説明

道路通行課金システム及び道路通行課金方法

【課題】運転者に自律的に渋滞を回避させるように促すことができる道路通行課金システムを提供する。
【解決手段】所定区間の道路を走行した車両に対して通行料金の課金を行う道路通行課金システムであって、車両の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段によって検出された車両の位置情報から所定区間の道路上に存在する車両の数を算出する車両数算出手段と、車両数算出手段によって算出された車両の数と予め決められたしきい値を比較して、所定区間の道路が渋滞しているか否かを判定する渋滞判定手段と、渋滞判定手段により、所定区間が渋滞していると判定された場合に、該所定区間を課金区間に設定する課金区間設定手段と、課金区間設定手段により設定された所定区間が課金区間であることを示す情報を配信する課金区間情報配信手段と、課金区間に設定された道路を走行した車両に対して課金を行う課金手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を通行する車両に対して課金する道路通行課金システム及び道路通行課金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、普通自動車、大型自動車(バス、トラック等)等を含む車両の交通量を抑制し、混雑解消等を図るロードプライシング制度が知られている。この制度は、既に、イギリス、シンガポール等の国で実施されている。しかしながら、ロードプライシング制度を導入する場合、規制対象エリアが広く、車両数が多い場合や、当該エリアへの道路の出入口が多数存在する場合には、全ての道路の出入口に支柱等の機器を設置することは困難である。特に、東京都内の場合には、高速道路及び一般道路が複雑に入り組んでいるため、コスト等の面で従来のロードプライシングシステム等では実現性に乏しい。また、課金エリアは、季節や時間帯等の様々な要因により変動することが考えられるが、従来のロードプライシングシステム等では、一旦、課金エリアが確定すると、これを変更することは困難になる。また、例えば車両の運転手は、車両の運転中に課金エリアを肉眼で容易に把握する必要があるため、課金エリアへの道路の出入口にその旨の表示をする必要があるが、上記のように、道路の出入口が多数存在する場合や、課金エリアが変わる場合には、かかる表示を行うことも困難となるという問題を有している。
【0003】
このような問題を解決するために、低コストで、より効率的に実施することが可能なロードプライシングシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、車両に搭載された端末装置と、通信手段を介して端末装置が接続可能な課金装置とを備え、予め設定された課金エリアに進入する車両に対して課金処理を行うロードプライシングシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−326263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すロードプライシングシステムにあっては、課金区域の適用領域を広範囲に捉えており、限られた時間帯に局所的に発生する交通集中による渋滞に対して効果を発揮しないため、運転者に自律的に渋滞回避させることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、限られた時間帯に局所的に発生する交通集中による渋滞区間を走行する車両に対して、課金を行うことにより、運転者に自律的に渋滞を回避させるように促すことができる道路通行課金システム及び道路通行課金方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定区間の道路を走行した車両に対して通行料金の課金を行う道路通行課金システムであって、車両の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された車両の位置情報から前記所定区間の道路上に存在する車両の数を算出する車両数算出手段と、前記車両数算出手段によって算出された前記車両の数と予め決められたしきい値を比較して、前記所定区間の道路が渋滞しているか否かを判定する渋滞判定手段と、前記渋滞判定手段により、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、該所定区間を課金区間に設定する課金区間設定手段と、前記課金区間設定手段により設定された前記所定区間が課金区間であることを示す情報を配信する課金区間情報配信手段と、前記課金区間に設定された道路を走行した車両に対して課金を行う課金手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記渋滞判定手段により、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、前記所定区間が渋滞していることを示す情報を配信する渋滞区間情報配信手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、所定区間の道路を走行した車両に対して通行料金の課金を行うために、車両の位置を検出する位置検出手段を備える道路通行課金システム上のコンピュータが通行料金の課金処理を行う道路通行課金方法であって、前記コンピュータが、前記位置検出手段によって検出された車両の位置情報から前記所定区間の道路上に存在する車両の数を算出する車両数算出ステップと、前記車両数算出ステップによって算出された前記車両の数と予め決められたしきい値を比較