説明

配線基板の製造方法

【課題】本発明は、絶縁層上に形成された配線を備えた配線基板の製造方法に関し、配線の幅が略所定の配線幅(設計上の配線の幅)となるように配線を形成することのできる配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁層18の上面18Aに形成される配線22,23の側壁に対応する部分に、密着層20,31よりもエッチングされにくい保護金属層47を形成した後に、エッチングにより不要な部分の密着層20,31の除去を行って、配線22,23を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁層上に形成された配線を備えた配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の配線基板の断面図である。
【0003】
図1を参照するに、従来の配線基板200は、コア付きビルドアップ基板であり、コア基板201と、貫通電極202と、パッド203と、絶縁層204,212と、配線パターン206と、配線207,211と、ソルダーレジスト層208,216と、ビア213と、外部接続用パッド214とを有する。
【0004】
コア基板201は、板状とされた基板であり、貫通孔221を有する。貫通電極202は、貫通孔221に設けられている。パッド203は、コア基板201の上面201A及び貫通電極202の上端に設けられている。これにより、パッド203は、貫通電極202と電気的に接続されている。
【0005】
絶縁層204は、パッド203の一部を覆うように、コア基板201の上面201Aに設けられている。絶縁層204は、パッド203の上面を露出する開口部223を有する。
【0006】
配線パターン206は、開口部223に設けられたビア225と、ビア225と一体的に構成された配線226とを有する。ビア225は、開口部223に設けられたCu層228と、Cu層228が形成された開口部223を充填するCuめっき膜229とを有した構成とされている。ビア225の下端は、パッド203と接続されている。
【0007】
配線226は、ビア225の上端及び絶縁層204の上面204Aに設けられている。配線226は、絶縁層204の上面204Aに設けられたCu層228と、ビア225及びCu層228上に設けられたCuめっき膜229とを有した構成とされている。配線226は、電子部品が実装される電子部品実装用パッド231を有する。配線226は、ビア225を介して、パッド203と電気的に接続されている。
【0008】
配線207は、絶縁層204の上面204Aに設けられている。配線207は、絶縁層204の上面204Aに設けられたCu層228と、Cu層228上に形成されたCuめっき膜229とを有した構成とされている。配線207は、幅の狭い配線(具体的には、配線幅が10μm以下の配線)である。
【0009】
ソルダーレジスト層208は、配線207と、電子部品実装用パッド231を除いた部分の配線226とを覆うように、絶縁層204の上面204Aに設けられている。ソルダーレジスト層208は、電子部品実装用パッド231の上面を露出する開口部208Aを有する。
【0010】
配線211は、コア基板201の下面201B及び貫通電極202の下端に設けられている。これにより、配線211は、貫通電極202を介して、パッド203と電気的に接続されている。
【0011】
絶縁層212は、配線211の一部を覆うように、コア基板201の下面201Bに設けられている。絶縁層212は、配線211の下面の一部を露出する開口部233を有する。
【0012】
ビア213は、開口部233に設けられている。ビア213は、開口部233に設けられたCu層235と、Cu層235が形成された開口部233を充填するCuめっき膜236とを有した構成とされている。ビア213の上端は、配線211と接続されている。
【0013】
外部接続用パッド214は、絶縁層212の下面212A及びビア213の下端に設けられている。外部接続用パッド214は、ビア213と一体的に構成されている。外部接続用パッド214は、絶縁層212の下面212Aに設けられたCu層235と、Cu層235の下面及びビア235の下端に設けられたCuめっき膜236とを有した構成とされている。外部接続用パッド214は、配線基板200をマザーボード等の実装基板(図示せず)に接続するためのパッドである。
【0014】
ソルダーレジスト層216は、外部接続用パッド214の一部を覆うように、絶縁層212の下面212Aに設けられている。ソルダーレジスト層216は、外部接続用パッド214の下面を露出する開口部216Aを有する。
【0015】
図2〜図8は、従来の配線基板の製造工程を示す図である。図2〜図8において、従来の配線基板200と同一構成部分には同一符号を付す。
【0016】
図2〜図8を参照して、従来の配線基板200の製造方法について説明する。始めに、図2に示す工程では、周知の手法により、コア基板201に、貫通孔221、貫通電極202、パッド203、開口部223を有した絶縁層204、配線211、及び開口部233を有した絶縁層212を形成する。その後、絶縁層204,212を粗化処理(例えば、デスミア処理)して、絶縁層204の上面204Aと、開口部223に露出された部分の絶縁層204の面と、絶縁層212の下面212Aと、開口部233に露出された部分の絶縁層212の面とを粗化する。
【0017】
次いで、図3に示す工程では、無電解めっき法により、図2に示す構造体の上面を覆うCu層228と、図2に示す構造体の上面を覆うCu層235とを形成する。
【0018】
次いで、図4に示す工程では、Cu層228の上面に配線形成用開口部241A,241Bを有したレジスト膜241を形成すると共に、Cu層235の下面に開口部242Aを有したレジスト膜242を形成する。このとき、配線形成用開口部241Aは、配線226の形成領域に対応する部分のCu層228の上面を露出するように形成し、配線形成用開口部241Bは、配線207の形成領域に対応する部分のCu層228の上面を露出するように形成する。また、開口部242Aは、外部接続用パッド214の形成領域に対応する部分のCu層235の下面を露出するように形成する。
【0019】
次いで、図5に示す工程では、Cu層228を給電層とする電解めっき法により、開口部223,233及び配線形成用開口部241A,241Bを充填するCuめっき膜229を形成すると共に、Cu層235を給電層とする電解めっき法により、開口部242Aを充填するCuめっき膜236を形成する。これにより、ビア213,225が形成される。
【0020】
次いで、図6に示す工程では、図5に示すレジスト膜241,242を除去する。次いで、図7に示す工程では、ウエットエッチングにより、Cuめっき膜229に覆われていない不要な部分のCu層228と、Cuめっき膜236に覆われていない不要な部分のCu層235とを除去する。これにより、配線226,207及び外部接続用パッド214が形成される。つまり、配線226,207及び外部接続用パッド214は、セミアディティブ法により形成される。
【0021】
