説明

都市ごみ固形化プラント及び都市ごみ固形化方法

【課題】高含水物と低含水物とが混在するごみを適切に処理して高品質の固形化燃料を製造できる都市ごみ固形化プラントを提供すること。
【解決手段】生ごみ等の高含水物と、古紙やプラスチック等の低含水物とが混在するごみをスクリュークラッシャー2で破砕した後、トロンメルシフター3で基準寸法よりも大きい大寸法ごみと基準寸法よりも小さい小寸法ごみに選別する。水分量の多い小寸法ごみを減圧発酵乾燥機4で乾燥及び脱臭を行う。乾燥及び脱臭後の小寸法ごみを篩機14で大粒子ごみと小粒子ごみに分別する。水分量の小さい大寸法ごみをスクリュークラッシャー5で2次破砕した後、熱風乾燥機6で熱風乾燥する。大粒子ごみ、小粒子ごみ及び2次破砕ごみを、風力選別機15,18,111、磁選機16,112及び非鉄金属セパレータ17,113で不燃物の選別除去を行った後、押出し成形機7で混練、圧縮及び押出し成形して固形化燃料を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみを破砕、乾燥、分別及び固形化処理して固形化物を製造する都市ごみ固形化プラント及び都市ごみ固形化方法に関し、例えば都市ごみを処理して固形化燃料を製造するのに好適な都市ごみ固形化プラント及び都市ごみ固形化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や事業所等から排出される産業廃棄物以外のごみに関して、リサイクルを可能とするために分別収集が進みつつある。分別収集では、例えば生ごみ等の高含水物と、廃プラスチックや古紙等の低含水物とが分別されて収集される。
【0003】
従来、分別収集されたごみを処理して固形化燃料を製造するごみ固形化プラントが提案されている。そのようなごみ固形化プラントとしては、生ごみを破砕する生ごみ破砕機と、破砕した生ごみを発酵させる発酵槽と、生ごみと分けて回収された廃プラスチックや古紙等の可燃物を破砕する可燃物破砕機と、発酵した生ごみと破砕された可燃物とを混合乾燥する混合乾燥機と、混合乾燥された被処理物を成形して固形化燃料を製造する成形機とを備えたものがある(例えば、特開平11−310784号公報参照)。
【0004】
上記従来のごみ固形化プラントは、発酵槽内で発生する発酵熱で生ごみの初期乾燥を行っている。また、混合乾燥機では、発酵槽での初期乾燥後の生ごみと破砕後の可燃物とを混合し、消石灰を添加した後、この混合物を燃焼バーナで加熱することにより、初期乾燥後に生ごみに残留していた水分を効果的に除去するようにしている。
【特許文献1】特開平11−310784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のごみ固形化プラントは、以下のような問題点がある。すなわち、ごみ固形化プラントの処理対象は、生ごみのような高含水物と、廃プラスチック等のような低含水物とが分別されていることが前提であり、高含水物と低含水物とが混在するごみを処理することは想定されていない。
【0006】
最近、ごみの分別収集が進みつつあるものの、特に都市部で顕著であるように、分別収集が行われていない場合や、適切な分別が行われないでごみが排出される場合がある。具体的には、食品が残った状態の樹脂製の容器を、飲料用金属缶と共に樹脂製の袋に入れたごみのように、高含水物と低含水物が混在し、かつ、可燃物と不燃物が混在したごみが排出される。従来のごみ固形化プラントは、このようなごみを処理することは想定していないので、実際の収集事情に適応し難いという問題がある。
【0007】
また、上記発酵槽は、生ごみの発酵熱で乾燥を行うので効率が比較的悪く、水分量の低減作用が不十分であるという問題がある。水分量の低減が不十分であるから、発酵後の生ごみを混合乾燥機で可燃物と混合した後、燃焼バーナで再度乾燥を行うことになる。このように、従来のごみ固形化プラントは、乾燥効率と、乾燥のための燃料効率が悪いという問題がある。
【0008】
また、上記混合乾燥機は、生ごみを含む混合物を燃焼バーナで乾燥するので、排気に塵と臭気が混ざり、また、ダイオキシンの発生を招く虞がある。その結果、混合乾燥機からの排気に対して高度な脱臭と防塵が必要となり、設備コストの増大を招きやすいという問題がある。また、燃焼バーナで乾燥を行うと、ごみに含まれるプラスチック片が溶融し、このプラスチックの溶融物が乾燥機内に付着して、乾燥機の早期劣化を招いたり、メンテナンスの手間を増大するという問題がある。
【0009】
また、上記発酵槽は生ごみの発酵が不十分になりやすいので、固形化燃料の成形後においても生ごみ成分の発酵や腐敗が続き、固形化燃料が温度上昇して発火する虞がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、高含水物と低含水物とが混在するごみを適切に処理できて、現実に収集されたごみを適切に処理できる都市ごみ固形化プラントを提供することにある。また、生ごみのような高含水物を効率良く乾燥できて、乾燥効率と燃料効率を向上できる都市ごみ固形化プラントを提供することにある。また、大幅なコスト上昇を招くことなく、粉塵やダイオキシンの発生を効果的に防止できる都市ごみ固形化プラントを提供することにある。また、乾燥処理に伴う乾燥機の劣化やメンテナンスの増大を防止できる固形化プラントを提供することにある。また、成形後の固形化燃料が発火する不都合を確実に防止できる都市ごみ固形化プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の都市ごみ固形化プラントは、高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕する1次破砕機と、
上記1次破砕機で破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別する寸法選別機と、
所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧した環境下で上記小寸法ごみを乾燥する第1乾燥機と、
上記大寸法ごみを破砕する2次破砕機と、
上記2次破砕機で破砕された2次破砕ごみを熱風で乾燥する第2乾燥機と、
上記第1乾燥機で乾燥された小寸法ごみと、上記第2乾燥機で乾燥された2次破砕ごみとを混錬、圧縮及び成形する成形機と
を備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、高含水物と低含水物とが混在するごみが上記1次破砕機で破砕され、この1次破砕ごみは、上記寸法選別機によって、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別される。このように選別された上記大寸法ごみは水分量が小さく、上記小寸法ごみは水分量が大きい。すなわち、生ごみ等の高含水物と廃プラスチック等の低含水物とが混在して収集されても、1次破砕の後、上記基準寸法に基づいて分別することにより、水分量の大きいごみと小さいごみとに選別することができる。
【0013】
上記水分量が大きい小寸法ごみは、上記第1乾燥機によって、所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧した環境下で乾燥される。第1乾燥機では、減圧に伴って沸点が降下するので、小寸法ごみは水分量が大きいにもかかわらず、少ない熱量で効率良く乾燥する。また、小寸法ごみは、微生物によって分解されるので、臭気が効果的に除去される。このように、水分量の大きい小寸法ごみは、第1乾燥機のみによって効果的に乾燥するので、従来のように燃焼バーナを用いて再度乾燥する必要が無い。しがたって、燃焼バーナの使用に伴う塵やダイオキシンが生じないので、高度な防塵や脱臭が不要であり、設備コストの増大を防止できる。
【0014】
従来、家庭や事業所からのごみを用いて固形化燃料を製造する際、水分量の大きい生ごみ等の乾燥が困難であったことから、水分を吸着するために生石灰を添加する固形化燃料の製造方法が提案されていた。しかしながら、生石灰が添加された固形化燃料は、残留する生石灰が水和反応によって発熱し、火災を招く虞が指摘されている。これに対して、本発明の都市ごみ固形化プラントが備える第1乾燥機は、従来乾燥が困難であった生ごみを含む小寸法ごみを効果的に乾燥できるので、生石灰を添加する必要が無い。したがって、残留した生石灰に起因する火災の不都合を確実に防止できる。
【0015】
また、小寸法ごみは、上記微生物によって効率良く分解されるので、この小寸法ごみと2次破砕物とを混練成形してなる固形化物は、成形後に発酵や腐敗が進行することが効果的に防止される。したがって、固形化物の腐敗を防止するために消石灰を添加する必要が無いので、固形化物の燃焼によって生じる灰の量を削減できる。
【0016】
ここで、第1乾燥機は、乾燥にかかる時間を短縮するために小寸法ごみを加熱するのが好ましい。この場合、第1乾燥機内は減圧されて沸点が降下しているので、加熱量を少なくできる。したがって、従来のように燃焼バーナで大量の熱を与える必要が無く、例えば水蒸気による熱交換等によって少ないエネルギーで高効率に乾燥を行うことができる。また、低温で乾燥を行うことができるので、高温による微生物の死滅を効果的に防止できる。また、低温で乾燥を行うことができるので、小寸法ごみにプラスチック片が混入していても、プラスチック片が溶融して第1乾燥機内に付着する等の不都合を防止できる。したがって、第1乾燥機の耐久性の低下を防止でき、また、メンテナンスの手間を削減できる。
【0017】
