部品取出位置の教示方法及び電子部品装着装置
【課題】電子部品を撮像しその画像を表示したときに、画像の輪郭、或いは全体が不鮮明な電子部品であっても、取出部材による部品取出位置の教示をすることができるようにすること。
【解決手段】電子部品の画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に、撮像された画像が鮮明なものでない場合には、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBGをモニタ55にノズルグラフィックNGと共に表示させ、方向指示スイッチ部56Aを押圧操作して、ノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させて決定したら、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置の座標を読取り、前記標準位置との差を計算し、RAM51に格納させる。
【解決手段】電子部品の画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に、撮像された画像が鮮明なものでない場合には、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBGをモニタ55にノズルグラフィックNGと共に表示させ、方向指示スイッチ部56Aを押圧操作して、ノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させて決定したら、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置の座標を読取り、前記標準位置との差を計算し、RAM51に格納させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出す部品取出位置の教示方法及び電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の部品取出位置の教示方法は、例えば特許文献1等に開示されている。この特許文献1には、部品供給ユニットの送り出し位置における基板認識カメラにより撮像された画像と吸着ノズルのグラフィックとを重ね合わせて表示した画面を表示装置に表示して、位置合わせ手段によりグラフィック表示された吸着ノズルと表示された電子部品の部品送り出し位置とを一致させるようにして、位置合わせのための移動量を把握し、この移動量分、部品取出位置(吸着ノズルの吸着位置)を補正するようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−146661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品供給装置における部品取出位置をカメラで撮像し、撮像した電子部品を表示装置に表示したとき、電子部品の種類によっては表示された電子部品の画像が不鮮明であり、位置合わせ手段によりグラフィック表示された吸着ノズルの位置と表示された電子部品の部品送り出し位置(部品取出し位置)とを一致させる際、電子部品の吸着位置の教示が困難な場合があった。
【0005】
そこで本発明は、撮像し画像を表示したときに、その輪郭が不鮮明な電子部品であっても、部品供給装置から電子部品を取出すための取出し位置である取出部材による部品吸着位置の教示を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を取出す部品取出位置の教示方法において、
対象の電子部品を撮像し、
この撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックをモニタに表示させ、
この表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させ、
この移動量を記憶手段に格納することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出して基板上に装着する電子部品装着装置において、
前記部品供給装置の部品取出位置にある前記電子部品の全体を撮像するカメラと、
このカメラにより撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックを表示させるモニタと、
このモニタに表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させる位置合わせ手段と、
この位置合わせ手段による移動量を格納する記憶手段とを設けた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、撮像しその画像を表示したときに、画像の輪郭が不鮮明な電子部品、或いは全体が不鮮明な電子部品であっても、部品供給装置から電子部品を取出すための取出部材による部品取出位置の教示をすることができるようにすることができる。従って、部品供給装置の部品取出位置にある電子部品を、確実に取出部材で取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子部品装着装置の平面図である。
【図2】第2部品供給装置の正面図である。
【図3】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の正面図である。
【図4】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の横断平面図である。
【図5】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の縦断面図である。
【図6】電子部品装着装置の一部を示す右側面図である。
【図7】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の正面図である。
【図8】部品供給ユニットの一部平面図である。
【図9】部品供給ユニットの一部縦断面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】部品吸着位置の教示に係るフローチャート図である。
【図12】部品供給ユニットの部品取出位置の4枚に分割して撮像する撮像範囲を示す図である。
【図13】合成した画像及び吸着ノズルのノズルグラフィックを表示した図である。
【図14】合成した画像、吸着ノズルのノズルグラフィック及び部品グラフィックを表示した図である。
【図15】トレイと撮像範囲を示す図である。
【図16】合成した画像及び吸着ノズルのノズルグラフィックを表示した図である。
【図17】合成した画像、吸着ノズルのノズルグラフィック及び部品グラフィックを表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施形態につき説明する。図1は電子部品装着装置1の平面図であり、電子部品装着装置1の装置本体2上の前部及び後部には部品供給装置3が4つのブロックに複数並設されている。
【0011】
前記部品供給装置3は第1部品供給装置3A、3B、3Cと、第2部品供給装置3Dとを備えている。前記第1部品供給装置3A、3B、3Cは、部品供給側の先端部がプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体2に連結具(図示せず)を介して着脱可能に配設され、連結具を解除し把手(図示せず)を引くと下面に設けられたキャスタによりカート台が移動できる構成である。
【0012】
そして、対向する前記第1部品供給装置3A及び3Bと、第1部品供給装置3C及び第2部品供給装置3Dの間には、基板搬送機構を構成する供給コンベア、位置決め部8(コンベアを有する)及び排出コンベアが設けられている。前記供給コンベアは上流側装置より受けた複数のプリント基板Pを前記位置決め部8に搬送し、位置決め部8で図示しない位置決め機構により位置決めされた該基板P上に電子部品が装着された後、排出コンベアに搬送され、その後下流側装置に搬送される。
【0013】
そして、Y方向リニアモータ61の駆動によりガイドレール9に沿ってY方向にビーム10が移動する構成であり、各ビーム10にはX方向リニアモータ62の駆動によりX方向に移動する装着ヘッド6が設けられる。また、前記装着ヘッド6には、電子部品を取出す取出部材として、吸着して取出す吸着ノズル7が設けられる。そして、前記吸着ノズル7は、上下軸モータ63及びθ軸モータ64により上下動が可能で、且つ鉛直軸周りに回転可能である。なお、取出部材としては、吸着ノズル7の他に、例えば電子部品を掴んで取出す機構を備えた把持部材などでもよい。
【0014】
4はプリント基板Pの位置確認用の認識マークを撮像するための基板認識カメラ12で、各装着ヘッド6に搭載されている。12は前記装置本体2に前記装着ヘッド6に対応して設けられる部品認識カメラで、部品供給装置3より取出されて吸着ノズル7に吸着保持された電子部品を撮像して、認識処理装置53により吸着ノズル7に対する電子部品の位置が認識処理される。
【0015】
