説明

配線基板および半導体装置ならびにこれらに用いられる配線基板本体

【課題】少スペースの放熱機構を有する配線基板および半導体装置ならびにこれらに使用される配線基板本体を提供すること。
【解決手段】
下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッド5を有するとともに上面に半導体素子3がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有する配線基板本体1と、配線基板本体1の下面に被着されており、外部接続パッド5に接続された膜状の放熱材2とを具備する配線基板およびこの配線基板上に半導体素子3を搭載するとともに半導体素子3と放熱材2とを接続する熱接続手段を具備する半導体装置である。また、下面に外部接続パッド5の中央部を露出させるソルダーレジスト層7を有するとともにソルダーレジスト層7に外部接続パッド5の外周部を部分的に露出させる熱伝導用の開口部7cが設けられているこ配線基板本体1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱特性の優れた配線基板および半導体装置ならびにこれらに用いられる配線基板本体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯電話機等の電子機器の内部には、小型の配線基板上に半導体素子を搭載した半導体装置が多く使用されている。近年、電子機器の高密度化・薄型化が急速に進んでおり、電子機器に使用される半導体装置においても、その高密度化・薄型化が加速している。そして、このような電子機器においては、高密度化・薄型化した半導体装置から発生する熱の除去がこれまで以上に重要な課題となっている。従来、配線基板の上に半導体素子を搭載した半導体装置では、半導体素子の上にさらに金属製の放熱フィンを取り付け、半導体素子が作動時に発生する熱を放熱フィンから大気中に放熱する方法が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−238985公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの方法では、半導体素子が作動時に発生する熱を放熱するために半導体素子の上に金属製の放熱フィンを取り付ける必要があり、この放熱フィンを取り付けるための空間を電子機器の内部に確保しなければない。放熱フィンは、一般にその放熱効率を高めるために半導体装置に対して大型となっていることから、放熱フィンの取り付けは、電子機器の高密度化・薄型化の妨げになる。そこで、放熱フィンを用いることなく、半導体装置から効率よく放熱することが可能な放熱構造が求められていた。本発明の課題は、電子機器の高密度化・薄型化を実現可能な、省スペースで効率のよい放熱機構を有する配線基板および半導体装置ならびにこれらに使用される配線基板本体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドを有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有する配線基板本体と、該配線基板本体の下面に被着されており、前記外部接続パッドの中央部を露出させるとともに前記外部接続パッドの外周部に接続された膜状の放熱材とを具備することを特徴とするものである。
【0006】
また本発明の半導体装置は、下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドを有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有する配線基板本体と、該配線基板本体の下面に被着されており、前記外部接続パッドの中央部を露出させるとともに前記外部接続パッドの外周部に接続された膜状の放熱材と、前記搭載部にフリップチップ接続により搭載された半導体素子と、該半導体素子と前記放熱材とを熱的に接続する熱接続手段とを具備することを特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明の配線基板本体は、下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドおよび該外部接続パッドの中央部を露出させるソルダーレジスト層を有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有し、かつ前記ソルダーレジスト層に前記外部接続パッドの外周部を部分的に露出させる熱伝導用の開口部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線基板によれば、外部接続パッドを有する配線基板本体の下面に、膜状の放熱材を具備することから、この膜状の放熱材と配線基板に搭載される半導体素子とを熱的に接続することにより、半導体素子が作動時に発生する熱をこの膜状の放熱材を介して大気中に放熱することができる。さらに、放熱材は配線基板本体の下面に設けられた外部接続パッドに接続されていることから、この配線基板が搭載される外部電気回路基板へ外部接続パッドを介して放熱することができる。また、放熱材は膜状であり、薄いことから、この配線基板が用いられる電子機器内で大きな空間を占有することがない。したがって電子機器の高密度化・薄型化を実現可能な、省スペースで効率のよい放熱機構を有する配線基板を提供することができる。
