説明

運転支援装置

【課題】覚醒度の低い運転者にも安全な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供する。
【解決手段】駐車支援装置1のECU2には、飲酒検知装置3と、カメラセンサ4と、距離検出センサ5とが接続されている。ECU2では、飲酒検知装置3から送信される飲酒判定結果信号と、カメラセンサ4から送信される画像と、距離検出センサ5から送信される距離情報とに基づき、運転支援情報を生成し、ディスプレイ6及びスピーカ7に運転支援情報を出力させるため、飲酒判定部8と、駐車枠認識部9と、障害物認識部10と、障害物距離認識部11と、描画処理部12と、警告音発生部13とを備えている。そして、描画処理部12は、駐車支援情報として駐車枠を表示させる場合、運転者が飲酒していると判定した場合は、飲酒していないと判定した場合に比べて、駐車枠を小さくして表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援情報を出力する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後方にある駐車場に駐車する場合などに、車両をガイドして運転支援を行う運転支援装置が知られている。この運転支援装置は、車両に搭載したカメラで車両後方を撮像し、この撮像画像から車両が進むべきガイド線を生成する。そして、車室内に設置したディスプレイに、カメラで撮像した画像にガイドセントを重畳した運転支援画像を表示させている。更に、この運転支援装置は、他車両との接触に対する安全性を高めるために、他車両から所定距離隔てた位置にガイド線を表示させている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−291759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の運転支援装置では、運転支援画像として、常に他車両から所定距離隔ててガイド線を表示させているため、運転者は、他車両との距離に余裕を持たせてガイド線が表示されると認識してしまう。
【0004】
このため、運転者が飲酒している状態で上記の運転支援装置を使用すると、判断能力が低下しているにも拘らず、多少荒い運転をしても他車両に接触することがないと判断してしまい、その結果、他車両に接触する可能性があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、覚醒度の低い運転者にも安全な運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転支援装置は、車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、周辺情報に基づいて運転を支援するための運転支援情報を生成する運転支援情報生成手段と、運転支援情報を出力する運転支援情報出力手段と、運転者の覚醒度を判定する覚醒度判定手段と、を備え、運転支援情報出力手段は、覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、運転支援情報を安全側にマージンを大きく持たせて出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の運転支援装置によれば、覚醒度判定手段により判断される覚醒度が低いほど、車両の周辺情報に基づいて生成される運転支援情報を、安全側にマージンを大きく持たせて出力することで、覚醒度の低い運転者に対して、安全に運転するための範囲が狭いと感じさせることができる。このため、覚醒度の低い運転者の集中力を高めさせることができ、安全な運転支援を行うことができる。
【0008】
この場合、運転支援情報は、車両が進入しようとする領域の表示枠であり、運転支援情報生成手段は、覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、表示枠を小さく表示することが好ましい。この運転支援装置によれば、覚醒度判定手段により判断される覚醒度が低いほど、車両が進入しようとする領域の表示枠を小さく表示することで、覚醒度の低い運転者に対して、進入可能な領域を小さく感じさせることができる。このため、覚醒度の低い運転者の集中力を高めて、車両を領域に進入させることができる。しかも、覚醒度が高いと判定された場合に比べて覚醒度が低いと判定された場合の方が、表示される表示枠と実際の領域の境界との間にスペースの余裕が出るため、覚醒度が低下したことにより表示される表示枠から車両をはみ出させたとしても、領域外に存在する障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0009】
また、上記の運転支援情報は、車両周囲に存在する障害物の画像であり、運転支援情報生成手段は、覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、障害物の画像を大きく表示することが好ましい。この運転支援装置によれば、覚醒度判定手段により判断される覚醒度が低いほど、車両周囲に存在する障害物の画像を大きく表示することで、覚醒度の低い運転者に対して、障害物が大きいと感じさせることができる。このため、覚醒度の低い運転者の集中力を高めて、障害物を避けるように運転させることができる。しかも、覚醒度が高いと判定された場合に比べて覚醒度が低いと判定された場合の方が、表示される障害物の画像と実際の障害物との間の空間に余裕が出るため、覚醒度が低下したことにより表示される障害物の画像の位置まで車両を進めたとしても、この障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0010】