次に、電子部品装着装置1に着脱可能に取り付けられる前記第2部品供給装置3Dについて、図2乃至図7に基づき以下詳述する。第2部品供給装置3Dは、一側面が開設された開口部を覆うと共にマガジン15を上中下の各位置で交換のため取出すための開口を開閉可能な扉体19を有する蓋体20を備えた供給装置本体21と、この供給装置本体21内に縦横に等間隔に形成した複数の平面視四角形状の収納凹部13A内にそれぞれ電子部品を整列配置したトレイ13が搭載されたパレット14を複数段収納する2つのマガジン15と、いずれかのマガジン15の所定のパレット14を所定の移動レベル位置である引出しレベル位置(電子部品装着装置1に設けられたシュート16の位置)やマガジン15の交換位置まで鉛直方向に搬送するエレベータ機構17と、パレット14をエレベータ機構17から装置本体2のピックアップ領域まで水平方向に搬送するパレット導入機構18とから構成される。
【0016】
前記エレベータ機構17は、図4及び図5に示すように、2本のガイドレール22と、このガイドレール22に沿って上下移動可能なスライダ23を側部に備えると共に前記マガジン15を載置する2つの断面がL字形状のマガジンベース24と、前記2本のガイドレール22間において上下の固定ブロック25に固定される1本のボールネジ26と、2個の正逆転可能なエンコーダ機能付きの昇降駆動モータ27と、各昇降駆動モータ27の出力軸と前記ボールネジ26に回動可能なプーリ28との間に張架されたベルト29と、このベルト29と共に回動すると前記ボールネジ26に沿って移動するナット30とを備え、前記マガジンベース24にはスライダ23の他に昇降駆動モータ27も固定され、このマガジンベース24とナット30との間にはベアリング体(図示せず)が設けられている。
【0017】
従って、昇降駆動モータ27が正逆駆動すると、ベルト29を介してプーリ28及びナット30がボールネジ26の回りを回動し、前記ベアリング体(図示せず)によりマガジンベース24は回動することなくガイドレール22に沿ってスライダ23を介して上下移動可能となる。
【0018】
このように構成されたエレベータ機構17による昇降動作では、上下段のマガジン15の所望のパレット14のレベル位置と、シュート16のレベル位置とを合致させてパレット導入機構18によりパレット14のトレイ13を前記ピックアップ領域に導入させて、吸着ノズル7により吸着取出しが可能となる。
【0019】
パレット導入機構18は、装置本体2に配設したシュート16と、このシュート16に沿って進退する係止アーム31と、この係止アーム31を進退させる駆動機構32とで構成される。そして、係止アーム31の先端には、パレット14に係脱するフックが設けられており、前記駆動機構32により係止アーム31を前進させて、このフックをマガジン15に収容したパレット14の先端に係止し、次に係止アーム31を後退させて、パレット14をシュート16に沿ってピックアップ領域に導入する。
【0020】
なお、上段の扉体19には上段のマガジン15上昇のための操作スイッチ35が、中段の扉体19には上段又は下段のマガジン15昇降のための操作スイッチ36、37が、下段の扉体19には下段のマガジン15下降のための操作スイッチ38が設けられている。また、夫々の扉体19には把手19A及び透明又は半透明な窓19Bが同様に設けられている。
【0021】
プリント基板Pの段取替えのためにマガジン15の交換を行なう場合や、所定部品を収納するトレイ13を載置する多数のパレット14を交換する場合に、電子部品装着装置が停止しているときにいずれかの前記操作スイッチ35、36、37、38を操作すると、本電子部品装着装置を統括的に制御する制御装置であるCPU50は対応するマガジン15の上下移動のための昇降駆動モータ27を駆動させて扉体19に対応する位置に移動させ、この移動停止に伴い、扉体19のロック機構(図示せず)の駆動源を駆動させてロックを解除させる。
【0022】
即ち、前記操作スイッチ35を操作すると上部の昇降駆動モータ27の駆動により上段のマガジン15を上部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ36を操作すると上部の昇降駆動モータ27の駆動により上段のマガジン15を中間部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ37を操作すると下部の昇降駆動モータ27の駆動により下段のマガジン15を中間部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ38を操作すると下部の昇降駆動モータ27の駆動により下段のマガジン15を下部の扉体19に対応する位置に移動させるように、前記CPU50が制御する構成である。
【0023】
次に、図8及び図9に基づき、第1部品供給装置3A、3B、3Cである部品供給ユニット5について説明する。先ず、この部品供給ユニット5はカート台に回転自在に載置した供給リールに巻回した状態で順次繰り出された収納テープCに所定間隔で開設した送り孔Cbにその歯が嵌合した送りスプロケットを所定角度回転させて収納テープCを電子部品の部品取出位置まで送りモータ44により間欠送りするテープ送り機構と、剥離モータ45の駆動により部品取出位置の手前でキャリアテープCcからカバーテープCaを引き剥がすためのカバーテープ剥離機構とを備え、カバーテープ剥離機構によりカバーテープCaを剥離してキャリアテープCcに所定間隔毎に形成された収納凹部Cdに装填された電子部品を順次部品取出位置へ供給して先端部から後述する吸着ノズル7により取出し可能である。
【0024】
多数の電子部品DをキャリアテープCcの各収納凹部Cdに一定の間隔で収容した収納テープCが前記収納テープリールから繰り出されて、サプレッサ41の下側を潜るようにして、部品取出位置に送り込まれる。このサプレッサ41には吸着ノズル7による部品取出用の開口42が開設されている。また、前記サプレッサ41にはスリット43が形成されており、このスリット43から収納テープCのカバーテープCaが引き剥がされ、部品供給ユニット5内に形成された収納部内に収納される。すなわち、収納テープCに搭載した電子部品はカバーテープCaを引き剥がされた状態で、部品取出位置まで送られ、開口42を介して前記吸着ノズル7により取出されることとなる。
【0025】
次に、図10の制御ブロック図について説明すると、前記電子部品装着装置1には、本装着装置1を統括制御する制御装置としてのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)50と、該CPU50にバスラインを介して接続されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)51及びROM(リ−ド・オンリー・メモリ)52が備えられている。そして、CPU50は前記RAM51に記憶されたデータに基づき、前記ROM52に格納されたプログラムに従い、電子部品装着装置1の部品装着動作に係る動作を統括制御する。即ち、CPU50は、インターフェース54及び駆動回路57を介して前記Y方向リニアモータ61、X方向リニアモータ62、上下軸モータ63及び前記θ軸モータ64等の駆動を制御すると共に各部品供給ユニット5を制御する。この図3では、説明の便宜上、複数あるものでも、例えば装着ヘッド6、部品供給ユニット5などは1つとして省略してある。
【0026】
前記RAM51には、部品装着に係るプリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されており、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、プリント基板P内でのX方向(Xで示す)、Y方向(Yで示す)及び角度(Zで示す)情報や、各部品供給ユニット5の配置番号情報等が格納されている。
【0027】
また前記RAM51には、各プリント基板Pの種類毎に前記各部品供給ユニット5の部品供給ユニット配置番号(レーン番号)及び上下段のいずれのマガジン15内のトレイ13の配置番号に対応した各電子部品の種類(部品ID)の情報、即ち部品配置情報が格納されており、この部品配置情報は前記カート台上のどの位置にどの部品供給ユニット5を搭載するかに係るデータ及びどのマガジン15内のどの位置にどのトレイ13を載置するかのデータである。更にはこの部品ID毎に電子部品の特徴等に関する部品ライブラリデータが格納されている。
【0028】
53はインターフェース54を介して前記CPU50に接続される認識処理装置で、前記部品認識カメラ12により撮像して取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置53にて行われ、CPU50に処理結果が送出される。即ち、CPU50は、部品認識カメラ12に撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置53に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置53から受取るものである。
【0029】
55は部品画像や各種データ設定のための画面などを表示するモニタで、このモニタ55には入力手段としての種々のタッチパネルスイッチ56が設けられ、作業者がタッチパネルスイッチ56を操作することにより、種々の設定を行うことができる。
