説明

配線基板への電子部品取付構造および配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造

【課題】電子部品の隣り合うリード端子の間隔が小さい場合でも、配線基板への電子部品の取付作業性を向上させることが可能な配線基板への電子部品取付構造を提供する。
【解決手段】このフレームレーザ取付構造(配線基板への電子部品取付構造)は、リード端子21〜24を含むフレームレーザ2と、フレームレーザ2のリード端子21〜24を挿入するためのスルーホール11a〜14aを有してX方向に沿って間隔を隔てて配列された複数のランド11〜14を含むFPC1とを備え、フレームレーザ2のリード端子21〜24が挿入されていない状態において、ランド11〜14のスルーホール11a〜14aは、X方向と直交するY方向に延びる細長形状を有するとともに、挿入されるリード端子21〜24のX方向の幅以下のX方向の幅を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板への電子部品取付構造および配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造に関し、特に、複数のリード端子を挿入するための開口部を有する配線基板への電子部品取付構造および配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のリード端子を挿入するための開口部を有する配線基板に対して電子部品を取り付けた構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の端子ピン(リード端子)を含む半導体レーザ素子(電子部品)と、所定の間隔を隔てて配列された半導体レーザ素子の端子ピンを挿入するための複数の円形形状の挿入孔(開口部)を有するフレキシブルプリント回路基板(配線基板)とを備えた構造が開示されている。また、フレキシブルプリント回路基板には、半導体レーザ素子が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−54405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載のような半導体レーザ素子の取付構造(配線基板への電子部品取付構造)では、電子部品の小型化の要求のために隣り合う端子ピンの間隔を小さくする必要があり、それに伴って端子ピン(リード端子)を挿入するための隣り合う端子挿入孔(開口部)の間隔も小さくする必要がある。この場合、単に端子挿入孔の間隔を小さくするだけでは、半田付けをする際に、隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続され易くなってしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電子部品の隣り合うリード端子の間隔を小さくする場合でも、半田付けをする際に、隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続されるのを抑制することが可能な配線基板への電子部品取付構造および配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による配線基板への電子部品取付構造は、複数のリード端子を含む電子部品と、電子部品のリード端子を挿入するための開口部を有して第1の方向に沿って間隔を隔てて配列された複数のランドを含む配線基板とを備え、ランドの開口部は、電子部品のリード端子が挿入されていない状態において、第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状を有するとともに、挿入されるリード端子の第1の方向の幅以下の第1の方向の幅を有する。
【0008】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造では、上記のように、ランドの開口部を、挿入されるリード端子の第1の方向の幅以下の第1の方向の幅を有するように形成することによって、開口部の第1の方向の幅が大きくなることを抑制することができるので、隣り合う開口部の端部同士の間隔をより大きく確保することができる。これにより、隣り合うランドの間隔をより大きく確保することができる。その結果、半田付けをする際に隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。また、ランドの開口部を、第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状に形成することによって、正方形形状や円形形状に比べ開口部が第1の方向に変形しやすくなるので、開口部の第1の方向の幅より大きな第1の方向の幅を有するリード端子を開口部に挿入する場合でも、配線基板が裂けることを抑制することができる。ここで、リード端子の第1の方向の幅は、リード端子の第1の方向の幅の設計値に寸法公差を考慮した幅である。
【0009】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造において、好ましくは、配線基板は、リード端子を開口部に挿入する際に開口部が第1の方向に広がるように変形可能な材料により構成されている。このように構成すれば、開口部の第1の方向の幅よりもリード端子の第1の方向の幅の方が大きい場合に、開口部を変形させて容易に開口部にリード端子を挿入することができる。