また、上記の運転支援情報は、車両周囲に存在する障害物の画像であり、運転支援情報生成手段は、覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、障害物の画像を近くに表示することが好ましい。この運転支援装置によれば、覚醒度判定手段により判断される覚醒度が低いほど、車両周囲に存在する障害物の画像を近くに表示することで、覚醒度の低い運転者に対して、障害物までの距離が短いと感じさせることができる。このため、覚醒度の低い運転者の集中力を高めて、早期にブレーキ操作等の障害物回避操作を行わせることができる。しかも、覚醒度が高いと判定された場合に比べて覚醒度が低いと判定された場合の方が、表示される障害物の画像と実際の障害物との間の空間に余裕が出るため、覚醒度が低下したことにより表示される障害物の画像に対して障害回避操作が遅れたとしても、この障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0011】
また、上記の運転支援情報は、障害物までの距離に応じた警告音であり、運転支援情報生成手段は、覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、障害物までの距離よりも短いときの警告音を発生することが好ましい。この運転支援装置によれば、覚醒度判定手段により判断される覚醒度が低いほど、障害物までの距離よりも短いときの警告音を発生することで、覚醒度の低い運転者に対して、障害物までの距離が短いと感じさせることができる。このため、覚醒度の低い運転者の集中力を高めて、早期にブレーキ操作等の障害物回避操作を行わせることができる。しかも、覚醒度が高いと判定された場合に比べて覚醒度が低いと判定された場合の方が、警告音により認識される障害物までの距離と実際の障害物までの距離との間に距離の余裕が出るため、運転者が、覚醒度が低下したことにより警告音に基づく障害回避操作が遅れたとしても、障害物に接触する可能性を下げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、覚醒度の低い運転者にも安全な運転支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転支援装置の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る運転支援装置を、駐車支援装置に適用したものである。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の運転支援装置のブロック構成を示した図である。図に示すように、本実施形態の駐車支援装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2を備えている。ECU2には、飲酒検知装置3と、カメラセンサ4と、距離検出センサ5とが接続されている。そして、ECU2は、ディスプレイ6と、スピーカ7とに、運転支援情報を出力する。
【0015】
飲酒検知装置3は、空気中のアルコール濃度を検知する検知装置である。飲酒検知装置3は、ステアリング付近や運転席のヘッドレストなどの運転席付近に取り付けられており、運転者から吹き付けられる呼気からアルコール濃度を検知する。そして、飲酒検知装置3は、アルコール濃度を示すアルコール濃度情報をECU2に送信する。
【0016】
カメラセンサ4は、車両のバックドアに取り付けられており、車両後方の画像を撮像する撮像機である。そして、カメラセンサ4は、撮像した後方画像をECU2に送信する。
【0017】
距離検出センサ5は、ミリ波、超音波、レーザなどの測距信号を用いて、車両周囲に存在する障害物までの距離を計測するレーダ系センサである。距離検出センサ5は、車両の周囲に測距信号を送信すると共に、車両周囲に存在する障害物からの反射波を受信する。そして、距離検出センサ5は、測距信号を送信した時間と、反射波を受信した時間とに基づき、車両周囲に存在する障害物までの距離を計測する。そして、距離検出センサ5は、検出した障害物までの距離を示す距離情報を、ECU2に送信する。
【0018】
ディスプレイ6は、運転者から見える位置に配置されており、駐車支援画像を表示する画像表示装置である。なお、ディスプレイ6は、ヘッドアップディスプレイや、HMI(Human Machine Interface)などにより構成されている。スピーカ7は、ECU2から指示される警告音が出力される音声出力装置である。
【0019】
また、ECU2は、飲酒検知装置3から送信されるアルコール濃度情報と、カメラセンサ4から送信される後方画像と、距離検出センサ5から送信される距離情報とに基づき、運転支援情報を生成し、ディスプレイ6及びスピーカ7に運転支援情報を出力させる。そのため、ECU2は、飲酒判定部8と、駐車枠認識部9と、障害物認識部10と、障害物距離認識部11と、描画処理部12と、警告音発生部13とを備えている。なお、ECU2は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。
【0020】