【0030】
また、送りモータ44により収納テープCを間欠送りする部品供給ユニット5は、CPU65と、RAM66と、ROM67とを備えている。68はそれぞれインターフェース69を介して前記CPU65に接続される駆動回路で、CPU65は送りモータ44及び剥離モータ45を駆動回路68を介して制御する。この部品供給ユニット5に設けられるCPU65は、インターフェース69及び54を介して電子部品装着装置1に設けられるCPU50に接続される。
【0031】
次に、電子部品の吸着位置の教示をすることができる電子部品の吸着位置の教示方法のフローチャートに係る図11に基づき、部品供給ユニット5において、開口42を介して見える収納凹部Cd内の電子部品Dが基板認識カメラ4のカメラ視野に収まらない大きな電子部品を例として、説明する。先ず、作業管理者がモニタ55の表示画面に形成されたタッチパネルスイッチ56を押圧操作して、表示させたメニュー画面から選択して電子部品の吸着位置の教示画面を表示させて、教示を開始させる。
【0032】
初めに、第1部品供給装置3A、3B、3Cである部品供給ユニット5から電子部品を取出す吸着位置の教示について説明すると、吸着位置の教示画面において、部品供給ユニット5の配置番号を指定すると、CPU50はRAM51に格納された部品供給ユニット5の配置番号情報に基づいて対応する部品ライブラリデータから、教示対象の電子部品のサイズデータを読込み、分割数及び分割中心位置を算出する(ステップS01)。
【0033】
この場合、例えば、この教示対象にあっては、撮像範囲PAを示す図12に示すように、算出された分割数は4個で、各分割中心位置(各基板認識カメラ4の撮像中心位置)の座標は、点A(+11、+5)、点B(−11、+5)、点C(+11、−5)、点D(−11、−5)である。この上段2つ及び下段2つの合計4つの撮像範囲PAは、一部重複させることにより、撮像できないエリアがないようにする。
【0034】
なお、この分割数の算出は、あらかじめなされ、前述の部品ID毎の部品ライブラリデータの構成としてRAM51に格納しておき、CPU50が分割数のデータをRAM51から読み出すようにしてもよい。
【0035】
次に、CPU50は、配置番号が指定された部品供給ユニット5の部品送りをして、これから教示を行う電子部品Dを部品取出位置に送るが、既に部品取出位置に電子部品を送ってから、図11のフローチャートに係る教示作業を行うようにしてもよい。また、CPU50は、教示対象の前記部品供給ユニット5に対応する基板認識カメラ4をY方向リニアモータ61及びX方向リニアモータ62を制御して、先ず点Aの位置に移動させ(ステップS02)、部品取出位置の前記開口42を介するキャリアテープCcの収納凹部Cd内の電子部品Dの画像を取り込み(ステップS03)、撮像する。そして、次の撮像位置である点Bへの移動及び撮像を行うようにして、順次撮像位置である点Aから点Dまで移動しては撮像を繰り返し、電子部品Dの全体を撮像することとなる。
【0036】
そして、CPU50は、以上のようにモールドの一側部に長い2本のリードと短い2本のリードを備えた電子部品Dについて4枚に分割して撮像した画像を1枚の画像に合成して、図13に示すように、モニタ55に表示させる(ステップS04)。この場合、CPU50はモニタ55には電子部品Dの合成された全体の撮像画像GDや、前記RAM51に格納された吸着取出しのための吸着ノズル7の標準位置に吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを表示させる。前記標準位置は、電子部品の外形中心、又は収納凹部Cdの中心であることがよいが、電子部品や収納凹部の位置はばらつくため、理想的には位置するであろうモニタ55の画面中心である。
【0037】
次いで、作業管理者は、モニタ55の表示画面に表示されたタッチパネルスイッチ56の8方向の「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作すると、CPU50は吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させる。即ち、部品取出位置におけるキャリアテープCcの収納凹部Cd内の電子部品Dであるコネクタ部品の取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示することとなる。なお、ノズルグラフィックNGを移動させずに、合成された撮像画像GDを移動させてもよい。
【0038】
そして、電子部品Dの吸着位置が決定したら、作業管理者がタッチパネルスイッチ56である「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、目合わせが終了することとなる(ステップS05)。この「OK」スイッチ部56Bの押圧操作がなされると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。この標準位置との差は、標準位置を原点とする座標位置としてRAM51に記憶すると考えてもよい。また、標準位置以外に原点を設定した座標位置として格納してもよい。
【0039】
これにより、現実のプリント基板Pの生産時に、このRAM51に格納された前記標準位置との差を前記吸着ノズル7による前記標準位置に補正するように、CPU50がY方向リニアモータ51及びX方向リニアモータ52を制御することにより、適切な吸着位置となり、確実に部品供給ユニット5から電子部品Dを取出すことができる。
【0040】
なお、取出部材として、吸着ノズル7ではなく、上述した把持部材を用いてもよい。把持部材を用いた場合にも、吸着ノズルを用いたときと同様に、電子部品の画像と共に、把持部材のグラフィックをモニタ55に表示し、合成した電子部品の画像と把持部材のグラフィックとを相対的に移動させることにより、電子部品の取出位置である把持位置を指定することができる。
【0041】
また、前述したように、4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成した電子部品の合成画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に(図13参照)、撮像された合成画像が鮮明なものでない場合には、作業管理者はタッチパネルスイッチ56である「部品グラフィック表示」スイッチ部56Cを押圧操作する。すると、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBGをモニタ55に表示させるように制御する(図14参照)。この部品グラフィックBGの表示位置は、電子部品が片寄りなく収納されていると想定された位置、例えば部品グラフィックBGの外形中心をモニタ55の画面中心に表示する。
【0042】
従って、作業管理者は、「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、部品グラフィックBGを、例えば必ずしも電子部品の輪郭がはっきりしない、リード部が暗くて良好に見えない、或いは全体の画像が鮮明ではない電子部品Dの合成画像に合致するように移動するように指示し、CPU50は部品グラフィックBGを移動させる。従って、例えばリード部が暗くて良好に見えないとき等にリードの位置を確認することができる。その後、「OK」スイッチ部56Bを押圧操作し、部品グラフィックBGの位置を決定して、再び「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させ、電子部品Dの取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示する。
【0043】
そして、作業管理者が「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0044】
なお、この標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を前記RAM51内の前述の該当する部品IDの部品ライブラリデータ内に格納するようにしてもよい。そして、この部品ライブラリデータを管理コンピュータ又は他の電子部品装着装置に転送すれば、教示結果を再度利用することができる。
【0045】
以上のように、部品グラフィックBGをモニタ55に表示させて、これを移動させて撮像画像に合致させてから、吸着位置を定めるようにしたから、必ずしも輪郭、リード等が鮮明ではない電子部品D等の合成画像であっても、吸着位置を定めることができる。また、例えば凹凸がある等して部品の表面の状態が吸着ノズルを当接して吸着させるのに不都合であるが、部品画像を見てもその表面の状態が良く分からないような場合、吸着できない箇所を部品グラフィックBGに表示することにより、吸着位置を容易に決めることができる。あるいは、ノズルグラフィックNGを位置合わせして吸着できる範囲もしくは、吸着すべき位置を部品グラフィックBGに表示するようにしてもよい。
【0046】
