説明

適応的遅延調整を有する位相補間器

【課題】 参照信号と補間信号間の位相関係を確実に保持し、より小さく、より簡単な構成の装置を実現するために応用可能な位相補間器を提供する。
【解決手段】 位相補間器は、2つの可調整遅延器30及び31、可調整遅延器30で遅延された信号と可調整遅延器31で遅延された信号との位相差を検出する位相比較器32、位相比較器32の出力を積分する積分器33、可調整遅延器30及び31の制御電圧を設定する乗算器34−1、34−2を備える。位相比較器32と積分器33を備えるフィードバックループは、可調整遅延器30の遅延量を制御し、{ACK1、ACK2}及びICK間の位相関係を確実に保持し、安定なICK位相を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補間器、特には、クロックデータ再生(Clock Data Recovery: CDR)システムのそれに関する。
【背景技術】
【0002】
位相補間器は、入力データをラッチするためのフロントエンドサンプラに正確な中間クロックが要求されるクロックデータ再生(CDR)システム及び位相検出システムのシステムクロック間の位相差を調整するために広く使用されている。
【0003】
従来の位相補間器(PI)は、2つの基準クロック間の位相差を調整するために、アナログ素子(加算器、乗算器、あるいは、ミキサ、増幅器等)を用いている。これらのアナログ素子には時間遅延が存在するために、基準クロックと補間クロックの間の位相を調整するために、遅延補償素子が必要である。更に、遅延補償素子には、他の種類のタイムジッタ及び偏差が存在する。このような素子の時間遅延は、入力データレート、プロセスパラメータ、及び、温度の変化にも敏感である。
【0004】
図1は、従来のクロックデータ再生システムの例を示す。
図1に示されるクロックデータ再生(CDR)システムの例では、並列フロントエンドサンプラ10−1、10−2、10−3、・・・、10−n、デマルチプレクサ(DEMUX)11、位相検出ユニット12、2つの非線形性修正コーダ13−1、及び、13−2、遅延補償素子(t_dly)14−1、及び、14−2、位相補間器15及びチャージポンプ16がある。入力データDinは、シリアルデータであり、入力データDinは、サンプラ10−1、10−2、10−3、・・・、10−nによって並列にラッチされる。サンプラ10−1、10−2、10−3、・・・、10−nは、たとえば、ラッチあるいはフリップフロップである。各サンプラ10−1、10−2、10−3、・・・、10−nは、異なるタイミングでデータをラッチする。これは、入力データDinがシリアルデータからパラレルデータに変換されることを意味する。n個のサンプラが設けられる場合には、入力データDinは、n個のパラレルデータに変換される。並列化された入力データQは、並列化された入力データを互いに同期させ、並列データである出力データDoutとして出力するデマルチプレクサ11に入力される。デマルチプレクサ11は、並列化された入力データQの位相情報を検出し、これを位相検出ユニット12に出力する。位相検出ユニット12は、並列化された入力データQ間の位相の差を表す信号を出力する。位相検出ユニット12からの出力信号は、チャージポンプ16と非線形性修正コーダ13−1及び13−2に供給される。チャージポンプ16は、位相検出ユニット12の出力を、データ再生システムの動作のための基準クロック信号(CK1及びCK2)を生成するVCO(Voltage Controlled Oscillator)の制御電圧に変換する。制御電圧を変えることにより、基準クロック信号(CK1及びCK2)の位相あるいは周波数を変えることができる。非線形性修正コーダ13−1及び13−2に入力される位相検出ユニット12の出力は、遅延補償素子14−1及び14−2の遅延量制御電圧と、位相補間器15の重み係数(g1及びg2)に変換される。非線形性修正コーダ13−1及び13−2は、たとえば、位相検出ユニット12の出力を遅延補償素子14−1及び14−2の適切な電圧信号と、位相補間器15の重み係数g1及びg2に変換するルックアップテーブルからなっている。基準クロック信号CK1及びCK2は、たとえば、それぞれ、サンプラ10−1及び10−3のクロック信号ACK1及びACK2とするために、遅延補償素子14−1及び14−2によって遅延される。位相補間器15は、基準クロックCK1及びCK2と、重み係数g1及びg2を受信し、重み係数g1及びg2の値に依存して補間クロック信号ICKを生成する。補間クロック信号ICKは、ACK1とACK2のタイミングの中間のタイミングのデータをラッチするために使用される。Qの数が3であれば、位相補間器が1つだけ設けられるが、Qの数が3より大きい場合には、複数の位相補間器が設けられる。
【0005】
図2は、図1の従来のデータ再生システムのタイミングチャートである。
従来の位相補間器においては、ICKと基準クロック(CK1とCK2)の間に位相エラーがある。位相エラーが生じると、データ再生システムの出力に、間違ったデータができる。
【0006】
図2において、入力データDinは、データ周期Tの信号として示されている。信号ACK1は、各nデータ周期のタイミング(1)でデータをラッチするのに使用される。また、信号ACK2は、各nデータ周期のタイミング(2)でデータをラッチするのに使用される。信号ICKは、各nデータ周期のタイミング(3)でデータをラッチするのに使用される。ここでは、3つのラッチ用信号のみが示されている。しかし、異なるタイミング(n−3)でn個のデータをラッチするためには、より多くのラッチ用信号が必要である。従来の位相補間器の問題を理解するに十分な3つの信号ACK1、ACK2、及びICKのみに注目する。
【0007】
