説明

酵素阻害剤及びその製造方法

【課題】
コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とする酵素阻害剤、当該酵素阻害剤の製造方法、当該酵素阻害剤を含有する皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等を提供する。
【解決手段】
酵素阻害剤が、コレステロールと、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上の高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするものとし、皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等に当該酵素阻害剤を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とする酵素阻害剤に関する。また、本発明は、当該酵素阻害剤の製造方法に関する。さらに、本発明は、当該酵素阻害剤を含有する皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、哺乳動物の結合組織に広く存在するマトリックス成分の一つであり、ヒトの皮膚、関節液、眼の硝子体、へその緒などに分布している。ヒアルロン酸の機能は、細胞の保持、皮膚の保水、関節の潤滑等が挙げられる。生体内のヒアルロン酸は比較的短期間で代謝回転されており、通常、ヒアルロン酸合成酵素と分解酵素の活性の平衡が保たれている。しかし、一般に、老化に伴いこの平衡が失われ、ヒアルロン酸の合成に対してヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ活性が亢進され、組織の柔軟性や湿潤性も失われ、皮膚のシワやタルミ等の老人性変化を引き起こす。
【0003】
また、ヒアルロニダーゼは、それ自体起炎剤としての作用を有し、抗炎症剤や抗アレルギー剤によりその酵素活性が阻害される。ヒアルロニダーゼ阻害剤については、ヒアルロニダーゼ阻害活性を試験することによる抗アレルギー剤の開発が行われていて、例えば、天然物のヒアルロニダーゼ阻害効果及びそれらの抗アレルギー活性に関する報告(例えば、非特許文献1参照)がある。
【0004】
ヒアルロニダーゼ阻害剤については、皮膚老化防止、抗炎症、抗アレルギー活性の観点から、安全かつ有効な物質が望まれている。
【0005】
コレステロールと脂肪酸のエステル類の合成については、例えば、リパーゼもしくはコレステロールエステラーゼを用いて、分子内にステロイド骨格及び水酸基を有する化合物と脂肪酸とを接触反応させることを特徴とするステロール脂肪酸エステルの製造方法(例えば、特許文献1参照)がある。
また、例えば、植物由来のステロール組成物とトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を原料とし、脂質分解活性を有する酵素としてリパーゼ又はコレステロールエステラーゼによるステロール脂肪酸エステルの酵素合成反応を行い、一連の精製工程を経ることにより、安全面および官能面において優れたステロール脂肪酸エステルの製造方法(例えば、特許文献2参照)がある。
【0006】
コレステロールと脂肪酸のエステル類の化学的合成については、例えば、脂肪酸クロライドをコレステロールと反応させる方法又はコレステロールを脂肪酸と加熱する方法、また、そのエステルを含有する組成物が医薬用、スキンケア用または栄養組成物として使用することが示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、コレステロール脂肪酸エステルを用いた用途については、例えば、コレステロール脂肪酸エステルを含む固形脂が水性媒体中に乳化剤によって分散された乳濁型水性化粧料並びにその製造方法(例えば、特許文献4参照)がある。
【0007】
しかし、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成してヒアルロニダーゼ阻害剤とすることについては、具体的な開示がなく、実用化の例が見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−204197号公報
【特許文献2】特開2002−171993号公報
【特許文献3】特開平6−234644号公報
【特許文献4】特開平4−112810号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hisao Kakegawa, et al, Chem. Pharm. Bull. 40,(6) 1439-1442 (1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、ステロール脂肪酸エステルやコレステロール脂肪酸エステルについて、合成方法や用途が開示されているが、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成し精製するヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法、及びその応用については、具体的な開示がなく、実用化の例が見られない。
【0011】
本発明は、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を提供することを目的とする。また、本発明は、当該酵素阻害剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧品、食品、医薬品等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、酵素阻害作用を有する物質に着目して鋭意研究の結果、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルがヒアルロニダーゼ阻害活性を有することを見出し、当該酵素阻害剤を皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等において有効に用いることができる本発明を完成した。
