説明

道路情報表示方法およびその装置

【課題】 従来の表示装置と同じ文字高の文字(例えば、所定文字高=45cm)を二段書きすることによって表示が行われるため、その文字高の文字が視認できる距離(判読を開始できる距離、以下、視認距離という)に到達するまでは、交互に表示される何れの情報も判読することができない。
【解決手段】 LED等の発光素子をマトリックス状に多数配置して道路情報を表示する道路情報表示方法であって、上下で表示される情報を、上段を大→中→小→中→大のフォントに対して、下段を小→中→大→中→小のフォントに順次切換えて表示面で表示したことを特徴とする道路情報表示方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路や一般道路の道路上に設置され、ドライバーに道路情報を提供する道路情報表示装置であって、表示する情報のサイズを交互に可変することにより誘目性と判読性を向上する道路情報表示方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの表示面で2つの道路情報を表示する提案として、本出願人が提案した特許文献1がある。この提案にあっては、2つの道路情報を1つの表示面で交互に表示する場合に、提供する情報の内容(文字数や文字の画数など)によって判読に必要な時間が決まるため、各々の道路情報に対する判読に必要な時間を予め設定して交互に表示を行うことを提案している。
【特許文献1】特開平6−248617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この発明にあっては、従来の表示装置と同じ文字高の文字(例えば、所定文字高=45cm)を二段書きすることによって表示が行われるため、その文字高の文字が視認できる距離(判読を開始できる距離、以下、視認距離という)に到達するまでは、交互に表示される何れの情報も判読することができない。そのために、表示の切り替わり時に表示文字に対する視認距離に到達しないドライバーに対しては何れか一方の情報が判読できない可能性があり、その運用が制限されていた。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、道路情報を表示するようにした道路情報表示装置において、提供する情報を交互に拡大表示することで、ドライバーに対して表示された道路情報を遠方から視認可能とした道路情報表示方法およびその装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の道路情報表示方法は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の発明は、LED等の発光素子をマトリックス状に多数配置して道路情報を表示する道路情報表示方法であって、上下で表示される情報を、上段を大→中→小→中→大のフォントに対して、下段を小→中→大→中→小のフォントに順次切換えて表示面で表示したことを特徴とする。
【0006】
本発明の道路情報表示装置に係る請求項2の発明は、LED等の発光素子をマトリックス状に多数配置して道路情報を表示する道路情報表示装置であって、表示面に表示する道路情報を記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された道路情報に対するフォントを決定するフォント記憶手段と、前記情報記憶手段の道路情報とフォント記憶手段に記憶されているフォントから複数の全画面データを作成して繰り返し出力する発光素子制御手段と、該発光素子制御手段からの表示データを一時記憶し前記発光素子を点灯させる発光素子表示手段とから構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の手段は、前記した請求項2において、前記フォント記憶手段が表示フォントを1〜nの大きさのフォントとして記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は前記したように、1つの表示面に対して上下で表示される情報を、交互に拡大表示することで拡大表示された情報を遠方位置から視認できるため、ドライバーは表示された道路情報を短い時間で理解することができ、従ってドライバーの安全運転に貢献することができる。
【0009】
また、拡大表示するためのフォントを多数形成することで、恰も飛び出すような表示となるためドライバーに対して強烈にアピールすることができ、より安全運転に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、道路情報を上下で表示する情報を交互に拡大表示することで、遠方からも情報を視認することができるようにした。
【実施例】
【0011】
以下、本発明に係る道路情報表示装置の一実施例を図面と共に説明する。
図1は本発明の道路情報表示装置10の外観を示す。同図に示すように道路情報表示装置10は、道路脇に設置された支柱に取付けられた装置で、その表示面11はR,G,Bの3色を発光する半導体チップを1つの透明なパッケージに収容したLEDをマトリックス状に配列した多数のLED表示ユニット31によって形成され、LEDを点灯することにより文字や図形などからなる道路情報を表示するようになっている。拡大図Aは、表示面11の一部を拡大して模式的に示した図で、R,G,Bの発光色のチップが横1列に図示してある。なお、道路情報表示装置10には、後述する制御部20が収容されている。
【0012】
図2は、道路情報表示装置10の主な内部構成を示すブロック図である。道路情報表示装置10は、LED表示ユニット31から構成される表示面11で表示される文字や図柄を制御する制御部20と、制御部20からの表示データによってLED表示ユニット31のLEDを点灯するLED点灯駆動部32を備えたLED表示部30とから構成される。なお、LED表示部30は請求項の発光素子表示手段に相当する。
【0013】
LED点灯駆動部32は、シフトレジスタや図示しないラッチ、ドライバーなどにより構成され、前記したシフトレジスタに入力されるクロック信号に同期して表示データ(道路情報を表示する「0」「1」のデジタル信号)を、後段のシフトレジスタに転送すると共に、R,G,Bの各色に対応したレジスタに表示データが記憶される。本実施例にあっては、レジスタ内に記憶された前記デジタルデータが「1」の場合に対応する色が発光し、「0」の場合には対応する色が非発光となる。
【0014】
そして、前記表示面11の全面において文字や図柄を上下で表示するために、制御部20からシリアル転送されるデジタル信号である表示データを取得し、シフトレジスタに一時記憶するとともに、ラッチした表示データに対する色のチップに対して点灯用電源が供給されることによりLEDを点灯させ表示データに対応した文字や図柄などからなる情報を表示面11に上下段で表示する。なお、LEDの点灯色としては、上段情報を白色、下段情報を赤色で表示することで、重要な下段の情報に対する注意をより一層喚起することができる。
【0015】