図2において、「不安定位相」として示されているように、従来の位相補間器では、ACK1、ACK2、及び、ICKの位相シフトが生じる。この位相シフトは、並列化された入力データQにデータエラーを発生させる。したがって、並列化された入力データQから生成される同期化されたデータDoutは、誤ったデータを含む。図2において、Doutに対し、1つの図のみが示されている。これは、Doutが同期されたn個のデータシーケンスを有しているので、1データ周期にnビットを表すようにすると紙面を節約できるからである。したがって、Doutのデータ周期(4)は、n個のパラレルビットデータを表し、データ周期(5)は、誤ったデータを含むn個のパラレルビットデータを表している。
【0008】
図3は、図1の従来のクロックデータ再生システムに用いられる従来の位相補間器を示している。
図3(a)に示されるように、従来の位相補間器は、乗算器20−1及び20−2、アナログ加算器21、及び、増幅器22を備えている。信号CK1は、乗算器20−1によってg1が乗算され、信号CK2は、乗算器20−2によって、g2が乗算される。乗算器20−1及び20−2からの出力は、アナログ加算器21に入力され、出力が加算される。以下に説明されるように、中間位相信号は、乗算器20−1及び20−2の出力を加算することによって生成される。増幅器22は、アナログ加算器21の出力を増幅して、中間信号の振幅を信号ICKに適したものとする。
【0009】
アナログ素子(アナログ加算器21、乗算器20−1及び20−2、増幅器22)が用いられているので、これらのアナログ素子の内在的な動作遅延によって、ICKの位相に遅延が生じる。適切なラッチ動作を行うために、ICKの位相に対し、2つの基準クロックCK1及びCK2の位相を調整するために、信号ACK1及びACK2が、信号CK1及びCK2を遅延させることによって、これらから生成される。
【0010】
これらのアナログ素子には、時間遅延が存在するために、遅延補償素子14−1及び14−2は、基準クロックCK1及びCK2と、補間クロックICK間の位相を調整する必要がある。従来の位相補間器に生じる遅延時間は、「t_dly」と表される。遅延時間(t_dly)を補償するために、CK1とCK2は、遅延されて、ACK1とACK2が作られる。
【0011】
数学的には、t_dly@CK1とICK間の時間遅延@CK2とICK間の時間遅延である。
図3(b)において、基準クロックCK1及びCK2は、周期Tcの信号として示されている。信号CK1及びCK2は、互いに対し位相シフトされている。点線で、望ましい出力として示されている補間信号が必要である。しかし、アナログ加算器ADの出力と増幅器ICKの出力(実際の出力)は、必要な出力からt_dlyだけ遅延されている。CK1、CK2、及び、ICKの位相をマッチさせるために、CK1とCK2の位相は遅延されなければならない。したがって、それぞれ、CK1とCK2からt_dlyだけ遅延された信号ACK1とACK2が生成されている。
【0012】
しかし、t_dlyは、g1、g2の値および動作状況により変化するので、位相ミスマッチは発生する。
更に悪いことには、CK1とCK2の位相差は、{g1、g2}の非線形関数であるので、非線形性修正コーダが、従来のクロックデータ再生システムに必要である。
【0013】
これらの非線形性デコーダを加えることは、クロックデータ再生システムの複雑さと回路規模を増してしまう。回路が大きいことと、各回路ブロックの時間遅延のために、位相エラーは、すぐには補償できない。結果として、再生データに誤ったデータが存在することになる。これは、分離されたデータに誤りが生じるという結果となる。
【0014】
以下は、{g1、g2}と、CK1、CK2間の位相差の関係の説明である。
従来の位相補間器においては、ICKは、(g1・CK1+g2・CK2)の形状波形として考えることができる。重みg1及びg2は、{CK1、CK2}への類似性の比を調整する。g1がg2より大きい場合は、補間されたICKは、CK2よりもCK1により近く、g2がg1より大きい場合には、補間されたICKは、CK1よりもCK2に近い。CK1、CK2双方が正弦波である場合には、以下の式(1)及び(2)を参照されたい。CK1とCK2が、三角波あるいは矩形波である場合には、補間クロックは、g1・CK1とg2・CK2のすべての正弦波の高周波の和となる。
【0015】
以下は、従来の位相補間器における波形位相を記述するために使用される正弦波の場合の説明である。
CK1とCK2が両方とも正弦波である場合は、wをクロック(CK1及びCK2)の角周波数とし、tを時間とし、kをCK1とCK2の位相差とした場合、これらは、CK1=sin(wt)及びCK2=sin(wt−k)と表される。
【0016】
結果として、図3(b)のADの波形表現は
AD(t)=g1・sin(wt)+g2・sin(wt−k)
=g1・sin(wt)+g2・[sin(wt)cos(k)−sin(k)cos(wt)]
=[g1+g2・cos(k)]sin(wt)−g2・sin(k)cos(wt)
式(1)
で与えられる。
【0017】
AD(t)の交差点は、AD(t)=0で定義されるので、対応するwtの値は、
wt=arctan[g2・sin(k)/(g1+g2・cos(k)] 式(2)
で与えられる。
【0018】
あるいは、AD及びICKは、式(2)で表される値のCK1からの位相シフトを有する波形である。
式(2)の値は、各g1、g2、及びkの非線形関数であることに注意されたい。
【0019】
CK1、CK2が三角波や矩形波である場合には、補間クロックは、g1・CK1及びg2・CK2のすべての正弦波の高周波の和になる。
数学的には、
AD(t)=g1・S(CK1の正弦波高周波)+g2・S(CK2の正弦波高周波)
式(3)
これはまた、g1、g2及び、CK1とCK2の位相差の関数である。
【0020】
