説明

運転操作対応装置および運転操作対応装置用のプログラム

【課題】安全走行支援装置が搭載された車両においても、ドライバが安全装置に頼りすぎないようにする技術を提供することを目的とする。
【解決手段】車両を危険な状況から回避させるための回避制御があったことに基づいて、ドライバの運転操作に対する評価を低く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録し、変更後の評価をドライバに報知することを特徴とする。または、回避制御があったことに基づいて、車内の装置が実現する機能のうち、居住性の向上に寄与する機能を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転操作評価装置および運転操作評価装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲の物理状況に関する情報および車両のドライバの運転操作内容に基づいて、車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、安全走行支援装置の普及や利用率向上を促進するため、車両の速度、発進、制動、加速、減速、ヨーレートについての履歴に基づいて車両の安全運転度を判定し、この安全運転度に基づいてドライバに付与すべき賞罰ポイントを算出する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2002−163789号公報
【特許文献2】特開2002−230696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発明者の考察によれば、単に安全走行支援装置の普及や利用率を向上させるだけでは、必ずしも交通安全に寄与しない。例えば、車両に搭載されている安全走行支援装置をドライバが過信してしまい、本来必要なはずのドライバ自身による安全確認を怠ってしまうという場合が発生しうる。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の第1の側面は、車両の周囲の物理状況に関する情報および車両のドライバの運転操作内容に基づいて、車両を危険な状況から回避させるための回避制御を行う安全走行支援機能を実現する運転操作対応装置が、回避制御があったことに基づいて、ドライバの運転操作に対する評価を低く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録し、変更後の評価をドライバに報知することを特徴とする。
【0007】
このように、安全走行支援機能による回避制御があるとドライバの運転操作に対する評価が低くなってしまい、その評価の報知をドライバが受ける。このようになっていることで、評価を落としたくないという意識がドライバに生まれ、ドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0008】
ここで、「車両の周囲の物理状況」の概念は、当該車両の周囲の物の存在、当該車両の周囲の天候、当該車両の周囲の明るさ、当該車両の走行する道路の勾配等を含む。また「周囲の物」の概念は、他車両、自転車、歩行者等の動く物、および、建物等の静止物を含む。
【0009】
また、「回避制御」の概念は、車両を危険な状況から回避させるための車両の挙動の制御をドライバに促すために行う、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)を含む。また、「回避制御」の概念は、車両を危険な状況から回避させるために行う、車両の挙動の制御(以下、車両挙動制御という)をも含む。
【0010】
また、安全走行支援機能は、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した操作(以下、特定操作という)をドライバが行ったことに基づいて、回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の危険警告を行うようになっていてもよい。このとき、運転操作対応装置は、危険警告を受けたことでドライバが特定操作を中止したことに基づいて、第1の量だけ当該評価を低く変更し、また、危険警告を受けたにも関わらずドライバが特定操作を中止しなかったことに基づいて、第1の量よりも大きい第2の量だけ評価を低く変更するようになっていてもよい。
【0011】
このようになっていることで、安全走行支援機能の危険警告を無視するドライバの評価がより下がるようになる。したがって、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0012】
また、安全走行支援機能が、回避制御として、危険警告および車両挙動制御を切り替えて実行するようになっていてもよい。この場合、運転操作対応装置は、安全走行支援機能が危険警告を行ったことに基づいて、第3の量だけ評価を低く変更し、また、安全走行支援機能が車両挙動制御を行ったことに基づいて、第3の量よりも大きい第4の量だけ評価を低くするようになっていてもよい。
【0013】
このように、単なる危険警告を受けた場合よりも、車両挙動制御があった場合の方が、より評価が低く変化するようになっていることで、ドライバの安全走行支援機能への頼り方がより正確に評価に反映される。したがって、評価をドライバがより重視するようになる。
【0014】
また、安全走行支援機能、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定する場合、運転操作対応装置は、安全走行支援機能が特定した特定操作をドライバが行わなかったことに基づいて、評価を高く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録するようになっていてもよい。
【0015】
このようになっていることで、ドライバが、安全走行支援機能に頼らずに運転を行った結果、特定操作を行わずに済むと、評価が高くなる。したがって、ドライバの安全走行支援機能に頼らない姿勢が良く評価され、ひいては、評価をドライバがより重視するようになる。
【0016】
また、安全走行支援機能は、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した特定操作をドライバが行ったことに基づいて、回避制御として危険警告を行うようになっていてもよい。このとき、運転操作対応装置は、危険警告があったことに基づいて評価を低く変更する量を、危険警告の原因となった特定操作の種類に基づいて変化させるようになっていてもよい。
【0017】
このように、特定操作の種類、ひいては危険な状況の原因の種類によって、評価の変化重みが付けられることで、よりきめ細かい評価の算出が可能となる。
【0018】
また、運転操作対応装置は、ドライバを個別に識別することで、ドライバ毎に変更対象の評価を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、1台の車両を複数のドライバが代わる代わる使用する場合において、ドライバ毎の評価を算出することができるようになる。
【0019】