なお、表示面11のLEDが1回点灯される毎にシフトレジスタのデータを書き換えて表示が行われるが、表示データの更新が高速で行われるため、人の目にはLEDが継続して点灯しているように視認される。この構成は一例であり、表示面11における全てのLEDに対して表示データをシリアル転送する必要はなく、LED表示ユニット31を複数のブロック、例えば、上下のブロックに分けてブロック毎に並列的に表示データを転送してもよい。
【0016】
次に、制御部20の構成について説明するに、制御部20はCPU21と、制御プログラムメモリ22と、表示データメモリ23と、ROM24と、出力部25および入力部26とから構成されており、この出力部25はマトリックス状に組み込まれている初段のLED表示ユニット31のシフトレジスタに接続されている。
【0017】
制御プログラムメモリ22は、ROM24から表示データを読み出すと共に各表示データのフォントの大きさを1〜n個のフォントに変換すると共に2つの表示データを表示面11の上下で表示するように表示データメモリ23にセットし、文字や図柄に相当するLEDの点灯を制御する表示制御プログラムを記憶した記憶媒体である。
【0018】
なお、ROM24が請求項の情報記憶手段に相当し、またROM24を除くCPU21、制御プログラムメモリ22、表示データメモリ23および出力部25が発光素子制御手段に相当する。
【0019】
ROM24には提供する道路情報、例えば、「名古屋−一宮 事故車線規制」、「この先工事 走行注意」、「この先事故 車線規制有」等の表示データ24aと、これらの文字のフォント(ドットパターン)を決定するためのサイズの異なる1〜n個のフォントデータ24bがそれぞれ記憶されている。なお、出力部25はCPU21からの指令に基づいて制御された表示データを表示ユニット31に出力するものであり、また、入力部26は、例えば、図示しない中央装置からの遠隔信号により表示ユニット31で表示する表示項目の選択信号を入力するものである。
【0020】
次に、上記の構成による本実施形態の動作について図3のフローチャートに従い説明する。
先ず、入力部26より道路情報表示装置によって表示する表示項目に対する選択信号(予め記憶されている表示データに付されている項目番号等)を入力する、例えば、表示面31の上段に「名古屋−一宮」、下段に「事故車線規制」の選択信号を入力すると、CPU21は制御プログラムメモリ22に記憶した表示制御プログラムを起動して、表示データ24aに記憶されている「名古屋−一宮」「事故車線規制」とフォントデータ24bから前記表示する文字に対する複数のフォントデータを読み出し(ステップS1)、指定された発光色に従い表示データとフォントデータとを組み合わせて文字サイズが異なる複数の全画面(フレーム)データを各色毎のデータとして表示データメモリ23に記憶する(ステップS2)。
【0021】
次に、表示データメモリ23で作成した文字サイズの異なる全画面データの何れかを出力部25を介してLED表示部30の各色のシフトレジスタに出力し(ステップS3)、CPU21からLED点灯駆動部32に図示しない点灯信号が出力されることによりシフトレジスタに一時記憶された「1」の信号に対応する発光色でLEDが点灯する(ステップS4)。次に、CPU21は表示停止信号が入力されないことを判定し(ステップS5),以下、ステップS3〜S5の処理を繰り返し実行する。
【0022】
具体的には、表示データメモリ23に上段の情報「名古屋―一宮」と下段の情報「事故車線規制」とを大きさを変えたR,G,Bの各色毎の全画面データとして記憶するとともに、前記フォントを変えた全画面データを予め設定した周期で繰り返し出力することにより表示面11において、図4a〜4cに示す表示データが(a)→(b)→(c)→(b)→(a)→(b)→(c)・・・と繰り返し表示される。
【0023】
なお、上記の実施形態においては、上下二段で表示を行う場合を例示したが上中下の三段で表示を行う場合にも適用可能であり、この場合には、上段と中段および中段と下段の一組として上記の動作を繰り返し実行すればよい。
【0024】
また、上記の実施形態においては、1つの表示面で1つの道路情報表示する方法を例示したが、1つの表示面で2つの道路情報を交互に表示する従来の方法に適用しても、拡大表示したそれぞれの道路情報が遠方から視認可能となるため判読を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の道路情報表示装置の外観を示す正面図である。
【図2】同上の道路情報表示装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図3】動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】道路情報表示装置で表示する表示例を示し、(a)は上段の情報が大きく、下段の情報が小さく表示された図、(b)は上下段の情報がほぼ同じ大きさで表示された図、(c)は上段の情報が小さく、下段の情報が大きく表示された図である。
【符号の説明】
【0026】
10 道路情報表示装置
11 表示面
20 制御部
21 CPU
22 制御プログラムメモリ
23 表示データメモリ
24 ROM
24a 表示データ
24b フォントデータ
25 出力部
26 入力部
30 LED表示部
31 LED表示ユニット
32 LED点灯駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED等の発光素子をマトリックス状に多数配置して道路情報を表示する道路情報表示方法であって、上下で表示される情報を、上段を大→中→小→中→大のフォントに対して、下段を小→中→大→中→小のフォントに順次切換えて表示面で表示したことを特徴とする道路情報表示方法。
【請求項2】
LED等の発光素子をマトリックス状に多数配置して道路情報を表示する道路情報表示装置であって、表示面に表示する道路情報を記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された道路情報に対するフォントを決定するフォント記憶手段と、前記情報記憶手段の道路情報とフォント記憶手段に記憶されているフォントから複数の全画面データを作成して繰り返し出力する発光素子制御手段と、該発光素子制御手段からの表示データを一時記憶し前記発光素子を点灯させる発光素子表示手段とから構成したことを特徴とする道路情報表示装置。
【請求項3】
前記フォント記憶手段が表示フォントを1〜nの大きさのフォントとして記憶したことを特徴とする請求項2記載の道路情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−248575(P2008−248575A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91628(P2007−91628)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】