結果として、AD及びICKの位相は、g1、g2、あるいは、kの値のいずれかが変化すると、変化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の位相補間器においては、補間信号は、内在的な動作遅延を有するアナログ素子によって生成され、この遅延は、直接補間信号の位相遅延に反映される。したがって、参照信号と補間信号の位相マッチングを確実なものとするためには、参照信号と補間信号の位相遅延を制御しなくてはならない。参照信号と補間信号の位相遅延の制御は、余分な回路を必要とする。したがって、位相補間器を使用するクロックデータ再生システムなどは、参照信号と補間信号の位相関係の不安定さが残ったまま、より大きく、より複雑になる。
【0022】
本発明の課題は、参照信号と補間信号の位相関係を確実にし、より小さく、より単純な構成の装置を実現するのに応用可能な位相補間器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、以下に記載のような位相補間器を提供することによって達成される。
本発明の第1の位相補間器は、補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第1の可調整遅延手段と、比較用信号を生成するために、第1の基準クロック信号とは異なる位相を持つ第2の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第2の可調整遅延手段と、補間クロック信号と比較用信号の位相を比較し、比較結果信号を出力する位相比較手段と、補間クロック信号と比較用信号の位相差を小さくするように、比較結果信号に基づき、前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の第2の位相補間器は、補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第1の可調整遅延手段と、比較用信号を生成するために、補間クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第2の可調整遅延手段と、第1の基準クロック信号と異なる位相を有する第2の基準クロック信号と比較用信号の位相を比較し、位相結果信号を出力する位相比較手段と、第2の基準クロック信号と比較用信号の位相差を減らすように、比較結果信号に基づいて、第1の可調整遅延手段と第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、参照信号と補間信号の位相関係は、位相補間器のフィードバックループによって確実に保たれる。したがって、位相補間器を使って装置を構成する場合、参照信号と補間信号の位相ミスマッチを補償する余分な回路を設ける必要がない。
【0026】
結果として、本発明は、より小さく、より単純な構成の装置を実現するために応用できる位相補間器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の位相補間器は、集積回路に搭載しても良いし、単体素子を使って構成しても良い。本発明の位相補間器は、入力信号を合成するのに、周期的なクロックや信号を使うフェーズロックトループやフィードバックシステムにも応用可能である。また、論理システムやデジタルシステムの遠隔部において、システムクロックを合成するために使用することも可能である。
【0028】
遅延時間(t_dly)が、従来の位相補間器によって生成された補間クロック(ICK)に存在する。そのような遅延時間を補償するために、入力基準クロック(CK1、CK2)の双方を遅延させて、調整されたクロック(ACK1、ACK2)を生成している。しかし、t_dlyが、ICKの位相や動作条件により変化するので、位相ミスマッチが起こる。
【0029】
本発明の位相補間器は、入力基準クロック(CK1、CK2)に対して安定した位相関係を有するICKを生成する。
本発明の位相補間器においては、ICKは、ICKと基準クロック(CK1、CK2)間の位相が正確に配置され、細かく調整されるように、フィードバックループによって調整される。更に、本発明の位相補間器を使用したCDRシステムの設計は、中間クロックが、複雑な補償回路やコーディング回路を用いないで、位相補間器から直接使用可能なので、簡素化することが可能である。
【0030】
図4A及び図4Bは、本発明の実施形態の位相補間器を示している。
図4Aに示されるように、本発明の位相補間器は、ICKを生成するために、2つの可調整遅延ブロック30及び31を用いる。これらの2つの可調整遅延ブロック30及び31、位相補間器32、及び、積分器33は、入力クロックと出力クロック間の位相を自動的に調整するフィードバックループを形成する。(CK1、CK2)及びICK間の位相は、(t_dly2/t_dly1)=(g2/g1)を維持するフィードバックループによって監視される。
【0031】
可調整遅延器30は、遅延(t_dly1)でCK1をシフトするのに用いられ、可調整遅延器31は、遅延(Tc−t_dly2)でCK2をシフトするのに用いられる。ここで、Tcは、CK2の周期である。(Tc−t_dly2)の時間遅延は、CK1とCK2が周期Tcで周期的である場合には、(−t_dly2)だけ遅らせる(t_dly2だけ進ませる)ことと同じである。他方、t_dly1とt_dly2はt_dly1+t_dly2=Tsepを維持するように設定される。
【0032】
可調整遅延器30と31で遅延された遅延クロックは、それぞれ、ICK、phiとする。ICKとphi間の位相は、位相比較器32と積分器33で監視される。位相比較器32は、ICKとphi間の位相差を信号「H」として出力する。積分器33は、ICKとphi間の位相差を示す信号を積分し、位相差によって値が変化する電圧Vsを出力する。ICKとphi間の位相差に比例した値Vsは、生成され、t_dly1と−t_dly2を制御するためにフィードバックされる。したがって、ICKとphiは、それらの位相差がゼロとなるまで、徐々にシフトされる。ICKとphiがマッチする点では、ICKは、望ましい出力(補間クロック)となっている。
【0033】
