説明

酸化タンタル薄膜及び薄膜積層体

【課題】薄膜積層体において、金属酸化物薄膜と金属薄膜、あるいは金属酸化物薄膜と金属酸化物薄膜との界面での経時による剥離が生じることがあり、その剥離を防止するために、内部応力が小さい非晶質の酸化タンタル薄膜を提供する。
【解決手段】スパッタリング法により透明基板上に形成される非晶質酸化タンタル薄膜であり、該酸化タンタル薄膜の理論密度をρ、実測密度をρとしたとき(ρ/ρ)×100で表わされる値が75〜95体積%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上にスパッタリング法を経て形成される非晶質酸化タンタル薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム等のような金属酸化物を主成分とする金属酸化物薄膜は、金属薄膜と相互に積層した薄膜積層体として、低放射積層体(例えば特許文献1)や光学フィルタ、あるいは異なった金属酸化物薄膜同士を相互に積層した薄膜積層体として、エレクトロクロミック(以下ECとすることもある)膜(例えば特許文献2)などに用いられている。薄膜積層体において、経時と共に金属酸化物薄膜と金属薄膜との界面、あるいは金属酸化物薄膜と金属酸化物薄膜との界面で剥離が生じることがある。
【特許文献1】特開2007−191384号公報
【特許文献2】特開2007−102197号公報
【非特許文献1】X線反射率の測定と解析[平成21年2月23日検索]、インターネット<www.nims.go.jp/xray/ref/whats0.htm>
【非特許文献2】G.G. Stoney, Proceedings of Royal Society of London,Series A, 82(1909)172-175.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属酸化物薄膜と金属薄膜、あるいは金属酸化物薄膜と金属酸化物薄膜との界面での経時による剥離は、薄膜内に存在する内部応力、特には金属酸化物膜内に存在する内部応力に起因することが本発明者らの検討によりわかってきた。薄膜に生じる応力としては、薄膜と基板材料の熱膨張係数の違いにより発生する熱応力、及び基板温度と膜材料の融点の比が小さいプロセスにおいて発生する内部応力がある。
【0004】
また、スパッタリング法により得られる金属酸化物薄膜においては、内部応力が優勢となる。この内部応力が大きいと、金属酸化物薄膜と基板の密着性が低下することがあり、薄膜の基材からの剥離、基材の反り等が生じることがある。更に、金属酸化物薄膜と他の金属薄膜とが積層されている場合、金属酸化物薄膜の内部応力に起因して外観不良等の欠陥が生じることがある。
【0005】
内部応力の小さい金属酸化物膜は、上記の問題点の改善に寄与するものである。従って、本発明は、内部応力が小さい金属酸化物薄膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、非晶質の酸化タンタル薄膜が内部応力の小さい薄膜を得るための有望な候補であることを見出した。
【0007】
すなわち本発明の非晶質酸化タンタル薄膜は、スパッタリング法により透明基板上に形成される非晶質酸化タンタル薄膜であり、該酸化タンタル薄膜の理論密度をρ、実測密度をρとしたとき(ρ/ρ)×100で表わされる値(以下、「緻密化度」と表記することがある)が75〜95%であることを特徴とするものである。
【0008】
酸化タンタル薄膜の理論密度ρは8.3g/cm(JCPDSカード番号54-0514に掲載された値を採用)とされ、実測密度ρは、X線反射率法で臨界角を測定し、これを解析することで求められる。X線反射率法による密度測定については、非特許文献1に詳細に紹介されており、XRD測定装置(Rigaku社製RINT−UltimaIII)に付随した汎用の解析プログラムにより導き出すことができる。
【0009】
なお、本発明の酸化タンタル薄膜は非晶質のものであったが、緻密化度を求める前記式において、結晶の値を理論密度ρとして採用している。緻密化度は結晶性が悪くなると100%未満となり、非晶質状態ではさらなる値の低下が見られる。従って、非晶質の薄膜の緻密化度を表す指標を得るために、結晶の値を理論密度ρとして採用しても差し支えない。