次いで、図8に示す工程では、絶縁層204の上面204Aに開口部208Aを有したソルダーレジスト層208を形成すると共に、絶縁層212の下面212Aに開口部216Aを有したソルダーレジスト層216を形成する。これにより、従来の配線基板200が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−125818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
図9は、従来の配線基板の製造方法の問題点を説明するための図である。図9において、W1は配線207の所定の幅(具体的には、設計上の配線207の幅、以下「所定の幅W1」とする)、W2は配線226の所定の幅(具体的には、設計上の配線226の幅、以下「所定の幅W2」とする)をそれぞれ示している。
【0023】
しかしながら、従来の配線基板200の製造方法では、図7に示す工程において、不要な部分のCu層228,235を除去する際、図9に示すように、配線207,226を構成する部分のCu層228及びCuめっき膜229もエッチングされてしまうため、配線207,226の幅が所定の幅W1,W2よりも狭くなってしまうという問題があった。特に、配線幅の狭い配線207(具体的には、例えば、配線幅が10μm以下の配線)が存在する場合、上記問題は顕著であった。なお、セミアディティブ法を用いて外部接続用パッド214を形成する場合、同様な問題が発生する。
【0024】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、配線の幅が略所定の配線幅(設計上の配線の幅)となるように配線を形成することのできる配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一観点によれば、絶縁層と、前記絶縁層の上面に形成された配線と、を備えた配線基板の製造方法であって、前記絶縁層の上面を覆う密着層を形成する密着層形成工程と、前記密着層の上面に、前記配線の形成領域に対応する部分の前記密着層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜の上面と、前記配線形成用開口部を構成する前記レジスト膜の側面及び前記密着層の上面とを覆うように、前記密着層よりもエッチングされにくい金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層を給電層とする電解めっき法により、前記配線形成用開口部をめっき膜で充填するめっき膜形成工程と、前記レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の前記金属層及び前記めっき膜を除去する金属層及びめっき膜除去工程と、前記金属層及びめっき膜除去工程後に、前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、前記レジスト膜除去工程後に、前記金属層に覆われていない不要な部分の前記密着層をエッチングにより除去する密着層除去工程と、を含むことを特徴とする配線基板の製造方法が提供される。
【0026】
本発明によれば、絶縁層の上面を覆う密着層を形成し、次いで、密着層の上面に、配線の形成領域に対応する部分の密着層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成し、その後、レジスト膜の上面と、配線形成用開口部を構成するレジスト膜の側面及び密着層の上面とを覆うように、密着層よりもエッチングされにくい金属層を形成し、次いで、金属層を給電層とする電解めっき法により、配線形成用開口部をめっき膜で充填し、次いで、レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の金属層及びめっき膜を除去した後、レジスト膜を除去し、その後、金属層に覆われていない不要な部分の密着層をエッチングにより除去することにより、不要な部分の密着層をエッチングにより除去する際、配線の側壁に対応する部分に形成された金属層がエッチングストッパー層として機能するため、配線の側壁がエッチングされることを抑制することが可能となるので、略所定の配線幅(設計上の配線の幅)となるように配線を形成することができる。
【0027】
本発明の他の観点によれば、絶縁層と、前記絶縁層の上面に形成された配線と、を備えた配線基板の製造方法であって、前記絶縁層の上面に、前記配線の形成領域に対応する部分の前記絶縁層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜の上面と、前記配線形成用開口部を構成する部分の前記レジスト膜の側面及び前記絶縁層の上面とを覆う金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層を給電層とする電解めっき法により、前記配線形成用開口部をめっき膜で充填するめっき膜形成工程と、前記レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の前記金属層及び前記めっき膜を除去して、前記配線を形成する配線形成工程と、前記配線形成工程後に、前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、を含むことを特徴とする配線基板の製造方法が提供される。
【0028】
本発明によれば、絶縁層の上面に、配線の形成領域に対応する部分の絶縁層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成し、その後、レジスト膜の上面と、配線形成用開口部を構成する部分のレジスト膜の側面及び絶縁層の上面とを覆う金属層を形成し、次いで、金属層を給電層とする電解めっき法により、配線形成用開口部をめっき膜で充填し、その後、レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の金属層及びめっき膜を除去して配線を形成し、その後、レジスト膜を除去することにより、エッチング法を用いることなく、配線を形成することが可能となるため、配線の幅を略所定の配線幅(設計上の配線の幅)にすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、配線の幅が略所定の配線幅(設計上の配線の幅)となるように配線を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【0032】
図10を参照するに、第1の実施の形態の配線基板10は、コア付きビルドアップ基板であり、コア基板15と、貫通電極16と、パッド17と、絶縁層18,29と、密着層20,31と、ビア21,32と、配線22,23と、配線パターン28と、ソルダーレジスト層24,35と、拡散防止膜26,36と、外部接続用パッド33とを有する。
【0033】
コア基板15は、板状とされており、貫通孔41を有する。コア基板15としては、例えば、ガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0034】