【0009】
また、本発明の半導体装置によれば、上記配線基板上に半導体素子を搭載するとともに該半導体素子と前記放熱材とを熱接続手段により接続したことから、半導体素子が作動時に発生する熱を膜状の放熱材を介して大気中に放熱することができる。さらに、放熱材は配線基板本体の下面に設けられた外部接続パッドに接続されていることから、この半導体装置が搭載される外部電気回路基板へ外部接続パッドを介して放熱することができる。また、放熱材は膜状であり、薄いことから、この半導体装置が用いられる電子機器内で大きな空間を占有することがない。したがって電子機器の高密度化・薄型化を実現可能な、省スペースで効率のよい放熱機構を有する半導体装置を提供することができる。
【0010】
さらに本発明の配線基板本体によれば、下面のソルダーレジスト層に外部接続パッドの外周部を部分的に露出させる熱伝導用の開口部が設けられていることから、この開口部を通じて外部接続パッドと本発明の前記配線基板または半導体装置における放熱材とを熱的に良好に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)は、本発明における第1の実施形態例を説明するための断面模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す実施形態例の上面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態例における変更例を示す断面模式図である。
【図3】図3(a)は、本発明における第2の実施形態例を説明するための断面模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す実施形態例の上面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態例における変更例を示す断面模式図である。
【図5】図5(a)は、本発明における第3の実施形態例を説明するための断面模式図であり、図5(b)は、図5(a)に示す実施形態例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の配線基板および半導体装置ならびにこれらに使用される配線基板本体における第1の実施形態例について添付の図1〜図2を基に説明する。本例の配線基板は、図1(a),(b)に示されているように、配線基板本体1と膜状の放熱材2とを有している。そして、この配線基板本体1上に半導体素子3を搭載するとともに半導体素子3と放熱材2とを熱的に接続することにより本例の半導体装置が構成されている。
【0013】
配線基板本体1は、絶縁基板4の下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッド5を有しているとともに絶縁基板4の上面中央部に半導体素子3を搭載するための搭載部を有している。搭載部には半導体素子3の電極が金属バンプを介して接続される半導体素子接続パッド6が形成されている。なお、外部接続パッド5と半導体素子接続パッド6とは、図示しない内部配線導体により互いに対応するもの同士が電気的に接続されており、半導体素子接続パッド6に半導体素子3の電極を金属バンプを介して接続するとともに外部接続パッド5を外部電気回路基板の配線導体に半田ボール等の外部接続端子を介して接続することにより、半導体素子3の電極が外部電気回路基板の配線導体に電気的に接続されることとなる。さらに絶縁基板4の上下面には、外部接続パッド5の中央部および半導体素子接続パッド6の中央部を露出させる開口部7a,7bを有するソルダーレジスト層7が被着されている。
【0014】
絶縁基板4は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にシリカ等の無機絶縁フィラーを分散させた電気絶縁材料から成り、これらの電気絶縁材料となる複数の未硬化絶縁シートを一括または逐次積層するとともに熱硬化させることにより形成されている。
【0015】
外部接続パッド5および半導体素子接続パッド6ならびに内部配線導体は、例えば銅めっき層から成り、周知のセミアディティブ工法により形成されている。外部接続パッド5および半導体素子接続パッド6の表面には、用途に合わせて半田コートやニッケルめっき、金めっき、あるいはOPS処理等の様々な表面処理が施されてもよい。
【0016】
ソルダーレジスト層7は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂にシリカ等の無機絶縁物フィラーを分散させた電気絶縁材料から成り、この絶縁材料となる感光性を有する未硬化の絶縁シートを外部接続パッド5および半導体素子接続パッド6が形成された絶縁基板4の上下面に貼着するとともに外部接続パッド5の中央部および半導体素子接続パッド6の中央部を露出させる開口部7a、7bを有するように露光および現像した後、熱硬化および紫外線硬化させることにより形成されている。
