説明

遠心羽根車、ファン装置及び電子機器

【課題】回転軸方向の気流の流路抵抗を減らし、ボス部の近傍において気流を遠心方向へ加速させることができる遠心羽根車、この遠心羽根を搭載したファン装置及びこのファン装置を搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】遠心羽根車10は、ボス部11から所定の角度をなして遠心方向へ延びるように設けられた複数の遠心長羽根12と、ボス部11から離れて設けられた複数の遠心短羽根13とを有する。円環状の連結板14は、複数の遠心長羽根12の下部と、複数の遠心短羽根13の下部をそれぞれ連結している。遠心羽根10の回転により発生した回転軸方向の気流は、ボス部11と複数の遠心短羽根13の間にとりこまれ、複数の遠心長羽根12の内周側12aにより、遠心方向へ加速される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心方向へ風を発生させるための遠心羽根車、当該遠心羽根車を用いたファン装置及び当該ファン装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)の高性能化に伴うIC(Integrated Circuit)等の発熱体からの発熱量の増大が問題となっており、様々な放熱の技術が提案され、あるいは製品化されている。その放熱方法として、ファンを用いることにより、PCの筐体内の温まった空気を強制的に排除し、周囲の低温の空気を発熱体周辺に導入することで放熱する方法がある。また、ICにアルミなどの金属でなる放熱用のフィン(ヒートシンク)を接触させて、ICからの熱をフィンに伝導させて放熱させ、ファンにより放熱フィンの周囲の暖まった空気を強制的に排除する方法もある。
【0003】
このような放熱方法に用いられるファンとして、遠心型のファンが広く使用されている。一般的な遠心型のファンは、ケースと、モータと、遠心羽根車とを含む。その放熱原理は、次のような原理となる。モータにより遠心羽根車が回転し、その遠心羽根車の回転により、ケースに設けられた吸気口を経由してケース内部に入った回転軸方向からの気流が、遠心羽根車の径方向に沿って流れる。そして、その気流は、ケースに設けられた排気口から排出される。
【0004】
この遠心型のファンの気流を発生させるための遠心羽根車は、円筒状のボス部(2)から直接、複数の遠心羽根(1a、1b、・・・、1n)が放射状に形成された形態が知られている。(特許文献1参照)。また、円盤状の底板に複数の回転翼(33)が設けられることで、ボス部から離れた位置に回転翼(33)が形成された遠心羽根車が知られている(特許文献2参照)。あるいは、円環状の補助板に複数の遠心羽根が設けられ、ボス部と補助板とがスポークで締結されることで、ボス部から離れた位置に遠心羽根が形成した形態も知られている。
【特許文献1】特開2001−111277号公報(段落〔0018〕、図1)
【特許文献2】特開2006−336642号公報(段落[0012]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ボス部に直接、遠心羽根が設けられる場合、回転軸方向の気流が、回転する遠心羽根の内周側で妨げられてしまう。その結果、流路抵抗が増加するため、送風性能が低下してしまう。
【0006】
一方で、ボス部から離れた位置に遠心羽根が形成された場合であっても、ボス部の近傍において気流が遠心方向へ加速されないため、送風性能が低下してしまう。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、回転軸方向の気流の流路抵抗を減らし、ボス部の近傍において気流を遠心方向へ加速させることができる遠心羽根車、この遠心羽根を搭載したファン装置及びこのファン装置を搭載した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の主たる観点に係る遠心羽根車は、回転可能なボス部と、前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、前記複数の第1の遠心羽根及び前記複数の第2の遠心羽根を連結する連結部とを具備する。
【0009】
本発明では、複数の第2の遠心羽根がボス部から離れて設けられており、ボス部と第2の遠心羽根との間に空間が設けられている。これにより、遠心羽根車の回転により発生した回転軸方向の気流が吸い込まれやすくなる。すなわち、回転軸方向の気流の流路抵抗を減らすことが可能となる。また、気流の流路抵抗による騒音を減らすことができる。
【0010】
また、遠心羽根車に吸い込まれた回転軸方向の気流は、ボス部の近傍において、回転する複数の第1の遠心羽根により遠心方向へ加速される。これにより、遠心羽根車のボス部の近傍において気流を遠心方向へ加速させることができる。これにより、遠心羽根車から遠心方向へ排出される気流の流量を増加させることができる。
【0011】
上記遠心羽根車において、前記連結部は、前記複数の第1及び第2の遠心羽根のそれぞれの回転軸方向における縁部を連結するようにしてもよい。
【0012】
これにより、安定して各遠心羽根を連結させることができる。
【0013】
上記遠心羽根車において、前記連結部は、前記複数の第1及び第2の遠心羽根のそれぞれの回転軸方向における中央部を連結するようにしてもよい。
【0014】