【0010】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造において、好ましくは、開口部は、角部がない細長形状を有する。このように構成すれば、開口部に応力集中しやすい角部が形成されないので、開口部にリード端子を挿入する際に、配線基板が裂けることを抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、開口部は、楕円形またはトラック形状に形成されている。このように構成すれば、開口部にリード端子を挿入する際に配線基板が裂けることを抑制しつつ、半田付けをする際に楕円形またはトラック形状の開口部の端部に沿って半田が第2の方向へと流れ、隣のランドがある第1の方向へと半田が流れることを抑制することができる。
【0012】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造において、好ましくは、ランドは、開口部の端部からランドの端部まで第1の方向に所定の長さ以上の長さを有するとともに、隣り合うランドは、細長形状の開口部の第1の方向の幅以上の間隔を隔てて第1の方向に沿って配置されている。このように構成すれば、半田付けをする際にリード端子を固定するために必要なランドの面積を確保しつつ隣のランドと接続しにくい十分な離間距離をとることができるので、より確実に隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。
【0013】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造において、好ましくは、隣り合うランドの開口部の中心間距離は、開口部の第1の方向の幅の3倍以上5倍以下に設定されている。このように構成すれば、隣り合うランドの開口部の中心間距離を開口部の第1の方向の幅の3倍以上に設定することにより、半田付けをする際に隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。また、隣り合うランドの開口部の中心間距離を開口部の第1の方向の幅の5倍以下に設定することによって、隣り合うランドの開口部の中心間距離が過度に大きくなることを抑制して、配線基板への電子部品取付構造を小型化することができる。
【0014】
この第1の局面による配線基板への電子部品取付構造において、好ましくは、開口部は、第2の方向において開口部の第1の方向の幅の1.5倍以上2.5倍以下の幅を有する。このように構成すれば、第2の方向において第1の方向の幅の1.5倍以上の幅を有する開口部により、円形状に近い形状に比べて第1の方向により広がり易くして配線基板が裂けることをより抑制することができる。また、第2の方向において第1の方向の幅の2.5倍以下の幅を有する開口部により、開口部の第2の方向の幅が過度に大きくなることを抑制して配線基板への電子部品取付構造を小型化することができる。
【0015】
この発明の第2の局面による配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造は、複数のリード端子を含む光ピックアップ用レーザと、光ピックアップ用レーザのリード端子を挿入するための開口部を有して第1の方向に沿って間隔を隔てて配列された複数のランドを含む配線基板とを備え、ランドの開口部は、光ピックアップ用レーザのリード端子が挿入されていない状態において、第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状を有するとともに、挿入されるリード端子の第1の方向の幅以下の第1の方向の幅を有する。
【0016】
この第2の局面による配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造では、上記のように、ランドの開口部を、挿入されるリード端子の第1の方向の幅以下の第1の方向の幅を有するように形成することによって、開口部の第1の方向の幅が大きくなることを抑制することができるので、隣り合う開口部の端部同士の間隔をより大きく確保することができる。これにより、隣り合うランドの間隔をより大きく確保することができる。その結果、半田付けをする際に隣り合うリード端子の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。また、ランドの開口部を、第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状に形成することによって、正方形形状や円形形状に比べ開口部が第1の方向に変形しやすくなるので、開口部の第1の方向の幅より大きな第1の方向の幅を有するリード端子を開口部に挿入する場合でも、配線基板が裂けることを抑制することができる。ここで、リード端子の第1の方向の幅は、リード端子の第1の方向の幅の設計値に公差を考慮した幅である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレキシブルプリント基板の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレームレーザの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレームレーザのリード端子の底面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレームレーザのリード端子(最大幅)をフレキシブルプリント基板のスルーホールに挿入した状態を示した図1の100−100線に沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるリード端子(最大幅)をスルーホールに挿入する際のスルーホールの変形を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレームレーザのリード端子(設計幅)をフレキシブルプリント基板のスルーホールに挿入した状態を示した図1の100−100線に沿った断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるリード端子(設計幅)をスルーホールに挿入する際のスルーホールの変形を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレームレーザのリード端子(最小幅)をフレキシブルプリント基板のスルーホールに挿入した状態を示した図1の100−100線に沿った断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるリード端子(最小幅)をスルーホールに挿入する際のスルーホールの状態を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造におけるフレキシブルプリント基板のランドの配置および比較例によるランドの配置を示した図である。
【図11】本発明の一実施形態の第1変形例によるフレームレーザ取付構造におけるスルーホールの形状を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態の第2変形例によるフレームレーザ取付構造におけるスルーホールの形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態によるフレームレーザ取付構造について説明する。フレームレーザ取付構造は、フレキシブルプリント配線基板(FPC(Flexible Printed Circuits))1と光ピックアップに対応しているフレームレーザ(LD(Laser Diode))2とを備える。なお、フレームレーザ取付構造は、本発明の「配線基板への電子部品取付構造」および「配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造」の一例である。また、FPC1は、本発明の「配線基板」の一例であり、フレームレーザ2は、本発明の「電子部品」および「光ピックアップ用レーザ」の一例である。ここで、FPC1とは、柔軟性があり大きく変形させることが可能なプリント配線基板であり、フレームレーザ2とは、管タイプに比べ薄型軽量の平型のフレームタイプのレーザである。
【0020】
FPC1は、図1に示すように、ランド11〜14と、ランド11〜14や配線(図示せず)を印刷するベース15とによって主に構成されている。
【0021】
ランド11〜14は、銅箔からなり、ベース15の片側の表面に印刷されている。ランド11〜14は、それぞれ、FPC1に設けられた図示しない配線に接続されている。ランド11〜14は、それぞれ、スルーホール11a〜14aを有する。スルーホール11a〜14aは、それぞれ、フレームレーザ2のリード端子21〜24を挿入するためにFPC1に貫通している孔である。スルーホール11a〜14aは、複数のランド11〜14が隣接する方向(X方向)に沿って配列されている。また、スルーホール11a〜14aは、X方向に短軸を有し、X方向と直交するY方向に長軸を有する細長形状の楕円形に形成されている。
【0022】
また、スルーホール11a〜14aは、後述するリード端子21〜24のX方向の設計幅W1と等しいX方向の幅L1(たとえば、0.3mm)を有する。また、スルーホール11a〜14aは、Y方向においてX方向の幅L1の略2倍の幅L2(たとえば、0.6mm)を有する。また、スルーホール11a〜14aは、隣接する間で、X方向の幅L1の4倍の長さの中心間距離D1(たとえば、1.2mm)を有する。
【0023】
また、ランド11〜14は、隣のランドとスルーホール11a〜14aのX方向の幅L1の略5/3の長さの離間距離C1(たとえば、0.5mm)を隔ててX方向に沿って配列されている。つまり、ランド11〜14は、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1より大きな離間距離C1を隔ててX方向に沿って配列されている。ランド11およびランド14は、ランド12および13の中間にありY方向に延びる直線16に対して互いに略線対称である。また、ランド12およびランド13は、直線16に対して互いに略線対称である。ランド11(14)は、隣のランド12(13)側のスルーホール11a(14a)の端部からランド11(14)の端部までスルーホール11a(14a)のX方向の幅L1の略2/3のX方向の長さC2(たとえば、0.2mm)を有する。ランド11(14)は、隣のランド12(13)と反対側のスルーホール11a(14a)の端部からランド11(14)の端部までC2より大きいX方向の長さC3(たとえば、0.35mm)を有する。また、ランド12(13)は、隣のランド11または13(12または14)側のスルーホール12a(13a)の端部からランド12(13)の端部までX方向の長さC2を有する。
【0024】
FPC1を構成するベース15は、変形可能なポリイミドから主になる。これにより、FPC1は、リード端子21〜24をそれぞれスルーホール11a〜14aに挿入する際にスルーホール11a〜14aがX方向に広がるように変形可能なベース15およびランド11〜14により構成されている。
【0025】