また、運転操作対応装置は、変更後の評価を記録する記憶媒体として、ドライバが携帯することが可能な記憶媒体を用いるようになっていてもよい。このようにすることで、一人のドライバが車両を取り替えて運転する場合においても、それぞれの車両にこのような運転操作対応装置が取り付けられていれば、そのドライバの複数の車両の運転操作についての総合的な評価を算出することができる。
【0020】
更に、運転操作対応装置は、回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制するようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバが安全走行支援機能に頼らない姿勢が良く評価されて評価が低くなると、それに応じて車内の居住性が低下する。したがって、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎてしまう傾向をさらに抑制することができるようになる。
【0021】
このとき、抑制する機能は、車両の車室内の空気温度を調節する機能であってもよいし、目的地までの最適経路を案内する機能であってもよい。
【0022】
また、本発明の第2の側面は、安全走行支援機能が回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制することを特徴とする。
【0023】
このように、安全走行支援機能による回避制御があると車両の居住性が低下してしまう。したがって、車両の居住性を落としたくないドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0024】
また、安全走行支援機能が、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した特定操作をドライバが行ったことに基づいて、回避制御として危険警告を行うようになっていてもよい。このとき、運転操作対応装置は、危険警告を受けてドライバが特定操作を中止したことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第1の機能を抑制し、また、当該危険警告があったにも関わらずドライバが特定操作を中止しなかったことに基づいて、複数の機能のうち、第1の機能とは異なる第2の機能を抑制するようになっていてもよい。
【0025】
このようになっていることで、安全走行支援機能の危険警告に従うドライバと、危険警告を無視するドライバに対しては、制限する機能を異なるようにすることで、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0026】
また、回避制御として、危険警告および車両挙動制御を切り替えて実行する場合、運転操作対応装置は、危険警告が行われたことに基づいて、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第3の機能を抑制し、また、安全走行支援機能が車両挙動制御を行ったことに基づいて、当該複数の機能のうち第3の機能とは異なる第4の機能を抑制するようになっていてもよい。
【0027】
このように、単なる危険警告を受けた場合と、車両挙動制御があった場合とでは、制限する機能を異なるようにすることで、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0028】
また、安全走行支援機能は、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定するようになっていてもよい。この場合、運転操作対応装置は、安全走行支援機能が特定した特定操作をドライバが行わなかったことに基づいて、それまでに抑制されていた機能に対する抑制を解除するようになっていてもよい。
【0029】
このようになっていることで、ドライバが、安全走行支援機能に頼らずに運転を行った結果、特定操作を行わずに済むと、抑制されていた機能が回復する。したがって、ドライバの安全走行支援機能への頼り方がより正確に機能抑制に反映され、ひいては、機能抑制をドライバがより重視するようになる。
【0030】
また、安全走行支援機能は、上記のように特定した特定操作をドライバが行ったことに基づいて、回避制御として危険警告を行うようになっていてもよい。この場合、運転操作対応装置は、危険警告があったことに基づいて、抑制する機能を、危険警告の原因となった操作の種類に基づいて変化させるようになっていてもよい。
【0031】
このように、特定操作の種類、ひいては危険な状況の原因の種類によって、抑制する機能が変化することで、よりきめ細かい機能抑制が可能となる。
【0032】
また、運転操作対応装置は、ドライバを個別に識別することで、ドライバ毎に抑制する機能を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、1台の車両を複数のドライバが代わる代わる使用する場合において、ドライバ毎の抑制対象の機能を決定することができるようになる。
【0033】
また、本発明の第3の側面は、安全走行支援機能が回避制御を行ったことに基づいて、車両の走行開始を禁止することを特徴とする。
【0034】
このように、安全走行支援機能による回避制御があると車両の走行開始が禁止されてしまう。したがって、車両の走行開始を禁止されたくないドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0035】
またこのとき、運転操作対応装置は、ドライバの操作に基づいて安全運転教育用の動画を再生する機能を有していてもよい。この場合、運転操作対応装置は、当該動画を再生したことに基づいて、車両の走行開始の禁止を解除するようになっていてもよい。このようになっていることで、安全運転教育用の動画を見たドライバについて、車両の走行禁止の解除が行われるので、ドライバの安全運転への意識が高まる。
【0036】
また、本発明の第1の側面は、車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための回避制御を行う安全走行支援手段、および、前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記ドライバの運転操作に対する評価を低く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録し、前記変更後の評価を前記ドライバに報知する報知手段として、コンピュータを機能させるプログラムとして捉えることもできる。
【0037】
また、本発明の第2の側面は、車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための回避制御を行う安全走行支援手段、および、前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制する機能抑制手段として、コンピュータを機能させるプログラムとしても捉えることができる。
【0038】
また、本発明の第3の側面は、車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための回避制御を行う安全走行支援手段、および、前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記車両の走行を禁止する機能抑制手段として、コンピュータを機能させるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用される車両1への、ナビゲーション装置2、前方カメラ3、後方カメラ4、右カメラ5、および左カメラ6の搭載位置を概略的に示す。
【0040】
ナビゲーション装置2は、車室内の、ドライバから見える位置に搭載され、カメラ3〜6から信号を受けることができるようになっている。前方カメラ3は、車両1の前端部に搭載され、車両1の前方を撮影し、撮影結果の画像を定期的に(例えば30ミリ秒毎に)ナビゲーション装置2に出力する。後方カメラ4は、車両1の後端部に搭載され、車両1の後方を撮影し、撮影結果の画像を定期的にナビゲーション装置2に出力する。右カメラ5は、車両1の右ドアミラー部に搭載され、車両1の右側部から車両右後方に渡る領域7を撮影し、撮影結果の画像を定期的にナビゲーション装置2に出力する。左カメラ6は、車両1の左ドアミラー部に搭載され、車両1の左側部から車両左後方に渡る領域8を撮影し、撮影結果の画像を定期的にナビゲーション装置2に出力する。
【0041】
図2に、ナビゲーション装置2のハードウェア構成を示す。ナビゲーション装置2は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、ポイントメディアアクセス装置15、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0042】
位置検出器11は、GPS受信機、車速センサ、ステアリング角センサ、ヨーレートセンサ、ブレーキセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等のセンサを有し、車両の現在位置、向き、停止の有無等の挙動を特定するための情報を制御回路17に出力する。操作スイッチ群13は、ドライバが操作する位置に置かれたメカニカルスイッチ、タッチパネル等を有する。
【0043】
ポイントメディアアクセス装置15は、記憶媒体であるポイントメディアを電気的、磁気的、または光学的に接続させることができる装置であり、接続されたポイントメディアに対して、ドライバの運転操作に対する評価である評価ポイントの読み出し、書き込みを行うことができる。ポイントメディアとして、ドライバが持ち運ぶことのできる記憶媒体(例えば、ICカード、磁気カード、USBフラッシュメモリ等)を使用してもよい。
【0044】
地図データ取得部16は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成り、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0045】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を有するマイコンである。このCPUがROMおよび地図データ取得部16から読み出したナビゲーション装置2の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、フラッシュメモリ、ポイントメディア、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAM、フラッシュメモリ、ポイントメディア、および地図データ取得部16に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。また、制御回路17は、車内の他の装置(例えば車室内空気温度調整装置、ブレーキ制御ECU、エンジンECU、ワイパ制御ECU、ライト制御ECU等)と(例えば車内LANを介して)接続されており、その接続を介して他の装置の作動を制御することができるようになっている。
【0046】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、運転操作対応処理等がある。現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、車両の現在位置や向きを特定する処理である。誘導経路算出処理は、操作スイッチ群13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。経路案内処理は、地図データ取得部16から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力させる処理である。
【0047】
運転操作対応処理は、車両1の周囲の物理状況に関する情報および車両1のドライバの運転操作内容に基づいて、車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行い、かつ、回避制御を行ったことに基づいて、ポイントメディア中の評価ポイントを低くまたは高く変更し、変更後の評価ポイントをポイントメディアに上書きし、変更後の評価ポイントをドライバに報知する処理である。
【0048】
図3に、運転操作対応処理のために制御回路17のCPUが常時繰り返し実行する(以下、単に制御回路17が実行すると記す)プログラム100のフローチャートを示す。
【0049】
このプログラム100の実行において、制御回路17は、まずステップ105で、カメラ3〜6から繰り返し受けた複数の撮影画像を解析する。この画像解析は、各カメラにおいて撮影された画像から、動く歩行者、自転車、車両等の物体を周知の動き検出およびパターン認識によって検出し、さらに、これら物体が撮影画像中に占める大きさおよび当該大きさの変化から、これら物体の自車両に対する相対位置および移動速度を特定する。
【0050】
続いてステップ110で、ステップ105の解析結果に基づいて、車両1が現時点で注意状況にあるか否かを判定する。注意状況とは、ドライバの操作によっては、車両1が検出された歩行者、自転車、対向車、障害物等と接触する恐れが発生するような状況をいう。
【0051】
注意状況にあるか否かは、ステップ105で特定した物体の相対位置および相対移動速度に基づいて特定する。具体的には、物体が車両1に近いほど、また、物体が車両により速く近づいているほど、注意状況がにあると判定し易くなるような判定基準を用いる。また、注意状況にあるか否かは、自車両の現在の誘導経路に基づいて判定してもよい。
【0052】
例えば、車両1が、ある交差点の手前所定距離(例えば20メートル)内におり、かつ、現在の誘導経路に沿えば当該交差点を左折することになっており、かつ、左カメラ6の撮影画像中に自転車があり、かつ、当該自転車は車両1から所定距離(例えば5メートル)内にあり、かつ、当該自転車は車両1と同じ方向に進行しているとき、制御回路17は、車両1が左折直後に停止せず走行し続ければ当該自転車と接触する恐れがあると判定し、それに基づき、車両1が注意状況にあると判定する。この場合、制御回路17は、左折直後に停止せず走行し続けることを、危険操作(特定操作の一例に相当する)として特定する。
【0053】
また、車両1が、ある交差点ノ手前所定距離(例えば20メートル)内におり、かつ、現在の誘導経路に沿えば当該交差点を右折することになっており、かつ、前方カメラ3の撮影画像中に対向車両があり、かつ、当該対向車両は所定時間(例えば15秒)以内に交差点に進入するような位置および速度となっているとき、制御回路17は、当該対向車両が当該交差点を通り過ぎる前に車両1が右折を開始すれば当該自転車と接触する恐れがあると判定し、それに基づき、車両1が注意状況にあると判定する。この場合、制御回路17は、当該対向車両が当該交差点を通り過ぎる前に車両1が右折を開始することを、危険操作として特定する。