また、第1乾燥機によって小寸法ごみを効果的に乾燥すると共に臭気を低減するので、乾燥後の小寸法ごみは、混入された金属等の再生資源を容易に分別することができる。従来は、生ごみが混入した高含水ごみは水分量の低減が困難であったので、再生資源の分別を行うことは実質的に不可能であった。これに対して、本発明の都市ごみ固形化プラントが備える第1乾燥機は、生ごみを含んで水分量の大きい小寸法ごみを十分に乾燥及び脱臭できるので、乾燥及び脱臭後の小寸法ごみから金属等の再生資源を容易に分別でき、再利用を図ることができる。また、乾燥及び脱臭後の小寸法ごみから金属等の重量物片を分別除去できるので、成形機の圧縮部品に重量物片が噛み込む等の不都合を防止できる。
【0018】
詳しくは、本発明の都市ごみ固形化プラントは、第1乾燥機によって小寸法ごみを効果的に乾燥できるので、乾燥後の小寸法ごみに対して、篩機を用いた更なる寸法選別や、風力選別機を用いた重量物と軽量物の分別を行うことが可能となる。従来のごみ固形化プラントでは、乾燥工程の後においても水分量が多かったので、篩機を用いて寸法選別を行ったり、風力選別機を用いて重量物等の分別を行うのは不可能であった。したがって、収集ごみに混入している土砂、ガラス、陶磁器、おもちゃ及び乾電池等を確実に選別除去することができず、これらの重量物や高硬度物によって、成形機の圧縮部品の早期磨耗や破損を招く虞があった。
【0019】
これに対して、本発明の都市ごみ固形化プラントは、第1乾燥機により、減圧環境下で微生物を用いた発酵乾燥を行うことにより、低温で効果的に乾燥を行うことができる。例えば、水分量が80〜90wt%のごみを、10〜15wt%程度の低水分量にまで乾燥させることができる。したがって、乾燥後の小寸法ごみを、目詰まり等の問題が生じることなく篩機によって更に寸法選別を行うことができる。そして、篩機で選別を行った大粒子ごみと小粒子ごみを、夫々別個に風量選別機にかけて重量物と軽量物に分別することができる。その結果、小寸法ごみに混入した土砂、ガラス、陶磁器、おもちゃ及び乾電池等を確実に分別除去できるので、成形機の圧縮部品、例えば、被処理物を圧縮する螺旋軸の磨耗や、この螺旋軸の先端に近接配置されて被処理物の押出し孔が形成された端面板の磨耗を、効果的に低減できる。しかも、小寸法ごみから分別された土砂、ガラス、陶磁器、おもちゃ及び乾電池等から、金属を分別採取して再利用することにより、資源リサイクルを促進することができる。
【0020】
このように、本発明の都市ごみ固形化プラントは、第1乾燥機により、減圧環境下、微生物を用いて低温で効果的に乾燥及び有機物分解を行うので低水分かつ低臭気であり、しかも、不燃物が確実に除去されて高密度かつ高熱量であり、更に、生石灰や消石灰が添加されなくて燃焼後の灰分が少ない高品質の固形化燃料を、成形機の部品の磨耗や故障が低減された状態で、安定して製造することができるのである。
【0021】
上記第1乾燥機内に添加される微生物は、海、山及び陸の夫々から採取された複数種類の土着菌であるのが好ましい。このような複数種類の土着菌を小寸法ごみに添加し、適切な温度環境で活性化させることにより、発酵菌が卓越して腐敗菌の繁殖が抑制されて、第1乾燥機内が発酵環境となる。その結果、主に有機物で構成された小寸法ごみが効率良く分解されて、腐敗臭が生じることなく脱臭が行われる。第1乾燥機内に添加される微生物としては、具体的には、下記のような酵素のうちの少なくとも1つを有する微生物が含まれているのが好ましい。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの複数の酵素を含む複数の微生物が小寸法ごみに添加されることにより、小寸法ごみに含まれる複数種類の物質に対応するいずれかの微生物が活性化して、小寸法ごみを適切に分解できる。また、微生物は、幅広い物質を分解するために、複数の異なる地域や場所から採取された土着菌を用いるのが好ましい。
【0022】
一方、上記大寸法ごみは、2次破砕機によって破砕されて、小寸法ごみと同等の寸法の2次破砕ごみとなる。この2次破砕ごみは、第2乾燥機によって熱風で乾燥される。第2乾燥機が乾燥を行う2次破砕ごみは水分量が小さいので、比較的低温の熱風で迅速に乾燥を行うことができる。また、2次破砕ごみは、小寸法ごみと選別されて生ごみが含まれていないので、熱風乾燥の排気に塵や悪臭が生じることが殆ど無い。したがって、高度な防塵や脱臭が不要であり、設備コストの増大を防止できる。また、比較的低温の熱風で乾燥を行うことができるので、第2乾燥機内にプラスチック等が溶融して付着する不都合を防止できる。これにより、第2乾燥機のメンテナンスの手間を削減でき、寿命の延長を図ることができる。
【0023】
上記第1乾燥機で乾燥された小寸法ごみと、上記第2乾燥機で乾燥された2次破砕ごみは、成形機で混練、圧縮及び成形される。これによって得られた固形化物は燃料に用いることができる。燃料としての固形化物は、材料である小寸法ごみと大寸法ごみが水分量に応じて適切に乾燥されているので、水分量が従来よりも少ない。したがって、従来よりも着火しやすく、熱量の大きい燃料が得られる。
【0024】
このように、本発明の都市ごみ固形化プラントによれば、高含水物と低含水物とが混在するごみから良好な品質の固形化物を製造できるので、高含水物と低含水物が混合して排出される場合の多い都市部においても、ごみの収集事情に良好に適応することができる。
【0025】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記寸法選別機は、上記基準寸法に対応する寸法の網目が形成されて回転駆動される円筒形状の網かごを有する。
【0026】
上記実施形態によれば、混在する高含水物と低含水物が破砕されてなる1次破砕ごみを、上記円筒形状の網かご内に投入して回転駆動することにより、この網かごの網目を通過する小寸法ごみと、網目を通過しないで残る大寸法ごみとに効率良く選別することができる。これにより、水分量の大きいごみと小さいごみとに効率良く選別することができる。
【0027】
なお、寸法選別機としては、円筒形状の網かごを回転駆動するものに限られず、例えば、一方端部又は中間部の上面に被処理物が供給される複数の短冊状の篩板と、各篩板を水平状又は傾斜状にクランクピンで支持して機台に回転可能に軸承されたクランク軸と、このクランク軸を駆動して篩板を上下かつ前後に揺動させて、この篩板の上面において一方端部又は上記中間部から他方端部へと被処理物を推進させる駆動部とを備えた揺動型選別機を用いることができる。この揺動型選別機により、上記篩板を通過する小寸法の重量物及び軽量物と、上記篩板の下端から排出される大寸法の重量物と、上記篩板の上端から排出される大寸法の軽量物とに選別できる。
【0028】
あるいは、寸法選別機として、複数の大小の輪体が交互に軸方向に配列されたロータを軸直角方向に複数配列し、隣接する上記ロータの輪体間に篩目を形成したロータ型選別機であってもよい。このロータ型選別機は、被処理物を上記複数のロータの輪体上に載置してロータの配列方向の一端側から他端側へ向かって搬送するに伴って、上記被処理物を、上記篩目を通過する小寸法物と、上記ロータの配列方向の他端側から排出される大寸法物との少なくとも二つに選別することができる。また、このロータ型選別機としては、ロータの配列方向の他端側が一端側よりも上方に位置するように傾斜させ、この傾斜角度を調節可能にして、被処理物の選別の基準寸法を変更可能にしたものを用いることもできる。
【0029】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記基準寸法は、50mm以上75mm以下である。
【0030】
上記実施形態によれば、50mm以上75mm以下の範囲に含まれる基準寸法に基づくことにより、上記1次破砕ごみを、水分量が大きい小寸法ごみと、水分量が小さい大寸法ごみとに適切に選別することができる。好ましくは、上記基準寸法は概ね60mmである。基準寸法を概ね60mmにすることにより、小寸法ごみと大寸法ごみとを、水分量に応じて分別することができる。
【0031】
なお、上記小寸法ごみに関して、大きい水分量とは、好ましくは80wt%以上90wt%以下の水分量である。また、上記大寸法ごみに関して、小さい水分量とは、好ましくは30wt%以下の水分量である。
【0032】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記第1乾燥機は、上記小寸法ごみを70℃以下の温度にして乾燥を行う。
【0033】
上記実施形態によれば、第1乾燥機において、小寸法ごみを70℃以下の温度にして乾燥を行うことにより、この小寸法ごみに含まれる微生物の死滅を防止することができるので、安定して小寸法ごみを分解できる。また、第1乾燥機の内部に小寸法ごみが焦げ付く不都合を防止できる。また、第1乾燥機内は減圧されて沸点が降下しているので、70℃以下であっても水分量の大きいごみを効率良く乾燥することができる。特に、上記微生物として発酵菌を添加した場合、上記第1乾燥機による加熱温度を70℃以下とすることにより、発酵菌の死滅を効果的に防止できる。
【0034】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記第1乾燥機は、大気圧よりも400hPa以上800hPa以下の圧力だけ低減した環境下で、上記小寸法ごみの乾燥を行う。
【0035】