尚、部品グラフィックBGの表示は上述するように部品の分割撮像した画面を合成した画面でするのみでなく、分割撮像することなく撮像した画面をそのままモニタに表示する場合にも合成画面を表示する場合と同様に表示させればよい。
【0047】
次に、トレイ13内の電子部品Dが基板認識カメラ4のカメラ視野に収まらない大きな電子部品を例として、第2部品供給装置3Dにおける電子部品の吸着位置の教示について、以下説明する。基本的な動作に係るフローは、部品供給ユニット5の場合と同様であり、図11のフローチャートに沿って、以下説明する。
【0048】
先ず、作業管理者がモニタ55の表示画面に形成されたタッチパネルスイッチ56を押圧操作して、表示させたメニュー画面から選択して吸着位置の教示画面を表示させて、教示を開始させる。
【0049】
初めに、第2部品供給装置3Dにおけるトレイ13から電子部品を取出す吸着位置の教示について説明すると、吸着位置の教示画面において、上下段のいずれのマガジン15内のトレイ13の配置番号を指定すると、CPU50はRAM51に格納されたトレイ13の配置番号情報に基づいて対応する部品ライブラリデータから、教示対象の電子部品のサイズデータを読込み、分割数及び分割中心位置を算出する(ステップS01)。
【0050】
この場合、例えば、この教示対象にあっては、算出された分割数は4個であり、この4つの撮像エリアを一部重複させることにより、撮像できないエリアがないようにする。
【0051】
次に、CPU50は、昇降駆動モータ27を駆動させてエレベータ機構17を駆動してマガジン15を移動させ、教示すべき電子部品を収納しているマガジン15のパレット14のレベル位置と、パレット導入機構18のシュート16のレベル位置とが合致するようにマガジン15を移動させ、駆動機構32により係止アーム31を前進させて、フックをマガジン15に収容したパレット14の先端に係止させてアーム31を後退させて、パレット14をシュート16に沿ってピックアップ領域に導入させるが、既にピックアップ領域にパレット14を送ってから、図11のフローチャートに係る教示作業を行うようにしてもよい。また、この部品供給装置3Dに対応する基板認識カメラ4をY方向リニアモータ61及びX方向リニアモータ62を制御して、パレット14に載置され位置決めされているトレイ13の図15における右奥部の収納凹部13Aの撮像位置に移動させ(ステップS02)、この部品取出位置であるトレイ13における部品収納凹部13Aの画像を取り込み(ステップS03)、撮像する。そして、次の撮像位置への移動及び撮像を行うようにして、順次4つの撮像位置まで移動しては撮像を繰り返し、電子部品Dの全体を撮像することとなる(トレイ13と撮像範囲PAを示す図15参照)。この場合の画像分割の算出も、前述と同様に、部品サイズデータに基づき行われる。
【0052】
そして、CPU50は以上のように4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成して、図16に示すように、モニタ55に表示させる(ステップS04)。この場合、CPU50はモニタ55には電子部品Dの合成された撮像画像GDや、前記RAM51に格納された吸着取出しのための吸着ノズル7の標準位置に吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを表示させる。
【0053】
ところが、この表示されたノズルグラフィックNGが標準位置である電子部品Dの中心位置(電子部品が理想的な位置にあるとしたときの中心位置)であって、リードDD上にある場合には、この位置を吸着位置とするのは好ましくはない。そこで、作業管理者は、モニタ55の表示画面に表示されたタッチパネルスイッチ56の8方向の「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作しノズルグラフィックNGをリードDDを避けた吸着させたい位置(図16に示したノズルグラフィックNGの位置)に移動させる。
【0054】
そして、電子部品Dの吸着位置が決定したら、作業管理者がタッチパネルスイッチ56である「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、目合わせが終了することとなる(ステップS05)。この「OK」スイッチ部56Bの押圧操作がなされると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0055】
これにより、現実のプリント基板Pの生産時に、このRAM51に格納された前記標準位置との差を前記吸着ノズル7による前記標準位置に補正するように、CPU50がY方向リニアモータ51及びX方向リニアモータ52を制御することにより、適切な吸着位置となり、確実にトレイ13から電子部品Dを取出すことができる。
【0056】
そして、前記トレイ13にあっては、右奥部の収納凹部13Aを撮像するようにして、この右奥部の収納凹部13A内の電子部品の吸着位置を定めたので、収納凹部13A相互のX方向及びY方向の間隔がわかるので、その間隔を利用して、この右奥部以外の収納凹部13A内の電子部品についても、適切な吸着位置となり、確実に電子部品Dを取出すことができる。
【0057】
なお、前述したように、4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成した電子部品の合成画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に(図16参照)、撮像された合成画像が鮮明なものでない場合、例えば撮像されモニタ55に表示された電子部品の画像の輪郭が鮮明でない、或いは、表示された電子部品の全体がぼやけ不鮮明で、リードの位置がつかみにくい場合等には、作業管理者はタッチパネルスイッチ56である「部品グラフィック表示」スイッチ部56Cを押圧操作する。すると、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBG(リードについてもグラフィックの存在すべき位置に描かれているもの)をモニタ55に表示させるように制御する(図17参照)。
【0058】
従って、作業管理者は、「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、部品グラフィックBGを必ずしも鮮明ではない電子部品Dの合成画像に合致するように移動するように指示し、CPU50は部品グラフィックBGを移動させる。従って、例えばリード部が暗くて良好に見えないとき等にリードの位置を確認することができる。その後、「OK」スイッチ部56Bを押圧操作し、部品グラフィックBGの位置を決定して、再び「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させ、電子部品Dの取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示する。
【0059】
そして、作業管理者が「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0060】
以上の実施形態のように、部品グラフィックBGをモニタ55に表示させて、これを移動させて撮像画像に合致させてから、吸着位置を定めるようにしたから、必ずしも輪郭が鮮明ではない、或いは、表示された電子部品の全体がぼやけリードが不鮮明で位置がつかみにくい電子部品Dの画像等で、その画像のみでは吸着位置を指定するのが難しい、或いは、正確に指定することが困難な電子部品であっても、吸着位置を容易に、また、極力正確に定めることができる。
【0061】
以下、同様に種々の部品供給ユニット5やトレイ13が供給する他の種類の電子部品についても、電子部品を取出す吸着ノズル7による吸着位置の教示を行うことにより、適切な吸着位置となり、これらの部品供給ユニット5やトレイ13から吸着ノズル7が確実に電子部品Dを取出すことができる。
【0062】
更には、本発明は以上の実施形態で説明したようなテープフィーダやトレイフィーダに限らず、他の種類の電子部品の供給形態の部品供給装置にも適用することもできる。
【0063】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0064】
1 電子部品装着装置
3A、3B、3C 第1部品供給装置
3D 第2部品供給装置
4 基板認識カメラ
5 部品供給ユニット
16 シュート
7 吸着ノズル
13 トレイ
50 CPU
51 RAM
55 モニタ
