説明

部品の取付部構造及び機能ユニット

【課題】部品の取付部からの取り外しの作業性が良く、かつ係合アームの破損を抑制できるようにする。
【解決手段】取付部70には、拡幅方向96,97の弾性力を有する係合アーム612,613を備えた第1カプラ61が取り付けられる。取付部70は、一対の支持体71A,71Bからなる。支持体71A,71Bは、支持部72A,72B、傾斜部73A,73B、第1係止部74A,74B及び第2係止部75A,75Bをそれぞれ有する。第2係止部75A,75B同士の間隔L2は、第1カプラ61の幅寸法が最も小さくなる位置に係合アーム612,613が変位したときの第1カプラ61の幅寸法L4よりも大きい。取り外し方向100において取付部70の下流側に、互いに接続された状態の第1カプラ61及び第2カプラ62を配置自在な空間77がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えた部品が取り付けられる部品の取付部構造及び機能ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器は、二次転写ベルトユニット等の機能ユニットを備える。機能ユニットは、電磁クラッチやセンサ等の電気部品を有する。電気部品の電気回路に含まれる中継ケーブルの途中には、電力線や信号線等の複数の電気配線同士をまとめて接続する端子であるカプラ対が設けられることがある。
【0003】
カプラ対は、互いに接続自在な第1カプラ及び第2カプラを含む。第1カプラ等の部品の中には、幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えるものがある。第1カプラは、筐体に設けられたパネル状の取付部の係合孔に、一対の係合アームを係合させることで取り付けられ、取付部に取り付けられた第1カプラに第2カプラが接続される(例えば、特許文献1参照。)。これによって、複数の電気配線の接続の作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−280425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、電気部品の交換等の理由で第1カプラを取付部から取り外す場合は、係合アームを弾性力に抗して変形させながら第1カプラが係合孔から引き抜かれる。このため、第1カプラの取付部からの取り外しの作業性が悪く、かつ係合アームの破損の虞がある。
【0006】
この発明の目的は、部品の取付部からの取り外しの作業性が良く、かつ係合アームの破損を抑制できる部品の取付部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の部品の取付部構造において取付部には、互いに直交する第1方向、第2方向、及び第3方向のうち、第1方向である幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えた部品が取り付けられる。取付部は、部品が取り付けられた取付状態において互いの間に部品を圧接状態で挟持する一対の支持体からなる。一対の支持体は、第2方向である部品の取付部への取付方向に沿って延びて取付状態において係合アームが圧接する支持部と、取付方向において下流側ほど互いに接近する方向に傾斜して支持部の上流側端部に連続する傾斜部と、第3方向において支持部の両端部に配置された第1係止部及び第2係止部と、をそれぞれ有する。第1係止部同士の間隔及び第2係止部同士の間隔は、支持部同士の間隔よりも小さい。第1係止部同士の間隔又は第2係止部同士の間隔のうち少なくとも一方は、係合アームが弾性変形による可動域のうち部品の幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの係合アームにおける部品の幅寸法よりも大きい。第3方向に沿った一方向又は双方向のうち少なくとも一方である部品の取付部からの取り外し方向において取付部の下流側に、部品を配置自在な空間がある。
【0008】
この構成では、取付部への取付時に、部品の係合アームが、傾斜部に沿わされながら支持部同士の間へ押し込まれる。係合アームは幅方向の弾性力を有しているので、部品は、一対の支持体の間に圧接状態で挟持される。また、第3方向における支持部の両端部に配置された第1係止部同士の間隔及び第2係止部同士の間隔は、支持部同士の間隔よりも小さいので、係合アームは、所定値以上の力を付加されない限り、支持部同士の間に保持される。
【0009】
