運転支援システム
【課題】無駄な運転支援の実施を抑制することができる運転支援システムを提供する。
【解決手段】 運転支援システム1は、路側機2と送受信を行う送受信部5と、自車両のドライバの自宅付近や会社付近において状態案内サービスを実施するか否かを設定入力するための設定入力部6と、ECU8とを備えている。ECU8は、設定入力部6により状態案内サービスのON/OFFが設定入力されると、そのON/OFFデータをサービス設定情報として記憶する機能と、送受信部5により路側機2からの情報を受信すると、サービス設定情報を読み出し、サービス設定情報がONであるときは、音声等によりサービス対象地点の状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御し、サービス設定情報がOFFであるときは、状態案内サービスを実施しないようにする機能とを有する。
【解決手段】 運転支援システム1は、路側機2と送受信を行う送受信部5と、自車両のドライバの自宅付近や会社付近において状態案内サービスを実施するか否かを設定入力するための設定入力部6と、ECU8とを備えている。ECU8は、設定入力部6により状態案内サービスのON/OFFが設定入力されると、そのON/OFFデータをサービス設定情報として記憶する機能と、送受信部5により路側機2からの情報を受信すると、サービス設定情報を読み出し、サービス設定情報がONであるときは、音声等によりサービス対象地点の状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御し、サービス設定情報がOFFであるときは、状態案内サービスを実施しないようにする機能とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号交差点等の情報を取得して車両の運転支援を行う運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の運転支援システムとしては、例えば特許文献1に記載されているように、警報出力等の運転支援を現在実行している場合に、走行道路から道路脇の施設への進路変更等、注意地点に至る走行経路からの逸脱が検知されると、運転支援を中止するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−66179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、自車両は注意地点に到達しないが、注意地点に至る走行経路からの逸脱が検知されるまでは運転支援が継続されることになるため、その間に実施される運転支援は全く無駄なものとなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、無駄な運転支援の実施を抑制することができる運転支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転支援システムは、支援対象地点に関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段と、自車両が支援対象地点に到達する前に、支援対象地点に関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段と、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段とを備え、運転支援手段は、経路逸脱判断手段の判断結果に基づいて自車両の運転支援を開始するかどうかを決定することを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明の運転支援システムにおいては、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断し、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が低いときは、自車両の運転支援を開始し、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が高いときは、自車両の運転支援を開始しないようにする。これにより、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱するために支援対象地点に到達しない可能性が高いにもかかわらず、自車両の運転支援を開始してしまうといったことが防止される。従って、無駄な運転支援の実施を抑制することができる。
【0008】
好ましくは、経路逸脱判断手段は、自車両のドライバに係わる施設が支援対象地点の近辺に存在するか否かによって、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する。自車両のドライバに係わる施設(自宅や会社等)が支援対象地点の近辺に存在する場合には、その施設に向かうことが多くなるために、当該施設の場所によっては自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が高くなる。従って、自車両のドライバに係わる施設が支援対象地点の近辺に存在するか否かを判断するのが好適である。
【0009】
また、経路逸脱判断手段は、自車両が支援対象地点に到達する頻度に基づいて、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断しても良い。自車両が支援対象地点に到達する頻度が低いと、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が当然に高くなる。従って、自車両が支援対象地点に到達する頻度を検出するのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無駄な運転支援の実施を抑制し、ドライバが感じる違和感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる運転支援システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した設定入力部の設定画面の一例を示す図である。
【図3】ドライバの自宅付近の道路環境の一例を示す図である。