これにより、安定して各遠心羽根を連結させることができる。また、回転軸方向の両方向からの気流をスムーズに遠心方向への気流へと変化させることができる。これにより、急激な気流の方向の変化にともなう騒音を減らすことが可能となる。
【0015】
上記遠心羽根車において、前記複数の第1の遠心羽根は、外周側に設けられ、回転軸方向に第1の幅でなる第1の羽根領域と、内周側に設けられ、前記回転軸方向に第1の幅より大きい第2の幅でなる第2の羽根領域とを有するようにしてもよい。
【0016】
これにより、遠心羽根車のボス部の近傍において、気体を遠心方向へ加速させる効果がより大きくなる。
【0017】
本発明の他の観点に係るファン装置は、回転可能なボス部と、前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、前記複数の第1の遠心羽根及び前記複数の第2の遠心羽根を連結する連結部とを有する遠心羽根車と、前記遠心羽根を回転駆動する駆動部と、前記遠心羽根車の回転軸方向に気体を吸入する吸気口と、前記吸気口により吸入された前記気体を排出する排気口とを有し、前記遠心羽根を収容する収容部とを具備する。
【0018】
この構成により、遠心羽根車は、収容部に設けられた吸気口から吸入する気流の流路抵抗を減らすことが可能となる。また、遠心羽根車のボス部の近傍において、気流を遠心方向へ加速させることが可能となる。これにより、収容部に設けられた排気口から排出される気流の流量を増加させることが可能となる。また、気流吸入時における流路抵抗による騒音を減らすことが可能となる。
【0019】
本発明のまた別の観点に係る電子機器は、発熱源と、回転可能なボス部と、前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、前記複数の第1及び第2の遠心羽根を連結する連結部とを有する遠心羽根車と、前記遠心羽根を回転駆動する駆動部と、前記遠心羽根車の回転軸方向に気体を吸入する吸気口と、前記吸気口により吸入された前記気体を排出する排気口とを有し、前記遠心羽根を収容する収容部とを含み、前記発熱源を冷却可能なファン装置とを具備する。
【0020】
この構成により、ファン装置の収容部に設けられた排気口から排出される気流の流量を増加させることが可能となるため、発熱源による発熱を冷却する性能を向上することができる。また、気流吸入時における流路抵抗による騒音を減らすことが可能となるため、騒音によるユーザの不快感を減らすことができる。
【0021】
発熱源としては、例えばIC等の電子部品が挙げられる。しかし、これに限られず、ヒートシンクやIC以外の電子部品等、発熱するものであれば何でもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、回転軸方向からの気流の流路抵抗を減らし、ボス部の近傍において気流を遠心方向へ加速させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態におけるファン装置を示す分解斜視図である。図2は、図1に示すファン装置100の内部構造を示す断面図である。
【0025】
図1に示すように、ファン装置100は、遠心羽根車(遠心送風機用プロペラ)10と、ケース20と、ステータ30とにより構成されている。
【0026】
遠心羽根車10の中央には、Z方向の軸を中心としてθ方向に回転可能な、略円筒形状のボス部11が設けられている。このボス部11の外周面11aから所定の角度をなして遠心方向へ延びるように、複数の遠心長羽根(第1の遠心羽根)12が設けられている。この複数の遠心長羽根12は、回転方向(θ方向)に略等間隔となるように配置されている。また、上記ボス部11の周囲に当該ボス部の外周面11aから離れて、複数の遠心短羽根(第2の遠心羽根)13が設けられている。この複数の遠心短羽根13は、回転方向(θ方向)に略等間隔となるように配置されている。上記遠心長羽根12の外周側12bにおける回転軸方向(Z方向)の縁部と、上記遠心短羽根13の回転軸方向(Z方向)の縁部とは、略円環状の連結部としての連結板14により連結されている。すなわち、遠心長羽根12及び遠心短羽根13のそれぞれの下部同士が、連結板14により連結されている。
【0027】
遠心羽根車10は、典型的には、樹脂で構成される。しかし、樹脂に限られず、金属、またはその他の材料でもよい。
【0028】
遠心長羽根12、遠心短羽根13の数は限定されない。特に、本実施形態では、遠心長羽根12は3つ設けられているが、2つでもよいし、4つ程度であってもよい。
【0029】
なお、本明細書中において、遠心方向とは、回転軸に垂直な方向 (X、Y方向)であって、当該回転軸上の一点を原点として、略放射状に遠方へ向かう方向をいう。
【0030】
ケース20は、略直方体の形状をしており、上面21a、下面21b及び側面21cを有している。典型的には、ケース20は、例えば本体20aと、本体20aの上部に装着されるカバー部材20bとを有する。上面21aと下面21bの略中央には略円形の上部吸気口22aと下部吸気口22bとがそれぞれ設けられ、側面21cには排気口23が設けられている。ケース20内には、遠心羽根車10を収容し、内壁面21dによって形成された空間が設けられている。この内壁面21dの一部には、舌部24が形成されている。
【0031】