上記実施形態によれば、第1乾燥機内の沸点が適切な値に降下するので、比較的低い温度で水分を蒸発できて、第1乾燥機による乾燥効率を向上できる。また、第1乾燥機内の乾燥温度を、発酵菌の活性化に適した温度にして発酵環境を形成し、その結果、腐敗菌を減少させて悪臭を減少できる。ここで、減圧値が400hPaよりも少ないと、沸点の降下が不十分となり、加熱によって発酵菌が死滅する場合がある。一方、減圧値が800hPaよりも大きいと、沸点が大幅に降下して、乾燥効率が低下する場合がある。
【0036】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記第2乾燥機の熱風の温度は、200℃以下である。
【0037】
上記実施形態によれば、第2乾燥機には、水分量が小さい大寸法ごみが破砕されてなる2次破砕ごみが供給されるので、200℃以下の温度の熱風によって効率良く乾燥できる。これにより、例えばプラスチックが溶融して第2乾燥機の内部に付着することが防止され、メンテナンスの手間を削減できると共に、寿命を延長することができる。また、ダイオキシンの発生を防止できる。
【0038】
一実施形態の都市ごみ固形化プラントは、上記成形機は、上記小寸法ごみと2次破砕ごみとが投入される投入口が上面に形成されたケーシングと、このケーシングの端面に配置されて排出ノズルが設けられた端面板と、上記ケーシング内に収容され、軸方向に連結されていると共に上記端面板側ほど螺旋羽根の間隔が小さく形成された3つの螺旋軸とを有する。
【0039】
上記実施形態によれば、上記投入口からケーシング内に投入された小寸法ごみと2次破砕ごみを、上記3つの螺旋軸によって順次混練及び圧縮し、上記端面板の排出ノズルから押出して成形する。上記3つの螺旋軸は、螺旋羽根の間隔が端面板側ほど小さく形成されていることにより、小寸法ごみと2次破砕ごみを比較的高い密度に圧縮することができる。また、上記小寸法ごみと2次破砕ごみを比較的高密度に圧縮することにより、比較的高い圧縮熱を生成できるので、2次破砕ごみとしての例えばプラスチック片を効果的に溶融して、小寸法ごみの粒子を効果的に結合することができる。具体的には、上記3つの螺旋軸は、カサ比重が0.025の被処理物を圧縮して、カサ比重が0.45以上0.5以下の固形化物を生成するように構成されているのが好ましい。
【0040】
また、本発明の都市ごみ固形化方法は、高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕する工程と、
上記破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別する工程と、
上記小寸法ごみを、所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧された環境下で乾燥する工程と、
上記大寸法ごみを破砕して2次破砕ごみを得る工程と、
上記2次破砕ごみを熱風で乾燥する工程と、
上記乾燥した大寸法ごみを粉砕する工程と、
上記乾燥した小寸法ごみと、上記乾燥した2次破砕ごみとを混練、圧縮及び成形する工程とを備えることを特徴としている。
【0041】
上記構成によれば、高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕し、これにより破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別する。上記基準寸法に基づくことにより、水分量が大きい小寸法ごみと、水分量が小さい大寸法ごみとを選別できる。この基準寸法は、50mm以上75mm以下であるのが好ましい。さらに好ましくは、上記基準寸法は概ね60mmである。
【0042】
また、上記水分量が大きい小寸法ごみを、所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧された環境下で乾燥することにより、小寸法ごみを効果的に分解できると共に、比較的低温で乾燥することができる。また、乾燥温度が低温であるから、微生物の死滅を防止して安定した分解効果が得られる。ここで、小寸法ごみの温度を70℃以下にして乾燥を行うのが好ましい。また、大気圧よりも400hPa以上800hPa以下の範囲内の値だけ減圧して乾燥を行うのが好ましい。
【0043】
また、上記大寸法ごみを破砕してなる2次破砕ごみは水分量が小さいので、比較的低い温度の熱風で乾燥できる。この2次破砕ごみを乾燥する温度は、200℃以下であるのが好ましい。このように、大寸法ごみを破砕した2次破砕ごみを、小寸法ごみと分けて比較的低い温度で乾燥できるので、小寸法ごみを高温熱風で乾燥する場合のような塵や臭気の発生や、ダイオキシンの発生を防止できる。
【0044】
上記乾燥した小寸法ごみと、上記2次破砕ごみとを混練、圧縮及び成形することにより、水分量が少なくて熱量が大きい固形化物を製造できる。また、微生物の存在下、減圧発酵乾燥を行うことにより小寸法ごみを十分に分解できるので、固形化物が、成形後に発酵や腐敗が進行して温度上昇して発火する等の不都合を防止できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕機で破砕し、この破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別機で選別することにより、水分量の小さいごみは上記大寸法ごみに、また、水分量の大きいごみは上記小寸法ごみに適切に選別できる。この水分量が大きい小寸法ごみを、所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧した環境下で第1乾燥機によって乾燥することにより、少ない熱量で効率良く乾燥でき、しかも、効果的に分解して臭気の除去を行うことができる。また、水分量が小さい大寸法ごみは、2次破砕機で破砕して2次破砕ごみにした後、第2乾燥機によって比較的低温の熱風で乾燥できる。このように、第1及び第2乾燥機のいずれにおいても、従来よりも低温で、しかも、効果的に乾燥を行うことができる。したがって、燥機機内に例えばプラスチック等が溶融して付着する不都合を防止でき、また、高温乾燥に伴うダイオキシンの発生や粉塵の発生を防止できる。また、生ごみを含む材料に、水分を吸着するために生石灰を添加したり、固形化燃料に残留する有機物の腐敗を防止するために消石灰を添加したりする必要が無い。さらに、乾燥後の小寸法ごみと2次破砕ごみとを成形機で混練、圧縮及び成形することにより、水分量が従来よりも少なくて熱量の大きい燃料が得られる。このように、本発明の都市ごみ固形化プラントは、ごみの高含水物と低含水物との分別収集が行われない場合においても、ごみ収集事情に良好に適応して、高い品質の固形化物を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の都市ごみ固形化プラントを図示の実施形態により詳細に説明する。
【0047】
図1は、本実施形態の都市ごみ固形化プラントの構成と、この固形化プラントで実行される工程を示す模式図であるである。この都市ごみ固形化プラントは、例えば都市のごみ収集施設に配備され、家庭や事業所から排出される産業廃棄物以外の廃棄物を処理して、固形化燃料を製造するものである。この都市ごみ固形化プラントは、収集されたごみが搬入されるピット1と、このピット1のごみを破砕する1次破砕機2と、所定の基準寸法に基づいて大寸法ごみと小寸法ごみとに選別する寸法選別機3と、減圧環境下で発酵乾燥を行う1次燥機4と、記大寸法ごみを破砕する2次破砕機5と、2次破砕ごみを熱風で乾燥する第2乾燥機6と、乾燥後の小寸法ごみと乾燥後の2次破砕ごみとを混錬、圧縮及び成形する成形機7とで大略構成されている。以下、この都市ごみ固形化プラントにより、ごみを処理して固形化燃料を製造する方法を、工程に分けて詳細に説明する。
(搬入工程)
【0048】
まず、都市ごみ固形化プラントに、家庭や事業所から排出された所謂一般ごみが搬入され、この一般ごみはピット1に配置される。一般ごみは、通常、30〜60リットルのごみ袋に詰められており、生ごみのような水分量の大きい可燃物や、古紙、布、あるいは、プラスチックのような水分量の小さい可燃物や、金属等の不燃物が混在したものが多く含まれている。また、一般ごみに分類されない電気製品や危険物等が混入している場合もある。
【0049】
上記ピット1には、家具や家電製品等の粗大ごみを粗砕機11で粗破砕して投入される。粗砕機11としては、ハンマークラッシャーやスクリュークラッシャーなどを用いることができる。スクリュークラッシャーは2軸式及び1軸式のいずれでもよい。粗砕機11によって粗破砕された粗破砕ごみは、ベルトコンベヤC1上に載置された状態で磁選機12に送られ、この磁選機12で鉄等の磁性物が選別除去され、非鉄金属セパレータ13でアルミニウム等の非鉄金属が選別除去された後、ピット1に投入される。磁選機12で選別された磁性物M1は磁性物貯留ホッパH1に送られ、また、非鉄金属セパレータ13で選別された磁性物M1は磁性物貯留ホッパH2に送られる。粗砕機11で粗破砕された粗破砕ごみは、ピット1に投入されて一般ごみと混ざり、一般ごみと同じ工程によって処理が施される。
【0050】
なお、ピット1には、家具や家電製品等の粗大ごみを粗破砕して投入しなくてもよく、この場合、粗砕機11、磁選機12及び非鉄金属セパレータ13は不要である。
(1次破砕工程)
【0051】
ピット1内のごみは、バケットクレーンやコンベヤによって1次破砕機2に送られる。1次破砕機2では、寸法が比較的大きい古紙やプラスチックや木材等が破砕されて15cm程度の寸法になる。また、複合材製品が破砕されて、プラスチックや木材等の可燃物や、金属等の不燃物が互いに分離することにより、後の工程における金属選別が容易になる。また、1次破砕機2によってごみ袋が破られて、中身のごみが解ぐされる。
【0052】