【0014】
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤。
項(2)
高度不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする項(1)記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
項(3)
ヒアルロニダーゼ阻害剤中のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの含有率が60%以上である項(1)又は項(2)に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
項(4)
項(1)から項(3)のいずれか1項に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤。
項(5)
項(1)から項(3)のいずれか1項に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する食品。
項(6)
コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを原料とし、合成反応を温度が制御された系内で行う工程と、
第1の精製工程として分子蒸留処理によって主として未反応のコレステロール及び高度不飽和脂肪酸を含む油脂類の除去を行う工程と、
第2の精製工程として活性炭、活性白土又はシリカのいずれかからなる吸着剤による吸着剤処理によって主として色素成分と臭いの除去を行う工程と、
を含むコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。
項(7)
高度不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする項(6)記載のヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。
項(8)
ヒアルロニダーゼ阻害剤中のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの含有率が60%以上である項(6)又は項(7)に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤及びその製造方法を提供するものであり、当該ヒアルロニダーゼ阻害剤は、優れたヒアルロニダーゼ阻害活性を有し、酸化安定性に優れ、当該ヒアルロニダーゼ阻害剤を皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等において効果的に利用することができる。
【0016】
また、本発明は、コレステロールと、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上の高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤及びその製造方法を提供するものであり、当該ヒアルロニダーゼ阻害剤は、優れたヒアルロニダーゼ阻害活性を有し、酸化安定性に優れ、当該ヒアルロニダーゼ阻害剤を皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等において効果的に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
高度不飽和脂肪酸については、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等は、プロスタグランジンやトロンボキサンとの関連性において、血圧降下作用、コレステロール調整作用、抗アレルギー作用等の生理活性が注目されており、食品、医薬品、飼料、化粧品等の素材として開発が進められている。
【0018】
しかしながら、高度不飽和脂肪酸は、その構造上の特性から容易に酸化、加熱などによる劣化を生じ、その結果として、酸価、過酸化物価、アニシジン価、カルボニル価の上昇や、外観上は色調が濃くなる、酸化劣化臭が強くなるなどの品質の低下が見られる。本発明においては、安定性に優れるコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルとすることにより、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルが有する、肌になじみやすい、優れた酸化安定性等の特性を利用するとともに、高度不飽和脂肪酸のこれらの問題点を解消し、高度不飽和脂肪酸の生理活性をはじめとする特性を利用することができる。
【0019】
本発明において、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルは、コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを原料とし、合成反応を温度が制御された系内で行う工程と、第1の精製工程として分子蒸留処理によって主として未反応のコレステロール及び高度不飽和脂肪酸を含む油脂類の除去を行う工程と、次いで第2の精製工程として活性炭、活性白土又はシリカからなる吸着剤による吸着剤処理によって主として色素成分と臭いの除去を行う工程と、を含むものである。
【0020】
本発明において、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルは、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られるものであり、コレステロールと高度不飽和脂肪酸のエステルをいう。
本発明において、合成方法としては、酵素合成、化学合成、酵素合成と化学合成の併用を挙げることができる。
【0021】
本発明において、コレステロールとしては、コレステロール、イソコレステロール、7−デハイドロコレステロール等を挙げることができ、好ましくは、コレステロールである。
【0022】