一方、取付部からの取り外し時に、部品は、幅方向及び取付方向にともに直交する取り外し方向へ、作業者の指先等によって所定値以上の力で押圧される。取り外し方向は、第1係止部同士の間隔又は第2係止部同士の間隔のうち、係合アームが弾性変形による可動域のうち第1カプラの幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの係合アームにおける部品の幅寸法よりも大きい方の間へ向かう方向である。取り外し方向へ部品が押圧されると、係合アームが弾性力に抗して第1係止部又は第2係止部に沿って必要最低限度分だけ変形しながら第1係止部同士の間又は第2係止部同士の間を通過し、部品が支持部、第1係止部、及び第2係止部の間から抜け出る。このように、取付部からの取り外し時に、部品を一方向へ押圧するだけで、部品が取付部から取り外される。この際、係合アームは作業者によって直接的に操作されることがないので、係合アームには過剰な力が付加されない。
【0010】
上述の構成において、支持部及び傾斜部は、板バネによって構成することができる。支持部及び傾斜部が弾性力を有することで、部品の取付部への取り付けの作業性、及び取付部からの取り外しの作業性が、より向上する。
【0011】
また、部品は、電気部品の電気配線の途中に設けられた互いに接続自在な第1カプラ及び第2カプラからなるカプラ対のうち一対の係合アームを備えた第1カプラであり、取り外し方向において取付部の下流側に、互いに接続された状態の第1カプラ及び第2カプラを配置自在な空間があるように構成することができる。この構成では、第1カプラと第2カプラとが接続された後に、第1カプラが取付部に取り付けられる。第1カプラの取付部からの取り外しの作業性が良くなる。
【0012】
この発明の機能ユニットは、電気部品、筐体、カプラ対、及び取付部を備える。筐体は、電気部品を支持する。カプラ対は、電気部品の電気配線の途中に設けられ、互いに接続自在な第1カプラ及び第2カプラからなる。取付部は、筐体に設けられ、互いに直交する第1方向、第2方向、及び第3方向のうち、第1方向である幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えた第1カプラが取り付けられる。取付部は、第1カプラの取付状態において互いの間に第1カプラを圧接状態で挟持する一対の支持体からなる。一対の支持体は、第2方向である第1カプラの前記取付部への取付方向に沿って延びて取付状態において係合アームが圧接する支持部と、取付方向において下流側ほど互いに接近する方向に傾斜して支持部の上流側端部に連続する傾斜部と、第3方向において支持部の両端部に配置された第1係止部及び第2係止部と、をそれぞれ有する。第1係止部同士の間隔及び第2係止部同士の間隔は、支持部同士の間隔よりも小さい。第1係止部同士の間隔又は第2係止部同士の間隔のうち少なくとも一方は、係合アームが弾性変形による可動域のうち第1カプラの幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの係合アームにおける第1カプラの幅寸法よりも大きい。第3方向に沿った一方向又は双方向のうち少なくとも一方である第1カプラの取付部からの取り外し方向において取付部の下流側に、互いに接続された状態の第1カプラ及び第2カプラを配置自在な空間がある。
【0013】
この構成では、第1カプラと第2カプラとが接続された後に、第1カプラが取付部に取り付けられる。取付部への取付時に、第1カプラの係合アームが、傾斜部に沿わされながら支持部同士の間へ押し込まれ、一対の支持体の間に圧接状態で挟持される。この際、第1カプラ、第2カプラ、及び電気配線は、筐体に沿う方向に配置され、筐体からの突出が抑えられるので、機能ユニットの占有スペースが小さくなる。
【0014】
一方、取付部からの取り外し時に、第1カプラは、取り外し方向へ作業者の指先等によって所定値以上の力で押圧される。第1カプラが取り外し方向へ押圧されると、係合アームが弾性力に抗して第1係止部又は第2係止部に沿って必要最低限度分だけ変形しながら第1係止部同士の間又は第2係止部同士の間を通過し、第1カプラが支持部、第1係止部、及び第2係止部の間から抜け出る。このように、取付部からの取り外し時に、第1カプラを一方向へ押圧するだけで、第1カプラが取付部から取り外される。この際、係合アームは作業者によって直接的に操作されることがないので、係合アームには過剰な力が付加されない。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、部品の取付部からの取り外しの作業性が良く、かつ係合アームの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態に係る部品の取付部構造を有する機能ユニットを備えた画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】機能ユニットの平面図である。