【0054】
また、車両1が、ある駐車場内で後退しており、かつ、後方カメラ4の撮影画像中に他車両、壁等の障害物があり、かつ、当該障害物は車両の後端から50センチ未満の位置にあるとき、制御回路17は、車両1が基準速度(例えば時速2キロメートル)以上の速度で後退すれば当該障害物と接触する恐れがあると判定し、それに基づき、車両1が注意状況にあると判定する。この場合、制御回路17は、車両1が基準速度以上の速度で後退することを、危険操作として特定する。なお、車両1が後退しているか否かは、車両のシフトポジションセンサまたはドライブポジションセンサからの信号に基づいて検出すればよい。
【0055】
車両1が注意状況にあると判定した場合、続いてステップ115を実行し、注意状況にないと判定した場合、プログラム100の1回分の実行を終了する。
【0056】
ステップ115では、特定した危険操作が開始されたか否かを、位置検出器11からの信号、カメラ3〜6からの撮影画像等に基づいて特定する。例えば、上述の左折の例においては、車両1が向きを左に変えた後の所定期間(例えば0.5秒)以内にブレーキペダルが踏まれたことを検出しなければ、危険操作が開始されたと判定する。また、同じ例においては、車両1が向きを左に変えた後の所定期間(例えば0.5秒)以内にブレーキペダルを踏めば、危険操作は開始されなかったと判定する。危険操作が開始された場合、続いてステップ125を実行し、開始されなかった場合、続いてステップ120を実行する。
【0057】
ステップ120では、ポイント加算処理を行う。具体的には、ポイントメディアアクセス装置15に接続されたポイントメディアから現在の評価ポイントを読み出し、読み出したポイントに所定加算ポイントPを足したものを新たな評価ポイントとして、ポイントメディアに上書きする。さらにステップ120では、新たな評価ポイントを、画像表示装置12に文字として表示させ、または、スピーカ14に音声として出力させる。ステップ120の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0058】
ステップ125では、ステップ115で開始された危険操作が危険性の非常に高い操作であるか否かを判定する。この判定は、カメラ3〜6からの撮影画像と、車両1の現在の速度に基づいて行う。具体的には、車両1がこのままの速度を維持すれば、ほぼ確実に歩行者、自転車、対向車、障害物と接触してしまう場合に、危険性が非常に高いと判定する。この判定結果が肯定的である場合、続いてステップ130を実行し、否定的である場合、続いてステップ140を実行する。
【0059】
危険性が非常に高いと判定した後のステップ130では、車両1のブレーキECU等を制御することで、車両1の走行を強制的に停止させる。さらに続いてステップ135では、ポイント減算処理を行う。具体的には、ポイントメディアアクセス装置15に接続されたポイントメディアから現在の評価ポイントを読み出し、読み出したポイントから所定減算ポイントAを減算したものを新たな評価ポイントとして、ポイントメディアに上書きする。さらにステップ135では、新たな評価ポイントを、画像表示装置12に文字として表示させ、または、スピーカ14に音声として出力させる。ステップ135の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0060】
危険性が非常に高いことはないと判定した後のステップ140では、警告報知を行う。例えば、上述の左折の例においては、画像表示装置12に、図4に示すような画面を表示させる。この画面の右半分の領域には、現在の誘導経路、および、「左後方注意!」の旨の文字が表示されている。また、この画面の左半分の領域には、左カメラ6から出力された自転車の撮影画像、および、その撮影画像近傍の強調マークを表示させる。またこの場合、スピーカ14に、「左後方に注意してください」という音声を出力させるようになっていてもよい。
【0061】
続いてステップ145では、危険操作が中止になったか否かを判定する。例えば、上述の左折の例においては、警告報知の直後にドライバが車両を停止させた場合、危険操作が中止になったと判定する。中止になっていない場合、続いてステップ150を実行し、中止になった場合、続いてステップ155を実行する。
【0062】
ステップ150では、ポイント減算処理を行う。具体的には、ポイントメディアアクセス装置15に接続されたポイントメディアから現在の評価ポイントを読み出し、読み出したポイントから所定減算ポイントBを減算したものを新たな評価ポイントとして、ポイントメディアに上書きする。ここで、ポイントBは、ポイントAよりも小さい値である。さらにステップ150では、新たな評価ポイントを、画像表示装置12に文字として表示させ、または、スピーカ14に音声として出力させる。ステップ150の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0063】
ステップ155では、ポイント減算処理を行う。具体的には、ポイントメディアアクセス装置15に接続されたポイントメディアから現在の評価ポイントを読み出し、読み出したポイントから所定減算ポイントCを減算したものを新たな評価ポイントとして、ポイントメディアに上書きする。ここで、ポイントCは、ポイントBよりも小さい値である。さらにステップ155では、新たな評価ポイントを、画像表示装置12に文字として表示させ、または、スピーカ14に音声として出力させる。ステップ155の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0064】
以上のようなプログラム100を制御回路17に実行させることで、ナビゲーション装置2は、カメラ3〜6による撮影画像に基づいて(ステップ105参照)注意状況あるか否かを判定し(ステップ110参照)、注意状況であれば続いて危険運転操作が開始されたか否かを判定し(ステップ115参照)、当該注意状況がなくなるまで危険運転操作がなければ、当該ドライバに固有の評価ポイントを高い値に変更して記録・表示する(ステップ120参照)。
【0065】
また、注意状況がなくならないうちに危険操作が開始されれば、その危険操作の危険度が高危険度か否かを判定し(ステップ125参照)、高危険度であれば直接車両を強制的に停止させることで車両1と他の物との接触を未然に防ぎ(ステップ130参照)、当該ドライバに固有の評価ポイントを減点ポイントのうち最も高いポイントAだけ低下させて記録・表示する(ステップ135参照)。
【0066】
また、開始された危険操作の危険度が高危険度でなければ、警告表示をドライバに対して行い(ステップ140参照)、その後注意状況がなくなるまでにドライバが危険操作を中止したか否かを判定する(ステップ145参照)。そして、中止していなければ減点ポイントのうち2番目に高いポイントBだけ評価ポイントを低下させて記録・表示し(ステップ150参照)、中止していれば減点ポイントのうち最も低いポイントCだけ当該ドライバに固有の評価ポイントを低下させて記録・表示する(ステップ155参照)。
【0067】