フレームレーザ2は、図2に示すように、複数(本実施形態では4つ)のリード端子21〜24を有する。リード端子21〜24は、金属製の導体からなる。また、リード端子21〜24は、それぞれスルーホール11a〜14aの中心間距離D1と略等しい中心間距離D2(たとえば、1.2mm)を隔てて複数のスルーホール11a〜14aが隣接する方向(X方向)に沿って配列されている。リード端子21〜24は、スルーホール11a〜14aに挿入されるように構成されている。リード端子21〜24は、四角柱の形状を有しており、図3に示すように、底面は略正方形の形状を有する。リード端子21〜24は、設計値としてX方向およびY方向の幅W1(たとえば、0.3mm)を有する。また、リード端子21〜24は、X方向およびY方向の幅W1について、概ねW1の20%の公差±α(たとえば、0.06mm)を有する。言い換えると、リード端子21〜24のX方向およびY方向の幅は、W1−α以上W1+α以下(たとえば、0.24mm以上0.36mm以下)でばらついている。
【0026】
次に、図4〜図9を参照して、本発明の一実施形態によるFPC1へのフレームレーザ2の取付手順について説明する。
【0027】
フレームレーザ2のリード端子21〜24を、FPC1のランド11〜14が印刷されていない側からスルーホール11a〜14aに挿入する。図4および図5に示すように、リード端子21〜24が、X方向およびY方向において幅W1+α(設計値から公差が+方向に最大ずれた場合の最大幅(たとえば、0.36mm))を有する場合には、リード端子21〜24を幅L1(たとえば、0.3mm)を有するスルーホール11a〜14aに挿入する際、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1(たとえば、0.3mm)よりリード端子21〜24のX方向の幅W1+α(たとえば、0.36mm)の方が大きいので、FPC1は、リード端子21〜24により、スルーホール11a〜14aがX方向に広がるように変形される。
【0028】
また、図6および図7に示すように、リード端子21〜24が、X方向およびY方向において幅W1(設計幅(たとえば、0.3mm))を有する場合には、リード端子21〜24を幅L1(たとえば、0.3mm)を有するスルーホール11a〜14aに挿入する際、楕円形状のスルーホール11a〜14aよりリード端子21〜24のX方向の幅W1の方が大きい部分があるので、FPC1は、リード端子21〜24により、スルーホール11a〜14aがX方向に広がるように僅かに変形される。
【0029】
また、図8および図9に示すように、リード端子21〜24が、X方向およびY方向において幅W1−α(設計値から公差が−方向に最大ずれた場合の最小幅(たとえば、0.24mm))を有する場合には、リード端子21〜24を幅L1(たとえば、0.3mm)を有するスルーホール11a〜14aに挿入する際、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1(たとえば、0.3mm)よりリード端子21〜24のX方向の幅W1−α(たとえば、0.24mm)の方が小さいので、リード端子21〜24により、スルーホール11a〜14aは変形されない。
【0030】
その後、スルーホール11a〜14aに挿入されたリード端子21〜24を、FPC1のランド11〜14が印刷されている側からFPC1に半田(図示せず)により固定する。
【0031】
次に、図10を参照して、比較例によるスルーホール31a〜34aを有するランド31〜34について説明する。
【0032】
ランド31〜34は、それぞれ、スルーホール31a〜34aを有する。スルーホール31a〜34aは、略円形に形成されており、X方向に沿って配列されている。スルーホール31a〜34aは、X方向の幅L11(たとえば、0.51mm)およびY方向の幅L21(たとえば、0.51mm)を有する。スルーホール31a〜34aは、隣のスルーホールと中心間距離D1(たとえば、1.2mm)を隔てて配置されている。また、ランド31〜34は、隣のランドと離間距離C11(たとえば、0.29mm)を隔ててX方向に沿って配列されている。
【0033】
ランド31およびランド34は、ランド32および33の中間にありY方向に延びる直線36に対して互いに線対称である。また、ランド32およびランド33は、直線36に対して互いに線対称である。ランド31(34)は、隣のランド32(33)側のスルーホール31a(スルーホール34a)の端部からランド31(34)の端部までX方向の長さC2(たとえば、0.2mm)を有する。また、ランド32(33)は、隣のランド31または33(32または34)側のスルーホール32a(33a)の端部からランド32(33)の端部までX方向の長さC2を有する。また、比較例によるランド31〜34の他の構成については対応する本実施形態のランド11〜14と同様である。
【0034】
上記比較例では、X方向の幅がリード端子21〜24の最大値であるW1+α(たとえば、0.36mm)のリード端子21〜24に対応するために、スルーホール31a〜34aは、一辺がW1+αの正方形の対角線を考慮した長さの直径L11を有する。つまり、スルーホール31a〜34aは、本実施形態のスルーホール11a〜14aのX方向の幅L1(たとえば、0.3mm)より大きなX方向の幅L11を有する。また、ランド31〜34は、隣にランド31〜34がある側のスルーホール31a〜34aの端部からランド31〜34の端部までX方向の長さC2を有する。また、スルーホール31a〜34aは、隣のスルーホールと中心間距離D1を隔てて配置されている。よって、ランド31〜34は、本実施形態のランド11〜14の離間距離C1より小さな離間距離C11を隔てて配置されている。このため、半田付けをする際に隣り合うリード端子21〜24の取付部分が半田により互いに接続され易くなってしまう。
【0035】