下部吸気口22bの中央には、下部吸気口22bの外周縁から延びるリブ25と一体的に設けられた保持板26が配置されている。この保持板26上に、ステータ30を含むモータを駆動する回路基板34が載置される。
【0032】
図2に示すように、ステータ30は、遠心羽根車10のボス部11に固定されたシャフト31と、軸受32と、コイルが巻回されたコア33とを備えている。ボス部11の内部は中空状となっており、その内周面11bにはマグネット41及びロータヨーク42が取り付けられている。ステータ30、マグネット41及びロータヨーク42によりモータ(駆動部)が構成される。
【0033】
次に、上述のように構成されたファン装置100の作用について説明する。
【0034】
モータが起動されると、遠心羽根車10が所定の速度で回転し、ケース20外の空気が上部吸気口22a及び下部吸気口22bを介してケース20内に吸い込まれる。すなわち、回転軸方向(Z方向)の気流が発生する。
【0035】
この気流は、ボス部11と複数の遠心短羽根13との間の空間にとりこまれる。本実施形態のように、ボス部11と複数の遠心短羽根13の間に適当な空間が設けられていることにより、気流が吸い込まれやすくなる。これにより、上述した上部吸気口22a及び下部吸気口22bからの回転軸方向(Z方向)の気流の流路抵抗を減らすことが可能となり、乱流を抑制し、騒音を減らすことができる。
【0036】
ボス部11と複数の遠心短羽根13との間の空間にとりこまれた気流は、回転する遠心長羽根12の内周側12aにより、遠心方向へ加速される。これにより、ボス部11の近傍において、気流を遠心方向へ加速させることができる。
【0037】
遠心方向へ加速された気流は、回転する遠心長羽根12の外周側12bと、回転する複数の遠心短羽根13とにより、遠心方向へさらに加速された後、内壁面21dに沿って流され、排気口23より排出される。
【0038】
以上のようにして、ケース20に設けられた吸気口22と排気口23とから吸入及び排出される気流の流量を増加させることが可能となり、送風性能を向上させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。これ以降の説明では、第1実施形態で示したファン装置100の部材や機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0040】
図3は、本実施形態におけるファン装置の分解斜視図である。
【0041】
ファン装置200は、遠心羽根車50と、ケース20と、ステータ30とにより構成されている。
【0042】
本実施形態においては、特に、遠心羽根車50が上述の遠心羽根車10と相違するため、遠心羽根車50について説明する。
【0043】
図4、図5、図6、図7、図8、図9及び図10は、それぞれ遠心羽根車50の斜視図、正面図、背面図、上面図、底面図、右側面図及び左側面図である。
【0044】
遠心羽根車50は、中央に設けられたボス部51と、ボス部51の外周面51aから所定の角度をなして遠心方向へ延びるように設けられた複数の遠心長羽根52とを有する。また、遠心羽根車50は、ボス部51から離れて設けられた複数の遠心短羽根53を有する。円環状の連結板54は、複数の遠心長羽根52の外周側52bにおける回転軸方向(Z方向)の中央部と、複数の遠心短羽根53の回転軸方向の中央部とを連結している。
【0045】
次に、上述のように構成されたファン装置200の作用について説明する。
【0046】
遠心羽根車50が所定の速度で回転することにより、回転軸方向(Z方向)の気流が発生する。この気流は、上部吸気口22a及び下部吸気口22bからケース20内に吸入され、ボス部51と複数の遠心短羽根53との間の空間にとりこまれる。この回転軸方向(Z方向)の気流は、回転する複数の遠心長羽根52の内周側52aにより、遠心方向へ加速された後、回転する複数の遠心長羽根52の外周側52bと、回転する複数の遠心短羽根13とにより、遠心方向へさらに加速される。その後、この遠心方向の気流は、内壁面21dに沿って流され、排気口23より排出される。
【0047】
上述のように、連結板54が複数の遠心長羽根52と複数の遠心短羽根53との中央部を連結していることにより、上部吸気口22aから吸入された気流は、連結板54の上方を通ってスムーズに遠心方向へ流される。一方、下部吸気口22bから吸入された気流は、連結板54の下方を通ってスムーズに遠心方向へ流される。これにより、急激な気流の方向の変化にともなう騒音を減らすことができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図11は、第3の実施形態に係るファン装置を示す断面図である。
【0049】
本実施の形態では、遠心長羽根62は、内周側に第2の羽根領域62aを有し、外周側に第1の羽根領域62bを有する。この遠心長羽根62は、第2の羽根領域62aの回転軸方向の幅w1が、第1の羽根領域62bの回転軸方向の幅w2より大きくなるように形成されている。例えば、この遠心長羽根62の内周側の幅w1は、ケース20の上面21aと下面21bとの距離d1と略同程度となっている。すなわち、遠心長羽根62の第2の羽根領域62aの上縁部62a−1及び下縁部62a−2は、上面21a及び下面21bと高さがそれぞれほぼ一致している。ボス部61の中心から、第2の羽根領域62aの外周端までの遠心方向での長さr1は、吸気口22(上部吸気口22aまたは下部吸気口22b)の半径r2より短く設計されている。これにより、第2の羽根領域62aの上縁部62a−1及び下縁部62a−2が吸気口22内に入り込むようにように、第2の羽根領域62aを設計することができる。