【図4】図1に示したECUにより実行されるサービス設定処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したECUにより実行されるサービス実行処理手順を示すフローチャートである。
【図6】自車両が自宅に向かうことでサービスルートを逸脱する様子を示す図である。
【図7】本発明に係わる運転支援システムの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示した設定入力部の設定画面の一例を示す図である。
【図9】図7に示したECUにより実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示した誤り率算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】自車両がサービスルートを逸脱する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる運転支援システムの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係わる運転支援システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態の運転支援システム1は、光ビーコン等の路側機2(図3参照)からサービス対象地点(信号機、交差点、障害物等)に関する情報を取得し、車両のドライバに対してサービス対象地点の状態案内サービスを行うものである。路側機2は、コントローラ3及び送受信部4を有し、サービス対象地点までの道路線形情報、信号機の形態や信号サイクル等の信号情報、一時停止等の規制情報、障害物情報等を送信する。
【0014】
運転支援システム1は、例えば車両に搭載されるナビゲーション装置として構成されている。運転支援システム1は、路側機2と送受信を行う送受信部5と、設定入力部6と、現在地測位部7と、ECU(Electronic Control Unit)8と、UI(User Interface)部9と、地図データベース(地図DB)10とを備えている。
【0015】
設定入力部6は、自車両のドライバの自宅付近や会社付近において状態案内サービスを実施するか否かを設定入力するための手段(例えばタッチパネル)である。設定入力部6の設定画面の一例を図2に示す。
【0016】
図2において、自宅付近や会社付近で状態案内サービスを実施する場合は、対応する「ON」表示をタッチして状態案内サービスをONに設定入力し、自宅付近や会社付近で状態案内サービスを実施しない(停止する)場合は、対応する「OFF」表示をタッチして状態案内サービスをOFFに設定入力する。状態案内サービスがOFFに設定入力されると、図3に示すように、ドライバの自宅H等から半径rの範囲内に存在する路側機2から受けた情報に応じた状態案内サービスを停止させる。
【0017】
図1に戻り、現在地測位部7は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、自車両の現在位置を緯度・経度の座標データとして検出する。UI部9は、ドライバに対して音声や映像によりサービス対象地点S(図3参照)の状態案内を行うための機器である。地図DB10には、地図情報(道路線形情報)や交差点名称、道路名称等の情報が格納されている。
【0018】
ECU8は、CPU、ROMやRAM等のメモリ及び入出力回路等により構成されている。ECU8は、設定入力部6により設定入力されたデータ、送受信部4により受信した路側機2からの情報に基づいて、ドライバに対してサービス対象地点Sの状態情報の音声案内や表示案内を行うようにUI部9を制御する。
【0019】
図4は、ECU8により実行されるサービス設定処理手順を示すフローチャートである。なお、前提条件として、ドライバの自宅や会社のデータが事前に登録されているものとする。
【0020】
同図において、まず設定入力部6により状態案内サービスのON/OFFが設定入力されたかどうかを判断する(手順S31)。状態案内サービスのON/OFFが設定入力されたときは、その状態案内サービスがONに設定入力されたかどうかを判断する(手順S32)。
【0021】
状態案内サービスがONに設定入力されたときは、設定ONをサービス設定情報としてメモリに記憶する(手順S33)。このとき、ドライバの自宅や会社から半径rの範囲内に存在する道路リンクや路側機設置地点を全て抽出し、併せてメモリに記憶する。一方、状態案内サービスがOFFに設定入力されたときは、設定OFFをサービス設定情報としてメモリに記憶する(手順S34)。このとき、メモリに記憶された道路リンクや路側機設置地点の情報を削除する。
【0022】
図5は、ECU8により実行されるサービス実行処理手順を示すフローチャートである。同図において、まず路側機2からの情報(サービス対象地点Sまでの道路線形情報及び信号情報等)を受信したかどうかを判断する(手順S41)。路側機2からの情報を受信したときは、サービス設定情報をメモリから読み出す(手順S42)。
【0023】
そして、サービス設定情報が設定ONであるかどうかを判断し(手順S43)、サービス設定情報が設定ONであるときは、音声等によりサービス対象地点Sの状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御し(手順S44)、本フローを終了する。例えば、サービス対象地点Sが信号交差点である場合には、「この先、赤信号です」といった音声案内を行う。一方、サービス設定情報が設定OFFであるときは、音声等による状態案内サービスを実施せずに、本フローを終了する。
【0024】
以上において、送受信部5は、支援対象地点Sに関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段を構成する。ECU8の上記手順S44とUI部9とは、自車両が支援対象地点Sに到達する前に、支援対象地点Sに関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段を構成する。設定入力部6とECU8の上記手順S31〜S34,S42,S43とは、自車両が支援対象地点Sに至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段を構成する。
