説明

運転支援装置

【課題】提供される運転支援情報に従った運転を運転者に行わせて安全運転を遵守させるようにする。
【解決手段】支援情報対応判定部13aは、車両に搭載されている各種センサ類22、及び外部から入力される情報に基づき安全運転を実現するために必要な運転支援情報を設定し、この運転支援情報を支援情報出力部13cを介して情報提供装置23に出力し、運転者に運転支援情報を提供する。そして、この運転支援情報を提供した後、支援対応評価部13bは、運転者が運転支援情報に対応する運転が行われたか否かを、センサ類から入力される情報に基づいて評価し、この評価結果を情報提供装置23に出力して運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が提供を受けた運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを判定し、評価する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の運転技術のレベルや、運転者の運転状況等に応じ、運転者に安全走行に必要な情報を提供する運転支援装置が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2008−46759号公報)には、現在の運転状況を、ワイパセンサやカーナビゲーション等を用いて検出し、検出した運転状況に合致する事例データを、カーナビ画面或いは音声ガイダンス等の情報提供装置を用いて運転者に提供して運転支援を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した文献にも開示されているように、この種の運転支援装置においては、運転者に的確な情報を提供することが目的であり、運転支援装置から提供された情報を運転者が認識し、それに対応する運転を行うことを期待しているに過ぎず、運転者が実際に支援情報に対応する運転を行ったかどうかの確認は行われていない。
【0005】
従って、運転支援装置が精度の高い情報を運転者に提供しても、運転者がそれに従わない場合は、安全運転支援が充分に発揮されない不都合がある。そのため、例えば、特許文献2(特開平10−76922号公報)に開示されているように、進行方向前方に一時停止を要する場所があるにも関わらず、運転者が停止操作を行う様子が見られない場合には、先ず、警告を発して運転者に注意を促し、それでも運転者が停止操作を行わない場合は、自動的に強制減速させることで、一時停止の不履行を防止する技術が知られている。
【0006】
しかし、運転者の意に反して強制減速させた場合には、運転者に不快感を与えることになるため、本来は運転者の意思によって安全運転を遵守させるように支援することが好ましい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、提供される運転支援情報に従った運転を運転者に行わせて安全運転を遵守させることのできる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明による運転支援装置は、運転者に情報を提供する情報提供手段と、車両に搭載されている各種センサ類及び外部から入力される情報に基づき安全運転を実現するために必要な運転支援情報を設定し、該運転支援情報を前記情報提供手段に出力する支援情報設定手段と、前記情報提供手段から前記運転支援情報が出力された後、該運転支援情報に対応する運転が行われたか否かを評価する支援対応評価手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に搭載されている各種センサ類及び外部から入力される情報に基づき安全運転を実現するために必要な運転支援情報を設定し、この運転支援情報を情報提供手段に出力して運転者の運転を支援した後、運転者に提供した運転支援情報に対応する運転が行われたか否かを評価するようにしたので、この評価結果を運転者に報知することで、提供される運転支援情報に従った運転を運転者に行わせて安全運転を遵守させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】運転支援装置の全体構成を示す機能ブロック図
【図2】支援情報出力判定ルーチンを示すフローチャート
【図3】支援対応レベル設定ルーチンを示すフローチャート(その1)
【図4】支援対応レベル設定ルーチンを示すフローチャート(その2)
【図5】支援対応レベル/診断結果表示ルーチンを示すフローチャート
【図6】ディーラと提携会社との処理ルーチンを示すフローチャート