【図3】第1カプラの斜視図である。
【図4】第2カプラの斜視図である。
【図5】第1カプラ及び第2カプラの互いに接続された状態の斜視図である。
【図6】取付部の平面図である。
【図7】取付部の一部の斜視図である。
【図8】係合アームが支持部に支持された状態の取付部、第1カプラ、及び第2カプラを示す平面図である。
【図9】係合アームが弾性変形しながら第2係止部同士の間を通過している状態の取付部、第1カプラ、及び第2カプラを示す平面図である。
【図10】係合アームが支持部から取り外された状態の取付部、第1カプラ、及び第2カプラを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像データに基づいて、用紙に多色又は単色の画像を形成する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。画像形成装置10は、画像形成ステーション(画像形成部)20A,20B,20C,20D、中間転写ベルトユニット31、複数の一次転写ローラ32A〜32D、二次転写ベルトユニット33、定着装置34、用紙搬送路35、給紙トレイ36、排紙トレイ37、及び電源制御ユニット40を備えている。
【0019】
画像形成装置10は、ブラック、並びに、カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン、マゼンタ、及びイエローの4色の各色相に対応した画像データを用いて、電子写真方式の画像形成処理を行う。画像形成ステーション20A〜20Dでは、各色相のトナー像が形成される。画像形成ステーション20A〜20Dは、中間転写ベルトユニット31に沿って水平方向に一列に配置されている。
【0020】
以下では、主として画像形成ステーション20Aについて説明する。画像形成ステーション20B〜20Dは、画像形成ステーション20Aと実質的に同様に構成されている。ブラックの画像形成ステーション20Aは、感光体ドラム21、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、及びクリーニングユニット25を備え、電子写真方式の画像形成プロセスを経て、ブラックのトナー像(現像剤像)を形成する。
【0021】
感光体ドラム21は、静電潜像担持体であって、図示しない第1駆動源から駆動力を伝達されることで一方向に回転する。
【0022】
帯電装置22は、感光体ドラム21の周面に対向するように配置され、感光体ドラム21の周面を所定の電位に均一に帯電させる。
【0023】
露光装置23は、ブラック用の画像データによって変調されたレーザビームを感光体ドラム21の周面に照射する。これによって、感光体ドラム21の周面には、ブラック用の画像データによる静電潜像が形成される。
【0024】
現像装置24は、ブラックの現像剤を収容している。現像剤として、例えばトナーとキャリアとからなる二成分系の現像剤が用いられる。現像装置24は、トナーとキャリアとを攪拌することでトナーを帯電させる。現像装置24は、静電潜像が形成された感光体ドラム21の周面にトナーを供給することで、静電潜像をトナー像に現像する。
【0025】
なお、画像形成ステーション20B〜20Dのそれぞれの現像装置24には、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色の現像剤が収容されており、画像形成ステーション20B〜20Dのそれぞれの感光体ドラム21には、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色相のトナー像が形成される。
【0026】
中間転写ベルトユニット31は、中間転写ベルト311、駆動ローラ312、及び従動ローラ313を有している。中間転写ベルト311として、例えば100〜150μmの範囲内の所定の厚さのフィルムが用いられる。中間転写ベルト311は、無端ベルト状に構成されて、駆動ローラ312と従動ローラ313とに張架され、一方向へ周回移動する。中間転写ベルト311の外周面は、画像形成ステーション20A〜20Dのそれぞれの感光体ドラム21に対向している。
【0027】
