説明

運転支援システム

【課題】車両が意図しない方向に進行した場合であっても、車両の周囲に位置する障害物への突入事故の発生をより低減することのできる運転支援システムを提供する。
【解決手段】誤動作防止ECU30は、車両Cの走行時には、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。一方、誤動作防止ECU30は、車両Cの発車時には、上記対応マップT1を用いて、メモリ31に記憶保持されている障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。そして、誤動作防止ECU30は、実際のエンジン回転速度が、設定したエンジン回転速度の限界値よりも大きいと判断する場合に、車両Cの駆動力を、その判断時の実際のエンジン回転速度に基づいて定まる駆動力よりも抑制する旨の指示を、エンジン制御ECU10に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援システムとして、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載の技術では、超音波センサを用いて障害物までの距離を繰り返し算出し、この算出毎に障害物が存在するか否かについて算出距離に基づき判定する。そして、障害物が存在すると判定したとき、そのときから、障害物が存在すると再度判定するまでの間の距離を車速センサからの出力に基づいて算出し、車両周辺の2つの障害物間の距離を求める。これにより、求めた車両周辺の2つの障害物間の距離に基づいて縦列駐車が可能か否かを判定することで、車両の運転を支援することができるようになる。
【0003】
ところで、近年、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違う誤操作により、車両の建物への突入事故が多く発生している。こうしたペダルの誤操作を防止すべく、車両には、シフトレバーが後退状態に設定された場合、例えば「ピーピー」とユーザに注意を促す警報を出力するブザーが備えられている。
【特許文献1】特開2005−9992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばコンビニエンスストア等の駐車場に駐車する場合には、ユーザは前進駐車をすることが多い。そのため、こうした店舗の駐車場から車両を発車する場合、ユーザは、当然ながら、シフトレバーを後退状態とする必要がある。
【0005】
しかしながら、ユーザは、こうした後退状態とすべき状況であっても、シフトレバーを前進状態としてしまうことがある。この場合、上記従来技術では、ブザーによって警報が出力されず、上記突入事故が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両が意図しない方向に進行した場合であっても、車両の周囲に位置する障害物への突入事故の発生をより低減することのできる運転支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両の運転を支援する運転支援システムであって、車両に発生させる駆動力を制御する駆動力制御装置と、超音波センサによって前記車両の周囲に位置する障害物までの距離を検出する障害物距離検出手段と、その障害物距離検出手段によって検出された障害物までの距離に基づいて、車両の駆動力に関する値である駆動力関連値の限界値を設定する限界値設定手段と、実際の駆動力関連値が、前記限界値設定手段で設定した限界値よりも大きいと判断する場合に、車両の駆動力を、その判断時の実際の駆動力関連値に基づいて定まる駆動力よりも抑制する旨の指示を前記駆動力制御装置に与える支援制御装置とを含むことを特徴とする。
【0008】
運転支援システムとしてのこのような構成では、障害物距離検出手段によって、車両の周囲に位置する障害物までの距離が検出され、限界値設定手段によって、その障害物距離検出手段によって検出された障害物までの距離に基づいて、駆動力関連値の限界値が設定される。そして、支援制御装置によって、実際の駆動力関連値が上記限界値よりも大きいと判断される場合に、その判断時の実際の駆動力関連値に基づいて定まる駆動力よりも車両の駆動力を抑制する旨の指示が駆動力制御装置に与えられる。なお、限界値とは、この限界値に相当する駆動力が車両に実際に発生しても、ドライバが、当該車両が意図しない方向へ進行することに気付き、ブレーキペダルを踏み、車両が障害物に衝突することなく停止することのできる上限値を意味する。これにより、車両が意図しない方向に進行した場合であっても、車両の周囲に位置する障害物への突入事故の発生をより低減することができるようになる。ちなみに、超音波センサを用いた駐車支援システムが搭載された車両もある。そうした車両の場合、本発明に係る運転支援システムに駐車支援システムの超音波センサを転用することができる。
【0009】
なお、例えば請求項2に記載の発明のように、前記駆動力関連値は、スロットル開度であって、スロットル開度センサを用いて検出することとしてもよい。あるいは、例えば請求項3に記載の発明のように、前記駆動力関連値は、アクセルペダルの踏み込み量であって、アクセル位置センサを用いて検出することとしてもよい。ちなみに、この踏み込み量は、駆動力に対するドライバの要求値を示すものである。さらには、例えば請求項4に記載の発明のように、前記駆動力関連値は、エンジン回転速度であることとしてもよい。
【0010】
