説明

部品配膳・組み立てシステム

【課題】組立工場における部品の入荷作業、組立作業、および生産品種切替時の作業の誤り防止するとともに、配膳エリアの削減、作業効率向上を図る。
【解決手段】生産計画システムが作成した生産計画に基づいて製品の組立に使用する部品の組立前の入荷を指示する部品入荷指示システムと、前記部品入荷指示システムの入荷指示に応じて入荷された部品を移動可能な部品配膳台車の予め定められた部品配膳エリアへの配膳を指示し、予め与えられた製品組立指示情報を基に前記部品配膳台車の部品配膳エリアから所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムを備え、前記部品配膳台車には、一台の部品配膳台車で複数の品種の製品を組み立てることができ、且つ、使用する全ての部品配膳台車に収納する部品の全てが所定の作業時間内に製品の組み立てに使用されるように部品を振分けて収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品配膳・組み立てシステムに係り、特に、入荷した部品を組み立て作業毎に配膳台車に配膳して組み立て屋台に供給する部品配膳・組み立てシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立工場では生産計画システムを基に組立工程に合わせて部品を入庫させ、入庫システムを使用して入庫処理を実施後、識別荷札等を発行し、発行された識別荷札等の情報を基に、入庫した部品を部品倉庫の所定の保管棚に収納している。
【0003】
入庫システムは、入庫に際して、例えば保管棚に設けられた表示ランプのうち、入庫部品を収容する部分に対応する表示ランプを点灯させ、部品収容部を特定するようになっている。
【0004】
一方、組立作業時には組立・出庫指示により、部品倉庫より組立に必要な分だけ部品を出庫し、出庫した部品を作業し易い順に配膳し、配膳した部品を組立屋台へ供給して組立作業を行っている。
【0005】
組立作業を行う場合、部品出庫作業および組立作業の効率向上と出庫ミス防止のため、出庫および組立作業を支援するシステムを用いている。
【0006】
部品の出庫作業では、通常、保管棚を所定の規則で配列し、例えば出庫した部品を載せる台車をこのような保管棚に沿って移動させながら出庫作業を行っている。出庫システムは、例えば保管棚に設けられた表示ランプのうち組立に必要とされる部品が収容されている部分に対応する表示ランプを点灯させ、出庫部品の収容部を特定するようになっている(出庫のときの表示ランプ点灯については特許文献1を参照)。
【0007】
また、部品の組立作業に関しては、例えば、組立作業方法として、組立に必要な部品の組み込み方法、組み込み順序、組み込み作業に使用する治具番号、組み込み上の注意事項などの作業指示情報を記憶した組立作業指示システム、あるいは同様な作業指示情報が記載された作業指示情報図面を使用して作業を行うことが一般的である。例えば、特許文献2には、セル生産において、作業者は、前記作業情報図面に表示された部品毎の色の情報と部品棚の表示ランプの部品毎の色とを照らし合わせ、生産に使用される部品の部品棚における保管場所を容易に把握できるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−341817号公報
【特許文献2】特開2001−242928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1あるいは特許文献2に開示されたような従来の部品配膳台車あるいは部品配膳システムを備えた組立工場においては、作業者はランプの点灯あるいは点滅により指定された部品を出庫し、組立れば良い。このため、伝票あるいは図に基づいて行う部品取り出し作業に比して作業効率および作業の正確さが向上する。
【0010】
しかしながら、多品種、少量生産の組立工場では出庫対象となる部品点数は数千種類におよび、さらに組立製品も千数百種類に及ぶ。また、それらの保管スペースは莫大となる。しかも、部品組込不良は全く許容されないため出庫作業には極めて高い正確さと、迅速さがが要求される。
【0011】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、組立工場における部品の入庫作業、出庫作業、組立作業、および生産品種切替時の作業の誤り防止するとともに、配膳エリアの削減、作業効率向上を可能とする部品配膳・組み立てシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0013】