【図7】情報提供装置に表示させる表示例を示し、(a)は支援対応レベルをレーダグラフで示す図表、(b)は対応率及び支援対応レベルを棒グラフで示す図表、(c)は診断結果の表示例を示す説明図
【図8】情報提供装置に表示させる過去の違反確認画面の表示例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。本実施形態による運転支援装置1は、自動車等の車両に搭載され、様々な外部情報と自車に搭載されているセンサ類からの情報とに基づき、安全運転を実現するために必要な運転支援情報(制限速度、一時停止等の規制情報、横断歩道を歩行する歩行者、出会い頭、車間距離、巻き込等の注意情報等)を設定し、提示することで、運転者の運転を支援するものである。
【0012】
この運転支援装置1に制御装置(ECU)2が設けられている。このECU2は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、運転支援を実現する機能として、受信データ解析部11、センサ検出データ解析部12、支援情報出力評価部13を有し、更に、この支援情報出力評価部13に、支援情報設定手段としての支援情報対応判定部13a、支援対応評価手段としての支援対応評価部13b、及び支援情報出力部13cが備えられ、更に、不揮発性メモリからなるデータ記憶部14を有している。
【0013】
受信データ解析部11は、送受信機21で受信した車外情報をデータ解析する。車外情報としては、インフラ設備(ビーコン送信機等)との路車間通信によって得られる規制情報(制限速度、一時停止、追い越し禁止、信号機灯色等)、GPSから得られる位置情報、他車両に搭載された車車間通信装置との車車間通信によって得られる情報(右折時の対向車両の位置情報、対向右折車両の位置情報等)等がある。
【0014】
センサ検出データ解析部12は、車両に搭載されている各種センサ類22で検出した情報をデータ解析する。車両に搭載されている各種センサ類22としては、自律センサや車両の運転状態を検出するセンサ等がある。自律センサは自車両の走行方向の情報を検出するものであり、レーザレーダ、ミリ波レーダ、赤外線センサ、カメラ等があり、この自律センサで検出した情報に基づいて、前方を走行する車両(先行車)との車間距離や相対車速、歩行者を含む前方障害物等の情報を取得する。又、自律センサとしてカメラが搭載されている場合は、このカメラによって信号機灯色、道路表示の種別、道路標識に表示されている制限速度等の視覚的情報を取得することができる。
【0015】
支援情報出力評価部13は、安全に走行させるための運転支援が必要か否かを判定し、必要な場合は、安全運転に必要な支援情報(安全運転支援情報)を、後述する情報提供手段としての情報提供装置23に出力すると共に、運転者が安全運転支援情報に対応した運転を行ったか否かの評価を行う。
【0016】
すなわち、支援情報対応判定部13aでは、受信データ解析部11、及びセンサ検出データ解析部12で解析した情報、及びナビゲーションシステム(図示せず)から得られる自車走行路周辺のナビゲーション情報(一方通行、制限速度、進入禁止、追越し禁止等)を読込み、安全運転支援が必要か否かを判定する。そして、安全運転支援が必要と判断した場合、必要な安全運転支援情報を支援情報出力部13cへ送信する。支援情報出力部13cは、受信した安全運転支援情報を、データ記憶部14に記憶させると共に、情報提供装置23に出力し、当該情報提供装置23を介して運転者に報知する。
【0017】
例えば、制限速度が40[Km/h]の走行路を50[Km/h]で走行している場合は、10[Km/h]の速度超過である旨を安全運転支援情報として運転者に報知する。或いは踏切や交差点の一時停止線付近で、減速されていない場合、減速要求を安全運転支援情報として運転者に報知する。又、現在の走行路が追越し禁止等の規制区間であったり、時間指定されているスクールゾーン等の進入禁止区域に自車両が進入しようとしてる場合に、その旨を安全運転支援情報として、運転者に報知する。
【0018】
支援対応評価部13bは、情報提供装置23を介して運転者に安全運転支援情報を提供した後、運転者が安全運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを調べ、それを評価する。この評価結果は、支援情報出力部13cへ送信される。支援情報出力部13cは、この評価結果を、データ記憶部14に記憶させると共に、後述する情報提供装置23に出力する。尚、データ記憶部14に記憶されている各種データは、操作スイッチ15の操作により、支援情報出力部13cを介して情報提供装置23に出力させることができる。