このように、安全走行支援機能による回避制御があるとドライバの運転操作に対する評価が低くなってしまい、その評価の報知をドライバが受ける。このようになっていることで、評価を落としたくないという意識がドライバに生まれ、ドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0068】
また、ナビゲーション装置2は、危険警告を受けたことでドライバが特定操作を中止したことに基づいて、ポイントC(第1の量の一例に相当する)だけ当該評価を低く変更し、また、危険警告を受けたにも関わらずドライバが特定操作を中止しなかったことに基づいて、第1の量よりも大きいポイントB(第2の量の一例に相当する)だけ評価を低く変更するようになっている。
【0069】
このようになっていることで、安全走行支援機能の危険警告を無視するドライバの評価がより下がるようになる。したがって、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0070】
また、ナビゲーション装置2が、単なる危険警告を受けた場合よりも、車両挙動制御があった場合の方が、より評価を低く変化させるようになっていることで、ドライバの安全走行支援機能への頼り方がより正確に評価に反映される。したがって、評価をドライバがより重視するようになる。
【0071】
また、ドライバが、安全走行支援機能に頼らずに運転を行った結果、危険操作を行わずに済むと、車両1は、評価を高くする。したがって、ドライバの安全走行支援機能に頼らない態度が好評価となり、ひいては、評価をドライバがより重視するようになる。
【0072】
また、ナビゲーション装置2は、変更後の評価を記録する記憶媒体として、ドライバが携帯することが可能な記憶媒体であるポイントメディアを用いるようになっている。このようにすることで、一人のドライバが車両を取り替えて運転する場合においても、それぞれの車両に本実施形態のようなナビゲーション装置2が取り付けられていれば、そのドライバの複数の車両の運転操作についての総合的な評価を算出することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、制御回路17が、図3のプログラム100に代えて図5に示すプログラム200を繰り返し実行することである。なお、図3と図5において同一の符号が付されたステップは、互いに同一の処理を行うものであり、ここではそれらの詳細についての説明は省略する。
【0073】
本実施形態の制御回路17は、プログラム200の実行中、ステップ145で危険操作が中止されたと判定した場合、続いてステップ255で、機能抑制処理を実行する。機能抑制処理とは、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制する処理をいう。居住性に主として寄与する機能としては、車室内空気温度調整装置の空気温度調節機能、ナビゲーション装置2自体の経路案内処理、地図表示処理等がある。この機能抑制処理によって、ドライバは、空気温度調節機能を全く使用できなくなる、車室内温度の設定値を28度以上15度以下にしか設定できなくなる等の、居住性の低下を被る。またステップ255では、抑制した機能の内容をポイントメディアに記録する。なおこのとき、第1実施形態のステップ155と同様の処理を併せて行うようになっていてもよい。ステップ255の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0074】
また、ステップ145で危険操作が中止されなかったと判定した場合、続いてステップ250で、機能抑制処理を実行する。このステップ250で抑制する機能は、ステップ255で抑制する機能と一致せず、かつ、ステップ255で抑制する機能よりも居住性により多大に寄与する機能である。
【0075】
例えば、ステップ250で抑制する機能は、ステップ255で抑制する機能およびその他の居住性に寄与する機能の組み合わせであってもよい。また例えば、ステップ250では、ステップ255で抑制する機能についての抑制の程度を上げるようになっていてもよい。例えば、ステップ255では設定できる車室内温度を28度以上15度以下にし、ステップ250では設定できる車室内温度を30度以上13度以下にするようになっていてもよい。またステップ255では、抑制した機能の内容をポイントメディアに記録する。なおこのとき、第1実施形態のステップ150と同様の処理を併せて行うようになっていてもよい。ステップ250の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0076】
また、ステップ130で車両を強制的に停止させた後、続いてステップ235で、機能抑制処理を実行する。このステップ250で抑制する機能は、ステップ255、250で抑制する機能と一致せず、かつ、ステップ255およびステップ250で抑制する機能よりも居住性により多大に寄与する機能である。またステップ235では、抑制した機能の内容をポイントメディアに記録する。なおこのとき、第1実施形態のステップ135と同様の処理を併せて行うようになっていてもよい。ステップ235の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0077】
また、ステップ115で危険操作が開始されなかったと判定した場合、続いてステップ220で、機能回復処理を実行する。すなわち、ステップ235、250、255において過去に抑制された機能の抑制を解除すると共に、ポイントメディアから抑制を解除した機能を消去する。なお、抑制の解除の方法は、現在抑制されている機能をすべて完全に回復させるようになっていてもよいし、現在抑制されている機能の一部を完全に回復させるようになっていてもよいし、現在抑制されている機能のすべてを所定の程度だけ回復させるようになっていてもよい。ステップ220の実行時に機能制限が全くない場合は、機能回復は行わない。なおこのとき、第1実施形態のステップ120と同様の処理を併せて行うようになっていてもよい。ステップ220の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0078】
以上のようなプログラム200を制御回路17に実行させることで、ナビゲーション装置2は、カメラ3〜6による撮影画像に基づいて(ステップ105参照)注意状況があるか否かを判定し(ステップ110参照)、注意状況であれば続いて危険運転操作が開始されたか否かを判定し(ステップ115参照)、当該注意状況がなくなるまで危険運転操作がなければ、車内の居住性に関する機能が抑制されている場合は、その抑制の一部または前部を解除する(ステップ220参照)。
【0079】
また、注意状況がなくならないうちに危険操作が開始されれば、その危険操作の危険度が高危険度か否かを判定し(ステップ125参照)、高危険度であれば直接車両を強制的に停止させることで車両1と他の物との接触を未然に防ぎ(ステップ130参照)、車両の居住性についての機能抑制のうち、最も強力な機能抑制を実行する(ステップ235参照)。
【0080】