56 タッチパネルスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出す部品取出位置の教示方法及び電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の部品取出位置の教示方法は、例えば特許文献1等に開示されている。この特許文献1には、部品供給ユニットの送り出し位置における基板認識カメラにより撮像された画像と吸着ノズルのグラフィックとを重ね合わせて表示した画面を表示装置に表示して、位置合わせ手段によりグラフィック表示された吸着ノズルと表示された電子部品の部品送り出し位置とを一致させるようにして、位置合わせのための移動量を把握し、この移動量分、部品取出位置(吸着ノズルの吸着位置)を補正するようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−146661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品供給装置における部品取出位置をカメラで撮像し、撮像した電子部品を表示装置に表示したとき、電子部品の種類によっては表示された電子部品の画像が不鮮明であり、位置合わせ手段によりグラフィック表示された吸着ノズルの位置と表示された電子部品の部品送り出し位置(部品取出し位置)とを一致させる際、電子部品の吸着位置の教示が困難な場合があった。
【0005】
そこで本発明は、撮像し画像を表示したときに、その輪郭が不鮮明な電子部品であっても、部品供給装置から電子部品を取出すための取出し位置である取出部材による部品吸着位置の教示を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を取出す部品取出位置の教示方法において、
対象の電子部品を撮像し、
この撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックをモニタに表示させ、
この表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させ、
この移動量を記憶手段に格納することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出して基板上に装着する電子部品装着装置において、
前記部品供給装置の部品取出位置にある前記電子部品の全体を撮像するカメラと、
このカメラにより撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックを表示させるモニタと、
このモニタに表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させる位置合わせ手段と、
この位置合わせ手段による移動量を格納する記憶手段とを設けた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、撮像しその画像を表示したときに、画像の輪郭が不鮮明な電子部品、或いは全体が不鮮明な電子部品であっても、部品供給装置から電子部品を取出すための取出部材による部品取出位置の教示をすることができるようにすることができる。従って、部品供給装置の部品取出位置にある電子部品を、確実に取出部材で取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子部品装着装置の平面図である。
【図2】第2部品供給装置の正面図である。
【図3】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の正面図である。
【図4】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の横断平面図である。
【図5】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の縦断面図である。
【図6】電子部品装着装置の一部を示す右側面図である。
【図7】第2部品供給装置の蓋体を外した状態の正面図である。
【図8】部品供給ユニットの一部平面図である。
【図9】部品供給ユニットの一部縦断面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】部品吸着位置の教示に係るフローチャート図である。
【図12】部品供給ユニットの部品取出位置の4枚に分割して撮像する撮像範囲を示す図である。
【図13】合成した画像及び吸着ノズルのノズルグラフィックを表示した図である。
【図14】合成した画像、吸着ノズルのノズルグラフィック及び部品グラフィックを表示した図である。
【図15】トレイと撮像範囲を示す図である。
【図16】合成した画像及び吸着ノズルのノズルグラフィックを表示した図である。
【図17】合成した画像、吸着ノズルのノズルグラフィック及び部品グラフィックを表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施形態につき説明する。図1は電子部品装着装置1の平面図であり、電子部品装着装置1の装置本体2上の前部及び後部には部品供給装置3が4つのブロックに複数並設されている。
【0011】
前記部品供給装置3は第1部品供給装置3A、3B、3Cと、第2部品供給装置3Dとを備えている。前記第1部品供給装置3A、3B、3Cは、部品供給側の先端部がプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体2に連結具(図示せず)を介して着脱可能に配設され、連結具を解除し把手(図示せず)を引くと下面に設けられたキャスタによりカート台が移動できる構成である。
【0012】
そして、対向する前記第1部品供給装置3A及び3Bと、第1部品供給装置3C及び第2部品供給装置3Dの間には、基板搬送機構を構成する供給コンベア、位置決め部8(コンベアを有する)及び排出コンベアが設けられている。前記供給コンベアは上流側装置より受けた複数のプリント基板Pを前記位置決め部8に搬送し、位置決め部8で図示しない位置決め機構により位置決めされた該基板P上に電子部品が装着された後、排出コンベアに搬送され、その後下流側装置に搬送される。
【0013】
そして、Y方向リニアモータ61の駆動によりガイドレール9に沿ってY方向にビーム10が移動する構成であり、各ビーム10にはX方向リニアモータ62の駆動によりX方向に移動する装着ヘッド6が設けられる。また、前記装着ヘッド6には、電子部品を取出す取出部材として、吸着して取出す吸着ノズル7が設けられる。そして、前記吸着ノズル7は、上下軸モータ63及びθ軸モータ64により上下動が可能で、且つ鉛直軸周りに回転可能である。なお、取出部材としては、吸着ノズル7の他に、例えば電子部品を掴んで取出す機構を備えた把持部材などでもよい。
【0014】
4はプリント基板Pの位置確認用の認識マークを撮像するための基板認識カメラ12で、各装着ヘッド6に搭載されている。12は前記装置本体2に前記装着ヘッド6に対応して設けられる部品認識カメラで、部品供給装置3より取出されて吸着ノズル7に吸着保持された電子部品を撮像して、認識処理装置53により吸着ノズル7に対する電子部品の位置が認識処理される。
【0015】
次に、電子部品装着装置1に着脱可能に取り付けられる前記第2部品供給装置3Dについて、図2乃至図7に基づき以下詳述する。第2部品供給装置3Dは、一側面が開設された開口部を覆うと共にマガジン15を上中下の各位置で交換のため取出すための開口を開閉可能な扉体19を有する蓋体20を備えた供給装置本体21と、この供給装置本体21内に縦横に等間隔に形成した複数の平面視四角形状の収納凹部13A内にそれぞれ電子部品を整列配置したトレイ13が搭載されたパレット14を複数段収納する2つのマガジン15と、いずれかのマガジン15の所定のパレット14を所定の移動レベル位置である引出しレベル位置(電子部品装着装置1に設けられたシュート16の位置)やマガジン15の交換位置まで鉛直方向に搬送するエレベータ機構17と、パレット14をエレベータ機構17から装置本体2のピックアップ領域まで水平方向に搬送するパレット導入機構18とから構成される。
【0016】
前記エレベータ機構17は、図4及び図5に示すように、2本のガイドレール22と、このガイドレール22に沿って上下移動可能なスライダ23を側部に備えると共に前記マガジン15を載置する2つの断面がL字形状のマガジンベース24と、前記2本のガイドレール22間において上下の固定ブロック25に固定される1本のボールネジ26と、2個の正逆転可能なエンコーダ機能付きの昇降駆動モータ27と、各昇降駆動モータ27の出力軸と前記ボールネジ26に回動可能なプーリ28との間に張架されたベルト29と、このベルト29と共に回動すると前記ボールネジ26に沿って移動するナット30とを備え、前記マガジンベース24にはスライダ23の他に昇降駆動モータ27も固定され、このマガジンベース24とナット30との間にはベアリング体(図示せず)が設けられている。
【0017】
従って、昇降駆動モータ27が正逆駆動すると、ベルト29を介してプーリ28及びナット30がボールネジ26の回りを回動し、前記ベアリング体(図示せず)によりマガジンベース24は回動することなくガイドレール22に沿ってスライダ23を介して上下移動可能となる。
【0018】
このように構成されたエレベータ機構17による昇降動作では、上下段のマガジン15の所望のパレット14のレベル位置と、シュート16のレベル位置とを合致させてパレット導入機構18によりパレット14のトレイ13を前記ピックアップ領域に導入させて、吸着ノズル7により吸着取出しが可能となる。
【0019】
