説明

適応符号化および復号

本発明は、画像部分を送信する方法に関し、この方法は、符号化段階で、
・符号化コンテキストを解析するステップと、
・符号化に使用可能である予測関数のグループのパラメータを適応させるステップと、
・選択された予測関数を使用して、予測された第1の記述子を形成するステップと、
・予測された第1の記述子と現在の記述子の間の残余(ε)を決定し送信するステップとを含む。
この方法はさらに、
・復号コンテキストを解析するステップと、
・復号に使用可能である予測関数のグループのパラメータを適応させるステップと、
・選択された予測関数を使用して、予測された第2の記述子(P*)を形成するステップと、
・現在の記述子(V*)の復号されたバージョンを引き渡すために、予測された第2の記述子と受信された残余を組み合わせるステップとを含む復号段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像符号化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの画像コーダはフレーム間符号化をサポートし、このフレーム間符号化では、最も最近の画像を、先行する1つまたは複数の画像に対して符号化するために、シーケンスの画像間の動きが推定される。
【0003】
シーケンスの各画像は、他の画像を参照せずに符号化することもできる。これは、フレーム内符号化として知られており、画像内の空間相関を利用する。コーダからデコーダへの所与の伝送ビットレートでは、それは、シーケンスの画像間の時間相関を利用しないので、フレーム間符号化より低いビデオ品質を達成する。
【0004】
シーケンスは一般に、その第1の画像をフレーム内符号化させ、その次の画像をフレーム間符号化させる。コーダからの出力ストリームに含まれた情報は、フレーム内符号化およびフレーム間符号化されたフレームを示し、またフレーム間符号化される場合は、どの参照画像を使用するか示す。
【0005】
複数の既存の符号化方法は、たとえば輝度およびクロミナンスや、符号化モード選択情報の動きベクトルなど、ピクセルに関する情報からなる記述子として知られている代表的な情報を表すものを決定することによって現在の画像部分を符号化する。
【0006】
それらの記述子の一部、特に動きベクトルは、予測することができる。次いで、画像部分を解析して、予測された記述子を取得することが可能であり、その後に、この予測された記述子は、現在の記述子と比較されて、予測された記述子と現在の記述子の間の差を表す残余が抽出される。この残余だけを、デコーダに送信する必要がある。
【0007】
対応する復号方法は、現在の記述子、したがって現在の画像部分を取得するために、予測された動きベクトルなどの予測された記述子をローカルに決定し、コーダから受信された残余とそれを組み合わせるように適応される。
【0008】
したがって、こうした符号化では、コーダとデコーダの間のストリームは、残余だけ、および適用可能であれば使用する画像部分の参照を含む。
【0009】
しかし、使用される予測関数は、最適な関数でないことがある。コーダおよびデコーダ内で使用可能である予測関数のグループを使用すると、この問題を克服することができる。それぞれの関数は、コーダがそれらのうちの1つ、一般には最小残余をもたらす関数を選択する前に、コーダ内でテストされる。
【0010】
特に、記述子のうち、動きベクトルは、特にその精度のために高い帯域幅を必要とし、よって、残余を使用して送信される傾向がある。
【0011】
したがって、デコーダが正確な予測関数を適用することを可能にするために使用される予測関数の識別子をコーダ出力ストリームに含めることが必要である。
【0012】
予測関数の識別子に割り当てられる帯域幅は無視できるものではなく、関数がそこから得られるグループのサイズに応じて増加する。
【0013】
この問題は、「IEEE Transactions on Image Processing」、第8巻、第8号、1999年8月、Sung Deuk Kim、Jong Beom Raにおいて対処されており、彼らは、動きベクトルに使用される予測関数の識別子に特定の符号化システムを提案している。
【0014】
したがって、使用可能な予測関数のグループのサイズが増加すると予測品質は向上するが、識別子へのより大きい帯域幅の割り当てが必要となる。
【非特許文献1】「IEEE Transactions on Image Processing」、第8巻、第8号、1999年8月、Sung Deuk Kim、Jong Beom Ra
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一目的は、帯域幅減少を制限することにより最適の予測をもたらす符号化方法および対応する復号方法を提案することによってこの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明は、画像を符号化する方法にあり、現在の画像部分の符号化は、下記のステップ、