本実施形態では、上記のように、ランド11〜14のスルーホール11a〜14aを、X方向において挿入されるリード端子21〜24のX方向の設計幅W1と等しい幅L1を有するように形成することによって、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1が大きくなることを抑制することができるので、隣り合うスルーホール11a〜14aの端部同士の間隔をより大きく確保することができる。これにより、隣り合うランド11〜14の間隔をより大きく確保することができる。その結果、半田付けをする際に隣り合うリード端子21〜24の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。また、ランド11〜14のスルーホール11a〜14aを、X方向と直交するY方向に延びる細長形状に形成することによって、正方形形状や円形形状に比べスルーホール11a〜14aがX方向に変形しやすくなるので、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1より大きな第1の方向の幅W1+αを有するリード端子21〜24をスルーホール11a〜14aに挿入する場合でも、FPC1が裂けることを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、FPC1を、リード端子21〜24をスルーホール11a〜14aに挿入する際にスルーホール11a〜14aがX方向に広がるように変形可能な材料により構成することによって、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1よりもリード端子21〜24のX方向の幅の方が大きい場合に、スルーホール11a〜14aを変形させて容易にスルーホール11a〜14aのそれぞれにリード端子21〜24を挿入することができる。
【0037】
また、本実施形態では、スルーホール11a〜14aを、角部がない細長形状を有するように構成することによって、スルーホール11a〜14aに応力集中しやすい角部が形成されないので、スルーホール11a〜14aにリード端子21〜24を挿入する際に、FPC1が裂けることを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、スルーホール11a〜14aを、楕円形に形成することによって、スルーホール11a〜14aにリード端子21〜24を挿入する際にFPC1が裂けることを抑制しつつ、半田付けをする際に楕円形のスルーホール11a〜14aの端部に沿って半田がY方向へと流れ、隣のランドがあるX方向へと半田が流れることを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、ランド11〜14を、スルーホール11a〜14aの端部からランド11〜14の端部までX方向にC2以上の長さを有するように構成するとともに、隣り合うランド11〜14を、細長形状のスルーホール11a〜14aのX方向の幅L1以上の離間距離C1を隔ててX方向に沿って配置することによって、半田付けをする際にリード端子21〜24を固定するために必要なランド11〜14の面積を確保しつつ隣り合うランドと接続しにくい十分な離間距離C1をとることができるので、より確実に隣り合うリード端子21〜24の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、隣り合うランド11〜14のスルーホール11a〜14aの中心間距離D1を、スルーホール11a〜14aのX方向の幅L1の4倍に設定することによって、半田付けをする際に隣り合うリード端子21〜24の取付部分が半田により互いに接続されることを抑制することができる。また、隣り合うランド11〜14のスルーホール11a〜14aの中心間距離が過度に大きくなるのを抑制して、フレームレーザ取付構造を小型化することができる。
【0041】
また、本実施形態では、スルーホール11a〜14aを、Y方向においてスルーホール11a〜14aのX方向の幅L1の2倍の幅L2を有するように構成することによって、円形状に近い形状に比べてX方向により広がり易くしてFPC1が裂けることをより抑制することができる。また、スルーホール11a〜14aのY方向の幅が過度に大きくなることを抑制してフレームレーザ取付構造を小型化することができる。
【0042】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
たとえば、上記実施形態では、開口部であるスルーホール11a〜14aは、楕円形に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図11に示すように、開口部110aを、第2の方向であるY方向に延びる細長形状であるトラック形状に形成してもよい。また、図12に示すように、開口部210aを、第2の方向であるY方向に延びる細長形状である長方形に形成してもよい。また、開口部を、楕円形、トラック形状および長方形以外の第2の方向に延びる細長形状に形成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、配線基板としてFPC1を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、配線基板は、リード端子を開口部に挿入する際に開口部が第1の方向に広がるように変形可能な材料により構成されていればFPCでなくてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、開口部は、電子部品のリード端子が挿入されていない状態において、挿入されるリード端子の第1の方向の設計幅と等しい第1の方向の幅を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部は、電子部品のリード端子が挿入されていない状態において、挿入されるリード端子の第1の方向の幅以下の第1の方向の幅を有していればよい。