貫通電極16は、貫通孔41に設けられている。貫通電極16は、その上端がパッド17と接続されており、下端が配線パターン28と接続されている。貫通電極16は、パッド17と配線パターン28とを電気的に接続するための電極である。貫通電極16の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0035】
パッド17は、コア基板15の上面15A及び貫通電極16の上端に設けられている。パッド17の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0036】
絶縁層18は、パッド17の一部を覆うように、コア基板15の上面15Aに設けられている。絶縁層18は、パッド17の上面を露出する開口部42を有する。絶縁層18としては、例えば、絶縁樹脂層を用いることができる。また、絶縁樹脂層の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等を用いることができる。
【0037】
密着層20は、開口部42を構成する部分のパッド17の上面及び絶縁層18の面と、配線22,23の形成領域に対応する部分の絶縁層18の上面18Aとに設けられている。密着層20は、ビア21及び配線22,23と絶縁層18との間の密着性を向上させるための層である。密着層20としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層20としてNiCu合金層を用いる場合、密着層20の厚さは、例えば、30nm〜100nmとすることができる。また、密着層20としてNiCu合金層を用いる場合、密着層20を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、例えば、25重量%〜33重量%とすることができる。
【0038】
ビア21は、密着層20が形成された開口部42に設けられている。ビア21は、開口部42に形成された密着層20を覆う保護金属層47と、保護金属層47を覆うシード層48と、保護金属層47及びシード層48が形成された開口部42を充填するめっき膜49とにより構成されている。保護金属層47については、配線22を説明する際に詳述する。シード層48は、電解めっき法により、めっき膜49を形成する際の給電層である。シード層48としては、例えば、Cu層を用いることができる。シード層48としてCu層を用いた場合、シード層48の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。めっき膜49としては、例えば、Cuめっき膜を用いることができる。
【0039】
配線22は、絶縁層18の上面18Aに配置されると共に、ビア21の上端と一体的に構成されている。配線22は、めっき膜49と、めっき膜49の側壁及び下面に形成されたシード層48と、シード層48を覆う保護金属層47とにより構成されている。保護金属層47は、密着層20よりもエッチングされにくい金属層である。
【0040】
このように、密着層20よりもエッチングされにくい保護金属層47を、配線22を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成されたシード層48を覆うように配置することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層20を除去する際、保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、配線22の側壁部分に設けられたシード層48及びめっき膜49がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される配線22の幅を略所定の配線幅(設計上の配線22の幅)にすることができる。
【0041】
保護金属層47の材料としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層20及び保護金属層47としてNiCu合金層を用いる場合、保護金属層47を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、密着層20を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くするとよい。
【0042】
このように、保護金属層47を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率を、密着層20を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くすることにより、密着層20よりも保護金属層47のエッチングレートを小さくすることができる。
【0043】
また、保護金属層47の厚さを密着層20の厚さよりも厚くする(例えば、保護金属層47の厚さを密着層20の厚さの2倍以上にする)とよい。
【0044】
このように、保護金属層47の厚さを密着層20の厚さよりも厚くすることで、密着層除去工程後に、シード層48を介して、配線22を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成された保護金属層47を確実に残すことができる。密着層20として厚さが30nm〜100nmのNiCu合金層を用いる場合、保護金属層47の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。
【0045】
上記構成とされた配線22は、拡散防止膜26が形成されるパッド部51を有する。パッド部51は、拡散防止膜26を介して、半導体素子11の電極パッド12と電気的に接続される部分である。
【0046】
配線23は、絶縁層18の上面18Aに形成された密着層20上に設けられている。配線23は、めっき膜49と、めっき膜49の側壁及び下面に形成されたシード層48と、密着層20上に形成され、シード層48を覆う保護金属層47とにより構成されている。保護金属層47は、密着層よりもエッチングされにくい金属層である。
【0047】
このように、密着層20よりもエッチングされにくい保護金属層47を、配線23を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成されたシード層48を覆うように配置することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層20を除去する際、保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、配線23の側壁部分に設けられたシード層48及びめっき膜49がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される配線23の幅を略所定の配線幅(設計上の配線23の幅)にすることができる。上記説明した保護金属層47は、特に、設計上の配線22,23の幅が狭い場合(例えば、設計上の配線22,23の幅が10μm以下の場合)に有効である。
【0048】
ソルダーレジスト層24は、パッド部51を除いた部分の配線22と、配線23とを覆うように、絶縁層18の上面18Aに設けられている。ソルダーレジスト層24は、パッド部51の上面を露出する開口部53を有する。