【0050】
以上のようなファン装置300の構成により、次のような有利な効果が得られる。
【0051】
遠心長羽根62の第2の羽根領域62aの幅w1が第1の羽根領域62bの幅w2より広く形成されることで、回転軸方向の気流を遠心羽根車60のボス部61の近傍において、遠心方向へ加速させる効果をより大きくすることができる。しかも、幅w1がケースの高さd1とほぼ同じであるので、ファン装置300の高さ(厚さ)が大きくなることはない。すなわち、本実施形態では、ケース20の小型化または薄型化を実現し、かつ、風量を増加させることができる。
【0052】
なお、本実施形態に係る遠心羽根車60は、上記各実施形態に係る遠心羽根車と同様に、複数の遠心短羽根(図示を省略)と、複数の遠心長羽根62と、これらを連結する連結板(図示を省略)とを備えている。
【0053】
本実施形態では、必ずしも幅w1とd1とが同じでなくてもよい。
【0054】
本実施形態では、遠心長羽根62の第2の羽根領域62aの形状が回転軸方向で対称形状とされたが、非対称形状とされていてもよい。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0056】
図12は、本実施形態における冷却装置の斜視図である。
【0057】
本実施形態に係る冷却装置400は、上述の第1実施形態に係るファン装置100にヒートシンク71とヒートパイプ72とが取り付けられることにより、構成されている。
【0058】
このヒートシンク71は、例えば銅やアルミなどの金属からなり、排気口23が設けられたケース20の側面21cに取り付けられている。ヒートパイプ72は、例えばICなどの発熱源73に吸熱部72aを接触させ、ヒートシンク71に放熱部72bを接触させている。
【0059】
ヒートパイプ72の吸熱部72aは、発熱源73により熱せられ、パイプ内の冷媒が吸熱して気化することで、放熱部72bに移動し、放熱する。この熱はヒートシンク71に伝えられ、放熱した冷媒は液化し、パイプ内の例えば毛管現象により吸熱部に還流される。
【0060】
上記放熱部72bにより、ヒートシンク71に伝えられた熱は、遠心羽根車10の回転により排気口23から排出される気流により外部に放出される。
【0061】
これにより、例えば、レイアウトの条件が厳しい電子機器などであっても熱を適切に移動し、外部へ放出することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、冷却装置のファン装置として、ファン装置100を例に挙げたが、代わりにファン装置200、またはファン装置300であってもよい。
【0063】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0064】
本実施形態においては、上述の第4実施形態における冷却装置400を搭載した電子機器としてラップトップ型のコンピュータを適用している。
【0065】
図13は、本実施形態に係るコンピュータの斜視図である。
【0066】
同図に示すように、コンピュータ500は、例えば液晶モニター部1と本体部2とで構成され、本体部2には、例えばキーボードユニット3等が設けられている。本体部2の外筐4の側面には、開口5が形成されている。冷却装置400は、例えばキーボードユニット3の下であって、開口5と、冷却装置400に設けられたヒートシンク71とが対向するように配置される。これにより、外筐4内の熱、あるいは外筐4に内蔵された例えばIC等の発熱源から発せられる熱を、外部へ放出することができる。
【0067】
ここで、コンピュータ500に搭載されている冷却装置400を構成するファン装置は、上述のように、吸気口22と排気口23とにより吸入及び排出される気流の流量を増加させることが可能となっている。これにより、外筐4内の熱あるいは外筐4内の発熱源により発せられる熱を、効率よく外部へ排出することができ、外筐4内を効率よく冷却することができる。また、ファン装置100は上述のように、気流吸入時における流路抵抗による騒音を減らすことが可能となっているため、騒音によるユーザの不快感を減らすことができる。
【0068】
なお、電子機器として、ラップトップ型のコンピュータを例に挙げたが、これに限らず、デスクトップ型のコンピュータ、またはサーバ型のコンピュータであってもよい。電子機器の他の例として、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。
【0069】
本発明者は、従来の冷却装置と本発明の一実施形態に係る冷却装置との冷却性能を比較する実験を行った。この実験は、上述の冷却装置400に、従来の遠心羽根車が搭載された場合と、本発明の一実施形態に係る遠心羽根車が搭載された場合とを比較することによって行う。
【0070】
図14は、従来の冷却装置の冷却性能を検証する際に、冷却装置400に搭載される遠心羽根車を示す図である。遠心羽根車80の複数の遠心羽根82は、円筒状のボス部81から直接、所定の角度をなして遠心方向に延びるように放射状に設けられている。
【0071】
一方で、本発明の一実施形態に係る冷却装置の冷却性能を検証する際に、冷却装置400に搭載される遠心羽根車は、図4乃至図10に示す遠心羽根車50とした。
【0072】