【0025】
例えば図6に示すように、自車両のドライバの自宅Hがサービス対象地点Sに至る経路(サービスルート)Rから外れるような場所に存在する場合、自車両が自宅Hに向かって走行するときは、自車両が路側機2の下を通過することで路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、自車両はサービス対象地点Sに到達することは無く、サービスルートRを逸脱することになる。このような状況でもサービス対象地点Sの状態案内サービスが無条件に実施されると、その状態案内サービスが全く無駄になってしまうばかりでなく、ドライバにとって煩わしく感じられることがある。
【0026】
これに対し本実施形態では、設定入力部6により自宅付近の状態案内サービスをOFFに設定入力すると、自宅付近に設置された路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、サービス対象地点Sの状態案内サービスが開始されることはない。これにより、実際にはあまり通らないサービス対象地点Sに対する無駄な状態案内サービスの実施を防ぐことができる。また、殆ど通ることの無いサービス対象地点Sの状態案内サービスは行われないので、ドライバにとって違和感を感じることも無い。
【0027】
図7は、本発明に係わる運転支援システムの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
同図において、本実施形態の運転支援システム1は、上記の設定入力部6及びECU8に代えて、設定入力部21及びECU22を備えている。
【0029】
設定入力部21は、状態案内サービスを実施しないサービス除外地点を学習により自動設定するか否かを入力するための手段(例えばタッチパネル)である。設定入力部21の設定画面の一例を図8に示す。図8において、「ON」表示がタッチされると、サービス除外地点が学習により自動設定されるようになる。「OFF」表示がタッチされると、サービス除外地点は設定されず、どのサービス対象地点に対しても状態案内サービスが実施される。
【0030】
また、運転支援システム1は、除外地点学習データベース(除外地点学習DB)23を更に備えている。除外地点学習DB23には、サービス除外地点情報が学習データとして格納される。サービス対象地点がサービス除外地点でない場合には、路側機2からの情報を受信すると、サービス対象地点の状態案内サービスを提供する。サービス対象地点がサービス除外地点である場合には、路側機2からの情報を受信しても、サービス対象地点の状態案内サービスを提供することは無い。
【0031】
ECU22は、設定入力部6により設定入力されたデータ、送受信部5により受信した路側機2からの情報、現在地測位部7により検出した自車両の現在位置データ、除外地点学習DB23に格納されたサービス除外地点情報に基づいて、ドライバに対してサービス対象地点S(図11参照)の状態情報の音声案内や表示案内を行うようにUI部9を制御すると共に、サービス除外地点を設定する。
【0032】
図9は、ECU22により実行される処理手順を示すフローチャートである。本処理は、設定入力部21によりサービス除外地点の学習がONに設定入力されたときに実行される。
【0033】
同図において、まず路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信したかどうかを判断する(手順S51)。サービス対象地点Sに関する情報を受信したときは、サービス除外地点情報を除外地点学習DB23から読み込む(手順S52)。
【0034】
そして、サービス対象地点Sに関する情報とサービス除外地点情報とを照合し、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないかどうかを判断する(手順S53)。サービス対象地点Sがサービス除外地点でないときは、音声等によりサービス対象地点Sの状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御する(手順S54)。一方、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、状態案内サービスを実施しない。
【0035】
その後、現在地測位部7の検出結果に基づいて、自車両がサービス対象地点Sに到達したかどうかを判断する(手順S55)。自車両がサービス対象地点Sに到達したときは、サービス実施回数を1だけ加算する(手順S56)。一方、自車両がサービス対象地点Sに到達せずにサービスルートRを逸脱した(図11参照)ときは、ルート逸脱回数を1だけ加算する(手順S57)。手順S56,S57を実行した後、現在のサービス除外地点情報を基にして誤り率を算出する(手順S58)。この誤り率算出処理の詳細を図10に示す。
【0036】
図10において、まず現在のサービス除外地点情報を除外地点学習DB23から読み込み(手順S71)、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないかどうかを判断する(手順S72)。
【0037】
サービス対象地点Sがサービス除外地点でないときは、ルート逸脱回数をベースとした誤り率を計算する(手順S73)。ルート逸脱回数をベースとした誤り率とは、図11に示すように、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないにも関わらず、自車両がサービスルートRから逸脱した確率のことであり、下記の計算式から求められる。
誤り率=ルート逸脱回数÷(サービス実施回数+ルート逸脱回数)
【0038】
一方、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、サービス実施回数をベースとした誤り率を計算する(手順S74)。サービス実施回数をベースとした誤り率とは、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるにも関わらず、自車両がサービスルートRを通ってサービス対象地点Sまで到達した確率のことであり、下記の計算式から求められる。
誤り率=サービス実施回数÷(サービス実施回数+ルート逸脱回数)