【0010】
また、「基板上」は、酸化タンタル薄膜が基板に接するものでも、基板と該酸化タンタル薄膜との間に他の薄膜が介在するものでもよい。
【0011】
本発明では、緻密化度を75%〜95%としており、好ましくは77%〜91%と設定してもよい。緻密化度が95%超では、内部応力の低減が十分とは言えないものであった。また、緻密化度が75%未満と低くなりすぎると膜強度が低下するおそれが生じる。
【0012】
また、緻密化度の低い酸化タンタル薄膜は、緻密化度の高いものよりも屈折率が低くなる傾向が見られた。一般的に、屈折率の低い薄膜は、薄膜のぎらつき感を低減させ、透過率を向上させることにも繋がる可能性があるため、屈折率が低い酸化タンタル薄膜は、本発明において好ましい形態であるとも言える。
【0013】
上記の観点から、本発明の酸化タンタル薄膜は、波長550nmにおける屈折率が2.05以下とすることが好ましく、特に2.00以下とすることが最も好ましい。なお、酸化タンタル薄膜の屈折率が2.05を超えると、緻密化度が高くなり内部応力が大きくなる構造を薄膜中にもたらすことがある。また、屈折率の下限は、特に限定されるものではないが、屈折率は緻密化度と相関性があり、低い屈折率を得ようとすると、緻密化度が低くなり薄膜の膜強度を弱めることがある。従って、屈折率の下限は1.90、好ましくは1.95と設定してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非晶質酸化タンタル薄膜は、内部応力が小さいため、基板との密着性が向上し、膜自体の剥離や基板の反り発生を抑制する。また、酸化タンタル薄膜と他の金属薄膜とが積層されている場合、酸化タンタル薄膜の内部応力に起因する外観不良等の欠陥が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
透明基材(可視光に透過性を有するもの)には、ガラス基板が好適に使用される。ガラス基板の例としては、建築用や車両用をはじめとする窓や鏡、ディスプレイ用に使用されているソーダ石灰ケイ酸塩ガラスからなるフロート板ガラス、又はロールアウト法で製造されたソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等無機質の透明性がある板ガラスが挙げられる。
【0016】
当該板ガラスには、無色のもの、着色のもの共に使用可能で、基材の形状は、平板、曲げ板を問わず、さらには、風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の各種強化ガラスの他に編入りガラスも使用できる。さらには、ホウケイ酸塩ガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス、低膨張結晶化ガラス、ゼロ膨張結晶化ガラス、TFT用ガラス、PDP用ガラス、光学フィルム用基板ガラス等の各種ガラス基材を用いることができる。
【0017】
また、ガラス基板以外の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネートや高透過ガラスなどの廉価なフロート板ガラスが好適であるが、透明ガラスのほかにも、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂基板あるいはフィルム等を用いてもよい。
【0018】
本発明の非晶質酸化タンタル薄膜は、スパッタリング法を用いて形成されることが好ましい。スパッタリング法には、DCスパッタリング、RFスパッタリング、パルススパッタリング、対向スパッタリング、デュアルスパッタリング法など公知のスパッタ方式が適応可能である。
【0019】
緻密化度が95%以下である該酸化タンタル薄膜は、成膜時の雰囲気ガスを調節することで得られ、さらに上記よりも緻密化度を低減させたい場合、例えば、OとCOとの混合ガスを用いることによっても、容易に低減させることが可能となるため好ましい。該混合ガスを用いる場合、特に、CO/(O+CO)×100の式で表されるCO流量比が20体積%以上であるとき、緻密化度を90%未満に低減させることが可能となるため好ましい。