して、前記所定区間の道路が渋滞しているか否かを判定する渋滞判定ステップと、前記渋滞判定ステップにより、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、該所定区間を課金区間に設定する課金区間設定ステップと、前記課金区間設定ステップにより設定された前記所定区間が課金区間であることを示す情報を配信する課金区間情報配信ステップと、前記課金区間に設定された道路を走行した車両に対して課金を行う課金ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、限られた時間帯に局所的に発生する交通集中による渋滞区間を走行する車両に対して、課金を行うことにより、運転者に自律的に渋滞を回避させるように促すことができるため、渋滞を早期に解消することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すセンタシステム1の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すセンタシステム1の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すセンタシステム1の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示すプローブデータテーブル記憶部15に記憶されるテーブルのテーブル構造を示す説明図である。
【図6】図1に示す表示部22に道路の状況を表示した場合の表示例である。
【図7】道路セグメントを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による道路通行課金システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、交通渋滞の発生状況に応じて、課金を行う道路の区間を動的に変化させて設定し、課金の区間の道路を走行した車両に対して、課金を行うセンタシステムであり、コンピュータシステムで構成する。符号2は、道路を走行する車両(自動車等)に搭載される車載装置である。車載装置2は、センタシステム1との間で無線通信回線を用いて双方向の情報通信を行うことが可能である。
【0013】
符号11は、車載装置2との間で情報通信を行う通信部である。符号12は、管理を行うべき管理エリア内の道路の交通状況を管理する交通状況管理部である。管理を行うべき管理エリアとは、例えば東京都内などである。符号13は、管理エリア内の道路のうち、管理するべき道路を所定長さに分割した区間(これを道路セグメントという)の位置情報が記憶された道路セグメント情報記憶部である。符号14は、道路の交通量に応じて、課金するべき道路セグメントを選択して、課金区間に設定する課金セグメント設定部である。符号15は、車載装置2から送信されるプローブデータ(時間、通過地点、セグメント番号、通過速度、アクセス状態等のデータ)のテーブルを記憶するプローブデータテーブル記憶部である。符号16は、課金区間に設定された道路セグメントを走行した車両に対して課金処理を行う課金処理部である。
【0014】
符号21は、センタシステムとの間で情報通信を行う通信部である。符号22は、液晶のディスプレイ装置等で構成する表示部である。符号23は、車載装置2が存在する周辺の地図を表示部22に表示する地図表示処理部であり、ナビゲーションシステムを用いてもよい。符号24は、通信部21を介して、センタシステム1から配信された表示するべき情報を受信して、表示部22に表示する表示情報受信部である。符号25は、管理エリア内の道路のうち、管理するべき道路を所定長さに分割した区間(これを道路セグメントという)の位置情報が記憶された道路セグメント情報記憶部であり、センタシステム1内の道路セグメント情報記憶部13に記憶されている情報と同様の情報が記憶されている。符号26は、GPS(Global Positioning System)の受信機で構成し、車載装置2の現在位置情報(緯度経度情報)を出力する位置特定部である。符号27は、現在時刻を出力するタイマである。符号28は、車載装置2を搭載する車両の車速を計測する車速計測部であり、車両のエンジン制御装置等から車速の情報を受信することにより現在の車速を得る。
【0015】
符号29は、表示情報受信部24において受信した現在の課金されている道路セグメント情報と、位置特定部26により特定した現在位置情報に基づいて、課金されている道路セグメントを走行したか否かを判定し、課金の区間を走行した場合は、課金する処理を行う課金処理部である。符号30は、タイマ27が出力する現在時刻、車速計測部28が出力する現在の車速、位置特定部26が出力する現在位置に基づいて、現在車両が存在している道路セグメントの識別情報と、この道路セグメントに対するアクセス状態情報、課金区間を走行した場合の課金情報を入力して、センタシステム1へ送信するべきプローブデータを生成するプローブデータ生成部である。符号31は、プローブデータ生成部30が生成したプローブデータを通信部21を介してセンタシステム1へ送信するプローブデータ送信部である。
【0016】
なお、センタシステム1から車載装置2へ情報を送信する場合は、放送電波の周波数を用いて、放送形式で情報を配信するようにしてもよい。この場合、通信部11は、放送形式で情報の送信を行い、通信部21は、放送形式で配信された情報の受信を行う。
【0017】