【0039】
図9に戻り、手順S58で得られた誤り率がx%以上であるかどうかを判断する(手順S59)。誤り率がx%以上であるときは、必要に応じてサービス除外地点の変更を行い、この変更したサービス除外地点情報を除外地点学習DB23に書き込む(手順S60)。
【0040】
具体的には、サービス対象地点Sが現在サービス除外地点でない(非サービス除外地点である)場合に、ルート逸脱回数をベースとした誤り率がx%以上であるときは、サービス対象地点Sを非サービス除外地点からサービス除外地点に変更する。サービス対象地点Sが現在サービス除外地点である場合に、サービス実施回数をベースとした誤り率がx%以上であるときは、サービス対象地点Sをサービス除外地点から非サービス除外地点に変更する。
【0041】
以上において、ECU22の上記手順S54とUI部9とは、自車両が支援対象地点Sに到達する前に、支援対象地点Sに関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段を構成する。除外地点学習DB23とECU22の上記手順S52,S53,S55〜S60とは、自車両が支援対象地点Sに至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段を構成する。
【0042】
以上のように本実施形態においては、自車両がサービス対象地点Sに到達する頻度及び自車両がサービスルートRから逸脱する頻度を計算(学習)することでサービス除外地点を設定し、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、サービス対象地点Sの状態案内サービスを行わないようにしたので、無駄な状態案内サービスの実施を抑えることができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態は、サービス対象地点Sの手前においてドライバに対してサービス対象地点Sの状態案内サービスを行うものであるが、本発明は、サービス対象地点Sの手前において自車両の制動制御等の運転支援を行うものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…運転支援システム、5…送受信部(支援対象地点情報取得手段)、6…設定入力部(経路逸脱判断手段)、8…ECU(運転支援手段、経路逸脱判断手段)、9…UI部(運転支援手段)、22…ECU(運転支援手段、経路逸脱判断手段)、23…除外地点学習データベース(経路逸脱判断手段)、S…サービス対象地点(支援対象地点)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号交差点等の情報を取得して車両の運転支援を行う運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の運転支援システムとしては、例えば特許文献1に記載されているように、警報出力等の運転支援を現在実行している場合に、走行道路から道路脇の施設への進路変更等、注意地点に至る走行経路からの逸脱が検知されると、運転支援を中止するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−66179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、自車両は注意地点に到達しないが、注意地点に至る走行経路からの逸脱が検知されるまでは運転支援が継続されることになるため、その間に実施される運転支援は全く無駄なものとなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、無駄な運転支援の実施を抑制することができる運転支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転支援システムは、支援対象地点に関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段と、自車両が支援対象地点に到達する前に、支援対象地点に関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段と、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段とを備え、運転支援手段は、経路逸脱判断手段の判断結果に基づいて自車両の運転支援を開始するかどうかを決定することを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明の運転支援システムにおいては、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断し、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が低いときは、自車両の運転支援を開始し、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が高いときは、自車両の運転支援を開始しないようにする。これにより、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱するために支援対象地点に到達しない可能性が高いにもかかわらず、自車両の運転支援を開始してしまうといったことが防止される。従って、無駄な運転支援の実施を抑制することができる。
【0008】
好ましくは、経路逸脱判断手段は、自車両のドライバに係わる施設が支援対象地点の近辺に存在するか否かによって、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する。自車両のドライバに係わる施設(自宅や会社等)が支援対象地点の近辺に存在する場合には、その施設に向かうことが多くなるために、当該施設の場所によっては自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が高くなる。従って、自車両のドライバに係わる施設が支援対象地点の近辺に存在するか否かを判断するのが好適である。
【0009】