・現在の画像部分の現在の記述子を決定するステップと、
・使用可能な関数の調整可能なグループ内の予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および選択された予測関数から、現在の画像部分の予測された記述子を形成するステップと、
・予測された記述子と現在の記述子の間の差を表す残余を決定するステップと、
・デコーダに意図された出力ストリーム内に残余を組み込むステップとを含み、
この方法は、
・符号化コンテキストを解析するステップと、
・使用可能な関数のグループの少なくとも1つのパラメータを符号化コンテキストの解析の関数として適応させるステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明は、画像を復号する方法にもあり、現在の画像部分の復号が、下記のステップ、
・残余を含むデータストリームを受信するステップと、
・使用可能な予測関数の調整可能なグループ内の予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および選択された予測関数から、現在の画像部分の予測された記述子を形成するステップと、
・現在の画像部分の現在の記述子を引き渡すために、予測された記述子と残余を組み合わせるステップとを含み、
この方法は、
・復号コンテキストを解析するステップと、
・使用可能な関数のグループの少なくとも1つのパラメータを復号コンテキストの解析の関数として適応させるステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0018】
これらの符号化および復号方法は、画像部分に関する情報を送信する方法を形成する。
【0019】
したがって、使用可能な予測関数のグループの適応は送信されないが、コーダとデコーダ内で独立に決定される。したがって、帯域幅に影響を与えずに使用可能な予測関数のグループを最適化することが可能である。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、予測された記述子を形成するステップは、適応可能であるパラメータを有する予測関数を適用するステップを含み、適応は、予測関数のパラメータの少なくとも1つを修正するステップを含み、適応されたパラメータの一部は、コーダとデコーダの間で送信されない。
【0021】
したがって、データに使用可能な帯域幅を減少させずに予測関数を最適化するために、適応可能であるパラメータを有する関数のパラメータに本発明の原理を適用することが可能である。
【0022】
使用可能な関数のグループが互いに異なる要素を含む場合、本発明は、コーダ内で、適応されたパラメータを有する使用可能な関数のグループに対して、選択された予測関数の識別子を表現するステップと、その識別子を出力ストリームに組み込むステップとを含む。対称的に、この識別子は、デコーダによって受信され、デコーダ内で使用される。
【0023】
この実装形態では、識別子を送信するのに必要な帯域幅は、識別子が、そのパラメータがコンテキストに適応される使用可能な関数のグループに対して表現されるので減少される。
【0024】
特定の一実装形態では、選択は、使用可能な関数のグループの各関数をテストするステップと、予測関数が互いに競合することができるように、それらのテストに関して特定の関数を選択するステップとを含む。
【0025】
本発明はさらに、上述された方法を実行するプログラム、ならびに対応するコーダおよびデコーダにある。
【0026】
他の特徴および本発明の利点は、非限定的な実施例として、また添付の図面を参照して以下に述べられる説明において明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、任意のタイプの画像符号化、たとえばビデオコーダ4を含む送信機2と、デコーダ8を含む受信機6の間のデジタルテレビストリームのビデオシーケンスの符号化に適用することができる。たとえば、送信機2は、デジタルテレビ無線チャネル上でDVBフォーマットなどのフォーマットで送信するアンテナを含み、局6は、パーソナルコンピュータである。
【0028】
図2を参照して、送信されるビデオシーケンスの画像のストリームFを入力として受信するコーダ4の一部について、以下に詳細に述べる。用語「画像」は、ビデオシーケンスの要素を一般に指す。規格によっては、それは、用語「フレーム」と区別なく置き換えることができる。
【0029】
コーダ4で、ストリームFは、まずバッファ10に格納され、制御ユニット12は、ピクセル情報、すなわち輝度およびクロミナンス、動きベクトル、ならびにフレーム間モードやフレーム内モードなどの符号化モードを含むバッファから現在の各画像部分の記述子を決定する。