また、開始された危険操作の危険度が高危険度でなければ、警告表示をドライバに対して行い(ステップ140参照)、その後注意状況がなくなるまでにドライバが危険操作を中止したか否かを判定する(ステップ145参照)。そして、中止していなければ車両の居住性についての機能抑制のうち2番目に強力な機能抑制を実行し(ステップ250参照)、中止していれば居住性についての機能抑制のうち最も弱い機能抑制を実行する(ステップ255参照)。
【0081】
このように、安全走行支援機能による回避制御があると、車両の居住性が低下してしまう。したがって、車両の居住性を落としたくないドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0082】
また、ナビゲーション装置2は、危険警告を受けてドライバが特定操作を中止したことに基づいて、居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第1の機能を抑制し、また、当該危険警告があったにも関わらずドライバが特定操作を中止しなかったことに基づいて、複数の機能のうち、第1の機能とは異なる第2の機能を抑制する。そして、第2の機能の抑制の方が第1の機能の抑制よりも車室内の居住性に対する悪影響は大きい。
【0083】
このようになっていることで、安全走行支援機能の危険警告に従うドライバと、危険警告を無視するドライバに対しては、制限する機能を異なるようにすることで、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0084】
また、ナビゲーション装置2は、危険警告が行われたことに基づいて、居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第3の機能を抑制し、また、安全走行支援機能が車両挙動制御を行ったことに基づいて、当該複数の機能のうち第3の機能とは異なる第4の機能を抑制する。そして、第4の機能の抑制の方が第3の機能の抑制よりも車室内の居住性に対する悪影響は大きい。
【0085】
このように、単なる危険警告を受けた場合と、車両挙動制御があった場合とでは、制限する機能を異なるようにすることで、ドライバが安全走行支援機能の回避制御を起こさないようにしつつも、回避制御が発生して危険警告を受けたときには、その危険警告を重視した運転操作を行うようになる。
【0086】
また、ナビゲーション装置2は、安全走行支援機能が特定した特定操作をドライバが行わなかったことに基づいて、それまでに抑制されていた機能に対する抑制を解除するようになっている。
【0087】
このようになっていることで、ドライバが、安全走行支援機能に頼らずに運転を行った結果、特定操作を行わずに済むと、抑制されていた機能が回復する。したがって、ドライバの安全走行支援機能への頼り方がより正確に機能抑制に反映され、ひいては、機能抑制をドライバがより重視するようになる。
【0088】
また、ナビゲーション装置2は、変更後の評価を記録する記憶媒体として、ドライバが携帯することが可能な記憶媒体を用いるようになっている。このようにすることで、一人のドライバが車両を取り替えて運転する場合においても、それぞれの車両にこのような運転操作対応装置が取り付けられていれば、各車両に機能制限を引き継がせることができるようになる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第2実施形態と異なる部分の第1は、図6に示すように、本実施形態のナビゲーション装置2’が、第2実施形態のナビゲーション装置2の構成に加え、動画再生装置18を有していることである。
【0089】
動画再生装置18は、動画データを記憶するハードディスク等の記憶媒体と、その記憶媒体から動画を読み出して再生し、再生した動画を画像表示装置12に表示させる装置である。動画再生装置18は、操作スイッチ群13に対する所定の操作があったときにその作動を開始するようになっている。動画再生装置18に記録されている動画は、安全運転教育を目的とする内容となっている。
【0090】
また、本実施形態が第2実施形態と異なる部分の第2は、第2実施形態においては、機能の抑制が、居住性に寄与する機能の抑制であったのに対し、本実施形態においては、車両の走行開始機能の禁止(例えばエンジンの始動の禁止)となっていることである。
【0091】
このように、安全走行支援機能による回避制御があると車両の走行開始が禁止されてしまう。したがって、車両の走行を禁止されたくないドライバは、回避制御が発生しないように、車両の安全走行に気を配ることになる。それゆえ、安全走行支援機能が備わった車両においても、ドライバが安全走行支援機能に頼りすぎないようになる。
【0092】
また、本実施形態が第2実施形態と異なる部分の第3は、第2実施形態においては、抑制された機能の回復が、危険操作が開始されなかったことに基づいて実行されているのに対し、本実施形態においては、車両の走行開始機能の回復が、ドライバが操作スイッチ群13を操作することで動画再生装置18が安全運転教育用の動画を再生し、その再生が完了することに基づくようになっていることである。このように、安全運転教育用の動画を見たドライバについて、車両の走行開始禁止の解除が行われるので、ドライバの安全運転への意識が高まる。
【0093】
なお、上記の各実施形態において、ナビゲーション装置2が運転操作対応装置の一例に相当し、ポイントメディアアクセス装置15に挿入されるメディアが記憶媒体の一例に相当し、動画再生装置18が動画再生手段の一例に相当する。また、制御回路17が、プログラム100またはプログラム200のステップ105、110、115、125、130、および140を実行することで安全走行支援手段の一例として機能する。また、制御回路17が、プログラム100のステップ120、135、145、150、および155を実行することで、報知手段の一例として機能し、プログラム200のステップ220、235、145、250、および255を実行することで、機能抑制手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0094】
例えば、安全運転支援機能は、車両1の周囲の人、自転車、車両、壁等の物体の情報に基づいて回避制御を行うように必ずしもなっていてくともよい。
【0095】
例えば、安全運転支援機能は、車両1の周囲の明るさを(例えば照度センサの出力に基づいて)検知し、その明るさが基準明るさ以下である場合に、ライトを点灯させないまま車両を走行させることを危険操作であると特定し、所定時間以上ドライバがライトを点灯させる操作を行わないと、警告通知を実行するようなものであってもよい。
【0096】
また例えば、安全運転支援機能は、車両1の周囲の天候が雨であるか否かを(例えば雨滴センサの出力に基づいて)検知し、雨である場合に、ワイパを作動させずに車両を走行させることを危険操作であると特定し、所定時間以上ドライバがワイパを作動させる操作を行わないと、警告通知を実行するようなものであってもよい。
【0097】
また例えば、安全運転支援機能は、車両1の走行している道路の勾配を(例えば加速度センサ、GPS受信器等の出力に基づいて)検知し、当該道路が下り坂である場合に、車両を所定基準以上加速させることを危険操作であると特定し、そのような危険操作があると、警告通知を実行するようなものであってもよい。
【0098】