パレット導入機構18は、装置本体2に配設したシュート16と、このシュート16に沿って進退する係止アーム31と、この係止アーム31を進退させる駆動機構32とで構成される。そして、係止アーム31の先端には、パレット14に係脱するフックが設けられており、前記駆動機構32により係止アーム31を前進させて、このフックをマガジン15に収容したパレット14の先端に係止し、次に係止アーム31を後退させて、パレット14をシュート16に沿ってピックアップ領域に導入する。
【0020】
なお、上段の扉体19には上段のマガジン15上昇のための操作スイッチ35が、中段の扉体19には上段又は下段のマガジン15昇降のための操作スイッチ36、37が、下段の扉体19には下段のマガジン15下降のための操作スイッチ38が設けられている。また、夫々の扉体19には把手19A及び透明又は半透明な窓19Bが同様に設けられている。
【0021】
プリント基板Pの段取替えのためにマガジン15の交換を行なう場合や、所定部品を収納するトレイ13を載置する多数のパレット14を交換する場合に、電子部品装着装置が停止しているときにいずれかの前記操作スイッチ35、36、37、38を操作すると、本電子部品装着装置を統括的に制御する制御装置であるCPU50は対応するマガジン15の上下移動のための昇降駆動モータ27を駆動させて扉体19に対応する位置に移動させ、この移動停止に伴い、扉体19のロック機構(図示せず)の駆動源を駆動させてロックを解除させる。
【0022】
即ち、前記操作スイッチ35を操作すると上部の昇降駆動モータ27の駆動により上段のマガジン15を上部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ36を操作すると上部の昇降駆動モータ27の駆動により上段のマガジン15を中間部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ37を操作すると下部の昇降駆動モータ27の駆動により下段のマガジン15を中間部の扉体19に対応する位置に移動させ、前記操作スイッチ38を操作すると下部の昇降駆動モータ27の駆動により下段のマガジン15を下部の扉体19に対応する位置に移動させるように、前記CPU50が制御する構成である。
【0023】
次に、図8及び図9に基づき、第1部品供給装置3A、3B、3Cである部品供給ユニット5について説明する。先ず、この部品供給ユニット5はカート台に回転自在に載置した供給リールに巻回した状態で順次繰り出された収納テープCに所定間隔で開設した送り孔Cbにその歯が嵌合した送りスプロケットを所定角度回転させて収納テープCを電子部品の部品取出位置まで送りモータ44により間欠送りするテープ送り機構と、剥離モータ45の駆動により部品取出位置の手前でキャリアテープCcからカバーテープCaを引き剥がすためのカバーテープ剥離機構とを備え、カバーテープ剥離機構によりカバーテープCaを剥離してキャリアテープCcに所定間隔毎に形成された収納凹部Cdに装填された電子部品を順次部品取出位置へ供給して先端部から後述する吸着ノズル7により取出し可能である。
【0024】
多数の電子部品DをキャリアテープCcの各収納凹部Cdに一定の間隔で収容した収納テープCが前記収納テープリールから繰り出されて、サプレッサ41の下側を潜るようにして、部品取出位置に送り込まれる。このサプレッサ41には吸着ノズル7による部品取出用の開口42が開設されている。また、前記サプレッサ41にはスリット43が形成されており、このスリット43から収納テープCのカバーテープCaが引き剥がされ、部品供給ユニット5内に形成された収納部内に収納される。すなわち、収納テープCに搭載した電子部品はカバーテープCaを引き剥がされた状態で、部品取出位置まで送られ、開口42を介して前記吸着ノズル7により取出されることとなる。
【0025】
次に、図10の制御ブロック図について説明すると、前記電子部品装着装置1には、本装着装置1を統括制御する制御装置としてのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)50と、該CPU50にバスラインを介して接続されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)51及びROM(リ−ド・オンリー・メモリ)52が備えられている。そして、CPU50は前記RAM51に記憶されたデータに基づき、前記ROM52に格納されたプログラムに従い、電子部品装着装置1の部品装着動作に係る動作を統括制御する。即ち、CPU50は、インターフェース54及び駆動回路57を介して前記Y方向リニアモータ61、X方向リニアモータ62、上下軸モータ63及び前記θ軸モータ64等の駆動を制御すると共に各部品供給ユニット5を制御する。この図3では、説明の便宜上、複数あるものでも、例えば装着ヘッド6、部品供給ユニット5などは1つとして省略してある。
【0026】
前記RAM51には、部品装着に係るプリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されており、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、プリント基板P内でのX方向(Xで示す)、Y方向(Yで示す)及び角度(Zで示す)情報や、各部品供給ユニット5の配置番号情報等が格納されている。
【0027】
また前記RAM51には、各プリント基板Pの種類毎に前記各部品供給ユニット5の部品供給ユニット配置番号(レーン番号)及び上下段のいずれのマガジン15内のトレイ13の配置番号に対応した各電子部品の種類(部品ID)の情報、即ち部品配置情報が格納されており、この部品配置情報は前記カート台上のどの位置にどの部品供給ユニット5を搭載するかに係るデータ及びどのマガジン15内のどの位置にどのトレイ13を載置するかのデータである。更にはこの部品ID毎に電子部品の特徴等に関する部品ライブラリデータが格納されている。
【0028】
53はインターフェース54を介して前記CPU50に接続される認識処理装置で、前記部品認識カメラ12により撮像して取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置53にて行われ、CPU50に処理結果が送出される。即ち、CPU50は、部品認識カメラ12に撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置53に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置53から受取るものである。
【0029】
55は部品画像や各種データ設定のための画面などを表示するモニタで、このモニタ55には入力手段としての種々のタッチパネルスイッチ56が設けられ、作業者がタッチパネルスイッチ56を操作することにより、種々の設定を行うことができる。
【0030】
また、送りモータ44により収納テープCを間欠送りする部品供給ユニット5は、CPU65と、RAM66と、ROM67とを備えている。68はそれぞれインターフェース69を介して前記CPU65に接続される駆動回路で、CPU65は送りモータ44及び剥離モータ45を駆動回路68を介して制御する。この部品供給ユニット5に設けられるCPU65は、インターフェース69及び54を介して電子部品装着装置1に設けられるCPU50に接続される。
【0031】
次に、電子部品の吸着位置の教示をすることができる電子部品の吸着位置の教示方法のフローチャートに係る図11に基づき、部品供給ユニット5において、開口42を介して見える収納凹部Cd内の電子部品Dが基板認識カメラ4のカメラ視野に収まらない大きな電子部品を例として、説明する。先ず、作業管理者がモニタ55の表示画面に形成されたタッチパネルスイッチ56を押圧操作して、表示させたメニュー画面から選択して電子部品の吸着位置の教示画面を表示させて、教示を開始させる。
【0032】
初めに、第1部品供給装置3A、3B、3Cである部品供給ユニット5から電子部品を取出す吸着位置の教示について説明すると、吸着位置の教示画面において、部品供給ユニット5の配置番号を指定すると、CPU50はRAM51に格納された部品供給ユニット5の配置番号情報に基づいて対応する部品ライブラリデータから、教示対象の電子部品のサイズデータを読込み、分割数及び分割中心位置を算出する(ステップS01)。
【0033】
この場合、例えば、この教示対象にあっては、撮像範囲PAを示す図12に示すように、算出された分割数は4個で、各分割中心位置(各基板認識カメラ4の撮像中心位置)の座標は、点A(+11、+5)、点B(−11、+5)、点C(+11、−5)、点D(−11、−5)である。この上段2つ及び下段2つの合計4つの撮像範囲PAは、一部重複させることにより、撮像できないエリアがないようにする。
【0034】
なお、この分割数の算出は、あらかじめなされ、前述の部品ID毎の部品ライブラリデータの構成としてRAM51に格納しておき、CPU50が分割数のデータをRAM51から読み出すようにしてもよい。
【0035】