製品の品種毎に製品1台を制作するに要する製作時間データ、及び生産するのに必要とされる部品種データを格納し、予め登録された作業時間、作業人員、および部品配膳台車の配膳エリア数に合わせて、一台の部品配膳台車で複数の品種の製品を組み立てることができ、且つ、使用する全ての部品配膳台車に収納する部品の全てが前記作業時間内に製品の組み立てに使用されるように部品を振分けて収納を指示する生産計画システムと、生産計画システムが作成した生産計画に基づいて製品の組立に使用する部品の組立前の入荷を指示する部品入荷指示システムと、前記部品入荷指示システムの入荷指示に応じて入荷された部品を移動可能な部品配膳台車の予め定められた部品配膳エリアへの配膳を指示し、予め与えられた製品組立指示情報を基に前記部品配膳台車の部品配膳エリアから所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、部品の入荷作業、配膳作業および組立作業に必要なデータを管理し、管理するデータを前記生産計画システム、部品入荷指示システム、および部品組立作業指示システムに提供するデータ管理サーバとを備え、前記入荷指示システム、部品組立作業指示システムは、前記データ管理サーバから提供されるデータを基に、入荷指示部品の前記配膳台車の配膳エリアへの配膳作業および前記配膳エリアに配置された部品を用いての製品組立作業を含む一連の作業指示を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上の構成を備えるため、組立工場における部品の入庫作業、出庫作業、組立作業、および生産品種切替時の作業の誤り防止するとともに、配膳エリアの削減、作業効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳・組立システム説明する図である。
【図2】部品入荷から部品配膳台車に部品を配膳する部品入荷・配膳作業を説明する図である。
【図3】部品配膳台車から組立作業台に部品を移す組立作業を説明する図である。
【図4】部品配膳台車の詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図4を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る部品配膳台車を用いたダイレクト(倉庫を使用しない)部品配膳・組立システム説明する図である。図2は、部品入荷から部品配膳台車に部品を配膳する部品入荷・配膳作業のフローを示す図である。図3は、部品配膳台車から組立作業台に部品を移す部品組立作業のフローを示す図である。また、図4は部品配膳台車の詳細を説明する図である。
【0018】
図1に示すように、部品配膳台車を用いた部品配膳・組立システムは、複数の部品箱エリアが配置された部品配膳台車1、部品配膳台車1に搭載された部品配膳台車端末2、入荷用屋台3に搭載されている入荷屋台端末4、部品配膳台車端末2および入荷屋台端末4で使用可能な部品入荷指示システム5、部品配膳台車端末2で使用可能な組立作業指示システム6、部品入荷指示システム5、組立作業指示システム6、部品配膳端末及び入荷屋台端末との間でのデータ授受を管理するデータ管理サーバ7、組立作業を行う組立作業屋台8、および部品の入荷指示を管理する生産計画システム9を備える。
【0019】
生産計画システム9は、製品の品種毎に製品1台を制作するに要する製作時間データ及び生産するのに必要とされる部品種データを格納している。管理者が、予め1日の作業時間と作業人員を登録すると、予め登録した部品配膳台車1の配膳エリア10のエリア数に合わせて、例えば、1台の部品配膳台車1で複数の品種の製品を組み立てることができるように、且つ、使用する全ての部品配膳台車1に収納する部品の全てがその日の作業時間内に製品の組み立てに使用されるように部品を振分けて収納を指示する。
【0020】
なお、部品配膳台車1は、部品入荷指示情報および組立作業指示情報を表示する部品配膳台車端末2と、作業指示書13(例えば、組立てる製品を特定する型式が読み込まれたタグ)を読込むための入力装置14を備える。
【0021】
まず、本実施形態に係る部品配膳台車を用いた部品配膳・組立システムの概要を説明する。
【0022】