【0019】
情報提供装置23は、カーナビゲーションシステムのモニタやスピーカを利用した画像音声表示装置、液晶モニタなどの画像表示装置、スピーカシステム等の音声表示装置、多数配列されたLED等の発光素子の点灯、点滅により文字情報等を表示させる発光表示装置等であり、安全運転支援情報を、画像情報、音声情報、文字情報の内の少なくとも1つによって、運転者に報知する。
【0020】
尚、データ記憶部14に記憶されている各種データは、ディーラ等に備えられている端末機を、ECU2に接続することで読出すことができる。
【0021】
上述した支援情報対応判定部13aで実行される判定処理は、具体的には、図2に示す支援情報出力判定ルーチンに従って行われる。尚、一台の車両を複数の運転者が運転する場合、運転行動は運転者毎に異なるため、運転者を識別し、識別した運転者毎に、安全運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを判定し、評価する。この場合、運転者を識別する方法は種々考えられる。例えば、スマートキーによるキーレスエントリシステムが搭載されている車両では、スマートキーに登録されているIDから運転者を識別する。或いは乗車する毎に運転者を車載カメラで認識し、登録されている運転者と照合して識別する。又は、搭乗する毎に運転者に割り当てられている識別番号を制御装置に入力することで、運転者を識別させる。
【0022】
このルーチンでは、先ず、ステップS1で、受信データ解析部11、センサ検出データ解析部12で解析したデータを読込み、続く、ステップS2で、走行路周辺のナビゲーション情報を読込む。
【0023】
次いで、ステップS3で、上述したステップS1で読込んだ解析データ、及びステップS2で読込んだナビゲーション情報に基づき、規制情報(制限車速、一時停止、信号機灯色、一方通行、追越し禁止、進入禁止、巻き込み注意等)や、注意情報(横断歩道を歩行する歩行者、出会い頭、車間距離、巻き込等)を調べ、運転者に報知すべき安全運転支援情報があるか否かを調べる。
【0024】
そして、ステップS4で、運転者に報知すべき安全運転支援情報による支援が必要と判定した場合は、ステップS5へ進み、又、読込んだ規制情報や注意情報は、自車走行路から離れている等の理由から、運転者対する支援は未だ不要と判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。
【0025】
ステップS5へ進むと、規制情報を安全運転支援情報として、支援情報出力部13cを介して情報提供装置23へ出力する。情報提供装置23は、画像、音声、文字等の報知手段により安全運転支援情報を運転者に報知する。
【0026】
又、上述した支援対応評価部13bで実行される評価処理は、具体的には、図3、図4に示す支援対応レベル設定ルーチンに従って行われる。
【0027】
このルーチンでは、先ず、ステップS11で、安全運転支援情報が情報提供装置23に出力されたか否かを調べる。そして、安全運転支援情報が出力されていないときは、そのままルーチンを抜ける。一方、安全運転支援情報が出力されたときは、ステップS12へ進み、センサ検出データ解析部12で解析した最新のデータのうち、今回提示した安全運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを検証するために必要なデータを読込み、一時記憶する。
【0028】
その後、ステップS13へ進み、支援対応期間が経過したか否かを調べる。この支援対応期間は、情報提供装置23を介して運転者に安全運転支援情報を報知した後、運転者が対応する運転を行ったか否かを判定する期間であり、出力された安全運転支援情報毎に設定されている。尚、この支援対応期間は、時間的要因のみならず、停止線、踏切等の一時停止を示す指標に到達したか否か、或いは追越し禁止等の禁止区間においては当該禁止区間内か否かによっても判定される。
【0029】
そして、支援対応期間が未だ終了していないときは、ステップS12へ戻り、センサ検出データ解析部12で解析した最新のデータのうち、今回提示した安全運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを検証するために必要なデータを読込み、一時記憶する。従って、支援対応期間中は、最新のデータが順次、一時記憶される。
【0030】