次に、CPU50は、配置番号が指定された部品供給ユニット5の部品送りをして、これから教示を行う電子部品Dを部品取出位置に送るが、既に部品取出位置に電子部品を送ってから、図11のフローチャートに係る教示作業を行うようにしてもよい。また、CPU50は、教示対象の前記部品供給ユニット5に対応する基板認識カメラ4をY方向リニアモータ61及びX方向リニアモータ62を制御して、先ず点Aの位置に移動させ(ステップS02)、部品取出位置の前記開口42を介するキャリアテープCcの収納凹部Cd内の電子部品Dの画像を取り込み(ステップS03)、撮像する。そして、次の撮像位置である点Bへの移動及び撮像を行うようにして、順次撮像位置である点Aから点Dまで移動しては撮像を繰り返し、電子部品Dの全体を撮像することとなる。
【0036】
そして、CPU50は、以上のようにモールドの一側部に長い2本のリードと短い2本のリードを備えた電子部品Dについて4枚に分割して撮像した画像を1枚の画像に合成して、図13に示すように、モニタ55に表示させる(ステップS04)。この場合、CPU50はモニタ55には電子部品Dの合成された全体の撮像画像GDや、前記RAM51に格納された吸着取出しのための吸着ノズル7の標準位置に吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを表示させる。前記標準位置は、電子部品の外形中心、又は収納凹部Cdの中心であることがよいが、電子部品や収納凹部の位置はばらつくため、理想的には位置するであろうモニタ55の画面中心である。
【0037】
次いで、作業管理者は、モニタ55の表示画面に表示されたタッチパネルスイッチ56の8方向の「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作すると、CPU50は吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させる。即ち、部品取出位置におけるキャリアテープCcの収納凹部Cd内の電子部品Dであるコネクタ部品の取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示することとなる。なお、ノズルグラフィックNGを移動させずに、合成された撮像画像GDを移動させてもよい。
【0038】
そして、電子部品Dの吸着位置が決定したら、作業管理者がタッチパネルスイッチ56である「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、目合わせが終了することとなる(ステップS05)。この「OK」スイッチ部56Bの押圧操作がなされると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。この標準位置との差は、標準位置を原点とする座標位置としてRAM51に記憶すると考えてもよい。また、標準位置以外に原点を設定した座標位置として格納してもよい。
【0039】
これにより、現実のプリント基板Pの生産時に、このRAM51に格納された前記標準位置との差を前記吸着ノズル7による前記標準位置に補正するように、CPU50がY方向リニアモータ51及びX方向リニアモータ52を制御することにより、適切な吸着位置となり、確実に部品供給ユニット5から電子部品Dを取出すことができる。
【0040】
なお、取出部材として、吸着ノズル7ではなく、上述した把持部材を用いてもよい。把持部材を用いた場合にも、吸着ノズルを用いたときと同様に、電子部品の画像と共に、把持部材のグラフィックをモニタ55に表示し、合成した電子部品の画像と把持部材のグラフィックとを相対的に移動させることにより、電子部品の取出位置である把持位置を指定することができる。
【0041】
また、前述したように、4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成した電子部品の合成画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に(図13参照)、撮像された合成画像が鮮明なものでない場合には、作業管理者はタッチパネルスイッチ56である「部品グラフィック表示」スイッチ部56Cを押圧操作する。すると、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBGをモニタ55に表示させるように制御する(図14参照)。この部品グラフィックBGの表示位置は、電子部品が片寄りなく収納されていると想定された位置、例えば部品グラフィックBGの外形中心をモニタ55の画面中心に表示する。
【0042】
従って、作業管理者は、「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、部品グラフィックBGを、例えば必ずしも電子部品の輪郭がはっきりしない、リード部が暗くて良好に見えない、或いは全体の画像が鮮明ではない電子部品Dの合成画像に合致するように移動するように指示し、CPU50は部品グラフィックBGを移動させる。従って、例えばリード部が暗くて良好に見えないとき等にリードの位置を確認することができる。その後、「OK」スイッチ部56Bを押圧操作し、部品グラフィックBGの位置を決定して、再び「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させ、電子部品Dの取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示する。
【0043】
そして、作業管理者が「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0044】
なお、この標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を前記RAM51内の前述の該当する部品IDの部品ライブラリデータ内に格納するようにしてもよい。そして、この部品ライブラリデータを管理コンピュータ又は他の電子部品装着装置に転送すれば、教示結果を再度利用することができる。
【0045】
以上のように、部品グラフィックBGをモニタ55に表示させて、これを移動させて撮像画像に合致させてから、吸着位置を定めるようにしたから、必ずしも輪郭、リード等が鮮明ではない電子部品D等の合成画像であっても、吸着位置を定めることができる。また、例えば凹凸がある等して部品の表面の状態が吸着ノズルを当接して吸着させるのに不都合であるが、部品画像を見てもその表面の状態が良く分からないような場合、吸着できない箇所を部品グラフィックBGに表示することにより、吸着位置を容易に決めることができる。あるいは、ノズルグラフィックNGを位置合わせして吸着できる範囲もしくは、吸着すべき位置を部品グラフィックBGに表示するようにしてもよい。
【0046】
尚、部品グラフィックBGの表示は上述するように部品の分割撮像した画面を合成した画面でするのみでなく、分割撮像することなく撮像した画面をそのままモニタに表示する場合にも合成画面を表示する場合と同様に表示させればよい。
【0047】
次に、トレイ13内の電子部品Dが基板認識カメラ4のカメラ視野に収まらない大きな電子部品を例として、第2部品供給装置3Dにおける電子部品の吸着位置の教示について、以下説明する。基本的な動作に係るフローは、部品供給ユニット5の場合と同様であり、図11のフローチャートに沿って、以下説明する。
【0048】
先ず、作業管理者がモニタ55の表示画面に形成されたタッチパネルスイッチ56を押圧操作して、表示させたメニュー画面から選択して吸着位置の教示画面を表示させて、教示を開始させる。
【0049】
初めに、第2部品供給装置3Dにおけるトレイ13から電子部品を取出す吸着位置の教示について説明すると、吸着位置の教示画面において、上下段のいずれのマガジン15内のトレイ13の配置番号を指定すると、CPU50はRAM51に格納されたトレイ13の配置番号情報に基づいて対応する部品ライブラリデータから、教示対象の電子部品のサイズデータを読込み、分割数及び分割中心位置を算出する(ステップS01)。
【0050】
この場合、例えば、この教示対象にあっては、算出された分割数は4個であり、この4つの撮像エリアを一部重複させることにより、撮像できないエリアがないようにする。
【0051】
次に、CPU50は、昇降駆動モータ27を駆動させてエレベータ機構17を駆動してマガジン15を移動させ、教示すべき電子部品を収納しているマガジン15のパレット14のレベル位置と、パレット導入機構18のシュート16のレベル位置とが合致するようにマガジン15を移動させ、駆動機構32により係止アーム31を前進させて、フックをマガジン15に収容したパレット14の先端に係止させてアーム31を後退させて、パレット14をシュート16に沿ってピックアップ領域に導入させるが、既にピックアップ領域にパレット14を送ってから、図11のフローチャートに係る教示作業を行うようにしてもよい。また、この部品供給装置3Dに対応する基板認識カメラ4をY方向リニアモータ61及びX方向リニアモータ62を制御して、パレット14に載置され位置決めされているトレイ13の図15における右奥部の収納凹部13Aの撮像位置に移動させ(ステップS02)、この部品取出位置であるトレイ13における部品収納凹部13Aの画像を取り込み(ステップS03)、撮像する。そして、次の撮像位置への移動及び撮像を行うようにして、順次4つの撮像位置まで移動しては撮像を繰り返し、電子部品Dの全体を撮像することとなる(トレイ13と撮像範囲PAを示す図15参照)。この場合の画像分割の算出も、前述と同様に、部品サイズデータに基づき行われる。