【0049】
拡散防止膜26は、開口部53から露出された部分のパッド部51の上面に設けられている。拡散防止膜26は、バンプ13を介して、半導体素子11の電極パッド12と電気的に接続されている。拡散防止膜26は、パッド部51の上面に形成されたNi層55(例えば、厚さ3μm〜5μm)と、Ni層55上に積層されたAu層56(例えば、厚さ0.1μm)とにより構成されている。
【0050】
配線パターン28は、コア基板15の下面15B及び貫通電極16の下端に設けられている。配線パターン28は、貫通電極16と電気的に接続されている。配線パターン28は、パッド部58を有する。パッド部58は、密着層31を介して、配線パターン32と電気的に接続されている。配線パターン28の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0051】
絶縁層29は、パッド部58を除いた部分の配線パターン28を覆うように、コア基板15の下面15Bに設けられている。絶縁層29は、パッド部58の下面の一部を露出する開口部61を有する。絶縁層29としては、例えば、絶縁樹脂層を用いることができる。また、絶縁樹脂層の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等を用いることができる。
【0052】
密着層31は、開口部61を構成する部分のパッド部58の下面及び絶縁層29の面と、外部接続用パッド33の形成領域に対応する部分の絶縁層29の下面29Aとに設けられている。密着層31は、ビア32及び外部接続用パッド33と絶縁層29との間の密着性を向上させるための層である。密着層31としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層31としてNiCu合金層を用いる場合、密着層31の厚さは、例えば、30nm〜100nmとすることができる。また、密着層31としてNiCu合金層を用いる場合、密着層31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、例えば、25重量%〜33重量%とすることができる。
【0053】
ビア32は、密着層31が形成された開口部61に設けられている。ビア32は、開口部61に形成された密着層31を覆う保護金属層63と、保護金属層63を覆うシード層64と、保護金属層63及びシード層64が形成された開口部61を充填するめっき膜65とにより構成されている。ビア32を構成する部分の保護金属層63は、開口部61に形成された密着層31を覆うように設けられている。保護金属層63については、外部接続用パッド33を説明する際に詳述する。シード層64は、電解めっき法により、めっき膜65を形成する際の給電層である。シード層64としては、例えば、Cu層を用いることができる。シード層64としてCu層を用いた場合、シード層64の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。めっき膜65としては、例えば、Cuめっき膜を用いることができる。
【0054】
外部接続用パッド33は、絶縁層29の下面29Aに配置されると共に、ビア32の下端と一体的に構成されている。外部接続用パッド33は、めっき膜65と、めっき膜65の側壁及び下面に形成されたシード層64と、シード層64を覆う保護金属層63とにより構成されている。保護金属層63は、密着層31よりもエッチングされにくい金属層である。
【0055】
このように、密着層31よりもエッチングされにくい保護金属層63を、外部接続用パッド33を構成する部分のめっき膜65の側壁に形成されたシード層64を覆うように配置することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層31を除去する際、保護金属層63がエッチングストッパー層として機能するため、外部接続用パッド33の側壁部分に設けられたシード層64及びめっき膜65がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される外部接続用パッド33の幅を略所定の幅(設計上の外部接続用パッド33の幅)にすることができる。
【0056】
保護金属層63の材料としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層31及び保護金属層63としてNiCu合金層を用いる場合、保護金属層63を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、密着層31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くするとよい。
【0057】
このように、保護金属層63を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率を、密着層31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くすることにより、密着層31よりも保護金属層63のエッチングレートを小さくすることができる。
【0058】
また、保護金属層63の厚さを密着層31の厚さよりも厚くする(例えば、保護金属層63の厚さを密着層31の厚さの2倍以上にする)とよい。
【0059】
このように、保護金属層63の厚さを密着層31の厚さよりも厚くすることで、密着層除去工程後に、シード層64を介して、外部接続用パッド33を構成する部分のめっき膜65の側壁に形成された保護金属層63を確実に残すことができる。密着層31として厚さが30nm〜100nmのNiCu合金層を用いる場合、保護金属層63の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。
【0060】
ソルダーレジスト層35は、外部接続用パッド33の外周部を覆うように、絶縁層29の下面29Aに設けられている。ソルダーレジスト層35は、外部接続用パッド33の下面を露出する開口部67を有する。
【0061】
拡散防止膜36は、開口部67から露出された部分の外部接続用パッド33の下面に設けられている。拡散防止膜36は、外部接続用パッド33の下面に設けられたNi層71(例えば、厚さ3μm〜5μm)と、Ni層71上に積層されたAu層72(例えば、厚さ0.1μm)とにより構成されている。
【0062】
本実施の形態の半導体装置によれば、密着層20よりもエッチングされにくい保護金属層47を、配線22,23を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成されたシード層48を覆うように配置することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層20を除去する際、保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、配線22,23の側壁部分に設けられたシード層48及びめっき膜49がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される配線22,23の幅を略所定の配線幅(設計上の配線22,23の幅)にすることができる。