ちなみに、超音波センサによって検出される障害物までの距離が長いほど、車両が障害物に衝突することなく停止することが容易になるため、上記駆動力関連値の限界値は大きくてもよい。逆に、超音波センサによって検出される障害物までの距離が短いほど、車両が障害物に衝突することなく停止することが難しくなるため、上記駆動力関連値の限界値は小さくなければならない。
【0011】
そして、上記駆動力関連値の限界値の設定方法は任意である。そのため、限界値設定手段は、上記傾向を捉えた演算式を予め定めておき、障害物までの距離に基づき限界値を算出してもよい。あるいは、例えば請求項5に記載の発明のように、前記障害物までの距離と前記駆動力関連値の限界値との対応マップを記憶保持する記憶保持手段を備え、前記限界値設定手段は、前記記憶保持手段に記憶保持されている前記対応マップを用いて、前記障害物距離検出手段によって検出された前記障害物までの距離に基づき前記駆動力関連値の限界値を設定することとしてもよい。
【0012】
また、超音波センサにて利用される超音波の伝播速度は、例えばミリ波レーダにて利用される電波の伝播速度と比較して非常に遅いため、超音波センサによる障害物の検出にはある程度の時間が必要である。したがって、イグニッションスイッチがオン操作されてから即座に発車すると、車両の周囲に位置する障害物への突入事故が発生してしまうおそれがある。
【0013】
その点、請求項5に記載の構成において、請求項6に記載の発明のように、前記車両の停車時における前記障害物までの距離を記憶保持し、前記限界値設定手段は、前記記憶保持手段に記憶保持されている前記障害物までの距離に基づき前記駆動力関連値の限界値を設定し、前記支援制御装置は、前記車両の発車時に、前記判断及び支持を行なうことが望ましい。
【0014】
これにより、イグニッションスイッチがオン操作されてから即座に発車しても、限界値設定手段によって、記憶保持されている障害物までの距離に基づき上記限界値を即座に設定することが可能となり、支援制御装置は、上記車両の駆動力を抑制する旨の指示を駆動力制御装置に即座に与えることが可能となる。そして、ひいては、車両の周囲に位置する障害物への突入事故の発生をより低減することができるようになる。
【0015】
上記請求項1〜6のいずれかに記載の運転支援システムにおいて、請求項7に記載の発明では、前記障害物距離検出手段は、前記車両に備えられるシフトレバーが前進状態に設定されている場合には、前記車両の前進方向側に備えられている超音波センサによって、前記車両の周囲のうち前進方向側に位置する障害物までの距離を検出する一方、前記車両に備えられるシフトレバーが後退状態に設定されている場合には、前記車両の後退方向側に備えられている超音波センサによって、前記車両の周囲のうち後退方向側に位置する障害物までの距離を検出することとした。これにより、障害物までの距離について不要な検出を行なうことなく、必要な検出のみ行なうことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る運転支援システムの一実施の形態について、図1〜図5を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施の形態の運転支援システム1について、その全体構成を示すブロック図であり、図2は、超音波センサの配置態様例を模式的に示す平面図である。はじめに、これら図1及び図2を用いて、運転支援システム1の構成及び機能について説明する。
【0017】
図1に示されるように、運転支援システム1は、車両C(図1では図示略)に搭載されており、エンジン制御ECU10、駐車支援装置20、誤動作防止ECU30等々を備えて構成されている。
【0018】
このうち、エンジン制御ECU10は、車両Cに搭載される図示しない自動変速機の変速段を切り換えるシフトレバーの位置情報、車両Cに搭載される図示しないスロットル開度センサを用いて検出されるスロットル開度、車両Cに搭載される図示しないクランクポジションセンサの検出信号に基づき算出されるエンジン回転速度等々を取り込む。そして、エンジン制御ECU10は、これら取り込んだ各種情報に基づいて車載エンジンの燃焼室内に噴射する燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量を燃焼室に噴射する(燃料噴射量制御)。こうした燃料噴射量制御により、エンジン制御ECU10は、車両に発生させる駆動力を制御する。
【0019】
また、エンジン制御ECU10は、後述の誤動作防止ECU30からエンジン回転速度抑制要求信号を受信すると、例えば上記燃料噴射量を低減して、車両Cの駆動力を抑制する。
【0020】
ちなみに、エンジン制御ECU10が特許請求の範囲に記載の駆動力制御装置に相当し、スロットル開度及びエンジン回転速度が特許請求の範囲に記載の駆動力関連値に相当する。
【0021】
駐車支援装置20は、いわゆる公知のバック&クリアランスソナーシステムであり、駐車支援ECU21、前進側超音波センサ22、後退側超音波センサ23等々を備えて構成されている。
【0022】
これら超音波センサ22及び23の配置態様の一例を図2に示す。この図2に示されるように、前進側超音波センサ22は、例えば車両Cの周囲のうち前進側に向けてバンパに4個配設され、超音波の送受信を行なう。同様に、後退側超音波センサ23は、例えば車両Cの周囲のうち後退側に向けてバンパに4個配設され、超音波の送受信を行なう。
【0023】