また、評価ポイントは、地図データ取得部16のハードディスク内に記録されていてもよい。あるいは、制御回路17のフラッシュメモリに記憶されていてもよい。その場合、評価ポイントが複数種類記憶されており、各評価ポイントには、当該評価ポイントに対応するユーザの識別番号が対応付けられていてもよい。
【0099】
また同様に、抑制機能の内容は、地図データ取得部16のハードディスク内に記録されていてもよい。あるいは、制御回路17のフラッシュメモリに記憶されていてもよい。その場合、抑制機能の内容が複数種類記憶されており、抑制機能には、当該抑制機能に対応するユーザの識別番号が対応付けられていてもよい。
【0100】
このようになっていることで、1台の車両を複数のドライバが使用する場合でも、それら複数のドライバの個々に対応して評価または機能制限を設定することができる。
【0101】
なおこの場合、ナビゲーション装置2は、誰がドライバになっているかを特定するために、ドライバを認証する必要がある。
【0102】
ドライバを認証す方法としては、ドライバに操作スイッチ群13を用いて当該ドライバ固有のパスワードを入力させ、入力されたパスワードをあらかじめそのドライバについて記憶しているパスワードと照合させる方法を採用してもよい。
【0103】
あるいは、ドライバを認証す方法としては、ナビゲーション装置2が指紋読み取り装置を有する方法を採用してもよい。この方法においては、あらかじめ各ドライバの指紋データをこの読み取り装置を用いて取得し、それらをドライバの識別番号と共に記録しておき、後に、指紋読み取り装置から読み取ったドライバの指紋と、あらかじめ記録されている指紋とを照合することで、ドライバを認識させるようになっていてもよい。
【0104】
また、ナビゲーション装置2は、車両1の周囲の物体の自車両に対する相対位置および移動速度を検出するために、音波レーダ、レーザーレーダを用いてもよい。
【0105】
また、第2実施形態においては、ステップ255で抑制する機能は、ステップ255、235で抑制する機能と一致せず、かつ、ステップ255およびステップ235で抑制する機能よりも居住性により多大に寄与する機能であってもよい。
【0106】
また、減点ポイントA、B、Cの間の大小関係は、第1実施形態のようにA>B>Cであってもよいし、B>A>Cであってもよい。
【0107】
また、ナビゲーション装置2は、カメラ3〜6のいずれの画像に接触の恐れのある対象が含まれていたかに基づいて、加点ポイントおよび減点ポイントの値を変化させてもよい。さらに言えば、ナビゲーション装置2は、回避制御があったことに基づいて評価を低く変更する量を、回避制御の原因となった特定操作の種類に基づいて変化させるようになっていてもよい。このように、危険操作の種類、ひいては危険な状況の原因の種類によって、評価の変化重みが付けられることで、よりきめ細かい評価の算出が可能となる。
【0108】
また、ナビゲーション装置2は、カメラ3〜6のいずれの画像に接触の恐れのある対象が含まれていたかに基づいて、抑制対象の機能を変化させてもよい。さらに言えば、ナビゲーション装置2は、回避制御があったことに基づいて機能を抑制する対象を、回避制御の原因となった特定操作の種類に基づいて変化させるようになっていてもよい。このように、危険操作の種類、ひいては危険な状況の原因の種類によって、評価の変化重みまたは機能抑制のバリエーションが付けられることで、よりきめ細かい評価の算出および機能制御の特定が可能となる。
【0109】
また、運転操作対応装置は、ナビゲーション装置2として実現される必要はなく、車両の周囲の物理状況に関する情報および車両のドライバの運転操作内容に基づいて回避制御を行い、その回避制御に応じた評価ポイント算出または車内の装置の機能の抑制を行う装置であれば、どのような装置によって実現されていてもよい。
【0110】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態が適用される車両1への、ナビゲーション装置2、前方カメラ3、後方カメラ4、右カメラ5、および左カメラ6の搭載位置を示す概略図である。
【図2】第1および第2実施形態におけるナビゲーション装置2のハードウェア構成図である。
【図3】第1実施形態において制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】警告報知のために画像表示装置12が表示する画像の一例を示す図である。
【図5】第2実施形態において制御回路17が実行するプログラム200のフローチャートである。
【図6】第3実施形態におけるナビゲーション装置2のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0112】
1…車両、2、2’…ナビゲーション装置、3…前方カメラ、4…後方カメラ、
5…右カメラ、6…左カメラ、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作スイッチ群、14…スピーカ、15…ポイントメディアアクセス装置、
16…地図データ取得部、17…制御回路、18…動画再生装置、
100、200…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段と、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記ドライバの運転操作に対する評価を低く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録し、前記変更後の評価を前記ドライバに報知する報知手段と、を備えた運転操作対応装置。
【請求項2】
前記安全走行支援手段は、前記車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した前記操作を前記ドライバが行ったことに基づいて、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)を行い、
前記報知手段は、前記危険警告があったことに応じて前記ドライバが前記操作を中止したことに基づいて、第1の量だけ前記評価を低く変更し、また、前記危険警告があったにも関わらず前記ドライバが前記操作を中止しなかったことに基づいて、前記第1の量よりも大きい第2の量だけ前記評価を低く変更することを特徴とする請求項1に記載の運転操作対応装置。
【請求項3】
前記安全走行支援手段は、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)、および、前記車両を危険な状況から回避させるための車両の挙動の制御(以下、車両挙動制御という)を、切り替えて実行し、
前記報知手段は、前記安全走行支援手段が前記危険警告を行ったことに基づいて、第3の量だけ前記評価を低く変更し、また、前記安全走行支援手段が前記車両挙動制御を行ったことに基づいて、前記第3の量よりも大きい第4の量だけ前記評価を低くすることを特徴とする請求項1または2に記載の運転操作対応装置。
【請求項4】
前記安全走行支援手段は、前記車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、
前記報知手段は、前記安全走行支援手段が特定した前記操作を前記ドライバが行わなかったことに基づいて、前記評価を高く変更し、変更後の評価を前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項5】