この実験においては、発熱源73の温度が測定されることで冷却性能が評価される。
【0073】
図15は、この実験の結果を示す図である。同図に示すように、遠心羽根車50を搭載した冷却装置を使用した場合の発熱源の温度は、遠心羽根車80を搭載した冷却装置を使用した場合の発熱源の温度より、10度程度低下している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るファン装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すファン装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るファン装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の前面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の背面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の上面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の底面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の右側面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における遠心羽根車の左側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るファン装置を示す断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る冷却装置の斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係るコンピュータの斜視図である。
【図14】従来の冷却装置の冷却性能を検証する際に、冷却装置に搭載される遠心羽根車を示す図である。
【図15】従来の冷却装置と本発明に係る冷却装置との冷却性能を比較した実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
10、50、60…遠心羽根車
11、51、61…ボス部
12、52、62…遠心長羽根
13、53…遠心短羽根
14、54…連結板
20…ケース
22a…上部吸気口
22b…下部吸気口
23…排気口
30…ステータ
41…マグネット
42…ロータヨーク
62a…第2の羽根領域
62b…第1の羽根領域
100、200、300…ファン装置
400…冷却装置
500…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なボス部と、
前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、
前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、
前記複数の第1の遠心羽根及び前記複数の第2の遠心羽根を連結する連結部と
を具備することを特徴とする遠心羽根車。
【請求項2】
請求項1に記載の遠心羽根車であって、
前記連結部は、前記複数の第1及び第2の遠心羽根のそれぞれの回転軸方向における縁部を連結することを特徴とする遠心羽根車。
【請求項3】
請求項1に記載の遠心羽根車であって、
前記連結部は、前記複数の第1及び第2の遠心羽根のそれぞれの回転軸方向における中央部を連結することを特徴とする遠心羽根車。
【請求項4】
請求項1に記載の遠心羽根車であって、
前記複数の第1の遠心羽根は、
外周側に設けられ、回転軸方向に第1の幅でなる第1の羽根領域と、
内周側に設けられ、前記回転軸方向に第1の幅より大きい第2の幅でなる第2の羽根領域と
を有することを特徴とする遠心羽根車。
【請求項5】
回転可能なボス部と、前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、前記複数の第1の遠心羽根及び前記複数の第2の遠心羽根を連結する連結部とを有する遠心羽根車と、
前記遠心羽根を回転駆動する駆動部と、
前記遠心羽根車の回転軸方向に気体を吸入する吸気口と、前記吸気口により吸入された前記気体を排出する排気口とを有し、前記遠心羽根を収容する収容部と
を具備することを特徴とするファン装置。
【請求項6】
発熱源と、
回転可能なボス部と、前記ボス部から延びるように設けられた複数の第1の遠心羽根と、前記ボス部の周囲に当該ボス部から離れて設けられた複数の第2の遠心羽根と、前記複数の第1及び第2の遠心羽根を連結する連結部とを有する遠心羽根車と、前記遠心羽根を回転駆動する駆動部と、前記遠心羽根車の回転軸方向に気体を吸入する吸気口と、前記吸気口により吸入された前記気体を排出する排気口とを有し、前記遠心羽根を収容する収容部とを含み、前記発熱源を冷却可能なファン装置と
を具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−223743(P2008−223743A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67779(P2007−67779)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】