1次破砕機2としては、図2の断面図に示すようなスクリュークラッシャー2を用いることができる。このスクリュークラッシャー2は、上部に投入開口21を有するケーシング20内に、平行な2本の回転軸24,24を備える。この回転軸24,24の周りに螺旋体25,25が固定され、この螺旋体25,25の外側縁に複数の回転刃26が固定されている。この刃26はケーシングに設けられた図示しない固定刃に近接して配置されている。ケーシング20は、破砕された破片を搬出するベルトコンベヤC2を股ぐように脚台28上に支持されており、下部に格子状のスクリーン29が設けられている。
【0053】
上記スクリュークラッシャー2が作動すると、図示しないモータによって回転軸24,24が矢印R1,R2で示すように互いに逆向きに回転駆動されて、螺旋体25,25が上方から下方に向かって互いに噛み合い動作すると共に、回転刃26が固定刃に近接して回転する。これにより、投入された被処理物を砕き、また、切断して、15cm程度以下の寸法にする。15cm程度以下の寸法に破砕されたごみは、スクリーン29を通過してベルトコンベヤC2上に落下して、寸法選別機に送られる。
【0054】
なお、上記スクリュークラッシャー2は1軸構造であってもよく、また、1次破砕機としてハンマークラッシャーを用いてもよい。
【0055】
また、ピット1から搬出したごみを、1次破砕機2に送る前に、破袋工程及び手選別工程を経由させてもよい。破袋工程では、ピット1からバケットクレーン等で送られたごみが破袋機に投入され、この破袋機によってごみ袋が破られて中身のごみが解ぐされる。破袋機としては、搬送面に複数の突起が設けられたベルトコンベヤと、このベルトコンベヤの搬送面に対向して配置され、外周面に破袋刃が設けられてベルトコンベヤの搬送方向と逆向きに回転駆動されるロールとを備えたものを用いることができる。手選別工程では、破袋機によって解ぐされたごみから、固形化燃料の製造に不適である不適物が人手によって除去される。不適物としては、農薬やガスボンベ等の危険物、鍋やフライパン等の調理器具、食器類、ガラス製品、掃除機や扇風機等の小型電気製品、壁掛け時計や体重計等の器具類等がある。手選別工程では、磁選機を用いて鉄等の磁性物を選別除去し、また、非鉄金属セパレータを用いてアルミニウム等の非鉄金属を選別除去してもよい。なお、破袋工程及び手選別工程は無くてもよい。
(寸法選別工程)
【0056】
1次破砕が行われたごみは、寸法選別機3に導かれる。寸法選別機3は、破砕されたごみを、所定の基準寸法よりも大きい寸法の大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい寸法の小寸法ごみとに選別する。本実施形態の基準寸法は概ね60mmであるが、基準寸法は50mm以上75mm以下の範囲の他の値を用いてもよい。
【0057】
寸法選別機としては、図3の断面図に示すようなトロンメルシフター3を用いることができる。このトロンメルシフター3は、ケーシング31内に、水平面に対して10℃程度傾斜して設置された円筒形状の網かご32を収容している。この網かご32の網目は、上記基準寸法に対応して60mmの寸法を有する。この円筒形状の網かご32は、端部の環状フレームの外周を取り巻くようにスプロケット33が形成されており、このスプロケット33に巻き回されたチェーンを介して図示しないモータで回転駆動されるようになっている。ケーシング31の一端面に隣接して投入ホッパ35が設けられており、この投入ホッパ35の下端の開口が網かご32の一端側の開口に連なっている。ケーシング31の下部には、網かご32の全周面の下方に位置する第1排出口36と、網かご32の他端側の開口の下方に位置する第2排出口37とが設けられている。網かご32の内周面には、回転軸と平行に伸びると共に径方向内側に突出する4枚の羽根39,39・・・が、互いに90度毎の角度をおいて固定されている。
【0058】
上記トロンメルシフター33が作動すると、網かご32が回転駆動され、1次破砕されたごみが投入ホッパ35を介して網かご32内に投入される。投入されたごみは、傾斜状態で回転する網かご32内を転がりつつ羽根39,39・・・で攪拌されながら、傾斜の下り側の端である他端に向かって移動する。このとき、寸法が60mm以下の小寸法ごみは、網かご32の網目を通過して下方に落下し、矢印W1で示すように第1排出口36からケーシング31外に排出される。一方、寸法が60mmよりも大きい大寸法ごみは、網かご32の網目を通過することなく他端側に達し、この他端側の開口から網かご32外に排出され、矢印W2で示すように第2排出口37からケーシング31外に排出される。第1排出口36から排出された小寸法ごみは第1の定量供給機Q1に送られる。一方、第2排出口37から排出された大寸法ごみは、ベルトコンベヤC4に受け取られて、後述する2次破砕機5に送られる。
【0059】
上記トロンメルシフター3によって選別されたごみのうち、寸法が基準寸法の60mmよりも小さい小寸法ごみは、80wt%以上90wt%以下の水分量を有する。一方、寸法が基準寸法の60mmよりも大きい大寸法ごみは、30wt%以下の水分量を有する。上記小寸法ごみには、主に、生ごみ、金属、陶器片及びガラス片等が含まれる。上記大寸法ごみには、主に、紙、布及びプラスチック等が含まれる。
【0060】
なお、寸法選別機としては、トロンメルシフターに限られず、例えば、短冊状の複数の篩板を揺動駆動させる揺動型選別機を用いることもできる。この揺動型選別機は、一方端部又は中間部の上面に被処理物が供給される複数の短冊状の篩板と、各篩板を水平状又は傾斜状にクランクピンで支持して機台に回転可能に軸承されたクランク軸と、このクランク軸を駆動して篩板を上下かつ前後に揺動させて、この篩板の上面において一方端部又は上記中間部から他方端部へと被処理物を推進させる駆動部とを備える。この揺動型選別機により、上記篩板を通過する小寸法の重量物及び軽量物と、上記篩板の下端から排出される大寸法の重量物と、上記篩板の上端から排出される大寸法の軽量物とに選別できる。
【0061】
あるいは、寸法選別機として、隙間をおいて配列されて篩状をなす複数のロータで選別を行うロータ型選別機を用いることもできる。このロータ型選別機は、複数の大小の輪体が交互に軸方向に配列されたロータを軸直角方向に複数配列し、隣接する上記ロータの輪体間に篩目を形成する。上記複数のロータの輪体上に被処理物を載置し、ロータの配列方向の一端側から他端側へ向かって搬送するに伴って、上記被処理物を、上記篩目を通過する小寸法物と、上記ロータの配列方向の他端側から排出される大寸法物との少なくとも二つに選別することができる。また、このロータ型選別機としては、ロータの配列方向の他端側が一端側よりも上方に位置するように傾斜させ、この傾斜角度を調節可能にして、被処理物の選別の基準寸法を変更可能にしたものを用いることもできる。
(減圧発酵乾燥工程)
【0062】
上記小寸法ごみは、定量供給機Q1を経由して1次乾燥機4に送られて、減圧環境下で減圧発酵乾燥が行われる。図4Aは、1次乾燥機としての減圧発酵乾燥機4を示す模式図であり、図4Bは、減圧発酵乾燥機4の横断面図である。
【0063】
この減圧発酵乾燥機4は、被処理物である小寸法ごみが内部に供給され、内部気圧を大気圧以下に保持するように気密に形成された筒状のケーシング40を備える。このケーシング40の下部にヒータージャケット41が設けられており、ボイラー42から加熱蒸気が供給されて、ケーシング40内の被処理物を加熱するようになっている。上記ケーシング40内の上部には、被処理物からの水蒸気を凝縮する凝縮部43が設けられている。また、上記ケーシング40の内側には、回転駆動されて被処理物を攪拌する攪拌装置44が配置されている。ケーシング40内の被処理物は微生物が添加され、乾燥処理と共に、有機物の発酵及び分解を行うようになっている。
【0064】
上記凝縮部43は、図4Bに示されるように、ケーシング40の上部の内側面に近接して配置され、このケーシング40の長手方向に延在する複数の冷却管43a,43a・・・と、この冷却管43a,43a・・・の下側に形成されて凝縮水を集める集水部43bとを有する。
【0065】
上記攪拌装置44は、ケーシング40の外側に設けられたモータMの出力軸に連結されて長手方向に延在する回転軸44aと、この回転軸44aに固定されて径方向に延在する板状の送り部44bと、この送り部44bの先端に固定されたブレード状の掻き取り部44cとを有する。この攪拌装置の回転軸44aと送り部44bの内部には中空室44dが形成されており、この中空室44dにボイラー42から加熱蒸気が供給されて、被処理物を攪拌しつつ加熱するようになっている。
【0066】
上記凝縮部の冷却管43aはクーリングタワー45に接続されており、このクーリングタワー45で冷却された冷却水が冷却水ポンプPによって冷却管43aに供給される。冷却管43aに供給された冷却水は、被処理物からの水蒸気と熱交換を行って温度上昇した後、ケーシング40外に排出されてクーリングタワー45に戻されるようになっている。クーリングタワー45は、冷却水を受ける受水槽45aと、この受水槽45aから冷却水を汲み上げる汲み上げポンプWPと、この汲み上げポンプWPで汲み上げられた冷却水を噴射するノズル45bと、このノズル45bから噴射された冷却水が流下する流下部45cと、この流下部45cを流れる冷却水に風を送るファン45dとを有する。この流下部45cには冷却水の蒸発を促進する充填材が設けられている。
【0067】