生産計画システム9の指示により部品が入荷すると、作業者は入荷用屋台3に搭載した入荷屋台端末4を操作して部品の入荷処理を実施する。
【0023】
このとき、データ管理サーバ7の部品入荷指示システム5は、入荷した部品の型式を特定するデータの入力を受けて、組立作業指示システム6が管理する前記型式の部品情報、前記部品を配置する配膳エリア10等の情報を取得し、入荷屋台端末4の表示画面に、前記部品に対する入荷・配膳指示を表示する。
【0024】
この指示に従って入荷・配膳作業が行われ、その終了の確認が行われると、次の部品の入荷・配膳作業を再び実施する。
【0025】
入荷屋台端末4の表示画面には、部品の種類毎に該部品の処理を指示するための表示がなされ、該表示に関連させて前記部品を収納する部品配膳台車1の配膳エリアを示すランプ11を点灯させる。これにより誤りのない入荷・配膳作業を行うことができる。
【0026】
さらに、部品配膳台車1から組立作業屋台8へ部品を移動して行う組立作業においても、上述した部品入荷・配膳作業と同様に、データ管理サーバ7の組み立て作業指示システム6は、台車端末2の表示画面に、部品毎にその組立作業の指示を表示する。すなわち、組み立てる部品毎に該部品の組み立て方法を指示するための表示がなされ、該表示に関連させて前記部品を収納してある部品配膳台車1の配膳エリアを示すランプ11を点灯させる。これにより誤りのない組み立て作業を行うことができる。
【0027】
このように、前記指示に従って配膳台車から部品を取り出し、取り出した部品の製品への組み付けが行われ、その終了の確認が行われると、次の部品の取り出しが再び実施される。
【0028】
このように、本実施形態では、部品の入荷処理から部品の配膳エリア10への配膳、組立作業屋台8への部品移動という一連の作業について、部品入荷指示システム5と組立作業指示システム6とをデータ管理サーバ7を介して連係させ、部品配膳台車1を用いて実施される。
【0029】
次に、本実施形態に係る部品配膳・組み立てシステムを構成する各構成要素について説明する。図1及び図4に示すように、部品配膳台車1には、複数の配膳エリア10が配置されている。そして、配膳エリア10(例えば部品を保管する箱等で構成される)毎に報知装置としての表示灯11(例えばLED等)と作業誤りを検出するためのセンサ12(例えば光電センサ等)が取り付けられている。なお、表示灯11は、それを点灯あるいは点滅することにより、入荷処理を実施した部品を、どの部品エリアに配膳(収容)するのか(あるいはどの部品エリアから取り出すのか)を報知することにより、処理の誤りを防止する。
【0030】
図2は、入荷・配膳作業を説明するフローチャートである。まず、部品が入荷すると、部品入荷指示システム5により、部品情報を表示して部品の入荷処理を行う(S1、S2)。ここでは、入荷屋台端末4の表示装置に配膳エリア10あるいは部品型式等の部品情報を表示する(S3)。
【0031】
部品入荷指示システム5による部品情報の表示と同期して、対応する部品配膳台車1に配置した配膳エリアのランプ11を点灯(または点滅)して配膳場所を報知する(S4)。
【0032】
ここで、作業者は、ランプ11を点灯して報知された配膳エリア10に入荷部品を配膳する(S5)。指定された配膳エリア10以外に部品を配膳すると(S6)、誤配膳はセンサ12により検出され、例えばブザーにより報知し、作業者に注意を促す(S7)。
【0033】
正しい場所に配膳が完了した場合は、配膳完了処理を行う(S8)。これらのステップ(S2〜S8)は作業者が所定の部品入荷作業を終了するまで繰り返される(S9)。全ての部品の出庫作業が終了すると、部品入荷指示システム5は配膳完了を表示する(S10)。その後、部品配膳台車1を所定の組立作業屋台8へ移動(S11)して、組立作業を行う。
【0034】
図3は組立作業を説明するフローチャートである。まず、部品配膳台車端末2の入力装置14を用いて、作業指示書13の読み込み作業を行う(S12)。作業指示書は、部品の組立方法、組立順序、組立作業に使用する治具番号、組立上の注意事項、確認項目などの詳細な作業指示情報であり、読み込んだ作業指示情報は部品配膳台車端末2に表示される(S13)。
【0035】
部品の取り出し指示がある場合(S14)は、部品配膳台車端末2に表示される作業指示情報と同期して、部品配膳台車1の対応する部品を格納した配膳エリア10のランプ11を点灯して報知する(S15)。作業者は部品配膳台車1のランプ11が点灯している配膳エリア10より取り出し(S16)、取り出した部品を用いて、部品配膳台車端末2に表示されている作業を行う(S19)。