【0017】
放熱材2は、例えばシリコーンゲルやシリコーンゴム、アクリル樹脂等の樹脂基材に窒化ホウ素や窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素等の良熱伝導性の無機絶縁物フィラーを含有させてシート状や膜状とした熱伝導部材であり、電気絶縁性であることが好ましい。放熱材2は、この例では、配線基板本体1の下面のソルダーレジスト層7上を覆う基部2aを有しており、そこから配線基板本体1の側面を介して上面外周部に延在する延在部2bを有している。さらに、この例では、放熱材2は配線基板本体1の上面外周部から搭載部上の半導体素子3の上面に届く長さの舌片2cを有している。舌片2cはその延在部2b側のみが配線基板本体1に支持されており、他の部分は配線基板本体1に拘束されていない状態となっている。なお、放熱材2の厚みは、0.04〜1mmである。
【0018】
放熱材2の基部2aと外部接続パッド5とは、ソルダーレジスト層7に設けた熱伝導用の開口部7cを通して接続されている。この例では、放熱材2の一部を熱伝導用の開口部7c内に充填することにより熱伝導ポスト8を形成し、この熱伝導ポスト8を介して放熱材2と外部接続パッド5とが接続されている。熱伝導用の開口部7cは、開口部7aを取り囲むようにリング状に開口している。なお、この例では、熱伝導用の開口部7c内に放熱材2の一部を充填することにより形成された熱伝導ポスト8を介して放熱材2と外部接続パッド5とが接続されているが、図2に示すように、熱伝導用の開口部7c内に外部接続パッドと同様の銅めっきを析出させることにより形成された熱伝導ポスト8を介して放熱部材2と外部接続パッド5とを接続してもよい。
【0019】
そして、この例の配線基板においては、搭載部上に半導体素子3をフリップチップ接続により搭載した後、半導体素子3の上面と放熱材2の舌片2cとを接着して接続することにより半導体装置となり、この半導体装置の外部接続パッド5を半田ボール等の外部接続端子を介して外部電気回路基板の配線導体に接続することによって、この例の配線基板を用いた半導体装置が外部電気回路基板上に実装されることとなる。
【0020】
このとき、搭載部上に搭載された半導体素子3が作動時に発生する熱は、半導体素子3の上面から放熱材2の舌片2cに吸収され、そこから延在部2bを経て基部2aに伝達され、さらに熱伝導用の開口部7cを介して外部接続パッド5に伝達される。この伝達の過程において、伝達される熱の一部は放熱材2から大気中へ放熱される。さらに外部接続パッド5に伝達された熱は、半田ボール等の外部接続端子を介して外部電気回路基板へと逃げ、そこから大気中に放熱される。このように半導体素子3が作動時に発生する熱は、放熱材2のみならず、半導体装置が実装される外部電気回路基板からも放熱されるので、極めて効率的に放熱される。しかも、放熱材2は、厚みが0.04〜1mmと薄いことから、大きな空間を占有することがなく、高密度かつ薄型の半導体装置を実現して電子機器の高密度化・薄型化に貢献することができる。
【0021】
なお、配線基板本体1に放熱材2を取着するには、例えば予めシート状に加工した放熱材2用の放熱シートに適当な打ち抜き加工や切断加工等を施した後、配線基板本体1の表面に熱圧着すればよい。あるいは、前記放熱シートの一方の面に予め耐熱性の接着剤を塗布しておき、この接着剤を介して配線基板本体1に接着すればよい。さらには、ゲル状の放熱材料をスクリーン印刷により塗布した後、乾燥させてもよい。
【0022】
次に本発明の配線基板および半導体装置ならびにこれらに使用される配線基板本体における第2の実施形態例について図3を基に説明する。なお、この例において、上述した第1の実施形態例と同様の箇所には同様の符号を付し、煩雑をさけるため、その詳細な説明は省略する。
【0023】
本例の配線基板および半導体装置においては、図3(a),(b)に示すように、上述した第1の実施形態例と比較して舌片2cの取り付け方が異なっている。具体的には、舌片2cは基部2aおよび延在部2bとは一体となっておらず、別体となっている。その代わり、絶縁基板4の上面外周部に、枠状の放熱材接続パッド9が設けられており、この放熱材接続パッド9に放熱材2における延在部2bの端部および舌片2cの一端が接続されている。そして、この放熱材接続パッド9を介して舌片2cと延在部2bとが熱的に接続されている。なお、放熱材接続パッド9は、半導体素子接続パッド6と同様に例えば銅めっき層から成り、半導体素子接続パッド6と同様の方法で、かつ同時に形成されている。
【0024】
この例の場合、搭載部上に搭載された半導体素子3が作動時に発生する熱は、半導体素子3の上面から放熱材2の舌片2cに吸収され、そこから放熱材接続パッド9および延在部2bを経て基部2aに伝達され、さらに熱伝導用の開口部7cを介して外部接続パッド5に伝達される。この伝達の過程において、伝達される熱の一部は放熱材2および放熱材接続パッド9から大気中へ放熱される。さらに外部接続パッド5に伝達された熱は、半田ボール等の外部接続端子を介して外部電気回路基板へと逃げ、そこから大気中に放熱される。このように半導体素子3が作動時に発生する熱は、上述した第1の実施形態例の場合と同様に放熱材2のみならず、半導体装置が実装される外部電気回路基板からも放熱されるので、極めて効率的に放熱される。しかも、放熱材2は、厚みが0.04〜1mmと薄いことから、大きな空間を占有することがなく、高密度かつ薄型の半導体装置を実現することができる。