たとえば、開口部は、電子部品のリード端子が挿入されていない状態において、挿入されるリード端子の第1の方向の幅の設計値に寸法公差を考慮した幅以下の第1の方向の幅を有していてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ランドは、開口部の第1の方向の幅の5/3の間隔を隔てて第1の方向に沿って配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ランドは、開口部の第1の方向以上の間隔を隔てて第1の方向に沿って配置されていれば、開口部の第1の方向の幅の5/3の間隔を隔ててなくてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、隣り合うランドの各々の開口部の中心間距離は、開口部の第1の方向の4倍に設定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、隣り合うランドの各々の開口部の中心間距離は、開口部の第1の方向の3倍以上5倍以下に設定されていれば、4倍でなくてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、開口部は、第2の方向において開口部の第1の方向の幅の2倍の幅を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部は、第2の方向において開口部の第1の方向の幅の1.5倍以上2.5倍以下の幅を有していれば、2倍でなくてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、電子部品の一例として、フレームレーザ2を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フレームレーザ以外の電子部品を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 フレキシブルプリント基板(FPC(配線基板))
2 フレームレーザ(電子部品、光ピックアップ用レーザ)
11、12、13、14 ランド
11a、12a、13a、14a スルーホール(開口部)
21、22、23、24 リード端子
110a、210a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリード端子を含む電子部品と、
前記電子部品の前記リード端子を挿入するための開口部を有し、第1の方向に沿って間隔を隔てて配列された複数のランドを含む配線基板とを備え、
前記ランドの開口部は、前記電子部品のリード端子が挿入されていない状態において、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状を有するとともに、挿入される前記リード端子の前記第1の方向の幅以下の前記第1の方向の幅を有する、配線基板への電子部品取付構造。
【請求項2】
前記配線基板は、前記リード端子を前記開口部に挿入する際に前記開口部が前記第1の方向に広がるように変形可能な材料により構成されている、請求項1に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項3】
前記開口部は、角部がない細長形状を有する、請求項1または2に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項4】
前記開口部は、楕円形またはトラック形状に形成されている、請求項3に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項5】
前記ランドは、前記開口部の端部から前記ランドの端部まで前記第1の方向に所定の長さ以上の長さを有するとともに、
隣り合う前記ランドは、前記細長形状の開口部の前記第1の方向の幅以上の間隔を隔てて前記第1の方向に沿って配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項6】
隣り合う前記ランドの開口部の中心間距離は、前記開口部の前記第1の方向の幅の3倍以上5倍以下に設定されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項7】
前記開口部は、前記第2の方向において前記開口部の前記第1の方向の幅の1.5倍以上2.5倍以下の幅を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線基板への電子部品取付構造。
【請求項8】
複数のリード端子を含む光ピックアップ用レーザと、
前記光ピックアップ用レーザの前記リード端子を挿入するための開口部を有し、第1の方向に沿って間隔を隔てて配列された複数のランドを含む配線基板とを備え、
前記ランドの開口部は、前記光ピックアップ用レーザのリード端子が挿入されていない状態において、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる細長形状を有するとともに、挿入される前記リード端子の前記第1の方向の幅以下の前記第1の方向の幅を有する、配線基板への光ピックアップ用レーザ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−109463(P2012−109463A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258237(P2010−258237)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】