本発明の位相補間器では、g1とg2の関数は、ICKを調整して、結果的に、
【0034】
【数1】

【0035】
となるようにする。
全体として、本発明の実施形態の位相補間器においては、2つの可調整遅延素子を制御するフィードバックループが存在する。ICKとphi間の位相がゼロになるにつれ、Vsは、安定し、t_dly1は、上記値に等しくなる。
【0036】
図4Aの構成においては、乗算器34−1及び34−2、積分器33及び位相比較器32の内在的な特性により遅延が存在する。しかし、この遅延は、可調整遅延器30及び31の遅延量を可変するタイミングのみに影響し、ICK自身の位相には影響は与えない。結果として、従来の位相補間器のような、ACK1、ACK2及びICKの位相不安定性は存在しない。
【0037】
図4Bのタイミングチャートでは、CK1は、直接ACK1として使い、CK2は、直接ACK2として使い、ICKは、ACK1からt_dly1だけ遅延され、ACK2から−t_dly2だけ遅延、あるいは、ACK2からTc−t_dly2だけ遅延される。ICKとphiは、それぞれ、t_dly1及び−t_dly2だけシフトされ、ICKとphi間の位相は、これらが全く一致するまで近づいていく。このとき、位相比較器は、Vsが安定化するように、一定値を出力する。このときには、ACK1、ACK2及びICK間の位相エラーあるいは誤った位相シフトがないので、入力(g1、g2)の値を固定化することができる。このとき、位相比較器は、そのDC値がVsを一定に保持する出力を生成する(この値は、ICKとphi間の位相差に比例する)。
【0038】
図4C及び図4Dは、t_dly1とt_dly2の時間tの関数としての振る舞いを示す。
図4Cに示されるように、CK1、CK2、ICK及びphi間の関係は、CK1の立ち上がりを時間t=0として定義する時間軸上に示されている。位相比較器の出力H(t)は、ICKとphi間の位相差に比例しており、
H(t)=Ki・{[Tsep−t_dly2(t)]−t_dly1(t)}
=Ki・[Tsep−t_dly2(t)−t_dly1(t)]
と表される。
【0039】
t_dly1とt_dly2の時間関数表現は以下の通りである。
【0040】
【数2】

【0041】
ここで、Kd=可調整遅延器30のゲイン、Ki=積分器33のゲインである。
可調整遅延器31をゲインKdで設定すると、
t_dly1(t)/t_dly2(t)=g1/g2 式(5)
である。
【0042】
式(4)と(5)をあわせると、
【0043】
【数3】

【0044】
式(6)の典型的な、t_dly1(t)の解は、
【0045】
【数4】

【0046】
で与えられる。ここで、M=Kd・Ki・(g1+g2)である。
時間「t」が十分大きい、あるいは、「M」が十分小さい、あるいは、両方の条件が成り立つ場合、
【0047】
【数5】

【0048】
である。
t_dly2(t)及びt_dly1(t)間の関係が式(5)で与えられるので、t_dly2(t)の典型的な解は、
【0049】
【数6】

【0050】
で与えられる。
図4Dにt_dly1、t_dly2の典型的な振る舞いを示す。時間「t」が十分大きい、あるいは、「M」が十分小さい、あるいは、両方の条件が成り立つ場合、t_dly1(t)と(Tsep−t_dly2)の両者は、一定値、特に、(Tsep・g1)/(g1+g2)に収束する。
【0051】
図5は、本発明の実施形態の位相補間器のクロックデータ再生(CDR)システムへの応用例を示す。
図5において、図1と同様の素子には、同じ参照符号を付けて、説明を省略する。
【0052】
ICKと基準クロック(CK1、CK2)間の位相は、本発明の実施形態によって正確に整列されるので、中間クロックをCDRシステムに直接使用できる。結果のCDRシステムは、位相補間器40からのクロックが精緻に調整されているので、簡素化可能である。高性能の位相比較器32が使用される場合、位相エラーは、ほぼゼロとなる。
【0053】
図5(a)では、位相補間器40から直接出力されるACK1とACK2は、図示の通り、サンプラ10−1と10−3によって使用される。ACK1、ACK2及びICK間の相対位相は、位相補間器40のフィードバックループによって確保されるので、位相検出ユニット12の出力に基づいて、ACK1とACK2の位相を調整する必要がない。また、g1、及びg2を可変して、ICKの位相を調整する必要もない。g1とg2は、固定可能である。したがって、遅延補償素子及び非線形性修正コーダは、必要ではなく、CDRシステムをより簡素化できる。位相検出ユニット12の出力は、チャージポンプ16を介して、VCOの制御に使われるのみである。図5(b)に示されるように、ACK1及びACK2には、位相不安定性はない。したがって、データエラーも生じない。
【0054】
図6は、従来技術の位相補間器と本発明の実施形態の位相特性の比較を示す。
このグラフの値は、カリフォルニア大学バークレー校のバークレー予測技術モデル(BPTM)のような標準0.18umCMOSパラメータを使った典型的なトランジスタ遅延を用いて計算した。CK1及びCK2、Tsepの時間差は、位相差が90度となるように(Tc/4)に設定されている。クロック周期が360度として表されていることに注意されたい。このグラフでは、Tsep/Tc*360(度)=90(度)が、図6(b)に示されているように、仮定されている。図6(a)において、横軸は、度を単位とした補間位相を示し、縦軸は、度を単位とした補間エラーを示しており、グラフは、さまざまな補間位相における補間エラーの大きさを示している。従来技術では、補間エラーは、補間位相が約30度で約−6度、補間位相が約70度で+6度である。従来の位相補間器は、図6(a)に示されるように、非線形特性を有している。
【0055】