一次転写ローラ32A〜32Dは、中間転写ベルト311を挟んで画像形成ステーション20A〜20Dのそれぞれの感光体ドラム21に対向するように配置されている。一次転写ローラ32B〜32Dは、一次転写ローラ32Aと実質的に同様に構成されている。中間転写ベルト311が画像形成ステーション20A〜20Dのそれぞれの感光体ドラム21に対向する領域が、一次転写領域である。
【0028】
一次転写ローラ32A〜32Dには、感光体ドラム21の周面に担持されたトナー像を中間転写ベルト311上に一次転写するために、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、画像形成ステーション20A〜20Dのそれぞれの感光体ドラム21の周面に形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト311の外周面に順次重ねて転写(一次転写)され、中間転写ベルト311の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
但し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4個の感光体ドラム21のうち、入力された画像データの色相に対応する一部のみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行われる。例えば、モノクロ画像形成処理時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム21のみにおいて静電潜像の形成及びトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト311の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。
【0030】
クリーニングユニット25は、現像及び一次転写後における感光体ドラム21の周面に残留したトナーを、除去及び回収する。
【0031】
一次転写領域のそれぞれにおいて中間転写ベルト311の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト311の周回移動によって、二次転写領域92へ搬送される。
【0032】
二次転写ベルトユニット33は、二次転写ベルト331、二次転写ローラ332、二次転写駆動ローラ333、二次転写従動ローラ334、及び二次転写テンションローラ335を備えている。
【0033】
二次転写ベルト331は、無端ベルト状に構成されている。二次転写ベルト331として、所定の電気的抵抗値(一例として、1×1010〜5×1010Ωcm)を有するものが用いられる。
【0034】
二次転写ベルト331は、二次転写ローラ332、二次転写駆動ローラ333、二次転写従動ローラ334、及び二次転写テンションローラ335に架け渡されている。二次転写ベルト331の外周面は、中間転写ベルト311の外周面に所定のニップ圧で圧接している。
【0035】
中間転写ベルト311と二次転写ベルト331とが圧接する領域が、二次転写領域92である。用紙は、二次転写ベルト331の外周面に沿って搬送される。用紙が二次転写領域92へ供給されることで、用紙と中間転写ベルト311とが密着する。
【0036】
給紙トレイ36は、用紙を収容している。用紙搬送路35は、給紙トレイ36に収容されている用紙を、二次転写領域92及び定着装置34を経由して排紙トレイ37へ導くように構成されている。
【0037】
給紙トレイ36から給紙された用紙は、所定のタイミングで二次転写領域92を経由するように搬送される。二次転写ローラ332は、二次転写ベルト331及び中間転写ベルト311を挟んで、駆動ローラ312に対向している。二次転写ローラ332には、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の二次転写バイアスが電源制御ユニット40によって印加される。これによって、中間転写ベルト311に担持されたトナー像が用紙に二次転写される。
【0038】
中間転写ベルト311に担持されたトナーのうち、用紙へ転写されずに中間転写ベルト311上に残留したトナーは、次工程での混色を防止するために、中間転写ベルト用クリーニングユニット51によって回収される。
【0039】