【0020】
一般的にスパッタ法などでは、金属ターゲットを用いてO雰囲気中で酸化物薄膜を成膜させると、ターゲット表面で生成される酸素負イオンなどの高エネルギー粒子が、膜に打ち込まれるため、該膜は密度が高くなり、緻密化度は高くなる。
【0021】
とCOとの混合ガスを用いると、COはOに比べて酸化力が弱いため、ターゲット表面の酸化を抑制する効果があると考えられる。その結果、ターゲット表面で生成される酸素負イオンなどの高エネルギー粒子が減少し、酸化タンタル膜の膜密度が減少すると考えられる。また、該混合ガスには放電を安定させるために、Ar,Xe,Ne,Krなどのガスを加えてもよい。なお、酸化タンタル薄膜を形成するには成膜時の雰囲気ガスの圧力の上限を1.0Paとすることが好ましく、下限は特に限定されるものではないが、0.1Paと設定してもよい。
【0022】
本発明の非晶質酸化タンタル薄膜の膜厚が5nm以上、100nm以下のとき、該薄膜と銀等の金属膜層とを有する薄膜積層体は、例えば、低放射積層体として好適に使用される。透明基材と該透明基材上に形成された薄膜積層体とからなる物品は、建物において日射熱が室内に流入することを防ぐ遮熱性、または室内の温度が室外へ流出することを防ぐ断熱性を付与した窓ガラスとして用いられる。
【0023】
窓ガラスとして用いる場合、室外に設置される面から低放射積層体付きガラス、乾燥空気層、透明ガラスの順で構成することにより遮熱性が付与された複層ガラス、または室外に設置される面から、透明ガラス、乾燥空気層、低放射積層体付きガラスの順で構成することにより断熱性が付与された複層ガラスとして用いる事が好ましく、低放射積層体付きガラスは乾燥空気層に接する面に低放射積層体を形成することが好ましい。
【0024】
あるいは、該非晶質酸化タンタル薄膜の膜厚が100nm以上、1000nm以下のとき、該薄膜と、酸化タングステン等の陽極層、及び酸化イリジウム等の陰極層とを有する薄膜積層体は、EC層として使用され得る。透明基材と該透明基材上に透明導電膜、EC層と順次積層された物品は、該物品に電流・電圧を印加することで、可逆的に透過率や反射率、あるいはEC層自体の色を変化させることが可能な全固体型EC素子として利用されることが好ましい。具体的には、例えば、車両用や家庭用のECミラー、EC表示装置、車両用や家庭用窓ガラスの調光ガラス等として用いられるのが好ましい。
【0025】
また、上記の薄膜積層体付き基材は、流通、保管などの過程を経て、複層ガラス、合わせガラスやECミラー等といった物品に組み込まれることがあり、その際、ガラス表面の付着物等の汚れに対して、水を使用した洗浄を行うことがある。例えば、該低放射積層体は、銀層を含むものが多く使用されており、銀層を含む積層体に水を接触させると積層体が劣化することがあるため、水との接触は回避されることが好ましい。しかしながら、本発明の非晶質酸化タンタル薄膜を銀層の保護膜として使用した低放射積層体付きガラスは、上記のような水が接触する洗浄時に膜表面の劣化が生じないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の酸化タンタル薄膜は、緻密化度が低いことに起因して内部応力が小さいため、基材、他の膜に与える影響が小さくなる。従って、赤外線遮蔽膜、光学フィルタ、全固体型EC素子等の薄膜積層体へ使用されることが好ましい。具体的には、銀等の金属薄膜の保護膜、あるいは、金属膜の下地膜として用いられることが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明の具体例を実施例および比較例にて説明する。
【0028】
実施例1
酸化タンタル薄膜の成膜は、図1に示すような概略構造を有するDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて行った。図1は、該装置を上方から観察したときの要部を示すものである。ターゲット1にTaターゲットを用い、透明基材(フロート法で得られたソーダ石灰ケイ酸塩ガラス)3を基材ホルダー2に保持させた後、真空チャンバー8内を、真空ポンプ5を用いて排気した。尚、図1では、ターゲット1は2個描かれているが、設置数、種類は薄膜の積層数、膜種に応じて適宜設定を行った。
