説明

運転者別走行制御システム

【課題】 運転者別に許容する走行距離や遵守すべき休憩時間を設定することにより、運転者別にきめ細かな運行管理を行って安全走行に貢献する。
【解決手段】 運転者別に設定された許容走行距離を、各運転者の運転者IDに紐付けして管理する運転者別許容走行距離管理手段10と、現に自動車を運転する運転者の運転者IDを取得する運転者ID取得手段20と、現に自動車を運転する運転者が当該自動車の運転を開始してから現在までの経過時間における実測走行距離を計測する運転者別走行距離計測手段30と、実測走行距離と当該運転者の許容走行距離とを比較する走行距離比較手段40と、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合に当該自動車の走行を抑制する走行制御手段60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者別に許容する走行距離や休憩時間を設定することにより、自動車の安全走行を可能とした運転者別走行制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路や地方道の整備が急速に進展し、トラック等の自動車を用いた物資輸送が盛んに行われている。このため、自動車の安全走行が社会的に重要な課題となっている。そこで、従来、自動車の安全走行に関する技術が種々提案されている。例えば、長距離運転による居眠り事故を防止し、運転を所定時間継続すると強制的に休憩をとらせるようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術は、予め操作部により走行時間と休憩時間とを設定しておく。そして、タイマー及び運転管理用コントロールユニットにより走行状態に応じて時間を管理し、予定された休憩箇所に到着すると、予定された休憩時間内でキーをオフ状態にロックし、あるいは変速機のシフトロックを行う等の措置を施すことにより、自動車の運転が不可能となるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平4−239999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者の運転技量は、経験年数、運動能力、年齢、性格等、種々の要因により個々に異なる。また、運転者が自らの身体状況を適格に把握して、適宜休憩をとることも運転技量に含まれる。そして、各運転者の運転技量に応じて適切な運行管理を行うことが、安全走行の向上に繋がることは言うまでもない。すなわち、自動車の安全走行を管理する際には、各運転者の運転技量を正確に把握して、運転者毎に適切な運行管理を行う必要がある。この点、上記した特許文献1に記載された技術は、運転者の運転技量とは無関係に、予め許容すべき運転時間と休憩時間とを設定しているため、適切な運行管理を行うことができない場合もあった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、運転者別に許容する走行距離や遵守すべき休憩時間を設定することにより、運転者別にきめ細かな運行管理を行って安全走行に貢献する運転者別走行制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転者別走行制御システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明の運転者別走行制御システムは、運転者別の許容走行距離に基づいて自動車の走行を制御する運転者別走行制御システムであって、運転者別許容走行距離管理手段と、運転者ID取得手段と、運転者別走行距離計測手段と、走行距離比較手段と、走行制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
運転者別許容走行距離管理手段は、運転者別に設定された単位時間を基準とした許容走行距離を、各運転者の運転者IDに紐付けして管理するための手段である。運転者ID取得手段は、現に自動車を運転する運転者の運転者IDを取得するための手段である。運転者別走行距離計測手段は、現に自動車を運転する運転者が当該自動車の運転を開始してから現在までの経過時間における走行距離を計測するための手段である。走行距離比較手段は、運転者別走行距離計測手段で計測した実測走行距離と、当該運転者の許容走行距離とを比較するための手段である。走行制御手段は、走行距離比較手段における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合に、当該自動車の走行を抑制するための手段である。ここで、自動車の走行を抑制するとは、例えば燃料供給装置を制御して、最高速度を所定速度以下とすることをいう。
【0008】
また、本発明の運転者別走行制御システムは、上述した構成に加えて、さらに運転休止時間比較手段を備えた構成とすることも可能である。運転休止時間比較手段は、実測走行距離と許容走行距離とが一致した際の経過時間を単位時間から減算してなる残時間と、必須運転休止時間とを比較するための手段である。
この場合、運転者別許容走行距離管理手段は、さらに必須運転休止時間を各運転者の運転者IDに紐付けして管理するための手段として機能する。また、運転者別走行距離計測手段は、運転休止時間比較手段における比較結果に基づき、残時間が必須運転休止時間よりも大きい場合には、当該残時間の経過後に実測走行距離を初期化し、残時間が前記必須運転休止時間よりも小さい場合には、当該必須運転休止時間経過後に実測走行距離を初期化するための手段として機能する。