また、経路逸脱判断手段は、自車両が支援対象地点に到達する頻度に基づいて、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断しても良い。自車両が支援対象地点に到達する頻度が低いと、自車両が支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性が当然に高くなる。従って、自車両が支援対象地点に到達する頻度を検出するのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無駄な運転支援の実施を抑制し、ドライバが感じる違和感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる運転支援システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した設定入力部の設定画面の一例を示す図である。
【図3】ドライバの自宅付近の道路環境の一例を示す図である。
【図4】図1に示したECUにより実行されるサービス設定処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したECUにより実行されるサービス実行処理手順を示すフローチャートである。
【図6】自車両が自宅に向かうことでサービスルートを逸脱する様子を示す図である。
【図7】本発明に係わる運転支援システムの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示した設定入力部の設定画面の一例を示す図である。
【図9】図7に示したECUにより実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示した誤り率算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】自車両がサービスルートを逸脱する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる運転支援システムの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係わる運転支援システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態の運転支援システム1は、光ビーコン等の路側機2(図3参照)からサービス対象地点(信号機、交差点、障害物等)に関する情報を取得し、車両のドライバに対してサービス対象地点の状態案内サービスを行うものである。路側機2は、コントローラ3及び送受信部4を有し、サービス対象地点までの道路線形情報、信号機の形態や信号サイクル等の信号情報、一時停止等の規制情報、障害物情報等を送信する。
【0014】
運転支援システム1は、例えば車両に搭載されるナビゲーション装置として構成されている。運転支援システム1は、路側機2と送受信を行う送受信部5と、設定入力部6と、現在地測位部7と、ECU(Electronic Control Unit)8と、UI(User Interface)部9と、地図データベース(地図DB)10とを備えている。
【0015】
設定入力部6は、自車両のドライバの自宅付近や会社付近において状態案内サービスを実施するか否かを設定入力するための手段(例えばタッチパネル)である。設定入力部6の設定画面の一例を図2に示す。
【0016】
図2において、自宅付近や会社付近で状態案内サービスを実施する場合は、対応する「ON」表示をタッチして状態案内サービスをONに設定入力し、自宅付近や会社付近で状態案内サービスを実施しない(停止する)場合は、対応する「OFF」表示をタッチして状態案内サービスをOFFに設定入力する。状態案内サービスがOFFに設定入力されると、図3に示すように、ドライバの自宅H等から半径rの範囲内に存在する路側機2から受けた情報に応じた状態案内サービスを停止させる。
【0017】
図1に戻り、現在地測位部7は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、自車両の現在位置を緯度・経度の座標データとして検出する。UI部9は、ドライバに対して音声や映像によりサービス対象地点S(図3参照)の状態案内を行うための機器である。地図DB10には、地図情報(道路線形情報)や交差点名称、道路名称等の情報が格納されている。
【0018】
ECU8は、CPU、ROMやRAM等のメモリ及び入出力回路等により構成されている。ECU8は、設定入力部6により設定入力されたデータ、送受信部4により受信した路側機2からの情報に基づいて、ドライバに対してサービス対象地点Sの状態情報の音声案内や表示案内を行うようにUI部9を制御する。
【0019】
図4は、ECU8により実行されるサービス設定処理手順を示すフローチャートである。なお、前提条件として、ドライバの自宅や会社のデータが事前に登録されているものとする。
【0020】
同図において、まず設定入力部6により状態案内サービスのON/OFFが設定入力されたかどうかを判断する(手順S31)。状態案内サービスのON/OFFが設定入力されたときは、その状態案内サービスがONに設定入力されたかどうかを判断する(手順S32)。
【0021】
状態案内サービスがONに設定入力されたときは、設定ONをサービス設定情報としてメモリに記憶する(手順S33)。このとき、ドライバの自宅や会社から半径rの範囲内に存在する道路リンクや路側機設置地点を全て抽出し、併せてメモリに記憶する。一方、状態案内サービスがOFFに設定入力されたときは、設定OFFをサービス設定情報としてメモリに記憶する(手順S34)。このとき、メモリに記憶された道路リンクや路側機設置地点の情報を削除する。
【0022】
図5は、ECU8により実行されるサービス実行処理手順を示すフローチャートである。同図において、まず路側機2からの情報(サービス対象地点Sまでの道路線形情報及び信号情報等)を受信したかどうかを判断する(手順S41)。路側機2からの情報を受信したときは、サービス設定情報をメモリから読み出す(手順S42)。
【0023】