凝縮部43で凝縮されて集水部43bに集められた凝縮水は、真空ポンプVPによってケーシング40内の空気と共に排出されて、クーリングタワーの受水槽45aに導かれる。これにより、凝縮水が冷却水に混ざり、クーリングタワー45と凝縮部43との間を循環するようになっている。この冷却水には、ケーシング40内の被処理物に添加されたものと同じ微生物が添加されており、冷却水に混ざった凝縮水に含まれる臭気成分等の分解を行うようにしている。この微生物の多くは、クーリングタワーの流下部45cに設けられた充填材に担持される。
【0068】
この減圧発酵乾燥機4によって、以下のように小寸法ごみの乾燥及び分解処理が行われる。被処理物としての小寸法ごみは、ケーシング40の上部の投入口40aから投入される。ケーシング40内の被処理物Wは、ジャケット41と攪拌装置44に供給される加熱蒸気によって加熱されながら、攪拌装置44の送り部44bによって回転軸44aと平行方向に送られつつ攪拌される。ボイラー42からケーシングのヒータージャケット41や、攪拌装置の中空室44dに供給する加熱蒸気の温度は、約120℃程度であるのが好ましい。ジャケット41が設けられた部分のケーシング40の内側面に付着しようとする被処理物が、攪拌装置44の掻き取り部43cによって掻き取られる。
【0069】
ケーシング40内の空気が真空ポンプVPで吸引されて減圧が行われる。減圧は、ケーシング40内部が大気圧(例えば1013hPa)よりも400hPa以上800hPa以下の範囲内の値だけ低減するように行われる。これにより、ケーシング40内の沸点が、60℃程度から80℃程度の間の温度に降下するので、被処理物Wが比較的低い温度で効率的に乾燥する。被処理物Wの乾燥に伴って生じた水蒸気は、ケーシング40内の凝縮部43によって効率的に凝縮され、真空ポンプVPによって速やかに排出される。このように、沸点降下と凝縮との相互作用により、迅速かつ効率的に被処理物Wを乾燥させることができる。なお、被処理物Wの重さや水分量等に応じて、ケーシング40内部の減圧値やヒータージャケット41等への加熱蒸気の温度等を調節することにより、被処理物Wの温度を70℃以下にするのが好ましく、65℃程度にするのが特に好ましい。
【0070】
ケーシング40内の被処理物Wは、乾燥処理に加えて、微生物による分解処理が行われる。被処理物に添加される微生物は、海、山及び陸の夫々から採取された複数種類の土着菌であるのが好ましい。例えば、海に由来する土着菌としては、魚の内臓に存在する菌を用いることができる。また、山に由来する土着菌としては、笹類あるいは果物等に存在する菌を用いることができる。また、陸に由来する土着菌としては、よもぎやハーブ等の草木に存在する菌や、乳酸菌等を用いることができる。これらの土着菌が存在する材料を、おがくず、米ぬか、籾殻あるいは稲殻等の培養床に混ぜて、栄養分を加えて培養することにより、被処理物Wを処理するのに十分な量の微生物が得られる。このように複数種類の土着菌を含む微生物を被処理物Wに添加し、適切な温度環境で活性化させることにより、発酵菌が卓越して腐敗菌の繁殖が抑制されて、ケーシング40内が発酵環境となる。その結果、主に有機物で構成された被処理物Wが効率良く分解されて、腐敗臭が生じることなく脱臭が行われる。ケーシング40に添加される微生物としては、好ましくは、下記のような酵素のうちの少なくとも1つを有する微生物が含まれている。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの複数の酵素を含む複数の微生物が被処理物Wに添加されているので、被処理物Wに含まれる複数種類の物質に対応するいずれかの微生物が活性化して、被処理物Wが適切に分解される。微生物は、幅広い物質を分解するために、複数の異なる地域や場所から採取するのが好ましい。
【0071】
真空ポンプVPによってケーシング40から排出された凝縮水は、クーリングタワー45に導かれて冷却水に混ざり、クーリングタワー45と凝縮部43との間を循環する。凝縮水に含まれる臭気成分等が、冷却水に添加された微生物によって分解される。したがって、従来のように排気を脱臭するための脱臭装置は不要である。
【0072】
ケーシング40内で乾燥処理及び分解処理が行われた被処理物Wは、排出口40bから排出され、後の第1選別工程に導かれる。
【0073】
このように、本実施形態の都市ごみ固形化プラントの減圧発酵乾燥機4は、ケーシング40内を減圧して沸点を降下することにより、70℃以下の低い温度で効率良く乾燥を行うことができる。乾燥が完了したとき、被処理物としての小寸法ごみの水分量は、好ましくは10wt%程度から15wt%程度である。さらに、被処理物の乾燥温度を低くすることにより、微生物を活性化して被処理物の分解を促進することができる。また、沸点の降下によって凝縮部43における熱交換温度が低くなるので、冷却水の温度上昇が少なくなり、冷却水に含まれる微生物が活性化して、凝縮水に起因する臭気の発生を防止できる。
【0074】
また、この減圧発酵乾燥機4は、密閉したケーシング40内で低温の減圧発酵乾燥を行い、さらに、ケーシング40内からの凝縮水に微生物処理を行うので、従来のように、生ごみの発酵熱で乾燥を行うよりも大幅に乾燥効率を高めることができる。したがって、従来のように高温の熱風で再度乾燥を行う必要がないから、従来のような高度な脱臭設備や防塵設備が不要であり、設備コストを削減できる。また、ダイオキシンの発生を防止できる。
【0075】
本実施形態の都市ごみ固形化プラントに用いられる減圧発酵乾燥機4は、所定の処理量の被処理物が投入されて動作を開始し、処理完了後に動作が停止して被処理物が排出されるバッチ方式であるが、例えばスクリューコンベヤやロータリーシール弁等を用いて連続的に被処理物の投入及び排出を行ってもよい。
【0076】
上記減圧発酵乾燥機4をバッチ方式とする場合、減圧発酵乾燥機4を2組設置し、この2組の減圧発酵乾燥機4を交互に運転して、処理後の小寸法ごみを貯留サイロに交互に供給して貯留するのが好ましい。これにより、貯留サイロから安定して後続工程に小寸法ごみを供給することができる。
(第1選別工程)
【0077】
上記減圧発酵乾燥機4によって乾燥された小寸法ごみには、手選別工程で除去されなかった不適物の破片や、手選別工程が省略された場合は、不適物が破砕されてなる金属、陶器及びガラス等が混入している。これらの不燃性の小片は、固形化燃料の材料として不適切であるので、第1選別工程で選別除去する。
【0078】
まず、減圧発酵乾燥機4で乾燥された小寸法ごみを、篩機14によって2種類の寸法に選別する。この篩機14は、傾斜して配置されて上方から小寸法ごみが供給される金属網と、この金属網を面内方向に揺動させる揺動駆動部とを備え、金属網を通過する小粒子ごみと、金属網上に残って傾斜方向の下端から排出される大粒子ごみとに選別する。
【0079】
篩機14で選別された小粒子ごみは、第1の風力選別機15によって、金属やガラスや陶器等の重量物と、その他の軽量物とに選別する。図5は、風力選別機15を示す正面図である。この風力選別機15は、蛇行した通路を有する縦長の分離管51と、この分離管51の上端に接続されたサイクロンセパレータ54とを備える。
【0080】
分離管51は、略垂直に立設され、例えば14段の屈曲部を有した蛇行管51aを外部ケーシング内に収容して構成されており、上から5段目の屈曲部において被処理物が供給されるように斜め上から投入管52aが接続されている。この投入管52aには、投入ホッパ52bに投入された被処理物が、スクリューコンベヤ52cとロータリーシール弁52dを介して導かれるようになっている。
【0081】
分離管51の下端部に、ブロワ53の送風管55が連結されている。このブロワ53の吐出口には、サイクロンセパレータ54の給気口54aに連なる分流管56が接続されている。送風管55と分流管56との間には、バタフライ型の開度調節弁57が設けられており、被処理物Wの供給量や材質等に応じて送風管55と分流管56への送風量を調節するようになっている。また、ブロワ53を駆動するインバータモータMの回転速度を調節してブロワ53全体の送風量を調節するようになっている。サイクロンセパレータ54の排気筒54bは、排気管58を介してブロワ53の吸入口に接続されている。
【0082】
この風力選別機15は、以下のように動作する。すなわち、投入ホッパ52bから被処理物としての小粒子ごみが投入され、スクリューコンベヤ52cとロータリーシール弁52dを介して分離管51内に投入される。投入された被処理物は、分離管51内の上向きの空気流によって、この空気流の強さに応じて軽量物LWと重量物HWとに分離される。なお、投入された被処理物が塊になっていても、分離管51内を落下中に複数の屈曲部に当たって解ぐされ、空気流によって軽量物LWと重量物HWとに分離される。軽量物LWは空気流によってサイクロンセパレータ54に導かれる一方、重量物HWは分離管51内の下方に落下する。サイクロンセパレータ54に軽量物LWを導いた空気流は、分流管56からの空気流と合流して、サイクロンセパレータ54内の上部に旋回流を生成する。この旋回流によって生じる遠心力を受けた軽量物LWは、旋回流の搬送空気から分離されて下方に落下する。軽量物LWが分離した搬送空気は、サイクロンセパレータ54の高さ方向の中央部で旋回の流れが衰え、サイクロンセパレータの中心軸近傍を上向きに流れて、排気筒54bから排気管58を通ってブロワ53に吸入される。サイクロンセパレータ54で分離された軽量物LWは、ロータリーシール弁54cを通って排出され、後述する2次破砕ごみから選別された軽量物と共に、サイロS1に貯留される。分離管51で分離された重量物HWは、ロータリーシール弁51aを通って排出され、ベルトコンベヤC3に載置されて、磁選機に送られる。上記軽量物LWは、主に紙屑、廃プラスチック及び木屑を含み、上記重量物HWは、主にガラス、石、陶器、乾電池及び金属片を含む。