【0030】
フレーム間符号化される、すなわち現在の画像に先行するビデオシーケンス内の画像の一部に対して符号化される動きベクトルVの処理についてだけ、以下に述べる。しかし、本発明は、他のタイプの記述子に、特に符号化モードの記述子に適用することができる。
【0031】
制御ユニット12は、符号化サブシステム16に接続され、この符号化サブシステム16は、先行する1つまたは複数の画像部分から現在の画像部分の予測動きベクトルを予測し、予測パラメータを符号化するための手段20を含む。より正確に述べると、現在の画像部分の予測動きベクトルは、他の画像部分の1つまたは複数の動きベクトルに予測関数を適用することにより得られる。これらの動きベクトルは、それらの他の画像部分を解析する結果である。
【0032】
手段20は、動きベクトル予測関数のデータベース22を含み、この動きベクトル予測関数の一部は、使用可能な予測関数テーブル24を形成するためにデータベース22から抽出される。
【0033】
テーブル24は、たとえば、以下の形式を取る。
【0034】
【表1】

【0035】
示された実施形態では、このテーブル24は、適応可能であるパラメータを有し、以下に詳細に述べるように、特にそのサイズおよびコンテンツは変更されてよく、したがって、符号化予測パラメータは、テーブル24のパラメータである。
【0036】
テーブル24は、セレクタユニット26に接続され、このセレクタユニット26は、現在の画像部分の動きベクトルを符号化するためにテーブル24からの使用可能な各予測関数をテストする。より正確に述べると、次にユニット26は、それぞれの予測関数を、ビデオシーケンス内の現在の部分に先行する1つまたは複数の画像部分、すなわち先行するそれらの画像部分の解析の結果としてもたらされた1つまたは複数の動きベクトルに適用する。
【0037】
これらのテストの関数として、予測された記述子、すなわち予測された動きベクトルPを形成するために、特定の予測関数が保持される。この選択は、たとえばできるだけ最小の残余をもたらす関数を選択するために、予測関数間の競合によって行われる。選択された予測関数は、テーブル24に対して識別子Idによって識別され、述べられた実施例では、テーブル内の関数の番号に対応する。
【0038】
予測された動きベクトルPは、コンバイナユニット30に送信され、このコンバイナユニット30もまた、現在のベクトルVを受信し、予測された記述子Pと現在の記述子Vの間の差を表す残余εを決定する。
【0039】
コーダ4は、出力データストリームΦ生成し、入力として残余ε、および他の標準の情報要素、たとえば予測関数を適用しなければならない画像部分の識別子を受信するためのユニット32をも含む。
【0040】
述べられた実施例では、選択ユニット26もまた、使用された予測関数の識別子Idをユニット32に送信する。その識別子のサイズは、テーブル24のサイズに直接依存し、したがって、出力ストリームΦ内のこの識別子Id用に予約された帯域幅は、テーブル24のサイズに応じて変化する。
【0041】
さらに、符号化サブシステム16は、予測パラメータを符号化コンテキストの関数として適応させ、またこのために、符号化コンテキストを解析するためのユニット42を含む手段40をも含む。
【0042】
表現「符号化コンテキストの解析」は、符号化が行われる一般的なフレームワークを定義する様々な指標を解析することを意味する。これらの指標は、
・予測関数の使用率(percentage usage)や、予測関数間に見られた差など、予測ステップにリンクされた統計指標と、
・画像間の方向勾配、領域の全体的な動き、アクティビティ、フレーム内符号化、フレーム間符号化または不変の画像または画像フラグメントの量など、画像の変化を表す指標と、
・伝送条件や画像解像度選択の関数として割り当てられた帯域幅など、伝送条件を表す指標とを含む。
【0043】
ユニット44は、一部の予測パラメータを、この符号化コンテキスト解析の関数として適応させる。より具体的には、このユニット44は、テーブルに関数を追加し、またはそこから関数を取り除くことによって、使用可能な予測関数テーブル24のパラメータを適応させる。
【0044】
述べられた実施例では、所定の規則によって、テーブル24の適応が左右される。こうした規則の例について、以下に述べる。
【0045】
第1の規則によれば、画像のローカルの特性によって、全体的な動きが符号化される領域にわたり規則的であること、および符号化される領域が急な不連続性を含むことが示される状況では、優先度が時間予測関数に割り当てられる。全体的な動きは、画像または画像部分を符号化するために以前に選択された動きベクトルの値を調べることによって計算される。不連続性は、輪郭検出フィルタリングの後に絶対値を合計することによって計算される。時間関数は、使用可能な予測関数のテーブル24に時間関数を追加し、あるいは空間関数または他のタイプの関数を取り除くことによって有利に扱われる(favor)。