定着装置34は、加熱ローラ341及び加圧ローラ342を有している。トナー像が転写された用紙は、定着装置34へ導かれ、加熱ローラ341と加圧ローラ342との間を通過することで加熱及び加圧される。これによって、トナー像が、用紙に堅牢に定着する。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ対52によって排紙トレイ37上へ排出される。
【0040】
図2に示すように、二次転写ベルトユニット33は、電磁クラッチ336をさらに備えている。電磁クラッチ336は、二次転写駆動ローラ333を駆動制御している。電磁クラッチ336は、電気部品であり、電磁クラッチ336には、電源制御ユニット40から電力及び制御信号が入力する。
【0041】
電磁クラッチ336と電源制御ユニット40との間の電気配線93,94,95の途中に、第1カプラ61及び第2カプラ62が設けられている。第1カプラ61と第2カプラ62とは、カプラ対を構成し、互いに接続自在である。一例として、第1カプラ61は雄カプラであり、第2カプラ62は雌カプラである。第1カプラ61及び第2カプラ62はそれぞれ、複数の信号線同士をまとめて接続するための端子である。図2では、電気配線93,94,95は、それぞれ1本の線で示されているが、複数の信号線を含んでいる。
【0042】
電源制御ユニット40には、電気配線93を介して第1接続端子41が繋がっている。第1接続端子41に対して接続自在な第2接続端子63に、電気配線94を介して第1カプラ61が繋がっている。第2カプラ62は、電気配線95を介して電磁クラッチ336に繋がっている。
【0043】
例えば、電磁クラッチ336を交換する際は、第2カプラ62が第1カプラ61から取り外され、新たに装備される電磁クラッチ336の第2カプラ62が第1カプラ61に接続される。
【0044】
図3に示すように、第1カプラ61は、第1カプラ本体部611、及び一対の係合アーム612,613を有している。
【0045】
係合アーム612,613は、それぞれV字状を呈している。係合アーム612,613はそれぞれ、後述する第1カプラ61の取り外し方向100に沿って第1カプラ61の幅寸法が次第に大きくなった後に次第に小さくなるように、第1カプラ61の幅寸法が拡がる拡幅方向96,97へ凸となる方向に配置されている。係合アーム612,613のそれぞれの幅方向98における外側面は、拡幅方向96,97へ最も突出した突出部、及び突出部から取り外し方向100に沿った両側へ連続する傾斜面から構成されている。傾斜面のそれぞれは、突出部から第1カプラ本体部611へ接近する方向へ傾斜している。
【0046】
係合アーム612,613はそれぞれ、電気配線94に対して遠い方の一端部が第1カプラ本体部611の両側部に固定されている。即ち、係合アーム612の一端部は、第1カプラ本体部611の一方の側部に固定され、係合アーム613の一端部は、係合アーム612とは反対側の第1カプラ本体部611の側部に固定されている。一対の係合アーム612,613は、第1カプラ61の幅方向98に互いに離間及び接近する弾性力を有している。
【0047】
第1カプラ61は、第1カプラ本体部611のうち電気配線94が繋がる端部とは反対側の端部である第1接続部614に、第2カプラのピン622(図4参照)が挿されるソケット部を有している。
【0048】
図4に示すように、第2カプラ62は、電気配線95が繋がる端部とは反対側の端部に、第2接続部621を有している。第2接続部621は、第1カプラ61の第1接続部614が挿されるように凹状に形成されている。接続部621内に、第1カプラ61のソケット部に挿されるピン622が設けられている。
【0049】
図5に示すように、第1カプラ61の第2カプラ62との接続状態において、第1カプラ61の第1接続部614は第2カプラ62の第2接続部621内へ挿され、第2カプラ62のピン622は第1カプラ61のソケット部に挿される。接続状態においても、一対の係合アーム612,613は、第1カプラ61及び第2カプラ62において拡幅方向96,97へ突出している。
【0050】
図2に示すように、二次転写ベルトユニット33の筐体337には、取付部70が設けられている。第1カプラ61は、第2カプラ62と接続された状態で、取付部70に取り付けられる。第1カプラ61は、取付部70に取り付けられる部品の一例である。
【0051】
図6及び図7に示すように、取付部70は、一対の支持体71A,71Bから構成されている。支持体71A,71Bは、第1カプラ61が取り付けられた取付状態において互いの間に第1カプラ61を圧接状態で挟持するように配置されている。
【0052】