【0063】
図11〜図21は、本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図である。図11〜図21において、第1の実施の形態の配線基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0064】
図11〜図21を参照して、第1の実施の形態の配線基板10の製造方法について説明する。始めに、図11に示す工程では、周知の手法により、貫通孔41及び貫通電極16を形成し、その後、パッド17及び配線パターン28を形成(パッド形成工程)する。
【0065】
次いで、図12に示す工程では、コア基板15の上面15Aに開口部42を有した絶縁層18を形成すると共に、コア基板15の下面15Bに開口部61を有した絶縁層29を形成する。その後、粗化処理(例えば、デスミア処理)により、絶縁層18の上面18A、開口部42に露出された部分の絶縁層18の面、絶縁層29の下面29A、及び開口部61に露出された部分の絶縁層29の面を粗化する。
【0066】
次いで、図13に示す工程では、粗化された絶縁層18の面と、開口部42から露出されたパッド17の上面とを覆うように密着層20を形成すると共に、粗化された絶縁層29の面と、開口部61から露出されたパッド部58の下面とを覆うように密着層31を形成する(密着層形成工程)。密着層20,31としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層20,31としてNiCu合金層を用いる場合、密着層20,31の厚さは、例えば、30nm〜100nmとすることができる。また、密着層20,31としてNiCu合金層を用いる場合、密着層20,31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、例えば、25重量%〜33重量%とすることができる。
【0067】
密着層20,31は、スパッタ法を用いて形成するとよい。このように、スパッタ法を用いて密着層20,31を形成することで、密着層20,31が合金の場合、密着層20,31を構成する金属の組成比率を容易に制御することができる。
【0068】
次いで、図14に示す工程では、配線形成用開口部81A,81Bを有したレジスト膜81を密着層20の上面に形成し、開口部82Aを有したレジスト膜82を密着層31の下面に形成する(レジスト膜形成工程)。このとき、配線形成用開口部81Aは、配線22の形成領域に対応する部分の密着層20の上面を露出するように形成する。また、配線形成用開口部81Bは、配線23の形成領域に対応する部分の密着層20の上面を露出するように形成する。また、開口部82Aは、外部接続用パッド33の形成領域に対応する部分の密着層31の下面を露出するように形成する。
【0069】
次いで、図15に示す工程では、レジスト膜81の上面、配線形成用開口部81Aを構成するレジスト膜81の側面及び密着層20の上面、及び開口部42に配置された密着層20の上面を覆うように、密着層20,31よりもエッチングされにくい保護金属層47を形成すると共に、レジスト膜82の下面、開口部82Aを構成するレジスト膜82の側面及び密着層31の下面、開口部61に配置された部分の密着層31の下面を覆うように、密着層20,31よりもエッチングされにくい保護金属層63を形成する(保護金属層形成工程)。
【0070】
このように、配線22,23の側壁に対応する部分に、密着層20,31よりもエッチングされにくい保護金属層47を形成することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層20,31を除去する際、保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、保護金属層47の内側に形成されるシード層48及びめっき膜49がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される配線22,23の幅を略所定の配線幅(設計上の配線22,23の幅)にすることができる。
【0071】
また、外部接続用パッド33の側壁に対応する部分に、密着層20,31よりもエッチングされにくい保護金属層63を形成することにより、後述する図19に示す工程(密着層除去工程)において、エッチングにより不要な部分の密着層20,31を除去する際、保護金属層63がエッチングストッパー層として機能するため、保護金属層63の内側に形成されるシード層64及びめっき膜65がエッチングされることを防止することが可能となるので、密着層除去工程後に形成される外部接続用パッド33の幅を略所定の配線幅(設計上の外部接続用パッド33の幅)にすることができる。
【0072】
保護金属層47,63の材料としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層20,31及び保護金属層47,63としてNiCu合金層を用いる場合、保護金属層47,63を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、密着層20,31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くするとよい。
【0073】
このように、保護金属層47,63を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率を、密着層20,31を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率よりも高くすることにより、密着層20,31よりも保護金属層47,63のエッチングレートを小さくすることができる。
【0074】
また、保護金属層47,63は、スパッタ法を用いて形成するとよい。このように、スパッタ法を用いて保護金属層47,63を形成することで、保護金属層47,63が合金の場合、保護金属層47,63を構成する金属の組成比率を容易に制御することができる。
【0075】
また、保護金属層47,63の厚さは、後述する図19に示す密着層除去工程後に、配線22,23及び外部接続用パッド33を構成するめっき膜51,65の側壁に保護金属層47,63が残るような厚さに設定する。具体的には、例えば、保護金属層47,63の厚さを密着層20,31の厚さよりも厚くする(例えば、保護金属層47,63の厚さを密着層20,31の厚さの2倍以上にする)とよい。
【0076】
このように、保護金属層47,63の厚さを密着層20,31の厚さよりも厚くすることで、密着層除去工程後に、配線22,23の側壁及び外部接続用パッド33の側壁に保護金属層47,63を確実に残すことができる。密着層20,31及び保護金属層47,63としてNiCu合金層を用いる場合、密着層20,31の厚さは30nm〜100nm、保護金属層47,63の厚さは300nm〜500nmとすることができる。
【0077】