【0046】
別の状況では、画像のシーケンスが静的であると決定される場合、すなわち0に等しい動きベクトルの数が特定の閾値を超え、不変の画像または画像部分の数が多い場合、あるいは時間予測関数の使用統計値が低い場合、適応は、時間関数にとっては不利益が生じるほどに、テーブル24内の空間予測関数に有利である。
【0047】
さらに、使用可能な関数テーブル24からの2つの予測関数が距離に関して接近している場合、すなわちこれらの関数のそれぞれによって得られた予測間の差の合計が小さい場合、それらの共通の存在はもはや必要ではなく、予測関数のうちの1つが取り除かれる。
【0048】
予測関数が非常に稀にしか選択されないと見られる場合、それは同様に、取り除かれてよい。
【0049】
別の規則によれば、連続した画像間でシーケンスの変更が予測される場合、使用可能な予測関数テーブル24は再び初期化される。
【0050】
最後に、さらなる規則によれば、テーブルのサイズは、伝送に利用可能な帯域幅の関数として一部決定され、通過帯域のより大きい部分が使用可能である場合、より大きいサイズが許可される。同様に、テーブルのサイズ上限または下限が、必要な画像品質および/または使用可能な帯域幅の関数として設定されてよい。
【0051】
したがって、テーブル24のサイズおよびとコンテンツパラメータは、テーブル24を、したがって識別子Idをできるだけ小さく維持しながら、最も関係する予測関数だけを保持するように、符号化コンテキストに適応される。
【0052】
適応された予測パラメータの一部は、出力ストリームΦに組み込まれない。より正確には、述べられた実施例では、テーブル24の適応は、どれも出力ストリーム内に示されず、または参照されない。
【0053】
これらの適応は、符号化コンテキストの解析からもたらされ、したがって、コーダおよびデコーダ内で自律的に、すなわちそれを送信する必要なしに再生することができる。
【0054】
したがって、適応された予測関数を使用して、また使用された予測関数の識別子Idの送信に割り当てられた帯域幅に影響を及ぼさずに、現在画像部分の、特に動きベクトルの記述子の改良された符号化を得ることが可能である。これは、テーブル24のパラメータを制御することによってこの識別子のサイズを制限する結果である。
【0055】
コーダ4によって送信されたストリームΦを受信するデコーダ8の一部について、図3を参照して以下に詳細に述べる。
【0056】
このデコーダ8は、ストリームを受信するバッファ50と、ストリームのデータ、特に、符号化タイプ情報を解析する制御ユニット52とを含む。
【0057】
制御ユニット52の出力は、復号サブシステム56に送信される。符号化サブシステムと同様に、復号サブシステム56について、フレーム間符号化された動きベクトルである特定の記述子だけを参照して述べる。
【0058】
復号サブシステム56は、他の画像部分および予測パラメータから復号するための予測された動きベクトルP*を生成する現在の画像部分の記述子を予測する手段60を含む。符号化サブシステムと同様に、手段60は、他の画像部分の解析の結果生じる1つまたは複数の動きベクトルに、予測関数を適用することができる。
【0059】
手段60は、コーダ4のデータベース22と同じ予測関数を含む予測関数データベース62を含む。手段60は、使用可能な予測関数のテーブル64および関数適用ユニット66をも含む。このユニット66は、使用される特定の関数をテーブル64から抽出し、予測された動きベクトルP*を引き渡すために予測関数を適用しなければならない画像部分をバッファ50から抽出する。
【0060】
述べられた実施形態では、適応可能であるテーブル64のパラメータは、そのサイズおよびそのコンテンツを含み、したがって、予測パラメータは、テーブル64のパラメータである。
【0061】
復号装置56は、予測された動きベクトルP*、およびストリームΦ内で受信された残余εを入力として受信し、ベクトルVの復号されたバージョンに対応する現在の動きベクトルV*を出力として引き渡すコンバイナユニット70をも含む。このベクトルV*は、現在の画像部分の復号バージョンを取得するために適用されなければならない。
【0062】
復号サブシステム56はさらに、予測パラメータを復号コンテキスト関数として適応し、自律的に、すなわちコーダからの命令なしに機能する手段80を含む。
【0063】
より正確には、手段80は、上述されたユニット42に類似した、復号コンテキストを解析するためのユニット82と、ユニット44に類似した、一部の予測パラメータを復号に適応させるためのユニット84とを含む。
【0064】