そして、サービス設定情報が設定ONであるかどうかを判断し(手順S43)、サービス設定情報が設定ONであるときは、音声等によりサービス対象地点Sの状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御し(手順S44)、本フローを終了する。例えば、サービス対象地点Sが信号交差点である場合には、「この先、赤信号です」といった音声案内を行う。一方、サービス設定情報が設定OFFであるときは、音声等による状態案内サービスを実施せずに、本フローを終了する。
【0024】
以上において、送受信部5は、支援対象地点Sに関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段を構成する。ECU8の上記手順S44とUI部9とは、自車両が支援対象地点Sに到達する前に、支援対象地点Sに関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段を構成する。設定入力部6とECU8の上記手順S31〜S34,S42,S43とは、自車両が支援対象地点Sに至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段を構成する。
【0025】
例えば図6に示すように、自車両のドライバの自宅Hがサービス対象地点Sに至る経路(サービスルート)Rから外れるような場所に存在する場合、自車両が自宅Hに向かって走行するときは、自車両が路側機2の下を通過することで路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、自車両はサービス対象地点Sに到達することは無く、サービスルートRを逸脱することになる。このような状況でもサービス対象地点Sの状態案内サービスが無条件に実施されると、その状態案内サービスが全く無駄になってしまうばかりでなく、ドライバにとって煩わしく感じられることがある。
【0026】
これに対し本実施形態では、設定入力部6により自宅付近の状態案内サービスをOFFに設定入力すると、自宅付近に設置された路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、サービス対象地点Sの状態案内サービスが開始されることはない。これにより、実際にはあまり通らないサービス対象地点Sに対する無駄な状態案内サービスの実施を防ぐことができる。また、殆ど通ることの無いサービス対象地点Sの状態案内サービスは行われないので、ドライバにとって違和感を感じることも無い。
【0027】
図7は、本発明に係わる運転支援システムの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
同図において、本実施形態の運転支援システム1は、上記の設定入力部6及びECU8に代えて、設定入力部21及びECU22を備えている。
【0029】
設定入力部21は、状態案内サービスを実施しないサービス除外地点を学習により自動設定するか否かを入力するための手段(例えばタッチパネル)である。設定入力部21の設定画面の一例を図8に示す。図8において、「ON」表示がタッチされると、サービス除外地点が学習により自動設定されるようになる。「OFF」表示がタッチされると、サービス除外地点は設定されず、どのサービス対象地点に対しても状態案内サービスが実施される。
【0030】
また、運転支援システム1は、除外地点学習データベース(除外地点学習DB)23を更に備えている。除外地点学習DB23には、サービス除外地点情報が学習データとして格納される。サービス対象地点がサービス除外地点でない場合には、路側機2からの情報を受信すると、サービス対象地点の状態案内サービスを提供する。サービス対象地点がサービス除外地点である場合には、路側機2からの情報を受信しても、サービス対象地点の状態案内サービスを提供することは無い。
【0031】
ECU22は、設定入力部6により設定入力されたデータ、送受信部5により受信した路側機2からの情報、現在地測位部7により検出した自車両の現在位置データ、除外地点学習DB23に格納されたサービス除外地点情報に基づいて、ドライバに対してサービス対象地点S(図11参照)の状態情報の音声案内や表示案内を行うようにUI部9を制御すると共に、サービス除外地点を設定する。
【0032】
図9は、ECU22により実行される処理手順を示すフローチャートである。本処理は、設定入力部21によりサービス除外地点の学習がONに設定入力されたときに実行される。
【0033】
同図において、まず路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信したかどうかを判断する(手順S51)。サービス対象地点Sに関する情報を受信したときは、サービス除外地点情報を除外地点学習DB23から読み込む(手順S52)。
【0034】
そして、サービス対象地点Sに関する情報とサービス除外地点情報とを照合し、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないかどうかを判断する(手順S53)。サービス対象地点Sがサービス除外地点でないときは、音声等によりサービス対象地点Sの状態案内サービスを実施するようにUI部9を制御する(手順S54)。一方、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、状態案内サービスを実施しない。
【0035】
その後、現在地測位部7の検出結果に基づいて、自車両がサービス対象地点Sに到達したかどうかを判断する(手順S55)。自車両がサービス対象地点Sに到達したときは、サービス実施回数を1だけ加算する(手順S56)。一方、自車両がサービス対象地点Sに到達せずにサービスルートRを逸脱した(図11参照)ときは、ルート逸脱回数を1だけ加算する(手順S57)。手順S56,S57を実行した後、現在のサービス除外地点情報を基にして誤り率を算出する(手順S58)。この誤り率算出処理の詳細を図10に示す。
【0036】
図10において、まず現在のサービス除外地点情報を除外地点学習DB23から読み込み(手順S71)、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないかどうかを判断する(手順S72)。
【0037】
サービス対象地点Sがサービス除外地点でないときは、ルート逸脱回数をベースとした誤り率を計算する(手順S73)。ルート逸脱回数をベースとした誤り率とは、図11に示すように、サービス対象地点Sがサービス除外地点でないにも関わらず、自車両がサービスルートRから逸脱した確率のことであり、下記の計算式から求められる。