【0083】
なお、上記分離管51は、被処理物の種類等に応じて、蛇行管の屈曲部の数や屈曲角度が異なる他種類の分離管と交換可能になっているのが好ましい。
【0084】
小粒子ごみから風力選別機によって選別された重量物HWは、ベルトコンベヤ上に載置された状態で磁選機16に送られて、鉄等の磁性物を含む乾電池やスチール缶等が除去される。磁性物が除去された重力物HWは、ベルトコンベヤの終端に設けられた非鉄金属セパレータ17によって、非鉄金属が分別除去される。非鉄金属セパレータ17は、永久磁石式ドラム回転型の非鉄金属セパレータであり、永久磁石を内蔵したドラムを備え、このドラムが高速回転することにより、ドラムに近接して投入された例えばアルミニウム片に電磁誘導現象によって渦電流を発生させる。この渦電流と、高速回転するドラムによって生成される交流磁界との間に反発力が生じることにより、上記アルミニウム片がドラムから弾き飛ばされる。この反発力によって弾き飛ばされる距離は、非鉄金属の種類によって異なるので、ドラムからの飛距離に応じて収集を行うことにより、非鉄金属を分別することができる。
【0085】
磁選機16及び非鉄金属セパレータ17で金属が分別除去された重量物HWは、ガラスや陶器等の非金属が残留する。このようにして重量物HWから分別された金属は、磁性物貯留ホッパH1と非鉄金属貯留ホッパH2に一旦貯留された後、回収されて再生資源として利用される。一方、非金属の重量物は、不燃物貯留ホッパH3に一旦貯留された後、回収されて産業廃棄物として廃棄される。
【0086】
上記篩機14で選別された大粒子ごみは、既に述べた小粒子ごみと同様に、第2の風力選別機18によって重量物と軽量物とに選別される。第2の風力選別機18は、第1の風力選別機15と同様の構造を有する。この風力選別機18によって大粒子ごみから分離された重量物は不燃物貯留ホッパH3に送られる一方、軽量物はサイロS1に送られる。
【0087】
このように、篩機14によって大粒子ごみと小粒子ごみとに分別し、小粒子ごみと大粒子ごみとを互いに異なる風速で風力選別を行うことにより、高精度に不燃物と可燃物とに分別することができる。すなわち、比重の高い土砂、ガラス、陶磁器、おもちゃの破片及び乾電池等を除去できる一方、比重の小さい紙屑、木屑及びプラスチック等のような固形化燃料の材料を回収することができる。ここで、小粒子ごみの分別を行う第1の風力選別機15では、空気流の風速を5〜7mm/secとし、大粒子ごみの分別を行う第2の風力選別機18では、空気流の風速を8〜12mm/secとするのが好ましい。これにより、高精度に不燃物と可燃物とに分別することができる。
【0088】
従来のごみ固形化プラントでは、乾燥工程の後においても水分量が多かったので、篩機を用いて寸法選別を行ったり、風力選別機により重量物等の分別を行うのは不可能であった。これに対して、本実施形態の都市ごみ固形化プラントは、減圧発酵乾燥機4により、減圧環境下で微生物を用いた発酵乾燥を行うことにより、低温で効果的に乾燥を行うことができるので、乾燥後の小寸法ごみを、目詰まり等が生じることなく篩機14によって更に寸法選別を行うことが可能となっている。そして、篩機14で選別を行った大粒子ごみと小粒子ごみを、上述のように、夫々別個に風量選別機15,18にかけて高精度に不燃物と可燃物に分別して、効果的に不燃物を除去することができるのである。こうして、小寸法ごみに混入した土砂、ガラス、陶磁器、おもちゃ及び乾電池等のような高硬度の不燃物を確実に除去できるので、後述する成形機7の螺旋軸72や端面板73の磨耗を効果的に低減できる。さらに、小寸法ごみから分別された重量物のうち、さらに分別されて磁性物貯留ホッパH1と非鉄金属貯留ホッパH2に一旦貯留された金属は、再生資源として利用できるので、資源リサイクルを促進することができる。なお、風力選別機18によって大粒子ごみから分離された重量物は、不燃物貯留ホッパH3に送ったが、不燃物貯留ホッパH3に送る前に磁選機で磁性物を選別すると共に非鉄金属セパレータで非鉄金属を選別してもよい。
(2次破砕工程)
【0089】
上述の寸法選別工程において、トロンメルシフター3によって選別されたごみのうち、基準寸法の60mmよりも大きい大寸法ごみを、2次破砕機としてのスクリュークラッシャー5によって破砕する。このスクリュークラッシャー5は、2軸の螺旋溝の間の離隔距離が小さい以外は、1次破砕機のスクリュークラッシャーと略同じ構成を有する。このスクリュークラッシャーにより、60mmよりも大きい大寸法ごみを破砕して、30mm以上60mm以下の寸法にする。これにより、固形化燃料の成形に適した寸法を有する2次破砕ごみが得られる。この2次破砕ごみは、第2の定量供給機Q2に送られる。
【0090】
なお、上記スクリュークラッシャーは1軸構造であってもよく、また、2次破砕機としてハンマークラッシャーを用いてもよい。
(熱風乾燥工程)
上記2次破砕ごみは、第2の定量供給機Q2によって切り出され、第2乾燥機6に送られて乾燥処理が行われる。図6は、第2乾燥機としての熱風乾燥機6を示す横断面図である。
【0091】
この熱風乾燥機6は、軸方向寸法が直径よりも長い筒状のケーシング60を備え、この筒状ケーシング60の一端部(図6において紙面の手前側の端部)に、被処理物の投入部61が接続されている一方、他端部(図6において紙面の奥側の端部)に、筒状ケーシング60内の空気を吸引して排気を行う排気管62が接続されている。上記投入部61は、被処理物が投入される投入口61aと、投入された被処理物を気密を保ちながら筒状ケーシング60に送るロータリーシール弁61bを有する。また、上記排気管62の下流側はサイクロンセパレータ63に接続されている。筒状ケーシング60の他端部の底には、乾燥後の被処理物を排出する排出口60aが設けられている。また、筒状ケーシング60の下部には、一端部から他端部に亘って設けられた開口から、バーナ64aで生成された加熱空気を筒状ケーシング60の内周面の接線方向に向かって供給する熱風供給部64が設けられている。熱風供給部64から筒状ケーシング60内に吹き出された熱風は、矢印で示すように、筒状ケーシング60の長軸回りの回転流となる。筒状ケーシング60の内部には、モータMによって回転駆動される羽根付き軸65が設けられており、この羽根付き軸65は、被処理物を一端部から他端部に向って送りをかけるように回転軸に対して捩じれて固定された複数の羽根を有する。この羽根付き軸65は、筒状ケーシング60の横断面において熱風供給部64側に片寄って配置されている。上記排出口60aにはスクリューコンベヤ67が連結されており、このスクリューコンベヤ67の排出側端部にロータリーシール弁67aが設けられている。
【0092】
この熱風乾燥機6によって、2次破砕ごみの乾燥処理が行われる。すなわち、熱風供給部64が作動し、矢印Wで示すように投入口61aに投入された2次破砕ごみがロータリーシール弁61bを通ってケーシング60内に投入される。ケーシング60内に投入された2次破砕ごみは、回転駆動される羽根付き軸65によって一端部から他端部に移動する。この移動の途中、バーナ64aで灯油の燃焼によって生成された200℃の熱風を受けて、2次破砕ごみが乾燥する。これにより、2次破砕ごみの水分量が10wt%以下になり、好ましくは、5wt%前後になる。なお、バーナ64aで生成して筒状ケーシング60内に送る熱風は、乾燥効率と燃料効率の観点から、2次破砕ごみの水分量に応じて150℃以上200℃以下の温度にするのが好ましい。乾燥した2次破砕ごみは、排出口60aを介して筒状ケーシング60から排出され、スクリューコンベヤ67とロータリーシール弁67aを経由して外部に排出される。また、2次破砕ごみを乾燥させた熱風は、筒状ケーシング60から排気管62を通ってサイクロンセパレータ63に導かれ、塵が除去されて外部に排出される。
【0093】
本実施形態の都市ごみ固形化プラントの熱風乾燥機6は、乾燥対象である2次破砕ごみが、トロンメルシフター3で選別されて水分量が30wt%以下の状態の大寸法ごみが破砕されたものであるから、200℃以下という従来よりも大幅に低い温度で、十分に乾燥を行うことができる。したがって、従来のように水分が残留している生ごみと可燃物とを混合して燃焼バーナで乾燥を行うよりも、大幅に低い温度で乾燥を行うことができるので、乾燥効率と燃料効率を向上できる。また、ダイオキシンの発生が報告されている230℃よりも低い温度で乾燥を行うので、第2破砕ゴミに塩素を含む物質が存在しても、ダイオキシンの発生を防止できる。したがって、ダイオキシンを熱分解するために800℃以上の高温加熱を所定時間行う必要が無いので、高温に耐える断熱が不要であるから、熱風乾燥機6を簡易な構造にでき、また、燃料費の大幅な削減を図ることができる。また、熱風乾燥機6の乾燥対象である2次破砕ごみは、小寸法ごみと分離されているので、排気に含まれる塵や臭気成分が従来よりも少ない。したがって、高度な脱臭設備や防塵設備が不要であるので、従来よりも設備コストを削減できる。また、従来よりも大幅に低い温度で乾燥を行うことができるから、ケーシング60の内面に溶融したプラスチックが付着してケーシング60が劣化したり、メンテナンスの手間が増大したりする等といった不都合を防止できる。
(第2選別工程)
【0094】
上記熱風乾燥機6によって乾燥された2次破砕ごみは、手選別工程で除去されなかった不適物の破片が混入している場合がある。また、手選別工程が省略された場合は、不適物が破砕されてなる金属、陶器及びガラス等が混入している場合がある。これらの不燃性の小片は、固形化燃料の材料として不適切であるので、小寸法ごみと同様に、第2選別工程で選別除去する。