支持体71Aは、支持部72A、傾斜部73A、第1係止部74A、及び第2係止部75Aを有している。支持体71Bは、支持部72B、傾斜部73B、第1係止部74B、及び第2係止部75Bを有している。
【0053】
支持部72A,72Bは、第1カプラ61を取付部70に取り付ける取付方向99に沿って延びている。第1カプラ61の取付部70への取付状態において、幅方向98、取付方向99、及び第1カプラ61の取付部70からの取り外し方向100は、互いに直交している。支持部72Aと支持部72Bとは互いに平行に配置されている。係合アーム612,613は、第1カプラ61の取付部70への取付状態において、支持部72A,72Bに圧接する。
【0054】
傾斜部73A,73Bは、取付方向99において下流側ほど互いに接近する方向に傾斜しており、支持部72A,72Bの上流側端部に連続している。
【0055】
取付方向99において、傾斜部73A,73Bの上流側には、傾斜部73A,73Bの上流側に連続する導入部76A,76Bが設けられている。導入部76A,76Bは、互いに平行である。
【0056】
第1係止部74A及び第2係止部75Aは、取り外し方向100において支持部72Aの両端部に配置されている。第1係止部74B及び第2係止部75Bは、取り外し方向100において支持部72Bの両端部に配置されている。第1係止部74Aと第1係止部74Bとが互いに対向し、第2係止部75Aと第2係止部75Bとが互いに対向している。
【0057】
第1係止部74Aと第1係止部74Bとの間隔L1、及び第2係止部75Aと第2係止部75Bとの間隔L2は、支持部72Aと支持部72Bとの間隔L3よりも、小さい。
【0058】
ここで、係合アーム612,613が弾性変形による可動域のうち第1カプラ61の幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの、係合アーム612,613の拡幅方向96,97へ最も突出した突出部における第1カプラ61の幅寸法をL4とする。
【0059】
間隔L1及び間隔L2のうち少なくとも一方は、幅寸法L4よりも大きい。この実施形態では、間隔L2は、幅寸法L4よりも大きく、間隔L1は幅寸法L4よりも小さい。
【0060】
係合アーム612,612が弾性変形していない平常時における、係合アーム612,613の拡幅方向96,97へ最も突出した突出部における第1カプラ61の幅寸法をL5とし、導入部76Aと導入部76Bとの間隔をL6とすると、各寸法は次のように設定されている。
【0061】
間隔L3は幅寸法L5よりも小さいので、第1カプラ61の取付部70への取付状態において、係合アーム612,613が支持部72A,72Bに圧接する。間隔L6は幅寸法L5よりも大きいので、第1カプラ61の取付部70への取付作業時に、第1カプラ61を導入部76A,76B同士の間へ容易に挿入することができる。
【0062】
即ち、この実施形態では、各寸法は、次のように設定されている。
【0063】
間隔L1<幅寸法L4<間隔L2<間隔L3<幅寸法L5<間隔L6
第1係止部74A,74B及び第2係止部75A,75Bのうち取り外し方向100における下流側に配置されたものの角部は、面取りされている。
【0064】
図8に示すように、第1カプラ61は、まず第2カプラ62と接続され、第2カプラ62と接続された状態において取付部70に取り付けられる。
【0065】
取付部70への取付時に、一対の係合アーム612,613が、傾斜部73A,73Bに沿わされながら支持部72A,72B同士の間へ押し込まれる。係合アーム612,613は幅方向98の弾性力を有しているので、第1カプラ61は、支持体71A,71B同士の間に圧接状態で挟持される。
【0066】
係合アーム612,613の拡幅方向96,97へ最も突出した突出部は支持部72A,72Bに圧接し、係合アーム612,613の突出部から連続する傾斜面のそれぞれは、第1係止部74A,74B及び第2係止部75A,75Bに圧接している。これによって、第1カプラ61が取付部70に安定的に取り付けられる。
【0067】
第1係止部74A,74B同士の間隔L1及び第2係止部75A,75B同士の間隔L2は、支持部72A,72B同士の間隔L3よりも小さいので、係合アーム612,613は、取り外し方向100への所定値以上の力を付加されない限り、支持部72A,72B同士の間に保持される。
【0068】
第1カプラ61の取付部70への取付状態において、第1カプラ61、第2カプラ62、及び電気配線94,95は、筐体337に沿う方向に配置され、筐体337からの突出が抑えられるので、二次転写ベルトユニット33の占有スペースが小さくなる。