ここで、図7を参照して、道路セグメントについて説明する。図7は、交差点付近の道路の形状を示す図である。図7において、破線で囲まれた1つのエリアが1つの道路セグメントであり、ここでは、5つの道路セグメントの例を示している1つの道路セグメントの道のり長さは、約100m程度に設定されている。各道路セグメントには、一意に識別可能なセグメント番号が付与されている。また、道路セグメント情報記憶部13、25には、各道路セグメントのセグメント番号と破線で囲まれたエリアを特定することができる座標情報が関係付けられて記憶されている。
【0018】
次に、図5を参照して、プローブデータ生成部30が生成するプローブデータの構成を説明する。プローブデータ生成部30において生成されたプローブデータは、プローブデータ送信部31によって、センタシステム1へ送信され、プローブデータテーブル記憶部15に登録される。図5は、図1に示すプローブデータテーブル記憶部15に記憶されるプローブデータテーブルの構造を示す図である。図5に示すように、プローブデータは、現在の「時刻」、車両が現在存在する道路セグメントの「セグメント番号」、この道路セグメントに対する「アクセス状態」、現在車両が存在する位置を緯度経度情報で表現した「通過地点」、この道路セグメントを通過した時の「通過速度」のデータから構成する。現在時刻は、タイマ27が出力した時刻情報である。セグメント番号は、位置特定部26が出力する緯度経度情報と、道路セグメント情報記憶部25に記憶されている道路セグメントの座標情報とを参照して、現在車両が存在する道路セグメントを特定し、この道路セグメントに関係付けられたセグメント番号である。アクセス状態は、この道路セグメントに対する位置関係を示す情報であり、道路セグメントに「進入」した状態、道路セグメントから「退出」した状態、道路セグメント「通過中」の状態のいずれかとなる。通過地点は、位置特定部26が出力した緯度経度情報である。通過速度は、車速計測部28が出力する車速情報である。
【0019】
次に、図2を参照して、図1に示すセンタシステム1が、車載装置2から送信されるプローブデータから各道路セグメント内に存在する車両の台数をカウントする動作を説明する。まず、プローブデータ生成部30は、所定の時間間隔(例えば、10秒)でプローブデータを生成し、プローブデータ送信部31へ送信する。これを受けて、プローブデータ送信部31は、このプローブデータを通信部21を介して、センタシステム1へ送信する。センタシステム1の通信部11は、このプローブデータを受信し(ステップS1)、交通状況管理部12へ受け渡す。交通状況管理部12は、受信したプローブデータに含まれるセグメント番号と通過地点を読み出す(ステップS2、S3)。そして、道路セグメント情報記憶部13に記憶されている道路セグメント情報を参照して、この通過地点(緯度経度)とセグメント番号が整合するかを確認し(ステップS4)、通過地点とセグメント番号が整合するか否かを判定する(ステップS5)。この判定の結果、整合しなければ、不正なプローブデータと見なして、受信したプローブデータを廃棄して、ステップS1へ戻る。
【0020】
一方、整合していれば、交通状況管理部12は、プローブデータのアクセス状態を読み出し、アクセス状態が何であるかを判定する(ステップS6)。この判定の結果、アクセス状態が「進入」であれば、プローブデータに含まれていたセグメント番号を持つ道路セグメントの在車数をインクリメント(+1)する(ステップS7)。また、アクセス状態が「退出」であれば、プローブデータに含まれていたセグメント番号を持つ道路セグメントの在車数をデクリメント(−1)する(ステップS8)。アクセス状態が「通過中」は台数が変化しないので、在車数はそのままである。そして、交通状況管理部12は、受信したプローブデータをプローブデータテーブル記憶部15に登録する(ステップS9)。この処理動作を、全ての車載装置2から受信したプローブデータに対して行うことにより、全ての道路セグメント毎の在車数を求めることができる。
【0021】
次に、図3を参照して、図1に示すセンタシステム1が、セグメント単位の車両通過速度を算出する動作を説明する。まず、交通状況管理部12は、任意の時刻(例えば、5分周期)に到達すると(ステップS11)、プローブデータテーブル記憶部15に記憶されているプローブデータを参照して、任意のセグメント番号のプローブデータを読み出す(ステップS12)。そして、交通状況管理部12は、現在時刻から所定の時間(例えば、5分)前に遡り、このセグメント番号を持つ道路セグメントの通過速度を読み出して(ステップS13)、通過速度の平均値を算出する(ステップS14)。これにより、道路セグメント毎の通過平均速度が求められることになる。続いて、交通状況管理部12は、通過平均速度を求めた道路セグメントのプローブデータのうち、平均速度を求めた所定時間前より以前のプローブデータをプローブデータテーブル記憶部15上から消去する(ステップS15)。なお、図3に示す処理動作(ステップS11〜S15)は、所定の時間間隔毎に実行されるものである。この処理動作を、全ての道路セグメントに対して行うことにより、道路セグメント毎の平均通過速度が求められることになる。
【0022】
次に、図4を参照して、図1に示すセンタシステム1が、交通渋滞の度合いに応じて、課金区間(少なくとも1つの道路セグメント)を設定する動作を説明する。まず、課金セグメント設定部14は、交通状況管理部12において得られた道路セグメントの状態を示す情報を読み出す(ステップS21)。そして、課金セグメント設定部14は、読み出したセグメント状態の情報から在車数を読み出す(ステップS22)。そして、在車数が0であるか否かを判定する(ステップS23)。この判定の結果、在車数が0であればステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。
【0023】