【0029】
真空チャンバー8内の雰囲気ガスは、ガス導入管7より、Oガスを導入し、ガス流量をマスフロコントローラー(図示せず)により制御した。成膜中の真空チャンバー8内の圧力は、開閉バルブ6により0.3Paに調節した。さらに、DC電源の出力電力を3kWとした。
【0030】
基材ホルダー2は、搬送ロール12上を搬送され、ターゲット1の横を通過した。この時の通過速度を調整し、膜厚37nmの五酸化タンタル薄膜を得た。
【0031】
実施例2
真空チャンバー8内の雰囲気ガスは、ガス導入管7より、OおよびCOガスを導入し、ガス流量をマスフロコントローラー(図示せず)により制御し、CO流量比[{CO/(O+CO)}×100]を75体積%とした。反応性ガス流量比を変更した以外は実施例1と同様の手順で五酸化タンタル薄膜を得た。
【0032】
比較例1
比較例1ではO流量比を100体積%で作製した酸化スズ薄膜とした以外は、実施例1と同様の手順で酸化スズ薄膜を得た。
(1)実施例1又は2及び比較例1で得られた酸化タンタル薄膜、酸化スズ薄膜の評価
得られた薄膜の密度を、CuKα線を用いたX線反射率法にて評価し、薄膜の緻密化度を評価した。また、磁気分光光度計(日立製作所製U−4000)を用いて測定した膜面反射率、ガラス面反射率および透過率から、薄膜光学シミュレーションによって屈折率を評価した。
(2)薄膜の内部応力の評価
薄膜の内部応力は、片持ち梁法によって評価された。該方法は、成膜前後の基板の反りの変化量を測定することにより、膜の内部応力を求める方法である。この評価の実施のために、基材を厚さ0.1mmのマイクロシートガラスとし、実施例1、2及び比較例1と同様の条件で薄膜を形成した。ただし、該ガラス基材は、基材ホルダー2にその一端だけが固定された。
【0033】
該条件で薄膜を形成すると、薄膜内に生じた内部応力に応じて基材に反りが発生するので、非特許文献2で紹介されているように、該反り量から薄膜の内部応力が求められる。
【0034】
本実施例では、内部応力の値が負の値で表されるが、内部応力の大きさは絶対値で評価されるので、数値がゼロに近いほど内部応力が小さいものとして評価できる。評価結果を表1に示す。さらに、緻密化度と薄膜の内部応力との関係を図2に示す。実施例1および2のいずれも、緻密化度が95%以下、内部応力の絶対値が13.0×10N/m以下、屈折率も2.05以下となった。
【0035】
【表1】

実施例3
薄膜積層体を、図2に示すような概略構造を有するDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて作製した。上流側のターゲット1にZnターゲットを用い、その下流側ターゲット1にAgターゲット、さらに下流側ターゲット1にZnAlO(Al 4wt%含有ZnO)ターゲット、最下流のターゲット1にTaターゲットを用いた。
【0036】
透明基材(フロート法で得られたソーダ石灰ケイ酸塩ガラス)3を基材ホルダー2に保持させた後、真空チャンバー8内を、真空ポンプ5を用いて排気した。真空チャンバー8内の雰囲気ガスは、ガス導入管7より、Oガスを導入し、ガス流量をマスフロコントローラー(図示せず)により制御し、ガス雰囲気を、積層体の積層種に応じて調整した。成膜中の真空チャンバー8内の圧力は、開閉バルブ6により調節した。また、DC電源の出力電力を1kWとした。
【0037】
基材ホルダー2は、搬送ロール12上を搬送され、ターゲット1の横を通過した。この時の通過速度を調整し各薄膜層の膜厚を調整し、透明基材3上にZnO/Ag/ZnAlO/Taの順で薄膜が積層された積層体を形成した。
【0038】
基材上に酸化亜鉛薄膜を形成するときは、Oガスのみとし、圧力を0.3Paとした。該酸化亜鉛薄膜層は、37nmの膜厚を有する層とした。
【0039】
該酸化亜鉛薄膜層上にAg薄膜層を形成するときは、真空チャンバー8内のOガスを排気した後、Arガスをガス導入管7よりマスフロコントローラーにより制御しながら、真空チャンバー8内に導入し、圧力を0.5Paとした。また、DC電源の出力電力を0.4kWとした。該Ag薄膜層は、10nmの膜厚を有するものとした。