飲酒判定部8は、飲酒検知装置3から送信されるアルコール濃度情報を取得し、運転者が飲酒しているか否かの飲酒判定を行う。つまり、飲酒判定部8は、このアルコール濃度情報が示すアルコール濃度に応じて運転手の飲酒量を判断し、さらに、このアルコール濃度が所定の閾値未満であれば飲酒していないと判定し、所定値以上であれば飲酒していると判定する。
【0021】
駐車枠認識部9は、カメラセンサ4から送信される後方画像を取得し、この後方画像に基づき、目標駐車位置の目安となる駐車枠を認識する。
【0022】
障害物認識部10は、カメラセンサ4から送信される後方画像を取得し、この画像に基づき、車両周辺に存在する障害物を検出すると共に、この障害物の形状を認識する。
【0023】
障害物距離認識部11は、距離検出センサ5から送信される距離情報に基づき、車両周辺に存在する障害物までの距離を認識する。
【0024】
描画処理部12は、飲酒判定部8の飲酒判定結果に基づき、駐車支援情報として、ディスプレイ6に表示させる駐車支援画像を生成する。駐車支援画像には、車両の後方画像に駐車枠を示す駐車表示枠が重畳された駐車枠画像、車両の後方画像に自車両後端部の予想軌跡が重畳された予想軌跡画像、自車両を上方から俯瞰した状態を示すモデル画像に障害物の画像が重畳された俯瞰画像などがあり、運転者により、表示される駐車支援画像が適宜選択される。そして、描画処理部12は、生成した駐車支援画像をディスプレイ6に表示させる。
【0025】
警告音発生部13は、飲酒判定部8の飲酒判定結果に基づき、駐車支援情報として、障害物が接近していることを知らせる警告音を発生させる。警告音発生部13には、警告音を発生させる発生周期と、自車両から障害物までの距離とが対応して登録されており、障害物までの距離が短くなるほど、この警告音の発生周期が短くなっている。そして、警告音発生部13は、発生した警告音をスピーカ7に出力させる。
【0026】
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る駐車支援装置1の動作について説明する。
【0027】
図2は、駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【0028】
図に示すように、ECU2では、カメラセンサ4から送信される後方画像を取得すると、駐車枠認識部9により、駐車枠の認識処理が行われる(ステップS1)。この駐車枠の認識処理では、まず、カメラセンサ4から後方画像を取得する。そして、この後方画像から、目標駐車位置を識別するための白線や他車両の駐車位置を基準にして、目標駐車位置の目安となる駐車枠を検出する。
【0029】
次に、障害物認識部10により、障害物の認識処理が行われる(ステップS2)。この障害物の認識処理では、まず、カメラセンサ4から後方画像を取得する。そして、この後方画像を走査して障害物を探索する。そして、障害物を検出した場合に、この障害物の形状を検出する。
【0030】
次に、障害物距離認識部11により、障害物までの距離認識処理が行われる(ステップS3)。この距離計測処理では、距離検出センサ5から距離情報を取得し、車両から障害物までの距離を検出する。
【0031】
そして、飲酒検査を促す案内を行って運転者に飲酒検査を行わせ(ステップS4)、飲酒判定部8により、飲酒検知装置3から送信されるアルコール濃度情報を取得する。そして、アルコール濃度情報が示すアルコール濃度を所定の閾値と比較して、運転者の飲酒量を判断すると共に、運転者が飲酒しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0032】
ステップS5において、飲酒していないと判定した場合は、まず、描画処理部12により、通常時の描画処理が行われる(ステップS6)。この通常時の描画処理では、駐車枠画像と、予想軌跡画像と、俯瞰画像とを生成する。駐車枠画像の生成は、駐車枠認識部9で検出した駐車枠を示す駐車表示枠を後方画像に重畳することにより生成される。予想軌跡画像は、操舵輪の傾斜角度に基づき車両後端部の予想軌跡を求めると共に、この予想軌跡を示す画像を後方画像に重畳することにより生成される。俯瞰画像は、障害物認識部10で検出した形状をなす障害物表示枠を、車両を上方から俯瞰したモデル画像に重畳することにより生成される。そして、運転者の指示に基づき、駐車枠画像、予想軌跡画像及び俯瞰画像のうち何れかの画像、又は複数の画像を、ディスプレイ6に表示させる。
【0033】
次に、警告音発生部13により、通常時の警告音発生処理が行われる(ステップS7)。この通常時の警告音発生処理では、障害物距離認識部11が認識した障害物までの距離に対応して登録されている発生周期を読み出す。そして、この発生周期の警告音をスピーカ7から出力させる。
【0034】
一方、ステップS5において、飲酒していると判定した場合は、まず、描画処理部12により、飲酒の量に応じた描画処理が行われる(ステップS8)。この飲酒量に応じた描画処理では、駐車枠画像と、予想軌跡画像と、俯瞰画像とを生成する。駐車枠画像の生成は、まず、駐車枠認識部9が検出した駐車枠を示す駐車表示枠を画像処理により小さくする。そして、この小さくなった駐車表示枠を後方画像に重畳することにより生成される。予想軌跡画像は、まず、操舵輪の傾斜角度に基づき車両後端部の予想軌跡を求め、この予想軌跡を画像処理により幅広にする。そして、この幅広になった予想軌跡を後方画像に重畳することにより生成される。俯瞰画像は、まず、障害物認識部10が検出した障害物の形状をなす障害物表示枠を画像処理により大きくすると共に、自車両に近づける。そして、この大きくなって近づいた障害物表示枠を、車両を上方から俯瞰したモデル画像に重畳することにより生成される。そして、運転者の指示に基づき、駐車枠画像、予想軌跡画像及び俯瞰画像のうち何れかの画像、又は複数の画像を、ディスプレイ6に表示させる。