従来の位相補間器を使うことによって、最大位相エラー幅は、12度であり、一方、補間位相は、0から90度の範囲となっている。他方、本発明の実施形態の位相補間器の位相エラーは、内部のフィードバックループによって自動的に補正され、約±1.3度と低く維持されている。位相エラーは、主に、位相比較器のデッドゾーンによって起こっている。デッドゾーンは、位相比較器が入力の位相差を決定できない状態や条件を示す。高性能の位相比較器を使用すれば、位相エラーをほぼゼロとすることができる。
【0056】
図7及び8は、電圧制御時間遅延器の例を示す。
図7(a)及び7(b)において、Lv1及びLv2は、インダクタ、Cv1及びCv2は、制御電圧によってその値を変えることのできる可変キャパシタである。{g1・Vs、g2・Vs}は、本発明の実施形態の位相補間器の乗算器によって生成される電圧である。図7(a)において、g1・Vsは、CK1とICK間の時間遅延「t_dly1」に影響を与える、キャパシタンス値「Cv1」を調整するための制御電圧として使用される。図7(b)において、制御電圧は、(Vdc2−g2・Vs)であり、Vdc2は、t_dly2=Tcとなる制御電圧である。したがって、図7(a)の構成は、可調整遅延器30として使用可能であり、図7(b)のそれは、可調整遅延器31として使用可能である。
【0057】
図8は、RC型電圧制御時間遅延ブロックの例を示し、ここで、Cv1とCv2は、キャパシタ、Rv1とRv2は、制御電圧によってその値を調整可能な可変抵抗である。{g1・Vs、g2・Vs}は、本発明の実施形態の位相補間器内の乗算器によって生成される電圧である。図8(a)において、g1・Vsは、CK1とICK間の時間遅延「t_dly1」に影響を与えるキャパシタンス値「Rv1]を調整する制御電圧として用いられる。図8(b)において、制御電圧は、(Vdc2−g2・Vs)であり、Vdc2は、t_dly2=Tcとなる制御電圧である。したがって、図8(a)の構成は、可調整遅延器30として使用可能であり、図8(b)のそれは、可調整遅延器31として使用可能である。
【0058】
図9は、本発明の位相補間器の多位相クロック生成器への応用例を示す。
図9(a)に示されるように、たとえば、VCOからの2つの基準クロック(CK_0、CK_180)は、6位相クロック生成器を形成するように、4つの位相補間器45〜48に入力される。クロック生成器は、互いに60度離れた位相を有するクロックを出力する。したがって、6つの位相は、0、60、120、180、240、及び300度である。位相補間器45、46、47、48の(g1、g2)値は、kを定数として、それぞれ、(k、2k)、(2k、k)、(k、2k)、(2k、k)である。接続されていない出力ポートは、出力線がつながれていない。図7(b)に示されるように、Ck_0とCK_180は、そのまま使われる。CK_60、CK_120、CK_240及びCK_300は、多位相クロック生成器によって生成される。
【0059】
多位相クロック生成器はCDRシステム、トランシーバ、通信システム用の中間(あるいはパイプライン)クロックを生成するのに使用可能である。多位相クロック生成器によって生成されるクロックの位相の数は、6には限定されず、本発明の原理から離れることなく、いくつにでもできる。
【0060】
図10は、CK1とCK2の位相間の関係と、位相エラーを示す。
図5のように、図10(a)においては、このグラフの値は、標準0.18umCMOSパラメータを用いた、典型的なトランジスタ遅延を使って計算された。このプロットは、従来技術と本発明の位相補間器の位相特性の差を記載している。図7の位相補間器45と47の場合のように、比(g2/g1)が2に固定されており、従来の位相補間器の補間クロック(ICK)の位相エラーは、(1)位相補間器への入力波形と、(2)入力基準クロック(CK1、CK2)の位相差を示す「angle12」に依存している。ここで、「angle12」は、図10(b)に示されるように、TsepをCK1とCK2間の時間差、TcをCK1とCK2の周期としたとき、(Tsep/Tc)*360(度)で定義される。(CK1、CK2)が矩形波である場合には、ICKの位相エラーは、「angle12」と共に、増加する。更に、そのようなエラーの増加は、「angle12」が約45度を超えると、劇的に増加する。
【0061】
(CK1、CK2)として、正弦波が従来の位相補間器に入力される場合、ICKの位相エラーは、angle12が80度から125度の範囲で、10度より大きい。angle12が180度に近いと、位相エラーは、ICKが正確でなくなるほど急激に増加する。
【0062】
他方、本発明の位相補間器の最大位相エラーは、基準クロックとして正弦波が使われるか、矩形波が使われるかに関わらず、1.5度と低い(90度の2%より小さい)。これは、本発明の位相補間器の利点を示している。
【0063】
図11は、本発明の位相補間器をクロック同期装置として使う例を示す。
システムクロックの大きなシステムの離れた場所(このシステムは、クロック信号に基づいて動作する、互いに遠く離れている論理ブロック59と60を含んでいる)への応用において、これらのシステムクロックを同期させるのは通常難しい。この例では、2つのシステムクロック、ICK(t)とphi(t)は、同じ共通のクロックから生成されるが、システムの異なるレイアウト配線61と62を通る。ICK(t)は、レイアウト配線61を通り、phi(t)は、レイアウト配線62を通る。これらのレイアウト配線の遅延時間には差が存在するので、ICK(t)とphi(t)は同期しない。
【0064】