【0025】
さらにこの例の場合には、舌片2cは、基部2aおよび延在部2bとは一体になっていないことから、配線基板本体1に半導体素子3を搭載する際に舌片2cが半導体素子3の搭載の邪魔になることがなく、半導体素子3を搭載した後に、別途用意しておいた舌片2cを半導体素子3の上面と放熱材接続パッド9との間に接続すればよいので、半導体素子3の搭載および舌片2cの接続を容易に行えるという利点がある。もちろん、半導体素子3を配線基板本体1に搭載する前に、舌片2cを放熱材接続パッド9に予め接続しておいてもかまわない。
【0026】
なお、この例では、絶縁基板4の上面外周部に放熱材接続パッド9を設けて、この放熱材接続パッド9に延在部2bの端部および舌片2cを接続したが、図4に示すように、放熱材接続パッド9を設けることなく、絶縁基板4の上面外周部上に延在部2bの端部を直接接着し、その上に舌片2cを接続するようにしてもよい。
【0027】
次に本発明の配線基板および半導体装置これらに用いられる配線基板本体における第3の実施形態例について図5を基に説明する。なお、この例の場合も、上述した第1および第2の実施形態例と同様の箇所には同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
本例の配線基板および半導体装置においては、図5(a),(b)に示すように、上述した第1および第2の実施形態例と比較して配線基板本体1の側面から上面外周部にかけて延在部2bが設けられていない点が異なっている。その代わり、絶縁基板4の外周部に絶縁基板4を上下に貫通する熱伝導用の貫通導体10が形成されており、この貫通導体10の上端に舌片2cに一端が接続され、貫通導体10の下端に基部2aが接続されている。貫通導体10は、絶縁基板4の外周部を上下に貫通する貫通孔を設けるとともに、この貫通孔10の内部を良熱導電性の金属めっきや金属ペーストで充填することにより形成される。なお、貫通導体10の上端には、貫通導体10と舌片2cとの接続を容易かつ確実なものとするために熱伝導部材接続パッド11が設けられており、貫通導体10の下端には、貫通導体10と基部2aとの接続を容易かつ確実なものとするために、放熱材接続パッド12が設けられている。これらの熱伝導部材接続パッド11および放熱材接続パッド12は、半導体素子接続パッド6や外部接続パッド5と同様に例えば銅めっき層から成り、半導体素子接続パッド6や外部接続パッド5と同様の方法で、かつ同時に形成されている。
【0029】
この例の場合、搭載部上に搭載された半導体素子3が作動時に発生する熱は、半導体素子3の上面から舌片2cに吸収され、そこから熱伝導用の貫通導体10を経て基部2aに伝達され、さらに熱伝導用の開口部7cを介して外部接続パッド5に伝達される。この伝達の過程において、伝達される熱の一部は放熱材2から大気中へ放熱される。さらに外部接続パッド5に伝達された熱は、半田ボール等の外部接続端子を介して外部電気回路基板へと逃げ、そこから大気中に放熱される。このように半導体素子3が作動時に発生する熱は、上述した第1および第2の実施形態の場合と同様に放熱材2のみならず、半導体装置が実装される外部電気回路基板からも放熱されるので、極めて効率的に放熱される。しかも、放熱材2は、厚みが0.04〜1mmと薄いことから、大きな空間を占有することがなく、高密度かつ薄型の半導体装置を実現することができる。
【0030】
さらにこの例の場合にも、前述した第2の実施形態の場合と同様に、舌片2cは基部2aとは一体になっていないことから、配線基板本体1に半導体素子3を搭載する際に舌片2cが半導体素子3の搭載の邪魔になることがなく、半導体素子3を搭載した後に、別途用意しておいた舌片2cを半導体素子3の上面と熱伝導用の貫通導体10との間に接続すればよいので、半導体素子3の搭載および舌片2cの接続を容易に行えるという利点がある。もちろん、半導体素子3を配線基板本体1に搭載する前に、舌片2cを熱伝導用の貫通導体10に予め接続しておいてもかまわない。
【0031】
かくして本発明によれば、電子機器の高密度化・薄型化を実現可能な、省スペースで効率のよい放熱機構を有する配線基板および半導体装置ならびにこれらに使用される配線基板本体を提供することができる。なお、本発明は、上述の実施形態例に特定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能であり、例えば上述の実施形態例では、放熱材2としてシリコーンゲルやシリコーンゴム、アクリル樹脂等の樹脂基材に窒化ホウ素や窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素等の良熱伝導性の無機絶縁物フィラーを含有させてシート状や膜状としたものを用いたが、放熱材2はこれに限らず、アルミニウムや銅箔、あるいはグラファイト等から成るカーボンシート等の良熱伝導性の材料を、上記の放熱材2用の良熱伝導性の樹脂で両面から挟み込んだ構造のものであってもよい。また、上述の第2および第3の実施形態例の場合、放熱材2の基部2aと同様の材料から成る舌片2cを用いて半導体素子3と放熱材接続パッド9または貫通導体10とを接続したが、例えば、銅やアルミニウム等の良熱伝導性の金属から成る箔状や板状の熱伝導部材を用いて半導体素子3と放熱材接続パッド9または貫通導体10とを接続してもかまわない。