駐車支援ECU21は、シフトレバーが前進状態に設定されている場合、この前進側超音波センサ22による超音波の送受信に基づいて、車両Cの周囲のうち前進側に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離を検出する。同様に、駐車支援ECU21は、シフトレバーが後退状態に設定されている場合、この後退側超音波センサ23による超音波の送受信に基づいて、車両Cの周囲のうち後退側に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離を検出する。したがって、駐車支援装置20(詳しくは駐車支援ECU21)は、特許請求の範囲に記載の障害物距離検出手段に相当する。
【0024】
そして、駐車支援ECU21は、車両Cの周囲に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離について、ブザーによる警報、スピーカによる音声案内及び表示装置へのグラフィック表示等々により(いずれも図示略)、車両Cのユーザに警告する。さらに、駐車支援ECU21は、車両Cの周囲に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離について、後述する誤動作防止ECU30に出力する。
【0025】
また、駐車支援装置20では、通常、超音波センサ22及び23にて障害物を検出することの可能な範囲である検出範囲は余裕をもって設定されている。すなわち、実際には、設定された警告範囲よりも広い範囲に位置する障害物を検出することが可能である。しかしながら、本実施の形態では、こうした警告範囲は、実際の検出可能な範囲にまで広く設定されている。
【0026】
なお、こうした駐車支援装置20については公知であるため、ここでのこれ以上の詳しい説明を割愛する。
【0027】
誤動作防止ECU30は、上記エンジン制御ECU10と同様に、シフトレバーの位置情報、スロットル開度センサを用いて検出されるスロットル開度、クランクポジションセンサの検出信号に基づき算出されるエンジン回転速度等々を所定時間毎に繰り返し取り込むとともに、さらに、上記駐車支援ECU21から障害物までの距離も所定時間毎に繰り返し取り込む。
【0028】
誤動作防止ECU30は、図1に示すように、例えばフラッシュメモリ等からなるメモリ(記憶保持手段)31を内部に有しており、このメモリ31には、図3に示す対応マップT1が記憶保持されている。この図3に示されるように、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離が長いほど、エンジン回転速度の限界値は大きくなっている。ちなみに、障害物までの距離及びエンジン回転速度の限界値は、車両Cが障害物に衝突することなく停止することが容易になるため、このように対応付けられている。一方、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離が短いほど、エンジン回転速度の限界値は小さくなっている。ちなみに、障害物までの距離及びエンジン回転速度の限界値は、車両Cが障害物に衝突することなく停止することが難しくなるため、このように対応付けられている。
【0029】
また、エンジン回転速度の限界値とは、この限界値に相当する駆動力が車両Cに実際に発生しても、ドライバが、当該車両Cが意図しない方向へ進行することに気付き、ブレーキペダルを踏み、車両Cが障害物に衝突することなく停止することのできる上限値を意味している。したがって、図3中に曲線で示されるエンジン回転速度の限界値よりも下方の領域は、車両Cが障害物に衝突することなく停止することが容易な安全領域となっており、図3中に曲線で示されるエンジン回転速度の限界値よりも上方の領域は、車両Cが障害物に衝突することなく停止することが難しい危険領域となっている。そして、車両Cの停車時に、駐車支援装置20によって検出された障害物までの距離が誤動作防止ECU30のメモリ31に記憶保持される。
【0030】
誤動作防止ECU30は、車両Cの走行時には、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。一方、誤動作防止ECU30は、車両Cの発車時には、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、同じくメモリ31に記憶保持されている障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。そして、誤動作防止ECU30は、実際のエンジン回転速度が、設定したエンジン回転速度の限界値よりも大きいと判断する場合に、車両Cの駆動力を、その判断時の実際のエンジン回転速度に基づいて定まる駆動力よりも抑制する旨の指示を、エンジン制御ECU10に与える。
【0031】
なお、誤動作防止ECU30は、特許請求の範囲に記載の支援制御装置及び限界値設定手段に相当し、メモリ31は、特許請求の範囲に記載の記憶保持手段に相当する。
【0032】
以上のように構成された運転支援システム1の動作について図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、図4は、例えばコンビニエンスストア等の店舗の駐車場に車両Cが停車した場合における動作例を説明するための模式図であり、図5は、こうした動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【0033】
