか否かを判断し(ステップS88)、270゜になっていない場合はステップS88の判断結果がNOとなり、ステップS87の処理へ戻って引き続き回転用モータ35を正転させる。そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが270゜になるまでステップS87およびS88の処理を繰り返し行い、角度情報θが270゜になると、ステップS88の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFbの値を“0”にリセットした後(ステップS89)、図13のステップS70の処理へ移行して回転用モータ35を停止させ、ステップS71の処理により現状の角度情報θの値(ここでは270゜)をRAM53に格納して、ステップS60の処理へ戻る。
【0088】
一方、ステップS79において、右スイッチB17bがONになっていなければ、ステップS79の判断結果がNOとなり、CPU51は、スロットマシン4bに設けられた左スイッチB18bがONになったか否かを判断する(ステップS90)。そして、左スイッチB18bがONになっていた場合は、ステップS90の判断結果がYESとなり、CPU51は、RAM53に格納されているフラグTFbの値が“1”になっているか否かを判断する(ステップS91)。ここで、フラグTFbの値が“1”になっていた場合は、ステップS91の判断結果がYESとなり、CPU51は、駆動回路56により、回転用モータ35を逆転させる(ステップS92)。次いでCPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になったか否かを判断し(ステップS93)、90゜になっていない場合はステップS93の判断結果がNOとなり、ステップS92の処理へ戻って引き続き回転用モータ35を逆転させる。
【0089】
そして、CPU51は、入力インタフェース55から出力される角度情報θが90゜になるまでステップS92およびS93の処理を繰り返し行い、角度情報θが90゜になると、ステップS93の判断結果がYESとなり、CPU51は、前述したステップS89の処理へ移行して、RAM53に格納されているフラグTFbの値を“0”にリセットした後、図13のステップS70の処理へ移行して回転用モータ35を停止させる。次いで、CPU51は、ステップS71の処理により現状の角度情報θの値(ここでは90゜)をRAM53に格納して、ステップS60の処理へ戻る。
【0090】
上述した遊技設備によれば、ターンテーブル30の凹部32,33に車いすWCの前輪FWおよび主輪MWが嵌合していないとき(図13,ステップS60,NO)、RAM53に格納されているフラグTFa,TFbがともにリセットされる(ステップS61)。このとき、ターンテーブル30の初期位置は、基準位置が90゜または270゜の角度になっている。そして、車いすの利用者が、対向する2つの島2の間の通路を通り、島2に設置されたスロットマシン4のうち、所望するスロットマシン4に対応するターンテーブル30の凹部32,33に、それぞれ車いすWCの前輪FWおよび主輪MWを嵌合させる。これにより、CPU51は、図13のステップS60→S62→S75→図14のステップS79→S90→図13のステップS60→……の処理を繰り返し行い、スロットマシン4aの右スイッチA17aもしくは左スイッチA18a、または、スロットマシン4bの右スイッチB17bもしくは左スイッチB18bのいずれかが押されるまで、待機状態となる。
【0091】
そして、車いすの利用者がスロットマシン4aの右スイッチA17aを押した場合は、図13のステップS62の判断結果がYESとなり、フラグTFaの値が“0”になっていることから(ステップS63,YES)、車いすWCが、現在の向きからスロットマシン4aに正対するまでターンテーブル30が回転する(ステップS65〜S68,YES)。そして、車いすWCがスロットマシン4と正対するまでターンテーブル30が回転すると、フラグTFaの値が“1”になる(ステップS69)。また、車いすの利用者がスロットマシン4bの右スイッチB17bを押した場合は、図14のステップS79の判断結果がYESとなり、フラグTFbの値が“0”になっていることから(ステップS80,YES)、車いすWCが、現在の向きからスロットマシン4bに正対するまでターンテーブル30が回転する(ステップS82〜S85,YES)。そして、車いすWCがスロットマシン4と正対するまでターンテーブル30が回転すると、フラグTFbの値が“1”になる(ステップS86)。これにより、右スイッチA17aおよび右スイッチB17bは、外部からの操作によってターンテーブル30の回動開始を指示する回動指示手段に相当する。また、ステップS65〜S68およびステップS82〜S85の処理を行うCPU51は、回動駆動手段に相当する。
【0092】
また、スロットマシン4aで遊技を行っていた車いすの利用者が、右スイッチA17aを押した場合は、図13のステップS69の処理によりフラグTFaの値が“1”になっているので、図13のステップS63の判断結果がNOとなり、ターンテーブル30が、時計回りに角度情報θが90゜になるまで(すなわち、スロットマシン4aに向って右方向に90゜)回動して停止する(ステップS72,S73)。また、左スイッチA18aを押すと(ステップS75,YES)、ターンテーブル30が、反時計回りに角度情報θが270゜になるまで(すなわち、スロットマシン4aに向って左に90゜)回動して停止する(ステップS77,S78)。
【0093】
これに対して、スロットマシン4bで遊技を行っていた車いすの利用者が、右スイッチB17bを押した場合は、図14のステップS86の処理によりフラグTFbの値が“1”になっているので、図14のステップS80の判断結果がNOとなり、ターンテーブル30が、時計回りに角度情報θが270゜になるまで(すなわち、スロットマシン4bに向って右方向に90゜)回動して停止する(ステップS88,S89)。また、左スイッチB18bを押すと(ステップS90,YES)、ターンテーブル30が、反時計回りに角度情報θが90゜になるまで(すなわち、スロットマシン4bに向って左に90゜)回動して停止する(ステップS92,S93)。これにより、ステップS72〜S78およびステップS87〜S93の処理を行うCPU51は、初期位置復帰手段に相当する。
【0094】
このように、上述した遊技設備では、車いすの利用者が、通路を通って、任意の対向するスロットマシン4aおよび4bに対応して設けられたターンテーブル30の凹部32,33に車いすWCの凹部32,33に嵌合させ、いずれかのスロットマシンに設けられた右スイッチを操作すると、その右スイッチが設けられているスロットマシンに正対する位置までターンテーブル30が回動する。また、そのスロットマシンから離れる際は、当該スロットマシンの右スイッチを押すと、車いすが当該スロットマシンに対して右側を向くように、ターンテーブル30が回動し、左スイッチを押すと、左側を向くようにターンテーブル30が回動する。これにより、車いすの利用者は、対向する一組のスロットマシン4a,4bのうち、所望するスロットマシン4と向き合う位置まで、労力を使うことなく車いすを方向転換させることができる。また、1つのターンテーブルが対向する2台のスロットマシン4a,4bに対応して設けられているので、これらスロットマシン間の移動を容易に行うことができる。