【0095】
第2選別工程では、第1選別工程と同様に、第3の風力選別機111によって軽量物と重量物とに選別し、軽量物をサイロS1に一旦貯留する。第3の風力選別機111は、第1の風力選別機15と同様の構造を有する。第3の風力選別機111によって選別された重量物は、ベルトコンベヤC5に載置されて、磁選機112に送られる。磁選機112によって磁性物が選別除去された重量物は、ベルトコンベヤC5の終端に設けられた非鉄金属セパレータ113によって非鉄金属が選別除去される。磁選機112によって選別された磁性物は磁性物貯留ホッパH1に送られ、非鉄金属セパレータ113によって選別された非鉄金属は非鉄金属貯留ホッパH2に送られ、磁性物及び非鉄金属が除去された後の残留物は、不燃物貯留ホッパH3に送られる。
(成形工程)
【0096】
成形工程では、小寸法ごみを乾燥及び選別して得られた軽量物と、大寸法ごみを2次破砕、乾燥及び選別して得られた軽量物とを原料として、成形機7で固形化燃料を製造する。図7Aは、成形機としての押出し成形機7を示す平面図であり、図7Bは、押出し成形機7の処理部を示す縦断面図であり、図7Cは、処理部内に収容された螺旋軸を抜き出して示した断面図である。
【0097】
この押出し成形機7は、被処理物の圧縮成形処理を行う処理部70と、この処理部70に駆動力を発生して伝達するモータM、伝動装置T、減速機R及びギヤボックスGとで大略構成されている。
【0098】
押出し成形機の処理部70は、被処理物の投入口71aが上端に形成されたケーシング71内に、被処理物を混練及び圧縮する1対の螺旋軸72,72を収容している。上記ケーシング71のギヤボックスGと反対側の端面にフランジ71bを有し、このフランジ71bに端面板73がボルトで固定されている。この端面板73には、混練及び圧縮された被処理物を排出する複数の成形ノズル73aが取り付けられている。この端面板73には、被処理物の溶融物を溶融するためのヒータが内蔵されている。この端面板73の側面と、フランジ71bの縁部とがリンクヒンジ装置71cで接続されており、上記ボルトを外した状態で、端面板73がフランジ71bに対して回動可能になっている。
【0099】
ケーシング71内には、ギヤボックスGから延びる一対の回転軸74,74に連なる断面六角形の駆動軸74a,74aが延在している。この一対の駆動軸74a,74aに、上記螺旋軸72,72が取り付けられている。
【0100】
螺旋軸72は、上記駆動軸74aに取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の駆動軸74a,74aに取り付けられた一対の螺旋軸72,72は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、軸部の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸74,74は、矢印A1,A2で示すように互いに逆向きに回転駆動される。これにより、螺旋軸72は、螺旋羽根部が上から下に向かって重なり合うように回転駆動されて、ケーシング71内に投入された被処理物を挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板73側に移送するように形成されている。
【0101】
ギヤボックスG内には、上記一対の回転軸74,74に各々設けられて互いに噛み合う平歯車74b,74bが収容されている。一対の回転軸74,74のうちの一方は、ギヤボックスGに隣接して設けられたカップリング74cを介して減速機Rに接続されている。モータMから伝動機Tを介して伝達された回転力が上記減速機Rで減速され、カップリング74cを介して上記一方の回転軸74に伝達される。この一方の回転軸74から平歯車74bを介して他方の回転軸74に回転力が伝達されて、上記一対の回転軸74,74が互いに反対方向に等速で回転するように形成されている。
【0102】
ケーシング71のフランジ71bには、切断機75が切断機ヒンジ75aを介して取り付けられており、この切断機75によって、上記端面板73の成形ノズル73aから吐出される処理後の被処理物を切断する。この切断機75は、一端に連結された回転軸周りに回転して被処理物を切断する回転刃75b,75bと、この回転刃75bを駆動する回転刃モータ75cを備える。上記切断機の切断機ヒンジ75aは、上記端面板73のリンクヒンジ装置71cが固定された縁と反対側の縁に固定されていて、端面板73が回動する方向と逆方向に切断機75が回動可能になっている。この切断機75は、端面板73がケーシングの端部を閉じた状態で、この端面板73の外側面に配置される。
【0103】
上記螺旋軸72,72は、図7Bに示すように、ケーシング71の投入口71a側から端面板73側に向かって、順に、第1螺旋軸721と、第2螺旋軸722と、第3螺旋軸723とで形成されている。各螺旋軸721,722,723は、軸部721a,722a,723aと、螺旋羽根部721b,722b,723bとで形成されている。第1及び第2螺旋軸の軸部721a,722aは、駆動軸74aに挿通される断面六角形の貫通孔721c,722cが中心軸と同軸に形成されている。一方、第3螺旋軸の軸部723aは、駆動軸74aの先端部に嵌合する断面六角形の有底孔723cが中心軸と同軸に形成されている。駆動軸74aに、上記貫通孔721c,722cが挿通されて第1及び第2螺旋軸721,722が取り付けられると共に、駆動軸74aの端部に上記有底孔723が嵌合して第3螺旋軸723が取り付けられる。この第3螺旋軸723の端面から駆動軸74aに螺着されたボルト725によって、第1乃至第3螺旋軸721,722,723を駆動軸74aに固定している。
【0104】
図7Cに示すように、第1螺旋軸721と、第2螺旋軸722と、第3螺旋軸723は、この順に、軸部721a,722a,723aの径D1,D2,D3を大きく形成している。また、螺旋羽根部721b,722b,723bのピッチP1,P2,P3を、この順に小さく形成している。さらに、螺旋羽根部721b,722b,723bの厚みT1,T2,T3を、この順に大きく形成している。これにより、各螺旋軸721,722,723の表面と、ケーシング71の内側の面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸721と、第2螺旋軸722と、第3螺旋軸723との順に小さくしている。したがって、第1螺旋軸721、第2螺旋軸722及び第3螺旋軸723は、被処理物を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に移送し、しかも、順次大きい圧縮力を被処理物に作用できる。上記処理室の第1螺旋軸721に面する部分の容積に対して、上記処理室の第3螺旋軸723に面する部分の容積を、1/2から1/3の間の比(以下、減容比という)となるように形成している。このような減容比を有する螺旋軸72を用いることにより、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、端面板の成形ノズル73aの排出時には、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮できる。また、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、成形ノズル73aからの排出時には、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮できる。
【0105】
上記第1螺旋軸721と、第2螺旋軸722と、第3螺旋軸723は、いずれも、螺旋羽根部721b,722b,723bの巻き数を1巻きに形成している。すなわち、各螺旋軸の螺旋羽根部721b,722b,723bの一端が、軸方向から見て、その螺旋羽根721b,722b,723bの他端と略同じ周方向位置にある。これにより、各螺旋軸721,722,723の製造を容易にし、また、各螺旋軸721,722,723の修理及び交換等の保守作業を行い易くしている。
【0106】
ケーシング71の内側には、第1螺旋軸721と第2螺旋軸722を取り囲む複数のライニング片77,77,・・・が配置されており、このライニング片77,77,・・・が、上記処理室のケーシング側の面を画定している。
【0107】
上記押出し成形機7は、以下のように動作する。すなわち、上記小寸法ごみから分離された軽量物と、大寸法ごみから分離された軽量物との混合物が、サイロS1から供給されてケーシング71の投入口71aに投入される。投入された被処理物としての混合物を、一対の第1螺旋軸721が挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸722側に確実に移送する。第2螺旋軸722は、この第2螺旋軸722とライニング片77との間に形成された処理室内に廃棄物を導いて、廃棄物の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた廃棄物を、上記第2螺旋軸722の回転動作によって端面板73側に送りながら混練及び圧縮するので、廃棄物の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸723が、この第3螺旋軸723とライニング片77との間に形成された処理室内に廃棄物を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸721,722,723は、この順に、軸部721a,722a,723aの径D1,D2,D3が大きく形成され、螺旋羽根部721b,722b,723bのピッチP1,P2,P3が大きく形成され、螺旋羽根部721b,722b,723bの厚みT1,T2,T3が大きく形成されているので、廃棄物の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、廃棄物を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0108】