一方、在車数が0でなければ、課金セグメント設定部14は、読み出したセグメント状態の情報から平均通過速度を読み出す(ステップS24)。そして、平均通過速度が20km/h以下であるか否かを判定する(ステップS25)。この判定の結果、平均通過速度が20km/h以下でなければステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。
【0024】
一方、平均通過速度が20km/h以下であれば、課金セグメント設定部14は、在車数が50台以上であるか否かを判定する(ステップS26)。この判定の結果、50台以上でなければステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。
【0025】
一方、在車数が50台以上であれば、課金セグメント設定部14は、この道路セグメントを「渋滞中」に設定する(ステップS27)。そして、課金セグメント設定部14は、渋滞中の経過時間を判定する(ステップS28)。この判定の結果、ステップS27により「渋滞中」に設定されてからの経過時間が20分未満であれば、課金区間に設定することなく、ステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。
【0026】
また、渋滞中の経過時間が20分以上30分未満であれば、課金セグメント設定部14は、この道路セグメントのセグメント状態を「課金予告」に設定し(ステップS29)、ステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。また、渋滞中の経過時間が30分以上であれば、課金セグメント設定部14は、この道路セグメントのセグメント状態を「課金中」に設定し(ステップS30)、ステップS21に戻り、次の道路セグメントの状態を示す情報を読み出す。この処理動作によって、道路セグメント毎に、「課金なし」、「課金予告」、「課金中」のいずれかが設定されることになる。
【0027】
次に、図1を参照して、センタシステム1から情報配信する動作を説明する。交通状況管理部12は、道路の工事情報や事故情報を外部から入力し、これらの情報を通信部11を介して車載装置2に対して配信する。この情報には、工事や事故の位置情報を道路セグメント番号によって特定して配信する。この配信情報は、通信部21を介して、表示情報受信部24が受信する。一方、地図表示処理部23は、位置特定部26から出力される現在位置情報に基づいて、表示部22に表示される地図上に自車の位置を表示する。そして、表示部22は、表示情報受信部24において受信した工事や事故の情報に含まれる道路セグメント番号に基づいて、工事や事故の場所を特定して、表示部22に表示されている地図上に重ね合わせて表示する。これにより、運転者は、表示部22に表示された地図を参照して、工事や事故の場所を把握することができる。
【0028】
また、課金セグメント設定部14は、前述した処理動作によって設定した課金セグメントの情報を通信部11を介して車載装置2に対して配信する。この情報は、道路セグメントを特定するセグメント番号と、課金状態(「課金予告」または「課金中」のいずれか)を示す情報が含まれる。この配信情報は、通信部21を介して、表示情報受信部24が受信する。表示情報受信部24は、課金セグメントの情報を受信すると、受信した情報に含まれるセグメント番号に道路セグメント番号に基づいて、渋滞中の場所(道路セグメント)を特定して、表示部22に表示されている地図上に重ね合わせて表示する。このとき、表示部22には、図6に示すように、課金状態に応じて、課金状態を識別することが可能なように色分けされて道路セグメントが表示される。渋滞がなく通常の状態(セグメント内の車両が29台未満で平均速度が50km/h超の状態)では、道路セグメントは「青」で表示される。また、この先で渋滞が発生している渋滞予告(課金予告)の状態(セグメント内の車両が30台以上で平均速度が20〜50km/hの状態)では、この先に課金される区間があることを示すために、道路セグメントが「橙」で表示される。また、渋滞が発生している状態(セグメント内の車両が50台以上で平均速度が20km/h以下の状態)では、課金されることを示すために、道路セグメントが「赤」で表示される。運転者は、これらの表示を参照することにより、この先に渋滞が発生しており、課金される区間が存在することを把握することができる。
【0029】
次に、車両が課金区間を走行した場合の動作を説明する。課金処理部29は、表示情報受信部24において受信した課金セグメントの情報を入力し、この情報に含まれる課金中である道路のセグメント番号から課金中のセグメントの特定し、このセグメント番号を持つ道路セグメントの座標情報を道路セグメント情報記憶部25から読み出す。そして、課金処理部29は、位置特定部26が出力する現在位置情報を入力し、課金されている道路セグメントを走行したか否かを判定する。この判定の結果、課金中の道路セグメントを走行したと判定した場合、課金処理部29は、課金中の道路を走行したことを示す情報と、車載装置2の識別番号と、走行した道路セグメントのセグメント番号とを関係付けて、プローブデータ生成部30へ出力する。プローブデータ生成部30は、課金処理部29から課金中の道路を走行したことを示す情報が出力された場合、周期的に送信しているプローブデータに対して、課金中の道路を走行したことを示す情報と、車載装置2の識別番号と、走行した道路セグメントのセグメント番号とを関係付けた課金情報を付加してプローブデータ送信部31へ出力する。これを受けて、プローブデータ送信部31は、この課金情報が付加されたプローブデータを通信部21を介してセンタシステム1へ送信する。