この問題を解決するために、同じ長さで同じ遅延の(遅延量「a」)2つの配線を、2つの位相比較器55と58へのフィードバック経路63として用いる。システムクロック(ICK(t)とphi(t))と、フィードバッククロック(ICK(t−a)とphi(t−a))間の位相が比較され、信号(PD1、PD2)が生成される。PD1、PD2は、それぞれ、積分されて、int(PD1)とint(PD2)となる。信号int(PD1)とint(PD2)は、システムクロックと比較して相対的に低周波数なので、これらの値は、レイアウト配線61あるいは62と同じ長さを通っても有効である。変形位相補間器64では、これらの差は、ICK(t)とphi(t)の位相を調整するための制御信号として使用されるVsを出力する積分器53に入力される。これらの動作の最後に、フィードバックループの動作は安定化し、ICK(t)とphi(t)は、同期される。この場合、それぞれ乗算器50−1と50−2に入力されるg1とg2は、同じ値に設定される。そして、可調整遅延器52の遅延量は、「+/−」で表される正あるいは負の値とすることができ、「負」の遅延は、共通クロックの周期をTcとするとき、「Tc−t_dly2」の遅延量を意味する。
【0065】
図12は、図11の位相補間器のタイミングチャートを示す。
ICK(t)あるいはphi(t)が他より速い場合、図12(a)のPD1部及びPD2部において、横方向の点線として示されているように、それぞれ、PD1とPD2の積分信号である、int(PD1)とint(PD2)の値の間に差が存在する。この差は、(int(PD1)−int(PD2))がゼロになるまで、ICK(t)とphi(t)の位相差が減るように、Vsの値を変える。最終的に、位相制御ループは、安定化されて、図12(b)に示されるように、ICK(t)とphi(t)が同期される。
【0066】
図13は、本発明の位相補間器の他の実施形態を示す。
図13の基本素子は、図4のものと同じである。したがって、共通の素子は、図4のものと同じ符号で示し、説明を省略する。
【0067】
図13(a)の位相比較器32は、ICKとphiの位相ではなく、CK2とph2のそれを比較する。「ph2」は、一回は可調整遅延器30aで、一回は可調整遅延器31aで、2回遅延されたCK1クロック信号である。可調整遅延器30aの遅延量t_dly1と可調整遅延器31aの遅延量t_dly2の和は、CK1とCK2間の時間差であるTsepに維持される。この実施形態では、可調整遅延器31aは、可調整遅延器30aの出力を、負の量ではなく、正の量で遅延させる。
【0068】
この構成の主な利点は、可調整遅延器31aの遅延値が、第1の実施形態で記載した「Tc−t_dly2」ではなく、単に「t_dly2」であることである。可調整遅延器30aと可調整遅延器31aの両方に、図7(a)あるいは図8(a)に示される例示的構成のような、同じ時間遅延回路を使えるということに注意されたい。
【0069】
本発明の位相補間器は、クロックデータ再生(CDR)システム、高速トランシーバ、及び、ワイヤ線通信システムに応用可能である。位相補間器は、大規模集積回路(LSI)や印刷基盤ボード(PCB)あるいは、これらの組み合わせのようないかなる形でも構成可能である。これは、図9で説明したように、多位相クロック生成器を作るのに使うことができる。また、図11に示したように、システムの離れた部分におけるシステムクロックの同期にも使うことができる。
【0070】
本発明の実施形態では、位相補間器内のフィードバックループが(CK1、CK2)及びICK間の位相を自動的に調整する。入力基準クロックと出力クロック間の位相関係は、2つの可調整遅延器、位相比較器、及び、積分器を含む位相制御回路によって監視される。定常状態では、位相制御回路(位相フィードバック回路とも言う)は、(t_dly2/t_dly1)=(g2/g1)を維持する。基準クロック(CK1及びCK2)は、出力クロックあるいは中間クロックとして直接使用できる。ICKの実際の出力は、望まれる出力として使用できる。ICKの位相エラー特性は、Tsep、g1あるいはg2の値とは独立している。結果として、非線形性修正コーダをCDRシステムから取り除くことができる。いったん(CK1、CK2)とICK間の位相が決定されると、定数の(g1、g2)を使うことができる。これらのことは、CDRシステムの全体構成を簡単化する。位相エラーは、補間位相の値とは独立である。したがって、位相補間器の位相特性は安定している。システムの遠隔地にある素子のシステムクロックを調整するために使用するときは、位相制御回路は、これらのシステムクロックの同期を維持する。ICKが安定化された状態においても、位相比較器と乗算器のような素子には遅延があるが、「t_dly1」の遅延値のみがICKに与えられる。更に、これらの遅延は、CK1あるいはCK2には影響を与えない。換言すると、位相比較器と乗算器の遅延は、出力クロック{CK1、ICK、CK2}の最終的な品質には影響を与えない。データ再生システムでは、{ACK1、ICK、ACK2}のすべてが、シリアル入力データ「Din」からデータを再生するための時間基準として使用される。従来の位相補間器では、{CK1、CK2}は、ICKと適切な位相関係を有しておらず、遅延素子が{ACK1、ACK2}を作るのに用いられる。しかし、本発明の位相補間器を用いると、{ACK1、ICK、ACK2}のすべての間の位相関係は、自動的に調整され、{CK1、CK2}の修正は必要ない。
【0071】
(付記1)
補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第1の可調整遅延手段と、
比較用信号を生成するために、第1の基準クロック信号とは異なる位相を持つ第2の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第2の可調整遅延手段と、
補間クロック信号と比較用信号の位相を比較し、比較結果信号を出力する位相比較手段と、
補間クロック信号と比較用信号の位相差を小さくするように、比較結果信号に基づき、前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段と、
を備えることを特徴とする位相補間器。
【0072】
(付記2)
前記比較結果信号は、前記補間クロック信号と比較用信号の位相差に依存して変化する可変電圧であり、
前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量は、この可変電圧によって制御されることを特徴とする付記1に記載の位相補間器。