【符号の説明】
【0032】
1 配線基板本体
2 放熱材
3 半導体素子
4 絶縁基板
5 外部接続パッド
6 半導体素子接続パッド
7 ソルダーレジスト層
8 熱伝導ポスト
9 放熱材接続パッド
10 熱伝導用の貫通導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドを有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有する配線基板本体と、該配線基板本体の下面に被着されており、前記外部接続パッドに接続された膜状の放熱材とを具備することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記放熱材は、前記配線基板本体の側面から上面外周部にかけて延在する延在部を有していることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記放熱材は、前記延在部から前記搭載部の上まで届く長さの舌片を、該舌片の前記延在部側のみが前記配線基板本体に支持された状態で有していることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記配線基板本体は、前記上面外周部に金属から成る放熱材接続パッドを有しているとともに該放熱材接続パッドと前記放熱材の延在部とが接続されていることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項5】
前記放熱材接続パッドに、前記搭載部の上まで届く長さの熱伝導部材が、該熱伝導部材の前記放熱材接続パッド側のみが前記配線基板本体に支持された状態で接続されていることを特徴とする請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
前記熱伝導部材は、前記放熱材と同じ材料から形成されていることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【請求項8】
前記配線基板本体は、その上面外周部から下面にかけて熱伝導用の貫通導体が形成されており、該熱伝導用の貫通導体の下端と前記放熱材とが接続されていることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項9】
前記貫通導体の下端に金属から成る放熱材接続パッドが形成されているとともに該放熱材接続パッドを介して前記貫通導体と前記放熱材とが接続されていることを特徴とする請求項8記載の配線基板。
【請求項10】
前記貫通導体の上端部に、前記搭載部の上まで届く長さの熱伝導部材が、該熱伝導部材の前記貫通導体側のみが前記配線基板本体に支持された状態で接続されていることを特徴とする請求項8または9に記載の配線基板。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、前記放熱材と同じ材料から形成されていることを特徴とする請求項10に記載の配線基板。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項10に記載の配線基板。
【請求項13】
前記配線基板本体は、前記下面に前記外部接続パッドの中央部を露出させるソルダーレジスト層が形成されているとともに、該ソルダーレジスト層に前記外部接続パッドの外周部を部分的に露出させる熱伝導用の開口部が設けられており、該熱伝導用の開口部を介して前記外部接続パッドと前記放熱材とが接続されていることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の配線基板。
【請求項14】
前記外部接続パッドと前記放熱材とが、前記熱伝導用の開口部内に充填された熱伝導ポストを介して接続されていることを特徴とする請求項13記載の配線基板。
【請求項15】
前記熱伝導ポストが前記放熱材を構成する材料の一部から成ることを特徴とする請求項14記載の配線基板。
【請求項16】
前記熱伝導ポストが前記外部接続パッドを構成する材料の一部から成ることを特徴とする請求項14記載の配線基板。
【請求項17】
下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドを有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有する配線基板本体と、該配線基板本体の下面に被着されており、前記外部接続パッドに接続された膜状の放熱材と、前記搭載部にフリップチップ接続により搭載された半導体素子と、該半導体素子と前記放熱材とを熱的に接続する熱接続手段とを具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