【0009】
また、本発明の運転者別走行制御システムは、上述した構成に加えて、警告手段をさらに備えた構成とすることもできる。警告手段は、走行距離比較手段における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離との差が所定値以下となった場合に、その旨の警告を行うための手段である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の運転者別走行制御システムでは、運転者別に許容する走行距離を各運転者の運転者IDに紐付けして管理し、走行距離比較手段における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合に、当該自動車の走行を抑制する。したがって、各運転者の運転技量に応じてきめ細かな運行管理を行うことにより、安全走行に貢献することが可能となる。具体的には、単独運転では2日かけて走行しなければならない距離を、無理して1日で走行しようとしても、運転者別に許容された走行距離に達すると当該自動車の走行が抑制されるので、運転者別に1日分の許容走行距離を設定しておけば、当該運転者にとって無理のない安全走行が可能となる。
【0011】
また、許容走行距離に達した場合に遵守すべき必須休止時間を設定しておき、運転休止時間比較手段における比較結果に基づき、運転者別に許容された走行の残時間が経過するまで、あるいは必須運転休止時間が経過するまで、当該自動車の走行を抑制する構成とした場合には、運転者にとって必要な休憩を必ずとらせることができ、当該運転者にとってさらに無理のない安全走行が可能となる。
【0012】
また、許容走行距離に近づいた場合に、その旨の警告を行うことにより、運転者に走行の抑制が近いことを知らしめることができ、さらに安全走行に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転者別走行制御システムの実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る運転者別走行制御システムは、運転者別に許容する走行距離や遵守すべき休憩時間を設定することにより、自動車の安全走行を可能としたものである。
【0014】
<第1の実施形態>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る運転者別走行制御システム100は、図1に示すように、運転者別許容走行距離管理手段10と、運転者ID取得手段20と、運転者別走行距離計測手段30と、走行距離比較手段40と、警告手段50と、走行制御手段60と、を備えている。
【0015】
第1の実施形態は、連続走行時間及び連続走行距離や休憩のとり方等について自らの判断により適切な管理ができる運転者に好適な実施形態である。すなわち、第1の実施形態では、1日に許容される最大の走行距離を規定しておき、この許容走行距離の範囲内において、運転者の裁量により自動車を走行させることができるようになっている。
【0016】
<運転者別許容走行距離管理手段>
運転者別許容走行距離管理手段10は、運転者別に設定された単位時間を基準とした許容走行距離を、各運転者の運転者IDに紐付けして管理するための手段である。具体的には、この運転者別許容走行距離管理手段10は、コンピュータ及びコンピュータを運転者別許容走行距離管理手段10として機能させるためのプログラムから構成され、管理者により入力された運転者別の許容走行距離を、運転者別走行距離設定リスト11として管理する。管理者によるデータ入力は、例えば、コンピュータに接続されたタッチパネルやカードリーダ等により行われる。運転者別許容走行距離管理手段10は、運転席近傍であって、運転の支障にならない位置(例えばフロントパネル)に取り付けられる。また、運転者別許容走行距離管理手段10をカーナビゲーションシステムの一機能として構成してもよい。さらに、運転者別許容走行距離管理手段10に送受信装置を設け、管理者が所有する携帯電話やパーソナルコンピュータ等の管理装置と無線通信あるいは有線通信を行い、管理装置からのデータを受信することにより、運転者別の許容走行距離を入力してもよい。
【0017】
図2を参照して、第1の実施形態に係る運転者別走行距離設定リストを説明する。図2は、第1の実施形態に係る運転者別走行距離設定リストの一例を示す説明図である。運転者別走行距離設定リスト11は、図2に示すように、運転者IDと、単位時間を基準とした許容走行距離とが紐付けして構成されている。なお、許容走行距離は、1日(24時間)における総走行距離となっているが、基準となる単位時間は1日に限られず、3時間、6時間、8時間、12時間等、どのような時間であってもよい。
【0018】
この運転者別走行距離設定リスト11では、運転者IDを持たない運転者についても許容走行距離が設定されている。すなわち、運転者IDを持たない運転者については、運転者IDを持つ運転者と比較して短い許容走行距離(例えば10km/1日)を設定することにより、予期せぬ事態により一時的に運転者を交代しなければならない場合であっても、短距離の移動が可能となる。また、万が一、自動車が盗難にあった場合であっても、運転者IDを持たない運転者が運転する自動車は、遠くまで移動することができないので、盗難車をいち早く発見することができる(第2の実施形態においても同様)。
【0019】
<運転者ID取得手段>