そして、支援対応期間が経過したと判定された場合、ステップS13からステップS14へ進み、支援情報受信カウントCjをインクリメントして(Cj←Cj+1)、ステップS15へ進む。ステップS15では、一時記憶されているデータを読込み、解析し、ステップS16で、運転者が安全運転支援情報に対応する運転を行ったか否かを調べる。すなわち、例えば、車速が10[Km/h]速度超過している旨の安全運転支援情報を報知した後、設定時間内に車速が制限速度以下に減速されたか否か、或いは時間指定の進入禁止区域を迂回したか否か、一時停止線の手前で車両が停車したか否か等、安全運転支援情報に対応する運転が行われたか否かを調べる。
【0031】
そして、運転者が安全運転支援情報に対応する運転を行ったと判定した場合、ステップS17へ進み、支援対応カウントChをインクリメントして(Ch←Ch+1)、ステップS20へ進む。但し、短時間に同じ場所(同一の地域)を走行して、同一の安全運転支援情報を繰り返し報知させ、運転者がこれに対応する運転を行った場合、故意の走行と判定し、支援対応カウントChはインクリメントしない。従って、この場合、支援情報受信カウントCjのインクリメントも取り消される。
【0032】
又、運転者が安全運転支援情報に従わなかったと判定した場合は、ステップS18へ進み、支援対応カウントChをデクリメントして(Ch←Ch−1)、ステップS19へ進む。尚、上述したステップS16で、運転者が安全運転支援情報に対応した運転を行ったと判定した場合、情報提供装置23から明るい音を出力し、又、対応しない運転を行ったと判定した場合は、暗い音を出力させて、運転者に安全運転支援情報に対応した運転を行うように促してもよい。
【0033】
尚、上述した支援対応カウントChは、採点方式でセットされるようにしても良い。例えば安全運転支援情報として、「規制情報」と「注意情報」とが設定されている場合、「規制情報」に関しては、減点方式とし、対応した場合であっても加点しない。又、「注意情報」に関しては、加点方式とし、対応時に加点し、不対応時には減点する。
【0034】
以下、規制情報と注意情報の事象を例示する。
【0035】
[規制情報]
規制情報としては、制限速度、一時停止、信号機灯色、進行方向、追越し禁止、進入禁止等の事象が設定されている。
【0036】
・制限速度:制限速度情報を提供した後、一定時間経過後の車速が、制限速度に対して、10[Km/h]以上超過している場合は減点する。この場合、10〜20[Km/h]超過で減点1、20〜25[Km/h]超過で減点2、25〜30[Km/h]超過で減点3というように、超過速度に応じて点数を段階的に設定するようにしても良い。
【0037】
・一時停止:一時停止情報を提供したにも拘わらず、一時停止位置付近で、車速が0[Km/h]にならず、一時停止線を越えた場合は減点する。
【0038】
・信号機灯色:信号機灯色の情報を提供したにも拘わらず、自車が交差点に到達したときの信号機灯色が赤で、且つ車速が0[Km/h]で無い場合は減点する。
【0039】
・進行方向:進行方向が規制(一方通行、右折禁止等)されている道路を禁止されている方向に進行した場合は減点する。
【0040】
・追越し禁止:追越し禁止区域で追い越した場合は減点する。
【0041】
・進入禁止:進入禁止区域に進入した場合は減点する。
【0042】
[注意情報]
注意情報としては、横断歩道歩行者注意、出会い頭注意、車間距離注意、巻き込み注意等の事象が設定されている。
【0043】
・横断歩道歩行者注意:自車進行路上の横断歩道に歩行者が存在している旨の注意情報を提供したにも拘わらず、横断歩道手前で停車しなかった場合は減点、停車した場合は加点する。
【0044】
・出会い頭注意:交差点手前で出会い頭注意の情報を提供したにも拘わらず、一時停止を怠った場合は減点、停車した場合は加点する。
【0045】
・車間距離注意:先行車との車間距離が短い旨の情報を提供したにも拘わらず、安全な車間距離を保とうとしない場合は減点、安全な車間距離を保った場合は加点する。
【0046】
・巻き込み注意:左折時に巻き込み注意の情報が提供されたにも拘わらず、巻き込み防止のための確認動作が行われていない場合は減点、確認動作が行われた場合は加点する。尚、運転者が確認動作を行ったかどうかは、例えば運転者監視カメラ等からの情報に基づいて判定する。
【0047】
ステップS19では、対応しなかった安全運転支援情報に対応するフラグ(支援情報不対応フラグ)をインクリメントして、ステップS20へ進む。運転者に報知する安全運転支援情報は、一時停止規制、追越し禁止、通行区分規制、速度規制、信号機灯色規制等、予め定められており、この安全運転支援情報毎に支援情報不対応フラグが割り当てられている。この各支援情報不対応フラグの値は、後に集計されて、運転者の運転行動の傾向を分析する。尚、この支援情報不対応フラグは、運転者が安全運転支援情報に従わない場合の運転行動を分析するものであるため、運転者が安全運転支援情報に従った運転を行った場合であっても、支援情報不対応フラグはデクリメントされない。