次いで、保護金属層47を覆うようにシード層48を形成すると共に、保護金属層63を覆うようにシード層64を形成する(シード層形成工程)。これにより、保護金属層47及びシード層48を備えた金属層84と、保護金属層63及びシード層64を備えた金属層85とが形成される(金属層形成工程)。
【0078】
シード層48,64は、例えば、スパッタ法により形成することができる。シード層48,64としては、例えば、Cu層を用いることができる。シード層48,64としてCu層を用いた場合、シード層48,64の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。
【0079】
次いで、図16に示す工程では、シード層48を給電層とする電解めっき法により、開口部42及び配線形成用開口部81A,81Bを充填するめっき膜49を形成すると共に、シード層64を給電層とする電解めっき法により、開口部61,82Aを充填するめっき膜65を形成する(めっき膜形成工程)。これにより、ビア21,ビア32が形成される(ビア形成工程)。めっき膜49,65としては、例えば、Cuめっき膜を用いることができる。
【0080】
次いで、図17に示す工程では、図16に示すレジスト膜81の上面よりも上方に形成された部分の金属層84及びめっき膜49を除去すると共に、図16に示すレジスト膜82の下面よりも下方に形成された部分の金属層85及びめっき膜65を除去する(金属層及びめっき膜除去工程)。これにより、不要な部分の金属層84,85及びめっき膜49,65が除去される。不要な部分の金属層84,85及びめっき膜49,65の除去には、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やブラスト法を用いることができる。
【0081】
次いで、図18に示す工程では、図17に示すレジスト膜81,82を除去する(レジスト膜除去工程)。次いで、図19に示す工程では、エッチングにより、保護金属層47,63に覆われていない不要な部分の密着層20,31を除去する(密着層除去工程)。具体的には、例えば、ウエットエッチングにより、不要な部分の密着層20,31を除去する。ウエットエッチングに用いるエッチング液としては、例えば、硫酸系エッチング液(具体的には、例えば、硫酸と過酸化水素水との混合液)を用いることができる。このとき、先に説明したように、シード層48を介して、配線22,23を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成された保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、密着層除去工程後に形成される配線22,23の幅を略所定の配線幅(具体的には、設計上の配線22,23の幅)にすることができる。また、シード層64を介して、外部接続用パッド33を構成する部分のめっき膜65の側壁に形成された保護金属層63がエッチングストッパー層として機能するため、密着層除去工程後に形成される外部接続用パッド33の幅を略所定の幅(具体的には、設計上の外部接続用パッド33の幅)にすることができる。
【0082】
次いで、図20に示す工程では、絶縁層18の上面18Aに、パッド部51の上面を露出する開口部53を有したソルダーレジスト層24を形成すると共に、絶縁層29の下面29Aに、外部接続用パッド33の下面を露出する開口部67を有したソルダーレジスト層35を形成する。
【0083】
次いで、図21に示す工程では、開口部53から露出された部分のパッド部51の上面に拡散防止膜26を形成すると共に、開口部67から露出された部分の外部接続用パッド33の下面に拡散防止膜36を形成する。具体的には、拡散防止膜26は、例えば、電解めっき法により、開口部53から露出された部分のパッド部51の上面にNi層55(例えば、厚さ3μm〜5μm)と、Au層56(例えば、厚さ0.1μm)とを順次積層させることで形成する。また、拡散防止膜36は、例えば、電解めっき法により、開口部67から露出された部分の外部接続用パッド33の下面にNi層71(例えば、厚さ3μm〜5μm)と、Au層72(例えば、厚さ0.1μm)とを順次積層させることで形成する。これにより、第1の実施の形態の配線基板10が製造される。
【0084】
本実施の形態の配線基板の製造方法によれば、開口部42が形成された絶縁層18の上面18Aと、開口部42を構成する部分の絶縁層18の面及びパッド17の上面とを覆うように密着層20を形成し、次いで、密着層20の上面に、配線22,23の形成領域に対応する部分の密着層20の上面を露出する配線形成用開口部81A,81Bを有したレジスト膜81を形成し、その後、レジスト膜81の上面と、配線形成用開口部81A,81Bを構成する部分のレジスト膜81の側面及び密着層20の上面とを覆うように、密着層20よりもエッチングされにくい保護金属層47を形成し、続いて、保護金属層47を覆うシード層48を形成し、次いで、シード層48を給電層とする電解めっき法により、開口部42及び配線形成用開口部81A,81Bをめっき膜で充填し、その後、レジスト膜81の上面よりも上方に形成された部分の不要な保護金属層47、シード層48、及びめっき膜49を除去し、次いで、レジスト膜81を除去し、その後、保護金属層47に覆われていない部分の不要な密着層20をエッチングにより除去することにより、シード層48を介して、配線22,23を構成する部分のめっき膜49の側壁に形成された保護金属層47がエッチングストッパー層として機能するため、密着層除去工程後に形成される配線22,23の幅を略所定の配線幅(具体的には、設計上の配線22,23の幅)にすることができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、配線基板10として、コア基板15の両面15A,15Bにそれぞれ1層の絶縁層18,29を備えたコア付きビルドアップ基板を例に挙げて説明したが、本実施の形態の配線基板の製造方法は、コア基板15の両面15A,15Bに配置された複数の絶縁層に複数のビア及び配線を備えたコア付きビルドアップ基板にも適用可能である。
【0086】
また、本実施の形態では、配線基板10としてコア付きビルドアップ基板を例に挙げて説明したが、本実施の形態の配線基板の製造方法は、コア基板15を備えていないコアレス基板にも適用可能である。
【0087】
さらに、保護金属層47,63がシード層としての機能を有する材料により構成されている場合、シード層48,64は設けなくてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、ビア32及び外部接続用パッド33の側壁に対応する部分に、保護金属層63を設けた場合を例に挙げて説明したが、保護金属層63は必要に応じて設ければよい。
【0089】
(第2の実施の形態)
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の断面図である。図22において、第1の実施の形態の配線基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0090】