適応ユニット82は、コーダ4内のユニット42によって行われた適応と同じ規則および基準に従って、使用可能な予測関数テーブル64を自律的に修正する。したがって、これらの適応は同一であり、したがって、使用可能な予測関数テーブル64および24は、それぞれコーダおよびデコーダ内で同じやり方で、適応を表す情報を送信する必要なしに修正される。
【0065】
テーブル24または64内で使用される関数の番号に対応する予測関数の識別子Idは、デコーダがコーダと同じ予測関数を選択し適用するのに十分である。この関数は、テーブル24および64への適応がなされるので、すべての使用可能な予測関数の最適の予測関数である。
【0066】
したがって、これらのコーダおよびデコーダは、それぞれ特定の符号化および復号方法を実施する。
【0067】
したがって、現在の画像部分を符号化するために、符号化はまず、現在の動きベクトルVを決定し、符号化コンテキストを解析し、それによってテーブル24のパラメータの適応がもたらされる。この実施例では、この最適化は、最も関係のある関数だけを保持するために、テーブル24内に存在する関数を符号化コンテキストの関数として適応することを含む。
【0068】
次いで、選択ユニット26は、予測された動きベクトルPを引き渡す特定の予測関数を最後に適用するために、使用可能な各関数をテストする。この関数は、Idと示されたテーブル24内のその番号によって参照される。
【0069】
識別子Idを有する出力ストリームΦに組み込まれる残余εを得るために、予測されたベクトルPと現在のベクトルVは、ユニット30によって組み合わされる。出力ストリーム内のテーブル24内で行われた適応を表す情報はない。
【0070】
対応するやり方で、現在の画像部分の復号は、ストリームΦを受信し、その後に、復号コンテキストを解析し、テーブル64のパラメータを適応させることを含む。符号化に関して、この適応は、テーブル64内に存在する関数を適応させること含む。そのテーブル64が適応されると、テーブル内の特定の予測関数を選択し、それを適用して、予測された動きベクトルP*を得るために、識別子Idが使用される。
【0071】
次いで、そのベクトルP*は、ユニット70によって、現在の画像部分の復号されたバージョンをもたらす現在の動きベクトルV*を得るために、受信された残余εと組み合わされる。
【0072】
符号化と復号方法の組合せは、それぞれコーダとデコーダ内の自律的な符号化および復号コンテキスト解析、および予測パラメータ適応を含む画像送信方法を形成する。
【0073】
もちろん、本発明の他の実施形態が考えられうる。
【0074】
一実施形態では、符号化および復号サブシステム内で使用される予測手段は、適応可能であるパラメータを有する1つまたは複数の予測関数を含む。たとえば、中央値関数などの時間予測関数が、より大きいまたは小さい参照領域に適用可能であり、領域のサイズが予測パラメータを形成する。同じやり方で、時間予測関数は、画像内に見られた動きの関数として決定された乗算パラメータを使用することができる。次いで、そのパラメータ、またはそれらの関数は、予測パラメータを形成する。
【0075】
こうしたパラメータを使用し適応させることによって、予測関数が最適化され、特に、送信される残余εが減少する。
【0076】
上記と同様に、これらのパラメータは、コーダおよびデコーダ内で自律的に修正され、したがって、コーダとデコーダの間で予測関数のパラメータの特定の適応を表す情報を送信する必要はない。
【0077】
もちろん、1つの予測関数だけを使用することができる場合、たとえば予測関数間の競合に対する備えがなく、適応可能であるパラメータを有する単一の関数が使用される場合、コーダとデコーダの間の関数の識別子を送信する必要はない。次いで、データストリームは、残余、および使用される前の画像の参照だけを含む。
【0078】
さらなる実施形態では、画像部分は、フレーム内符号化、すなわち同じ画像内で互いに対して符号化される。こうした状況下では、現在の画像部分を得るために、予測可能な記述子、たとえば画像の既に復号された部分に適用された動きベクトルを使用することが同様に可能である。
【0079】
本発明の実装では、コーダおよびデコーダは、上述の特徴を有するプログラムに基づくことができる。もちろん、専用プロセッサまたは専用回路を使用することが同様に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】ビデオコーダ/デコーダを備えた2つの通信局を示す図である。
【図2】本発明のビデオコーダの一部のブロック図である。
【図3】図2のコーダによって符号化された画像を復元することができる、本発明のビデオデコーダの一部のブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
2 送信機
4 ビデオコーダ
6 受信機/局
8 デコーダ
10 バッファ
12 制御ユニット
16 符号化サブシステム
20 手段
22 データベース