【0048】
その後、ステップS20へ進むと、支援情報受信カウントCjと判定基準値Coと比較する。本実施形態による運転支援装置1は運転者に対して、自身の運転傾向を認識させ、安全運転させるように支援するものであるため、この判定基準値Coは、運転者の運転傾向を把握するに充分な総数が必要であり、本実施形態では50〜80回程度に設定している。
【0049】
そして、Cj<Coの場合は、診断に必要な総数が不足していると判定し、ルーチンを抜ける。又、Cj≧Coの場合は、診断に充分な総数であると判定し、ステップS21で、支援情報受信カウントCjをクリアした後(Cj←0)、ステップS22へ進み、対応率α[%]を算出する。
【0050】
対応率αは、
α=(Ch/Cj)×100[%]
から算出する。この場合、報知した安全運転支援情報の種別毎対応率((種別毎対応回数/種別毎安全運転支援情報回数)×100[%])を併せて算出する。
【0051】
その後、ステップS23へ進み、対応率αに基づき支援対応レベルLαを設定する。この支援対応レベルLαは、対応率αに応じ、対応率αが高いほど高い値に設定されており、本実施形態では、表1に示すように、対応率αに応じて1〜5の5段階で評価する。
【表1】

【0052】
上述したように、本実施形態では、対応率αに併せて、種別毎対応率も算出されるため、この種別毎対応率に基づく種別毎支援対応レベルも同時に設定される。従って、以下においては、説明を容易にするために支援対応レベルLαには種別毎支援対応レベルが含まれるものとする。
【0053】
次いで、ステップS24へ進み、今回の支援対応レベルLαと前回の支援対応レベルLα(n-1)とを比較する。尚、この支援対応レベルLαは、支援情報受信カウントCjが判定基準値Coに到達する毎に算出されるものである。従って、この支援対応レベルLαは、支援情報受信カウントCjが判定基準値Coに達する毎に算出される。
【0054】
そして、Lα≧Lα(n-1)の場合は、ステップS25へ進み、レベルアップ情報を支援情報出力部13cに出力して、ルーチンを抜ける。又、Lα<Lα(n-1)の場合は、ステップS26へ分岐し、レベルダウン情報を支援情報出力部13cに出力して、ルーチンを抜ける。
【0055】
その結果、支援情報出力部13cを介して情報提供装置23に、レベルアップ情報、或いはレベルダウン情報が出力され、情報提供装置23からは、今回の支援対応レベルLαがアップしている場合と、ダウンしている場合とで、聴覚的に異なる効果音が出力される。例えば、今回の支援対応レベルLαがアップしている場合はファンファーレのような明るい効果音を出力し、ダウンしている場合はブザー音のような残念な状態を示す効果音を出力する。
【0056】
これにより、運転者は、運転中であっても、前回の支援対応レベルLα(n-1)に対して、今回の支援対応レベルLαがアップしているか、ダウンしているかを容易に把握することができ、今回の支援対応レベルLαがダウンしていると知らされた運転者は、支援対応レベルLαをアップさせるように努力することが期待できる。尚、今回の支援対応レベルLαは、支援情報出力部13cを介してデータ記憶部14に記憶される。
【0057】
又、データ記憶部14に記憶されている支援対応レベル、及び診断結果の各データは、システム起動時、或いは操作スイッチ15を操作することで、情報提供装置23に出力させることができる。
【0058】
支援情報出力部13cで実行される支援対応レベル表示、及び診断結果の表示処理は、具体的には、図5に示す支援対応レベル/診断結果表示ルーチンに従って行われる。
【0059】
このルーチンでは、先ず、ステップS31で、システム起動要求信号を受信したか否かを調べる。このシステム起動要求信号は、車両が停車したとき、或いはイグニッションスイッチをONしてエンジンが起動した後の設定時間後、或いは操作スイッチ15をONしたときの何れかの条件で送信される。尚、このシステム起動要求信号が送信される条件は、運転者を含む操作者が、1つ或いは複数を選択することで設定される。又、上述した停止条件は、例えばパーキングブレーキがONのとき、或いは車速が0[Km/h]で、且つブレーキスイッチがONのとき、満足されていると判定する。
【0060】