図4及び図5に示されるように、例えばユーザが、車両Cを店舗Bに隣接する駐車場の駐車区画に前進させ、時刻t1に車両Cを停車したとする。このとき、誤動作防止ECU30は、車両Cが停車した時刻t1から所定時間が経過する時刻t2までに、駐車支援装置20によって検出された障害物までの距離をメモリ31に記憶する。ちなみに、時刻t1以前の車両C走行時においては、誤動作防止ECU30は、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定している。
【0034】
また、車両Cを離れて店舗Bにて所要を済ませたユーザが再び車両Cに戻り、例えば時刻t3に車両Cを発車したとする。このとき、車両Cが発車した時刻t3から所定時間が経過する時刻t4まで、超音波センサ22及び23による障害物の検出ができないため、誤動作防止ECU30は、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、同じくメモリ31に記憶保持しておいた障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。
【0035】
そして、誤動作防止ECU30は、実際のエンジン回転速度が上記限界値よりも大きいと判断する場合、エンジン回転速度抑制要求をエンジン制御ECU10に与え、エンジン制御ECU10は、エンジン回転速度抑制要求を受けると、例えば燃料噴射量を低減して、車両Cの駆動力を抑制する。
【0036】
以上説明した上記実施の形態では、誤動作防止ECU30は、車両Cの走行時には、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、駐車支援装置20によって検出される障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。一方、誤動作防止ECU30は、車両Cの発車時には、メモリ31に記憶保持されている対応マップT1を用いて、同じくメモリ31に記憶保持されている障害物までの距離に基づき、エンジン回転速度の限界値を設定する。そして、誤動作防止ECU30は、実際のエンジン回転速度が、設定したエンジン回転速度の限界値よりも大きいと判断する場合に、車両Cの駆動力を、実際のエンジン回転速度に基づいて定まる駆動力よりも抑制する旨の指示を、エンジン制御ECU10に与える。これにより、車両Cが意図しない方向に進行した場合であっても、車両Cの周囲に位置する障害物への突入事故の発生をより低減することができるようになる。
【0037】
また、上記実施の形態では、車両Cに搭載されている駐車支援装置20を構成する超音波センサ22及び23を、駐車支援システムの超音波センサ22及び23に転用していた。これにより、運転支援システム全体としての構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0038】
なお、本発明に係る運転支援システム1は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0039】
上記実施の形態では、駐車支援ECU21は、シフトレバーが前進状態に設定されている場合、この前進側超音波センサ22による超音波の送受信に基づいて、車両Cの周囲のうち前進側に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離を検出する一方、シフトレバーが後退状態に設定されている場合、この後退側超音波センサ23による超音波の送受信に基づいて、車両Cの周囲のうち後退側に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離を検出していたが、これに限らない。シフトレバーの設定位置にかかわらず、前進側超音波センサ22及び後退側超音波センサ23の双方による超音波の送受信に基づき、車両Cの周囲に位置する障害物の有無及びこの障害物までのおおよその距離を検出してもよい。
【0040】
上記実施の形態では、例えばフラッシュメモリを記憶保持手段として採用していたが、これに限らず、ハードディスクドライブ装置等を採用してもよい。要は、車両Cの停車時における障害物までの距離を記憶保持することができること、さらに、障害物までの距離とエンジン回転速度の限界値との対応マップを記憶保持することができれば、記憶保持手段は任意である。
【0041】
上記実施の形態では、誤動作防止ECU30は、上記記憶保持手段に、車両Cの停車時における障害物までの距離を記憶保持し、車両Cの発進時に、この記憶保持されている障害物までの距離に基づきエンジン回転速度の限界値を設定していたが、これに限らない。イグニッションスイッチがオン操作されてから即座に発車しないのであれば、すなわち、超音波センサによる障害物までの距離の検出が可能になるまで待機後に発車するのであれば、車両Cの停車時における障害物までの距離を記憶保持しなくともよい。
【0042】
上記実施の形態では、誤動作防止ECU30は、上記記憶保持手段に、障害物までの距離とエンジン回転速度の限界値との対応マップT1(図3参照)を記憶保持していたが、これに限らない。他に例えば、誤動作防止ECU30は、上記記憶保持手段に、障害物までの距離とスロットル開度の限界値との対応マップT2(図6参照)を記憶保持し、この対応マップT2を用いて、障害物までの距離に基づきスロットル開度の限界値を設定してもよい。あるいは、誤動作防止ECU30は、上記記憶保持手段に、障害物までの距離とアクセルペダルの踏み込み量の限界値との対応マップ(図示略)を記憶保持し、この対応マップを用いて、障害物までの距離に基づきアクセルペダルの踏み込み量の限界値を設定してもよい。ちなみに、エンジン回転速度、スロットル開度及びアクセルペダルの踏み込み量は、特許請求の範囲に記載の駆動力関連値に相当する。