【0035】
図3に、駐車枠画像を表示させる場合の表示例を示す。図において、飲酒していないと判定した場合は、駐車表示枠B1が表示され、飲酒していると判定した場合は、駐車表示枠B2が表示される。すなわち、駐車枠画像は、飲酒していないと判定した場合は、目標駐車位置αの境界を示す白線Aと略同じ位置に駐車表示枠B1が表示されるが、飲酒していると判定した場合は、駐車表示枠B1よりも小さい駐車表示枠B2が表示される。
【0036】
図4に、予想軌跡画像を表示させる場合の表示例を示す。図において、飲酒していないと判定した場合は、予想軌跡C1が表示され、飲酒していると判定した場合は、予想軌跡C2が表示される。すなわち、予想軌跡画像は、目標駐車位置βに向けて車両を後ろ向きに進入させる場合、飲酒していないと判定した場合は、目標駐車位置βに向けた車両後端部の予想軌跡C1が表示されるが、飲酒していると判定した場合は、予想軌跡C1よりも幅広の予想軌跡C2が表示される。
【0037】
図5に、俯瞰画像を表示させる場合の表示例を示す。図において、飲酒していないと判定した場合は、障害物表示枠D1及びE1と、自車両Gから0.5m離れた位置を示す0.5m線F1が表示され、飲酒していると判定した場合は、障害物表示枠D2及びE2と0.5m線F2が表示される。すなわち、俯瞰画像は、自車両G周囲の障害物D及びEを表示させる場合、飲酒していないと判定した場合は、障害物認識部10で検出した障害物D及びEの位置に障害物表示枠D1及びE1が表されると共に、自車両Gから0.5mの位置に0.5m線F1が表示されるが、飲酒していると判定した場合は、障害物表示枠D1及びE1よりも大きく、しかも自車両Gに近づいた位置に障害物表示枠D2及びE2が表示されると共に、自車両Gから0.5mよりも離れた位置に0.5m線F2が表示される。
【0038】
次に、警告音発生部13により、飲酒の量に応じた警告音発生処理が行われる(ステップS9)。この飲酒の量に応じた警告音発生処理では、障害物距離認識部11が認識した障害物までの距離よりも短い距離に対応して登録されている発生周期を読み出す。そして、この読み出した発生周期の警告音をスピーカ7から出力させる。
【0039】
このように、本実施形態に係る駐車支援装置1によれば、飲酒判定部8により判定される飲酒の量が多いほど、目標駐車位置を示す駐車表示枠を小さくした駐車枠画像を表示することで、飲酒状態にある運転者に対して、目標駐車位置を小さく感じさせることができる。このため、飲酒状態にある運転者の集中力を高めて、車両を駐車場に進入させることができる。しかも、無飲酒状態と判定された場合に比べて飲酒状態と判定された場合の方が、表示される駐車表示枠と実際の目標駐車位置との間にスペースの余裕が出るため、飲酒状態となったことにより表示される駐車表示枠から車両をはみ出させたとしても、目標駐車位置外に存在する障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0040】
また、飲酒判定部8により判断される飲酒量が多いほど、車両周囲に存在する障害物を示す障害物表示枠を大きくした画像を表示することで、飲酒状態にある運転者に対して、障害物が大きいと感じさせることができる。このため、飲酒状態にある運転者の集中力を高めて、障害物を避けるように運転させることができる。しかも、無飲酒状態と判定された場合に比べて飲酒状態と判定された場合の方が、画像で表示される障害物表示枠と実際の障害物との間に空間の余裕が出るため、飲酒状態となったことにより表示される障害物表示枠の位置に車両を進めたとしても、この障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0041】
また、飲酒判定部8により判断される飲酒量が多いほど、車両周囲に存在する障害物を示す障害物表示枠を近づけた画像を表示することで、飲酒状態にある運転者に対して、障害物までの距離が短いと感じさせることができる。このため、飲酒状態にある運転者の集中力を高めて、早期にブレーキ操作等の障害物回避操作を行わせることができる。しかも、無飲酒状態と判定された場合に比べて飲酒状態と判定された場合の方が、表示される障害物表示枠と実際の障害物との間に空間の余裕が出るため、飲酒状態となったことにより表示される障害物表示枠に対する障害回避操作が遅れたとしても、障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0042】
また、飲酒判定部8により判断される飲酒量が多いほど、障害物までの距離よりも短い距離に対応した発生周期の警告音を発生することで、飲酒状態にある運転者に対して、障害物までの距離が短いと感じさせることができる。このため、飲酒状態にある運転者の集中力を高めて、早期にブレーキ操作等の障害物回避操作を行わせることができる。しかも、無飲酒状態と判定された場合に比べて飲酒状態と判定された場合の方が、警告音の発生周期により認識される障害物までの距離と実際の障害物までの距離との間に距離の余裕が出るため、飲酒状態となったことにより警告音の発生周期に基づく障害回避操作が遅れたとしても、障害物に接触する可能性を下げることができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、駐車支援装置に適用した例を説明したが、本発明は駐車支援装置に限定されるものではなく、運転を支援するために運転支援情報を出力する装置であれば如何なる装置に適用してもよい。