【0036】
指定された配膳エリア10以外の部品を取り出すと(S17)、センサ12により検出され、作業誤りをブザー15により報知し、作業者に注意を促す(S18)。
【0037】
部品配膳台車端末2に表示された作業が終了すると、部品配膳台車端末2を操作して、例えば、端末のEnterキーを操作して作業指示情報の画面を切替える(S20)。上記ステップ(S13〜S17)は作業者が所定の組込を終了するまで繰り返される(S21)。全ての組立作業の終了後、組立終了を表示し(S22)、部品配膳台車1を再び部品入荷作業場所に移動させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、部品の入荷処理後、作業指示に従って配膳台車に部品を直接配膳し、配膳が完了すると配膳台車を移動させて組立屋台に部品を供給することができる。また、配膳後の組み立て作業は、組立作業指示により迅速に且つ正確に行うことができる。これにより、入荷および組立作業を効率化し、入荷および組立におけるミスを防止することができる。
【0039】
また、入荷処理時に部品配膳台車に直接部品を配膳するため、部品の保管棚への移動を省略することができ、部品の保管場所を削減することができる。さらに、部品配膳台車を複数台同時に使用し、多品種の同時組立作業を効率よく正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 部品配膳台車
2 配膳台車端末
3 入荷用屋台
4 入荷屋台端末
5 部品入荷指示システム
6 組立作業指示システム
7 データ管理サーバ
8 組立作業屋台
9 生産計画システム
10 配膳エリア
11 ランプ
12 センサ
13 作業指示書
14 入力装置
15 ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の品種毎に製品1台を制作するに要する製作時間データ、及び生産するのに必要とされる部品種データを格納し、予め登録された作業時間、作業人員、および部品配膳台車の配膳エリア数に合わせて、一台の部品配膳台車で複数の品種の製品を組み立てることができ、且つ、使用する全ての部品配膳台車に収納する部品の全てが前記作業時間内に製品の組み立てに使用されるように部品を振分けて収納を指示する生産計画システムと
生産計画システムが作成した生産計画に基づいて製品の組立に使用する部品の組立前の入荷を指示する部品入荷指示システムと、
前記部品入荷指示システムの入荷指示に応じて入荷された部品を移動可能な部品配膳台車の予め定められた部品配膳エリアへの配膳を指示し、予め与えられた製品組立指示情報を基に前記部品配膳台車の部品配膳エリアから所定の部品を取り出して部品組立作業を行うように指示する部品組立作業指示システムと、
部品の入荷作業、配膳作業および組立作業に必要なデータを管理し、管理するデータを前記生産計画システム、部品入荷指示システム、および部品組立作業指示システムに提供するデータ管理サーバとを備え、
前記入荷指示システム、部品組立作業指示システムは、前記データ管理サーバから提供されるデータを基に、入荷指示部品の前記配膳台車の配膳エリアへの配膳作業および前記配膳エリアに配置された部品を用いての製品組立作業を含む一連の作業指示を行うことを特徴とする部品配膳・組み立てシステム。
【請求項2】
請求項1記載の部品配膳・組み立てシステムにおいて、
前記部品組み立て作業指示システムは、入荷した部品を配膳すべき位置である配膳エリアを指示し、指示された配膳エリア以外に部品が配膳されたことを検知したとき警報を発することを特徴とする部品配膳・組み立てシステム。
【請求項3】
請求項1記載の部品配膳・組み立てシステムにおいて、
前記部品配膳台車は、製作する製品の種類により、配膳される部品の種類および配膳エリアを変更可能であることを特徴とする部品配膳・組み立てシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−118690(P2012−118690A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266829(P2010−266829)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】