【0073】
(付記3)
前記第2の可調整遅延手段の遅延量は、負の値であることを特徴とする付記1に記載の位相補間器。
【0074】
(付記4)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段の遅延量の大きさの和は、前記第1の基準クロック信号と前記第2の基準クロック信号の位相の時間差に等しいことを特徴とする付記1に記載の位相補間器。
【0075】
(付記5)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、LC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする付記1に記載の位相補間器。
【0076】
(付記6)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、RC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする付記1に記載の位相補間器。
【0077】
(付記7)
補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第1の可調整遅延手段と、
比較用信号を生成するために、補間クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第2の可調整遅延手段と、
第1の基準クロック信号と異なる位相を有する第2の基準クロック信号と比較用信号の位相を比較し、位相結果信号を出力する位相比較手段と、
第2の基準クロック信号と比較用信号の位相差を減らすように、比較結果信号に基づいて、第1の可調整遅延手段と第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段と、
を備えることを特徴とする位相補間器。
【0078】
(付記8)
前記比較結果信号は、前記補間クロック信号と比較用信号の位相差に依存して変化する可変電圧であり、
前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量は、この可変電圧によって制御されることを特徴とする付記7に記載の位相補間器。
【0079】
(付記9)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段の遅延量の大きさの和は、前記第1の基準クロック信号と前記第2の基準クロック信号の位相の時間差に等しいことを特徴とする付記7に記載の位相補間器。
【0080】
(付記10)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、LC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする付記7に記載の位相補間器。
【0081】
(付記11)
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、RC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする付記7に記載の位相補間器。
【0082】
(付記12)
付記1または7に記載の位相補間器と、
該位相補間器によって生成される基準クロック信号と補間信号に従って、入力データをラッチするデータラッチ手段と、
を備えることを特徴とするクロックデータ再生システム。
【0083】
(付記13)
付記1または7に記載の位相補間器を複数備え、
各位相補間器は、互いに異なる位相を有する入力クロック信号に基づいて、他の位相補間器とは異なる位相の、第1の基準クロック信号と第2の基準クロック信号に互いに置き換えて割り当てられる補間クロック信号を生成することを特徴とする多位相クロック生成器。
【0084】
(付記14)
第1の遅延量で共通クロックを遅延させる第1の可調整遅延手段と、
第2の遅延量で共通クロックを遅延させる第2の可調整遅延手段と、
該第1の可調整遅延手段の出力を伝搬させる経路と該第2の可調整遅延手段の出力を伝搬させる経路とからなる伝搬経路と、
互いに同じ遅延量を有する、該第1の可調整遅延手段の伝搬された出力をフィードバックする第1の経路と、該第2の可調整遅延手段の伝搬された出力をフィードバックする第2の経路とを備えるフィードバック経路と、
該第1の可調整遅延手段の伝搬された出力と、該第2の可調整遅延手段のフィードバックされた出力との位相差を、該第2の可調整遅延手段の伝搬された出力と該第1の可調整遅延手段のフィードバックされた出力との位相差と比較することによって得られる差信号を生成する差信号生成手段と、
該差信号を小さくするように、該第1の遅延量と該第2の遅延量を制御する制御手段と、
を備えるクロック同期装置。
【0085】
(付記15)
参照信号を可変遅延量で遅延させ、参照信号の1つから補間クロック信号を生成する遅延手段と、
補間クロック信号をフィードバックし、補間クロック信号の位相を、基準クロック信号のそれと比較し、該比較結果に基づいて、遅延量を調整するフィードバック手段と、
を備えることを特徴とする位相補間器。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】従来のクロックデータ再生システムを示す。
【図2】図1の従来のデータ再生システムのタイミングチャートを示す。
【図3】図1の従来のクロックデータ再生システムに使われる従来の位相補間器を示す。
【図4A】本発明の実施形態の位相補間器を示す(その1)。
【図4B】本発明の実施形態の位相補間器を示す(その2)。
【図4C】時間tの関数としてのt_dly1及びt_dly2の振る舞いを示す(その1)。
【図4D】時間tの関数としてのt_dly1及びt_dly2の振る舞いを示す(その2)。
【図5】本発明の実施形態の位相補間器のクロックデータ再生(CDR)システムへの応用例を示す。