本発明において、原料である高度不飽和脂肪酸は、当該高度不飽和脂肪酸そのもの、当該高度不飽和脂肪酸を含有する油脂、及び当該高度不飽和脂肪酸の誘導体のいずれかをいうものであり、好ましくは、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、又はドコサヘキサエン酸(DHA)のうちの一種又は二種以上である。
すなわち、エイコサペンタエン酸は、脂肪酸であるエイコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸を含有する油脂、エイコサペンタエン酸誘導体のいずれかをいうものであり、ドコサペンタエン酸は、脂肪酸であるドコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸を含有する油脂、ドコサペンタエン酸誘導体のいずれかをいうものであり、また、ドコサヘキサエン酸は、脂肪酸であるドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸を含有する油脂、ドコサヘキサエン酸誘導体のいずれかをいうものである。
【0023】
本発明において、原料である高度不飽和脂肪酸は、二重結合を三つ以上もつ脂肪酸であり、α−リノレン酸やエイコサペンタエン酸やドコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等のn−3系高度不飽和脂肪酸、γ−リノレン酸やジホモ−γ−リノレン酸やアラキドン酸等のn−6系高度不飽和脂肪酸を挙げることができる。
また、本発明において、原料である高度不飽和脂肪酸は、高度不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸混合物であってもよい。
【0024】
本発明において、当該高度不飽和脂肪酸を含有する油脂は、イワシ油やサンマ油やカツオ油やマグロ油やタラ肝油等の魚油若しくはアザラシ油等の水産動物油又はプランクトンから得られる油脂等を挙げることができる。
本発明において、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステル純度には、原料である高度不飽和脂肪酸、当該高度不飽和脂肪酸を含有する油脂、及び当該高度不飽和脂肪酸の誘導体中の高度不飽和脂肪酸含有率が反映されるため、原料である高度不飽和脂肪酸の含有率が高い程、高純度のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを得ることができる。
【0025】
原料及びコレステロール脂肪酸エステルの脂肪酸組成は、内部標準物質としてMethyl heneicosanoate(Sigma社製)を検体に加え、エステル化した後、ガスクロマトグラフィ分析(GC分析)により重量比で求めた。なお、エステル化は、日本油化学会の定める基準油脂分析試験法に従って行った(日本油化学会制定 基準油脂分析法(1)1996年度版、脂肪酸誘導体化法、2.4.1.1−1996)。
本発明において、原料である高度不飽和脂肪酸中に当該高度不飽和脂肪酸を含有するものであればよく、その含有率は高いほど好ましく、通常、40%以上であり、好ましくは60%以上である。
【0026】
高度不飽和脂肪酸の誘導体は、高度不飽和脂肪酸のグリセリド類、アルキルエステル等の誘導体を挙げることができ、エイコサペンタエン酸誘導体としては、エイコサペンタエン酸メチルエステルやエイコサペンタエン酸エチルエステル等、ドコサペンタエン酸誘導体としては、ドコサペンタエン酸メチルエステルやドコサペンタエン酸エチルエステル等、ドコサヘキサエン酸誘導体としては、ドコサヘキサエン酸メチルエステルやドコサヘキサエン酸エチルエステル等を挙げることができる。
【0027】
本発明において、酵素合成によるコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルは、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とにリパーゼ及び/又はコレステロールエステラーゼ等の分解活性を有する酵素を加えて反応させることにより得ることができ、非水系又は水系での反応を適宜選択することができる。
【0028】
本発明において、コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを、触媒の存在下で、溶媒を用いずに又は溶媒を用いて、合成反応を行うことができ、反応は化学量論的に行われる。
本発明において、触媒としては、ナトリウムエトキシド等のアルコキシドや水酸化ナトリウム、4−ジメチルアミノピリジン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、パラトルエンスルホン酸、硫酸等を挙げることができる。
【0029】
本発明において、化学合成によるコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルは、コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを原料とし、合成反応を温度が制御された系内で行う工程と、第1の精製工程として分子蒸留処理によって主として未反応のコレステロール及び高度不飽和脂肪酸を含む油脂類の除去を行う工程と、次いで第2の精製工程として活性炭、活性白土又はシリカからなる吸着剤による吸着剤処理によって主として色素成分と臭いの除去を行う工程と、を含むものである。
【0030】
本発明において、合成反応を温度が制御された系内で行う工程について、合成反応の温度、時間は、合成反応が完結する条件であればよく、通常、5〜140℃で0.1〜12時間が挙げられ、高度不飽和脂肪酸の誘導体を原料とするときは、通常、100〜140℃で2〜12時間であればよい。
本発明において、合成反応の圧力については、合成反応が完結する条件であればよく、高度不飽和脂肪酸の誘導体を原料とするときは、通常、133〜6,650Paであればよい。
【0031】