そして、システム起動要求無しと判定した場合は、そのままルーチンを抜け、システム起動要求の信号が受信されるまで待機する。一方、システム起動要求有りと判定した場合は、ステップS32へ進み、運転者識別処理を実行する。この運転者識別処理は、一台の車両を複数の者が運転する場合に適用される。従って、当該車両を運転する者が必ず1人の場合、このステップを省略しても良い。
【0061】
運転者を識別する方法は、既に説明したので省略する。但し、このルーチンは、実際に運転している者のみを対象にする必要はないので、例えば、営業車両等において、管理者がパスワードを入力することで、当該営業車両に登録されている全ての運転者の支援対応レベル及び診断結果を表示させることができるようにしても良い。
【0062】
その後、ステップS33へ進み、データをマージするか否かを調べる。データマージが有るか否かは、運転者が当該ECU2に外部メモリを接続することで判定され、外部メモリに支援対応レベルLαのデータが格納されている場合は、ステップS34へ進み、外部メモリに記憶されているデータを、データ記憶部14にまとめるマージ処理を実行して、ステップS35へ進む。一方、データマージが無い場合は、そのままステップS35へ進む。
【0063】
ステップS35へ進むと、データ記憶部14に記憶されている支援対応レベルLαのデータを取得し、診断する。そして、ステップS36で、最新の支援対応レベルLα、及び診断した結果を、支援情報出力部13cへ出力する。すると、この支援情報出力部13cから情報提供装置23に対応する当該データが出力され、この情報提供装置23のモニタに支援対応レベル及び診断結果が表示される。
【0064】
図7に情報提供装置23のモニタに表示される支援対応レベル及び診断結果を例示する。同図(a)は、レーダグラフにより過去の種別毎対応率のレベルを表示した場合が示されている。尚、このレーダグラフは、中心がレベル1、最外周がレベル5である。又、同図(b)には、種別毎対応率及び種別毎支援対応レベルを棒グラフで示した場合が例示されている。
【0065】
更に、同図(c)には、分析結果の表示例が示されている。この表示例では、支援対応レベルLαを、星の数(図においては3個)で表わされている。又、上述した図7(a),(b)に示す種別毎支援対応レベルから判断し、コンピュータからは、当該運転者は一時停止の対応レベルが全体の対応レベルから判断して低い運転傾向があると云う診断結果が出力されている。尚、運転者が対応しなかった安全運転支援情報は、支援情報不対応フラグの値によって判断される。
【0066】
そのため、図7に示す表示例では、一時停止位置を確認する旨の注意事項がモニタ上に表記される。尚、この注意事項は、モニタ上に表記すると共に音声によって報知するようにしても良い。この場合、支援対応レベルが低い場合は暗い音声により報知し、支援対応レベルが高くなるに従い明るい音声で報知するようにすれば、運転者により安全運転について注意喚起させることができる。又、この場合、図8に示すように、ナビゲーションシステムのモニタに表示されている地図情報上に、過去の違反地点を安全運転支援情報と共に表示させるようにしても良い。
【0067】
その後、ステップS37へ進み、終了要求信号が受信されるまで、情報提供装置23に表示されている表示内容を継続的に表示させておく。そして、終了要求信号を受信したとき、情報提供装置23の表示内容を終了させて、ルーチンを抜ける。この終了要求信号は、運転者を含む操作者が操作スイッチ15を手動操作することで送信するようにしても良いが、モニタの表示をナビゲーション画面に切換えたとき、セレクトレバーをD(ドライブ)レンジにセットしたとき、車速が検出されたとき、パーキングブレーキがOFFされたとき、自動的に送信されるようにしても良い。更に、システム起動要求有りと判断された後から、予め設定されている時間が経過したとき、コンピュータから自動的に、終了要求信号が送信されるようにしても良い。或いは、これらの何れかを運転者等が任意に選択できるようにしても良い。
【0068】
又、ECU2に設けられているデータ記憶部14に記憶されている支援対応レベルLαは、ディーラにおいて読込まれる。ディーラにて読込まれた支援対応レベルLαは、自動車保険会社や給油会社等の提携会社に送信されて、支援対応レベルLαに応じた割引料金が算出される。
【0069】
このディーラと提携会社との通信は、インターネット回線等の通信ネットワークを利用して行われる。具体的には、図6に示す処理ルーチンに従って実行される。
【0070】
ディーラの端末機を運転支援装置1に接続すると、ディーラ処理ルーチンが起動され、先ず、ステップS41で、運転支援装置1のECU2に設けられているデータ記憶部14に記憶されている支援対応レベルLαを読込み、ステップS42で、当該支援対応レベルLαを、提携会社のコンピュータに通信ネットワークを介して送信する。