【図6】従来技術と本発明の実施形態の位相補間器の位相特性の比較を示す。
【図7】電圧制御時間遅延器の第1の例を示す。
【図8】電圧制御時間遅延器の第2の例を示す。
【図9】本発明の位相補間器の多位相クロック生成器への応用例を示す。
【図10】位相エラーとCK1とCK2の間の位相差の関係を示す。
【図11】本発明の位相補間器をクロック同期装置として使う例を示す。
【図12】図11の位相補間器のタイミングチャートを示す。
【図13】本発明の位相補間器の別の実施形態を示す。
【符号の説明】
【0087】
10−1〜10−n サンプラ(ラッチあるいはフリップフロップ)
11 デマルチプレクサ
12 位相検出ユニット
13−1、13−2 非線形性修正コーダ
14−1、14−2 遅延補償素子
15 従来の位相補間器
16 チャージポンプ
20−1、20−2 乗算器
21 アナログ加算器
22 増幅器
30、31、30a、31a 可調整遅延器
32 位相比較器
33 積分器
34−1、34−2 乗算器
40、45〜48 本発明の実施形態の位相補間器
50−1、50−2 乗算器
51、52 可調整遅延器
53、56、57 積分器
55、58 位相比較器
59、60 論理ブロック
61、62 レイアウト配線
63 フィードバック配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第1の可調整遅延手段と、
比較用信号を生成するために、第1の基準クロック信号とは異なる位相を持つ第2の基準クロック信号を可変な遅延量だけ遅延させる第2の可調整遅延手段と、
補間クロック信号と比較用信号の位相を比較し、比較結果信号を出力する位相比較手段と、
補間クロック信号と比較用信号の位相差を小さくするように、比較結果信号に基づき、前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段と、
を備えることを特徴とする位相補間器。
【請求項2】
前記比較結果信号は、前記補間クロック信号と比較用信号の位相差に依存して変化する可変電圧であり、
前記第1の可調整遅延手段と、前記第2の可調整遅延手段の遅延量は、この可変電圧によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の位相補間器。
【請求項3】
前記第2の可調整遅延手段の遅延量は、負の値であることを特徴とする請求項1に記載の位相補間器。
【請求項4】
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段の遅延量の大きさの和は、前記第1の基準クロック信号と前記第2の基準クロック信号の位相の時間差に等しいことを特徴とする請求項1に記載の位相補間器。
【請求項5】
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、LC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相補間器。
【請求項6】
前記第1の可調整遅延手段と前記第2の可調整遅延手段は、RC型アナログ遅延回路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相補間器。
【請求項7】
補間クロック信号を生成するために、第1の基準クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第1の可調整遅延手段と、
比較用信号を生成するために、補間クロック信号を可変な遅延量で遅延させる第2の可調整遅延手段と、
第1の基準クロック信号と異なる位相を有する第2の基準クロック信号と比較用信号の位相を比較し、位相結果信号を出力する位相比較手段と、
第2の基準クロック信号と比較用信号の位相差を減らすように、比較結果信号に基づいて、第1の可調整遅延手段と第2の可調整遅延手段の遅延量を制御する遅延量制御手段と、
を備えることを特徴とする位相補間器。
【請求項8】
請求項1または7に記載の位相補間器と、
該位相補間器によって生成される基準クロック信号と補間信号に従って、入力データをラッチするデータラッチ手段と、
を備えることを特徴とするクロックデータ再生システム。
【請求項9】
請求項1または7に記載の位相補間器を複数備え、
各位相補間器は、互いに異なる位相を有する入力クロック信号に基づいて、他の位相補間器とは異なる位相の、第1の基準クロック信号と第2の基準クロック信号に互いに置き換えて割り当てられる補間クロック信号を生成することを特徴とする多位相クロック生成器。
【請求項10】
第1の遅延量で共通クロックを遅延させる第1の可調整遅延手段と、
第2の遅延量で共通クロックを遅延させる第2の可調整遅延手段と、
該第1の可調整遅延手段の出力を伝搬させる経路と該第2の可調整遅延手段の出力を伝搬させる経路とからなる伝搬経路と、
互いに同じ遅延量を有する、該第1の可調整遅延手段の伝搬された出力をフィードバックする第1の経路と、該第2の可調整遅延手段の伝搬された出力をフィードバックする第2の経路とを備えるフィードバック経路と、
該第1の可調整遅延手段の伝搬された出力と、該第2の可調整遅延手段のフィードバックされた出力との位相差を、該第2の可調整遅延手段の伝搬された出力と該第1の可調整遅延手段のフィードバックされた出力との位相差と比較することによって得られる差信号を生成する差信号生成手段と、
該差信号を小さくするように、該第1の遅延量と該第2の遅延量を制御する制御手段と、
を備えるクロック同期装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−181128(P2007−181128A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−379994(P2005−379994)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】