【0030】
このプローブデータは、通信部11が受信する。課金処理部16は、通信部11において受信したプローブデータに課金情報が付加されていた場合、この課金情報を抽出して取得する。そして、受信した課金情報に含まれる車載装置2の識別番号と、走行した道路セグメントのセグメント番号とに基づいて課金処理を行う。この課金処理は、公知の方法を用いるため、詳細な処理動作の説明を省略する。これにより、課金中の道路セグメントを走行した車両に対して課金が行われることになる。
【0031】
このように、交通状況把握を目的として走行中の車両の車載装置2からプローブデータ(時刻、通過地点、セグメント番号、通過速度、アクセス状態)を無線通信を介してセンタシステム2に送信し、センタシステム1では受信したプローブデータを基にこの地域の交通量を算出するようにしたため、課金システムおいて交通状況を管理することができる。また、センタシステム1は交通量が渋滞発生と判断することができるしきい値を超えているか否かを判定して、しきい値を超えている場合この地域周辺に渋滞情報を一斉配信するようにして、この渋滞情報を受信した車載装置は自車位置を地図表示するとともに、配信された渋滞情報を基に道路の混雑状態を色別表示するようにしたため、運転者に自律的に渋滞回避させることが可能となる。また、センタシステム1は交通量が課金によって集中分散させることができるしきい値を超えているか否か判定し、しきい値をを超えている場合にはこの当該区域に課金区間を設定して、車両に対して報知するようにしたため、限られた時間帯に局所的に発生する交通集中による渋滞区間を走行する車両に対して、課金を行うことが可能になり、運転者に自律的に渋滞を回避させるように促すことができ、渋滞を早期に解消することができる。
【0032】
なお、図1における各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより道路通行課金処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0033】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・センタシステム、11・・・通信部、12・・・交通状況管理部、13・・・道路セグメント情報記憶部、14・・・課金セグメント設定部、15・・・プローブデータテーブル記憶部、16・・・課金処理部、2・・・車載装置、21・・・通信部、22・・・表示部、23・・・地図表示処理部、24・・・表示情報受信部、25・・・道路セグメント情報記憶部、26・・・位置特定部、27・・・タイマ、28・・・車速計測部、29・・・課金処理部、30・・・プローブデータ生成部、31・・・プローブデータ送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区間の道路を走行した車両に対して通行料金の課金を行う道路通行課金システムであって、
車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された車両の位置情報から前記所定区間の道路上に存在する車両の数を算出する車両数算出手段と、
前記車両数算出手段によって算出された前記車両の数と予め決められたしきい値を比較して、前記所定区間の道路が渋滞しているか否かを判定する渋滞判定手段と、
前記渋滞判定手段により、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、該所定区間を課金区間に設定する課金区間設定手段と、
前記課金区間設定手段により設定された前記所定区間が課金区間であることを示す情報を配信する課金区間情報配信手段と、
前記課金区間に設定された道路を走行した車両に対して課金を行う課金手段と
を備えたことを特徴とする道路通行課金システム。
【請求項2】
前記渋滞判定手段により、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、前記所定区間が渋滞していることを示す情報を配信する渋滞区間情報配信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の道路通行課金システム。
【請求項3】
所定区間の道路を走行した車両に対して通行料金の課金を行うために、車両の位置を検出する位置検出手段を備える道路通行課金システム上のコンピュータが通行料金の課金処理を行う道路通行課金方法であって、
前記コンピュータが、
前記位置検出手段によって検出された車両の位置情報から前記所定区間の道路上に存在する車両の数を算出する車両数算出ステップと、
前記車両数算出ステップによって算出された前記車両の数と予め決められたしきい値を比較して、前記所定区間の道路が渋滞しているか否かを判定する渋滞判定ステップと、
前記渋滞判定ステップにより、前記所定区間が渋滞していると判定された場合に、該所定区間を課金区間に設定する課金区間設定ステップと、
前記課金区間設定ステップにより設定された前記所定区間が課金区間であることを示す情報を配信する課金区間情報配信ステップと、
前記課金区間に設定された道路を走行した車両に対して課金を行う課金ステップと
を有することを特徴とする道路通行課金方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−198571(P2010−198571A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45985(P2009−45985)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】