【0069】
図9に示すように、取付部70からの取り外し時に、第1カプラ61は、取り外し方向100へ、作業者の指先等によって所定値以上の力で押圧される。
【0070】
取り外し方向100において取付部70の下流側には、互いに接続された状態の第1カプラ61及び第2カプラ62を配置自在な空間77が設けられている。
【0071】
取り外し方向100へ第1カプラ61が押圧されると、係合アーム612,613が弾性力に抗して第2係止部75A,75Bに沿って必要最低限度分だけ変形しながら第2係止部75A,75B同士の間を通過し、図10に示すように、第1カプラ61が支持部72A,72B、第1係止部74A,74B、及び第2係止部75A,75Bの間から抜け出る。
【0072】
このように、第1カプラ61の取付部70からの取り外し時に、第1カプラ61を一方向へ押圧するだけで、第1カプラ61が取付部70から取り外される。この際、係合アーム612,613は作業者によって直接的に操作されることがないので、係合アーム612,613には過剰な力が付加されない。したがって、第1カプラ61の取付部70からの取り外しの作業性が良く、かつ係合アーム612,613の破損が抑制される。
【0073】
また、第1係止部74A,74B同士の間隔L1は、幅寸法L4よりも小さいので、作業者の意に反する方向への第1カプラ61の取付部70からの抜け落ちが防止される。
【0074】
なお、第1係止部74A,74B同士の間隔L1を幅寸法L4よりも大きくし、第2係止部75A,75B同士の間隔L2を幅寸法L4よりも小さくすることもできる。また、間隔L1及び間隔L2をともに幅寸法L4よりも大きくすることもできる。即ち、第1係止部74A,74B同士の間隔L1又は第2係止部75A,75B同士の間隔L2のうち少なくとも一方は、幅寸法L4よりも大きくされる。
【0075】
第1カプラ61と第2カプラ62との接続方向は、この実施形態では、第1カプラ61の取付部70への取付状態において、第1カプラ61の取付部70からの取り外し方向100と平行であるが、これに限定されない。
【0076】
第1カプラ61の取付部70からの取り外し方向100は、幅方向98及び取付方向99にともに直交する方向に沿った一方向又は双方向のうち少なくとも一方である。取り外し方向100は、間隔L1及び間隔L2と幅寸法L4との関係に応じて決まるものであり、支持部72A,72Bから間隔L1又は間隔L2のうち幅寸法L4よりも大きい方の間へ向かう方向である。
【0077】
具体的には、第1係止部74A,74B同士の間隔L1を幅寸法L4よりも大きくし、第2係止部75A,75B同士の間隔L2を幅寸法L4よりも小さくした場合は、図6に示す取り外し方向100の反対方向、即ち支持部72Aから第1係止部74Aへ向かう方向(支持部72Bから第1係止部74Bへ向かう方向)が、第1カプラ61の取付部70からの取り外し方向100となる。また、間隔L1及び間隔L2をともに幅寸法L4よりも大きくした場合は、幅方向98及び取付方向99にともに直交する方向に沿った双方向が取り外し方向100となる。
【0078】
第1カプラ61の取付部70からの取り外し方向100において取付部70の下流側に、互いに接続された状態の第1カプラ61及び第2カプラ62を配置自在な空間が設けられる。
【0079】
また、支持部72A及び傾斜部73、並びに支持部72B及び傾斜部73Bは、それぞれ板バネによって構成することができる。支持部72A及び傾斜部73並びに支持部72B及び傾斜部73Bが弾性力を有することで、第1カプラ61の取付部70への取り付けの作業性、及び取付部70からの取り外しの作業性が、より向上する。
【0080】
係合アーム612,613はそれぞれ、上述の実施形態では取り外し方向100における下流側の一端部が第1カプラ本体部611に固定されているが、取り外し方向100における上流側の一端部が第1カプラ本体部611に固定されるように構成することもできる。
【0081】
また、第1カプラ61が雌カプラであり、第2カプラ62が雄カプラである場合にも、上述の第1カプラ61の取付部70の構造を適用することができる。さらに、第2接続端子63に電気配線94を介して第2カプラ62が繋がり、電磁クラッチ336に電気配線95を介して第1カプラ61が繋がっている場合にも、上述の第1カプラ61の取付部70の構造を適用することができる。
【0082】
二次転写ベルトユニット33は機能ユニットの一例であり、第1カプラ61の取付部70の構造は、他の機能ユニットに適用することもできる。