本発明において、反応効率を高めるために、通常、撹拌を行いながら反応させる。また、静置して反応させることもでき、この場合、反応系に乳化剤などを添加することができる。また、反応効率を高めるために、ヘキサンやトルエン等の有機溶媒を使用することもできる。
【0032】
本発明において、高純度で、色、におい等官能面に優れた高品質のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを得るために、合成反応後の精製を一定条件下で綿密に行わなければならない。
本発明において、コレステロール脂肪酸エステルは、合成反応後、一連の精製工程を経ることにより、純度を高めることができる。
次に、一連の精製工程について述べる。
【0033】
本発明において、第1の精製工程として、分子蒸留処理によって主として未反応のコレステロール及び高度不飽和脂肪酸を含む油脂類等の除去を行う工程を行う。
分子蒸留を行う装置としては、流下薄膜式、遠心式等を挙げることができ、いずれを用いてもよい。
分子蒸留条件としては、通常、133Pa以下、100〜300℃であり、好ましくは、13.3Pa以下、100〜250℃である。なお、分子蒸留操作は複数回繰り返して行ってもよい。
コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルは蒸留残分として得られ、未反応のステロール類、脂肪酸類および一部の色素類と臭気成分は留分として得られる。
【0034】
本発明において、次いで第2の精製工程として、吸着剤処理によって主として色素成分と臭いの除去を行う工程を行う。分子蒸留処理後の蒸留残分であるコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルには原料由来の色素成分や、蒸留中の加熱によって生成した色素成分、臭気成分等が含まれている。
使用する吸着剤としては、活性白土、酸性白土、活性炭、シリカ、シリカマグネシア等が挙げられ、好ましくは、活性炭、活性白土、シリカのいずれかである。これらの吸着剤は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
脱色をより効率的に行うためにヘキサン等の有機溶媒中で活性炭処理をするとよく、使用する溶媒量は処理原料に対して、通常、0.1〜50倍量であり、好ましくは、0.5〜20倍量である。
また、活性白土を用いる場合、活性白土の処理原料重量に対する使用量は、通常、0.1〜50重量であり、好ましくは、1〜20重量%であり、それぞれ、ヘキサンの存在下で処理するとよい。
シリカを用いる場合、シリカの処理原料重量に対する使用量は、通常、0.1〜50重量であり、好ましくは、1〜20重量%である。それぞれ、ヘキサンの存在下でシリカによる処理をするとよく、好ましくは、シリカをカラムに充填したシリカゲルカラムに通液して行う。
有機溶媒を使用する場合には、吸着剤処理後に溶媒除去を必要とする。なお、吸着剤処理操作は複数回繰り返して行ってもよい。
【0035】
さらに、本発明において、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行う工程を行ってもよい。
水蒸気蒸留を行う装置としては、例えば、連続式、半連続式、バッチ式の装置が例示され、いずれの方式の装置を用いてもよい。
水蒸気蒸留条件としては、通常、13.3kPa以下、50〜250℃であり、好ましくは、1,330Pa以下、50〜150℃である。なお、水蒸気蒸留操作は複数回繰り返して行ってもよい。
【0036】
本発明において、コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルとしては、コレステロールリノレン酸エステル、コレステロールアラキドン酸エステル、コレステロールエイコサペンタエン酸エステル、コレステロールドコサペンタエン酸エステル、コレステロールドコサヘキサエン酸エステル等を挙げることができ、好ましくは、コレステロールエイコサペンタエン酸エステル、コレステロールドコサペンタエン酸エステル、コレステロールドコサヘキサエン酸エステルである。
【0037】
本発明において、コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤中のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの含有率は、ヒアルロニダーゼ阻害剤としての効果を有効に発揮させるためには高いほうがよく、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、特に好ましくは、80%以上である。
【0038】
生体内のヒアルロン酸は、通常の状態ではヒアルロン酸合成酵素と分解酵素の活性の平衡が保たれている。老化に伴いこの平衡が失われ、ヒアルロン酸の合成に対してヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ活性が亢進され、組織の柔軟性や湿潤性も失われ、皮膚のシワやタルミ等の皮膚老化を引き起こす。
また、ヒアルロニダーゼは、体内での炎症時に活性化され、アレルギーや炎症を誘導し、ヒアルロン酸の分解により結合組織マトリックスを破壊し、炎症系細胞の侵入を容易にする。
したがって、ヒアルロニダーゼの活性を阻害することで、皮膚老化防止、抗アレルギー、抗炎症を期待できる。
【0039】
本発明のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤は、少なくともコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを含有すればよく、ヒアルロニダーゼ阻害効果を有し、皮膚老化防止、抗アレルギー、抗炎症を利用して皮膚外用剤に用いたときその商品価値を向上するものである。また、本発明の該ヒアルロニダーゼ阻害剤は、皮膚外用剤中の他の成分との混合形態であってもよい。さらに、該ヒアルロニダーゼ阻害効果を化粧品、食品、医薬品等において効果的に利用することができる。
【0040】