誤り率=ルート逸脱回数÷(サービス実施回数+ルート逸脱回数)
【0038】
一方、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、サービス実施回数をベースとした誤り率を計算する(手順S74)。サービス実施回数をベースとした誤り率とは、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるにも関わらず、自車両がサービスルートRを通ってサービス対象地点Sまで到達した確率のことであり、下記の計算式から求められる。
誤り率=サービス実施回数÷(サービス実施回数+ルート逸脱回数)
【0039】
図9に戻り、手順S58で得られた誤り率がx%以上であるかどうかを判断する(手順S59)。誤り率がx%以上であるときは、必要に応じてサービス除外地点の変更を行い、この変更したサービス除外地点情報を除外地点学習DB23に書き込む(手順S60)。
【0040】
具体的には、サービス対象地点Sが現在サービス除外地点でない(非サービス除外地点である)場合に、ルート逸脱回数をベースとした誤り率がx%以上であるときは、サービス対象地点Sを非サービス除外地点からサービス除外地点に変更する。サービス対象地点Sが現在サービス除外地点である場合に、サービス実施回数をベースとした誤り率がx%以上であるときは、サービス対象地点Sをサービス除外地点から非サービス除外地点に変更する。
【0041】
以上において、ECU22の上記手順S54とUI部9とは、自車両が支援対象地点Sに到達する前に、支援対象地点Sに関する情報に基づいて自車両の運転支援を開始する運転支援手段を構成する。除外地点学習DB23とECU22の上記手順S52,S53,S55〜S60とは、自車両が支援対象地点Sに至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段を構成する。
【0042】
以上のように本実施形態においては、自車両がサービス対象地点Sに到達する頻度及び自車両がサービスルートRから逸脱する頻度を計算(学習)することでサービス除外地点を設定し、サービス対象地点Sがサービス除外地点であるときは、路側機2からサービス対象地点Sに関する情報を受信しても、サービス対象地点Sの状態案内サービスを行わないようにしたので、無駄な状態案内サービスの実施を抑えることができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態は、サービス対象地点Sの手前においてドライバに対してサービス対象地点Sの状態案内サービスを行うものであるが、本発明は、サービス対象地点Sの手前において自車両の制動制御等の運転支援を行うものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…運転支援システム、5…送受信部(支援対象地点情報取得手段)、6…設定入力部(経路逸脱判断手段)、8…ECU(運転支援手段、経路逸脱判断手段)、9…UI部(運転支援手段)、22…ECU(運転支援手段、経路逸脱判断手段)、23…除外地点学習データベース(経路逸脱判断手段)、S…サービス対象地点(支援対象地点)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支援対象地点に関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段と、
前記自車両が前記支援対象地点に到達する前に、前記支援対象地点に関する情報に基づいて前記自車両の運転支援を開始する運転支援手段と、
前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段とを備え、
前記運転支援手段は、前記経路逸脱判断手段の判断結果に基づいて前記自車両の運転支援を開始するかどうかを決定することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記経路逸脱判断手段は、前記自車両のドライバに係わる施設が前記支援対象地点の近辺に存在するか否かによって、前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記経路逸脱判断手段は、前記自車両が前記支援対象地点に到達する頻度に基づいて、前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項1】
支援対象地点に関する情報を取得する支援対象地点情報取得手段と、
前記自車両が前記支援対象地点に到達する前に、前記支援対象地点に関する情報に基づいて前記自車両の運転支援を開始する運転支援手段と、
前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断する経路逸脱判断手段とを備え、
前記運転支援手段は、前記経路逸脱判断手段の判断結果に基づいて前記自車両の運転支援を開始するかどうかを決定することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記経路逸脱判断手段は、前記自車両のドライバに係わる施設が前記支援対象地点の近辺に存在するか否かによって、前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記経路逸脱判断手段は、前記自車両が前記支援対象地点に到達する頻度に基づいて、前記自車両が前記支援対象地点に至る経路を逸脱する可能性があるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の運転支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−28554(P2011−28554A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174387(P2009−174387)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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