【0071】
すると、提携会社のコンピュータでは、その処理ルーチンのステップS51で、ディーラの端末から送信された支援対応レベルLαを受信し、ステップS52で、当該支援対応レベルLαに応じて割引サービスの可否が審査される。この割引サービスは、例えば下表2の基準に従って審査される。
【表2】

【0072】
この表2においては、支援対応レベルLαが3以上で割引サービスが発生し、又、支援対応レベルLαが高くなるに従い、優良運転者と見なされて高い割引率が設定される。尚、割引サービスには、使用期限や使用回数等を設定しておくことで、次回も安全運転支援情報に従った運転を目指すように努力することが期待できる。
【0073】
その後、ステップS53へ進み、審査結果をディーラのコンピュータに送信して、提携会社のコンピュータでの処理が終了する。
【0074】
そして、この審査結果がディーラのコンピュータで受信されると(ステップS43)、続く、ステップS44で、審査結果がモニタやプリンタ等に出力されて、ディーラのコンピュータでの処理が終了する。
【0075】
尚、提携会社は、自動車保険会社や給油会社以外に、共通の割引サービスを受けることのできるカーショップ、コンビニエンスストア、ファーストフード店、コーヒーショップ、レストラン、レンタルショップ等のサービス店であっても良く、プリントアウトされた審査結果を、当該提携会社で、そのまま割引券として使用できるようにすれば、更に高い利便性を得ることができる。
【0076】
このように、本実施形態では、運転者に安全運転支援情報を提供した後、運転者が安全運転支援情報に対応する運転を行った場合は、支援対応レベルLαが高くなり、この支援対応レベルLαに応じた割引サービスを受けることができるので、運転者は安全運転支援情報に対応する運転を行うように努力することが期待でき、その結果、運転者に安全運転を遵守させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…運転支援装置、
2…制御装置(ECU)、
11…受信データ解析部、
12…センサ検出データ解析部、
13…支援情報出力評価部、
13a…支援情報対応判定部、
13b…支援対応評価部、
13c…支援情報出力部、
14…データ記憶部、
15…操作スイッチ、
21…送受信機、
22…各種センサ類、
23…情報提供装置、
α…対応率、
Ch…支援対応カウント、
Cj…支援情報受信カウント、
Co…判定基準値、
Lα…支援対応レベル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2008−46759号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に情報を提供する情報提供手段と、
車両に搭載されている各種センサ類及び外部から入力される情報に基づき安全運転を実現するために必要な運転支援情報を設定し、該運転支援情報を前記情報提供手段に出力する支援情報設定手段と、
前記情報提供手段から前記運転支援情報が出力された後、該運転支援情報に対応する運転が行われたか否かを評価する支援対応評価手段と
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記支援対応評価手段は、前記運転支援情報の出力回数と、該運転支援情報に対応する運転が行われた回数とに基づいて支援対応率を算出し、該支援対応率を前記情報提供手段に出力することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記支援対応評価手段は、前記支援対応率に基づき、該支援対応率を段階的に評価する支援対応レベルを設定し、該支援対応レベルを前記情報提供手段に出力することを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記支援対応レベルを提携会社に送信する手段を有し、該提携会社は該支援対応レベルに応じた割引サービスを提供することを特徴とする請求項3記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−70521(P2011−70521A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222508(P2009−222508)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】