24 使用可能な予測関数テーブル
26 選択ユニット
30 コンバイナユニット
32 ユニット
40 手段
42 ユニット
44 ユニット
50 バッファ
52 制御ユニット
56 デコーダサブシステム
60 手段
62 予測関数データベース
64 テーブル
66 関数適用ユニット
70 コンバイナユニット
80 手段
82 適応ユニット
84 ユニット
F ストリーム
Id 識別子
P ベクトル/記述子
P* ベクトル/記述子
V ベクトル/記述子
V* ベクトル/記述子
ε 残余
Φ 出力ストリーム/データストリーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を符号化する方法であって、現在の画像部分の符号化が、
・前記現在の画像部分の現在の記述子(V)を決定するステップと、
・使用可能な関数の調整可能なグループ(24)内で予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および前記選択された予測関数から前記現在の画像部分の予測された記述子(P)を形成するステップと、
・前記予測された記述子と前記現在の記述子の間の差を表す残余(ε)を決定するステップと、
・デコーダ(8)に意図された出力ストリーム(Φ)内に前記残余を組み込むステップとを含み、
前記方法が、
・符号化コンテキストを解析するステップと、
・前記使用可能な関数グループの少なくとも1つのパラメータを前記符号化コンテキストの前記解析の関数として適応させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
予測された記述子を形成するステップが、適応可能であるパラメータを有する予測関数を適用するステップを含み、適応が、前記予測関数の前記パラメータのうちの少なくとも1つを修正するステップを含み、前記適応されたパラメータの一部は、前記デコーダに意図された出力ストリーム内に含まれないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用可能な関数の前記グループが互いに異なる要素を含んでいる場合、適応されたパラメータを有する使用可能な関数の前記グループに対して、前記選択された予測関数の識別子(Id)を表現し、出力ストリーム(Φ)にその識別子(Id)を組み込むステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択ステップが、使用可能な関数の前記グループ(24)の前記関数をそれぞれテストし、それらのテストに関して特定の関数を選択するステップを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ビデオプロセッサ装置(4)にインストールされるように適応されたコンピュータプログラムであって、前記装置の計算ユニットによって前記プログラムが実行されると、請求項1から4のいずれか一項に記載のビデオ符号化方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項6】
・現在の画像部分の現在の記述子(V)を決定する手段(12)と、
・使用可能な関数(24)の調整可能なグループ内で予測関数を選択する手段(26)と、
・少なくとも1つの他の画像部分、および前記選択された予測関数から前記現在の画像部分の予測された記述子(P)を形成する予測手段(20)と、
・前記予測された記述子と前記現在の記述子の間の差を表す残余(ε)を決定する手段(30)と、
・デコーダ(8)に意図された出力ストリーム(Φ)内に前記残余を組み込む手段(32)とを含むコーダであって、
・前記符号化コンテキストを解析する手段(42)と
・使用可能な関数の前記グループの少なくとも1つのパラメータを前記符号化コンテキストの前記解析の関数として適応させる手段(44)とをさらに含むことを特徴とする画像コーダ。
【請求項7】
前記予測手段(20)が、適応可能であるパラメータを有する予測関数を適用するためのユニットを備え、適応手段が、前記予測関数の少なくとも1つのパラメータを適応させ、前記適応されたパラメータの一部が、前記デコーダに意図された出力ストリーム内に組み込まれないことを特徴とする請求項6に記載のコーダ。
【請求項8】
前記適応されたパラメータを有する使用可能な関数の前記グループに対して、前記選択された予測関数の識別子(Id)を表現する手段と、前記識別子をデコーダに意図された出力ストリームに組み込む手段とをさらに含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコーダ。
【請求項9】
画像を復号する方法であって、現在の画像部分の前記復号が、
・残余(ε)を含むデータストリーム(Φ)を受信するステップと、