運転者ID取得手段20は、現に自動車を運転する運転者の運転者IDを取得するための手段である。具体的には、運転者ID取得手段20は、運転者IDを取得するための機器及びプログラムからなり、運転者IDの入力手段に応じた機器及びプログラムが選定される。運転者IDの入力手段としては、RFID機能付免許証70やIDカード、指紋や虹彩パターン等の生体認証装置、タッチパネルによるID番号及びパスワードの入力等を挙げることができる。運転者ID取得手段20により運転者IDが取得されると、当該自動車は当該運転者IDにより特定された運転者により運転されているものとみなされる。また、運転者別走行距離設定リスト11において運転者IDが設定されていない運転者の場合には、運転者IDがないものとして扱われる(第2の実施形態においても同様)。運転者ID取得手段20は、運転席近傍であって、運転の支障にならない位置(例えばフロントパネル)に取り付けられる。
【0020】
<運転者別走行距離計測手段>
運転者別走行距離計測手段30は、現に自動車を運転する運転者が当該自動車の運転を開始してから現在までの経過時間における走行距離を計測するための手段である。具体的には、運転者別走行距離計測手段30は積算距離計からなる。この運転者別走行距離計測手段30は、運転者ID取得手段20により運転者IDを取得した時点で走行距離の計測を開始する。
【0021】
<走行距離比較手段>
走行距離比較手段40は、運転者別走行距離計測手段30で計測した実測走行距離と、当該運転者の許容走行距離とを比較するための手段である。具体的には、この走行距離比較手段40は、コンピュータ及びコンピュータを走行距離比較手段40として機能させるためのプログラムから構成される。走行距離比較手段40における比較結果は、警告手段50における警告発生及び走行制御手段60における走行制御に用いられる。
【0022】
<警告手段>
警告手段50は、走行距離比較手段40における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離との差が所定値以下となった場合に、その旨の警告を行うための手段である。具体的には、警告手段50は、警告を発生するための機器及びプログラムからなる。すなわち、警告音を発生する場合には、スピーカー及びアンプ等が警告手段50の構成要素となり、警告表示を行う場合には、液晶表示装置及び画像出力装置等が警告手段50の構成要素となる。また、液晶表示装置に表示を行うと共に、スピーカーから音声を発生させてもよい。なお、予め警告を発生する必要のない場合には、警告手段50を省略することができる(第2の実施形態において同様)。
【0023】
<走行制御手段>
走行制御手段60は、走行距離比較手段40における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合に、当該自動車の走行を抑制するための手段である。具体的には、この走行制御手段60は、コンピュータ及びコンピュータを走行制御手段60として機能させるためのプログラムから構成される。走行制御手段60による走行の抑制制御は、例えば、燃料供給装置80からの燃料供給量を低減することにより実施される。
【0024】
なお、走行の抑制に先立って警告手段50が動作するため、運転者には当該自動車の走行が抑制されることが予め分かっているが、高速道路の走行車線上等のように停車することが好ましくない場所で走行不能となったのでは交通安全上好ましくない。このため、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合、直ちに走行不能な状態にまで走行を抑制するのではなく、徐々に燃料供給量を低減して上限速度を低下させる等、ある程度の余裕を持って走行を抑制することが好ましい。
【0025】
<走行制御処理/第1の実施形態>
図3及び図4を参照して、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける走行制御処理を説明する。図3は、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける走行制御処理の手順を示すフローチャート、図4は、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける初期化処理の手順を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、図示しないが、走行制御処理に先立ち、管理者による運転者別許容走行距離の設定が行われる。第1の実施形態に係る走行制御処理は、図3に示すように、運転者ID取得手段20により運転者IDを取得すると(S1)、取得した運転者IDに基づき運転者を特定し、当該自動車の運転者として設定する(S2)。続いて、運転者別走行距離計測手段30により、当該運転者の走行距離の積算計測を開始する(S3)。
【0026】
続いて、走行距離比較手段40により、当該運転者の許容走行距離と、実測走行距離とを比較する(S4)。続いて、当該運転者に許容された許容走行距離と実測走行距離との差が所定値以下となったか否かを判断し(S5)、当該運転者に許容された許容走行距離と実測走行距離との差が所定値以下となった場合には、警告手段50によりその旨の警告を行う(S6)。警告を認識した運転者は、最寄りのサービスエリア、パーキングエリア、ドライブイン等で自動車を停車させればよい。このため、警告手段50により警告を発生する所定値(所定距離)は、高速道路におけるサービスエリア又はパーキングエリアの距離間隔(例えば20km程度)に設定することが好ましい。
【0027】