前記放熱材は、前記配線基板本体の側面から上面外周部にかけて延在する延在部を有しており、該延在部と前記半導体素子の上面とが熱伝導部材を介して接続されていることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記熱伝導部材は、前記延在部から前記半導体素子の上面に延びる前記放熱材の一部からなる舌片であり、該舌片と前記半導体素子の上面とが接続されていることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記配線基板本体は、前記上面外周部に金属から成る放熱材接続パッドを有しており、該放熱材接続パッドと前記延在部とが接続されているとともに、前記放熱材接続パッドと前記半導体素子の上面とが熱伝導部材で接続されていることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記熱伝導部材は、前記放熱材と同じ材料から形成されていることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記熱伝導部材は、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記配線基板本体は、その上面外周部から下面にかけて熱伝導用の貫通導体が形成されており、該熱伝導用の貫通導体の下端と前記放熱材とが接続されているとともに前記貫通導体の上端と前記半導体素子の上面とが熱伝導部材で接続されていることを特徴とする請求項17記載の半導体装置。
【請求項24】
前記貫通導体の下端に金属から成る放熱材接続パッドが形成されているとともに該放熱材接続パッドを介して前記貫通導体と前記放熱材とが接続されており、前記貫通導体の上端に金属から成る熱伝導部材接続用パッドが形成されているとともに該熱伝導部材接続用パッドを介して前記貫通導体と前記熱伝導部材とが接続されていることを特徴とする請求項23記載の半導体装置。
【請求項25】
前記熱伝導部材は、前記放熱材と同じ材料から形成されていることを特徴とする請求項23または24に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記熱伝導部材は、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項23または24に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記配線基板本体は、前記下面に前記外部接続パッドの中央部を露出させるソルダーレジスト層が形成されているとともに、該ソルダーレジスト層に前記外部接続パッドの外周部を部分的に露出させる開口部が設けられており、該開口部を介して前記外部接続パッドと前記放熱材とが接続されていることを特徴とする請求項17乃至26の何れかに記載の半導体装置。
【請求項28】
前記外部接続パッドと前記放熱材とが、前記熱伝導用の開口部内に充填された熱伝導ポストを介して接続されていることを特徴とする請求項27に記載の半導体装置。
【請求項29】
前記熱伝導ポストが前記放熱材を構成する材料の一部から成ることを特徴とする請求項28に記載の半導体装置。
【請求項30】
前記熱伝導ポストが前記外部接続パッドを構成する材料の一部から成ることを特徴とする請求項28記載の半導体装置。
【請求項31】
下面に外部電気回路基板の配線導体が接続される複数の外部接続パッドおよび該外部接続パッドの中央部を露出させるソルダーレジスト層を有するとともに上面に半導体素子がフリップチップ接続により搭載される搭載部を有し、かつ前記ソルダーレジスト層に前記外部接続パッドの外周部を部分的に露出させる熱伝導用の開口部が設けられていることを特徴とする配線基板本体。
【請求項32】
前記配線基板本体の上面外周部から下面にかけて熱伝導用の貫通導体が形成されていることを特徴とする請求項31記載の配線基板本体。
【請求項33】
前記貫通導体の上端に金属から成る熱伝導部材接続パッドが接続されているとともに前記貫通導体の下端に金属から成る放熱材接続パッドが形成されていることを特徴とする請求項32記載の配線基板本体。
【請求項34】
前記熱伝導用の開口部内に熱伝導ポストが充填されていることを特徴とする請求項31乃至33の何れかに記載の配線基板本体。
【請求項35】
前記熱伝導ポストが前記外部接続パッドを構成する材料の一部から形成されていることを特徴とする請求項4に記載の配線基板本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−77319(P2011−77319A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227629(P2009−227629)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】