本発明のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する、皮膚外用剤の形態は任意であり、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態の化粧料、医薬部外品または外用医薬品等であってもよい。
【0041】
本発明のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する、皮膚外用剤には、当該酵素阻害剤以外に、植物油などの油脂類、ラノリンやミツロウなどのロウ類、キダチアロエ等の植物抽出物、炭化水素類、脂肪酸、高級アルコール類、エステル類、種々の界面活性剤、色素、香料、ビタミン類、動物抽出物、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐・殺菌剤等、通常の化粧料原料として使用されているものを適宜配合して用いることができる。さらに、美白効果を有するものとして既知の他の成分や抗アレルギー成分を併用することで、効果を高めることもできる。
【0042】
本発明において、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤の化粧品、食品、医薬品等への配合量は、その純度、剤形などを考慮して定めるとよいが、通常、全量に対して0.001〜50重量%、好ましくは、0.01〜20重量%、特に好ましくは、0.1〜10重量%、である。
【0043】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本発明において、各原料及び素材の配合%はすべて重量%である。
【実施例1】
【0044】
コレステロール(純度:95%以上)10.0gと、ドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHAエチルエステル)10.0g(DHA含有率72%、EPA含有率5%の脂肪酸組成を有するエチルエステル)とよりなる原料に、触媒としてナトリウムエトキシド(10%エタノール性溶液1.0ml)とを混合し、120℃にて1,330Paの真空下で8時間撹拌し反応させた。反応直後の混合物中のコレステロール脂肪酸エステル純度をTLC−FID法(ヤトロン製、薄層自動検出装置イアトロスキャンMK−5)により分析したところ、純度は91%であった。反応後の、混合物を60℃に冷却し、希酸にて触媒を不活性化した。水相が中性になるまで混合物を洗浄し、油相について減圧脱水処理を行った。次いで、得られた混合物をろ過し、第1の精製処理として、分子蒸留処理を行い、粗製品18gを得た。なお、分子蒸留処理の条件は0.7Pa、170℃で行った。次いで、第2の精製処理として、粗製品18gに対して、ヘキサン18ml、活性炭0.9gを加え、室温で30分間撹拌後、ろ過を行い、活性炭除去、ヘキサン留去を行って、コレステロールドコサヘキサエン酸エステル(コレステロールDHAエステル)17gを得た。生成物のコレステロール脂肪酸エステル純度は99%だった。また、GC分析結果によると、コレステロールDHAエステル含有率は72%であった。
上記のように、コレステロール脂肪酸エステルの純度については、合成反応後純度91%を精製工程を経ることにより99%とすることができた。また、色は白色で、異味異臭がなく、官能面において優れた品質のものであった。
【実施例2】
【0045】
無水トルエン30ml中で、コレステロール(純度:95%以上)10gと、エイコサペンタエン酸遊離脂肪酸(EPA遊離脂肪酸)10g(EPA含有率70%、DHA含有率7%の脂肪酸組成をもった遊離脂肪酸)とよりなる原料に、触媒として4−ジメチルアミノピリジン0.15gと、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド5gとを混合し、25℃で2時間撹拌して反応させた。反応直後の混合物中のコレステロール脂肪酸エステル純度を実施例1同様TLC−FID法により分析したところ、純度は82%であった。次いで、反応混合物にヘキサン100mlを加え、遠心分離(3,000rpm、5分)して、上清を回収した。回収した上清の溶媒を除去し、次いで、得られた混合物をろ過し、第1の精製処理として、分子蒸留処理を行い、粗製品17gを得た。なお、分子蒸留処理の条件は0.7Pa、170℃で行った。次いで、第2の精製処理として、粗製品17gに対して、ヘキサン34mlを加え、シリカゲルカラムに通液し、コレステロールエイコサペンタエン酸エステル(コレステロールEPAエステル)16gを得た。生成物のコレステロール脂肪酸エステル純度は99%だった。また、GC分析結果によると、コレステロールEPAエステル含有率は70%であった。
上記のように、コレステロール脂肪酸エステルの純度については、合成反応後純度82%を精製工程を経ることにより99%とすることができた。また、色は白色で、異味異臭がなく、官能面において優れた品質のものであった。
【実施例3】
【0046】
無水トルエン30ml中で、コレステロール(純度:95%以上)10gと、ドコサペンタエン酸遊離脂肪酸(DPA遊離脂肪酸)10g(DPA含有率70%、オレイン酸含有率30%の脂肪酸組成をもった遊離脂肪酸)とよりなる原料に、触媒として4−ジメチルアミノピリジン0.15gと、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド5gとを混合し、25℃で2時間撹拌して反応させた。反応直後の混合物中のコレステロール脂肪酸エステル純度を実施例1同様TLC−FID法により分析したところ、純度は82%であった。次いで、反応混合物にヘキサン100mlを加え、遠心分離(3,000rpm、5分)して、上清を回収した。回収した上清の溶媒を除去し、次いで、得られた混合物をろ過し、第1の精製処理として、分子蒸留処理を行い、粗製品17gを得た。なお、分子蒸留処理の条件は0.7Pa、170℃で行った。次いで、第2の精製処理として、粗製品17gに対して、ヘキサン51ml、シリカ1.7gを加え、室温で30分間撹拌後、ろ過を行い、シリカ除去、ヘキサン留去を行って、コレステロールドコサペンタエン酸エステル(コレステロールDPAエステル)16gを得た。生成物のコレステロール脂肪酸エステル純度は99%だった。また、GC分析結果によると、コレステロールDPAエステル含有率は70%であった。