続いて、走行距離比較手段40における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離とが一致したか否かを判断し(S7)、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合には、走行制御手段60により、当該自動車の走行を抑制する(S8)。
【0028】
次に、走行制御手段60により自動車の走行が抑制された場合の初期化処理について説明する。初期化処理では、図4に示すように、単位時間が経過したか否かを判断し(S11)、単位時間が経過すると、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離を初期化する(S12)。なお、利用者毎に実測走行距離を管理するため、単位時間の経過は利用者毎に計測される(第2の実施形態において同じ)。また、管理者により初期化信号が入力された場合に、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離を初期化してもよい。走行制御手段60では、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離が初期化されることにより、当該自動車の走行を許可し、走行制御処理(S1〜S8)を再開する。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムについて説明する。図5は、第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムの構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る運転者別走行制御システム200は、図5に示すように、第1の実施形態に係る運転者別走行制御システム100の構成に加えて、運転休止時間比較手段90を備えている。以下、第1の実施形態と異なる機能を有する手段についてのみ説明を行う。
【0030】
第2の実施形態に係る運転者別走行制御システム200は、図5に示すように、運転者別許容走行距離管理手段10と、運転者ID取得手段20と、運転者別走行距離計測手段30と、走行距離比較手段40と、警告手段50と、走行制御手段60と、運転休止時間比較手段90と、を備えている。
第2の実施形態は、休憩のとり方等について管理が必要な運転者に好適な実施形態である。すなわち、第2の実施形態では、許容される連続走行距離を規定しておき、この許容連続走行距離に達した場合に、必ず所定時間の休憩をとらせるようになっている。
【0031】
<運転者別許容走行距離管理手段>
第2の実施形態の運転者別許容走行距離管理手段10は、第1の実施形態とほぼ同様の機能を有しているが、管理対象に必須運転休止時間が含まれる点が異なっている。すなわち、第2の実施形態における運転者別許容走行距離管理手段10は、運転者別に設定された許容走行距離に加えて、必須運転休止時間を各運転者の運転者IDに紐付けして管理するための手段として機能する。
【0032】
図6を参照して、第2の実施形態の運転者別許容走行距離管理手段で管理される運転者別走行距離設定リストを説明する。図6は、第2の実施形態に係る運転者別走行距離設定リストを示す説明図である。第2の実施形態に係る運転者別走行距離設定リスト11は、図6に示すように、運転者IDと、単位時間を基準とした許容走行距離と、必須運転休止時間が紐付けして構成されている。なお、運転者別走行距離設定リスト11に登録されていない運転者であって、有効な運転者IDを所有している運転者については、運転者IDを有しない運転者と区別して扱い、連続走行距離や運転休止時間の決定が当該運転者の裁量に任されるようにしてもよい。
【0033】
<運転休止時間比較手段>
運転休止時間比較手段90は、実測走行距離と許容走行距離とが一致した際の経過時間を単位時間から減算してなる残時間と、必須運転休止時間とを比較するための手段である。具体的には、運転休止時間比較手段90は、コンピュータ及びコンピュータを運転休止時間比較手段90として機能させるためのプログラムから構成される。
【0034】
<運転者別走行距離計測手段>
運転者別走行距離計測手段30は、運転休止時間比較手段90における比較結果に基づき、残時間(実測走行距離と許容走行距離とが一致した際の経過時間を単位時間から減算してなる時間)が必須運転休止時間よりも大きい場合には、当該残時間の経過後に実測走行距離を初期化し、残時間が必須運転休止時間よりも小さい場合には、当該必須運転休止時間経過後に実測走行距離を初期化するための手段である。具体的には、この運転者別走行距離計測手段30は、コンピュータ及びコンピュータを運転者別走行距離計測手段30として機能させるためのプログラムから構成される。
【0035】
<走行制御処理/第2の実施形態>
図7を参照して、第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける初期化処理を説明する。図7は、第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける初期化処理の手順を示すフローチャートである。
第2の実施形態では、走行制御処理の基本部分について、第1の実施形態と同様の処理が行われる(S1〜S8/図3参照)。
【0036】
第2の実施形態における初期化処理は、図7に示すように、車両の運転が抑制されると、運転休止時間比較手段90により、残時間(実測走行距離と許容走行距離とが一致した際の経過時間を単位時間から減算してなる時間)と、必須運転休止時間とを比較し(S21)、残時間が必須運転休止時間よりも大きいか否かを判断する(S22)。