【0044】
また、運転支援情報は、上記の各画像や警告音に限られず、如何なる情報であってもよい。例えば、図6に示すように、車両を上方から俯瞰したモデル画像に、障害物表示枠と自車両の予想軌跡とを重畳させる俯瞰画像であってもよい。この画像は、自車両Hの右方に他車両Iが駐車しており、操舵輪を傾けた状態で車両を後退させるときの状態を示している。この場合、飲酒していないと判定した場合は、他車両Iの障害物表示枠I1と車両前端部の予想軌跡H1とが表示されるが、飲酒していると判定した場合は、障害物表示枠I1よりも大きな障害物表示枠I2と、予想軌跡H1よりも大回りした場合の予想軌跡H2とが表示される。
【0045】
また、上記実施形態では、運転支援情報として、飲酒していないと判定した場合と、飲酒していると判定した場合の2種類について説明したが、飲酒量に応じて段階的に変化させてもよく、リニアに変化させてもよい。例えば、駐車枠画像を表示させる場合は、検出したアルコール濃度に応じて駐車枠をリニアに小さく表示させ、予想軌跡画像を表示させる場合は、検出したアルコール濃度に応じて予想軌跡をリニアに幅広に表示させ、俯瞰画像を表示させる場合は、検出したアルコール濃度に応じて障害物をリニアに大きく且つ近く表示させると共に0.5m線をリニアに大きく表示させてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、覚醒度として飲酒量を判定する場合について説明したが、覚醒度として、眠気状態、イライラなどの精神状態、疲労状態、考え事などの集中力が低下している状態を判定し、その状態に応じて運転支援するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る実施形態の駐車支援装置のブロック構成を示した図である。
【図2】駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】駐車枠画像を表示させる場合の表示例を示す。
【図4】予想軌跡画像を表示させる場合の表示例を示す。
【図5】俯瞰画像を表示させる場合の表示例を示す。
【図6】他の俯瞰画像を表示させる場合の表示例を示す。
【符号の説明】
【0048】
1…駐車支援装置、2…ECU、8…飲酒判定部(覚醒度判定手段)、9…駐車枠認識部(周辺情報取得手段)、10…障害物認識部(周辺情報取得手段)、11…障害物距離認識部(周辺情報取得手段)、12…描画処理部(運転支援情報生成手段、運転支援情報出力手段)、13…警告音発生部(運転支援情報生成手段、運転支援情報出力手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、
前記周辺情報に基づいて運転を支援するための運転支援情報を生成する運転支援情報生成手段と、
前記運転支援情報を出力する運転支援情報出力手段と、
運転者の覚醒度を判定する覚醒度判定手段と、を備え、
前記運転支援情報出力手段は、前記覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、前記運転支援情報を安全側にマージンを大きく持たせて出力することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援情報は、車両が進入しようとする領域の表示枠であり、
前記運転支援情報生成手段は、前記覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、前記表示枠を小さく表示することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援情報は、車両周囲に存在する障害物の画像であり、
前記運転支援情報生成手段は、前記覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、前記障害物の画像を大きく表示することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援情報は、車両周囲に存在する障害物の画像であり、
前記運転支援情報生成手段は、前記覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、前記障害物の画像を近くに表示することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記運転支援情報は、障害物までの距離に応じた警告音であり、
前記運転支援情報生成手段は、前記覚醒度判定手段で判定する覚醒度が低いほど、前記障害物までの距離よりも短いときの警告音を発生することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−302741(P2008−302741A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149498(P2007−149498)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】