上記のように、コレステロール脂肪酸エステルの純度については、合成反応後純度82%を精製工程を経ることにより99%とすることができた。また、色は白色で、異味異臭がなく、官能面において優れた品質のものであった。
【実施例4】
【0047】
[ヒアルロニダーゼ阻害活性の測定]
本発明のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの皮膚老化防止効果を調べるために、実施例1〜3によって得られた本発明品であるヒアルロニダーゼ阻害剤と、比較対照として実施例1で用いた原料であるDHAエチルエステル(DHA含有率72%、EPA含有率5%の脂肪酸組成を有するエチルエステル)と、についてヒアルロニダーゼ阻害率を測定した。
【0048】
ヒアルロニダーゼ阻害活性の測定は、以下の方法で行った。
ヒアルロニダーゼ(type IV-S from Bovine testis、Sigma社製)溶液の100μl(4,000unit/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.9)に溶解)に試料200μlを加えて、37℃20分間放置した。次に酵素活性化剤(Compound 48/80、Sigma社製)溶液(0.5mg/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.9)に溶解)200μlを加え、37℃で20分間放置した後、基質であるヒアルロン酸カリウム(from rooster comb、和光純薬工業株式会社製)溶液(1.0mg/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.9)に溶解)500μlを入れ、37℃で40分間放置した。次いで0.4N水酸化ナトリウム溶液200μlを加えて反応を停止させた後、0.8Mホウ酸溶液0.2mlを加え、沸水中で3分間加熱した。室温まで冷却後、1%p−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液6mlを加え、37℃で20分間放置した後、585nmにおける吸光度(A)を測定した。なお、試料は、それぞれ20mg/ml、50mg/ml、70mg/mlになるようにクロロホルムで溶解したもの0.5mlと、20重量%ツイーン40(Polyoxyethylene Sorbitan Monopalmitate)クロロホルム溶液2mlとを混合した後、窒素でクロロホルムを留去し、50%エタノールで2mg/ml、5mg/ml、7mg/mlになるよう調製した。上記と同様の酵素反応と吸光度(C)測定を、試料溶液の代わりに10重量%ツイーン40−50%エタノール溶液を添加して行った。さらにそれぞれの場合について酵素を添加せずに蒸留水を加えて同様にして吸光度(B)(D)測定を行った。阻害率は次式により算出し、その結果を表1に示した。
【0049】
ヒアルロニダーゼ阻害率(%)=100−100×[(A−B)/(C−D)]
A:試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示す通り、本発明のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルであるコレステロールDHAエステル、コレステロールEPAエステル、コレステロールDPAエステルについて、それらは濃度依存性を有しており、7mg/mlの濃度において顕著に高いヒアルロニダーゼ阻害率を示した。また、本発明はいずれも、比較対照のDHAエチルエステルよりも、高い阻害率を示した。したがって、本発明品であるヒアルロニダーゼ阻害剤を皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤、化粧品、食品、医薬品等において効果的に利用することができる。
【実施例5】
【0052】
本発明品のヒアルロニダーゼ阻害剤を、皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤、化粧品、食品に用いた例を示す。
【0053】
[配合例1]
次の配合例で常法により化粧水を製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例1:コレステロールDHAエステル) 0.2
グリセリン 5.0
オレイルアルコール 0.1
ポリエキシエチレン(20)
ソルビタンモノラウリル酸エステル 0.5
エチルアルコール 10.0
香料 適量
精製水 84.2
【0054】
[配合例2]
次の配合例で常法によりO/W型クリームを製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例2:コレステロールEPAエステル) 1.0
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
ポリエキシエチレン(25)
セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
精製水 53.0
【0055】
[配合例3]
次の配合例で常法によりO/W型クリームを製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例3:コレステロールDPAエステル) 1.0
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
ポリエキシエチレン(25)
セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
精製水 53.0
【0056】
[配合例4]
次の配合例で常法によりO/W型クリームを製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例1:コレステロールDHAエステル) 1.0