【0037】
ここで、残時間が必須運転休止時間よりも大きい場合には、当該残時間の経過を待って(S23)、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離を初期化する(S24)。具体的には、残時間が60分であり、必須運転休止時間が30分である場合には、残時間である60分が経過するまで、当該車両の走行が抑制される。一方、残時間が必須運転休止時間よりも小さい場合には、必須運転休止時間の経過を待って(S25)、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離を初期化する(S24)。具体的には、残時間が15分であり、必須運転休止時間が45分である場合には、必須運転休止時間である45分が経過するまで、当該車両の走行が抑制される。
走行制御手段60では、運転者別走行距離計測手段30における実測走行距離が初期化されることにより、当該自動車の走行を許可し、走行制御処理(S1〜S8/図3参照)を再開する。
【0038】
<他の実施形態>
本発明の運転者別走行制御システムは、上述した実施形態に限定されるものではなく、自動車の走行制御に必要な他の手段を付加してもよい。また、各手段を単独で構成するのではなく、複数の手段の機能を統合して統一的な手段として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムの構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る運転者別走行距離設定リストの一例を示す説明図。
【図3】第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける走行制御処理の手順を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける初期化処理の手順を示すフローチャート。
【図5】第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムの構成を示すブロック図。
【図6】第2の実施形態に係る運転者別走行距離設定リストを示す説明図。
【図7】第2の実施形態に係る運転者別走行制御システムにおける初期化処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
10 運転者別許容走行距離管理手段
11 運転者別走行距離設定リスト
20 運転者ID取得手段
30 運転者別走行距離計測手段
40 走行距離比較手段
50 警告手段
60 走行制御手段
70 RFID機能付免許証
80 燃料供給装置
90 運転休止時間比較手段
100 運転者別走行制御システム(第1の実施形態)
200 運転者別走行制御システム(第2の実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者別の許容走行距離に基づいて自動車の走行を制御する運転者別走行制御システムであって、
運転者別許容走行距離管理手段と、運転者ID取得手段と、運転者別走行距離計測手段と、走行距離比較手段と、走行制御手段と、を備え、
前記運転者別許容走行距離管理手段は、運転者別に設定された単位時間を基準とした許容走行距離を、各運転者の運転者IDに紐付けして管理し、
前記運転者ID取得手段は、現に自動車を運転する運転者の運転者IDを取得し、
前記運転者別走行距離計測手段は、現に自動車を運転する運転者が当該自動車の運転を開始してから現在までの経過時間における走行距離を計測し、
前記走行距離比較手段は、前記運転者別走行距離計測手段で計測した実測走行距離と、当該運転者の許容走行距離とを比較し、
前記走行制御手段は、前記走行距離比較手段における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離とが一致した場合に、当該自動車の走行を抑制する、
ことを特徴とする運転者別走行制御システム。
【請求項2】
前記運転者別許容走行距離管理手段は、さらに必須運転休止時間を各運転者の運転者IDに紐付けして管理し、
運転休止時間比較手段をさらに備え、
前記運転休止時間比較手段は、実測走行距離と許容走行距離とが一致した際の経過時間を前記単位時間から減算してなる残時間と、前記必須運転休止時間とを比較し、
前記運転者別走行距離計測手段は、前記運転休止時間比較手段における比較結果に基づき、前記残時間が必須運転休止時間よりも大きい場合には、当該残時間の経過後に実測走行距離を初期化し、前記残時間が前記必須運転休止時間よりも小さい場合には、当該必須運転休止時間経過後に実測走行距離を初期化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転者別走行制御システム。
【請求項3】
警告手段をさらに備え、
前記警告手段は、前記走行距離比較手段における比較結果に基づき、実測走行距離と許容走行距離との差が所定値以下となった場合に、その旨の警告を行う、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運転者別走行制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−211186(P2009−211186A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51251(P2008−51251)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】