図22を参照するに、第2の実施の形態の配線基板90は、第1の実施の形態の配線基板10に設けられた密着層20,31を構成要素から除くと共に、保護金属層47の代わりに密着層91を設け、保護金属層63の代わりに密着層92を設けた以外は配線基板10と同様に構成される。
【0091】
密着層91,92としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層91,92としてNiCu合金層を用いる場合、密着層91,92の厚さは、例えば、30nm〜100nmとすることができる。また、密着層91,92としてNiCu合金層を用いる場合、密着層91,92を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、例えば、25重量%〜33重量%とすることができる。
【0092】
図23〜図28は、本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図である。図23〜28において、第2の実施の形態の配線基板90と同一構成部分には同一符号を付す。
【0093】
図23〜図28を参照して、第2の実施の形態の配線基板90の製造方法について説明する。始めに、第1の実施の形態で説明した図11〜図12に示す工程(パッド形成工程を含む工程)と同様な処理を行って、図12に示す構造体を形成する。
【0094】
次いで、図23に示す工程では、絶縁層18の上面18Aに配線形成用開口部81A,81Bを有したレジスト膜81を形成すると共に、絶縁層29の下面29Aに、開口部82Aを有したレジスト膜82を形成する(レジスト膜形成工程)。
【0095】
次いで、図24に示す工程では、レジスト膜81の上面と、配線形成用開口部81A,81Bを構成する部分のレジスト膜81の側面及び絶縁層18の上面18Aと、開口部42を構成する部分の絶縁層18の面及びパッド17の上面とを覆うように密着層91を形成すると共に、レジスト膜82の下面と、開口部82Aを構成する部分のレジスト膜82の側面及び絶縁層29の下面29Aと、開口部61を構成する部分の絶縁層29の面及びパッド部58の下面とを覆うように密着層92を形成する(密着層形成工程)。
【0096】
密着層91,92は、例えば、スパッタ法により形成することができる。密着層91,92としては、例えば、NiCu合金層や、Ni,Ti,Ta,W,Vよりなる金属層や、Ni,Ti,Ta,W,Vを含んだ合金層等を用いることができる。密着層91,92としてNiCu合金層を用いる場合、密着層91,92の厚さは、例えば、30nm〜100nmとすることができる。また、密着層91,92としてNiCu合金層を用いる場合、密着層91,92を構成するNiCu合金に含まれるNiの含有率は、例えば、25重量%〜33重量%とすることができる。
【0097】
次いで、密着層91を覆うシード層48と、密着層92を覆うシード層64とを形成する(シード層形成工程)。これにより、シード層48及び密着層91を備えた金属層95と、シード層64及び密着層92を備えた金属層96とが形成される(金属層形成工程)。シード層48,64は、例えば、スパッタ法により形成することができる。シード層48,64としては、例えば、Cu層を用いることができる。シード層48,64としてCu層を用いた場合、シード層48,64の厚さは、例えば、300nm〜500nmとすることができる。
【0098】
次いで、図25に示す工程では、シード層48を給電層とする電解めっき法により、開口部42及び配線形成用開口部81A,81Bを充填するめっき膜49を形成すると共に、シード層64を給電層とする電解めっき法により、開口部61,82Aを充填するめっき膜65を形成する(めっき膜形成工程)。これにより、ビア21,ビア32が形成される(ビア形成工程)。めっき膜49,65としては、例えば、Cuめっき膜を用いることができる。
【0099】
次いで、図26に示す工程では、図25に示すレジスト膜81の上面よりも上方に形成された不要な部分の金属層95及びめっき膜49を除去すると共に、図25に示すレジスト膜82の下面よりも下方に形成された不要な部分の金属層96及びめっき膜65を除去して、配線22,23及び外部接続用パッド33を形成する(配線形成工程)。
【0100】
このように、エッチング法を用いることなく、配線22,23を形成することにより、配線22,23の側壁がエッチングされることがなくなるため、配線22,23の幅を略所定の配線幅(具体的には、設計上の配線22,23の幅)にすることができる。不要な部分の金属層95,96及びめっき膜49,65の除去には、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やブラスト法を用いることができる。
【0101】
次いで、図27に示す工程では、図26に示すレジスト膜81,82を除去する(レジスト膜除去工程)。次いで、図28に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図20及び図21に示す工程と同様な処理を行うことにより、ソルダーレジスト層24,35及び拡散防止膜26,36を形成する。これにより、第2の実施の形態の配線基板90が製造される。
【0102】
本実施の形態の配線基板の製造方法によれば、開口部42が形成された絶縁層18の上面18Aに、配線22,23の形成領域に対応する配線形成用開口部81A,81Bを有したレジスト膜81を形成し、次いで、レジスト膜81の上面と、配線形成用開口部81A,81Bを構成する部分のレジスト膜81の側面及び絶縁層18の上面18Aと、開口部42を構成する部分の絶縁層18の面及びパッド17の上面とを覆うように密着層91を形成し、次いで、密着層91を覆うシード層48を形成し、その後、シード層48を給電層とする電解めっき法により、開口部42及び配線形成用開口部81A,81Bをめっき膜で充填し、その後、レジスト膜81の上面よりも上方に形成された不要な部分の密着層91、シード層48、及びめっき膜49を除去することで、エッチング法を用いることなく、配線22,23を形成することが可能となるため、配線22,23の幅を略所定の配線幅(具体的には、設計上の配線22,23の幅)にすることができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、配線基板90として、コア基板15の両面15A,15Bにそれぞれ1層の絶縁層18,29を備えたコア付きビルドアップ基板を例に挙げて説明したが、本実施の形態の配線基板の製造方法は、コア基板15の両面15A,15Bに配置された複数の絶縁層に複数のビア及び配線を備えたコア付きビルドアップ基板にも適用可能である。
【0104】
また、本実施の形態では、配線基板90としてコア付きビルドアップ基板を例に挙げて説明したが、本実施の形態の配線基板の製造方法は、コア基板15を備えていないコアレス基板にも適用可能である。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、絶縁層上に形成された配線を備えた配線基板及びその製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】従来の配線基板の断面図である。