【0043】
またさらに、誤動作防止ECU30は、対応マップT1及びT2にあらわれる傾向を捉えた演算式を予め定めておき、障害物までの距離に基づき演算式による演算によって、これら駆動力関連値の限界値を算出してもよい。
【0044】
上記実施の形態では、駐車支援ECU21と誤動作防止ECU30とを別体として構成していたが、一体のものとして構成してもよい。すなわち、誤動作防止ECU30が実行する処理を、既存の駐車支援装置20を構成する駐車支援ECU21に実行させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る運転支援システムの一実施の形態について、その全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施の形態について、超音波センサの配置態様の一例を模式的に示す平面図。
【図3】本実施の形態について、障害物までの距離と回転速度の限界値との対応マップの一例を示す図。
【図4】本実施の形態の動作を説明するための説明図。
【図5】本実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図6】本実施の形態の変形例について、障害物までの距離とアクセル開度の限界値との対応マップの一例を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1…運転支援システム、10…エンジン制御ECU(駆動力制御装置)、20…駐車支援装置、21…駐車支援ECU(障害物距離検出手段)、22…(前進側)超音波センサ、23…(後退側)超音波センサ、30…誤動作防止ECU(支援制御装置、限界値設定手段)、31…メモリ(記憶保持手段)、B…建物、C…車両、T1、T2…対応マップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する運転支援システムであって、
車両に発生させる駆動力を制御する駆動力制御装置と、
超音波センサによって前記車両の周囲に位置する障害物までの距離を検出する障害物距離検出手段と、
その障害物距離検出手段によって検出された障害物までの距離に基づいて、車両の駆動力に関する値である駆動力関連値の限界値を設定する限界値設定手段と、
実際の駆動力関連値が、前記限界値設定手段で設定した限界値よりも大きいと判断する場合に、車両の駆動力を、その判断時の実際の駆動力関連値に基づいて定まる駆動力よりも抑制する旨の指示を前記駆動力制御装置に与える支援制御装置とを含むことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記駆動力関連値は、スロットル開度であって、スロットル開度センサを用いて検出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記駆動力関連値は、アクセルペダルの踏み込み量であって、アクセル位置センサを用いて検出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記駆動力関連値は、エンジン回転速度であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の運転支援システムにおいて、
前記障害物までの距離と前記駆動力関連値の限界値との対応マップを記憶保持する記憶保持手段を備え、
前記限界値設定手段は、前記記憶保持手段に記憶保持されている前記対応マップを用いて、前記障害物距離検出手段によって検出された前記障害物までの距離に基づき前記駆動力関連値の限界値を設定することを特徴とする運転支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の運転支援システムにおいて、
前記車両の停車時における前記障害物までの距離を記憶保持し、
前記限界値設定手段は、前記記憶保持手段に記憶保持されている前記障害物までの距離に基づき前記駆動力関連値の限界値を設定し、
前記支援制御装置は、前記車両の発車時に、前記判断及び支持を行なうことを特徴とすることを特徴とする運転システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援システムにおいて、
前記障害物距離検出手段は、前記車両に備えられるシフトレバーが前進状態に設定されている場合には、前記車両の前進方向側に備えられている超音波センサによって、前記車両の周囲のうち前進方向側に位置する障害物までの距離を検出する一方、前記車両に備えられるシフトレバーが後退状態に設定されている場合には、前記車両の後退方向側に備えられている超音波センサによって、前記車両の周囲のうち後退方向側に位置する障害物までの距離を検出することを特徴とする運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48240(P2010−48240A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215791(P2008−215791)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】