【0083】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
33 二次転写ベルトユニット
337 筐体
61 第1カプラ
612,613 係合アーム
62 第2カプラ
70 取付部
71A,71B 支持体
72A,72B 支持部
73A,73B 傾斜部
74A,74B 第1係止部
75A,75B 第2係止部
77 空間
93,94,95 電気配線
96,97 拡幅方向
98 幅方向
99 取付方向
100 取り外し方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1方向、第2方向、及び第3方向のうち、前記第1方向である幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えた部品が取り付けられる部品の取付部構造であって、
前記部品が取り付けられた取付状態において互いの間に前記部品を圧接状態で挟持する一対の支持体からなり、
前記一対の支持体は、前記第2方向である前記部品の前記取付部への取付方向に沿って延びて前記取付状態において前記係合アームが圧接する支持部と、前記取付方向において下流側ほど互いに接近する方向に傾斜して前記支持部の上流側端部に連続する傾斜部と、前記第3方向において前記支持部の両端部に配置された第1係止部及び第2係止部と、をそれぞれ有し、
前記第1係止部同士の間隔及び前記第2係止部同士の間隔は、前記支持部同士の間隔よりも小さく、
前記第1係止部同士の間隔又は前記第2係止部同士の間隔のうち少なくとも一方は、前記係合アームが弾性変形による可動域のうち前記部品の幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの前記係合アームにおける前記部品の幅寸法よりも大きく、
前記第3方向に沿った一方向又は双方向のうち少なくとも一方である前記部品の前記取付部からの取り外し方向において前記取付部の下流側に、前記部品を配置自在な空間がある、部品の取付部構造。
【請求項2】
前記支持部及び前記傾斜部は、板バネによって構成される請求項1に記載の部品の取付部構造。
【請求項3】
前記部品は、電気部品の電気配線の途中に設けられた互いに接続自在な第1カプラ及び第2カプラからなるカプラ対のうち一対の前記係合アームを備えた前記第1カプラであり、
前記取り外し方向において前記取付部の下流側に、互いに接続された状態の前記第1カプラ及び前記第2カプラを配置自在な空間がある請求項1又は2に記載の部品の取付部構造。
【請求項4】
電気部品と、
前記電気部品を支持する筐体と、
前記電気部品の電気配線の途中に設けられた互いに接続自在な第1カプラ及び第2カプラからなるカプラ対と、
前記筐体に設けられ、互いに直交する第1方向、第2方向、及び第3方向のうち、前記第1方向である幅方向に互いに離間及び接近する弾性力を有する一対の係合アームを備えた前記第1カプラが取り付けられる取付部であって前記第1カプラの取付状態において互いの間に前記第1カプラを圧接状態で挟持する一対の支持体からなる取付部と、を備え、
前記一対の支持体は、前記第2方向である前記第1カプラの前記取付部への取付方向に沿って延びて前記取付状態において前記係合アームが圧接する支持部と、前記取付方向において下流側ほど互いに接近する方向に傾斜して前記支持部の上流側端部に連続する傾斜部と、前記第3方向において前記支持部の両端部に配置された第1係止部及び第2係止部と、をそれぞれ有し、
前記第1係止部同士の間隔及び前記第2係止部同士の間隔は、前記支持部同士の間隔よりも小さく、
前記第1係止部同士の間隔又は前記第2係止部同士の間隔のうち少なくとも一方は、前記係合アームが弾性変形による可動域のうち前記第1カプラの幅寸法が最も小さくなる位置に変位したときの前記係合アームにおける前記第1カプラの幅寸法よりも大きく、
前記第3方向に沿った一方向又は双方向のうち少なくとも一方である前記第1カプラの前記取付部からの取り外し方向において前記取付部の下流側に、互いに接続された状態の前記第1カプラ及び前記第2カプラを配置自在な空間がある、機能ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−38605(P2012−38605A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178395(P2010−178395)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】