【図2】従来の配線基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】従来の配線基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】従来の配線基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図5】従来の配線基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図6】従来の配線基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図7】従来の配線基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図8】従来の配線基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図9】従来の配線基板の製造方法の問題点を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その10)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その11)である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その6)である。
【符号の説明】
【0108】
10,90 配線基板
11 半導体素子
12 電極パッド
13 バンプ
15 コア基板
15A,18A 上面
15B,29A 下面
16 貫通電極
17 パッド
18,29 絶縁層
20,31,91,92 密着層
21,32 ビア
22,23 配線
28 配線パターン
24,35 ソルダーレジスト層
26,36 拡散防止膜
33 外部接続用パッド
41 貫通孔
42,53,61,67,82A 開口部
47,63 保護金属層
48,64 シード層
49,65 めっき膜
51,58 パッド部
55,71 Ni層
56,72 Au層
81A,81B 配線形成用開口部
84,85,95,96 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、前記絶縁層の上面に形成された配線と、を備えた配線基板の製造方法であって、
前記絶縁層の上面を覆う密着層を形成する密着層形成工程と、
前記密着層の上面に、前記配線の形成領域に対応する部分の前記密着層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記レジスト膜の上面と、前記配線形成用開口部を構成する前記レジスト膜の側面及び前記密着層の上面とを覆うように、前記密着層よりもエッチングされにくい金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層を給電層とする電解めっき法により、前記配線形成用開口部をめっき膜で充填するめっき膜形成工程と、
前記レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の前記金属層及び前記めっき膜を除去する金属層及びめっき膜除去工程と、
前記金属層及びめっき膜除去工程後に、前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、
前記レジスト膜除去工程後に、前記金属層に覆われていない不要な部分の前記密着層をエッチングにより除去する密着層除去工程と、を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記金属層は、前記密着層よりもエッチングされにくい保護金属層と、前記給電層となるシード層とが積層された構成とされており、
前記金属層形成工程は、シード層を形成するシード層形成工程と、
前記シード層と前記レジスト膜及び前記密着層との間に、前記保護金属層を形成する保護金属層形成工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記保護金属層形成工程では、前記密着層を除去後に、前記めっき膜の側壁に前記保護金属層が残るような厚さとなるように、前記保護金属層を形成することを特徴とする請求項2記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記密着層及び前記保護金属層の材料は、Ni−Cu合金であり、
前記保護金属層を構成するNi−Cu合金は、前記密着層を構成するNi−Cu合金よりもNiの含有率が高いことを特徴とする請求項2又は3記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記配線の下方に位置する部分の前記絶縁層にパッドを形成するパッド形成工程と、
前記配線と前記パッドとの間に位置する部分の前記絶縁層に、前記配線及び前記パッドと接続されるビアを形成するビア形成工程と、をさらに設けたことを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
絶縁層と、前記絶縁層の上面に形成された配線と、を備えた配線基板の製造方法であって、
前記絶縁層の上面に、前記配線の形成領域に対応する部分の前記絶縁層の上面を露出する配線形成用開口部を有したレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記レジスト膜の上面と、前記配線形成用開口部を構成する部分の前記レジスト膜の側面及び前記絶縁層の上面とを覆う金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層を給電層とする電解めっき法により、前記配線形成用開口部をめっき膜で充填するめっき膜形成工程と、
前記レジスト膜の上面よりも上方に形成された部分の前記金属層及び前記めっき膜を除去して、前記配線を形成する配線形成工程と、
前記配線形成工程後に、前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属層形成工程は、前記給電層となるシード層を形成するシード層形成工程と、
前記シード層と前記絶縁層及び前記レジスト膜との間に配置される密着層を形成する密着層形成工程と、を有することを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記配線の下方に位置する部分の前記絶縁層にパッドを形成するパッド形成工程と、
前記配線と前記パッドとの間に位置する部分の前記絶縁層に、前記配線及び前記パッドと接続されるビアを形成するビア形成工程と、をさらに設けたことを特徴とする請求項6又は7記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−182118(P2009−182118A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19261(P2008−19261)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】