【0040】
該Ag薄膜層上にZnAlO薄膜層を形成するときの条件は、Ag薄膜層を形成するとき同様とした。該ZnAlO薄膜層は、5nmの膜厚を有するものとした。
【0041】
該ZnAlO薄膜層上に酸化タンタル薄膜層を形成するときは、真空チャンバー8内のArガスを排気した後、ガス導入管7より、Oガスを導入し、O流量比100%とした。成膜中の真空チャンバー8内の圧力は、開閉バルブ6により0.3Paに調節した。該酸化タンタル薄膜層は、37nmの膜厚を有するものとした。
【0042】
実施例4
酸化タンタル膜を成膜時にCO流量比{[CO/(O+CO)]×100}を75体積%とした以外は実施例5と同様の手順で薄膜積層体を得た。
【0043】
比較例2
ZnAlO薄膜層上に酸化タンタル膜を形成する代わりに酸化スズ膜を形成した以外は、実施例3と同様の手順で薄膜積層体を得た。
(3)実施例3及び4、及び比較例2で得られた薄膜積層体の評価
薄膜積層体が形成された透明基材を、温度30℃、相対湿度90%の環境下で4週間保持し、20cm角(20cm×20cm=400cm)の領域内に発生した直径0.3mm以上の欠陥数を計測した。
【0044】
表2に実施例3、4及び比較例2における酸化タンタル膜の内部応力と欠陥数を示す。表2から、実施例3及び4は、酸化タンタル膜の内部応力が小さく、これに起因して欠陥数が少なかった。
【0045】
また、耐湿性が良好であった実施例3及び4に関して、以下の水洗浄に関する評価を行った。
【0046】
薄膜積層体が形成された基材を、超音波洗浄機を用いて、温度40℃の純水で10分間洗浄を行い、洗浄後に温風乾燥を行った。上記の水洗浄、乾燥工程を経ても、薄膜積層体表面に欠陥は生じなかった。
【0047】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】DCマグネトロンスパッタリング装置を上方から観察したときの要部を説明する図である。
【図2】得られた非晶質酸化タンタル薄膜の緻密化度と内部応力との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ターゲット
2 基材ホルダー
3 透明基板
4 カソードマグネット
5 真空ポンプ
6 開閉バルブ
7 ガス導入管
8 真空チャンバー
9 電源コード
10 DC電源
11 バッキングプレート
12 搬送ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリング法により透明基板上に形成される非晶質酸化タンタル薄膜であり、該酸化タンタル薄膜の理論密度をρ、実測密度をρとしたとき(ρ/ρ)×100で表わされる値が75〜95体積%であることを特徴とする非晶質酸化タンタル薄膜。
【請求項2】
波長550nmにおける屈折率が2.05以下であることを特徴とする請求項1に記載の非晶質酸化タンタル薄膜。
【請求項3】
膜厚が5〜1000nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非晶質酸化タンタル薄膜。
【請求項4】
反応性ガスを用いてスパッタリング法により透明基板上に形成される非晶質酸化タンタル薄膜であり、該反応性ガスがOおよびCOからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の非晶質酸化タンタル薄膜。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の非晶質酸化タンタル薄膜と金属薄膜とを有する薄膜積層体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−209413(P2010−209413A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56890(P2009−56890)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】