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
ポリエキシエチレン(25)
セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
精製水 53.0
【0057】
[配合例5]
次の配合例で常法によりローションを製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例1:コレステロールDHAエステル) 1.0
ステアリン酸 2.0
セチルアルコール 1.0
ワセリン 4.0
グリセロールトリ−2−
エチルヘキサン酸エステル 2.0
ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
PEG1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
香料 適量
防腐剤 適量
精製水 79.0
【0058】
[配合例6]
次の配合例で常法により、ヘアリキッドを製造した。
(成分及び重量%)
本発明品
(実施例1:コレステロールDHAエステル) 0.2
ポリエチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン(5)
デシルテトラデシルエーテル 2.0
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
オリゴサクシネート(3.E.O)(20.P.O) 2.0
エチルアルコール 65.2
香料 適量
精製水 28.6
【0059】
[配合例7]
ゼラチンカプセルに本発明品(実施例1:コレステロールDHAエステル)200mgを充填し、キャップ部を結合し、抗アレルギー用食品とするカプセル食品を調製した。
【0060】
[配合例8]
ゼラチンカプセルに本発明品(実施例2:コレステロールEPAエステル)200mgを充填し、キャップ部を結合し、抗アレルギー用食品とするカプセル食品を調製した。
【0061】
[配合例9]
ゼラチンカプセルに本発明品(実施例3:コレステロールDPAエステル)200mgを充填し、キャップ部を結合し、抗アレルギー用食品とするカプセル食品を調製した。
【実施例6】
【0062】
[モニターテスト]
実施例5の配合例2、配合例3、配合例4のクリームと、本発明品を配合していない比較例のクリームについて、モニターテストを行い、皮膚に対する効果を検討した。
[試験方法]
無作為に抽出した年齢18〜50歳の女性40名を被験者として10名ずつ4つのグループに分け、各グループに、実施例5と比較例のクリームのいずれかを割り振り、それぞれ左右の頬部に、1日2回(朝、晩)、1ヵ月間塗布してもらった後、小ジワに対する改善効果及び肌のはり、艶に対する改善効果を、被験者自身の自己判定により、以下の評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
A:改善効果あり、B:やや改善効果あり、C:変化ない
[結果]
結果を表2に示す。なお、表2のA〜Cの各評価欄の数字は、被験者10名中当該評価を行った被験者の数を示す。
【0063】
【表2】

【0064】
表2の結果から明らかなように、本発明品であるコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを用いた皮膚外用剤については、顕著な皮膚改善効果がみられ、皮膚老化防止効果が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステロールと高度不飽和脂肪酸とを合成して得られる、コレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤。
【請求項2】
高度不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
【請求項3】
ヒアルロニダーゼ阻害剤中のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの含有率が60%以上である請求項1又は請求項2に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する皮膚老化防止用及び/又は抗アレルギー用の皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する食品。
【請求項6】
コレステロールと、高度不飽和脂肪酸とを原料とし、合成反応を温度が制御された系内で行う工程と、
第1の精製工程として分子蒸留処理によって主として未反応のコレステロール及び高度不飽和脂肪酸を含む油脂類の除去を行う工程と、
第2の精製工程として活性炭、活性白土又はシリカのいずれかからなる吸着剤による吸着剤処理によって主として色素成分と臭いの除去を行う工程と、
を含むコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。
【請求項7】
高度不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、又はドコサペンタエン酸のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする請求項6に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。
【請求項8】
ヒアルロニダーゼ阻害剤中のコレステロール高度不飽和脂肪酸エステルの含有率が60%以上である請求項6又は請求項7に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤の製造方法。

【公開番号】特開2011−231029(P2011−231029A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100945(P2010−100945)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000210067)池田食研株式会社 (35)
【Fターム(参考)】