【0052】
そして、CPU50は以上のように4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成して、図16に示すように、モニタ55に表示させる(ステップS04)。この場合、CPU50はモニタ55には電子部品Dの合成された撮像画像GDや、前記RAM51に格納された吸着取出しのための吸着ノズル7の標準位置に吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを表示させる。
【0053】
ところが、この表示されたノズルグラフィックNGが標準位置である電子部品Dの中心位置(電子部品が理想的な位置にあるとしたときの中心位置)であって、リードDD上にある場合には、この位置を吸着位置とするのは好ましくはない。そこで、作業管理者は、モニタ55の表示画面に表示されたタッチパネルスイッチ56の8方向の「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作しノズルグラフィックNGをリードDDを避けた吸着させたい位置(図16に示したノズルグラフィックNGの位置)に移動させる。
【0054】
そして、電子部品Dの吸着位置が決定したら、作業管理者がタッチパネルスイッチ56である「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、目合わせが終了することとなる(ステップS05)。この「OK」スイッチ部56Bの押圧操作がなされると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0055】
これにより、現実のプリント基板Pの生産時に、このRAM51に格納された前記標準位置との差を前記吸着ノズル7による前記標準位置に補正するように、CPU50がY方向リニアモータ51及びX方向リニアモータ52を制御することにより、適切な吸着位置となり、確実にトレイ13から電子部品Dを取出すことができる。
【0056】
そして、前記トレイ13にあっては、右奥部の収納凹部13Aを撮像するようにして、この右奥部の収納凹部13A内の電子部品の吸着位置を定めたので、収納凹部13A相互のX方向及びY方向の間隔がわかるので、その間隔を利用して、この右奥部以外の収納凹部13A内の電子部品についても、適切な吸着位置となり、確実に電子部品Dを取出すことができる。
【0057】
なお、前述したように、4枚に分割して撮像された画像を1枚の画像に合成した電子部品の合成画像を吸着ノズル7のノズルグラフィックNGと共にモニタ55に表示させた際に(図16参照)、撮像された合成画像が鮮明なものでない場合、例えば撮像されモニタ55に表示された電子部品の画像の輪郭が鮮明でない、或いは、表示された電子部品の全体がぼやけ不鮮明で、リードの位置がつかみにくい場合等には、作業管理者はタッチパネルスイッチ56である「部品グラフィック表示」スイッチ部56Cを押圧操作する。すると、CPU50は、この電子部品に対応する部品グラフィックBG(リードについてもグラフィックの存在すべき位置に描かれているもの)をモニタ55に表示させるように制御する(図17参照)。
【0058】
従って、作業管理者は、「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、部品グラフィックBGを必ずしも鮮明ではない電子部品Dの合成画像に合致するように移動するように指示し、CPU50は部品グラフィックBGを移動させる。従って、例えばリード部が暗くて良好に見えないとき等にリードの位置を確認することができる。その後、「OK」スイッチ部56Bを押圧操作し、部品グラフィックBGの位置を決定して、再び「方向指示」スイッチ部56Aを押圧操作して、吸着ノズル7のノズルグラフィックNGを吸着させたい位置に移動させ、電子部品Dの取出しのために、吸着ノズル7による電子部品Dの吸着位置を指示する。
【0059】
そして、作業管理者が「OK」スイッチ部56Bを押圧操作すると、CPU50はこの決定されたノズルグラフィックNGの位置(センター位置)の座標を読み取り、吸着取出しのための吸着ノズル7の前記標準位置との差(標準位置からのノズルグラフィックNGの移動量)を計算し、RAM51に格納させる。
【0060】
以上の実施形態のように、部品グラフィックBGをモニタ55に表示させて、これを移動させて撮像画像に合致させてから、吸着位置を定めるようにしたから、必ずしも輪郭が鮮明ではない、或いは、表示された電子部品の全体がぼやけリードが不鮮明で位置がつかみにくい電子部品Dの画像等で、その画像のみでは吸着位置を指定するのが難しい、或いは、正確に指定することが困難な電子部品であっても、吸着位置を容易に、また、極力正確に定めることができる。
【0061】
以下、同様に種々の部品供給ユニット5やトレイ13が供給する他の種類の電子部品についても、電子部品を取出す吸着ノズル7による吸着位置の教示を行うことにより、適切な吸着位置となり、これらの部品供給ユニット5やトレイ13から吸着ノズル7が確実に電子部品Dを取出すことができる。
【0062】
更には、本発明は以上の実施形態で説明したようなテープフィーダやトレイフィーダに限らず、他の種類の電子部品の供給形態の部品供給装置にも適用することもできる。
【0063】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0064】
1 電子部品装着装置
3A、3B、3C 第1部品供給装置
3D 第2部品供給装置
4 基板認識カメラ
5 部品供給ユニット
16 シュート
7 吸着ノズル
13 トレイ
50 CPU
51 RAM
55 モニタ
56 タッチパネルスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を取出す部品取出位置の教示方法において、
対象の電子部品を撮像し、
この撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックをモニタに表示させ、
この表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させ、
この移動量を記憶手段に格納することを特徴とする部品取出位置の教示方法。
【請求項2】
電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出して基板上に装着する電子部品装着装置において、
前記部品供給装置の部品取出位置にある前記電子部品の全体を撮像するカメラと、
このカメラにより撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックを表示させるモニタと、
このモニタに表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させる位置合わせ手段と、
この位置合わせ手段による移動量を格納する記憶手段とを設けたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項1】
電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を取出す部品取出位置の教示方法において、
対象の電子部品を撮像し、
この撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックをモニタに表示させ、
この表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させ、
この移動量を記憶手段に格納することを特徴とする部品取出位置の教示方法。
【請求項2】
電子部品を供給する部品供給装置から取出部材が電子部品を部品取出位置にて取出して基板上に装着する電子部品装着装置において、
前記部品供給装置の部品取出位置にある前記電子部品の全体を撮像するカメラと、
このカメラにより撮像した電子部品の画像、目合わせ用の電子部品のグラフィック及び目合わせ用の取出部材のグラフィックを表示させるモニタと、
このモニタに表示された画面上で、前記電子部品の画像と前記電子部品のグラフィックとを合致させた状態で、前記電子部品の画像における前記部品取出位置と前記取出部材のグラフィックとが位置合わせするように、この画像と前記取出部材のグラフィックとを相対的に移動させる位置合わせ手段と、
この位置合わせ手段による移動量を格納する記憶手段とを設けたことを特徴とする電子部品装着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−155054(P2011−155054A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14252(P2010−14252)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
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