前記安全走行支援手段は、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した前記操作を前記ドライバが行ったことに基づいて、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)を行い、
前記報知手段は、前記危険警告があったことに基づいて前記評価を低く変更する量を、前記危険警告の原因となった前記操作の種類に基づいて変化させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記ドライバを個別に識別することで、ドライバ毎に変更対象の評価を切り替えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記変更後の評価を記録する前記記憶媒体として、前記ドライバが携帯することが可能な記憶媒体を用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項8】
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制する機能抑制手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項9】
前記機能抑制手段が抑制する機能は、前記車両の車室内の空気温度を調節する機能、または、目的地までの最適経路を案内する機能であることを特徴とする請求項8に記載の運転操作対応装置。
【請求項10】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段と、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制する機能抑制手段と、を備えた運転操作対応装置。
【請求項11】
前記安全走行支援手段は、前記車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した前記操作を前記ドライバが行ったことに基づいて、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)を行い、
前記機能抑制手段は、前記危険警告があったことに応じて前記ドライバが前記操作を中止したことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第1の機能を抑制し、また、前記危険警告があったにも関わらず前記ドライバが前記操作を中止しなかったことに基づいて、前記複数の機能のうち、前記第1の機能とは異なる第2の機能を抑制することを特徴とする請求項10に記載の運転操作対応装置。
【請求項12】
前記安全走行支援手段は、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)、および、前記車両を危険な状況から回避させるための車両の挙動の制御(以下、車両挙動制御という)を、切り替えて実行し、
前記機能抑制手段は、前記安全走行支援手段が前記危険警告を行ったことに基づいて、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する複数の機能のうち、第3の機能を抑制し、また、前記安全走行支援手段が前記車両挙動制御を行ったことに基づいて、前記複数の機能のうち前記第3の機能とは異なる第4の機能を抑制することを特徴とする請求項10または11に記載の運転操作対応装置。
【請求項13】
前記安全走行支援手段は、前記車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、
前記機能抑制手段は、前記安全走行支援手段が特定した前記操作を前記ドライバが行わなかったことに基づいて、それまでに抑制されていた機能に対する抑制を解除することを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項14】
前記安全走行支援手段は、車両の周囲の物理状況に関する情報に基づいて、前記車両にとって危険な状況が発生する可能性が高い車両の操作を特定し、さらに、特定した前記操作を前記ドライバが行ったことに基づいて、前記回避制御として、車両が危険な状況に瀕している旨の警告(以下、危険警告という)を行い、
前記機能抑制手段は、前記危険警告があったことに基づいて、抑制する機能を、前記危険警告の原因となった前記操作の種類に基づいて変化させることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項15】
前記機能抑制手段は、前記ドライバを個別に識別することで、ドライバ毎に抑制する機能を切り替えることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1つに記載の運転操作対応装置。
【請求項16】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段と、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記車両の走行開始を禁止する機能抑制手段と、を備えた運転操作対応装置。
【請求項17】
ドライバの操作に基づいて安全運転教育用の動画を再生する動画再生手段と、
前記機能抑制手段は、前記動画再生手段が前記動画を再生したことに基づいて、前記車両の走行開始の禁止を解除することを特徴とする請求項6に記載の運転操作対応装置。
【請求項18】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段、および、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記ドライバの運転操作に対する評価を低く変更し、変更後の評価を記憶媒体に記録し、前記変更後の評価を前記ドライバに報知する報知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項19】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段、および、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、車両内の装置の機能であって、車両の安全性および居住性のうち居住性に主として寄与する機能の作動を抑制する機能抑制手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項20】
車両の周囲の物理状況に関する情報および前記車両のドライバの運転操作内容に基づいて、前記車両を危険な状況から回避させるための制御(以下、回避制御という)を行う安全走行支援手段、および、
前記安全走行支援手段が前記回避制御を行ったことに基づいて、前記車両の走行を禁止する機能抑制手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−107974(P2008−107974A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288725(P2006−288725)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】