【0095】
なお、上述した各種遊技設備において、必ずしもターンテーブル30に凹部32,33を形成する必要はない。車いすを利用しない遊技者のための椅子40を省いて、車いすの利用者専用の島2としてもよい。また、椅子40を設ける場合、必ずしもその移動を制御部50によって制御する必要はなく、遊技者によって手動で移動させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態における遊技設備が導入された遊技場のフロアを模式的に示した平面図である。
【図2】同遊技設備の一部構成を示す正面図である。
【図3】同遊技設備に設置されるスロットマシンの構成を示す正面図である。
【図4】同遊技設備を構成するターンテーブルの構造を説明するための説明図である。
【図5】同遊技設備において、車いすを利用しない遊技者のための椅子を移動させる機構を説明するための説明図である。
【図6】同遊技設備のターンテーブルの回動および椅子の移動を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】同遊技設備の制御部によって実行される駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】同遊技設備の制御部によって実行される駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】同遊技設備の変形例におけるターンテーブルの構造を説明するための説明図である。
【図10】同遊技設備の変形例における制御部によって実行される駆動制御処理の一部の流れを示すフローチャートである。
【図11】同遊技設備の他の変形例におけるターンテーブルの構造を説明するための説明図である。
【図12】同遊技設備の他の変形例におけるターンテーブルの回動および椅子の移動を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
【図13】同遊技設備の他の変形例における制御部によって実行される駆動制御処理の一部の流れを示すフローチャートである。
【図14】同遊技設備の他の変形例における制御部によって実行される駆動制御処理の一部の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1 スロットマシン
2a〜2f 島
4 スロットマシン
7 カウンタ
17 右スイッチ
18 左スイッチ
30 ターンテーブル
32,33 凹部
32s,33s 車輪センサ
35 回転用モータ
40 椅子
41 座部
42 脚
43 摺動部材
46 移動用モータ
50 制御部
51 CPU
52 ROM
53 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機を並設してなる遊技機列の複数を、車いすが通過可能な幅とした通路を介して配置し、各々の遊技機列の各遊技機において遊技を提供する遊技設備であって、
前記遊技機列を構成する各遊技機に対応する床面に設けられ、前記車いすが載置された状態で回動するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの盤面に前記車いすが載置されたことを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記車いすが載置されたことを検出すると、前記ターンテーブルを初期位置から前記車いすの前方が前記遊技機と対向する位置まで回動させる回動駆動手段と、
外部からの指示に従って、前記回動駆動手段に、前記ターンテーブルを前記遊技機と対向する位置から前記初期位置まで回動させる初期位置復帰手段と
を備えることを特徴とする遊技設備。
【請求項2】
前記ターンテーブルの盤面には、前記車いすの車輪が嵌合する凹部が設けられ、
前記検出手段は、前記車いすの車輪が前記凹部に嵌合したことを検知することにより、前記ターンテーブルの盤面に前記車いすが載置されたことを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技設備。
【請求項3】
遊技者が遊技を行う際に腰掛ける椅子を収納した収納部と、
前記椅子を前記収納部から外部へ移動可能に支持する支持手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技設備。
【請求項4】
外部からの操作に応じて前記収納部から前記椅子を引き出す指示を行う指示手段と、
前記指示手段からの指示に応じて、前記支持手段を前記収納部から外部へ移動させる移動駆動手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の遊技設備。
【請求項5】
前記椅子を、遊技者が腰掛ける座部と、前記座部に対して立ち上がった状態から前記座部に重なる位置まで折り畳み可能な前記ターンテーブルの盤面からなる背もたれ部とにより構成し、
前記収納部を、前記遊技機列を構成する各遊技機の前方床面に設け、
前記支持手段は、前記背もたれ部が折り畳まれた状態でその表面が床面に一致する位置と、予め定められた高さとの間で、前記椅子を突出・没入可能に支持する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の遊技設備。
【請求項6】
複数の遊技機を並設してなる遊技機列の複数を、車いすが通過可能な幅とした通路を挟んで各遊技機列の遊技機が対向するように配置し、各々の遊技機列の各遊技機において遊技を提供する遊技設備であって、
対向する前記遊技機の間の床面に設けられ、前記車いすが載置された状態で回動するターンテーブルと、
前記対向する遊技機に各々対応して設けられ、外部からの操作によって前記ターンテーブルの回動開始を指示する回動指示手段と、
前記回動指示手段により前記ターンテーブルの回動開始が指示されると、前記ターンテーブルを、初期位置から該回動開始を指示した回動指示手段に対応する遊技機と対向する位置まで回動させる回動駆動手段と、
外部からの指示に従って、前記回動駆動手段に、前記ターンテーブルを前記遊技機と対向する位置から前記初期位置まで回動させる初期位置復帰手段と
を備えることを特徴とする遊技設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−45295(P2009−45295A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215288(P2007−215288)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】