また、第1、第2及び第3螺旋軸721,722,723は、順次大きい圧縮力を廃棄物に与えて混練を行うことにより、廃棄物に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせることができる。これにより、廃棄物に含まれる例えばプラスチック等の溶融物を効果的に溶融させることができる。この圧縮熱や摩擦熱は、廃棄物に含まれる溶融物が40wt%以上60wt%以下の間であり、かつ、非溶融物が30wt%以上40wt%以下の場合に特に効果的に生成することができる。なお、端面板73に内蔵されたヒータは、被処理物が100℃以上180℃以下の範囲の温度となるように、被処理物を加熱するのが好ましい。被処理物を100℃以上にすることにより、溶融物を十分に溶解することができる一方、被処理物を180℃以下にすることにより、塩素系ガスの発生を防止することができる。
【0109】
第3螺旋軸723に導かれて高圧力で圧縮された被処理物は、溶融物が溶融した状態で、端面板73の成形ノズル73aから棒状に押し出される。押し出された棒状の被処理物は、切断機75によって所定長さに切断され、下方に配置されたバケット内に落下して回収される。所定長さに切断された棒状の被処理物は、冷却機115で冷却され、サイロS2に保管されて、適宜トラックでバラ積載で出荷されたり、フレコンに詰められて出荷される。冷却機115から出る崩れ破片や粉体は、サイクロンセパレータ116に吸引されて回収され、サイロS1に戻される。
【0110】
上記押出し成形機7は、直径が30mm程度の固形化燃料を製造するのに適しているが、直径が数mm程度の小径の固形化燃料を製造する場合は、ペレットミルを用いるのが好ましい。ペレットミルは、胴部に複数のダイ孔が形成されて水平回転軸周りに回転駆動される回転円筒体と、この回転円筒体の胴部の内側面に沿って転動し、この回転円筒体内に供給される被処理物を圧縮してダイ孔から押し出す転動輪とを備える。ダイ孔から押し出された被処理物は、回転円筒体の外周面から所定距離だけ離れた位置に配置されたカッターブレードによって、所定長さに切断される。切断された被処理物は、冷却されて固形化燃料となる。
【0111】
上記固形化燃料は、減圧発酵乾燥機4で効果的に乾燥された小寸法ごみと、熱風乾燥機6で効率的に乾燥された2次粉砕ごみとの混合物により製造されているので、水分量が少なくて熱量が大きい。例えば、上記固形化燃料は5000〜6000cal/gの熱量を得ることができ、ボイラー等の燃料としての利用が可能である。また、減圧発酵乾燥時の微生物処理により、生ごみ等を含む小寸法ごみが十分に分解されているので、製造後に固形化燃料の発酵が進行して発熱や発火する等の不都合が無い。したがって、従来のように製造後の発酵を止めるための消石灰を添加する必要が無いので、燃焼後に生成される灰を少なくできる。
【0112】
このように、本実施形態の都市ごみ固形化プラントは、生ごみのような水分量の大きい可燃物や、古紙、布及びプラスチックのような水分量の小さい可燃物や、金属や陶器等の不燃物が混在する収集ごみを、所定の基準寸法に基づいて小寸法ごみと大寸法ごみとに選別することにより、水分量の大きいごみと小さいごみとに効率的に分けることができる。この選別したごみのうち、水分量の大きい小寸法ごみは、微生物を添加して減圧発酵乾燥を行うことにより、比較的低い温度で十分に分解、脱臭及び乾燥を行うことができる。一方、水分量の小さい大寸法ごみは、2次破砕の後、比較的低い温度の熱風乾燥によって効率的に乾燥できる。すなわち、第1乾燥機と第2乾燥機との両方について、従来よりも低温で高効率に乾燥を行うことができる。このようにして得られた乾燥後の小寸法ごみと2次破砕ごみを用いて製造した固形化燃料は、水分量が少なくて熱量が大きく、また、製造後に発酵や腐敗が進行して変質や発火することが無い。すなわち、本実施形態の都市ごみ固形化プラントは、ごみの収集事情に適応することができ、しかも、良好な品質の固形化燃料を製造できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施形態の都市ごみ固形化プラントの構成と、この固形化プラントで実行される工程を示す模式図である。
【図2】1次破砕機としてのスクリュークラッシャーを示す断面図である。
【図3】寸法選別機としてのトロンメルシフターを示す断面図である。
【図4A】第1乾燥機としての減圧発酵乾燥機を示す模式図である。
【図4B】減圧発酵乾燥機の横断面図である。
【図5】風力選別機を示す正面図である。
【図6】第2乾燥機としての熱風乾燥機を示す横断面図である。
【図7A】成形機としての押出し成形機を示す平面図である。
【図7B】押出し成形機の処理部を示す縦断面図である。
【図7C】処理部内の螺旋軸を抜き出して示した断面図である。
【符号の説明】
【0114】
1 ピット
2 1次破砕機
3 寸法選別機
4 減圧発酵乾燥機
5 2次破砕機
6 熱風乾燥機
7 成形機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕する1次破砕機と、
上記1次破砕機で破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別する寸法選別機と、
所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧した環境下で上記小寸法ごみを乾燥する第1乾燥機と、
上記大寸法ごみを破砕する2次破砕機と、
上記2次破砕機で破砕された2次破砕ごみを熱風で乾燥する第2乾燥機と、
上記第1乾燥機で乾燥された小寸法ごみと、上記第2乾燥機で乾燥された2次破砕ごみとを混錬、圧縮及び成形する成形機と
を備えることを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記寸法選別機は、上記基準寸法に対応する寸法の網目が形成されて回転駆動される円筒形状の網かごを有することを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項3】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記基準寸法は、50mm以上75mm以下であることを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項4】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記第1乾燥機は、上記小寸法ごみを70℃以下の温度にして乾燥を行うことを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項5】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記第1乾燥機は、大気圧よりも400hPa以上800hPa以下の圧力だけ低減した環境下で、上記小寸法ごみの乾燥を行うことを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項6】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記第2乾燥機の熱風の温度は、200℃以下であることを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項7】
請求項1に記載の都市ごみ固形化プラントにおいて、
上記成形機は、上記小寸法ごみと2次破砕ごみとが投入される投入口が上面に形成されたケーシングと、このケーシングの端面に配置されて排出ノズルが設けられた端面板と、上記ケーシング内に収容され、軸方向に連結されていると共に上記端面板側ほど螺旋羽根の間隔が小さく形成された3つの螺旋軸とを有することを特徴とする都市ごみ固形化プラント。
【請求項8】
高含水物と低含水物とが混在するごみを破砕する工程と、
上記破砕された1次破砕ごみを、所定の基準寸法よりも大きい大寸法ごみと、上記基準寸法よりも小さい小寸法ごみとに選別する工程と、
上記小寸法ごみを、所定の酵素を有する微生物が添加され、かつ、大気圧よりも減圧された環境下で乾燥する工程と、
上記大寸法ごみを破砕して2次破砕ごみを得る工程と、
上記2次破砕ごみを熱風で乾燥する工程と、
上記乾燥した小寸法ごみと、上記乾燥した2次破砕ごみとを混錬、圧縮及び成形する工程と
を備えることを特徴とする都市ごみ固形化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2008−132408(P2008−132408A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318766(P2006−318766)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】