・使用可能な予測関数の調整可能なグループ(64)内の予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および前記選択された予測関数から前記現在の画像部分の予測された記述子(P*)を形成するステップと、
・前記現在の画像部分の現在の記述子(V*)を引き渡すために、前記予測された記述子と前記残余を組み合わせるステップとを含み、
前記方法が、
・前記復号コンテキストを解析するステップと、
・使用可能な関数の前記グループの少なくとも1つのパラメータを前記復号コンテキストの前記解析の関数として適応させるステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記予測された記述子を形成するステップが、調整可能な予測関数を適用するステップを含み、適応ステップが、前記予測関数の少なくとも1つのパラメータを適応させるステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
適応されたパラメータを有する使用可能な関数の前記グループに対して使用される前記予測関数の識別子(Id)を受信するステップを含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ビデオプロセッサ装置にインストールされるように適応されたコンピュータプログラムであって、前記装置の計算ユニットによって前記プログラムが実行されると、請求項9から11のいずれか一項に記載の復号方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
・残余(ε)を含むデータストリーム(Φ)を受信する手段(50)と、
・使用可能な予測関数の調整可能なグループ(64)内の予測関数を選択する手段(64)と、
・少なくとも1つの他の画像部分および前記選択された予測関数から現在の画像部分の予測された記述子(P*)を形成するように適応された予測手段(60)と、
・前記現在の画像部分の現在の記述子(V*)を引き渡すために前記予測された記述子と前記残余を組み合わせる手段(70)とを含む画像デコーダ(8)であって、
・前記復号コンテキストを解析する手段(82)と、
・使用可能な関数の前記グループの少なくとも1つのパラメータを前記復号コンテキストの前記解析の関数として適応させる手段(84)とをさらに含むことを特徴とするデコーダ。
【請求項14】
前記予測手段が、少なくとも1つの調整可能な予測関数を適用するためのユニットを含み、前記適応手段が、前記予測関数の少なくとも1つのパラメータを適応させることを特徴とする請求項13に記載のデコーダ。
【請求項15】
画像を送信する方法であって、
現在の画像部分について、
・前記現在の画像部分の現在の記述子(V)を決定するステップと、
・符号化コンテキストを解析するステップと、
・符号化に使用可能である予測関数の調整可能なグループの少なくとも1つのパラメータを前記符号化コンテキストの前記解析の関数として適応させるステップと、
・符号化に使用可能である予測関数の前記グループ(24)内の予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および符号化のために選択された前記予測関数から前記現在の画像部分の第1の予測記述子(P)を形成するステップと、
・前記第1の予測記述子と前記現在の記述子の間の差を表す残余(ε)を決定するステップと、
・前記残余をデータストリーム(Φ)に組み込むステップとを含む符号化段階を含み、
・前記現在の画像部分について、
・前記残余(ε)を含む前記データストリーム(Φ)を受信するステップと、
・前記復号コンテキストを解析するステップと、
・復号に使用可能である予測関数の調整可能なグループの少なくとも1つパラメータを前記復号コンテキストの前記解析の関数として適応させるステップと、
・復号に使用可能である予測関数の前記グループ内の予測関数を選択するステップと、
・少なくとも1つの他の画像部分、および復号のために選択された前記予測関数から前記現在の画像部分の第2の予測された記述子(P*)を形成するステップと、
・前記現在の記述子(V*)の復号されたバージョンを引き渡すために前記第2の予測された記述子と前記受信された残余を組み合わせるステップを含む復号段階をさらに含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−523348(P2009−523348A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549951(P2008−549951)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000812
【国際公開番号】WO2007/080520
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】